説明

化学装置

本発明によれば、化学装置が提供される。本発明の化学装置は、ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームをもたらすための第1のユニット、及びアニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームをもたらすための少なくとも第2のユニット、を含む。本発明の化学装置は、アニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置を含み、そしてさらに、水性ストリームからアニリンをストリッピングするためのストリッピング塔を含む。第1と第2の水性廃棄物ストリームをストリッピング塔に供給し、第1と第2の水性廃棄物ストリームからアニリンとニトロベンゼンをストリッピングし、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンをアニリン清浄装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DADPMを提供するための化学装置、さらに詳細には、ベンゼンをニトロベンゼンに転化させるためのニトロベンゼン製造ユニット、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるためのアニリン製造ユニット、及びアニリンをDADPMに転化させるためのDADPM(ジアミノジフェニルメタン)製造ユニットを含み、必要に応じて、DADPMをMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)に転化させるためのMDIユニットを組み込んで完全なものとなる統合化学装置に関する。本発明はさらに、DADPMを製造するための、そして必要に応じてMDIを製造するための製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
DADPM(MDAとも称する)を提供するための化学装置は当業界に公知である。ジアミノジフェニルメタン(より一般的にはメチレン架橋ポリフェニルポリアミン)は通常、アニリンもしくはアニリン誘導体から、強酸(例えば、塩酸、硫酸、またはリン酸)の溶液の存在下にてそれらとホルムアルデヒドとを反応させることによって製造される。このタイプの合成について説明している文献は、「J.Am.Chem.Soc.57,888,1975」、「Chem.Tech.,November 1984,670」、及び「Kirk Othmer,Vol.II,第3版,338-348」である。アニリンとホルムアルデヒドからのDADPMへの転化に対しては、他の幾つかの触媒(例えば、珪藻土、クレー、またはゼオライト)も使用できることが示されている。
【0003】
アニリンとホルムアルデヒド(一般には、ホルマリンとして供給・使用される)の転化後、DADPMは、該DADPM、アニリン、酸(触媒として使用される)、水、及び供給ストリーム中に不純物として存在するか又は副反応によって得られる他の幾つかの化合物、を含む反応器流出ストリーム中に存在する。一般には塩酸が触媒として使用されるので、そして反応後に塩基(通常は苛性ソーダ)を使用してこの酸が中和されるので、流出ストリームは塩を含むストリームである。
【0004】
DADPMは、流出ストリームから相分離器によって分離される。この第1の相分離器の水性流出物(しばしばブラインと呼ばれる)をアニリンで洗浄して、この水性流出物中にまだ存在している痕跡量のDADPMを除去する。こうして得られるストリームは水性相であり、有機相(アニリンと微量のDADPM)から分離された水とアニリンを含む。水性ストリームまたはブライン中には、アニリンが存在する。この水性ストリームからできるだけ多くのアニリンを除去するために、そして生物学的廃棄物ストリーム処理装置において処理するのに適した水性(必要に応じて塩を含む)ストリームを得るために、ストリッピング塔(しばしばアニリンストリッパー、アミンブラインストリッパー、またはアミン水ストリッパーと呼ばれる)を使用して水性ストリームからアニリンを取り除く。
【0005】
DADPM製造ユニットにおいて使用されるアニリンは通常、バルクケミカルとして供給される。アニリン自体は、DADPM製造ユニットから遠く離れて配置されることが多いアニリン製造ユニットにおいて得られる。ニトロベンゼンからアニリンへの転化も、水とアニリンを含む水性廃棄物ストリームを生成し、このストリームからアニリンを除去して清浄化し、次いでこのストリームを生化学処理ユニットにおいて処理しなければならない。DADPMの製造において使用されるアニリンはニトロベンゼン非含有でなければならないので、アニリン製造ユニットは、得られるアニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置を含むことが多い。粗製アニリンを清浄化するための方法の例が、米国特許出願第2007/020336A1号に開示されている。
【0006】
アニリン製造ユニットにおいて使用されるニトロベンゼンも通常、バルクの薬品として供給される。ニトロベンゼン製造ユニットは、ニトロベンゼンのほかに、ニトロベンゼンが存在する水性廃棄物ストリームを生成する。さらに、この廃棄物ストリームからニトロベンゼンを除去して清浄化し、次いでこの廃棄ストリームを生化学処理ユニットにおいて処理しなければならない。ニトロ化芳香族炭化水素を得るための方法の例がヨーロッパ特許出願第1484312A1号に開示されている。米国特許出願第2005/0224424A1号は、粗製ニトロベンゼンを清浄化するための方法を開示している。
【0007】
全部で3つのユニット(すなわち、ニトロベンゼン製造ユニット、アニリン製造ユニット、及びDADPM製造ユニット、そして必要に応じて、DADPMをMDIに転化させるためのMDI製造ユニットを組み込んで完全なものとなる)が互いに近くに存在すると、処理しようとする全ての廃棄物ストリームを1つの同じ生物学的廃水処理ユニットに送ることによって、幾らかの経済的・技術的メリットを得ることができる、ということは明らかである。生物学的廃水処理ユニットに対する大きなメリット(large scale benefits)が得られ、1つだけのユニットに対して資金を融通し、1つだけのユニットをモニターし、制御し、そして保守すれば済むはずである。
【0008】
しかしながらまだ、水性ストリームを生物学的廃水処理ユニットに送る前に、それぞれ個々の廃棄物ストリームから有機化合物(アニリンであろうとニトロベンゼンであろうと)を除去しなければならない、というデメリットがある。
【0009】
驚くべきことに、有機成分(アニリンであろうとニトロベンゼンであろうと)を除去する前に水性廃棄物ストリームを合流させ、有機化合物を、生物学的処理可能な廃水の1つの水性ストリームを得るに足る仕方にて清浄化し、その間に、アニリン(及び必要に応じてニトロベンゼン)をDADPM製造の製造サイクルに再循環することを可能にするという方法がある、ということが見出された。
【0010】
上記の目的は、本発明の化学装置によって達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第2007/020336A1号
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願第1484312A1号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.57,888,1975
【非特許文献2】Chem.Tech.,November 1984,670
【非特許文献3】Kirk Othmer,Vol.II,第3版,338-348
【発明の概要】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、化学装置が提供される。本発明の化学装置は、ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームを供給するための第1のユニット;及びアニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームを供給するための少なくとも第2のユニット;を含む。
【0014】
本発明の化学装置は、アニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置を含み、そしてさらに、水性ストリームからアニリンを取り除くためのストリッピング塔を含む。第1と第2の水性廃棄物ストリームをストリッピング塔に供給し、第1と第2の水性廃棄物ストリームからアニリンとニトロベンゼンを取り除き、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンをアニリン清浄装置に供給する。
【0015】
幾つかの実施態様によれば、本発明の化学装置において、
第1のユニットは、ベンゼンをニトロベンゼンに転化させるためのニトロベンゼン製造ユニットであってよく、このユニットにより、ニトロベンゼンストリームと、ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームとがもたらされ;
第2のユニットは、ニトロベンゼンストリームからのニトロベンゼンをアニリンに転化させるためのアニリン製造ユニットであってよく、このユニットにより、アニリンストリームと、アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームもしくは第2の水性廃棄物ストリームの第1の一部とがもたらされる。
【0016】
本発明の化学装置はさらに、アニリンストリームからのアニリンをDADPMに転化させるためのDADPM製造ユニットを含んでよく、このユニットにより、アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第2の一部がもたらされる。
【0017】
ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームは、相分離器(得られたニトロベンゼンを一般には酸性水から分離する)の水性流出物であってよい。この水は、プロセスにおいて使用される酸(硫酸や硝酸)と共にニトロベンゼン製造ユニット中に入るか、あるいは転化時に生成される反応水として得られる。第1の水性廃棄物ストリームは、相分離器の水性相であってよく、ニトロベンゼンの製造において使用される酸、水、幾らかのニトロベンゼン(一般には0.5重量%未満、例えば0.3重量%以下)、及び幾らかのニトロフェノールと硝酸塩と亜硝酸塩(いずれもppmレベルにて)を含む。この水性相は、塩基(好ましくは苛性ソーダ)を使用して中和することができる。したがって、水性ストリームは、硫酸や硝酸の塩(必要に応じてナトリウム塩)を含んでよい。
【0018】
第2の水性廃棄物ストリームは、異なるユニット(それぞれのユニットが、第2の水性廃棄物ストリームの一部をもたらす)によってもたらされる。
アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第1の一部は、アニリン反応器の流出物であってよい。ニトロベンゼンと水素が反応して、アニリンと水が形成される。反応器の出口ストリームを冷却し、次いで重力によって相分離させる。したがって、この相分離の水性相は、水(一般には95.95重量%)と幾らかのアニリン(一般には約4.04重量%)を含む。
【0019】
アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第2の一部は、DADPMの製造時に得られる水性ストリームから、一般には水もしくはブラインをアニリンで洗浄した後に、アニリン(有機相としての)を分離する相分離器の水性流出物であってよい。この第2の水性廃棄物ストリームの第2の一部は、水(一般には約81.08重量%)、酸触媒の塩(一般には約16.55重量%)(通常は塩化ナトリウムである)、アニリン(一般には約1.71重量%)、及びppmレベルでの他の成分を含む。
【0020】
第2の水性廃棄物ストリームの一部は、ストリッピング塔に供給する前に、部分的に混合することも、又は充分に混合することもでき、あるいはこれとは別に、個別のストリームとしてストリッピング塔に供給することもできる。
【0021】
本発明によれば、水/ブライン中のニトロベンゼン及び/又はアニリンレベルが溶解限度未満である限り、ニトロベンゼン及び/又はアニリンを含む任意の数の水性廃棄物ストリームを処理することができる(一般には、相分離を正確に行う場合がそうである)。
【0022】
本発明の化学装置は、必要に応じて、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含むアニリン製造ユニットを有し、得られたアニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置は、該反応器の流出物と連結されていて、得られたアニリンは、該反応器の流出物と共に送り込まれる。このアニリン清浄装置は、アニリンポリッシャー(aniline polisher)とも呼ばれる。
【0023】
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンは、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを反応器からのアニリンと共に送り込むことによって、あるいはストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを反応器へのニトロベンゼンと共に送り込むことによってアニリン清浄装置に供給することができ、ストリッピングされたニトロベンゼンの一部または全部がアニリンに転化されてから、ストリッピングされたアニリンをアニリン清浄装置に送り込む。
【0024】
本発明の幾つかの実施態様によれば、アニリン製造ユニットは、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含んでよく、得られたアニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置は、該反応器の流出物と連結することができ、そしてストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンは、該ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための該反応器に供給することができる。
【0025】
本発明の幾つかの実施態様によれば、アニリン製造ユニットは、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含んでよく、得られたアニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置は、該反応器の流出物と連結されていて、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンは、アニリン清浄装置に供給される前に該反応器の流出物に供給される。
【0026】
このことは、このアニリン清浄装置の下流に位置するDADPM製造ユニットにおいて、ニトロベンゼンがDADPMの製造に影響を及ぼすことがないという利点を有する。
本発明によれば、アニリンストリッパーが、第1と第2の廃棄物ストリームを含む水性廃棄物ストリームを、前記アニリン清浄装置に供給される、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンに分離し、水性廃棄物ストリームである流出物が、生物学的廃棄物ストリーム処理ユニットでの処理向きに適合される。
【0027】
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンのストリームはさらに水を含む。水を、ストリッピングされたアニリン及びニトロベンゼンと共に、アニリン清浄装置に再循環すること(必要に応じて、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を介して)は、大した問題ではない。これは、ニトロベンゼンストリームが既に水を含んでいて、ニトロベンゼンのアニリンへの転化が、同様に水を生成するからである。
【0028】
ストリッピング塔は、リボイラーを含んでもよいし、あるいは生蒸気の注入を使用してもよい。特にリボイラーの、そして一般にはストリッピング塔の加熱は、ニトロベンゼン製造ユニット、アニリン製造ユニット、及びDADPM製造ユニットの1つ以上によって部分的もしくは全体的に生成される高圧もしくは低圧のストリームを使用することによって得ることができる。
【0029】
ストリッピング塔は、実質的に大気圧に等しい圧力にて〔すなわち、0.95*10Pa絶対(0.95bara)〜1.2*10Pa絶対(1.2bara)の範囲にて〕機能する。このような条件では、ストリッピング塔の温度は、一般には98℃〜110℃の範囲に設定される。記載の温度は、塔の底部での温度であり、流出物中に残存するブラインの濃度に依存する。
【0030】
これとは別に、ストリッピング塔は、大気圧より高い圧力を使用して〔必要に応じて、3*10Pa絶対(3bara)〜11*10Pa絶対(11bara)の圧力(例えば7*10Pa絶対(7bara))にて〕作動させることもできる。ストリッピング塔の温度は、134℃〜190℃の範囲(例えば、160℃〜170℃の範囲)に設定することができる。
【0031】
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンは、蒸気相にてストリッピング塔を出るときに水を伴う。ストリッピング塔からのアニリン、ニトロベンゼン、及び水蒸気を含む蒸気は、凝縮させ、そして冷却することができる。この凝縮は、DADPM製造ユニット中に存在してよいメタノール分留塔において行うことができる。
【0032】
次いで凝縮液を、水及びストリッピングされたニトロベンゼンとアニリンの一部を含む水性相と、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン及び幾らかの水を含む有機相とに分けることができる。この分離は相分離装置にて行うことができ、この場合、水性相が軽質相であって、有機相が重質相である。
【0033】
この有機相だけをアニリン清浄装置に戻すのが好ましいが、必要に応じて水性相を、3つの廃棄物ストリームの次のさらなる供給物としてストリッピング塔に再循環する。
本発明の幾つかの実施態様によれば、化学装置はさらに、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン(水を伴う)を凝縮させるための凝縮器;ならびに、凝縮したアニリンとニトロベンゼンと水を、水及びストリッピングされたニトロベンゼンとアニリンの一部を含む水性相と、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン及び幾らかの水を含む有機相とに分けるための分離器(必要に応じて相分離器);を含んでよい。
【0034】
本発明の幾つかの実施態様によれば、化学装置は、水性相をストリッピング塔に再循環するための手段を含んでよい。
凝縮液の一部をストリッピング塔の頂部に戻すことができ、ここで凝縮液の一部が、ストリッピング塔を出ていく蒸気相中の液滴(及び必要に応じて固体)をノックダウンするのに使用される。このノッキングダウン(knocking down)は、好ましくはトレイを組み込んだセクション(a trayed section)を使用して行うことができるが、構造化充填物セクションも使用することができる。
【0035】
必要に応じて、ストリッピング塔の後で、水を含む蒸気相中の、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンから、幾らかの熱を受け取ることができる。この熱は、スチームとして〔必要に応じて、低圧〜中圧(すなわち、大気圧よりわずか上の圧力〜910Pa絶対(9bara))のスチームとして〕取り戻すことができる。
【0036】
ニトロベンゼン製造ユニットは、ニトロベンゼンを含む水性廃棄物ストリーム(第1の廃棄物ストリーム)(亜硝酸塩を含むことがある)をもたらす。これらの成分は、酸性環境にてアミンと接触させるとタールを形成することがあり、このタールが、ストリッピング塔を汚染したり、さらには詰まらせたりすることがある。廃棄物ストリームをストリッピング塔に別々に送り込むことによって、第1の廃棄物ストリームからの亜硝酸塩とアニリンとが接触することによるタール形成のリスクを減らせるか、あるいは避けることさえできる、ということが見出された。
【0037】
本発明の幾つかの実施態様によれば、ストリッピング塔は、A1〜Anのn理論トレイを有してよく、ここでA1はトップトレイであり、Anはボトムトレイである。第2の廃棄物ストリームは、理論トレイAxにてストリッピング塔に導入することができ、ここでxは1以上である。第1の廃棄物ストリームは、理論トレイA[y]にてストリッピング塔に導入することができ、ここで[y]はyという整数であり、yは式0.5*(n+1)+0.5*x<y<0.85*(n+1)+0.15*xを満たす。
【0038】
yは、式0.57*(n+1)+0.43*x<y<0.85*(n+1)+0.15*xを満たすのがさらに好ましい。yは、式0.7*(n+1)+0.3*x<y<0.75*(n+1)+0.25*xを満たすのがさらに好ましい。
【0039】
実際には、このことは、ニトロベンゼンを含む廃水が、アニリンを含む廃水の流入箇所より下にかなり離れた距離にてストリッパーに供給される、ということを意味する。
ニトロベンゼンは、アニリンと比較して水からのほうが、より容易にストリッピングすることができる。
【0040】
ニトロベンゼンを含む廃棄物ストリームを、アニリンを含む廃棄物ストリームもしくは上記したストリームよりかなり下に供給することはさらに、アニリンが、ニトロベンゼンを含む廃棄物ストリーム中に存在する水によってさらには希釈されない(その結果、アニリンのストリッピングが効率的になる)のに対して、ニトロベンゼンを含む廃棄物ストリーム供給物より上の位置にて供給されるアニリンを含む廃棄物ストリームからの水によるニトロベンゼンのさらなる希釈は、水性ストリームからのニトロベンゼンのストリッピング効率を大幅には低下させない、というメリットをもたらす。
【0041】
2つの廃棄物ストリームに対しこうした別個の供給を行うことによって、生物処理のために得られるストリーム中の有機成分(アニリンとニトロベンゼン)の全体的な量を減らすことができる(他の全てのファクターが一定のままであると仮定して)。
【0042】
さらに、2つの水性ストリームを共通のストリッパー中で処理することにより(塔へのストリームの供給位置を上記のように最適にした状態で)、ストリッピング塔を運転するのに必要なエネルギーのより経済的な使用が可能となる、ということが見出された。生物処理可能な廃棄物ストリームの単位体積当たりの有機物質の量を200〜500ppbの範囲に保持して、同じ量の充填材料を使用して、そして全てのケースおいて等しい体積の第1と第2のストリームを処理して、第1と第2の水性ストリームを同時に処理する1つのストリッピング塔(全ての充填材料を使用)のスチーム(したがってエネルギー)消費量を比較すると、2つのストリッピング塔(一方は、同じ体積の第2の水性ストリームからアニリンをストリッピングするためのものであり、他方は、同じ体積の第1の水性ストリームからニトロベンゼンをストリッピングするためのものであり、充填材料が2つのストリッピング塔に対して分割されている)を運転するのに必要なスチームより約15%少なくてよい、ということが見出された。
【0043】
同様に、生物処理可能な廃棄物ストリームの単位体積当たりの有機物質の量を200〜500ppbの範囲に保持して、同じ量のスチームを使用して、そして全てのケースおいて等しい体積の第1と第2のストリームを処理して、第1と第2の水性ストリームを同時に処理する1つのストリッピング塔の充填材料を比較すると、2つのストリッピング塔(一方は、同じ体積の第2の水性ストリームからアニリンをストリッピングするためのものであり、他方は、同じ体積の第1の水性ストリームからニトロベンゼンをストリッピングするためのものである)中に存在する充填材料の全高より約16%低くてよい、ということが見出された。したがって、2つの水性ストリームを共通のストリッパー中で処理すると、充填材料の据え付けコストや高さ(体積)の低減、あるいはエネルギー消費量の約15%節減を果たすことができる。
【0044】
上記のように、2つの水性ストリームをストリッピング塔に異なる位置にて供給することは、2つの水性ストリームの合流供給物を使用する場合(流出物の純度が同じで、エネルギー消費量が同じ場合に、充填高さまたは理論トレイの数が4倍以上になる)と比較して、ストリッピング塔中の充填材料やトレイの量を許容レベルに保持することができる、というメリットを有する。
【0045】
ストリッピング塔中での亜硝酸塩とアニリンとの反応によるタール形成のリスクをさらに減らすために、ニトロベンゼンを含む第1の廃棄物ストリームを、塩基性成分(好ましくは苛性ソーダ)を加えることによって中和することができる。
【0046】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による装置を、DADPMを製造するための製造プロセスにおいて使用することができる。
本発明の第2の態様によれば、DADPMを製造する方法が提供され、該方法は、以下の工程を含む:
ベンゼンをニトロベンゼンに転化させる工程、これによりニトロベンゼンストリームと、ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームとがもたらされる;
該ニトロベンゼンストリームからのニトロベンゼンをアニリンに転化させる工程、これによりアニリンストリームと、アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第1の部分とがもたらされる;
該アニリンストリームからのアニリンをDADPMに転化させる前に、アニリンからニトロベンゼンを除去する工程;
アニリンストリームからのアニリンをDADPMに転化させる工程、これによりアニリンを含む該第2の水性廃棄物ストリームの第2の部分がもたらされる;
ストリッピング塔によって、第1と第2の水性廃棄物ストリームからアニリンとニトロベンゼンをストリッピングする工程;及び、
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、アニリン清浄装置または該ニトロベンゼンストリームに供給する工程。
【0047】
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンは、アニリン清浄装置に供給するのが好ましい。
本発明の幾つかの実施態様によれば、アニリン製造ユニットは、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含んでよく、ニトロベンゼンストリームからアニリンへの該転化は、以下の工程を含む:
ストリッピングされたアニリンとニトベンゼンを、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器に供給する工程;
反応器においてニトロベンゼンをアニリンに転化させる工程;及び、
アニリン清浄装置を使用して、供給されたアニリンからニトロベンゼンを除去する工程。
【0048】
本発明の幾つかの実施態様によれば、アニリン製造ユニットは、ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含んでよく、ニトロベンゼンストリームからアニリンへの該転化は、以下の工程を含む:
反応器においてニトロベンゼンをアニリンに転化させる工程;
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、反応器流出物として得られるアニリンに供給する工程;及び、
アニリン清浄装置を使用して、アニリンからニトロベンゼンを除去する工程。
【0049】
本発明の幾つかの実施態様によれば、ストリッピング塔がA1〜Anのn理論トレイを有してよく、ここでA1はトップトレイであり、Anはボトムトレイであり、第2の廃棄物ストリームが、理論トレイAxにてストリッピング塔中に導入され、ここでxは1以上であり、第1の廃棄物ストリームが、理論トレイA[y]にてストリッピング塔中に導入され、ここで[y]はyという整数であり、yは、式0.5*(n+1)+0.5*x<y<0.85*(n+1)+0.15*xを満たす。
【0050】
本発明の幾つかの実施態様によれば、ストリッピング塔が、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン(水を蒸気として伴う)を供給してよく、該製造方法が、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン(水を伴う)を凝縮させる工程;および、凝縮したアニリンとニトロベンゼンと水を、水とストリッピングされたニトロベンゼン及びアニリンの幾らかを含む水性相と、ストリッピングされたアニリン及びニトロベンゼンと幾らかの水を含む有機相とに分ける工程;をさらに含む。
【0051】
本発明の幾つかの実施態様によれば、水性相をストリッピング塔に、第1と第2の廃棄物ストリームの次のさらなる供給物として再循環することができる。
独立クレームと従属クレームは、本発明の特定の特徴と好ましい特徴を説明している。従属クレームからの特徴は、必要に応じて、独立クレームもしくは他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0052】
本発明の上記の特性、特徴、及び利点、ならびに他の特性、特徴、及び利点は、本発明の原理を例証している添付図面を参照しつつ記載の下記の詳細な説明から明らかとなろう。この説明は例証のためだけになされており、この説明によって本発明の範囲が限定されることはない。下記に引用の参照数字は添付図面を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の化学装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の方法と装置において使用されるストリッピング塔の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
異なる図面において、同じ参照記号は、同一、同等、もしくは類似の要素を表わしている。
本発明を、特定の実施態様に関して説明する。留意しておかねばならないことは、クレームにおいて使用されている「含む(comprising)」という用語は、その後に記載の手段に限定されると解釈すべきではなく、他の要素や工程を除外していない、という点である。したがって、言及している記載の特徴、工程、または成分の存在を明記しているが、1つ以上の他の特徴、工程、成分、またはこれらのグループの存在もしくは付加を除外していない、と解釈すべきである。したがって、「手段AとBを含むデバイス」という表現の範囲は、成分AとBだけからなるデバイスに限定されるべきではない。この表現は、本発明に関して、デバイスの単なる関連成分がAとBである、ということを意味している。
【0055】
本明細書の全体にわたって「1つの実施態様(one embodiment)」や「ある実施態様(an embodiment)」という言い方がなされている。こうした言い方は、該実施態様に関して記載の特定の特徴が、本発明の少なくとも1つの実施態様中に含まれている、ということを示している。したがって、本明細書全体にわたる種々の場所にて「1つの実施態様では」や「ある実施態様では」というフレーズが出てきても、それは必ずしも全て同じ実施態様に言及しているわけではない(そういうこともありうるが)。さらに、当業者には言うまでないことであるが、1つ以上の実施態様において、特定の特徴もしくは特性を任意の適切な仕方で組み合わせることもできる。
【0056】
下記の用語は、単に本発明の理解に役立つように与えられている。
DADPMという用語は「メチレン架橋したポリフェニルポリアミン」を表わしており、ジアミノジフェニルメタン異性体、及びそれらの高級同族体もしくは高級ポリマーを含む。「bara」という用語は「絶対バール(bar absolute)」を表わしており、絶対圧力を示す。特に明記しない限り、「%w」は成分の重量パーセントを表わしており、該成分が存在している組成物の総重量を基準として表示されている。
【0057】
図1には、本発明の化学装置の概略図が示されている。図2は、ストリッピング塔330の概略図である。
わかりやすくするために、図1と2では、下記の参照記号を使用して、表1に記載の生成物ストリームを示す。
【0058】
【表1】

【0059】
本発明の化学装置は、ベンゼン110をニトロベンゼンに転化させる(これによりニトロベンゼンストリーム120と、幾らかのニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリーム118がもたらされる)ためのニトロベンゼン製造ユニット100を含む。
【0060】
比較的純粋なベンゼンが適切な反応器に供給され、そこでベンゼンが、硫酸112の存在下にて硝酸114と反応する。硝酸と少量の硫酸が水で希釈される。得られるニトロベンゼンは比較的純粋(99重量%より高い)である。
【0061】
第1の廃棄物ストリームは、幾らかのニトロベンゼンを含む酸性の水性廃棄物ストリームである。必要に応じて、苛性ソーダ116を使用して廃棄物ストリームを中和する。中和後、第1の廃棄物ストリーム118は、水のほかに、そして残留している酸の苛性ソーダによる中和から生じる塩のほかに、幾らかのニトロベンゼン(一般には0.5重量%未満)、幾らかの硝酸塩、及び幾らかの亜硝酸塩を含む。
【0062】
本発明の化学装置は、ニトロベンゼンストリーム120からのニトロベンゼンをアニリンに転化させるためのアニリン製造ユニット200を含み、このユニットにより、アニリンストリーム306と、アニリンを含む水性廃棄物ストリーム(アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリーム380の第1の部分204を形成する)がもたらされる。
【0063】
アニリン製造ユニットは、水素ストリーム202からの水素を使用してバルク量のニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器201を含んでよい。第2の反応器(すなわち、アニリン清浄装置203)において、反応器201の流出物を過剰の水素202でさらに処理して、ニトロベンゼンのアニリンへの転化を完了させる。このアニリン清浄装置203の後で、アニリンを水から分離し(一般には相分離器を使用して)、これにより一部分である水性相(すなわち、水とアニリンを含む第2の水性廃棄物ストリーム380の第1の部分204)とアニリンストリーム306とがもたらされる。これとは別に、アニリン清浄装置の前にアニリンを水から分離し、この場合も、水とアニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第1の部分として適した水性ストリームがもたらされる。
【0064】
得られるアニリンは比較的純粋(97重量%〜99重量%)である。第2の廃棄物ストリーム380の第1の部分204は、アニリンを含む水性廃棄物ストリームであり、4重量%〜5重量%(例えば4.04重量%)のアニリンを含んでよい。
【0065】
本発明の化学装置はさらに、アニリンストリーム306からのアニリンをDADPMに転化させるためのDADPM製造ユニット300を含み、このユニットにより、DADPMストリーム320と、アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリーム380の第2の部分322とがもたらされる。
【0066】
アニリンストリーム306とホルムアルデヒド308(約44重量%のホルムアルデヒドを含むホルマリンとして供給される)とを、酸触媒(塩酸310)の存在下にて反応させる。アニリンをDADPMに転化させた後に、得られる液体を中和し、相分離によって有機DADPMストリームと塩を含む水性相とに分離させる。次いで、この塩含有水性相をアニリンで洗浄して残留DADPMを除去し、再び有機相(アニリン)と塩含有水性相すなわちブライン(水と幾らかのアニリンを含んでいて、第2の水性廃棄物ストリーム380の第2の部分322である)とに分離させる。図からわかるように、反応器301はDADPM製造ユニット300の一部であり、DADPM製造ユニット300は、互いに連結した種々の反応器や装置を含んでよい。
【0067】
第2の廃棄物ストリーム380の第2の部分322は、アニリン(約1.71重量%)、水(81.08重量%)、及び塩化ナトリウム(16.55重量%)を主として含む水性廃棄物ストリームである。
【0068】
第2の廃棄物ストリーム380の2つの部分を供給容器382において混合し、精留セクション370の真下に供給する(幾つかの交換器を介して)。
本発明の化学装置のDADPM製造ユニット300はさらに、水性ストリームからアニリンをストリッピングするためのストリッピング塔330を含む。
【0069】
図1に一般的に示すように、第1と第2の水性廃棄物ストリーム(118,380)がこのストリッピング塔330に供給される。
ストリッピング塔330が、第1と第2の水性廃棄物ストリームからアニリンとニトロベンゼンを取り除き、アニリンとニトロベンゼンを、ストリッピング塔330の頂部に蒸気としてもたらす。ストリッピング塔330のボトムに、生物処理可能な水331である液体が得られる。この生物処理可能な水331の第1の部分346を熱交換器348にて加熱する。
【0070】
加熱された水350が、ストリッピング塔330にボトム側にて戻り、水蒸気がストリッピング塔330の上部に上昇し、これにより流入する廃水ストリーム118と380からニトロベンゼンが、次いでアニリンがストリッピングされる。例えば、熱サイフォンリボイラーを使用することができる。熱交換器の出口は、約20%の蒸気を含んだ混合ストリームである。この混合ストリームを塔のサンプ(sump)(液体レベルより上)に戻し、ここで蒸気と液体が効果的に分離する。
【0071】
生物処理可能な水ストリーム332はさらに、流入する廃棄物ストリーム中に存在する塩を含み、生物学的廃水処理ユニット(図示せず)に送られる。
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンが、水と共に、ストリッピング塔330の頂部にて蒸気ストリーム334として取り出される。蒸気334が冷却器336において冷却・凝縮され、ここで熱の一部を、この冷却器336において形成されるスチームとして取り戻すことができる。
【0072】
凝縮液の第1の部分338がストリッピング塔の頂部に戻され、そこで液滴と、短い精留セクション370において蒸気と同伴することがある任意の固体をノックダウンするのに使用される。この短い精留セクション370は、トレイを組み込んだセクション(a trayed section)であってよい。
【0073】
凝縮してストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン(水を含む)の第2の主要部分339を相分離器340に供給する。必要に応じて、凝縮してストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン(水を含む)をメタノール・フラクショネーター(a Methanol Fractionator)に供給し、そこでフラッシングし、蒸気が再び凝縮する。このようにして軽質成分を除去することができる。このメタノール・フラクショネーターからのボトムストリームが相分離器に送られ、そこでストリッピングされたアニリン及びニトロベンゼンの幾らかと水とを含む水性相がもたらされる。
【0074】
この水性相342は、再びストリッピング塔330に戻され、一般には約95.86重量%の水、約3.78重量%のアニリンとさらなるメタノール、及び微量(ppmレベル)の他の成分を含む。
【0075】
ストリッピング塔330(精留セクション370を含む)は30理論トレイを有し、そのうちの2つが精留セクションとして使用される。アニリンを含む水性ストリーム380を、第3トレイの高さにてストリッピング塔330に供給する。したがって、この供給物より上に位置する第1と第2のトレイは、精留セクション370として機能する。
【0076】
ニトロベンゼンを含む水性廃棄物ストリーム118を、第22理論トレイの高さにてストリッピング塔に供給する。表2から明らかなように、ニトロベンゼンを含む水性ストリームを異なる位置にて供給すると、及びストリッピング塔の他の全ての操作パラメーターを同等に保持することは、生物処理用の水性廃棄物ストリーム331の有機物含量に著しい影響を及ぼす。アニリン含有水性供給物が第3トレイにて供給され、30トレイ(そのうちの2つがアニリン含有水性供給物より上に位置する)を使用するストリッピング塔に対しては、ニトロベンゼン含有水性供給物380を第18トレイと第25トレイの間の高さに(最も好ましくは、第22トレイまたは第23トレイに)供給するのが好ましい。このようにすると、流出物ストリーム中の有機成分の量を3000ppb未満のレベルに保つことができる。
【0077】
【表2】

【0078】
相分離器340の有機(より重い)相は、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン(少量の水を含む)の主要部分を構成する。相分離器に供給されるアニリンの約85重量%〜95重量%(例えば92.6重量%)が有機ストリーム中に残る。アニリン部分の他の部分が、水性ストリーム342と共にストリッピング塔に戻る。同様に、ニトロベンゼンの90重量%〜99.9重量%が有機ストリームと共に進み、他の部分がストリッピング塔に戻る。
【0079】
相分離器340の有機相が、ストリーム344としてアニリン清浄装置203に戻され、そこでニトロベンゼンからアニリンへの転化を完了させるべく、反応器201の流出物と共に過剰の水素202でさらに水素化される(必要に応じて、相分離器によってアニリンを水から分離した後に)。ストリーム344と共に進んでくるアニリンがアニリンストリームの一部になるのは明らかである。
【0080】
別の構成では、相分離器340の有機相が、ストリーム344としてアニリン反応器201に戻され、そこで水素202で水素化される。ストリーム344中に存在するニトロベンゼンが、少なくともある程度はアニリンに転化され、さらにアニリン清浄装置203に供給されて、ニトロベンゼンからアニリンへの転化が完了する。
【0081】
理解しておかねばならないことは、本発明の実施態様を提供するために、好ましい実施態様及び/又は材料について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱することなく種々の改良や変更を行ってよい、という点である。
【符号の説明】
【0082】
100 ニトロベンゼン製造ユニット
110 ベンゼン
112 硫酸
114 硝酸
116 苛性ソーダ
118 第1の水性廃棄物ストリーム
120 ニトロベンゼンストリーム
200 アニリン製造ユニット
201 アニリン反応器
202 水素ストリーム
203 アニリン清浄装置
204 第2の水性廃棄物ストリームの第1の部分
300 DADPM製造ユニット
301 反応器
306 アニリンストリーム
308 ホルムアルデヒド
310 塩酸
320 DADPMストリーム
322 第2の水性廃棄物ストリームの第2の部分
330 ストリッピング塔
331 生物処理可能な水、生物処理用の水性廃棄物ストリーム
332 生物処理可能水ストリーム
334 蒸気ストリーム
336 冷却器
338 凝縮液の第1の部分
339 第2の主要部分
340 相分離器
342 水性相
344 ストリーム
346 生物処理可能な水の第1の部分
350 加熱水
370 精留セクション
380 第2の水性廃棄物ストリーム
382 供給容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームを供給するための第1のユニット;及び、アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームを供給するための、少なくとも第2のユニット;を含む化学装置であって、
該化学装置が、アニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置を含み、該化学装置が、水性ストリームからアニリンをストリッピングするためのストリッピング塔をさらに含み、
該第1と第2の水性廃棄物ストリームが該ストリッピング塔に供給され、該ストリッピング塔が、該第1と第2の水性廃棄物ストリームからアニリンとニトロベンゼンをストリッピングし、そしてストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンが該アニリン清浄装置に供給されることを特徴とする上記化学装置。
【請求項2】
第1のユニットが、ベンゼンをニトロベンゼンに転化させるためのニトロベンゼン製造ユニットであって、これによりニトロベンゼンストリームと、前記ニトロベンゼンを含む第1の水性廃棄物ストリームとがもたらされ;
第2のユニットが、前記ニトロベンゼンストリームからのニトロベンゼンをアニリンに転化させるためのアニリン製造ユニットであって、これによりアニリンストリームと、前記アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第1の部分とがもたらされ;
該化学装置がさらに、前記アニリンストリームからのアニリンをDADPMに転化させるためのDADPM製造ユニットを含み、これにより前記アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第2の部分がもたらされる;請求項1に記載の化学装置。
【請求項3】
前記アニリン製造ユニットが、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含み、得られたアニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置が前記反応器の流出物に連結されており、前記ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンが、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための前記反応器に供給される、請求項2に記載の化学装置。
【請求項4】
前記アニリン製造ユニットが、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含み、得られたアニリンからニトロベンゼンを除去するためのアニリン清浄装置が前記反応器の流出物に連結されており、前記ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンが、前記アニリン清浄装置の前に、この反応器の流出物に供給される、請求項2に記載の化学装置。
【請求項5】
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンと随伴する水を凝縮させるための凝縮器;ならびに、
前記凝縮したアニリン、ニトロベンゼン、及び水を、水及びストリッピングされたニトロベンゼンとアニリンの幾らかを含む水性相と、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン及び幾らかの水を含む有機相とに分けるための分離器;
をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化学装置。
【請求項6】
前記化学装置が、前記水性相をストリッピング塔に再循環させるための手段を含む、請求項5に記載の化学装置。
【請求項7】
前記ストリッピング塔がA1〜Anのn理論トレイを有していて、ここでA1はトップトレイであって、Anはボトムトレイであり;前記第2の廃棄物ストリームがストリッピング塔に理論トレイAxにて導入され、ここでxは1以上であり;前記第1の廃棄物ストリームがストリッピング塔に理論トレイA[y]にて導入され、ここで[y]はyという整数であって、yは式0.5*(n+1)+0.5*x<y<0.85*(n+1)+0.15*xを満たす;請求項1〜6のいずれか一項に記載の化学装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化学装置の、DADPMを製造するための製造プロセスにおける使用。
【請求項9】
ベンゼンをニトロベンゼンに転化させて、ニトロベンゼンストリームと、ニトロベンゼを含む第1の水性廃棄物ストリームとを得る工程;
前記ニトロベンゼンストリームの前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させて、アニリンストリームと、アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第1の部分とを得る工程;
前記アニリンストリームの前記アニリンをDADPMに転化させる前に、前記アニリンからニトロベンゼンを除去する工程;
前記アニリンストリームの前記アニリンをDADPMに転化させて、前記アニリンを含む第2の水性廃棄物ストリームの第2の部分を得る工程;
前記第1と第2の水性廃棄物ストリームのアニリンとニトロベンゼンを、ストリッピング塔でストリッピングする工程;及び
ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、前記アニリン清浄装置または前記ニトロベンゼンストリームに供給する工程;
を含むDADPMの製造方法。
【請求項10】
前記アニリン製造ユニットが、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含み、前記ニトロベンゼンストリームからの前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させることが、前記ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための前記反応器に供給する工程;反応器においてニトロベンゼンをアニリンに転化させる工程;及びアニリン清浄装置を使用して、得られたアニリンからニトロベンゼンを除去する工程;を含む、請求項9に記載のDADPMの製造方法。
【請求項11】
前記アニリン製造ユニットが、前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させるための反応器を含み、前記ニトロベンゼンストリームからの前記ニトロベンゼンをアニリンに転化させることが、前記反応器においてニトロベンゼンをアニリンに転化させる工程;前記ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、前記反応器流出物として得られるアニリンに供給する工程;及びアニリン清浄装置を使用してアニリンからニトロベンゼンを除去する工程;を含む、請求項9に記載のDADPMの製造方法。
【請求項12】
前記ストリッピング塔がA1〜Anのn理論トレイを有していて、ここでA1はトップトレイであって、Anはボトムトレイであり;前記第2の廃棄物ストリームがストリッピング塔に理論トレイAxにて導入され、ここでxは1以上であり;前記第1の廃棄物ストリームがストリッピング塔に理論トレイA[y]にて導入され、ここで[y]はyという整数であって、yは式0.5*(n+1)+0.5*x<y<0.85*(n+1)+0.15*xを満たす;請求項9〜11のいずれか一項に記載のDADPMの製造方法。
【請求項13】
前記ストリッピング塔が、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、水を蒸気として随伴する状態でもたらし、該製造方法がさらに、前記ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼンを、水を随伴する状態で凝縮させる工程;ならびに、前記凝縮したアニリン、ニトロベンゼン、及び水を、水及びストリッピングされたニトロベンゼンとアニリンの幾らかを含む水性相と、ストリッピングされたアニリンとニトロベンゼン及び幾らかの水を含む有機相とに分ける工程;を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載のDADPMの製造方法。
【請求項14】
前記水性相を、第1と第2の廃棄物ストリームの次に、さらなる供給物としてストリッピング塔に再循環させる、請求項13に記載のDADPMの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−530092(P2012−530092A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515411(P2012−515411)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057049
【国際公開番号】WO2010/145914
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500030150)ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】