説明

化粧品組成物

【課題】皮膚の刺激感が特に少なく、古い角質や皮膚の汚れを効率よく除去し、且つ皮膚の状態を改善することのできる化粧品組成物を提供する。
【解決手段】炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、高分子化合物を含有させて化粧品組成物とする。さらに、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上や、カオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上を含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古い角質の除去機能と皮膚の清浄機能に優れ、皮膚の状態を改善し得る化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、竹炭や木炭などを配合した化粧品組成物が検討され、販売されている。炭は多孔性を有し、皮膚上の皮脂等の汚れを吸着することから、薬用炭、竹炭、備長炭、ヒノキ木炭等の洗浄剤組成物への配合が開示されている(特許文献1)。特許文献1においては、粒子径が1μm〜500μmの粉末状の炭を用いることにより、洗浄時の使用感の改善が図られている。一方、備長炭や備長炭からなる薬用炭は、高品質ではあるが、高密度、高硬度であり、きわめて毛管凝縮が進んでいることから、その吸着機能及び脱臭機能が劣るため、これらを賦活処理して細孔径を調整し、吸着有効表面積を拡大させる技術も開示されている(特許文献2)。また、皮膚の角質除去と皮膚の健康を保持するための化粧品組成物として、ポリアルキレングリコールとアニオン性界面活性剤を含み、さらにα−ヒドロキシ酸又はその塩を顆粒形態で含有させた角質剥離洗浄料(特許文献3)、界面活性剤とともに寒天粉末等の多糖類粉末を配合した皮膚洗浄用組成物(特許文献4)等が提案されている。また、摩擦型皮膚外用剤として、二酸化珪素、植物種子粉砕物及び結晶セルロースの固体のうちの1種または2種以上を含む組成物(特許文献5)が、無機粉末を含む組成物の例としては、タルク、カオリン、各種の雲母類、炭酸マグネシウム等を主成分とした洗浄料(特許文献6)が提案されている。
【0003】
しかし、特許文献1及び2に開示されている洗浄剤や化粧料組成物においては、配合される炭による吸着・脱臭機能による皮膚の清浄化効果が主たる効果であり、炭はマイナスイオンの発生やミネラルイオン源としての機能を有するものの、皮膚の状態の改善効果は不十分であった。特許文献3に開示されている角質剥離洗浄料においては、α−ヒドロキシ酸又はその塩が皮膚に対し刺激を与えることがある。また、特許文献4〜6に開示されている各種粉末を含む組成物については、粉末の形状が滑らかでなく、皮膚に塗布して摩擦したとき、皮膚に対して刺激感や損傷を与えるおそれがある。たとえば、植物種子粉砕物の場合は、粉砕により粒子の表面は突起のある状態になっており、無機粉末の場合、結晶形を微細にしたものか、もしくは結晶自体であるので、一般的には、その表面は鋭角に尖っている。一方、多糖類粉末の場合、用いる多糖類によっては、古くなった角質を剥離する効果が不十分である場合があると考えられる。
【0004】
また本発明者らは以前に、火山噴出物発泡体をポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ミツロウ等の高分子化合物に分散して、固形状、ゲル状又はクリーム状とした化粧品組成物を提案した(特許文献7)。特許文献7に開示した固形状、ゲル状又はクリーム状の化粧品組成物については、皮膚の摩擦による刺激が少なくなっているが、固形状もしくはゲル状にする際乾燥工程を経るため、上記発泡体のやわらかさを十分に維持できないことが判明し、皮膚の弱く敏感な人には刺激を与えるおそれもある。さらに、前記火山噴出物発泡体には、皮膚の賦活成分を含有させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−167325号公報
【特許文献2】特開2005−305406号公報
【特許文献3】特開2004−277295号公報
【特許文献4】特開2003−342162号公報
【特許文献5】特開2003−81881号公報
【特許文献6】特開平8−67622号公報
【特許文献7】特開2008−1671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明においては、上記事情に鑑み、皮膚に対する刺激感が少なく、古い角質の除去機能と皮膚の清浄機能に優れ、且つ皮膚の状態を改善することができ、良好な美肌効果を有する化粧品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物について、適度な硬度と多孔性を有するとともに、植物中の有効な有機成分が残存していることを見いだし、これを高分子化合物とともに含有させて化粧品組成物とすることにより、皮膚に対する刺激感をより低減し、古い角質や皮膚の汚れを良好に除去し、なお且つ皮膚の状態を改善することに成功し、本発明を完成するに至った。さらに、火山噴出物粉粒体、火山噴出物発泡粉粒体や、カオリン、ゼオライト、タルク等の無機粉体を用いることにより、角質除去効果及び皮膚清浄効果を向上させ得ることを見いだした。
【0008】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(14)に関する。
(1)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、高分子化合物を含有する、化粧品組成物。
(2)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、羊歯植物門(Pteridophyta)及び種子植物門(Spermatophyta)に属する植物から選択される1種又は2種以上より得られるものである、上記(1)に記載の化粧品組成物。
(3)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、穀物、豆類、イモ類、野菜、山菜、種実類、果物、ハーブ、香味料及び茶類として供される植物よりなる群から選択される1種又は2種以上の植物より得られるものである、上記(1)に記載の化粧品組成物。
(4)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、サツマイモ、ジャガイモ、ニンジン、ダイコン、カブ、ホウレンソウ、ヨモギ、カキ、クリ、チャノキ、ショウガ、ニンニク、パセリ、モロヘイヤ、バジリコ、シソ、落花生よりなる群から選択される1種又は2種以上の植物より得られるものである、上記(1)に記載の化粧品組成物。
(5)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、100gあたり0.5mg以上のトコフェロールを含有する、上記(1)に記載の化粧品組成物。
(6)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、100gあたり0.2g以上のポリフェノールを含有する、上記(1)に記載の化粧品組成物。
(7)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の平均粒子径が30μm以下である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化粧品組成物。
(8)高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びミツロウよりなる群から選択される1種又は2種以上である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の化粧品組成物。
(9)さらに、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の化粧品組成物。
(10)さらに、カオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の化粧品組成物。
(11)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上とを、あらかじめ混合、撹拌し、混合物として含有してなる、上記(9)又は(10)に記載の化粧品組成物。
(12)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上との混合物が、平均粒子径が30μm以下の微粉末である、上記(11)に記載の化粧品組成物。
(13)高分子化合物がポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールである、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化粧品組成物。
(14)高分子化合物がポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びミツロウである、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化粧品組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、古い角質の除去機能と皮膚の清浄機能に優れ、安全性の高い化粧品組成物を提供することができる。本発明において用いる炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物は、適度の硬度と多孔性を有し、皮膚に対する刺激感が少なく、マッサージ効果にも優れる。さらに、前記植物炭に残存する有効な有機成分により、皮膚の状態の改善効果及び美肌効果が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において用いる植物炭粉砕物は、50重量%〜65重量%の炭素含有量を示し、完全には炭化しておらず、適度の硬度と多孔性を有し、皮膚に対して刺激の少ない角質除去剤として機能する。また、本発明において用いる植物炭粉砕物には、トコフェロールやポリフェノールなど、植物の有する有用な有機成分が残存しており、皮膚を活性化する作用を有する。
【0011】
本発明において、上記植物炭粉砕物の調製に用いる「植物」は、「植物界(Plantae)」に属する植物のうち、羊歯植物門(Pteridophyta)及び種子植物門(Spermatophyta)に属する植物をいう。羊歯植物は、シダ綱(Filicineae)、トクサ綱(Articulatae)、ヒカゲノカズラ綱(Lycopodiinae)、ミズニラ綱(Isoetinae)及びマツバラン綱(Psilotopsida)に分類される。種子植物は、裸子植物亜門(Gymnospermae)と被子植物亜門(Angiospermae)に分類され、裸子植物は、ソテツ綱(ソテツ目、イチョウ目)、針葉綱(イチイ目、マツ目)及びマオウ綱(マオウ目)に分類され、被子植物は、双子葉植物綱(Dicotyledoneae)と単子葉植物綱(Monocotyledoneae)に分類される。植物炭粉砕物の調製には、これらに属する植物の葉、茎、花、蕾、根、根茎、種子、果実、枝、幹、樹皮など、各部位を用いることができ、植物の全体をそのまま用いることもできる。
【0012】
特に、原料としての入手の容易性やコスト、また植物炭に残存する有用成分を考慮すると、一般に植物性食品として供される植物が好ましく用いられる。植物性食品として供される植物としては、穀物、豆類、イモ類、野菜、山菜、種実類、果物、ハーブ、香味料、茶類等として供される植物が挙げられる。
【0013】
穀物として供される植物としては、たとえば、米、小麦、大麦、ライムギ、ハトムギ等の麦類、トウモロコシ、キビ、アワ、ヒエなどのイネ科植物が挙げられ、これらの種子が好ましく用いられる。豆類として供される植物はマメ科植物であり、たとえば、大豆、小豆、エンドウ豆、インゲン豆、ソラ豆などが挙げられ、これらの種子又は果実が好ましく用いられる。イモ類として供される植物としては、サツマイモ、キャッサバ、ジャガイモ、キクイモ、タロイモ、サトイモ、コンニャクイモ、ナガイモ、ヤマノイモ等が挙げられ、これらの塊根、塊茎、球茎、担根体などが好ましく用いられる。
【0014】
野菜として供される植物は、人工的に栽培される草本性の植物であるが、葉菜類として供されるキャベツ、ホウレンソウ、モロヘイヤ等、根菜類として供されるゴボウ、ダイコン、ニンジン、カブ等、花野菜として供されるブロッコリー、カリフラワー等、果菜類として供されるキュウリ、カボチャ等が挙げられ、それぞれ葉、根、花、果実が好ましく用いられる。山菜として供される植物としては、ツクシ(スギナの胞子体)、ワラビ、ゼンマイ等のシダ植物、ウド、セリ、タケノコ、タラの芽、フキ、ヨモギ等が挙げられ、これらの茎、葉、芽などが好ましく用いられる。
【0015】
種実類として供される植物としては、アーモンド、カシューナッツ、マカダミア、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、落花生、クルミ、クリ、ハス、クコなどが挙げられ、これらの種実が好ましく用いられる。果物として供される植物としては、カリン、ナシ、リンゴ等の仁果類、アンズ、ウメ、モモ等の核果類、ミカン属、キンカン属、カラタチ属等のミカン科植物、アボカド、ナツメヤシ、パイナップル等の熱帯果樹類、カキ、コケモモ、ブドウ等のその他の果樹類などが挙げられ、これらの果実が好ましく用いられる。
【0016】
ハーブとして供される植物としては、ラベンダー、ゲッケイジュ、マンネンロウ(ローズマリー)等の木本類、シソ、ハッカ、パセリ、ヤクヨウサルビア(セージ)、バジリコ等の草本類などが挙げられ、これらの花、葉もしくは全草が好ましく用いられる。香味料として供される植物としては、ショウガ、ニンニク等が挙げられ、根茎又は球根が好ましく用いられる。茶類として供される植物としては、チャノキが挙げられ、葉が好ましく用いられる。
【0017】
さらに、植物炭粉砕物としたとき、適度な硬度を有し、皮膚の角質除去効果及び皮膚の清浄機能に優れることや、残存する有用成分の皮膚に対する作用を考慮すると、サツマイモ、ジャガイモ、ニンジン、ダイコン、カブ、ホウレンソウ、ヨモギ、カキ、クリ、チャノキ、ショウガ、ニンニク、パセリ、モロヘイヤ、バジリコ、シソ、落花生が好ましく用いられる。
【0018】
本発明においては、上記の植物より1種を選択して用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。かかる植物は、炭素含有量が50重量%〜65重量%、好ましくは50重量%〜60重量%となるように炭化し、得られた植物炭を粉砕して用いる。炭素含有量が50重量%未満であると、植物の炭化が不十分で、植物炭粉砕物による皮膚の清浄化効果が期待できず、また植物体の有機物残量が多くなり過ぎて、これを含有する化粧品組成物の保存安定性が低下するおそれがある。逆に、炭素含有量が65重量%を超えると、炭化が進行し過ぎて植物炭の硬度が高くなり過ぎ、皮膚に刺激感を与えるおそれがあるとともに、植物の有する有効な有機成分の残存量が低下して、これらによる皮膚状態の改善効果が期待できなくなるからである。
【0019】
上記の植物炭粉砕物は、たとえば不燃性蓄熱体を用いて加熱して炭化し、次いで粉砕して得ることができる。前記不燃性蓄熱体は、好ましくは特許第2958560号公報に記載した方法により、たとえば、シラス、軽石、ボラ、パーライト等の火山噴出物の発泡粒子にケイ酸ナトリウム濃厚水溶液を添加、混練してなる混練物中に炭酸ガスを注入し、次いで焼成して集塊物として得ることができる。バッチ炉の壁面及び床面、天井面に前記不燃性蓄熱体を取り付け、その中間部に前記不燃性蓄熱体製のすのこを敷き、バッチ炉内の下部にLPガス、木炭、竹炭、練炭、電気のいずれかの熱源を設置する。不燃性蓄熱体のすのこ上に上記した植物を載せ、80℃〜300℃で4〜24時間程度加熱する。植物は、大きいものは5cm角程度に切断してから加熱するのが好ましい。また、植物の炭化を促進するべく、あらかじめ植物の水分含量が10〜50重量%となるように乾燥処理した後に炭化処理することが好ましい。かかる乾燥処理としては、天日乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、送風乾燥等が挙げられる。
【0020】
得られた植物の炭化物は、粉砕機を用いて粉砕し、植物炭粉砕物とする。本発明の目的には、平均粒子径が30μm以下となるように微粉砕することが好ましい。ここで、前記の平均粒子径は、レーザー解析法により求めた値である。粉砕機としては、スーパーミクロンミルE(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーオリオンボールミルSO(ホソカワミクロン株式会社製)等を用いることができる。本発明に係る化粧品組成物には、上記により得られた炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物より1種又は2種以上を選択して使用する。なお、角質除去機能及び皮膚の清浄機能と、皮膚に対する刺激性や使用感を考慮すると、植物炭粉砕物の1種又は2種以上は、化粧品組成物全量に対して、総量で3重量%〜20重量%含有させることが好ましい。
【0021】
上記により調製した植物炭粉砕物は、50重量%〜65重量%の炭素含有量を示し、1〜3重量%の水分を含有する。さらに、α−トコフェロール、γ−トコフェロール等のトコフェロールや、カテキン、アントシアニン、タンニン、ルチン、イソフラボン等のフラボノイド類、クロロゲン酸等のフェノール酸類、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリンなどのポリフェノールといった植物の有効成分が残存する。好ましくは、100gあたり0.5mg以上のトコフェロール、及び/又は100gあたり0.2g以上のポリフェノールを含有するものが、皮膚の状態の改善効果が期待されるため、好ましく用いられる。なお、本発明において用いる前記植物炭粉砕物には、植物炭の調製に用いる植物の種類にもよるが、トコフェロールは100gあたり3.5mg、ポリフェノールは100gあたり1.2g程度まで含有され得る。
【0022】
本発明に係る化粧品組成物は、上記した炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上を、高分子化合物とともに含有させてなる。本発明に係る化粧品組成物は、液状、ペースト状、クリーム状又は固形状の形態をとり得る。本発明において、「液状」とは液体状又は流体状をいい、若干の粘性を有する状態も含まれる。「ペースト状」とは、高粘性を有するが流動性のある不定形の状態をいい、「クリーム状」とは、流動性があり、不定形の乳化物をいい、「固形状」とは、通常化粧料を使用する温度範囲(0℃〜50℃)で固化し、流動性を有さない状態をいう。
【0023】
本発明において用い得る高分子化合物としては、化粧品用原料として提供されている高分子化合物であって、化粧品組成物に適度な粘度を与えることができ、上記の植物炭粉砕物等の分散に寄与することができるものであれば特に限定されず、たとえば、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類、カラギーナン、セルロース、プルラン等の多糖類、カルナウバロウ、モクロウ、ミツロウ等のワックス類などの天然系高分子化合物、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン等の半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等の合成高分子化合物などが挙げられ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びミツロウが好ましく使用でき、さらにポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びミツロウが特に好ましく使用できる。これら高分子化合物としては、化粧品用として市販されている製品を使用するのが便利である。また、これら高分子化合物の化粧品組成物全量に対する含有量は、組成物の形態にもよるが、0.1〜30重量%とするのが適切である。
【0024】
ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるもので、その粘度は重合度やケン化度によって変化する。本発明の化粧品組成物は、上述の通り、液状、ペースト状、クリーム状又は固形状の形態をとり得るため、組成物をかかる形態とするには、ポリビニルアルコールは、重合度が350〜690でケン化度が90〜99.4モル%のものが好ましい。特に固形状の組成物とする場合、ケン化度は98〜99モル%がより好ましい。ケン化度が90モル%未満であると、特に組成物を固形状に保つことが困難になる。また、ケン化度が99.4モル%を超えると、組成物(特に固形状組成物)表面に植物炭粉砕物が表出しにくくなるため、好ましくない。なお、ポリビニルアルコールの市販品は粉末であるので水溶液にして用いる。
【0025】
ポリエチレングリコールは主に組成物の保湿機能向上や粘度調整のために使用される。平均分子量が500〜1500であるものが好ましく、なかでも900〜1100のものがより好ましい。平均分子量が500未満であると、組成物の粘度が低下して、組成物(特に固形状組成物)から保湿成分が過度に遊離する傾向があり、1500以上であると粘度が高くなりすぎて、組成物(特に固形状組成物)の保湿機能が低下する傾向があるため、好ましくない。なお、前記平均分子量は、医薬品添加物規格2003に記載された平均分子量試験により求められる値である。
【0026】
ミツロウは、トウヨウミツバチ又はヨーロッパミツバチなどのミツバチの巣から得たロウを精製したものであり、主に組成物の保湿機能向上のために使用され、特にペースト状又はクリーム状の組成物において配合される。
【0027】
本発明においては、水溶性の高分子化合物を水に溶解し、上記植物炭粉砕物等を分散させて液状とし、さらに増粘させてペースト状とし、又はゲルを形成させて固形化することができる。また、さらにミツロウや他の油性成分を加えて混練してペースト状とし、或いは界面活性剤により乳化してクリーム状とすることができる。
【0028】
特に本発明においては、高分子化合物としてポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールを用い、これらの水溶液に上記植物炭粉砕物等を分散させて液状又は固形状とすることが好ましい。また、ミツロウや他の油性成分を加え、混練してペースト状とし、或いは界面活性剤の存在下に乳化してクリーム状とすることが好ましい。さらにまた、ミツロウにスクワラン、ホホバ油等の液状油、液状ロウ類を混合し、油性ペースト状とすることも、本発明の実施態様として好ましい。
【0029】
本発明に係る化粧品組成物には、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物に加えて、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択した1種又は2種以上を含有させることができる。火山噴出物粉粒体とは、シラス、黒曜岩、真珠岩等の火山噴出物の粉粒体をいい、火山噴出物発泡粉粒体とは、前記火山噴出物の粉末を焼成処理して製造される発泡体を粉砕、造粒して得られる粉粒体をいう。かかる発泡粉粒体は公知で、特開平11−12058号公報に記載された方法により得ることができ、たとえば、シラスの焼成発泡粉粒体はシラスバルーンとして、また、真珠岩の焼成発泡粉粒体はパーライトとして知られている。火山噴出物発泡粉粒体は球形の微粒子であり、本発明においてより好ましく用いられる。なお、本発明に係る化粧品組成物には、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択した1種又は2種以上は、化粧品組成物全量に対し、総量で5重量%〜50重量%含有させることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る化粧品組成物には、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物に加えて、カオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択した1種又は2種以上を含有させることができる。カオリンは天然に産する含水ケイ酸アルミニウムの粉末であり、ゼオライトは結晶中に微細孔を有するアルミノケイ酸塩の粉末、タルクは天然の含水ケイ酸マグネシウムの粉末であり、本発明においては、化粧品用原料として市販されている製品を使用することが好ましい。なお、本発明に係る化粧品組成物には、カオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択した1種又は2種以上は、化粧品組成物全量に対し、総量で20重量%〜80重量%含有させることが好ましい。
【0031】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、上記の火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択した1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択した1種又は2種以上とは、あらかじめ混合、撹拌し、混合物として添加することが好ましい。さらに、これらは、上記した粉砕機等を用いて粉砕し、混合物の平均粒子径が30μm以下の微粉末として用いることがより好ましい。
【0032】
本発明の化粧品組成物には、本発明の特徴を損なわない範囲で、界面活性剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗酸化剤、防腐剤、着色剤、香料等の他の化粧品用原料を含有させることができる。
【0033】
界面活性剤としては、N−アシルアスパラギン酸ナトリウム、N−アシルグルタミン酸ナトリウム、N−アシルメチルアラニン、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等の非イオン性界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤などが挙げられる。本発明の化粧品組成物においては、組成物全重量に対し、通常3〜30重量%程度含有させることができる。
【0034】
保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類、アスパラギン酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等のアミノ酸類、加水分解コラーゲン、加水分解卵殻膜等のタンパク質加水分解物、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類、酵母エキス、各種植物エキス、海藻エキスなどを挙げることができる。本発明の化粧品組成物には、保湿剤の種類によって異なるが、通常0.01〜10重量%程度を含有させることができる。
【0035】
細胞賦活剤としては、加水分解コンキオリン、アシタバ抽出物、キダチアロエ抽出物、オタネニンジン抽出物、クロレラ抽出物、プラセンタ抽出物、レイシ抽出物、ロイヤルゼリー抽出物等を挙げることができる。本発明の化粧品組成物には、細胞賦活剤の種類によって異なるが、通常0.0001〜10重量%程度を含有させることができる。
【0036】
抗酸化剤としては、DL−α−トコフェロール、D−δ−トコフェロール、酢酸トコフェロール等のビタミンE類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等のアスコルビン酸類、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。本発明の化粧品組成物には、抗酸化剤の種類によって異なるが、通常0.001〜10重量%程度を含有させることができる。
【0037】
防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、プラトニンなどが挙げられる。本発明の化粧品組成物には、防腐剤の種類によって異なるが、通常0.001〜2重量%程度を含有させることができる。
【0038】
着色剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の着色顔料、赤色202号、赤色220号、黄色4号、黄色205号、青色404号等のタール色素、クチナシ色素、ムラサキ根エキス等の天然色素などが挙げられる。本発明の化粧品組成物には、通常0.0001〜2重量%程度を含有させることができる。
【0039】
香料としては、メントール、ハッカ油、バニリン、チョウジ抽出物、ラベンダー抽出物等が挙げられる。本発明の化粧品組成物には、通常0.001〜1重量%程度を含有させることができる。
【0040】
本発明に係る化粧品組成物は、水溶性高分子化合物の水溶液を調製し、該水溶液に、場合によりミツロウや他の油性成分を加え、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上等を加えて分散させ、所望の容器又は型枠に充填した後、放冷又は急冷却して増粘させ、又は固化、成形することにより製造することができる。本発明に係る化粧品組成物の好ましい態様としては、上記の通り、高分子化合物としてポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールを用い、液状又は固形状とした化粧品組成物や、さらにミツロウを加えてペースト状又はクリーム状とした化粧品組成物を挙げることができるが、これらはそれぞれ次のようにして製造することができる。
【0041】
(イ)液状化粧品組成物
液状の化粧品組成物は、次の工程1〜4により製造することができる。
まず、ポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)。ポリビニルアルコール水溶液は、たとえば、ポリビニルアルコールの粉末を精製水に加え、ゆっくり攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させることで調製することができる。ポリビニルアルコールの濃度は、0.1〜4.5重量%程度が好ましい。濃度が0.1重量%未満であると、増粘が不十分で植物炭粉砕物等の分散が悪く、組成物に好ましい使用感を付与することができず、4.5重量%を超えると、粘度が高くなり過ぎ、流動性を失うからである。
【0042】
次に、上記で調製したポリビニルアルコール水溶液に、ポリエチレングリコールを混合する(工程2)。具体的には、ポリビニルアルコール水溶液を70〜80℃に加熱しながらポリエチレングリコールを加えて混合し、均一化する。ポリエチレングリコールは、ポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して5〜30重量部が好ましい。ポリエチレングリコールが5重量部未満であると、得られた組成物は滑らかさが無くなり、30重量部を超えると、組成物の粘度が高くなって、流動性を失う傾向があるため、好ましくない。液状の組成物には、さらにミツロウをポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して1〜5重量部添加してもよい。
【0043】
次に、上記で調製された混合液を70〜80℃に加熱しながら、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上や、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、もしくはカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上を添加して、均一に分散するまで混合する(工程3)。前記の植物炭粉砕物等は、上述したように、あらかじめ混合、撹拌し、さらに粉砕して平均粒子径が30μm以下の微粉末の混合物として添加することが好ましい。また、前記の植物炭粉砕物等は、これらの合計で、上記混合液100重量部に対して5〜30重量部の範囲で添加することが好ましい。添加量が5重量部未満であると、化粧品組成物に、十分な角質及び皮膚の汚れの除去効果を付与することができず、添加量が30重量部を超えると、化粧品組成物による皮膚への刺激感が強くなる傾向があるため、好ましくない。
【0044】
最後に、上記の工程3で得られた混合物を所望の容器に充填し、冷却する(工程4)。この冷却工程は、24時間ほど放冷した後、2〜10℃で48時間ほど冷却することにより、行うことができる。
【0045】
(ロ)ペースト状化粧品組成物
次に、ペースト状の化粧品組成物とするには、まず、上記(イ)の工程1と同様にポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)。ただし、ポリビニルアルコールの濃度は、5〜30重量%が好ましい。濃度が5重量%未満であると、組成物がペースト状を維持できなくなり、濃度が30重量%を超えると、組成物が逆に固すぎて使用に耐えられなくなる傾向が見られるからである。次に、70〜80℃に加温したポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して、ポリエチレングリコール5〜30重量部及びミツロウ1〜5重量部を加えて均一になるまで混練する(工程2)。次いで、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上等を添加する。これらは上記と同様に、あらかじめ混合、撹拌し、さらに粉砕して平均粒子径が30μm以下の微粉末の混合物として添加することが好ましい。また、前記の混練物100重量部に対して、合計で10〜50重量部を添加する(工程3)。10重量部未満であると、得られる化粧品組成物に、十分に高い角質や皮膚の汚れの除去効果を付与しにくく、50重量部を超えると、化粧品組成物による皮膚への刺激感が強くなる傾向があるため、好ましくない。
【0046】
最後に、上記の工程で得られた組成物を所望の容器又は型枠に充填し、冷却する(工程4)。この冷却工程は、24時間ほど放冷した後、2℃〜10℃で48時間ほど冷却することにより行うことができる。
【0047】
(ハ)クリーム状化粧品組成物
また、クリーム状の化粧品組成物とするには、まず、上記(ロ)の工程1と同様にポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)。次に、70〜80℃に加温したポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して、ポリエチレングリコール5〜30重量部、ミツロウ3〜15重量部及び界面活性剤3〜20重量部を加えて均一になるまで混練する(工程2)。次いで、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上等を添加する。これらは上記と同様に、あらかじめ混合、撹拌し、さらに粉砕して平均粒子径が30μm以下の微粉末の混合物として添加することが好ましい。また、前記混練物100重量部に対して、合計で10〜50重量部を添加する(工程3)。10重量部未満であると、得られる化粧品組成物に、十分に高い角質や皮膚の汚れの除去効果を付与しにくく、50重量部を超えると、化粧品組成物による皮膚への刺激感が強くなる傾向があるため、好ましくないからである。
【0048】
最後に、上記の工程で得られた組成物を所望の容器又は型枠に充填し、24時間ほど放冷した後、2〜10℃で48時間ほど冷却することにより、クリーム状の化粧品組成物を得ることができる。
【0049】
(ニ)固形状化粧品組成物
固形状の化粧品組成物を得るには、まず、上記(ロ)の工程1と同様に、ポリビニルアルコール水溶液を調製する(工程1)。ポリビニルアルコールの濃度は、5〜30重量%が好ましい。濃度が5重量%未満であると、組成物がゲル構造を維持できなくなり、濃度が30重量%を超えると、組成物が逆に固すぎて使用に耐えられなくなる傾向が見られるからである。
【0050】
次に、70〜80℃に加熱したポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して、ポリエチレングリコール5〜30重量部を添加し、均一に混練する(工程2)。ポリエチレングリコールが5重量部未満であると、得られた組成物は滑らかさが無くなり、30重量部を超えると、組成物が固くなって、皮膚への刺激感が強くなる傾向があるため、好ましくない。なお、場合により、ポリビニルアルコール水溶液100重量部に対して1〜5重量部のミツロウを添加してもよい。
【0051】
次に、上記で調製された混合液を70〜80℃に加熱しながら、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上や、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、もしくはカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上を添加して、均一に分散するまで混練する(工程3)。前記の植物炭粉砕物等は、上述したように、あらかじめ混合、撹拌し、さらに粉砕して平均粒子径が30μm以下の微粉末の混合物として添加することが好ましい。また、前記の植物炭粉砕物等は、これらの合計で、上記混合液100重量部に対して5〜100重量部の範囲で添加することが好ましい。添加量が5重量部未満であると、化粧品組成物に十分な角質及び皮膚の汚れの除去効果を付与することができず、添加量が100重量部を超えると、化粧品組成物による皮膚への刺激感が強くなり、また使用感が悪くなる傾向があるため、好ましくない。
【0052】
最後に、上記の工程3で得られた混練物を所望の容器又は型枠に充填して、固形化させる(工程4)。この固形化は、24時間ほど放冷した後、氷点下5℃〜10℃で48時間ほど冷却することにより、行うことができる。
【0053】
従って、本発明に係る化粧品組成物の好ましい態様としては、(a)平均粒子径が30μm以下の炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びミツロウを含有し、液状、ペースト状又はクリーム状である化粧品組成物、(b)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上と、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びミツロウを含有し、液状、ペースト状又はクリーム状である化粧品組成物、(c)平均粒子径が30μm以下の炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールを含有する、固形状の化粧品組成物、(d)炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上と、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールを含有し、固形状である化粧品組成物が挙げられる。前記(b)及び(d)の化粧品組成物において、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上とは、あらかじめ混合、撹拌し、混合物として添加されることが好ましく、さらにこれらは粉砕して平均粒子径が30μm以下の微粉末として用いることが好ましい。
【実施例】
【0054】
さらに本発明の特徴について、実施例により詳細に説明する。
【0055】
まず、本発明に係る化粧品組成物に用いる炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の製造例を示す。
【0056】
[製造例1]
最初に、火山噴出物発泡体1000gを二酸化ケイ素濃度が27〜29重量%、酸化カリウム濃度が1〜23重量%のケイ酸アルカリ水溶液と混合攪拌し、プレス機(かんざき製)にて、荷重30kgf/cmでプレスした後、炭酸ガスを封入して硬化し、不燃性蓄熱体を製造した。この不燃性蓄熱体をバッチ炉の壁面、床面及び天井に取り付け、その中間部に前記不燃性蓄熱体で作成したすのこを敷き、前記すのこの下に1kgの木炭を入れて着火し、サツマイモ2kgをすのこ上に投入して、吸気口と排気口を開けずに90℃〜150℃で24時間加熱してサツマイモ炭を得た。このサツマイモ炭をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるサツマイモ炭粉砕物を得た。
【0057】
[比較製造例]
サツマイモ1kgを、東芝製オーブントースターに入れ、300℃で5時間直焼きして炭化させ、ジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるサツマイモ炭粉砕物を得た。
【0058】
[試験例1]
上記の製造例1及び比較製造例により得られたサツマイモ炭粉砕物について、含有成分の分析を日本食品分析センターに依頼した。製造例1により得られたサツマイモ炭粉砕物の炭素含有量は、52.4重量%であった。一方、比較製造例により得られたサツマイモ炭粉砕物の炭素含有量は、85重量%であった。また、製造例1及び比較製造例により得られたサツマイモ炭粉砕物についての分析結果を表1に示した。さらに、製造例1により得たサツマイモ炭粉砕物の水抽出物についての分析結果を表2及び3に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
表1より、製造例1により得られたサツマイモ炭粉砕物中には、トコフェロール類及びポリフェノール類が100gあたり3.0mg及び0.97gと相当量含まれ、化粧品組成物に使用した場合、皮膚に対して老化防止効果や細胞賦活効果を発揮し、皮膚の状態を改善し得ることが示唆された。これに対して、比較製造例により得られたサツマイモ炭粉砕物中には、カリウムは製造例1の場合と同程度含まれていたが、トコフェロール類含量は製造例1の場合の1/10以下であり、ポリフェノール類は製造例1の場合の約1/8の含量であり、これら有機成分はあまり残存していなかった。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
表2より、製造例1により得られたサツマイモ炭粉砕物の水抽出物中には、ヒ素、鉛、カドミウム等の有害金属等は検出されず、水を含有する化粧品組成物に使用した場合、安全であると考えられる。また、表3より、製造例1により得られたサツマイモ炭粉砕物の水抽出物中に、トコフェロール類及びポリフェノール類の溶出が若干認められ、前記サツマイモ炭粉砕物を水を含む化粧品組成物に含有させた場合、水中に溶出したトコフェロール類等による皮膚状態の改善効果も期待され得る。
【0064】
[製造例2]
上記製造例1のバッチ炉のすのこ上にニンジン1kgを投入して、吸気口と排気口を開けずに90℃〜150℃で24時間加熱してニンジン炭を得た。このニンジン炭をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるニンジン炭粉砕物を得た。
【0065】
[製造例3]
上記製造例1のバッチ炉のすのこ上にダイコン1kgを投入して、吸気口と排気口にそれぞれ5mmφの通気孔を3箇所開け、100℃〜300℃で12時間加熱してダイコン炭を得た。このダイコン炭をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるダイコン炭粉砕物を得た。
【0066】
[製造例4]
上記製造例1のバッチ炉のすのこの下部に竹炭1kgを入れて着火し、ホウレンソウ500gをすのこ上に投入して、吸気口と排気口にそれぞれ5mmφの通気孔を3箇所開け、80℃〜250℃で12時間加熱してホウレンソウ炭を得た。このホウレンソウ炭をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるホウレンソウ炭粉砕物を得た。
【0067】
[製造例5]
上記製造例1のバッチ炉のすのこの下部に練炭1kgを入れて着火し、ヨモギ500gをすのこ上に投入して、吸気口と排気口にそれぞれ5mmφの通気孔を3箇所開け、80℃〜200℃で12時間加熱してヨモギ炭を得た。このヨモギ炭をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるヨモギ炭粉砕物を得た。
【0068】
[製造例6]
上記製造例1のバッチ炉のすのこの下部に練炭1kgを入れて着火し、ダイコンの葉1kgをすのこ上に投入して、吸気口と排気口にそれぞれ10mmφの通気孔を3箇所開け、100℃〜300℃で4時間加熱してダイコン葉炭を得た。このダイコン葉炭をジェットミル粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製)により粉砕し、平均粒子径が10μmであるダイコン葉炭粉砕物を得た。
【0069】
[実施例1]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)150gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)150gと、製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)200gを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒型容器に充填して、24時間放冷した後、氷点下5℃で48時間冷凍し、取り出し融解して、固形状の化粧品組成物を得た。
【0070】
[実施例2]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)150gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量500;第一工業株式会社製)150gを加え、次いで製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)100g、及びシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)100gを混合、撹拌したものを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒型容器に充填して、24時間放冷した後、氷点下5℃で48時間冷凍し、取り出し融解して、固形状の化粧品組成物を得た。
【0071】
[実施例3]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)200gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)200gを加え、次いで製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)50g、及びシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)150gを混合、撹拌したものを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒型容器に充填して、24時間放冷した後、氷点下5℃で48時間冷凍し、取り出し融解して、固形状の化粧品組成物を得た。
【0072】
[実施例4]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)100gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)100gを加え、混合融解後ミツロウ(三木化学工業株式会社製)20gを添加した。次いで製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)50g、及びシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)150gを混合、撹拌したものを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒型容器に充填して、24時間放冷した後、5℃で48時間冷却して、固形状の化粧品組成物を得た。
【0073】
[実施例5]ペースト状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)100gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)100gを加えて混合融解後、ミツロウ(三木化学工業株式会社製)50gを添加した。次いで製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)50g、及びシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)150gを混合、撹拌したものを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒型容器に充填して、24時間放冷した後、5℃で48時間冷却して、ペースト状の化粧品組成物を得た。
【0074】
[実施例6]液状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)50gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)100gを加えて混合融解後、ミツロウ(三木化学工業株式会社製)50gを添加した。次いで製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)50g、及びシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)150gを混合、撹拌したものを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒型容器に充填して、24時間放冷した後、5℃で48時間冷却して、液状の化粧品組成物を得た。
【0075】
[実施例7]クリーム状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学工業株式会社製)200gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)100gを加え、次いでソルビタン脂肪酸エステル(商品名;ソルゲン、第一工業製薬株式会社製)150gとミツロウ(三木化学工業株式会社製)150gを添加、混合し、均一とした乳化液に、製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm))100gとシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)100gを混合、攪拌したものを添加し、均一な混合物になるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒形容器に充填して、24時間放冷した後、5℃で48時間冷却し、クリーム状の化粧品組成物を得た。
【0076】
[実施例8]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学株式会社製)150gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)150gを添加、混合し、製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm、)100g及びゼオライト(平均粒子径12μm;東ソー株式会社製)700gを混合、攪拌したものを添加し、均一な混合物となるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒形容器に充填して、24時間放冷した後、氷点下5℃で48時間冷凍して取り出し、融解して固形状の化粧品組成物を得た。
【0077】
[実施例9]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学株式会社製)150gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)150gを添加、混合し、製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm)100g及びタルク(平均粒子径10μm、林化成株式会社製)800gを混合、攪拌したものを添加し、均一な混合物となるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒形容器に充填して、24時間放冷した後、氷点下5℃で48時間冷凍して取り出し、融解して固形状の化粧品組成物を得た。
【0078】
[実施例10]固形状化粧品組成物の製造
精製水1000gを5Lのステンレス容器に取り、これにポリビニルアルコール(平均重合度500、ケン化度98.5モル%;日本合成化学株式会社製)150gを加え、攪拌しながら70〜80℃に加熱して完全に溶解させた。前記溶液にポリエチレングリコール(平均分子量1,000;第一工業株式会社製)150gを添加、混合し、製造例1のサツマイモ炭粉砕物(平均粒子径10μm、豊和直株式会社製)100g及び焼成カオリン(林化成株式会社製、平均粒子径2μm)900gを混合、攪拌したものを添加し、均一な混合物となるまで混練した。前記混練物を直径7cm、深さ4cmの円筒形容器に充填して、24時間放冷した後、氷点下5℃で48時間冷凍して取り出し、融解して固形状の化粧品組成物を得た。
【0079】
[比較例1]
実施例1において、製造例1のサツマイモ炭粉砕物を竹炭に代替した他は、実施例1と同様に製造した。
【0080】
[比較例2]
実施例1において、製造例1のサツマイモ炭粉砕物を比較製造例のサツマイモ炭粉砕物に代替した他は、実施例1と同様に製造した。
【0081】
[比較例3]
実施例2において、製造例1のサツマイモ炭粉砕物をシラス発泡粉粒体(「トワナライト FTB」、平均粒子径12μm、豊和直株式会社製)に代替し、混練物を放冷後50℃の温風で乾燥した他は、実施例2と同様に製造した。
【0082】
[比較例4]
実施例5において、製造例1のサツマイモ炭粉砕物及びシラス発泡粉粒体をシラス粉粒体(平均粒子径15μm、豊和直株式会社製)に代替した他は、実施例5と同様に製造した。
【0083】
[試験例2]
上記の実施例1及び2、並びに比較例1〜3の固形状化粧品組成物について、各群10名のパネラーによる使用試験を行った。パネラーとしては、ひじ及びかかとの角質が硬くなり、ひび割れ等が気になる18〜40才の男女を用いた。各群のパネラーに、本発明の実施例又は比較例の化粧品組成物をそれぞれダブルブラインドにて、4週間入浴後に使用させ、使用時の皮膚刺激感と、使用試験終了後の角質除去効果及び皮膚状態について評価させた。評価は次に示す評価基準に従って行わせ、「○」、「△」、「×」の三段階にて表4に示した。
【0084】
[評価基準]
(1)皮膚刺激感:「感じる」、「やや感じる」、「感じない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「感じない」と評価したパネラーが6名以上
△;「感じない」と評価したパネラーが3〜5名
×;「感じない」と評価したパネラーが2名以下
(2)角質除去効果:「ある」、「ややある」、「ない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「ある」又は「ややある」と評価したパネラーが6名以上
△;「ある」又は「ややある」と評価したパネラーが3〜5名
×;「ある」又は「ややある」と評価したパネラーが2名以下
(3)きめ:皮膚のきめが「改善された」、「やや改善された」、「変わらない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが6名以上
△;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが3〜5名
×;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが2名以下
(4)くすみ:皮膚のくすみが「改善された」、「やや改善された」、「変わらない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが6名以上
△;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが3〜5名
×;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが2名以下
(5)美白効果:「ある」、「ややある」、「ない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「ある」又は「ややある」と評価したパネラーが6名以上
△;「ある」又は「ややある」と評価したパネラーが3〜5名
×;「ある」又は「ややある」と評価したパネラーが2名以下
【0085】
【表4】

【0086】
本発明の実施例1及び2の固形状化粧品組成物を用いた場合、皮膚刺激感はほとんど感じられておらず、6名以上のパネラーにおいて角質除去効果が認められ、使用試験終了後皮膚のきめ及びくすみの改善が認められており、また美白効果も認められていた。これに対して、炭素含有量が80重量%以上である竹炭を用いた比較例1の固形状化粧品組成物については、角質除去効果、皮膚のきめ及びくすみの改善効果についての評価がやや低くなっていた。炭素含有量が85重量%で、トコフェロール及びポリフェノール含有量の低い比較製造例のサツマイモ炭粉砕物を用いた比較例2の固形状化粧品組成物については、ほとんどのパネラーにおいて皮膚刺激感が感じられており、角質除去効果及び皮膚のきめの改善効果は不十分であり、皮膚のくすみ改善効果や美白効果について、肯定的な評価をしたパネラーは2名以下であった。シラス発泡紛粒体を含有し、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物を含有していない比較例3の固形状化粧品組成物については、各評価項目についての評価がすべて低くなっており、特に、皮膚のきめの改善効果と美白効果については、肯定的な評価をしたパネラーは2名以下であった。
【0087】
次いで、上記の実施例5及び比較例4のペースト状化粧品組成物を用いて、顔面及び頭皮のマッサージを行わせた。顔面のマッサージは、20〜40才の脂性肌の男女パネラーにより行わせ、頭皮のマッサージは、頭皮の脂っぽさやフケが気になる20〜40才の男女パネラーにより行わせた。パネラーは1群10名を用い、各群に実施例5又は比較例4をそれぞれブラインドにて使用させた。使用後、以下に示す項目についてそれぞれ評価させ、以下に示す基準に従って「○」、「△」、「×」の三段階にて表5に示した。
【0088】
[評価項目及び基準]
(1)顔面又は頭皮の刺激感:「感じる」、「やや感じる」、「感じない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「感じない」と評価したパネラーが6名以上
△;「感じない」と評価したパネラーが3〜5名
×;「感じない」と評価したパネラーが2名以下
(2)顔面又は頭皮の感触:「良好」、「やや良好」、「悪い」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが6名以上
△;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが3〜5名
×;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが2名以下
(3)顔面又は頭皮の脂っぽさ:皮膚の脂っぽさについて、「改善された」、「やや改善された」、「変わらない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが6名以上
△;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが3〜5名
×;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが2名以下
(4)化粧のり:「良好」、「やや良好」、「悪い」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが6名以上
△;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが3〜5名
×;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが2名以下
(5)頭皮の感触:「良好」、「やや良好」、「悪い」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが6名以上
△;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが3〜5名
×;「良好」又は「やや良好」と評価したパネラーが2名以下
(6)頭皮の脂っぽさ:頭皮の脂っぽさについて、「改善された」、「やや改善された」、「変わらない」の3段階にて評価させ、評価結果は次により示した。
○;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが6名以上
△;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが3〜5名
×;「改善された」又は「やや改善された」と評価したパネラーが2名以下
【0089】
【表5】

【0090】
表5より明らかなように、本発明の実施例5のペースト状化粧品組成物を用いて顔面及び頭皮のマッサージを行った場合、ほとんど皮膚刺激感は感じられておらず、6名以上のパネラーにおいて、皮膚の感触、化粧のり及び頭皮の感触は良好又はやや良好と評価され、皮膚や頭皮の脂っぽさについても、6名以上のパネラーにおいて「改善された又はやや改善された」と評価されていた。これに対して、炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物を配合していない比較例4のペースト状化粧品組成物を用いた場合は、化粧のりと頭皮の脂っぽさの改善効果についての評価がやや低くなっていた。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、皮膚に対する刺激感がほとんどなく、古い角質の除去機能と皮膚の清浄機能に優れ、さらに皮膚の状態を改善し得る化粧品組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、高分子化合物を含有する、化粧品組成物。
【請求項2】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、羊歯植物門(Pteridophyta)及び種子植物門(Spermatophyta)に属する植物から選択される1種又は2種以上より得られるものである、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、穀物、豆類、イモ類、野菜、山菜、種実類、果物、ハーブ、香味料及び茶類として供される植物よりなる群から選択される1種又は2種以上の植物より得られるものである、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、サツマイモ、ジャガイモ、ニンジン、ダイコン、カブ、ホウレンソウ、ヨモギ、カキ、クリ、チャノキ、ショウガ、ニンニク、パセリ、モロヘイヤ、バジリコ、シソ、落花生よりなる群から選択される1種又は2種以上の植物より得られるものである、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、100gあたり0.5mg以上のトコフェロールを含有する、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物が、100gあたり0.2g以上のポリフェノールを含有する、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の平均粒子径が30μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びミツロウよりなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
さらに、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
さらに、カオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上とを、あらかじめ混合、撹拌し、混合物として含有してなる、請求項9又は10に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
炭素含有量が50重量%〜65重量%である植物炭粉砕物の1種又は2種以上と、火山噴出物粉粒体及び火山噴出物発泡粉粒体よりなる群から選択される1種又は2種以上、並びに/又はカオリン、ゼオライト及びタルクよりなる群から選択される1種又は2種以上との混合物が、平均粒子径が30μm以下の微粉末である、請求項11に記載の化粧品組成物。
【請求項13】
高分子化合物がポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項14】
高分子化合物がポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びミツロウである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化粧品組成物。

【公開番号】特開2010−280642(P2010−280642A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137732(P2009−137732)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(597086863)豊和直 株式会社 (11)
【Fターム(参考)】