説明

包装袋の封止装置

【課題】簡単な構成で大量の被包装物を収容した包装袋内を脱気して開口部を封止する。
【解決手段】保護ケース5内に収容された包装袋5内に被包装物7を投入したのち封止装置8の吸引装置8で包装袋6内の空気を吸引して排出するとともにこの包装袋6内の空気の吸引により包装袋6の先端部を吸引変形させて吸気筒15内に導入して熱溶着手段18で熱溶着して包装袋6内の空気排出と包装袋6の熱溶着を容易に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば多量の各種食品等の被包装物を収容した包装袋内を脱気して開放口を封止する包装袋の封止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品等の輸送や保管の際の保護と取扱いの便のために、合成樹脂フイルムからなる包装袋に収容して封止している。この食品等を収容した包装袋の開口部の封止方法が特許文献1や特許文献2、特許文献3等に開示されている。
【0003】
特許文献1に示された包装袋の封止方法は、食品を入れた包装袋を、開口部を上にして保護ケースで保持してコンベヤで搬送しながら、開口部端部の前面中央部と後面中央部を順次内側に折り込み、折り込まれた開口部端部を重ね合わせて溶着している。また、特許文献2に示された包装袋の封止方法は、包装袋における開口部寄りの相対する側面部をガセット折りした後、開口部を加熱シールしている。
【0004】
さらに、特許文献3に示された包装袋の封止方法は、被包装物を収容した包装袋の開口部にノズルを挿入して袋内を脱気した後、ノズルを引き出して開口部をシールしている。
【特許文献1】特開2000−255504号公報
【特許文献2】特開2000−255505号公報
【特許文献3】特開2007−216997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に示すように、被包装物を収納した包装袋の開口部端部を折り込んでから開口部端部を加熱シールしていると、封止装置の構造が複雑になるとともに、封止した包装袋内に空気も含まれ、輸送や保管の際の取扱が不便になってしまうという短所がある。
【0006】
この短所は、特許文献3に示すように、被包装物を収容した包装袋の開口部を封止する前に、包装袋内を脱気すれば解消するが、包装袋内を脱気するために包装袋の開口部にノズルを挿入し、脱気した後にノズルを取り出すときに包装袋に開口部から空気が入り込むことを防ぐ必要であり、封止装置が複雑になってしまう。
【0007】
この発明は、このような短所を改善し、簡単な構成で大量の被包装物を収容した包装袋内を脱気して開口部を封止することができる包装袋の封止装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の包装袋の封止装置は、吸引装置と、該吸引装置内に設けられたシール機構部を有し、前記吸引装置は、下面外周部で保護ケース内に挿入されて被包装物を投入した包装袋の先端開口部をシールするガイド部と、断面が長方形の筒状に形成され、両側面の中間部に対向した長方形のガイド孔を有する吸気筒を有し、保護ケース内に挿入されて被包装物を投入した包装袋の上から下降させて前記吸気筒内の吸気により包装袋内の空気を吸引して包装袋の先端部を前記吸気筒内に入り込ませ、前記シール機構部は、前記ガイド部の吸気筒を挟んだ両側で、前記吸気筒の両側面に形成されたガイド孔に対向して配置された一対の熱溶着手段を有し、該一対の熱溶着手段の先端部で前記吸気筒に入り込んだ包装袋を熱溶着することを特徴とする。前記熱溶着手段を駆動する一対の駆動手段を、前記ガイド部の吸気筒を挟んだ両側に配置することが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、被包装物を投入した包装袋の開放端をシールするとき包装袋内の空気を吸引して排出するとともに包装袋内の空気の吸引により包装袋の先端部を吸引装置の吸気筒内に導入して熱溶着することにより、包装袋内の空気の排出と包装袋の熱溶着を容易に行うことができる。
【0010】
また、包装袋の熱溶着の前に被包装物を投入した包装袋内の空気を排出するから、被包装物を内蔵する包装袋の容積を小さくして輸送や保管の際の取扱いを容易にすることができる。
【0011】
さらに、吸気筒内を吸気して包装袋の先端部を吸気筒内に導入して熱溶着するから、包装袋の熱溶着する部分が折り曲がって重なることを防いで包装袋を確実に熱溶着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1はこの発明の大量の被包装物を包装袋に収納して封止する包装装置の構成図である。図に示すように、包装装置1は、コンベヤ2に沿って設けられた投入部3と封止部4を有する。投入部3は、例えばポリエチレン等の合成樹脂フイルムで形成され、開放端を保護ケース5から引き出して保護ケース5内に挿入した包装袋6内に被包装物7を投入する。封止部4は、封止装置8とフレーム9上に搭載された昇降装置10を有する。
【0013】
封止装置8は、図2(a)の正面図と(b)の側面図に示すように、吸引装置11と吸引装置11内に設けられたシール機構部12を有する。吸引装置11は、上端部に開口部13を有する四角筒状に形成され、下面中央部に長方形状の開口を有し、下面外周部が円弧状に形成されたガイド部14と、断面が長方形の筒状に形成され、下端部が円弧状に大きく開いた吸気口15aを有し、この下端部がガイド部14の下面中央部の開口に一体に連結されてガイド部14の下面中央部の開口を封止し、上端部をガイド部14から所定長さだけ突出した吸気筒15及びガイド部14の上端開口部13を封止するカバー16とを有する。
【0014】
シール機構部12は、図3の封止装置8の断面図に示すように、例えばシリンダからなる一対の駆動手段17と各駆動手段17に連結された熱溶着手段18を有する。一対の駆動手段17はカバー16に固定され、駆動手段17と熱溶着手段18はガイド部14の吸気筒15を挟んだ両側にそれぞれ配置されている。この熱圧着手段18の先端部に相当する吸気筒15の両側面の位置には、図2(a)のA−A断面図である図4に示すように、熱溶着手段18の先端部を通す長方形の熱溶着手段ガイド孔19を有する。
【0015】
昇降装置10は、例えば駆動モータ20と、ラックとピニオンからなる駆動伝達機構21とを有し、封止装置8を上下方向に移動する。この駆動装置10に連結された封止装置8の吸気筒15は吸気ホース22を介して不図示の吸気装置に接続されている。
【0016】
この封止装置8で保護ケース5内に挿入されて被包装物7を投入した包装袋6の開放端をシールするときの動作を図5の動作工程図を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、シール機構部12の駆動手段17で熱溶着手段18を後退させて熱溶着手段18の先端部を吸気筒15から退避させた封止装置8を昇降装置10により上昇端まで上昇した状態で、保護ケース5内に挿入されて被包装物7を投入した包装袋6がコンベヤ2により投入部3から封止部4に送られると、昇降装置10により封止装置8を下降させる。封止装置8を所定距離だけ下降したとき不図示の吸気装置を駆動して吸引装置11の吸気筒15内の吸気を開始し、さらに封止装置8を下降する。この封止装置8の下降により、図5(a)に示すように、吸引装置11のガイド部14の下端部が包装袋6の開放端に達すると、吸気筒15内の吸気により包装袋6内の空気が吸引されて包装袋6の先端部が内側に吸引変形し、包装袋6内の空気の吸引が進むにしたがって包装袋6の開放端はガイド部14の下端部に沿って吸気筒15側に移動する。
【0018】
この吸気筒15内を吸気した状態で封止装置8をさらに下降すると、図5(b)に示すように、包装袋6の開放端が吸気筒15内に入り込みながら包装袋6の空気を排気する。さらに封止装置8を下降して、図5(c)に示すように、あらかじめ設定された下降端に達すると、シール機構部12の駆動手段17を駆動して熱溶着手段18を前進させ、一対の熱溶着手段18の先端部で包装袋6の先端部の被包装物7に近い部分を熱溶着する。
【0019】
包装袋6を熱溶着した後、吸気筒15内の吸気を停止し、駆動手段17で熱溶着手段18を後退させて熱溶着手段18の先端部を吸気筒15から退避させた後、昇降装置10で封止装置8を上昇させ、封止装置8が上昇端に達したら、先端部を熱溶着した包装袋6を有する保護ケース5をコンベヤ2により封止部4から排出して次の包装袋6のシール動作を行う。
【0020】
このように封止装置8で被包装物7を投入した包装袋6内の空気を吸引して排出するとともにこの包装袋6内の空気の吸引により包装袋6の先端部を吸引変形させて吸気筒15内に導入して熱溶着するから、包装袋6内の空気排出と包装袋6の熱溶着を容易に行うことができる。
【0021】
また、包装袋6の熱溶着の前に被包装物7を投入した包装袋6内の空気を排出するから、被包装物7を内蔵する包装袋6の容積を小さくすることができ、輸送や保管の際の取扱いを容易にすることができる。
【0022】
さらに、吸気筒15内を吸気して包装袋6の先端部を吸気筒15内に導入して熱溶着するから、包装袋6の熱溶着する部分が折り曲がって重なることを防いで包装袋6を確実に熱溶着することができる。
【0023】
前記説明では、吸引装置11のガイド部14を四角筒状に形成し、下面を円弧状に形成した場合について説明したが、ガイド部14を円筒状や多角形の筒状に形成したり、下面を笠状等の形状に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の包装装置の構成図である。
【図2】封止装置を示す外観図である。
【図3】封止装置の構成を示す断面図である。
【図4】封止装置の吸気筒の熱溶着手段ガイド孔を示す断面図である。
【図5】封止装置の動作を示す動作工程図である。
【符号の説明】
【0025】
1;包装装置、2;コンベヤ、3;投入部、4;封止部、5;保護ケース、
6;包装袋、7;被包装物、8;封止装置、9;フレーム、10;昇降装置、
11;吸引装置、12;シール機構部、13;開口部、14;ガイド部、
15;吸気筒、16;カバー、17;駆動手段、18;熱溶着手段、
19;熱溶着手段ガイド孔、20;駆動モータ、21;駆動伝達機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置と、該吸引装置内に設けられたシール機構部を有し、
前記吸引装置は、下面外周部で保護ケース内に挿入されて被包装物を投入した包装袋の先端開口部をシールするガイド部と、断面が長方形の筒状に形成され、両側面の中間部に対向した長方形のガイド孔を有する吸気筒を有し、保護ケース内に挿入されて被包装物を投入した包装袋の上から下降させて前記吸気筒内の吸気により包装袋内の空気を吸引して包装袋の先端部を前記吸気筒内に入り込ませ、
前記シール機構部は、前記ガイド部の吸気筒を挟んだ両側で、前記吸気筒の両側面に形成されたガイド孔に対向して配置された一対の熱溶着手段を有し、該一対の熱溶着手段の先端部で前記吸気筒に入り込んだ包装袋を熱溶着することを特徴とする包装袋の封止装置。
【請求項2】
前記熱溶着手段を駆動する一対の駆動手段を、前記ガイド部の吸気筒を挟んだ両側に配置した請求項1記載の包装袋の封止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−286485(P2009−286485A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144025(P2008−144025)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(508164057)大誠産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】