説明

化粧料

【課題】肌への負担の軽減とキメ改善効果、老化角質除去効果に優れ、しかもベタツキ感の少ない使用感触に優れた化粧料を提供する。
【解決手段】プロリン亜鉛錯体を0.01重量%〜1.0重量%、L−アルギニンを0.001重量%〜1.0重量%およびヨクイニンエキスを0.0001重量%〜5.0重量%配合することにより、老化角質除去効果及び肌のキメ改善効果に優れ、しかも肌に対する負担が少なく、肌へのベタツキ感が少ない使用感触に優れる効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌なじみに優れてベタツキ感及び肌への負担が少なく、老化角質を除去しつつ肌のキメを改善する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老化角質除去を目的とした化粧料は数多く市販されている。このような化粧料の多くは乳酸、グリコール酸などに代表されるサリチル酸やα−ヒドロキシ酸等の角質剥離成分を配合している。しかしながら、これらの角質剥離成分を配合した化粧料は、角質除去効果には優れているものの肌への負担が大きく、また、官能面でも好ましくなかった。
【0003】
上記のような従来の問題点を解消するために、比較的肌への負担が少ないクエン酸やフルーツ酸等を配合する方法が提案されているが、未だに肌への負担が少なく、かつ、肌のキメを改善する化粧料を得るに至っていない。
【特許文献1】特開平11−263707号公報
【特許文献2】特開2000−247907号公報
【特許文献3】特開2004−277295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、肌への負担の軽減とキメ改善効果に優れ、しかもベタツキ感の少ない使用感触に優れた化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
係る実情において、発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、プロリン亜鉛錯体とL−アルギニンとヨクイニンエキスを特定の割合で配合させることにより、老化角質除去効果及び肌のキメ改善効果に優れ、しかも、肌へのベタツキ感及び肌に対する負担が少なく、使用感触にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、プロリン亜鉛錯体を0.01重量%〜1.0重量%、L−アルギニンを0.001重量%〜1.0重量%及びヨクイニンエキスを0.0001重量%〜5.0重量%配合することにより、老化角質除去効果及び肌のキメ改善効果に優れ、しかも、肌へのベタツキ感及び肌に対する負担が少なく、優れた使用感触を可能とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧料は、肌に対する負担が少なく、老化角質除去効果及び肌のキメ改善効果に優れ、肌へのベタツキ感が少なく使用感触に優れているなど化粧料として優れた品質と効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いることができるプロリン亜鉛錯体は、グリシン、L−グルタミン酸、L−プロリン、水酸化ナトリウム、硫酸亜鉛を加熱混合して得られ、その構造は下記式1に示す。また、配合量は、有効であれば特に制限は無いが、プロリン亜鉛錯体の配合量が0.01重量%〜1.0重量%が好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
本発明に用いることができるL−アルギニンは、通常化粧料等に用いられるものであれば特に問題は無い。また、配合量は有効であれば特に制限は無いが、0.001重量%〜1.0重量%が好ましい。
【0011】
本発明に用いることができるヨクイニンエキスは、イネ科ジュズダマ属のハトムギ(Coix lacryma-jobi vai.ma-yuen)の種子より得られるエキスであれば特に制限は無い。また、配合量は有効であれば特に制限は無いが、乾燥重量換算で0.0001重量%〜5.0重量%が好ましい。そして、ヨクイニンエキスの抽出法は、有効成分が抽出可能であれば特に限定はされず、抽出溶媒も極性及び非極性溶媒が使用可能で、水であれば、約60℃で数時間抽出し得ることができる。エタノール抽出であれば、ソックスレー抽出を行うことによって得ることができる。
【実施例】
【0012】
以下、本発明を実施例及び比較例を例に挙げて詳しく説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
【0013】
プロリン亜鉛錯体、L−アルギニン及びヨクイニンエキスを配合した本発明の化粧水の実施例及び比較例を表1及び表2に示す。なお、実施例及び比較例の各化粧水の製法は常法に従い調製した。
【0014】
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
比較例として、ヨクイニンエキスに替わる成分として同じイネ科ジュズダマ属のジュズダマエキス、L−アルギニンに替わる成分として同じ塩基性アミノ酸であるL体の各セリン、リジン、プロリンを比較対照に試料を調製した。
【0017】
また、ベタツキ感の評価は専門パネラーによる官能により実施し、キメ改善効果はマイクロスコープにより評価し、老化角質除去効果についてはタンパク溶解試験により評価した。詳細は以下に説明する。
【0018】
〔官能評価方法〕
1.官能評価項目
ベタツキ感について実施した。
2.評価方法
表1に示す実施例処方及び表2に示す比較例処方で調製した化粧水を用い、専門女性パネラー10名に試料をランダムに使用させる方法を用いた。詳細には、1つの試料について、朝洗顔後及び就寝前の毎日2回、適量を顔面に塗布し、それを連続3日間継続し、4日後にベタツキ感について5段階で自己採点し、官能評価とした。そして、10名の平均を4段階に分け評価値とした。評価内容を表3に、実施例及び比較例の評価結果を表6に示す。なお、本評価を実施する際、皮膚刺激等の肌トラブル等は全くなかった。
【0019】
【表3】

【0020】
〔キメ改善確認〕
表1に示す実施例処方及び表2に示す比較例処方で調製した化粧水を用い、パネラー10名に試料をランダムに使用させる方法を用いた。詳細には、1つの試料について、試験開始前にマイクロスコープにて顔面頬の部位のキメを確認し、その後、朝洗顔後及び就寝前の毎日2回、適量を顔面に塗布し、それを連続3日間継続し、4日後に再度マイクロスコープにてキメの改善度合いを確認し4段階で評価した。評価内容を表4に、実施例及び比較例の評価を表6に示す。
【0021】
【表4】

【0022】
〔タンパク溶解試験〕
表1に示す実施例処方及び表2に示す比較例処方で調製した化粧水を用い、汚染布を用いて行った。詳細には、1つの試料について、汚染布を2cm四方に切り取り試験開始前に測色計にて明度を確認し、その後、30℃、1時間浸漬したのち、洗浄乾燥させる。その後明度を測定し明度の変化度合いを評価とした。評価内容を表5に、実施例及び比較例の評価を表6に示す。
【0023】
【表5】

【0024】
【表6】

【0025】
表6より、本発明である実施例1〜実施例3は、比較例1〜比較例10と比べて、キメ改善効果、老化角質除去効果及び塗布直後のベタツキ感の3項目全てに優れていることが判明した。また、各比較例の結果より、L−アルギニンに替えて他の同じ塩基性アミノ酸を配合した場合や、ヨクイニンエキスに替えて同じイネ科のジュズダマ属の成分を配合した場合、キメ改善効果、老化角質除去効果及び塗布直後のベタツキ感の3項目全てにおいて満足できる結果は得られなかった。このことは、プロリン亜鉛錯体とL−アルギニン及びヨクイニンエキスの組合せが特異的であり、前記3種の組合せの1つが他の成分に替わると相乗作用を有しない、言い換えれば、プロリン亜鉛錯体とL−アルギニン及びヨクイニンエキスの組合せにより各成分が相乗的に作用し、キメ改善効果、老化角質除去効果及び塗布直後のベタツキ感の3項目全てを向上させていることを意味している。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のプロリン亜鉛錯体、L−アルギニン及びヨクイニンエキスを組合せて特定量配合した化粧料は、肌にしっとり感を与え、肌なじみを良くしベタツキ感の少ない優れた使用感触が得られる効果を併せて有するため、広く化粧料に応用が期待できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロリン亜鉛錯体を0.01重量%〜1.0重量%、L−アルギニンを0.001重量%〜1.0重量%及びヨクイニンエキスを0.0001重量%〜5.0重量%含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2008−74762(P2008−74762A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254985(P2006−254985)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】