説明

化粧料

【課題】 化粧料の使用時および使用後のすべり性、しっとり感などの使用感を向上させる。
【解決手段】 K/Pモル比が1未満であるメタリン酸カリウム、界面活性剤及び5重量%以上の水を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時のすべり性、しっとり感などの使用感を向上させた化粧料に関する。詳しくは、シャンプー、ボディシャンプーや洗顔料などの身体洗浄用の化粧料、および、リンス、ローションなどの洗浄用以外の用途に使用する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、シャンプー、ボディシャンプーや洗顔料などの身体洗浄用化粧料や、リンス、ローションなどの洗浄用以外の化粧料があり、液体、ゲル、固体など様々な形態をとっているが、使用時の使い勝手から水分を5重量%以上含むものが多い。
また従来より、化粧料には使用時および使用後の感触を向上させる目的で種々の添加剤が用いられている。例えば、すべり性やしっとり感を向上させる目的で、高級アルコール、エステル油やシリコーンなどの油性成分を配合することが知られている。しかし、これらの油性成分を、充分なすべり性やしっとり感が発現する量で配合した場合、化粧料の性能や安定性に影響を及ぼす場合が多い。特に、身体洗浄用化粧料に配合する場合は、起泡性が低下するといった欠点がある。
一方、特許文献1には、メタリン酸カリウムと可溶化剤を組合せた組成物であって、水との混合時に水の粘度を増加する組成物が記載されている。しかしながら、この組成物は水を実質的に含まない系に限定されており、これを化粧料とした場合には、剤型が固体や粉末のものに限定されたり、使用時に水に希釈、溶解する必要があり、簡便性に欠ける等の問題がある。
【特許文献1】特開平7−3031
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、シャンプー、ボディシャンプーや洗顔料などの身体洗浄用化粧料や、リンスやローションなどの洗浄用以外の化粧料に対し、使用時および使用後のすべり性、しっとり感などの使用感を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、K/Pモル比が1未満であるメタリン酸カリウム、界面活性剤及び5重量%以上の水を含有する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、使用時及び使用後のすべり性、しっとり感などの使用感に優れた化粧料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明に用いられる各成分について説明する。
1.メタリン酸カリウム
本発明に用いられるメタリン酸カリウムとは、(KPO3n(nは分子量が約1万〜数千万となる整数)で表される高分子量のメタリン酸カリウムであって、カリウムの一部が他の元素、好ましくはナトリウム、リチウム、アンモニウム又は水素、で置換されていてもよいものを云う。メタリン酸カリウムは、すべり性の観点から、そのK/Pモル比が1未満であり、好ましくは1未満〜0.8、より好ましくは0.99〜0.9、更に好ましくは0.99〜0.92である。なお、本発明でいうK/Pモル比とは、後述の実施例に記載の測定方法により測定される値をいう。
かかるメタリン酸カリウムは水への溶解度が非常に低いが、ナトリウムイオン源、リチウムイオン源、又はアンモニウムイオン源を含有する化合物を含む水溶液中ではこれらのイオンとの塩交換により水溶性を呈する。
【0007】
メタリン酸カリウムは一般的に以下に示すような製法で、製造される。
【0008】
【化1】

【0009】
即ち、リン酸二水素カリウム(KH2PO4) を加熱して分子間脱水を行うことにより、メタリン酸カリウムが生成するが、加熱温度と加熱時間等の因子により各種重合度の製品が得られ、脱水反応を高温で行うほど重合度は大きくなる。
本発明で使用するメタリン酸カリウムは、リン酸二水素カリウム(KH2PO4 )にリン酸(H3 PO4)をKH2PO4の0.25倍モル以下の量で加えて加熱して所望のK/Pモル比に調整できる。また、リン酸二水素カリウム以外にリン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素アンモニウム等が一部含まれているものを加熱して所望のK/Pモル比に調整できる。
【0010】
脱水反応を行う際の焼成温度としては、化粧料に配合した場合のすべり性の観点から、400℃以上が好ましく、500℃以上がより好ましく、600℃以上が更に好ましく、また、エネルギー消費の観点から、1500℃以下が好ましく、1300℃以下がより好ましく、1200℃以下が更に好ましい。
【0011】
メタリン酸カリウムの分子量としては、化粧料に配合した場合の使用感の観点から、1万以上が好ましく、10万以上がより好ましく、20万以上が更に好ましい。一方、入手のし易さから、5千万以下が好ましく、2千万以下がより好ましい。また、メタリン酸カリウムは、可溶化剤の存在下で水溶性を呈すれば、その分子量には特に上限は無く、高分子量のものほど使用感の効果は高い。なお、加熱時にリン酸二水素カリウム以外に一部リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム若しくはリン酸二水素アンモニウム等が含まれていた場合も、分子間脱水(縮合)したものであれば感触向上の効果を発現できる。
尚、メタリン酸カリウムの分子量は以下の方法で測定される。
【0012】
<メタリン酸カリウム分子量の測定方法>
メタリン酸カリウムの分子量とは重量平均分子量のことを指し、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーを用いて以下の条件で測定し、ポリエチレングリコールの較正曲線を用いて換算する。
カラム;東ソー(株)社製 GMPWXL+GMPWXL
移動相;0.02Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=90/10(重量比)
温度;40℃
流速;1mL/min
サンプル濃度、量;0.1重量%(可溶化剤トリポリリン酸ナトリウム0.6%)、100μL
検出器;示差屈折率検出器(RID)
【0013】
メタリン酸カリウムの化粧料に対する添加量は、すべり性と経済性の観点から、化粧料100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.3〜10重量部が更に好ましく、0.5〜5重量部が特に好ましい。
【0014】
2.界面活性剤
界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の1種以上が用いられる。
陽イオン性界面活性剤の例として、特開2000-178146号公報に記載の、下記一般式
【0015】
【化2】

【0016】
〔式中、R5、R6、R7及びR8のうち、少なくとも1個は総炭素数12〜28のアルコキシ基、好ましくは16〜28の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基、アルケノイルアミノ基、アルカノイル基又はアルカノイルオキシ基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、残余はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、Z-はハロゲンイオン又は有機アニオン、例えばアセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルフォネート、スルフェート、及びアルキルスルフェート基から選択されたものを示す。〕
で表わされる第4級アンモニウム塩が挙げられる。
上記化合物(6)の好ましい例として、R5、R6、R7及びR8のうち、少なくとも1個が総炭素数8〜22のアルコキシ基で置換していても良いアルキル基で、残余は、メチル基、エチル基、ベンジル基を示すものが挙げられる。さらに好ましい具体例としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムや塩化オクダデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムのような塩化モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムや塩化分岐ジアルキルジメチルアンモニウムのような塩化ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0017】
陰イオン性界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系、リン酸系及びアミノ酸系のものが好ましく、例えばアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等が挙げられる。
これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、又はポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩が好ましく、特に一般式(7)又は(8)で表されるものが好ましい。
R9O(CH2CH2O)pSO3M (7)
R10OSO3M (8)
〔式中、R9は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R10は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、pはエチレンオキサイド平均付加モル数で1〜5の数を示す。〕
【0018】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。このうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレンC8−C20脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルが好ましい。アルキルグリコシド類としては、アルキル基の炭素数8〜14で、糖(グルコース)の縮合度1〜2のものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、またモノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよいが炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0019】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアルキル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が好ましい。
【0020】
本発明の界面活性剤配合量は、製剤の形状、用途に応じて特に制限されないが、経済性の観点から、化粧料の0.1〜80重量%が好ましく、0.2〜50重量%、特に0.5〜20重量%が好ましい。
本発明の化粧料中のメタリン酸カリウムと界面活性剤との重量比は、すべり性発現とヌルツキ防止の観点から、メタリン酸カリウム/界面活性剤が1/1000〜200/1が好ましく、1/100〜10/1、特に1/30〜1/1が好ましい。
【0021】
本発明の化粧料がシャンプー、ボディシャンプー等の身体洗浄用化粧料の場合、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤の含有量は、起泡性及び使用感の向上の観点から、化粧料の0.2〜80重量%、更には0.5〜50重量%、特に5〜30重量%が好ましい。陽イオン性界面活性剤は、泡質及び安定性の向上の観点から、化粧料の0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜5重量%、特に0.5〜3重量%が好ましい。化粧料中のメタリン酸カリウムと界面活性剤との重量比は、使用感向上と洗浄時のすすぎ性の観点から、メタリン酸カリウム/界面活性剤が1/1000〜10/1が好ましく、1/100〜1/1、特に1/30〜1/3が好ましい。
【0022】
3.可溶化剤
メタリン酸カリウムは、水に極めて難溶性であるが、可溶化剤の存在下で水溶性を呈する。ここでいう可溶化剤とは、メタリン酸カリウム中のカリウムを置換できるナトリウムイオン源、リチウムイオン源及び/又はアンモニウムイオン源を含有する化合物を言う。よって、化粧料中において、メタリン酸カリウムと可溶化剤とを併用することで、化粧料を水に溶解させた際でもメタリン酸カリウムが溶解し、その結果、すべり性やしっとり感が向上するという利点がある。
【0023】
前記可溶化剤としては、メタリン酸カリウム中のカリウムを置換するすべてのナトリウム源、リチウムイオン源及び/又はアンモニウムイオン源を包含する。特に有用なのは、ナトリウム、リチウム及びアンモニウムの無機塩又は有機塩、例えば炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどのカルボン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリカルボン酸ポリマーナトリウム塩、ポリスルホン酸ポリマーナトリウム塩、ハロゲン化リチウム及び硫酸リチウムである。中でも、ナトリウムの無機塩又は有機塩が好ましい。
【0024】
前記メタリン酸カリウムは、メタリン酸カリウム中のカリウムイオンがナトリウムイオン、リチウムイオン及び/又はアンモニウムイオンに置換されることにより水溶性を呈するため、良好な使用感を得るにはメタリン酸カリウムが溶解できる状態で用いることが求められる。メタリン酸カリウム中のカリウムの一部を置換できれば効果を発現できるが、経済性の観点からは、化粧料中に含まれるメタリン酸カリウム中のカリウムイオンを完全に置換できる量のナトリウムイオン、リチウムイオン及び/又はアンモニウムイオンを供給できる可溶化剤の量が好ましい。かかる可溶化剤の量としては、メタリン酸カリウム中のカリウムイオンと同量のナトリウムイオン、リチウムイオン及び/又はアンモニウムイオンを供給できる量を1倍当量とすると0.5〜50倍当量が好ましく、1〜30倍当量がより好ましく、2〜20倍当量が特に好ましい。
【0025】
なお、化粧料中に別の目的で必要量のナトリウムイオン、リチウムイオン及び/又はアンモニウムイオンが配合されている場合は、可溶化剤を別途配合する必要はない。例えば、前に挙げた界面活性剤の塩や、キレート等も可溶化剤となりうる。
【0026】
4.水
本発明の化粧料中の水の量は5重量%以上であるが、使用時の簡便性の観点から60〜99重量%が好ましく、70〜97重量%が更に好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
【0027】
本発明の化粧料のpHは特に限定されないが、水で20重量倍に希釈したときの水溶液のpH(25℃)が2〜10であるのが好ましい。シャンプー等の身体洗浄用化粧料に使用する場合は、pH(25℃)5〜10が好ましい。一方、リンス、ローション等の洗浄用以外の化粧料に使用する場合は、pH(25℃)3〜7が好ましく。pHは、酸又はアルカリを加えて調整すればよい。
【0028】
本発明の化粧料は、更に油性成分を含有することができる。
油性成分としては、高級アルコール、シリコーン、及びエステル油、炭化水素類、グリセリド類、植物油、動物油、ラノリン誘導体、高級脂肪酸エステル類、等が挙げられ、高級アルコール、エステル油及び/又はシリコーンが好ましく、高級アルコール及び/又はシリコーンが特に好ましい。
更に、グリセリン、保湿剤、カチオン性ポリマー、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、液晶形成基剤、色素、香料、噴射剤、エデト酢酸塩やクエン酸塩などのキレート剤、pH調整剤、防腐剤、抗フケ剤等を、適宜配合することができる。カチオン性ポリマーとしては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体などが挙げられる。抗フケ剤としては、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミンなどが挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料は、常法に従って、水溶液、エタノール溶液、エマルション、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾールフォーム、スプレー等の所望の剤型にすることができる。また、メタリン酸カリウム、可溶化剤または可溶化成分、水のそれぞれ1成分もしくは2成分の接触を避ける剤型としても良い。
【0030】
身体洗浄用である化粧料として、ヘアシャンプー、ボディシャンプー、洗顔料、メイク落とし剤等の製品とすることができ、洗浄用以外の化粧料としては、へアリンス、へアコンディショナー、へアトリートメント、へアパック、ヘアカラー、へアスプレー、ワックス、トニック、染毛剤、クリーム、ローション、入浴剤等の製品とすることができる。
【実施例】
【0031】
本発明を実施例により更に詳しく記載する。
合成例1:メタリン酸カリウムの合成
以下の方法でメタリン酸カリウムを合成した。
KH2 PO4 (シグマアルドリッチジャパン株式会社製、試薬特級、K/Pモル比=1.00)136g(1.00モル)に、H3 PO4 (和光純薬工業株式会社製、試薬特級、純度85%、K/Pモル比=0)7g(0.06モル)を添加し、約800℃で3時間焼成した。得られた焼成物を乳鉢で粉砕し、メタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94)を得た。分子量は30万であった。
また、前記H3PO4を添加しないで、同様に比較品に用いたメタリン酸カリウム(K/Pモル比=1.00)を得た。分子量は30万であった。
【0032】
K/Pモル比は、以下の測定方法に従って求めた。
<K/Pモル比の測定方法>
白金ルツボに試料0.1gを採取し、更にLi2 4 7 を5g及び、剥離剤(重量比でLi2 CO3 :LiBr:LiNO3 =5:1:1)を0.5g加え、ビードサンプラ(東京科学(株)製、NT-2100)により、1230℃で溶融し、ガラスビードを作成した。
【0033】
蛍光X線装置((株)リガク製、ZSX100e)によりガラスビード中のK及びPを以下の条件で測定した(XRF強度)。
X線源 :Rh管球
電圧電流:50KV50mA
分光結晶 検出器 角度
K:LiF SC(シンチレーションカウンタ) 136.68度
P:Ge PC(プロポーショナルカウンタ) 141.19度
【0034】
K/Pモル比の計算は、KH2 PO4 (シグマアルドリッチジャパン株式会社製、試薬特級)をサンプルと同様に測定し、K/Pモル比1.00を基準として、サンプルのK/Pモル比を以下の計算により算出した。
【0035】
【数1】

【0036】
実施例1:シャンプー
合成例1で得られたメタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94、焼成温度:800℃)を用いて、常法にて表1に示す組成のシャンプーを調製し、以下の評価を行った。
あらかじめコールドパーマを施した日本人女性の毛髪20g(長さ20cm)を束ね、ヘアコンディショナー3.0gにて処理後、十分にすすぎ、シャンプーで洗浄を行なった。その際の洗浄時のすべり性、すすぎ時のすべり性と、その後、ドライヤーにて十分乾燥させた際の毛髪のしっとり感について、5名の専門パネラーにより、下記の基準に従って評価した。
4:非常に良好、3:良好、2:どちらともいえない、1:悪い。
5名の評価の平均点を求め、3.6以上を◎、2.6〜3.4を○、1.6〜2.4を△、1.4以下を×とした。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例2:ボディシャンプー
合成例1で得られたメタリン酸カリウムを用いて、常法にて表2に示す組成のボディシャンプーを用いて洗浄し、洗浄中のすべり性、すすぎ時のすべり性、タオルドライ後のしっとり感について、5名の専門パネラーにより、下記の基準に従って評価した。
4:非常に良好、3:良好、2:どちらともいえない、1:悪い。
5名の評価の平均点を求め、3.6以上を◎、2.6〜3.4を○、1.6〜2.4を△、1.4以下を×とした。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例3:ヘアシャンプー
次の組成のヘアシャンプーを調製した。
(重量%)
メタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94) 1.0
ポリオキシエチレン(2)硫酸ナトリウム 11.0
ラウリルポリグリコシド* 3.0
ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド 3.0
塩化セチルトリメチルアンモニウム 0.3
香料、メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0
*:マイドール10〔花王(株)製〕
【0041】
実施例4:ハンドソープ
次の組成のハンドソープを調製した。
(重量%)
メタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94) 0.8
ラウリルポリグリコシド* 15.0
塩化ベンザルコニウム 1.0
EDTA−2Na 0.6
ジプロピレングリコール 1.0
メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0
*:マイドール10〔花王(株)製〕
【0042】
実施例5:ヘアリンス
次の組成のヘアリンスを調製した。
(重量%)
メタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94) 1.2
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 10.0
ヒドロキシエチルセルロース 1.5
クエン酸ナトリウム 0.5
グリセリン 5.0
香料、メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0
【0043】
実施例6:洗顔料
次の組成の洗顔料を調製した。
(重量%)
メタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94) 0.5
ステアリン酸ナトリウム 15.0
イソステアリルグリセリルエーテル 0.5
グリセリン 10.0
香料、メチルパラベン 適量
精製水 バランス
計 100.0
【0044】
実施例3〜6で用いられたメタリン酸カリウム(K/Pモル比=0.94)は合成例1で合成されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
K/Pモル比が1未満であるメタリン酸カリウム、界面活性剤及び5重量%以上の水を含有する化粧料。
【請求項2】
更に可溶化剤を含有する請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
可溶化剤の量がメタリン酸カリウム中のカリウムイオンに対して少なくとも0.5倍当量の置換イオン源を含有してなる請求項2記載の化粧料。
【請求項4】
メタリン酸カリウム/界面活性剤の比率(重量比)が、0.001〜200である、請求項1〜3の何れか1項記載の化粧料。

【公開番号】特開2006−137713(P2006−137713A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329417(P2004−329417)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】