説明

包装用紙箱

【課題】電子レンジ加熱で発生する水分を上部から抜け出し易くした包装用紙箱の提供。
【解決手段】底面板12の一方の相対向する二辺に前面板11と後面板13が連設され、もう一方の相対向する二辺には外側面板121、122が連設され、外側面板の底面板が連設してない方の端縁には差込片123、124が連設され、前面板と外側面板、後面板と外側面板との間には対角谷折り線cによりほぼ三角形状に二つ折りされた連結折込片16、17、18、19が連設され、後面板の底面板が連設してない側の辺に天面板14が連設され、天面板の後面板が連設してない側の辺に糊代片15が連設され、天面板の相対向する二辺に内側面板141、142が連設され、差込片を差し込むスリットb、bが折り曲げ線上に設けられ、内側面板は外側面板より短くして内側面板と底面板の間に空間を生じさせ、糊代片と前面板を固着させると共に差込片をスリットに差込み内側面板と外側面板を閉塞させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一枚のブランクから形成される包装用紙箱に関するものであり、特には、電子レンジで加熱する食品である惣菜等を収納する、電子レンジ加熱調理中に発生する水蒸気等が上部より抜け出し易くした包装用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用電子レンジの普及に伴い、例えば、冷凍食品のような被調理品を包装用の紙箱に収納したまま電子レンジで加熱調理できるようにした製品が流通している。
【0003】
そして、冷凍食品を収納する紙箱は、一般的な紙箱と同様に、ブランクを組み立ててなる箱が採用されている。例えば、底面板を中心にその上下、左右に折り曲げ線を介してそれぞれ側面板を連設すると共に、それら側面板に連設され、対角折り曲げ線により二つ折り可能な連結折込片を底面版の四隅部にそれぞれ連設してなる容器本体と、前記側面板の一つに連設した蓋面板とからなり、これを組み立てるに際して、連結折込片を対角折り曲げ線により内側に向けて二つ折りし、その対角する内面を貼着すると共に、二つ折りした連結折込片の片側内側面をこれに対向する側面板の内側面に貼着支持する(ウォータータイト貼り)ものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】実開平4−1119号公報。
【0005】
しかしこれらの紙箱には、例えば、折曲片や支持片等電子レンジで加熱した場合に収納物から発生する水分を外部に放出するに際して邪魔する、例えば、折曲片や支持片等が形成されており、クリスピー感に富んだ加熱状態が生み出し難いという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電子レンジ加熱調理可能なウォータータイト貼りの紙箱に関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、電子レンジ調理中に収納物から発生する水蒸気等の水分が抜け出し易く、よりクリスピーな食感を有する加熱状態が可能となる電子レンジ加熱調理用の包装用紙箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の発明は、方形の底面板の一方の相対向する二辺に前面板と後面板が連設され、底面板のもう一方の相対向する二辺には外側面板が連設され、外側面板の底面板が連設されていない方の端縁には折り曲げ線を介して差込片が連設され、前面板と外側面板、後面板と外側面板との間には、折り曲げ線を介して対角谷折り線によりほぼ三角形状に二つ折りされた連結折込片が連設され、後面板の底面板が連設されていない側の辺には天面板が連設され、天面板の後面板が連設されていない側の辺に糊代片が連設され、天面板のもう一方の相対向する二辺には内側面板が連設され、差込片を差し込むスリットが天面板と内側面板との連設部分である折り曲げ線上、または内側面板に設けられ、内側面板の高さは、外側面板の高さより短くして、内側面板と底面板の間に空間が生じるように設定され、前記糊代片の両端近傍の裏面と、対応する前面板の表面とを接着糊を介して接着すると共に、差込片をスリットに差し込み、内側面板と外側面板とを閉塞したことを特徴とする包装用紙箱である。
【0008】
このように請求項1記載の発明によれば、方形の底面板の一方の相対向する二辺に前面板と後面板が連設され、底面板のもう一方の相対向する二辺には外側面板が連設され、外側面板の底面板が連設されていない方の端縁には折り曲げ線を介して差込片が連設され、前面板と外側面板、後面板と外側面板との間には、折り曲げ線を介して対角谷折り線によりほぼ三角形状に二つ折りされた連結折込片が連設され、後面板の底面板が連設されていない側の辺には天面板が連設され、天面板の後面板が連設されていない側の辺に糊代片が連設され、天面板のもう一方の相対向する二辺には内側面板が連設され、差込片を差し込むスリットが天面板と内側面板との連設部分である折り曲げ線上、または内側面板に設けられ、内側面板の高さは、外側面板の高さより短くして、内側面板と底面板の間に空間が生じるように設定され、前記糊代片の両端近傍の裏面と、対応する前面板の表面とを接着糊を介して接着すると共に、差込片をスリットに差し込み、内側面板と外側面板とを閉塞しているので、連結折込片、スリットは全部上方に開いており、また、内側面板の下部には底面板との間に空間が設けられており、電子レンジ加熱調理中に収納物から発生する水蒸気等の水分が紙箱の上部より抜け出し易く、電子レンジ加熱調理によってもクリスピーな食感を有する収納物を得ることができる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記内側面板と底面板の間に生じる空間の高さは、外側面板の高さの1/2以下であることを特徴とする包装用紙箱である。
【0010】
このように請求項2記載の発明によれば、内側面板と底面板の間に生じる空間の高さを外側面板の高さの1/2以下にしてあるので、紙箱の強度に与える影響が少なく、積み重ねるなどしても紙箱の形状を保持できる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記糊代片と天面板には、糊代片の端縁から糊代片を通過して天面板に達する二本の半切れ線が一定間隔をおいて左右対称に設けられていることを特徴とする包装用紙箱である。
【0012】
このように請求項3記載の発明によれば、糊代片と天面板には、糊代片の端縁から糊代片を通過して天面板に達する二本の半切れ線が一定間隔をおいて左右対称に設けられているので、糊代片の中央近傍を掴んで外方に引き上げると、糊代片とそれに連設する天面板は二本の半切れ線に沿って破断され、紙箱の上部が大きく開口する。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明の包装用紙箱は、連結折込片、スリットが全て上方に開いて設けられており、また、内側面板の下部には底面板との間に空間が設けられており、電子レンジ加熱調理中に収納物から発生する水分が紙箱の上部方向に抜け出し易い。そのため、電子レンジ加熱調理によってもクリスピーな食感を有する収納物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の包装用紙箱は、例えば、図1、図2に示すように、方形の底面板(12)の一方の相対向する二辺に前面板(11)と後面板(13)が連設され、底面板(12)のもう一方の相対向する二辺には外側面板(121、122)が連設され、外側面板(121、122)の底面板が連設されていない側の端縁には折り曲げ線(a)を介して差込片(123、124)が設けられている。
【0015】
また、前面板と外側面板、後面板と外側面板との間には、折り曲げ線を介して対角谷折り線(c)によりほぼ三角形状に二つ折りされた連結折込片(16、17、18、19)が連設され、後面板(13)の底面板が連設されていない側の辺には天面板(14)が連
設され、天面板(14)には、後面板が連設されていない側の辺に糊代片(15)が連設されている。
【0016】
天面板(14)のもう一方の相対向する二辺には内側面板(141、142)が連設され、差込片を差し込むスリット(b、b)が天面板(14)と内側面板(141、142)との連設部分である折り曲げ線(a)、または内側面板(141、142)に設けられている。
【0017】
内側面板(141、142)の高さは、外側面板(121、122)の高さより短くして、内側面板(141、142)と底面板(12)の間に空間が生じるように設定されている。
【0018】
なお、内側面板(141、142)の高さは、外側面板(121、122)の高さの1/2以上とし、紙箱に組み立てた際、内側面板と底面板(12)の間に生じる空間(隙間)は、外側面板の高さの1/2以下になるように設定されている。
【0019】
そして、糊代片(15)の両端近傍の裏面と、対応する前面板(11)の表面とを接着糊を介して接着すると共に、差込片(123、124)をスリット(b、b)に差込み、内側面板(141、142)と外側面板(121、122)とをロック状態にして閉鎖したことを特徴とするものである。
【0020】
糊代片(15)と天面板(14)には、糊代片(15)の端縁から糊代片(15)を通過して天面板(14)に達する二本の半切れ線(d、d)を一定間隔をおいて左右対称に設けても良い。
【0021】
この包装用紙箱は、図1に示すようなブランク(10)を、例えば、通常の4コーナー貼りの製函機で組み立ててなる。先ず、ブランク(10)を説明する。
【0022】
前面板(11)、底面板(12)、後面板(13)、天面板(14)、糊代片(15)がそれぞれ横方向の折り曲げ線(e)を介してこの順序で連設されている。底面板の左右端には縦方向の折り曲げ線(f)を介してそれぞれ外側面板(121、122)、差込片(123、124)が順次連設されている。
【0023】
前面板(11)と外側面板(121、122)の間には、隣接する底側面板と前面板に互いに連設する連結折込片(16、17)が折り曲げ線を介して設けられ、各連結折込片は、底面板(12)の各隅部を起点にして45度の角度で連結折込片を二分する対角谷折り線(c)により、前面板(11)に隣接する前面板フラップ(161、171)と、外側面板(121、122)に隣接する外側面板フラップ(162、172)とに二分されている。
【0024】
後面板(13)と外側面板121、122)の間には、隣接する外側面板と後面板に互いに連設する連結折込片(18、19)が折り曲げ線を介して設けられ、各連結折込片は、底面板(12)の各隅部を起点にして45度の角度で連結折込片を二分する対角谷折り線(c)により、後面板(13)に隣接する後面板フラップ(181、191)と、外側面板(121、122)に隣接する外側面板フラップ(182、192)とに二分されている。
【0025】
天面板(14)のもう一方の相対向する二辺には内側面板(141、142)が連設されており、差込片(123、124)を差込むためのスリット(b、b)が天面板(14)と内側面板(141、142)との連設部分である縦方向の折り曲げ線上(f)、または内側面板(141、142)に設けられている。
【0026】
また、内側面板(141、142)の高さは、外側面板(121、122)の高さより短くして、紙箱に組み立てた際に内側面板(141、142)と底面板(12)の間に空隙が生じるように設定されている。
【0027】
このような構造からなるブランク(10)を包装用紙箱(1)に組み立てる手順の一例をつぎに説明する。
【0028】
前面板(11)、底面板(12)、後面板(13)の左右端に位置する外側面板(121)、連結折込片(16、18)と外側面板(122)、連結折込片(17、19)とを縦方向の折り曲げ線(f)に沿って折り曲げ、ついで、前面板(11)とその左右端に設けられた連結折込片(16、17)、後面板(13)とその左右端に設けられた連結折込片(18、19)とを、それぞれ底面板(12)を介して横方向の折り曲げ線(e)に沿って折り曲げ、各連結折込片(16、17、18、19)を対角谷折り線(c)に沿って谷折りして、底面板(12)を底板とし、前面板(11)、後面板(13)、外側面板(121、122)をそれぞれ側板とし、各側板の間に連結折込片が設けられた紙箱の容器本体部分を作製する。
【0029】
ついで、天面板(14)、糊代片(15)を横方向の折り曲げ線(e)に沿って折り曲げ、糊代片(15)の両端の裏面とそれに重なる前面板(11)の表面を接着糊等で固着すると共に、内側面板141、142)を縦方向の折り曲げ線(f)に沿って、容器本体部分の連結折込片および外側面板より内側に折り曲げ紙箱の蓋体部分を組み立て、最後に、差込片(123、124)を折り曲げ、スリット(b、b)の差し込み、容器本体部分が密封された包装用紙箱(1)の組み立てが完了する(図2参照)。
【0030】
本発明の包装用紙箱は以上のような構造からなるので、電子レンジ加熱調理中に収納物、例えば、フライドポテト、枝豆、唐揚げ等の冷凍食品から発生する水蒸気は、包装用紙箱の上部方向に抜け出し易く、電子レンジ加熱によってもクリスピーな食感を有する収納物を得ることができる。
【0031】
組み立てられた包装用紙箱(1)は、例えば、以下の手順で開口することができる。
すなわち、糊代片(15)と天面板(14)に半切れ線(d、d)が設けられている場合には、糊代片(15)の中央部分をつまんで、外方に引き上げると、糊代片(15)とそれに連設している天面板(14)が二本の半切れ線(d、d)に沿って破断され、紙箱の上面が大きく開口する。
【0032】
糊代片(15)と天面板(14)に半切れ線(d、d)が設けられていない場合には、差込片(123、124)をスリット(b、b)から外すと、先ず、外側面板(121、122)と連結折込片(16、17、18、19)が開き、ついで、内側側面板(141、142)を起こすと、紙箱が開口する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の包装用紙箱のブランクの一実施例を示す、平面説明図である。
【図2】図1のブランクを本発明の包装用紙箱に組み立て、差込片を天面板のスリットに差し込もうとしている状態を示す、斜視説明図である。
【図3】図2の包装用紙箱の差込片をスリットに差し込んでいる状態を示す、部分斜視説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1‥‥包装用紙箱
10‥‥ブランク
11‥‥前面板
12‥‥底面板
13‥‥後面版
14‥‥天面板
15‥‥糊代片
16‥‥連結折込片
17‥‥連結折込片
18‥‥連結折込片
19‥‥連結折込片
121‥‥外側面版
122‥‥外側面板
123‥‥差込片
124‥‥差込片
141‥‥内側面板
142‥‥内側面板
161‥‥前面板フラップ
162‥‥底側面板フラップ
171‥‥前面板フラップ
172‥‥底側面板フラップ
181‥‥後面板フラップ
182‥‥底側面板フラップ
191‥‥後面板フラップ
192‥‥底側面板フラップ
a‥‥折り曲げ線
b‥‥スリット
c‥‥対角谷折り線
d‥‥半切れ線
e‥‥横方向の折り曲げ線
f‥‥縦方向の折り曲げ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の底面板の一方の相対向する二辺に前面板と後面板が連設され、
底面板のもう一方の相対向する二辺には外側面板が連設され、外側面板の底面板が連設されていない方の端縁には折り曲げ線を介して差込片が連設され、
前面板と外側面板、後面板と外側面板との間には、折り曲げ線を介して対角谷折り線によりほぼ三角形状に二つ折りされた連結折込片が連設され、
後面板の底面板が連設されていない側の辺には天面板が連設され、
天面板の後面板が連設されていない側の辺に糊代片が連設され、
天面板のもう一方の相対向する二辺には内側面板が連設され、
差込片を差し込むスリットが天面板と内側面板との連設部分である折り曲げ線上、または内側面板に設けられ、
内側面板の高さは、外側面板の高さより短くして、内側面板と底面板の間に空間が生じるように設定され、
前記糊代片の両端近傍の裏面と、対応する前面板の表面とを接着糊を介して接着すると共に、差込片をスリットに差し込み、内側面板と外側面板とを閉塞したことを特徴とする包装用紙箱。
【請求項2】
前記内側面板と底面板の間に生じる空間の高さは、外側面板の高さの1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の包装用紙箱。
【請求項3】
前記糊代片と天面板には、糊代片の端縁から糊代片を通過して天面板に達する二本の半切れ線が一定間隔をおいて左右対称に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の包装用紙箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−107694(P2009−107694A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283354(P2007−283354)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】