説明

包装箱

【課題】上段の被包装物と下段の被包装物の間に介在する部材と、上段の被収容物を固定する部材とを一体に有する包装箱を提供する。
【解決手段】側板からなる周壁29と、その周壁29の下部開口を塞ぐ底板とを有し、側板の上縁に連設した内側板22を側板の上縁に沿って内側に折り返し、その内側板22の下縁に連設した水平板23を介して上下段に被包装物を収容可能とし、内側板22の下縁から延びる第1折目線25を介して水平板23と区画された仕切板24を内側板22の下縁に連設し、第1折目線25が内側板22の下縁に至る位置を起点として仕切板24側へ斜めに延びる第2折目線26を内側板22に設け、仕切板24を第1折目線25に沿って上向きに折り曲げるとともに、内側板22の第2折目線26よりも仕切板24側の部分22Aを第2折目線26に沿って折り返し、その折り返した部分22Aで上向きに保持した仕切板24で上段の被包装物を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被収容物を上下段に収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品、飲料、電化製品などの物品を輸送・保管する場合、その物品を保護するため、紙箱や段ボール箱などの包装箱が使用され、このような包装箱として、複数の側板からなる周壁と、その周壁の下部開口を塞ぐ底板とを有するものが、一般に用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この包装箱内に被収容物を上下段に収容する場合、上段の被包装物と下段の被包装物が直接接触して傷つくのを防止するため、上段の被包装物と下段の被包装物の間に敷きパッドを介在させることが多い。また、上段の被収容物が包装箱の広さに対して小さい場合、上段の被収容物を固定するため、包装箱とは別個の埋めパットで上段の被収容物の周りの空間を埋めることが多い。しかし、敷きパッドや埋めパッドを、包装箱とは別個に用意するのは、煩雑である。
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、上段の被包装物と下段の被包装物の間に介在する部材と、上段の被収容物を固定する部材とを一体に有する包装箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、複数の側板からなる周壁と、その周壁の下部開口を塞ぐ底板とを有し、少なくとも1つの前記側板の上縁に連設した内側板を側板の上縁に沿って内側に折り返し、その内側板の下縁に連設した水平板を介して上下段に被包装物を収容可能とし、前記内側板の下縁から延びる第1折目線を介して前記水平板と区画された仕切板を前記内側板の下縁に連設し、前記第1折目線が内側板の下縁に至る位置を起点として仕切板側へ斜めに延びる第2折目線を前記内側板に設け、前記仕切板を第1折目線に沿って上向きに折り曲げるとともに、前記内側板の第2折目線よりも仕切板側の部分を第2折目線に沿って折り返し、その折り返した部分で上向きに保持した前記仕切板で上段の被包装物を固定するようにした構成を包装箱に採用した。
【発明の効果】
【0006】
この発明の包装箱は、上段の被包装物と下段の被包装物の間に介在する水平板が内側板に連設されており、また、上段の被収容物を固定する仕切板も内側板に連設されている。そのため、上段の被包装物と下段の被包装物の間に介在する部材や、上段の被収容物を固定する部材を、包装箱と別個に用意する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1に、この発明の第1実施形態の包装箱のブランクを示す。このブランクは、折目線を介して順に連設された側板1,2,3,4を有し、側板1の側縁には継ぎ代5が連設されている。また、側板1,2,3,4の下縁には、それぞれ底片6,7,8,9が連設されている。
【0008】
側板1の上縁には、蓋板10、差込片11が順に連設されており、側板3の上縁には、内側板12、第1重合板13、第2重合板14が順に連設されている。
【0009】
側板2の上縁には、内側板15が連設され、内側板15には、水平板16と仕切板17とが連設されている。水平板16と仕切板17は、第1折目線18を介して区画されており、その第1折目線18が内側板15に至る位置を起点として仕切板17側へ斜めに延びる第2折目線19が、内側板15に形成されている。また、内側板15には、第2折目線19の先端から仕切板17の外周に至る切目線20が形成されている。図において、第2折目線19は、内側板15と仕切板17の間の折目線21に対して45度をなしている。
【0010】
側板4の上縁にも、内側板22が連設され、内側板22には、水平板23と仕切板24とが連設されている。水平板23と仕切板24は、第1折目線25を介して区画されており、その第1折目線25が内側板22に至る位置を起点として仕切板24側へ斜めに延びる第2折目線26が、内側板22に形成されている。また、内側板22には、第2折目線26の先端から仕切板24の外周に至る切目線27が形成されている。第2折目線26は、内側板22と仕切板24の間の折目線28に対して45度をなしている。
【0011】
このブランクは、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、図2に示すように、側板1,2,3,4を筒状に折り曲げて、前後一対の側板1,3と左右一対の側板2,4とからなる周壁29を形成し、側板4の内面に継ぎ代5を接着する。また、底片6,7,8,9を組み立てて、周壁29の下部開口を塞ぐ底板30を形成する。
【0012】
次に、底板30に被包装物31(例えば、2Lのペットボトル)を載置し、側板4の上縁に連設された内側板22を、図3に示すように、側板4の上縁に沿って内側に折り返す。続いて、その内側板22の下縁に連設された水平板23を、内側板22の下縁に沿って水平に折るとともに、内側板22の下縁に連設された仕切板24を、内側板22の下縁から延びる第1折目線25に沿って上向きに折り曲げる。このとき、第1折目線25が内側板22の下縁に至る位置を起点とする第2折目線26に沿って、内側板22の第2折目線26よりも仕切板24側の部分22Aが折り返され、その折り返された部分22Aで、仕切板24が上向きに保持される。
【0013】
側板2の上縁に連設された内側板15も、内側板22と同様、図4に示すように、側板2の上縁に沿って内側に折り返す。続いて、その内側板15の下縁に連設された水平板16を、内側板15の下縁に沿って水平に折るとともに、内側板15の下縁に連設された仕切板17を、内側板15の下縁から延びる第1折目線18に沿って上向きに折り曲げる。このとき、内側板15の第2折目線19よりも仕切板17側の部分15Aが第2折目線19に沿って折り返され、その折り返された部分15Aで、仕切板17が上向きに保持される。
【0014】
さらに、側板3の上縁に連設された内側板12を、図5に示すように、側板3の上縁に沿って内側に折り返し、その内側板12の下縁に連設された第1重合板13を水平板16,23に重ね合わせるとともに、第1重合板13の先端に連設された第2重合板14を仕切板17,24に重ね合わせ、第1重合板13に上段の被包装物32(例えば、500mlのペットボトル)を載置する。このとき、仕切板17,24は、水平板16,23上での被包装物32の移動を規制し、被包装物32を固定する。
【0015】
その後、側板1の上縁に連設された蓋板10を、側板1の上縁に沿って折り曲げて、蓋板10の先端に連設された差込片11を内側板12の内側に差し込み(図6参照)、周壁29の上部開口を塞ぐ。
【0016】
この包装箱は、上段の被包装物32と下段の被包装物31の間に介在する水平板16,23が内側板15,22にそれぞれ連設されており、また、上段の被収容物32を固定する仕切板17,24も内側板15,22にそれぞれ連設されている。そのため、上段の被包装物32と下段の被包装物31の間に介在する部材や、上段の被収容物32を固定する部材を、包装箱と別個に用意する必要がない。
【0017】
また、この包装箱は、仕切板17を第1折目線18に沿って上向きに折り曲げたときに、その折り曲げに伴って自動的に折り返された部分15Aで、仕切板17が上向きに保持され、また、仕切板24を第1折目線25に沿って上向きに折り曲げたときに、その折り曲げに伴って自動的に折り返された部分22Aで、仕切板24が上向きに保持される。そのため、この包装箱は、組み立ての作業効率がよい。
【0018】
また、この包装箱は、ワンタッチケース用のグルアで糊貼りを行なうことが可能である。
【0019】
図7に、この発明の第2実施形態の包装箱のブランクを示す。このブランクは、第1実施形態と同様に、折目線を介して順に連設された側板41,42,43,44を有し、側板41の側縁には継ぎ代45が連設されている。また、側板41,42,43,44の下縁には、それぞれ底片46,47,48,49が連設されている。
【0020】
側板41の上縁には、蓋板50、差込片51が順に連設されている。側板43の上縁には、フラップ52が連設されており、そのフラップ52と側板43の間に、差込片51の差込口53が設けられている。また、側板43とフラップ52には、側板43の内部から差込口53を横切ってフラップ52の内部に至る切目線54が設けられており、その切目線54に沿って差込片55が切り起こされるようになっている。蓋板50と差込片51の間には、差込片55の差込口56が設けられている。
【0021】
側板42の上縁には、内側板57、第1重合板58、第2重合板59が順に連設されており、内側板57、第1重合板58、第2重合板59には、内側板57の内部から第1重合板58を横切って第2重合板59の内部に至る2本のスリット60,60が形成されている。
【0022】
側板44の上縁には、内側板61が連設され、内側板61には、一対の水平板62,62と、その各水平板62と第1折目線64を介して区画された仕切板63,63とが連設されている。内側板61には、第1折目線64が内側板61に至る位置を起点として仕切板63側へ斜めに延びる第2折目線65が形成され、さらに、第2折目線65の先端から仕切板63の外周に至る切目線66が形成されている。
【0023】
このブランクは、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、第1実施形態と同様、図8に示すように、側板41,42,43,44を筒状に折り曲げて、前後一対の側板41,43と左右一対の側板42,44とからなる周壁67を形成し、側板44の内面に継ぎ代45を接着する。また、底片46,47,48,49を組み立てて、周壁67の下部開口を塞ぐ底板68を形成する。
【0024】
次に、底板68に下段の被包装物(図示せず)を載置し、側板44の上縁に連設された内側板61を、図9に示すように、側板44の上縁に沿って内側に折り返す。続いて、その内側板61の下縁に連設された各水平板62を、内側板61の下縁に沿って水平に折るとともに、内側板61の下縁に連設された各仕切板63を、内側板61の下縁から延びる第1折目線64に沿って上向きに折り曲げる。このとき、第1折目線64が内側板61の下縁に至る位置を起点とする第2折目線65に沿って、各内側板61の第2折目線65よりも仕切板63側の部分61Aが折り返され、その折り返された部分61Aで、各仕切板63が上向きに保持される。
【0025】
さらに、側板42の上縁に連設された内側板57を、図10に示すように、側板42の上縁に沿って内側に折り返し、その内側板57の下縁に連設された第1重合板58を水平板62に重ね合わせるとともに、第1重合板58の先端に連設された第2重合板59を内側板61に重ね合わせる。このとき、仕切板63,63をスリット60,60に通過させて、第1重合板58の上側に突出させる。次に、第1重合板58に上段の被包装物(図示せず)を載置する。このとき、仕切板63は、水平板62上での被包装物の移動を規制し、上段の被包装物を固定する。
【0026】
その後、側板41の上縁に連設された蓋板50を、側板41の上縁に沿って折り曲げて、蓋板50の先端に連設された差込片51を差込口53に差し込み、さらに、側板43から延出する差込片55を差込口56に差し込む。
【0027】
この包装箱は、第1実施形態と同様、上段の被包装物と下段の被包装物の間に介在する水平板62が内側板61に連設されており、また、上段の被収容物を固定する仕切板63も内側板61に連設されている。そのため、上段の被包装物と下段の被包装物の間に介在する部材や、上段の被収容物を固定する部材を、包装箱と別個に用意する必要がない。
【0028】
また、この包装箱は、仕切板63を第1折目線64に沿って上向きに折り曲げたときに、その折り曲げに伴って自動的に折り返された部分61Aで、仕切板63が上向きに保持される。そのため、この包装箱は、組み立ての作業効率がよい。
【0029】
また、この包装箱は、ワンタッチケース用のグルアで糊貼りを行なうことが可能である。
【0030】
上記各実施形態の包装箱は、段ボールで形成してもよく、板紙で形成してもよい。
【0031】
また、上記各実施形態では、前後一対の側板と左右一対の側板とで四角形状の周壁を形成しているが、この発明は、6枚の側板を六角形状に配置して周壁を形成した包装箱など、他の形状の周壁の包装箱にも適用することができる。
【0032】
また、上記各実施形態では、周壁の上部開口を蓋板で塞いでいるが、この発明は、周壁の上部開口を塞ぐ蓋板がないトレー形状の包装箱にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の第1実施形態の包装箱のブランクを示す平面図
【図2】図1に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【図3】図1に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【図4】図1に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【図5】図1に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【図6】図5に示す包装箱の蓋を閉じた状態を示す断面図
【図7】この発明の第2実施形態の包装箱のブランクを示す平面図
【図8】図7に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【図9】図7に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【図10】図7に示すブランクの組み立て過程を示す斜視図
【符号の説明】
【0034】
1,2,3,4 側板
15 内側板
15A 内側板の第2折目線よりも仕切板側の部分
16 水平板
17 仕切板
18 第1折目線
19 第2折目線
22 内側板
22A 内側板の第2折目線よりも仕切板側の部分
23 水平板
24 仕切板
25 第1折目線
26 第2折目線
29 周壁
30 底板
31,32 被包装物
41,42,43,44 側板
61 内側板
61A 内側板の第2折目線よりも仕切板側の部分
62 水平板
63 仕切板
64 第1折目線
65 第2折目線
67 周壁
68 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側板(1,2,3,4)からなる周壁(29)と、その周壁(29)の下部開口を塞ぐ底板(30)とを有し、少なくとも1つの前記側板(4)の上縁に連設した内側板(22)を側板(4)の上縁に沿って内側に折り返し、その内側板(22)の下縁に連設した水平板(23)を介して上下段に被包装物(32,31)を収容可能とし、前記内側板(22)の下縁から延びる第1折目線(25)を介して前記水平板(23)と区画された仕切板(24)を前記内側板(22)の下縁に連設し、前記第1折目線(25)が内側板(22)の下縁に至る位置を起点として仕切板(24)側へ斜めに延びる第2折目線(26)を前記内側板(22)に設け、前記仕切板(24)を第1折目線(25)に沿って上向きに折り曲げるとともに、前記内側板(22)の第2折目線(26)よりも仕切板(24)側の部分(22A)を第2折目線(26)に沿って折り返し、その折り返した部分(22A)で上向きに保持した前記仕切板(24)で上段の被包装物(32)を固定するようにした包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−23713(P2009−23713A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190837(P2007−190837)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】