説明

化合物A−348441の改善された結晶形態

2θ=6.58±0.2、8.54+0.2、12.28±0.2、および19.68±0.2において主ピークを有するX線回折パターンを特徴とする、結晶形態での(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸の半水和物を提供する。この結晶材料は、肝臓の糖質コルチコイド応答過剰に関係する状態の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された結晶材料、および肝臓の糖質コルチコイド応答過剰に関係する状態の治療における、その使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2004/000869は、肝臓選択的糖質コルチコイド受容体アンタゴニストである、新規化合物に関する。実施例1では、(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸(その実施例では、(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[11β,17α,)−17−ヒドロキシ−3−オキソ−17−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸と呼ばれている)の合成が記載されている。この化合物を、以下化合物Iと呼び、式、
【0003】
【化1】

を有する。残念ながら、化合物Iの合成は、かなり困難である。WO2004/000869の実施例1Jの方法は、アモルファス材料をもたらし、実施例1Sの方法は、吸湿性であまり安定ではない結晶形態をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化合物Iは、他の形態の同じ化合物と比較して、特定の改善された特性を有する、新規の結晶形態を有する半水和物の形態で合成できることが、現在では見出されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、2θ=6.58±0.2、8.54±0.2、12.28±0.2、および19.68±0.2において主ピークを有するX線回折パターンを特徴とする、結晶形態での(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸(化合物I)の半水和物を提供する。有意であるが、それほど顕著ではない他のピークが、10.34±0.2、15.10±0.2および15.46±0.2に見つかる場合がある。典型的な、全X線回折パターンを図1に示す。表1は、20%より大きな強度を有するピークを示す。
【0006】
【表1】

【0007】
本発明の新規結晶材料を特徴づける、追加の方法は、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムによるものである。通常、この材料は、71±6℃での極大(および51±6℃の外挿開始点)を伴う吸熱、および204±6℃でのさらに顕著な極大(および195±6℃の外挿開始点)を伴う吸熱の、2つの吸熱を示すDSCサーモグラムを有する。2つの典型的なDSCトレースを、図2および3に示す。
【0008】
当然ながら、任意のXRDまたはDSCパターンの正確な詳細は、いくつかの要因、例えば用いた装置および材料の純度に依存するだろう。
【0009】
本発明の新規結晶材料を、この明細書全体を通して形態1と呼ぶこととする。
【0010】
形態1は、存在する化合物Iの少なくとも90%、特に少なくとも95%、最も好ましくは実質的にすべてが形態1である純度水準で、本発明によって提供されることが好ましい。
【0011】
化合物I自体は、WO2004/000869の実施例1に記載されているように、または以下に説明する方法によって合成することができる。次いで、形態1と異なる物理的構造を有する、得られた化合物Iは、化合物I(形態1ではない)を適当な溶媒、例えばニトロメタン中に溶解させることを含む方法によって、形態1に変換することができる。したがって、本発明は、化合物Iを、ニトロメタンを含む溶媒中に溶解させること、溶媒を蒸発させること、および得られた形態1の結晶を回収することを含む、形態1の化合物Iを調製する方法も提供する。最大収量は、ニトロメタンを徐々に蒸発させる場合に得られる。一度形態1の結晶が得られると、化合物Iの適当な溶媒溶液を調製し、形態1の結晶を含む得られた溶液をシーディングし、次いでシーディング後に形態1が得られる条件で、さらなる溶媒を加えることによって再結晶を生じさせることによって、さらなる形態1を得ることができる。
【0012】
この状況における適当な溶媒として、極性溶媒、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノール、またはその混合物、例えばメタノール/エタノール混合物などのアルコール、およびケトン、例えばアセトンが挙げられ、水を加えることによって、この溶媒から、形態1を再結晶することができる。
【0013】
形態1と対照的に、形態2と呼ばれ、WO2004/000869の実施例1Sで調製された無水和物である、別の結晶形態は、2θ=6.28±0.2、12.60±0.2、14.90±0.2、16.08±0.2、および17.72±0.2における、追加の有意であるが、より低強度のピークとともに、12.00±0.2、13.60±0.2、および15.34±0.2においてX線回折主ピークを有する。形態2の典型的な全X線回折パターンを図3に示す。表2は、20%より大きな強度を有するピークを一覧にしている。
【0014】
【表2】

【0015】
通常、形態2は、166±6℃での極大(および157±6℃の外挿開始点)を伴う1つの発熱を示すDSCサーモグラムを有する。形態2の典型的なDSCトレースを、図5に示す。アモルファスの化合物Iは、157±6℃での極大(および149±6℃の外挿開始点)を伴う1つの発熱を示すDSCサーモグラムを有する。アモルファスの化合物Iの典型的なDSCトレースを、図6に示す。
【0016】
形態1は、いくつかの有利な特性を有することが判明しており、特に、比較的高い融点および低い溶解性を有し、それによって溶液調合物における望ましくない沈殿を回避している。重要なことに、これは、WO2004/000869の実施例1Sの既知の結晶形態およびアモルファス形態とも比較して、改善された安定性および低い吸湿性を有する。
【0017】
本発明は、医薬として許容可能な担体とともに、形態1を含む医薬組成物も提供する。この医薬組成物は、例えば、ヒトまたは他の哺乳動物用に製剤化し、経口的、直腸内、非経口的、槽内、膣内、腹腔内、局所的(粉末、軟膏、または液滴による)、口腔内に、または経口もしくは経鼻噴霧として、ヒトまたは他の哺乳動物に投与することができる。固体もしくは液体形態での経口投与用、注射剤用、または直腸投与用に製剤化することが好ましい。医薬組成物の適当な形態および投与方法には、WO2004/000869に記載されているものが含まれる。
【0018】
本発明による医薬組成物は、1種または複数種の他の治療剤も含むことができる。併用療法に用いるのに適した化合物は、WO2004/000869に列挙されている。
【0019】
本発明の結晶材料は、肝臓の糖質コルチコイド受容体の効果をアンタゴナイズすることによって、哺乳動物での肝臓の糖質コルチコイド応答過剰に関係する状態を治療するために用いることができる。このような状態として、糖尿病(特にII型糖尿病)、高血糖、高インスリン血症、不適切なグルコースクリアランス、肥満症、シンドロームX、高脂血症、糖尿病性高血圧または肝臓の糖質コルチコイドレベルの上昇が挙げられる。糖尿病、肥満症またはシンドロームXの治療に特に有用である。したがって、本発明は、治療に用いるための本発明の結晶材料、またはそれを含有する医薬組成物、哺乳動物での肝臓の糖質コルチコイド応答過剰に関係する状態を治療するための薬剤の製造における、そのような結晶材料または組成物の使用、および治療上有効な量の、本発明による結晶材料またはそれを含有する医薬組成物を、哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物での糖質コルチコイド受容体の効果を選択的にアンタゴナイズする方法も提供する。
【0020】
任意の個々の場合において必要とされる用量レベルは、投与経路および治療中の状態の重症度を含めて、様々な要因に依存するだろう。一般に、1日当たり、体重1キログラム当たり、約0.1から50、さらに好ましくは約1から約10mgの化合物Iの用量レベルで、好ましくは経口的に患者に投与される。必要に応じて、有効日用量は、投与の目的で複数用量、例えば1日当たり2から4回の別々の用量に分割することができる。
【0021】
添付の図面を参照して本発明を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下の実施例は、本発明を例示する。2kWの標準焦点X線管およびペルチェ冷却ゲルマニウム固体検出器を装備し、X線管および検出器の両方に中分解能のソーラースリットを有する、θ/θ回折計(XDS2000型、Scintag Inc.、Sunnyvale、CA)を用いて、粉末X線回折を行った。線源は、40〜45kVおよび30〜40mAで動作する銅フィラメントX線管であった。コランダム標準を分析することによって、装置のアラインメントを検査した。この装置は、DMSNTソフトウェア(Scintag Inc.、Sunnyvale、CA)を用いてコンピュータ制御した。データ解析には、MDI Jade 7 XRD Pattern Processiong Software(バージョン7.0.8、Materials Data Inc.、Livermore、CA)を用いた。形態1および2の典型的なXRDを、図1および4に示し、形態1および2、およびアモルファス材料の典型的なDSCトレースを、図3、5および6に示す。
【0023】
実施例1(比較):結晶形態2およびアモルファス形態の化合物Iの調製
A.結晶形態2
A.1 方法1
【化2】

【0024】
WO2004/000869に記載されたように調製した、化合物Iのメチルエステルである、上記に示した化合物10(17.28gms、20.0mmol、91%の化学的効力、したがって15.72グラム、18.2mmol)を、オーバーヘッドメカニカルスターラー、熱電対、および静的Nバブラーを装備した500mlの三口丸底フラスコ中に装入した。反応容器を、Nで3回徐々に真空パージした。次いで、EtOH(173mL)を加えることによって、最終生成物前物質を溶解させた。この溶液を、Nで3回真空パージし、反応過程の間中、静的Nバブラー下に維持した。得られた溶液を+5℃に冷却し、内部温度<7℃に維持する速度で、3N KOH(33.3mL)で処理した。この反応物を、HPLCで判断して、10およびそのエチルエステル類似体の合計の残りが<0.6%になるまで、+5℃で撹拌させた。この反応混合物を、内部温度<10℃に維持しながら、3N HCl(33.3mL、100mmol)によって中和した(最終pHは、0.2mLの3N KOHで4.63から4.87に調節した)。反応混合物は、3N HClの添加後、2〜3分後に結晶化した。この反応混合物を周囲温度に加温させた。
【0025】
偏光顕微鏡法では板状結晶を示し、これはXRDによって形態2であることが示された。
【0026】
A.2 方法2
20℃で、上記に示した化合物10(1.85kg)をエタノール(14.8L)中に溶解させた。この溶液を、カートリッジフィルターを通して濾過し、エタノール(3.7L)で洗浄した。この溶液を5℃に冷却し、水酸化カリウム(0.69kg)を脱塩水(3.4L)中に溶解させることによって調製した水酸化カリウム水溶液を加えた。得られた混合物を、5℃で24時間撹拌した。
【0027】
33%塩酸水溶液(1.20kg)を脱塩水(2.6L)で希釈することによって調製した塩酸水溶液を加えることによって、pHを4.7に調節した。この混合物を、30分間撹拌し、pHを確認し、混合物を20℃に加熱し、化合物Iの結晶(2g)を加えた。この懸濁液を40℃に加熱し、この温度で3時間撹拌した。この懸濁液を20℃に冷却し、17時間撹拌した。生成物を濾過し、脱塩水(1.2L)とエタノール(1.2L)の混合物で洗浄し、水(7×2.2L)で洗浄し、脱塩水(0.6L)とエタノール(0.6L)の混合物で洗浄した。湿ったケーキを、Tjacket=50℃で20時間乾燥させた。形態2の収率は、約64%(1.17kg)であった。
【0028】
B.アモルファス形態
上記に示した化合物10をTHF(5.2g/g(10))に溶解させた。この溶液を、10℃に冷却し、1N LiOH(3当量)で処理した。得られたスラリーを、1時間にわたって25℃に加温させ、HPLC分析によって10が0.5%未満になるのが観察されるまで撹拌した(6時間)。この反応混合物を、MTBE(9.3g/g(10))で希釈し、1MのHPO(1当量/当量(LiOH))で中和した。この混合物を、分液漏斗中に注ぎ、底部の水層を除去した。上部の有機層を、10%NaCl(12.2g/g(10))で2回洗浄した。次いでこの上部の有機層を、0.5N NaOH(5.23g/g(10)、次いで0.6g/g(10))で抽出した。生成物を含有する水層を混合し、水(17g/g(10))で希釈し、撹拌しながら真空にかけることによって、混合物の重量が、約26g/g(10)になるまで全量の残留有機溶媒を除去した(1時間)。激しく撹拌しながら、得られた濃厚懸濁液のpHを、1.00MのHClを徐々に加えることによって5に調節した。得られたゲル状固体を、濾紙(Whatman 1)を通して濾過し、水(1.2g/g(10))で2回洗浄した。生成物を、乾燥用トレーに移し、Nブリードとともに真空オーブン内で、Karl Fischer測定器で測定して含水量が<5wt%になるまで65℃で乾燥させた(72時間)。最終生成物であるアモルファスの化合物Iは、89%の効力調整収率に対して、効力100.6%で149.65gの重量であった。
【0029】
実施例2:形態1の調製
4mLのバイアル中に、100mgのアモルファスの化合物Iを入れ、1.0mLのニトロメタンを加えた。このバイアルを、1分間60℃に加熱し、約5分にわたって室温に冷却した。固体を濾別し、1mLのニトロメタンで4回洗浄した。濾液は、静置させ、周囲温度で7日にわたって徐々に蒸発させた(約2.5mL除かれた。(〜2X濃縮)。微細針状晶が、フラスコの側部に観察された。一部の針状晶をこすり取り、XRDおよびDSCによって形態1と見なした。
【0030】
実施例3:シーディングによる形態1の調製
上記実施例1Aで調製した形態2の結晶材料(1.14kg)を、イソプロパノールで変性させたエタノール(5.7L)に加えた。この懸濁液を、20℃で撹拌し、少量の上記実施例2で調製した形態1(1g)を加えた。この懸濁液を、1時間撹拌し、脱塩水を1時間にわたって加え、懸濁液を2時間撹拌した。
【0031】
黄色の懸濁液は、クリーム色の懸濁液に変化した。生成物を濾過し、脱塩水(1.0L)とイソプロパノールで変性させたエタノール(1.5L)の混合物で洗浄した。湿ったケーキを、Tjacket=50℃で63時間乾燥させた。収率≒92.1%(1.05kg)。形態1を、HPLCで測定した98.1%の純度で、半水和物の形態で得た。
【0032】
実施例4:シーディングによる形態1の別の調製
熱電対、オーバーヘッドメカニカルスターラーアセンブリー、および静的Nバブラーを装備した250mlの三口丸底フラスコ内で、上記実施例1Aで調製した形態2の化合物Iの結晶(12.0g)を、エタノール(60mL)中でスラリーにした。形態1の結晶(10mg)をフラスコに加え、1時間撹拌した。水(40mL)を1時間にわたって徐々に加え、次いでこのフラスコを周囲温度で2時間撹拌した。得られたスラリーは、偏光顕微鏡法およびNMRにより、形態1の化合物Iの微細結晶であることが示された。
【0033】
このスラリーを濾過し、60/40のエタノール/水で3回(毎回15mL)洗浄し、得られた湿ったケーキを、Nでパージしながら50℃で10日間乾燥させた。単離したオフホワイトの結晶固体の重量は、10.92gであった。(91%の回収率、100%の定められた化学的効力で、標準試料に対して調整した98.3%の純度。
【0034】
実施例5:シーディングによる形態1の別の調製
A.形態1の調製。形態2の化合物Iの結晶(3.00kg)を、イソプロパノールで変性させたエタノール(15.0L)に加え、この混合物を、溶解するまで78℃に加熱した。この溶液を、40℃に冷却し、形態1(3g)をシーディングして、結晶化を行った。この懸濁液を1時間で20℃に冷却し、20℃で1時間撹拌した。脱塩水(10.0L)を、1時間で加え、この懸濁液を2時間撹拌した。生成物を、遠心分離し、脱塩水(2.6L)とイソプロパノールで変性させたエタノール(3.9L)の混合物で洗浄した。湿ったケーキを、Tjacket=50℃で16時間乾燥させた。形態1の収率:≒87%(2.63kg)。
【0035】
B.形態1の再結晶。上述したように調製した形態1の結晶(2.62kg)を、イソプロパノールで変性させたエタノール(11.8L)に加え、この混合物を、溶解するまで78℃に加熱した。この溶液を、カートリッジフィルターで濾過し、フィルターを、イソプロパノールで変性させたエタノール(1.3L)ですすいだ。この溶液を40℃に冷却し、形態1の結晶(2g)をシーディングして、結晶化を行った。この懸濁液を1時間で20℃に冷却し、20℃で1時間撹拌した。脱塩水(8.7L)を、1時間にわたって加え、この懸濁液を17時間撹拌した。生成物を、遠心分離し、脱塩水(2.3L)とイソプロパノールで変性させたエタノール(3.4L)の混合物で洗浄した。湿ったケーキを、Tjacket=50℃で24時間乾燥させた。収率≒95%(2.48kg)。
【0036】
実施例6:安定性研究
化合物Iの3つの試料を、小さな段ボール箱中の2重のポリエチレン袋内に別々に梱包し、これを加速条件下(40℃/75%の残留湿度)の安定チャンバ内に保管した。試料1は、10gの結晶形態1であり、試料2は、上記実施例1Bに説明したように調製した2gのアモルファス生成物であり、試料3は、上記実施例1Aに説明したように作製した2gの結晶形態2であった。
【0037】
試料に対して、不純物プロファイル、水分含量、および結晶形態を測定し、次いで、試料1について約3カ月後、ならびに試料2および3について2カ月後に再び測定した。
【0038】
不純物プロファイルは、HPLCによって測定した。試料1の全体的な純度は、3カ月後に変化しなかったが、不純物プロファイルは、わずかに変化した。試料2の全体的な純度は、わずかに減少した(97.3%の代わりに96.7)。試料3については、この現象は、より明らかであり、純度は、93.2から90.7%に著しく減少した。
【0039】
カールフィッシャー分析を用いて、水分含量を測定した。試料1は、わずかな水の取り込みを示し、試料2は、著しい増加(5%の水分、最初の無水生成物から)を示した。試料3は、中間的な性質を示した。
【0040】
得られた示差走査熱量測定サーモグラムによると、試料1は、3カ月の試験期間にわたって、結晶形態の変化を示さなかった。
【0041】
これらの実験は、形態1の化合物Iが、他の形態の化合物Iよりも、加速条件下で安定であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】形態1のXRDである。
【図2】形態1の示差走査熱量測定トレースである。
【図3】形態1の示差走査熱量測定トレースである。
【図4】形態2のXRDである。
【図5】形態2の示差走査熱量測定トレースである。
【図6】アモルファスの化合物Iの示差走査熱量測定トレースである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2θ=6.58±0.2、8.54±0.2、12.28±0.2、および19.68±0.2において主ピークを有するX線回折パターンを特徴とする、結晶形態での(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸の半水和物。
【請求項2】
10.34±0.2および15.10±0.2および15.46±0.2において有意なピークをさらに有するX線回折パターンを特徴とする、請求項1に記載の結晶材料。
【請求項3】
実質的に以下の主ピークを含むX線回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の結晶材料。

【請求項4】
71±6℃での極大を伴う吸熱および204±6℃での極大を伴う吸熱の、2つの吸熱を示す示差走査熱量測定トレースを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶材料。
【請求項5】
存在する(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸の、少なくとも90%、特に少なくとも95%、最も好ましくは実質的にすべてが、必要とする結晶形態である純度水準を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶材料。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料を調製する方法であって、(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸を、ニトロメタンを含む溶媒中に溶解させること、溶媒を蒸発させること、および得られる結晶を回収することを含む方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料を調製する方法であって、(3β,5β,7α,12α)−7,12−ジヒドロキシ−3−{2−[{4−[17β−ヒドロキシ−3−オキソ−17α−プロプ−1−イニルエストラ−4,9−ジエン−11β−イル]フェニル}(メチル)アミノ]エトキシ}コラン−24−酸の、適当な溶媒溶液を調製すること、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶材料で、得られた溶液をシーディングすること、および次いでシーディング後に必要とする結晶材料が得られる条件で、さらなる溶媒を加えることによって再結晶を生じさせることを含む方法。
【請求項8】
前記溶媒が、アルコールあるいはケトンあるいは1種または複数種のアルコールおよび/またはケトンの混合物であり、前記必要とする結晶材料が、水を加えることによって再結晶される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
医薬として許容可能な担体とともに、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料を含む医薬組成物。
【請求項10】
治療方法に用いるための、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料、または請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
糖尿病、高血糖、高インスリン血症、不適切なグルコースクリアランス、肥満症、シンドロームX、高脂血症、糖尿病性高血圧、または肝臓の糖質コルチコイドレベルの上昇の治療に用いるための、請求項10に記載の結晶材料または組成物。
【請求項12】
糖尿病、肥満症またはシンドロームXの治療に用いるための、請求項11に記載の結晶材料または組成物。
【請求項13】
哺乳動物での肝臓の糖質コルチコイド応答過剰に関係する状態を治療するための薬剤の製造における、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料または請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記状態が、糖尿病、高血糖、高インスリン血症、不適切なグルコースクリアランス、肥満症、シンドロームX、高脂血症、糖尿病性高血圧、または肝臓の糖質コルチコイドレベルの上昇である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
哺乳動物での糖質コルチコイド受容体の効果を選択的にアンタゴナイズする方法であって、治療上有効な量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料、または請求項9に記載の組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項16】
糖尿病、高血糖、高インスリン血症、不適切なグルコースクリアランス、肥満症、シンドロームX、高脂血症、糖尿病性高血圧、または肝臓の糖質コルチコイドレベルの上昇に対して、哺乳動物を治療する方法であって、治療上有効な量の、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶材料、または請求項9に記載の組成物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−501175(P2009−501175A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520790(P2008−520790)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006811
【国際公開番号】WO2007/006561
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(500561610)カロ バイオ アクチェブラーグ (17)
【Fターム(参考)】