説明

化粧支援装置及び方法

【課題】化粧の手間を軽減するとともに、化粧を行うための支援を行う。
【解決手段】化粧コンパクト2は、CCDカメラ6、LCD7、CPU20、顔パーツ識別検出部31、画像補正部32、化粧範囲一致判定部33を備える。ユーザが、自分の顔に眉描きを施し、CCDカメラ6で自分の顔を撮影する。撮影した画像データは、顔パーツ識別検出部31により、顔パーツ検出データが付加されてRAM26に記憶される。RAM26に画像データを記憶させた翌日に、ユーザが自分の顔を撮影した画像データは、顔パーツ識別検出部31により、顔パーツ検出データが付加されてバッファメモリ22に記憶される。画像補正部32は、記憶画像データと新画像データとにおける対象者Tの目のサイズが一致するように、新画像データを補正する。CPU20は、記憶画像P1と新画像P2とを、目の位置が一致するように重ねてLCD7に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧を支援する化粧支援装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧を施す際、例えば、眉描きの場合には、所望する眉形状になるように、眉描き鉛筆により描く。所望する眉形状になるように眉を描く作業は難しく、近年では、所望する眉形状の孔が形成された眉テンプレートを用いて、その孔部分を眉描き鉛筆で塗ることにより、所望の眉を描くことが提案されている。
【0003】
しかしながら、眉テンプレートを用いて所望の形状の眉を描いたときにも、その位置が所望する位置からズレてしまう等の不満があった。また、化粧は手間のかかるものであり、そのことに苦痛を感じることもある。このため、化粧の手間を軽減する技術が提案されている。
【0004】
特許文献1では、デジタルカメラで被験者の顔を撮像し、この顔画像データを表示装置に表示し、スイート、クール、キュート、フレッシュの4つのメーキャップイメージタイプのうち、被験者が選択したタイプに応じて、顔画像の頬部分に、頬紅を塗布して表示する頬紅メーキャップシュミレーションシステムが提案されている。
【特許文献1】特開2000−279228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、表示装置上で化粧のシュミレーションを行うことができるが、実際に化粧を施すときには、化粧品及び化粧道具を用いて施すため、化粧の手間を軽減することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、確実に化粧の手間を軽減することができるとともに、化粧を正確に施すための支援を行うことができる化粧支援装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の化粧支援装置は、化粧を施した対象者の顔を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像データを表示する表示手段と、前記撮影手段で撮影した画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された記憶画像データと前記記憶手段に記憶画像データを記憶させた以降に前記撮影手段で撮影した新画像データとを前記表示手段に表示する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記新画像データ及び前記記憶画像データに基づいて、対象者の顔のパーツを識別し、その位置及びサイズを検出する顔パーツ識別検出手段と、前記顔パーツ識別検出部の検出結果に基づいて、前記新画像データにおける顔パーツのサイズと前記記憶画像データにおける顔パーツのサイズとが一致するように、前記新画像データと前記記憶画像データとの少なくとも一方の表示画像サイズを補正する補正手段と、を備え、前記制御手段は、前記補正手段により補正された後、前記新画像データと前記記憶画像データとを、顔パーツの位置が一致するように前記表示手段に重ねて表示することが好ましい。なお、前記顔パーツ識別検出手段は、複数の顔パーツを識別し、それぞれの位置及びサイズを検出することが好ましい。
【0009】
さらに、前記補正手段は、対象者の顔に施された化粧範囲近傍の顔パーツのサイズが一致するように補正し、前記制御手段は、少なくとも前記化粧範囲と当該化粧範囲近傍の顔パーツとを前記表示手段に表示することが好ましい。なお、前記化粧範囲としては、眉描き範囲、口紅塗布範囲、マスカラ塗布範囲、ファンデーション塗布範囲、頬紅塗布範囲、アイシャドー塗布範囲等が挙げられる。また、前記化粧範囲近傍の顔パーツとしては、前記化粧範囲が眉描き範囲、マスカラ塗布範囲及びアイシャドー塗布範囲の場合には目、前記化粧範囲が口紅塗布範囲の場合には唇、前記化粧範囲がファンデーション塗布範囲及び頬紅塗布範囲の場合には鼻が挙げられる。
【0010】
また、前記新画像データにおける対象者の顔に施された化粧範囲と前記記憶画像データにおける対象者の顔に施された化粧範囲とが一致しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備えることが好ましい。なお、前記報知手段としては、LCD、スピーカ、LED等が挙げられる。
【0011】
さらに、本発明の化粧支援装置は、化粧を施す対象者の顔を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した画像データを表示する表示手段と、前記表示手段に表示され、前記撮影手段で撮影した化粧実施前の対象者の化粧前画像データに基づいて、対象者の顔の特定範囲を決定する決定手段と、前記撮影手段で撮影した化粧実施後の対象者の化粧後画像データに基づいて、前記特定範囲内の画像データを解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果が、予め設定された要素を満足しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。なお、前記特定範囲としては、化粧により隠したいシミ、シワ、ホクロ、そばかす、あざ等の範囲が挙げられる。また、前記予め設定された要素としては、化粧によりシミ等の前記特定範囲を隠せていること等が挙げられる。
【0012】
また、本発明の化粧支援方法は、化粧を施した対象者の顔を撮影した画像データを記憶し、この記憶された記憶画像データと記憶画像データが記憶された以降に対象者を撮影した新画像データとを、表示手段に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化粧支援装置によれば、記憶画像データと新画像データとを表示手段に表示するから、ユーザである対象者は、表示手段の表示内容を確認するだけで、以前に施した化粧と現在施している化粧との違いを容易に認識することができる。
【0014】
また、新画像データと記憶画像データとを、顔パーツの位置が一致するように表示手段に重ねて表示するから、ユーザである対象者は、より一層容易に、以前に施した化粧と現在施している化粧との違いを容易に認識することができる。
【0015】
さらに、本発明の化粧支援装置によれば、解析手段により特定範囲内の画像データを解析し、この解析結果が予め設定された要素を満足しているか否かを判定し、この判定結果を報知するから、ユーザである対象者は、特定範囲が予め設定された要素を満たしているかを容易に認識することができ、例えば、予め設定された要素が「シミが隠れていること」の場合には、ユーザにとって化粧により隠したいシミが隠れているか否かを容易に認識することができる。
【0016】
また、本発明の化粧支援方法によれば、記憶画像データと新画像データとを表示手段に表示するから、ユーザである対象者は、表示手段に表示内容を確認するだけで、以前に施した化粧と現在施している化粧との違いを容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に示すように、本発明を実施した化粧コンパクト(化粧支援装置)2は、カバー3とコンパクト本体4とを備え、カバー3は蝶番によりコンパクト本体4に開閉自在に取り付けられている。化粧コンパクト2は、撮影を行う撮影モードと、化粧の支援を行う化粧支援モードとで切り換え可能にされている。
【0018】
カバー3には、撮影レンズ5を有するCCDカメラユニット(撮影手段)6、撮影画像や各種設定条件が表示されるLCD(表示手段)7、電源のオン/オフを行うための電源ボタン8、撮影時に押圧操作されるレリーズボタン9、モードの切替え時に操作されるモード切替スイッチ10等が設けられている。
【0019】
レリーズボタン9は、2段押しの構造とされている。レリーズボタン9を軽く押圧(半押し)すると、フォーカシングなどの撮影準備動作が行われる。この状態でさらに押圧(全押し)すると、撮影動作が行われる。
【0020】
コンパクト本体4には、ファンデーションやマスカラ等の化粧剤を収納する化粧剤収納部11、眉描き用の眉描き鉛筆を収納する鉛筆収納部12、各種設定及び表示画像の切り換えを行うためのメニューキー13が設けられている。
【0021】
図2は、本発明の化粧コンパクト2内部の電気的構成を示すブロック図であり、撮影レンズ5の背後には、撮影レンズ5を透過した被写体光が撮像されるCCD14が配置されている。このCCD14には、CPU20によって制御されるタイミングジェネレータ19からタイミング信号(クロック信号)が入力される。CCD14から出力された信号は、相関二重サンプリング回路(CDS)15に入力され、CCD14の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR、G、Bの画像データとして出力される。CDS15から出力された画像データは、増幅器(AMP)16で増幅され、A/D変換器17でデジタルデータに変換される。
【0022】
画像入力コントローラ18は、データバス21を介してCPU20に接続されており、CPU20の命令によってCCD14,CDS15,AMP16,A/D変換器17を制御する。また、A/D変換器17から出力された画像データをビデオメモリ22、あるいはバッファメモリ24に書き込む。
【0023】
ビデオメモリ22は、LCD7をビューファインダとして使用する際に、解像度の低い画像データが一時的に記録される。ビデオメモリ22に記録された画像データは、データバス21を介してLCDドライバ23に送られ、LCD7に表示される。バッファメモリ24は、撮像された高解像度の画像データが一時的に記憶される。このバッファメモリ24から読み出された画像データは、メモリコントローラ25によって駆動制御されるデータリーダによりRAM(記憶手段)26に記憶される。
【0024】
画像信号処理回路27は、撮像された高解像度の画像データがバッファメモリ24内に記憶されている間に、例えば階調変換、色変換、画像の超低周波濃度成分の階調を圧縮するハイパートーン処理、粒状を抑制しながらシャープネスを強調するハイパーシャープネス処理等の画像処理を施す。
【0025】
顔パーツ識別検出部31は、画像データがバッファメモリ24内に記憶されている間に、記憶された画像データに基づいて、撮影された人物(以下、対象者と称する)の複数の顔パーツ(目、鼻、唇等)を識別してそれぞれの位置及びサイズを検出し、検出した顔パーツ検出データを画像データに付加する。すなわち、RAM26には、顔パーツ検出データが付加された画像データが記憶される。
【0026】
画像補正部32は、モード切替スイッチ10を操作して化粧コンパクト2を化粧支援モードに切り換えたことに応答して、画像データを補正するものである。画像補正部32は、図3に示すRAM26に記憶された画像データ(以下、記憶画像データと称する)における対象者の顔パーツ(例えば、目)のサイズと、図4(A)に示すバッファメモリ24に記憶された画像データ(以下、新画像データと称する)における対象者の目のサイズとが一致するように、新画像データの表示画像サイズを補正する。例えば、新画像データにおける対象者の目のサイズが、記憶画像データにおける対象者の目のサイズよりも小さい場合には、新画像データを拡大ズームする補正を行う。なお、RAM26に画像データが複数記憶されている(記憶画像データが複数ある)場合には、ユーザは、メニューキー13を操作して、1つの記憶画像データを選択する。
【0027】
図4(B)に示すように、画像補正部32により新画像データが補正されると、CPU(制御手段)20は、記憶画像データの記憶画像P1(図3及び図4(B)に実線で示す画像)と、新画像データの新画像P2(図4(A)に実線で示し、図4(B)に点線で示す画像)とを、目の位置が一致するように重ねてLCD7に表示する。このとき、記憶画像P1の上に新画像P2を表示する。また、CPU20は、記憶画像P1と新画像P2とを区別するために、例えば、新画像P2を点滅状態で表示する。これにより、ユーザは、記憶画像P1と新画像P2とを、容易に区別することができる。なお、上記した点滅表示に代えて、色を変えて表示したり、交互に表示して、記憶画像P1と新画像P2とを区別するようにしてもよく、適宜変更可能である。
【0028】
図2に示すように、化粧コンパクト2内部には、化粧範囲一致判定部(判定手段)33が設けられており、化粧範囲一致判定部33は、記憶画像データにおける対象者の顔に施された化粧範囲としての眉描き範囲(以下、記憶眉描き範囲と称する)と、補正された新画像データにおける対象者の顔に施された眉描き範囲(以下、新眉描き範囲と称する)とを検出し、検出した2つの眉描き範囲を比較して、一致しているか否かを判定する。化粧範囲一致判定部33は、一致していると判定した場合には、一致信号をCPU20に入力し、一致していないと判定した場合には、ズレ量を算出してズレ量に応じた不一致信号をCPU20に入力する。
【0029】
CPU20は、一致信号が入力されたことに応答して、「眉描き範囲は一致しています」というコメント画像をLCD7に表示し、不一致信号が入力されたことに応答して、ズレ量に応じたコメント、例えば上方に5mmズレている場合には、「眉描き範囲が上方に5mmズレています」というコメント画像40を、LCD7に表示する(図4(B)参照)。本実施形態では、LCD7は、化粧範囲一致判定部33の判定結果を報知する報知手段としても機能する。
【0030】
上記のように構成された化粧コンパクト2の作用について説明する。ユーザ(対象者)が、自分の顔に眉描きを施し、化粧コンパクト2を撮影モードにし、レリーズボタン9を操作して自分の顔を撮影する。撮影した画像は、CCD14、CDS15、AMP16、A/D変換器17、画像入力コントローラ18、データバス21を介して、画像データとしてバッファメモリ24に一時的に記憶される。なお、ユーザは、化粧コンパクト2を撮影モードにした状態で、LCD7をビューファインダとして使用することにより、LCD7に表示される自分の顔を見ながら化粧を施すことができる。
【0031】
顔パーツ識別検出部31は、画像データがバッファメモリ24内に記憶されている間に、記憶された画像データに基づいて、対象者の複数の顔パーツ(目、鼻、唇)を識別してそれぞれの位置及びサイズを検出し、検出した顔パーツ検出データを画像データに付加する。そして、バッファメモリ24に記憶された画像データは、メモリコントローラ25によって駆動制御されるデータリーダによりRAM26に記憶される。
【0032】
RAM26に画像データを記憶させた以降(例えば、翌日)に、ユーザが、自分の顔に眉描きを施し、以前に施した眉描き範囲と一致しているか否かを判定する場合には、先ず、ユーザは、レリーズボタン9を操作して自分の顔を撮影する。撮影した画像は、画像データとしてバッファメモリ24に一時的に記憶される。バッファメモリ24に記憶された画像データは、顔パーツ識別検出部31により検出された対象者の複数の顔パーツ(目、鼻、唇)それぞれの位置及びサイズの顔パーツ検出データが付加される。この状態で、ユーザが、モード切替スイッチ10を操作して化粧コンパクト2を化粧支援モードに切り換えると、画像補正部32は、RAM26に記憶された記憶画像データにおける対象者の目のサイズと、バッファメモリ24に記憶された新画像データにおける対象者の目のサイズが一致するように、新画像データの表示画像サイズを補正する。
【0033】
画像補正部32により新画像データが補正されると、CPU20は、記憶画像P1と新画像P2とを、目の位置が一致するように重ねてLCD7に表示する。このとき、記憶画像P1の上に新画像P2を表示し、さらには、記憶画像P1と新画像P2とを区別するめに、新画像P2を点滅状態で表示する。
【0034】
化粧範囲一致判定部33は、記憶画像データの記憶眉描き範囲と、補正された新画像データの新眉描き範囲とを検出し、検出した2つの眉描き範囲を比較して、一致しているか否かを判定する。化粧範囲一致判定部33は、一致していると判定した場合には、一致信号をデータバス21を介してCPU20に入力し、一致していないと判定した場合には、ズレ量を算出してズレ量に応じた不一致信号をCPU20に入力する。
【0035】
CPU20は、一致信号が入力されたことに応答して、「眉描き範囲は一致しています」というコメント画像をLCD7に表示する。
【0036】
一方、CPU20は、不一致信号が入力されたことに応答して、ズレ量に応じたコメント画像、例えば上方に5mmズレている場合には、「眉描き範囲が上方に5mmズレています」というコメント画像40をLCD7に表示する。
【0037】
このように、RAM26に記憶された記憶画像データにおける対象者の目のサイズと、バッファメモリ24に記憶された新画像データにおける対象者の目のサイズとが一致するように、画像補正部32で新画像データを補正した後、記憶画像P1と新画像P2とを、目の位置が一致するように重ねてLCD7に表示するから、ユーザは、以前に施した化粧と現在施している化粧との違いを容易に認識することができ、記憶画像P1の眉描き範囲と新画像P2の眉描き範囲とが一致するように、眉描きを施すだけで容易に、以前に施した化粧と同じ化粧を施すことができる。
【0038】
また、CPU20は、新画像P2を点滅状態で表示するから、ユーザは、記憶画像P1と新画像P2とを、容易に区別することができる。
【0039】
さらに、化粧範囲一致判定部33は、記憶眉描き範囲と、新眉描き範囲とが一致しているか否かを判定し、一致していると判定されたときには、CPU20は、「眉描き範囲は一致しています」というコメント画像をLCD7に表示するから、ユーザは、容易に、以前に施した化粧と現在施している化粧との一致を認識することができる。
【0040】
また、化粧範囲一致判定部33で一致していないと判定されたときには、CPU20は、ズレ量に応じたコメント画像、例えば上方に5mmズレている場合には、「眉描き範囲が上方に5mmずれています」というコメント画像40をLCD7に表示するから、ユーザは、容易に、以前に施した化粧と現在施している化粧とが一致していないことを認識することができ、さらには、そのズレ量も認識することができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、記憶画像データと新画像データとにおいて対象者に施された眉描き範囲が一致しているか否かを判定したが、一致しているか否かを判定する化粧範囲は、眉描き範囲に限定されることなく、口紅塗布範囲、マスカラ塗布範囲、ファンデーション塗布範囲、頬紅塗布範囲、アイシャドー塗布範囲等、適宜変更可能である。
【0042】
また、上記実施形態では、記憶画像データとしてユーザ自身の顔を撮影した画像データを用いたが、これに限定されることなく、例えば、モデルやタレント等の画像データを、RAM26に記憶させ、これらの画像データを、記憶画像データして用いるようにしてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、化粧範囲一致判定部33の判定結果を、LCD7に表示したが、これに限定されることなく、化粧範囲一致判定部33の判定結果を報知することができればよく、例えば、化粧コンパクト2に設けられたスピーカから、音声を発するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、本発明を化粧コンパクト2に実施したが、本発明は、デジタルカメラや、カメラ付き携帯電話等にも実施可能である。
【0045】
図5に他の実施形態を示す。上記実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を簡略化する。この実施形態では、化粧コンパクト2は、対象者に施した化粧が満足できるものであるかを判定する。図5(A)に示すように、ユーザが化粧前の自分の顔を撮影した化粧前画像データの化粧前画像P3をLCD7に表示し、この化粧前画像P3に基づいて、ユーザがメニューキー13を操作して、対象者の顔の特定範囲R(例えば、化粧で隠すシミSの範囲)を決定する。そして、決定した特定範囲Rを示す特定範囲データを化粧前画像データに付加した後、化粧前画像データをRAM26に記憶する。本実施形態では、メニューキー13は、対象者の顔の特定範囲Rを決定する決定手段としても機能する。
【0046】
次に、ユーザは、満足する化粧(シミSを隠す化粧)を施した自分の顔を撮影する。図5(B)に示すように、撮影した化粧満足画像P4はLCD7に表示され、化粧満足画像データとしてバッファメモリ24に一時的に記憶される。この化粧満足画像データには、顔パーツ識別検出部31により検出された対象者の複数の顔パーツ(目、鼻、唇)それぞれの位置及びサイズの顔パーツ検出データが付加される。この状態で、化粧コンパクト2を化粧支援モードに切り換えると、化粧満足画像データにおける対象者の目のサイズと、RAM26に記憶された化粧前画像データにおける対象者の目のサイズとが一致するように、画像補正部32は、化粧満足画像データの表示画像サイズを補正する。
【0047】
そして、化粧前画像データで決定した特定範囲データを、化粧満足画像データに対しても適用し、CPU20は、化粧満足画像データにおける対象者の顔全体の濃度Aを算出し、濃度Aに基づいて、特定範囲Rの濃度A1、濃度A1を下回る濃度の範囲の平均濃度A2、濃度A1を上回る濃度の範囲の平均濃度A3を算出し、これら濃度A1、平均濃度A2、平均濃度A3の各データを化粧満足画像データに付加した後、化粧満足画像データをRAM26に記憶する。本実施形態では、CPU20は、特定範囲R内の画像データを解析する解析手段としても機能する。
【0048】
RAM26に化粧満足画像データを記憶させた以降(例えば、翌日)に、ユーザが、自分の顔に化粧を施したときに、ユーザは、自分の顔を撮影する。撮影した画像は、判定画像データとしてバッファメモリ24に一時的に記憶される。この判定画像データには、顔パーツ識別検出部31により検出された対象者の複数の顔パーツ(目、鼻、唇)それぞれの位置及びサイズの顔パーツ検出データが付加される。この状態で、化粧コンパクト2を化粧支援モードに切り換えると、判定画像データにおける対象者の目のサイズと、RAM26に記憶された化粧前画像データにおける対象者の目のサイズとが一致するように、画像補正部32は、判定画像データの表示画像サイズを補正する。そして、化粧前画像データで決定した特定範囲データを、判定画像データに対しても適用し、CPU20は、判定画像データにおける対象者の顔全体の濃度Bを算出し、濃度Bに基づいて、特定範囲Rの濃度B1、濃度B1を下回る濃度の範囲の平均濃度B2、濃度B1を上回る濃度の範囲の平均濃度B3を算出する。
【0049】
CPU20は、(平均濃度B3−平均濃度B2)≦(平均濃度A3−平均濃度A2)を満たしているか否かを判定する。CPU20は、満たしていると判定した場合には、今回の化粧は満足いくもの(シミSを隠せている)である旨のコメント画像をLCD7に表示し、満たしていないと判定した場合には、今回の化粧は満足いくものではない(シミSを隠せていない)旨のコメント画像を、LCD7に表示する。これにより、ユーザは、容易にシミSを隠す化粧を施したか否かを認識することができる。本実施形態では、CPU20は、解析結果としての平均濃度の算出結果(濃度B、濃度B1、平均濃度B2、平均濃度B3)が、予め設定された要素を満足しているか否かを判定する判定手段としても機能する。
【0050】
なお、前記特定範囲Rは、シミSの範囲に限定されることなく、化粧により隠したいシワの範囲、ホクロの範囲、そばかすの範囲、あざの範囲等、適宜変更可能であり、特定範囲を複数にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を実施した化粧コンパクトを示す正面斜視図である。
【図2】化粧コンパクト内部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】記憶画像データを表示したLCDを示す正面図である。
【図4】新画像データを表示したLCDと、新画像データ及び記憶画像データを重ねて表示したLCDとを示す正面図である。
【図5】化粧前画像データを表示したLCDと、化粧満足画像データを表示したLCDとを示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
2 化粧コンパクト(化粧支援装置)
6 CCDカメラユニット(撮影手段)
7 LCD(表示手段)
10 モード切換スイッチ
13 メニューキー
20 CPU(制御手段)
26 RAM(記憶手段)
31 顔パーツ識別検出部(顔パーツ識別検出手段)
32 画像補正部(補正手段)
33 化粧範囲一致判定部(判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧を施した対象者の顔を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを表示する表示手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された記憶画像データと前記記憶手段に記憶画像データを記憶させた以降に前記撮影手段で撮影した新画像データとを前記表示手段に表示する制御手段と、を備えたことを特徴とする化粧支援装置。
【請求項2】
前記新画像データ及び前記記憶画像データに基づいて、対象者の顔のパーツを識別し、その位置及びサイズを検出する顔パーツ識別検出手段と、
前記顔パーツ識別検出部の検出結果に基づいて、前記新画像データにおける顔パーツのサイズと前記記憶画像データにおける顔パーツのサイズとが一致するように、前記新画像データと前記記憶画像データとの少なくとも一方の表示画像サイズを補正する補正手段と、を備え、
前記制御手段は、前記補正手段により補正された後、前記新画像データと前記記憶画像データとを、顔パーツの位置が一致するように前記表示手段に重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の化粧支援装置。
【請求項3】
前記補正手段は、対象者の顔に施された化粧範囲近傍の顔パーツのサイズが一致するように補正し、
前記制御手段は、少なくとも前記化粧範囲と当該化粧範囲近傍の顔パーツとを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2記載の化粧支援装置。
【請求項4】
前記新画像データにおける対象者の顔に施された化粧範囲と前記記憶画像データにおける対象者の顔に施された化粧範囲とが一致しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の化粧支援装置。
【請求項5】
化粧を施す対象者の顔を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影した画像データを表示する表示手段と、
前記表示手段に表示され、前記撮影手段で撮影した化粧実施前の対象者の化粧前画像データに基づいて、対象者の顔の特定範囲を決定する決定手段と、
前記撮影手段で撮影した化粧実施後の対象者の化粧後画像データに基づいて、前記特定範囲内の画像データを解析する解析手段と、
前記解析手段の解析結果が、予め設定された要素を満足しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする化粧支援装置。
【請求項6】
化粧を施した対象者の顔を撮影した画像データを記憶し、この記憶された記憶画像データと記憶画像データが記憶された以降に対象者を撮影した新画像データとを、表示手段に表示することを特徴とする化粧支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−22154(P2008−22154A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190744(P2006−190744)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】