説明

化粧料用組成物

【課題】高いセット性と再整髪性を持ちながら、スプレー、ミスト、ワックス状など幅広い製剤の自由度を有する化粧料用組成物及び毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】特定構造のベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位を含み、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい重合体、及び/又は特定構造のアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位を含み、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい重合体と、特定構造の化合物とを特定量比で配合した化粧料用組成物、及びそれを用いてなる毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定構造の重合体および化合物を特定の配合量で含む化粧料用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年若年層を中心に、ワックス状の整髪料(ヘアワックス)が広く受け入れられている。従来のヘアセット剤であるヘアムース、ジェル、スプレーなどが、樹脂が毛髪上でフィルムを形成してセット性を発現するのに対して、ヘアワックスは、カルナバロウ、キャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスを中心とした固形油分により、毛髪をまとめる、アレンジするといった整髪を実現している(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
ヘアワックスについても、これまで、より高い整髪性(セット力、維持性、再整髪性)および良好な使用感触を求めて開発が行われている。例えば、高重合度のポリエチレングリコール、ワックス、非イオン性界面活性剤を配合した整髪料(例えば、特許文献3参照)、12ヒドロキシステアリン酸とアルカリ剤を配合したヘアワックス(例えば、特許文献4参照)、などが開示されている。
【0004】
一方、両性ビニル系単量体または半極性ビニル系単量体を含有する重合体に関して、ヘアスタイルが崩れないようにしっかり固め、かつ湿度変化などでヘアスタイルが崩れないヘアムースやヘアジェル用毛髪化粧料用樹脂として、その技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−45546号公報
【特許文献2】特開2001−316228号公報
【特許文献3】特開2002−241243号公報
【特許文献4】特開2000−86450号公報
【特許文献5】特開平1−213219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3、4のように高い整髪性を求めて固形成分や樹脂を多量に配合すると、乳化が困難になり製剤化できなくなる問題や、また製剤化できたとしても頭髪への伸びが悪く、感触が悪くなるといった問題点がある。さらに、天然物由来の固形油分であるワックス類は、経時での臭いや安定した品質の提供といった面から課題があり、これに代わる素材が求められている。
【0007】
また、特許文献5に記載されるような重合体は、しっかり固めるヘアスタイルを作る場合に有効であるが、ヘアワックスなどの用途において求められている、柔軟な毛髪の感触や、一度セットしたスタイルを変えることができるといったような再整髪性を達成することができない。
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、高いセット性と再整髪性を持ちながら、スプレー、ミスト、ワックス状など幅広い製剤の自由度を有する化粧料用組成物及び毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ベタイン基および/又はアミンオキシド基を繰り返し単位に含有する重合体、および特定構造の化合物を特定量比で配合した化粧料用組成物において、毛髪に塗布した際に高いセット性と再整髪性を有しすることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は、下記[1]〜[6]に存する。
【0009】
[1]下記重合体群(A)のうちの少なくとも1つと、下記可塑剤群(B)のうちの少なくとも1つとを含有する化粧料用組成物であって、かつ重合体群(A)の配合量が0.1〜50重量%、可塑剤群(B)の配合量が重合体群(A)に対して重量比で0.1〜5倍である化粧料用組成物。
(重合体群(A)は、
一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位を含み、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい重合体(A−1)及び
一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位を含み、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい重合体(A−2)よりなる群であり、
化合物群(B)は、
一般式(6)で示される化合物(B−1)、
一般式(7)で示される化合物(B−2)及び
一般式(8)で示される化合物(B−3)
よりなる群である。)
【0010】
【化1】

(Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは−O−または−NH−を示す。)
【0011】
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を、RとRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基又は炭素数1〜24のアリールアルキル基を
、RとR10は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基又は炭素数1〜24のアリールアルキル基を、Yは二価の結合基を、mは0又は1の数を、nは0〜4の整数を、pは0〜3の整数を、Zは
【0012】
【化3】

−S− 又は−O− を、R11〜 R18のうち少なくとも一つは
【0013】
【化4】

を、他のR11〜R18はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24 のアリール基又は炭素数1〜24 のアリールアルキル基を、aとbはそれぞれ独立して1〜10の整数を、それぞれ示す。)
【0014】
【化5】

(上記R19は、炭素数1〜24のアルキル基または炭素数1〜24のアルケニル基を示し、R20、R21はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基またはヒドロキシル基を1個含有する炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。qは0又は1
の整数を示し、rは1〜4の整数を示し、Wはアニオン性の官能基または負に帯電した
酸素原子を示し、Vは炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシル基を1個含有する炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基を示す。)
【0015】
【化6】

(R23は、炭素数1〜24のアルキル基または炭素数1〜24のアルケニル基を示す。

[2]多価アルコールを1〜40重量%配合した[1]に記載の化粧料用組成物
[3]前記重合体群(A)の重合体について、一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位、あるいは一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位の、重合体内に占める割合が、15〜95重量%である[1]または[2]に記載の化粧料用組成物。
[4]前記化合物群(B)の化合物として、コカミドジエタノールアミド、コカミドプロピルベタイン、ラウラミンオキサイド及びイソステアリン酸からなる群のうちのいずれか1つを用いたものである[1]から[3]までのいずれか1つに記載の化粧料用組成物。[5]前記多価アルコールが、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトールのいずれか1種類以上である[1]から[4]までのいずれか1つに記載の化粧料用組成物。
[6][1]から[5]までのいずれか1つに記載の化粧料用組成物を用いてなる毛髪化粧料。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化粧料用組成物は、高いセット性と再整髪性を有する。また、当該化粧料用組成物は幅広い製剤の自由度を有するため、ミスト、ローション、スプレー、ムース、乳液、ワックスなど幅広い製剤形態とすることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートとの総称である。(メタ)アクリル、(メタ)アクリロイルについても同様である。また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0018】
1.化粧料用組成物
本発明の化粧料用組成物は、毛髪および皮膚に使用する任意の化粧料に用いられる。このような化粧料としては例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、染毛剤、パーマ剤、アウトバス用トリートメント、ヘアパック、ヘアワックス、ヘアスプレー、ヘアフォーム、スタイリング剤などの毛髪セット剤、ボディーシャンプー、メイククレンジング、ハンドソープ、乳液、化粧水、ローション、クリーム、美容液、日焼け止め、ファンデーション、口紅、マスカラ、アイシャドー、脱毛剤等を広く含むものである。また、その使用形態も、肌や毛髪等に塗布し全体によくなじませた後に洗い流す(すすぐ)ものや、洗い流さないもの等、いずれも含み得る。
【0019】
本発明の化粧料用組成物は、特にこれを含んでなる毛髪化粧料として好適である。また、毛髪のべたつき感を抑えつつ、再整髪性を有するような毛髪化粧料として特に好適である。毛髪化粧料としては、ローション、ミスト、スプレー、乳液、クリーム、ワックス状など種々の形態を取ることができ、本発明の化粧料用組成物を配合した毛髪化粧料は、初期セット性に優れ、風などにより髪が乱れた場合、自在な再整髪が可能である。
【0020】
本発明の化粧料用組成物は、重合体群(A)のうちの少なくとも1つと、化合物群(B)のうちの少なくとも1つとを含有する化粧料用組成物であって、かつ重合体群(A)の配合量の合計が0.1〜50重量%、化合物群(B)の配合量の合計が重合体群(A)の配合量の合計に対して重量比で0.1〜5倍である化粧料用組成物である。
重合体群(A)の配合量の合計は、本発明の化粧料用組成物100重量%に対して、0
.1重量%以上であり、0.5重量%以上であることがより好ましく、1.0重量%以上であることが更に好ましい。また、重合体群(A)の配合量の合計は、50重量%以下であり、30重量%未満であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましく、10重量%以下であることが更に好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。上記配合量が0.1重量%以上であるとセット性の点で好ましく、30重量%以下であるとべたつき感が低いという点で好ましい。
【0021】
化合物群(B)の配合量の合計は、重合体群(A)の配合量に対する重量比[(化合物群(B))/(重合体群(A))]で、0.1以上であり、0.25以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましい。また、化合物群(B)の配合量の合計は、重合体群(A)の配合量に対する重量比で、5以下であり、3以下であることがより好ましく、2以下であることが更に好ましい。上記配合量の重量比が、0.1以上であることは再整髪性の点で好ましく、5以下であることはセット力の点で好ましい。
【0022】
本発明の化粧料用組成物に配合する成分について、以下2〜6に詳述する。本発明の化粧料用組成物は、各成分を所定量で単純に混合することによって調整することができる。例えば、水やエタノールなどを溶媒として、撹拌しながら各成分を加えることが挙げられる。
2.重合体群(A)
本発明の化粧料用組成物に含有される重合体は、下記重合体群(A)のうちの少なくとも1種を用いるものである。重合体群(A)は、一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰返し単位から成り、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰返し単位を含んでいてもよい重合体(A−1)(以下、ベタイン基含有重合体と称することがある。)、及び一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれたアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰返し単位から成り、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰返し単位を含んでいてもよい重合体(A−2)(以下、アミンオキシド基含有重合体と称することがある。)よりなる群である。以下、本発明の化粧料用組成物に含有される重合体の構成単位について詳述する。
・重合体(A−1):ベタイン基含有重合体
本発明に係る重合体(A−1)は、下記一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰り返し単位を含むものであれば特に限定されない。一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰り返し単位を重合体に構成せしめる手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、特許第2596549号で示されるように一般式(9)で示すエチレン性不飽和単量体を含有させた重合体を作成し、ハロゲン化脂肪酸塩(両性化剤)などによって両性化する手法、あるいは特許第3032155号で示されるようにベタイン基含有エチレン性不飽和単量体のラジカル重合などが挙げられる。
【0023】
【化7】

前記一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基である。R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。RおよびRは、それぞれ独立に炭素数が1または2のものが好ましい。Xは−O−または−NH−であるが、−O−であることが好ましい。
【0024】
【化8】

24は水素原子又はメチル基を、R25は炭素数1〜4のアルキレン基を、R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、Tは−O−または−NH−をそれぞれ表す。R25は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状であることが好ましく、炭素数が1または2のものが好ましい。R26およびR27はそれぞれ独立に、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、直鎖状であることが好ましく、またそれぞれ独立に炭素数が1または2のものが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位としてより具体的には、N ,N−ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、( 以下、N,N−ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレートと略記する) 、N ,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N ,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N
,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N ,N−ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N
,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N ,N −ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの両性化物などに由来する構造に相当する繰り返し単位が挙げられる。これらの中でもN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N ,
N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートに由来する構造に相当する繰り返し単位であることが好ましく、上記の一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰り返し単位は1種類で重合したものでもよいし、2種以上を共重合したものでもよい。
【0026】
重合体(A−1)は、一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位に加えて、発明の効果を損なわない範囲において、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰り返し単位をもつように、次に挙げるエチレン性不飽和単量体を共重合させたものであってもよい。
【0027】
エチレン性不飽和単量体としては、例えば、炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;炭素数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル;更にはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル;(メタ)アクロイルモルホリン、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのノニオン性単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのアニオン系単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライドなどのカチオン性基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル系4級アンモニウム塩;L−アルギニンとグリシジルメタクリレートの反応物等のアミノ酸系のカチオン性単量体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルアルコールのアルキルエーテル;スチレン、α−アルキルスチレン、ブタジエン、イソプレン、プロペン、塩化ビニル、アクリルロニトリル等が例示できる。これらの中でも好ましいものは炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;炭素数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステルであり、より好ましいのは、炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。これらを用いる場合には1種類で用いても2種類以上で用いてもよい。
【0028】
一般式(1)で示されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰返し単位から成る構造の重合体(A−1)における構成比率は特に限定されるものではないが、組成物配合性および整髪性の観点から、重合体(A−1)100重量%に対して、一般式(1)で示されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰返し単位から成る構造部分の合計が15〜95重量%を占めることが好ましく、30〜90重量%を占めることが特に好ましい。また、その他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する構造部分の合計は、重合体(A−1)100重量%に対して、5〜85重量%を占めることが好ましく、10〜70重量%を占めることがより好ましい。
・重合体(A−2):アミンオキシド基含有重合体
本発明に係る重合体(A−2)は、下記一般式(2)〜(5)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位を含むものであれば特に限定されない。また、一般式(2)〜(5)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰り返し単位を重合体に構成せしめる手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体のラジカル重合、あるいは特許第3520674号で示されるように前記一般式(9)で示すエチレン性不飽和単量体を重合させた後、過酸化水素などによって変性する手法などが挙げられる。
【0029】
一般式(2)〜(5)について説明する。
【0030】
【化9】

前記一般式(2)〜(4)において、Rは水素原子又はメチル基である。前記一般式(2)において、RとRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1
〜24のアリール基又は炭素数1〜24のアリールアルキル基を、RとR10は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基又は炭素数1〜24のアリールアルキル基である。
【0031】
Yは二価の結合基であれば特に制限されないが、炭素数1〜10の二価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜8の二価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜6の二価の有機基であることが更に好ましい。更に、好ましい具体例は−(CO)O−(CH−、−(CO)NH−(CH−、−(CH−であり、より好ましいものは−(CO)O−(CH−、−(CO)NH−(CH−であり、特に好ましいのは−(CO)O−(CH−である。ここでxは1〜5の整数であり、好ましくは2または3の整数である。mは0又は1整数、nは0〜4の整数、pは0〜3の整数である。
【0032】
前記一般式(5)において、Zは
【0033】
【化10】

−S− 又は−O−であり、特に好ましいのは
【0034】
【化11】

である。R11〜 R18のうち少なくとも一つは
【0035】
【化12】

を、その他のR11〜 R1 8 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24 のアリール基又は炭素数1〜24 のアリールアルキル基である。aとbはそれぞれ独立して1〜10の整数である。
【0036】
一般式(2)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位としてより具体的には、N ,N−ジメチ
ルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、( 以下
、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートと略記する) 、N ,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N ,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リレート、N ,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N ,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N ,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N ,N −ジエチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸ビニル、p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン等のアミンオキシド化物、
或いは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸等の不飽和基含有酸無水物と、これら酸無水基との反応性基及び第三級アミノ基を同時に持つN , N−ジメチル−1
,3−プロパンアミン、N ,N −ジメチル−p−フェニレンジアミン等との反応物、
グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体と、これらエポキシ基との反応性基及び第三級アミノ基を同時に持つN ,N−ジメチル−1,3−プロパンアミン、N ,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン等の化合物との反応物、等のアミンオキシド化物が例示される。またグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体とヒドロキシエチル−N ,N −ジメチルアミンオキシドの様にエポキシ基と反応活性な基を含有したアミンオキシド含有物との生成物、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有単量体とヒドロキシエチル−N ,N−ジメチルアミンオキシド等のイ
ソシアネート基と反応活性な基を含有したアミンオキシド含有物との生成物が例示される。などが挙げられる。
【0037】
一般式(3)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位としてより具体的には、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4 − ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−メチル− 5 − ビニルピリジン、4−メチル−5−ビニルピリジン、6−メチル−5
−ビニルピリジン、2−チル−4−ビニルピリジン、3−メチル−4−ビニルピリジン、2−ラウリル−5− ビニルピリジン、2−ラウリル−4−ビニルピリジン、2−(t−
ブチル)−5−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−4−ビニルピリジン、等のアルキル、アリール、アルキルアリール基の付加物等のアミンオキシド化物が挙げられる。
【0038】
一般式(4)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位としてより具体的には、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、4−メチル−1−ビニルイミダゾール、5−メチル−1 −ビニルイミダゾール、2−ラウリル−1−ビニルイミダゾール、4−
(t−ブチル)−1−ビニルイミダゾール等のアミンオキシド化物が挙げられる。
【0039】
一般式(5)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位としてより具体的には、4−ビニルモルホリン、2−メチル−4−ビニルモルホリン、4−アリールモルホリン、1−ビニルピペリジン、4−メチル−4−ビニルピペリジン、2−ラウリル−1−ビニルピペラジン、4−メチルピペラジノエチルメタクリレート、等のアミンオキシド化物が挙げられる。
【0040】
上記一般式(2)〜(5)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する構造の中でも、一般式(2)で示されるものが最も好ましく、特に(メタ)アクリロイルオキシアルキレン化合物であって、一般式(2) のRとR
が炭素数1〜4のアルキル基であるものが最も好ましい。
重合体(A−2)は、一般式(2)〜(5)で表されるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位に加えて、発明の効果を損なわない範囲において、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する繰り返し単位をもつように次に上げるエチレン性不飽和単量体を共重合させたものであってもよい。当該エチレン性不飽和単量体としては、例えば、炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;炭素数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル;更にはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル;(メタ)アクロイルモルホリン、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのノニオン性単量体;アクリル酸、メタクリル酸などのアニオン系単量体;N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライドなどのカチオン性基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル系4級アンモニウム塩;L−アルギニンとグリシジルメタクリレートの反応物等のアミノ酸系のカチオン性単量体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルアルコールのアルキルエーテル;スチレン、α−アルキルスチレン、ブタジエン、イソプレン、プロペン、塩化ビニル、アクリルロニトリル等が例示できる。これらの中でも好ましいものは炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル;炭素数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド;エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステルであり、より好ましいのは、炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。これらを用いる場合には1種類で用いても2種類以上で用いてもよい。
【0041】
一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位の重合体(A−2)における構成比率は特に限定されるものではないが、組成物配合性および整髪性の観点から、重合体(A−2)100重量%に対して、一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位の部分の合計が、15〜95重量%を占めることが好ましく、30〜90重量%を占めることがより好ましい。尚、一般式(2)〜(5)のアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に相当する構造が複数種類存在する場合には、一般式(2)〜(5)の構成比には特に制限はない。また、その他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当する構造部分の合計は、重合体(A−2)100重量%に対して、5〜85重量%を占めることが好ましく、10〜70重量%を占めることがより好ましい。
【0042】
3.化合物群(B)
本発明の化粧料用組成物は、本発明に係る重合体群(A)から選ばれる1種類以上に、更に一般式(6)で示される化合物(B−1)、一般式(7)で示される化合物(B−2)および一般式(8)で示される化合物(B−3)からなる化合物群(B)のうちの1種
類以上含有するものである。化合物群(B)は、化合物(B−1)〜(B−3)のうちの1種で用いるだけではなく、化合物(B−1)および化合物(B−2)、化合物(B−1)および化合物(B−3)、または化合物(B−2)および化合物(B−3)の2種で、あるいは化合物(B−1)、化合物(B−2)および化合物(B−3)の3種で用いることも可能である。
【0043】
一般式(6)で表される化合物(B−1)、および(7)で表される化合物(B−2)を以下に示す。
【0044】
【化13】

一般式(6)および一般式(7)において、R19は、炭素数1〜24のアルキル基または炭素数1〜24のアルケニル基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルケニル基である。R20、R21はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはヒドロキシル基を1個含有する炭素数1〜4のヒドロキシア
ルキル基を示す。qは0又は1 の整数を示し、rは1〜4の整数を示し、Wはアニオン
性の官能基または負に帯電した酸素原子である。アニオン性の官能基は、負に帯電した官能基であれば特に限定されないが、具体的にはとしてはCO、CO2−、SO、SO2−、PO3−等が挙げられる。Wとして好ましいのものはCO、SO、または負に帯電した酸素原子であり、より好ましいものはCO、または負に帯電した酸素原子である。Vは炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシル基を1個含有する炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基を示す。
【0045】
一般式(6)で示される化合物(B−1)の具体例としては、ステアリン酸ジエタノールアミド、コカミドジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、コカミドモノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ルモノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、ベヘニン酸メチルモノエタノールアミド、ステアリン酸メチルモノエタノールアミド、コカミドメチルモノエタノールアミド、パルミチン酸メチルモノエタノールアミド、ミリスチン酸メチルモノエタノールアミド、ラウリン酸メチルモノエタノールアミドなどが挙げられ、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて好適に使用される。上記のうち、好ましいものとしてはコカミドジエタノールアミド、コカミドメチルモノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。以上で挙げた化合物(B−1)は1種で用いても2種以上で用いてもよい。
【0046】
一般式(7)で示される化合物(B−2)の具体例としては、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチル−プロピルスルホベタ
イン、ドデシル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、ドデシル−N,N−ジメチル−プロピルスルホベタイン、ドデシル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、ミリスチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、パルミチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシプロピルスルホベタイン、ドデカン酸アミドエチル−N−ヒ
ドロキシエチル−プロピオン酸及びその塩、テトラデカン酸アミドエチル−N−ヒドロキ
シエチル−プロピオン酸及びその塩、ラウリル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、オクチル
アミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、ステアリル−N,N−ジメチルスルホベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミ
ンナトリウム、ラウラミンオキサイド、ラウリルジエチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジエチルアミンオキサイド、パルミチルジメチルアミンオキサイド、パルミチルジエチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジエチルアミンオキサイド、等が挙げられる。上記のうち、好ましいものとしてはアルキルアミドプロピル−N,N−ジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピル−N,N−ジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、ラウラミンオキサイド、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。更に好ましくは、コカミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウラミンオキサイド、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。また、以上で挙げた化合物(B−2)は1種で用いても2種以上で用いてもよい。
また、一般式(8)で示される化合物(B−3)を以下に示す。
【0047】
【化14】

前記一般式(8)においてR23は、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルケニル基、またはヒドロキシル基を1つ含有する炭素数1〜24のヒドロキシアルキル基をであり、R23は直鎖状であっても、分岐状であっても環状であってもかまわない。化合物(B−3)として好ましいのはR23が分岐を有する炭化水素基であり、炭素数12〜22のものが好ましい。化合物(B−3)の好ましいものの具体例として、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられるが、より好ましいものはイソステアリン酸である。また、以上で挙げた化合物(B−3)は1種で用いても2種以上を併用してもよい。
【0048】
4.多価アルコール
更に、本発明の化粧料用組成物には、多価アルコールを配合することが好適である。多価アルコールとしては、ヒドロキシル基を複数有するものであれば特に限定はされないが、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、マンニトール、イノシトール、ポリグリセリン等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ポリグリセリンであり、特に好ましいのは、ポリエチレングリコール、ポリグリセリンである。尚、上記の多価アルコールは1種類だけで用いても、2種類以上を用いてもよい。
【0049】
多価アルコールの配合量は、化粧料用組成物100重量部に対して、1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることが更に好ましい。また、化粧料用組成物100重量部に対して、40重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、15重量%以下であることが更に好ましい。1%以上では使用後の再整髪性が向上する傾向にあり、40重量%以上であは残留物の流動性が低くなり、再整髪性が向上する傾向にある。
【0050】
5.溶媒または分散媒
本発明の化粧料用組成物は、通常化粧料用組成物に用いることの可能な溶媒または分散媒を用いることができる。例えば、水やエタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコールが挙げられる。これらの溶媒または分散媒を用いる場合には、化粧料用
組成物100重量%に対して95重量%以下の量で用いることが好ましい。
【0051】
6.任意成分
本発明の化粧料用組成物には、その効果を損なわない限り、上記2〜5で挙げた成分に加えて通常化粧料用組成物に配合することのできる成分を任意で含有することができる。化粧料用組成物に含有される任意成分は特に限定されず、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で配合することが可能である。係る成分としては下記のようなものが挙げられ、下記成分を適宜配合して化粧料用組成物を製造することができる。
【0052】
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。カチオン性高分子としては、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、カチオン変性ガラクトマンナン多糖類、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。また、アニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル重合体及びその塩、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/ステアレス20メタクリレート重合体及びその塩、等)、メタクリル酸誘導体、クロトン酸誘導体等が、ノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル重合体等)が、そして両性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体等)等が挙げられる。これらの水溶性高分子を用いる場合には化粧料用組成物100重量%に対して水溶性高分子を合計して5重量%以下で含有させることが好ましい。
【0053】
アニオン界面活性剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩等の洗浄剤組成物に常用されているものを用いればよい。これらのアニオン性界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。なお、アニオン界面活性剤は複数種を併用してもよい。アニオン界面活性剤を用いる場合には化粧料用組成物100重量%に対してアニオン界面活性剤を合計して20重量%以下で含有させることが好ましい。
【0054】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEと略することがある)ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等);POEグリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEモノオレエート等);POE脂肪酸エステル類(例えば、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POEアルキルエーテル類(例えば、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPと略することがある)アルキルエーテル類(例えば、POE・POPセチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE
・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等);POEミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POEソルビットミツロウ等);POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。親水性非イオン界面活性剤を用いる場合には化粧料用組成物100重量%に対して親水性非イオン界面活性剤を合計して20重量%以下で含有させることが好ましい。
【0055】
カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等)、アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ポリ(N,N′−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモリホニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、等が挙げられる。カチオン界面活性剤を用いる場合には化粧料用組成物100重量%に対してカチオン界面活性剤を合計して20重量%以下で含有させることが好ましい。
【0056】
油分としては、鎖状ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、三次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性シリコーン(アルキル変性シリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等)、直鎖アルコール(ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分岐鎖アルコール(モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)、炭化水素系油分(流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス)、エステル系油分(ホホバ油、カルナバワックス、オレイン酸オクチルドデシル)、トリグリセライド系油分(オリーブ油、牛脂、ヤシ油)、等が挙げられる。油分を用いる場合には化粧料用組成物100重量%に対して油分を合計して20重量%以下で含有させることが好ましい。
【0057】
上記に挙げたもの以外では、動植物の天然エキス及びその誘導体、クエン酸、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウム等の無機塩、アミノ酸類(グルタミン酸又はその塩、アルギニン又はその塩、グリシンなど)、ヒアルロン酸等の高分子類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、香料、色剤、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、起泡増進剤、等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。これらの成分を用いる場合には化粧料用組成物100重量%に対して、合計して20重量%以下で含有させることが好ましい。
【実施例】
【0058】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
<毛髪化粧料の調製>
表1に示した成分、配合量の処方で調製した。表1中、配合量の合計を100重量%としており、to 100とは、当該成分で全体量を100重量%としたことを示す。それぞれ、撹拌している水(実施例4ではエタノール)の中に各成分を添加してヘアローションとした。調製したヘアローションを用い、頭髪の初期整髪性および再整髪性を評価した。評価結果を表1に併せて示す。
【0059】
<評価方法>
1.初期整髪性
5名の評価パネルによって、各実施例、比較例で得られた毛髪化粧料の使用テストを行い、毛髪へのサンプル塗布時のセット性(初期整髪性)を下記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各人がつけた評価点の平均点を算出し、下記評価基準に基づいて評価した。
(評価点基準)
5点:非常にセットしやすい
4点:セットしやすい
3点:普通
2点:セットしにくい
1点:非常にセットしにくい
(評価基準)
◎:平均点が4点以上である
〇:平均手が3点以上4点未満である
△:平均点が2点以上3点未満である
×:平均点が1点以上2点未満である
2.再整髪性
5名の評価パネルによって、各実施例、比較例で得られたサンプル試料の使用テストを行い、毛髪へのサンプル塗布から3時間後に髪を乱し、再びセットしたときのセット性(再整髪性)を下記の評価点基準に基づいて評価した。
【0060】
次いで、各人がつけた評価点の平均点を算出し、下記評価基準に基づいて評価した。
(評価点基準)
5点:非常にセットしやすい
4点:セットしやすい
3点:普通
2点:セットしにくい
1点:非常にセットしにくい。
(評価基準)
◎:平均点が4点以上である
〇:平均手が3点以上4点未満である
△:平均点が2点以上3点未満である
×:平均点が1点以上2点未満である
<結果の評価>
1)実施例1〜5は、表1に示す初期整髪性、再整髪性の結果から、良好な初期整髪性、再整髪性を示した。
2)比較例1および2は、それぞれベタイン基含有重合体(A−1)、またはアミンオキシド基含有重合体(A−2)を含み、一般式(6)〜(8)で表される化合物群(B)に含まれる化合物を含まない化粧料用組成物であるが、初期整髪性に劣り、再整髪性が認められなかった。
3)比較例3は、重合体群(A)に含まれる重合体を含まず、一般式(7)で示す化合物(B−2)を含む化粧料用組成物であるが、初期整髪性、再整髪性ともに認められなかった。
【0061】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の化粧料用組成物は、良好な初期整髪性と再整髪性を有する。また、化粧料用組成物は、ミスト、ローション、スプレー、ムース、乳液、ワックスなど幅広い製剤形態とすることが可能である。
よって、毛髪化粧料、特に毛髪のべたつき感を抑えつつ、再アレンジ可能な再整髪性を有するような毛髪化粧料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記重合体群(A)のうちの少なくとも1つと、下記可塑剤群(B)のうちの少なくとも1つとを含有する化粧料用組成物であって、かつ重合体群(A)の配合量が0.1〜50重量%、可塑剤群(B)の配合量が重合体群(A)に対して重量比で0.1〜5倍である化粧料用組成物。
(重合体群(A)は、
一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位を含み、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい重合体(A−1)及び
一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位を含み、更に他のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい重合体(A−2)よりなる群であり、
化合物群(B)は、
一般式(6)で示される化合物(B−1)、
一般式(7)で示される化合物(B−2)及び
一般式(8)で示される化合物(B−3)
よりなる群である。)
【化1】

(Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、Rは炭素数1〜4のアルキレン基、Xは−O−または−NH−を示す。)
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を、RとRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基又は炭素数1〜24のアリールアルキル基を
、RとR10は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアリール基又は炭素数1〜24のアリールアルキル基を、Yは二価の結合基を、mは0又は1の数を、nは0〜4の整数を、pは0〜3の整数を、Zは
【化3】

−S−又−O−を、R11〜R18のうち少なくとも一つは
【化4】

を、他のR11〜R18はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜24 のアルキル基
、炭素数1〜24 のアリール基又は炭素数1〜24 のアリールアルキル基を、aとbはそれぞれ独立して1〜10の整数を、それぞれ示す。)
【化5】

(上記R19は、炭素数1〜24のアルキル基または炭素数1〜24のアルケニル基を示し、R20、R21はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基またはヒドロキシル基を1個含有する炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す。qは0又は1
の整数を示し、rは1〜4の整数を示し、Wはアニオン性の官能基または負に帯電した
酸素原子を示し、Vは炭素数1〜4のアルキレン基またはヒドロキシル基を1個含有する炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基を示す。)
【化6】

(R23は、炭素数1〜24のアルキル基または炭素数1〜24のアルケニル基を示す。)
【請求項2】
多価アルコールを1〜40重量%配合した請求項1に記載の化粧料用組成物。
【請求項3】
前記重合体群(A)の重合体について、一般式(1)で表されるベタイン基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するベタイン基含有繰り返し単位、あるいは一般式(2)〜(5)よりなる群から選ばれるアミンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構造に相当するアミンオキシド基含有繰り返し単位の、重合体内に占める割合が、15〜95重量%である請求項1または2に記載の化粧料用組成物。
【請求項4】
前記化合物群(B)の化合物として、コカミドジエタノールアミド、コカミドプロピルベタイン、ラウラミンオキサイド及びイソステアリン酸からなる群のうちのいずれか1つを用いたものである請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の化粧料用組成物。
【請求項5】
前記多価アルコールが、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトールのいずれか1種類以上である請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の化粧料用組成物。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の化粧料用組成物を用いてなる毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−219367(P2011−219367A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86478(P2010−86478)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】