説明

包装用フィルム

複数のコンパートメントを具備し、可撓性のラミネートフィルムでできた包装材であって、これらコンパートメントは、これらコンパートメントの外部からの酸素又は他の気体の接触、又は、これらコンパートメント内の物品により発生される酸素及び他の気体の放出に関して、異なる必要性を有する物品を収容し、前記可撓性のラミネートフィルムは、前記複数のコンパートメント内の物品の酸素又は気体の異なる必要性に適するように、フィルムの異なる複数のセクションで、酸素透過率(OTR)と気体透過率(GTR)との異なるレベルを有する包装材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装するための可撓性のラミネートフィルムに関する。
【0002】
また、本発明は、可撓性のラミネートフィルムを製造する方法に関する。
【0003】
また、本発明は、可撓性のラミネートフィルムでできた包装材に関する。
【0004】
また、本発明は、可撓性のラミネートフィルムから包装材を製造する方法に関する。
【0005】
特に、本発明は、異なる包装の必要性、特に酸素のような気体に晒されることに関する必要性を有する物品を収容する複数のコンパートメントを備え、可撓性のラミネートフィルムでできたマルチコンパートメント包装材に関する。
【背景技術】
【0006】
可撓性フィルムは、限定的ではないが、単一の層の押出し成形フィルム、複数の層の共押出し成形フィルム及び接着性ラミネートフィルムを含む多くの形態で入手可能である。全てのこれらのフィルムは、フィルムの露出面に印刷がなされることができる。
【0007】
可撓性フィルムは、例えば、紙、ポリマ及び金属でできたいかなる数の層をも含むことができる。さらに、層の少なくとも1つの特性を変更するために、層は、改質剤、顔料、加工助剤又は他の添加剤を含むことができる。さらに、例えば、層は、ホイル、シート及びコーティングの形態であることができる。
【0008】
可撓性フィルムの製造において、複数の層の使用並びに複数の層の組み合わせは、要求に応じた特性を提供する機会を与える。例えば、ポリエチレンのような優れたヒートシール特性を備えたポリマは、酸素のような気体に対する遮断特性が非常に乏しい。この問題に対処するために、可撓性のラミネートフィルムを形成するように、ヒートシール特性を有するポリマ層と、金属ホイル層とを一緒にラミネートすることが知られている。この構造では、金属ホイルは、フィルムを通る気体の移動に対するバリヤを与える。
【0009】
酸素透過率(“OTR”)は、材料が酸素に対するバリヤとして機能することができる範囲の基準である。
【0010】
ポリマのOTRの1つの既知のユニットは、所定の標準気圧の分圧差があり、絶対圧力差のない状態で、24時間以上、1平方メートルの面積に対して、25マイクロメートルのフィルムを通過する標準温圧(“STP”)での気体の立方センチメートル(又はmL)である。この既知のユニットは、cc.25μm/m.day.atmと略される。
【0011】
ポリマのOTRは、温度に依存している。ポリマフィルムのOTRテストのための1つの既知の慣例は、25℃での結果をテストして、引用することである。
【0012】
また、時々、例えば、二酸化炭素、水蒸気及び二酸化硫黄のような酸素以外の気体に対して制御された透過率を有するポリマを有することが好ましい。所定のポリマに対する気体透過率(GTR)は、気体自体、ポリマ、処理及びテスト条件に依存している。
【0013】
代表的には、金属ホイルは、金属ホイルを含むラミネートフィルムを通した気体の移動に対する全体のバリヤを与える。
【0014】
いくつかのタイプのポリマは、気体バリヤ層として機能することができるが、このようなポリマの使用は、コストにより抑制される傾向にある。気体遮断特性を有し、広く使用されている押出し成形可能なポリマは、エチレン/ビニールアルコール(EVOH)コポリマである。これは、通常、ポリアミドと共に使用される。
【0015】
金属ホイルを含む可撓性のラミネートフィルムと、押出された透明フィルムとに対するOTRレベルは、ホイル及びフィルムに対して、それぞれ0.0001cc/m2.day.atm未満と、約1cc/m2.day.atmとである。
【0016】
可撓性フィルムで包装された物品は、物品が酸素に晒されることに対して耐えることができる程度に関して、様々な必要性を有する。
【0017】
いくつかの物品は、酸素に晒されることに対して非常に高い耐性があり、酸素遮断特性を有さない可撓性フィルムで包装されることができる。水は、このような物品の一例である。
【0018】
他の物品は、酸素に対して非常に敏感である。このような物品を包装するための気体遮断特性は、重要な考慮すべき事柄である。トマトペーストは、酸素に対して敏感な物品の一例である。
【0019】
いくつかの物品が、上記の極端な2つの間で、酸素に晒されることに対して耐えることができる、すなわち、時間が経つにつれて物品により発生する酸素が包装材から逃げることを可能にするために、包装がOTRの制御された最低レベルを果たすことが必要である。過酸化物の分解のため、時間が経つにつれて酸素を放出するヘアカラー剤に使用される過酸化物を含む乳剤は、このような物品の一例である。低過ぎるOTRを有する可撓性フィルムの使用は、時間が経つにつれて、乳剤を含む包装材の膨張につながり得る。
【0020】
以上の説明から、酸素に晒されることに関して異なる必要性を有する多様な物品のための包装を提供するのは簡単な問題でないことが、明らかである。
【0021】
酸素に関する上記のコメントと同様のコメントが、二酸化炭素、水蒸気及び二酸化硫黄のような他の気体にも当てはまる。
【発明の概要】
【0022】
本発明によると、複数のコンパートメントを具備し、可撓性のラミネートフィルムでできた包装材であって、これらコンパートメントは、これらコンパートメントの外部からの酸素又は他の気体の接触、又は、これらコンパートメント内の物品により発生される酸素及び他の気体の放出に関して異なる必要性を有する物品を収容し、前記可撓性のラミネートフィルムは、前記複数のコンパートメント内の物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、フィルムの異なるセクションで、酸素透過率(OTR)と気体透過率(GTR)との異なるレベルを有する包装材が提供される。
【0023】
複数のコンパートメント内の物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、フィルムの異なるセクションで、OTRとGTRとの異なるレベルを有する所定のラミネートフィルムから包装材を形成することは、従来技術の包装材よりもかなり優れた効果を奏する包装材を提供する。
【0024】
特に、本発明は、酸素又は他の気体の必要性を有する多様な物品のためのマルチコンパートメント包装剤を提供するために、制御されたOTR又はGTRの複数のセクションを備えた単一の可撓性のラミネートフィルムでできた包装材の提供を可能にする。
【0025】
ヘアカラー剤の物品は、包装材の区切られたコンパートメント内で、包装に適した物品の一例である。ヘアカラー剤の物品は、少なくとも2つの成分を含むことができる。一方の成分は、酸素及び光から非常に高いレベルでの保護を必要とする着色製剤である。他方の成分は、活性剤を含むパウチの好ましくない膨張及び加圧を防ぐために、制御されたOTRを必要とする過酸化物を含む活性剤である。1cc/m2.day.atmよりも大きな、好ましくは2cc/m2.day.atmよりも大きな、さらに好ましくは2.5cc/m2.day.atmよりも大きなOTRが、活性剤のために必要である。
【0026】
好ましくは、前記ラミネートフィルムは、穿孔されたセクションがこのラミネートフィルムの残りのセクションよりも高いOTR又はGTRを有するラミネートフィルムを与えるように、このフィルムの選択された少なくとも1つのセクションが穿孔されており、これにより、このラミネートフィルムは、前記複数のコンパートメント内の物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、穿孔されたセクションと前記フィルムの残りのセクションとで異なるOTRレベル又はGTRレベルを有する
好ましくは、前記穿孔は、平均直径が500マイクロメートル未満である。
【0027】
より好ましくは、前記穿孔は、平均直径が300マイクロメートル未満である。
【0028】
代表的には、前記穿孔は、平均直径が100マイクロメートル未満である。
【0029】
好ましくは、ラミネートフィルムは、金属ホイルの層とポリマフィルムの層とを含む。
【0030】
好ましくは、金属ホイルは、アルミニウムホイルである。
【0031】
好ましくは、アルミニウムホイルは、5ないし20マイクロメートルの範囲の厚みを有する。
【0032】
ポリマフィルムは、気体遮断特性を有することができる。代わって、ポリマフィルムは、比較的高いOTR又はGTRを有することができる。
【0033】
好ましくは、ポリマフィルムは、PETである。
【0034】
好ましくは、PETフィルムは、5ないし20マイクロメートルの範囲の厚みを有する。
【0035】
好ましくは、前記ラミネートフィルムは、前記穿孔を介して前記複数のコンパートメントから物品が漏れるのを防ぐために、前記穿孔されたセクションに気密シーリング層をさらに具備する。
【0036】
本発明によると、複数のコンパートメントを具備する包装材を製造する方法であって、これらコンパートメントは、これらコンパートメントの外部からの酸素又は他の気体の接触、又は、これらコンパートメント内の物品により発生される酸素及び他の気体の放出に関して異なる必要性を有する異なる物品を保持し、この方法は、前記ラミネートフィルムから形成された包装材内の複数のコンパートメントに最終的に包装された物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、このフィルムの選択されたセクションとこのフィルムの残りのセクションとでの異なる酸素透過率(OTR)又は気体透過率(GTR)を備えた可撓性のラミネートフィルムを形成することを具備する方法が提供される。
【0037】
好ましくは、この方法は、前記ラミネートフィルムの前記選択されたセクションでのこのフィルムのOTR又はGTRを増加させることを含む。
【0038】
好ましくは、この方法は、前記ラミネートフィルムを形成するために、前記ラミネート形成工程中又は後に、このフィルムの前記セクションを選択的に穿孔することによって、前記ラミネートフィルムの前記選択されたセクションでのラミネートフィルムのOTR又はGTRを増加させることを含む。
【0039】
好ましくは、前記穿孔は、平均直径が500マイクロメートル未満である。
【0040】
より好ましくは、前記穿孔は、平均直径が300マイクロメートル未満である。
【0041】
代表的には、前記穿孔は、平均直径が100マイクロメートル未満である。
【0042】
前記ラミネートフィルムは、例えば、放電加工、レーザドリル、ピンによる穿孔(熱間又は冷間)及び圧縮による機械的破壊のような適切な手段によって穿孔されることができる。
【0043】
好ましくは、ラミネートフィルムは、金属ホイルの層とポリマフィルムの層とを含む。
【0044】
好ましくは、金属ホイルは、アルミニウムホイルである。
【0045】
好ましくは、アルミニウムホイルは、5ないし20マイクロメートルの範囲の厚みを有する。
【0046】
ポリマフィルムは、気体遮断特性を有することができる。代わって、ポリマフィルムは、比較的高いOTR又はGTRを有することができる。
【0047】
好ましくは、ポリマフィルムは、PETである。
【0048】
好ましくは、PETフィルムは、5ないし20マイクロメートルの範囲の厚みを有する。
【0049】
好ましくは、ラミネートフィルムは、本出願人の名前で国際公開WO02/40250に記載され、規定されているように、フィルムを機械的に破砕することによって穿孔される。この国際公開の方法及び装置は、狭く離間された複数の点の間を延ばすことによるフィルムの機械的破壊に基づいている。この国際公開の内容は、参照としてここに含まれる。
【0050】
ラミネートフィルムを穿孔することによって、フィルムにアパチャが生じる。アパチャのサイズと包装される物品のタイプによって、アパチャは、アパチャによってこれらコンパートメントからの物品の損失のため、容認できないことができる。
【0051】
このような状況では、好ましくは、この方法は、前記ラミネートフィルムの前記選択されたセクションのOTR又はGTRを減少させることと、同時に、好ましくは、複数のアパチャを介して前記複数のコンパートメントから物品が漏れるのを防ぐために、前記ラミネートフィルムの前記セクションに気密シーリング層をラミネートすることによって、このラミネートフィルムの前記残りのセクションよりも高いOTRを維持することとを含む。かくして、酸素又は他の気体が、シーリング層を通過することができる。
【0052】
好ましくは、シーリング層は、可撓性フィルムの上に押出し成形コーティングされる。
【0053】
シーリング層の適用に熟練した者によって、シーリング層は、所望のシーリング及び他の特性を与えるために、接着ラミネーション、延伸ラミネーション、共押出し成形コーティング又は共押出し成形ラミネーションを含む他の工程により与えられることができることが理解されるであろう。
【0054】
この方法は、前記包装材の背面を形成している一方のフィルムと、この包装材の前面を形成している他方のフィルムとを有し、前記ラミネートフィルムの2つのシートの挟み込みによりこの包装材を形成することを含み、前記2つのシートの周縁部は、閉じた包装材を形成するように、互いにヒートシールされている。
【0055】
可能性のある他の形態では、この方法は、チューブに前記ラミネートされたフィルムのシートを形成することと、閉じた包装材を形成するために、前記チューブの両側面及び両端部をヒートシールすることとによって、前記包装材を形成することを含むことができる。
【0056】
この方法は、混合される物品を前記包装材から開放及び放出する前に、前記複数のコンパートメント内の物品を互いに混合することを促進するように、これらコンパートメントの間に壊れ易いシールを備えた包装材を形成することをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明に係わる可撓性のラミネートフィルムの一実施の形態の長さ部分である。
【図2】図2は、本発明に係わる可撓性のラミネートフィルムを穿孔するための装置の一実施の形態である。
【図3】図3は、本発明に係わるラミネートフィルムを穿孔するための装置の他の実施の形態である。
【図4】図4は、本発明に係わる可撓性のラミネートフィルムを形成するための装置の一実施の形態のダイアグラムである。
【図5】図5は、本発明に係わる可撓性のラミネートフィルムでできた包装材の一実施の形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本出願人は、本発明を評価するために、一連の実験室実験並びに製造プラント実験を行った。
【0059】
本出願人は、
(a)延伸PETフィルムを商業用に裏面印刷する工程と、
(b)このPETフィルムと9マイクロメートルのアルミニウムホイルとを押出し成形ラミネートして、中間のラミネートフィルムを形成する工程と、
(c)以下でさらに説明されるように、機械的手段によって前記中間のラミネートフィルムを穿孔する工程と、
(d)気密層を与えるために、アルミニウムホイルにシーリング層を押出し成形コーティングする工程、若しくは、
(e)気密層を与えるために、アルミニウムホイルにシーリングフィルム層を押出し成形ラミネートする工程と、
によってテストサンプルを準備した。
【0060】
このようにして製造され完成したフィルムのOTRは、穿孔の数と、穿孔のアパチャ(孔の口径)と、シーリング層の透過率との関数であった。
【0061】
実験室実験
実験サンプルは、
(a)本出願人の国際公開WO02/40250に記載され、規定された方法及び装置、
(b)商業的に知られている従来技術を使用した冷たい針の穿孔、
(c)LDPEシーリング層を備えた穿孔された中間のラミネートフィルムを押出し成形コーティングすること、
のいずれか1つを使用して、上で説明された中間のラミネートフィルムに穿孔することによって、実験室で準備された。
【0062】
完成した実験ラミネートサンプルは、MoconOxtran方法を使用してOTRを評価された。
【表1】

【0063】
針の穿孔による穿孔は、0.25ないし0.5mmの範囲に及び、わずかに目に見えた。国際公開WO02/40250による穿孔は、150マイクロメートル未満であり、実際に目に見えない。
【0064】
製造プラント実験
さらなる一連の実験では、12マイクロメートルのPETフィルムは、中間のラミネートフィルムを形成するための既知の方法により、9マイクロメートルのアルミニウムホイルと押出し成形ラミネートされた。
【0065】
マシン方向に2.5mmごとに1のアップスタンドと、交差方向に50mm幅に亘る21のアップスタンドとを含む刃が、中間のラミネートフィルムを穿孔するために使用された。刃は、国際公開WO02/40250に開示されたタイプであった。この刃は、PCT WO02/40250に従ってキャリヤロールに適用され、交差方向に50mm幅を有するストリップで、マシン方向に連続したストリップに穿孔を形成するように、フィルムに適用された。
【0066】
穿孔は、従来技術で知られている8色のグラビア印刷装置で利用可能な通常の押圧力を使用して、1分あたり300メートルの動作速度で形成された。
【0067】
構造体の金属面を貫通して穿孔された中間のラミネートフィルムは、押出し接着性ポリマの20マイクロメートルの層で50マイクロメートルのポリエチレンフィルムとさらに押出し成形ラミネートされた。ラミネート条件が、従来技術におけるこのようなラミネート動作に通常のように適用された。
【0068】
完成したラミネートフィルムは、リールの向こう側の既知の位置にある変更されたOTRストリップを備えたフィルムの整備されたリールを与えるように、従来技術で理解されるように、さらに処理された。
【0069】
フィルムの、変更されていない、即ち穿孔されていないセクションのOTRは、測定設備の検出限界値以下(<0.1cc/m2.day.atm)であった。
【0070】
フィルムの変更された領域のOTRは、2.5の最小の目標を楽々と超えて、10ないし11cc/m2.day.atmの範囲で変化した。
【0071】
上の実験から、異なるOTRレベルを有する異なる複数のセクションを備えた可撓性のラミネートフィルムを形成することが可能であることが、明らかである。
【0072】
ここに開示される方法により、ラミネート構造体の複数のセクションで、利用可能な限界以内でいかなるOTRレベルでも得られることができることが、当業者によって理解されるであろう。
【0073】
また、本出願人は、12及び20マイクロメートルのアルミニウムホイル層を有する複数のラミネートフィルムでの製造プラント実験に成功したことが特記される。
【0074】
本発明が、添付図面を参照して、例によってさらに説明される。
【0075】
図1は、本発明に係わる連続した可撓性のラミネートフィルムのウェブの一実施の形態を示している。
【0076】
図1に関して、ウェブ1は、ウェブ1のマシン方向4に延びたウェブ1の複数のセクションにある複数の穿孔2、3の複数のアレイを示している。セクションにある複数の穿孔2は、ウェブ1の長さ部分に沿った複数の穿孔の連続した帯として示されている。また、これら穿孔は、セクション3に示されるように、従来の可撓性の包装において理解されるような目印、即ちレジスタマーク5に対して、ウェブ1の長さ部分に沿って不連続であることができる。複数の穿孔2、3のアレイは、ランダム又は規則的であることができる。これら穿孔2、3のサイズ及び数は、コンパートメント内の物品の酸素の必要性に適するように、必要なOTRを備えたウェブ1でできた閉じた包装材内の少なくとも1つを与えるように選択される。また、ウェブ1は、セクションを液密性(liquid-tight)にするセクション2、3の上のシーリング層(図示されない)も含む。このシーリング層は、いかなる適切なポリマ又は他の材料からも作られることができる。
【0077】
図2は、ウェブ1に機械的に穿孔する装置の一実施の形態を示している。ウェブ1(この段階では穿孔されていない)は、穿孔ローラ10の圧力によって対向ローラ8に形成されたニップ9によって、対向ローラ8の周りを通過する。圧力は、好ましい手段でも加えられることができる。穿孔ローラ10は、穿孔刃11を運ぶ。このような刃は、本出願人の国際公開WO02/40250に記載され、規定された好ましい刃である。
【0078】
図3は、代わりの穿孔装置を示している。この装置では、穿孔は、レーザエネルギによって形成される。この穿孔装置は、所定のウェブ材料に適しており、制限は、レーザ技術による穿孔に熟練した者によって理解されるであろう。この装置では、ウェブ1は、ウェブに対する張力を維持する一連の内側制御ローラ12、13、14の周りを通過して、位置15でレーザ16によって穿孔される。穿孔されたウェブ1は、外側制御ローラ17、18、19を通って出る。
【0079】
図4は、単一の連続線で、本発明の装置の一実施の形態を示している。この連続線は、「縦に並んだラミネータ(”tandem laminator”)」として、従来技術で一般的に知られている。
【0080】
図面は、明確化の理由のため、完結的な図面であり、この理由により、ローラと他の構造上の特徴部分とを省略している。
【0081】
図4に関して、材料の3つのウェブが、押出し成形ラミネーションの工程により結合される。工程の順に、通常は印刷されたウェブであるウェブ20がアンワインドステーション21から延ばされ、ローラ23、24の間に形成されたニップ22を通過する。同時に、通常は金属ホイル又は他のバリヤ材料であるウェブ25がアンワインドステーション26から延ばされ、ニップ22を通過する。押出装置27は、ニップ22に適切な溶融接着剤を堆積させる。結合されたウェブ28は、ニップを出て、ここでは、例として、前の図2並びに図3に示される穿孔ステーション29に続く。穿孔されたウェブ28’は、穿孔ステーションを出て、ローラ31、32の間に形成された第2の押出しラミネーションステーションニップ30に続く。アンワインドステーション33は、同時に、代表的にはシーリングウェブであるウェブ34を延ばし、押出装置35は、適切な溶融接着剤をニップ30に堆積させる。最終的に、完成した区分されたラミネートフィルム36が、さらなる処理のために必要に応じてステーション37に巻き戻される。
【0082】
図5は、本発明に係わる2コンパートメントパウチの形態での完成した包装材の一実施の形態を示している。
【0083】
パウチは、代表的には、方向38に連続したウェブにより形成され、内部のシール41によって分離された通気可能なコンパートメント39と気密コンパートメント40とを含む。二重パウチの周縁部は、複数の縁シール42、43、44、及び開口端部を閉じるトップシール(図示されない)によって規定されている。適切なシーラント層とシーリング条件とを選択することによって、熟練した技術者は、シール41が剥がれ易い、即ち脆弱なシールであり、一方、複数のシール42、43、44及びトップシール(図示されない)は、脆弱でない、即ち溶融シールであることができることを理解するであろう。
【0084】
また、パウチは、従来技術の手段で、選択された簡単に開く裂け目領域45と裂け目ノッチ46とを含む。
【0085】
実際には、過酸化物のように通気を必要とする物品は、コンパートメント40で気密封止を必要とする物品(co-product)の側に沿って、及び便利な単一ユニットとして運搬される全体の包装材と共に、コンパートメント39内に安全に包装されることができる。
【0086】
本発明の趣旨並びに範囲から逸脱することなく、上に説明された本発明の実施の形態に様々な変更がなされることができる。
【0087】
一例として、本発明の実施の形態の上の記載は、酸素に関する物品の必要性を考慮して包装材を適用することに焦点を合わせているが、本発明は、これに制限されず、二酸化炭素、水蒸気及び二酸化硫黄のような他の気体に広げることができ、また、可撓性のラミネートフィルムのGTRは、このようなフィルムの問題である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンパートメントを具備し、可撓性のラミネートフィルムでできた包装材であって、
これらコンパートメントは、これらコンパートメントの外部からの酸素又は他の気体の接触、又は、これらコンパートメント内の物品により発生される酸素及び他の気体の放出に関して異なる必要性を有する物品を収容し、
前記可撓性のラミネートフィルムは、前記複数のコンパートメント内の物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、フィルムの異なるセクションで、酸素透過率(OTR)と気体透過率(GTR)との異なるレベルを有する包装材。
【請求項2】
前記ラミネートフィルムは、穿孔されたセクションがこのラミネートフィルムの残りのセクションよりも高いOTR又はGTRを有するラミネートフィルムを与えるように、このフィルムの選択された少なくとも1つのセクションが穿孔されており、これにより、
このラミネートフィルムは、前記複数のコンパートメント内の物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、穿孔されたセクションと前記フィルムの残りのセクションとで異なるOTRレベル又はGTRレベルを有する請求項1の包装材。
【請求項3】
前記穿孔は、平均直径が500マイクロメートル未満である請求項2の包装材。
【請求項4】
前記穿孔は、平均直径が300マイクロメートル未満である請求項2の包装材。
【請求項5】
前記穿孔は、平均直径が100マイクロメートル未満である請求項2の包装材。
【請求項6】
前記ラミネートフィルムは、前記穿孔を介して前記複数のコンパートメントから物品が漏れるのを防ぐために、前記穿孔されたセクションに気密シーリング層をさらに具備する請求項2ないし5のいずれか1の包装材。
【請求項7】
複数のコンパートメントを有する包装材を製造する方法であって、
これらコンパートメントは、これらコンパートメントの外部からの酸素又は他の気体の接触、又は、これらコンパートメント内の物品により発生される酸素及び他の気体の放出に関して異なる必要性を有する異なる物品を保持し、
この方法は、前記ラミネートフィルムから形成された包装材内の複数のコンパートメントに最終的に包装された物品の酸素又は他の気体の異なる必要性に適するように、このフィルムの選択されたセクションとこのフィルムの残りのセクションとで異なる酸素透過率(OTR)又は気体透過率(GTR)を備えた可撓性のラミネートフィルムを形成することを具備する方法。
【請求項8】
前記ラミネートフィルムの前記選択されたセクションでのこのフィルムのOTR又はGTRを増加させることを含む請求項7の方法。
【請求項9】
前記ラミネートフィルムを形成するために、前記ラミネート形成工程中又は後に、このフィルムの前記セクションを選択的に穿孔することによって、前記ラミネートフィルムの前記選択されたセクションでのラミネートフィルムのOTR又はGTRを増加させることを含む請求項7又は8の方法。
【請求項10】
前記穿孔は、平均直径が500マイクロメートル未満である請求項9の方法。
【請求項11】
前記穿孔は、平均直径が300マイクロメートル未満である請求項9の方法。
【請求項12】
前記穿孔は、平均直径が100マイクロメートル未満である請求項9の方法。
【請求項13】
放電加工、レーザドリル、ピンによる穿孔(熱間又は冷間)及び圧縮による機械的破壊のいずれか1つによって、前記ラミネートフィルムを穿孔することを含む請求項9ないし12のいずれか1の方法。
【請求項14】
複数の点の間を延ばして、前記フィルムを機械的に破壊することによって、前記ラミネートフィルムを穿孔することを含む請求項9ないし12のいずれか1の方法。
【請求項15】
前記ラミネートフィルムの前記選択されたセクションのOTR又はGTRを減少させることと、
同時に、好ましくは、複数のアパチャを介して前記複数のコンパートメントから物品が漏れるのを防ぐために、前記ラミネートフィルムの前記セクションに気密シーリング層をラミネートすることによって、このラミネートフィルムの前記残りのセクションよりも高いOTRを維持することとを含む請求項9ないし14のいずれか1の方法。
【請求項16】
前記包装材の背面を形成している一方のフィルムと、この包装材の前面を形成している他方のフィルムとを有し、前記ラミネートフィルムの2つのシートの挟み込みによりこの包装材を形成することを含み、
前記2つのシートの周縁部は、閉じた包装材を形成するように、互いにヒートシールされている請求項7ないし15のいずれか1の方法。
【請求項17】
チューブに前記ラミネートされたフィルムのシートを形成することと、
閉じた包装材を形成するために、前記チューブの両側面及び両端部をヒートシールすることとによって、前記包装材を形成することを含む請求項7ないし15のいずれか1の方法。
【請求項18】
混合される物品を前記包装材から開放及び放出する前に、前記複数のコンパートメント内の物品を互いに混合することを促進するように、これらコンパートメントの間に壊れ易いシールを備えた包装材を形成することを含む請求項7ないし16のいずれか1の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−517881(P2010−517881A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548543(P2009−548543)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000136
【国際公開番号】WO2008/095240
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509221308)アムコア・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】