説明

化粧料

【課題】自然な仕上がりで、塗布直後及び長時間経過後も、毛穴などの肌の凹凸を、見る方向によらず目立ち難くする効果に優れた化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体
0.1〜30質量%、
(B)無機顔料を内包するポリマー粒子 0.1〜30質量%
を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、しわ、小じわ、毛穴等による肌の凹凸を見えにくくする化粧料として、体質顔料の光学特性を利用する試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面を無機珪素化合物で被覆せしめた被覆顔料を配合した化粧料が、過度の光沢を抑制できることが記載されている。また、特許文献2には、粒径の異なる球状粉体を組み合わせて用いた化粧料が、しわ、毛穴等の肌の凹凸を見えにくくすることが記載されている。更に、特許文献3〜6には、無機顔料を含有したポリマー粒子を含有する化粧料が、自然な仕上がりで、肌の凹凸を目立ち難くすることが記載されている。
【0004】
一方、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体を用いた化粧料は、耐摩擦性などの化粧持続性が向上することが知られている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−228406号公報
【特許文献2】特開平10−338616号公報
【特許文献3】特開2003−192538号公報
【特許文献4】特開2004−323473号公報
【特許文献5】特開2008−162942号公報
【特許文献6】特開2008−162941号公報
【特許文献7】特開2007−320960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような体質顔料の光学特性を工夫した化粧料においては、肌の凹凸を目立ち難くする効果が得られるものの、肌を見る方向によっては、その効果が十分得られない場合が多く、特に、長時間経過後に、そのような問題が顕著であった。
【0007】
本発明の課題は、自然な仕上がりで、塗布直後及び長時間経過後も、毛穴などの肌の凹凸を、見る方向によらず目立ち難くする効果に優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体と、無機顔料を内包するポリマー粒子を特定の割合で組み合わせて用いることにより、自然な仕上がりで、化粧持続性に優れ、塗布直後及び長時間経過後でも、毛穴などの肌の凹凸を、見る方向によらず目立ち難くする効果に優れた化粧料が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体
0.1〜30質量%、
(B)無機顔料を内包するポリマー粒子 0.1〜30質量%
を含有する化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧料は、自然な仕上がりで、くすみにくく、化粧持続性に優れ、塗布直後及び長時間経過後でも、毛穴などの肌の凹凸を、見る方向によらず目立ち難くする効果に優れたものである。本発明の効果が発現するメカニズムは必ずしも明らかではないが、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体と無機顔料を内包するポリマー微粒子の併用により、無機顔料を内包するポリマー微粒子が毛穴の周囲や内部にも付着し、均一に光拡散効果を発現できるためと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いる成分(A)のカルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体において、カルボシロキサンデンドリマー構造としては、次式(1)で表される基が好ましい。
【0012】
【化1】

【0013】
式中、Zは2価の有機基であり、pは0又は1であり、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基である。X1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0014】
【化2】

【0015】
式中、R1は前記と同じであり、R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、Xi+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基及び上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。iは該シリルアルキル基の階層を示している1〜10の整数であり、aiは0〜3の整数である。
【0016】
式(1)中、Zは2価の有機基であり、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、エステル含有2価有機基、エーテル含有2価有機基、ケトン含有2価有機基、アミド基含有2価有機基が例示される。これらの中でも、次式で示される有機基が好ましい。
【0017】
【化3】

【0018】
式中、R9は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が例示される。これらの中でもエチレン基、プロピレン基が好ましい。R10は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が例示される。これらの中でもメチル基が好ましい。R11は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基が例示される。これらの中でもエチレン基が好ましい。dは0〜4の整数であり、eは0又は1である。
【0019】
また、式(1)中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基又はアリール基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示され、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
1はi=1とした場合の次式で示されるシリルアルキル基である。
【0020】
【化4】

【0021】
式中、R1は前記と同じである。R2は炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基などの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基が例示される。これらの中でも、エチレン基、メチルエチレン基、ヘキシレン基、1−メチルヘプチレン基、1,4−ジメチルブチレン基が好ましい。R3は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基が例示される。Xi+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基および上記シリルアルキル基からなる群から選択される基である。aiは0〜3の整数である。iは1〜10の整数であり、これは該シリルアルキル基の階層数、即ち、該シリルアルキル基の繰り返し数を示している。
【0022】
成分(A)のビニル系重合体としては、(A1)(A2)以外のビニル系単量体 0〜99.9質量部と、(A2)一般式(2):
【0023】
【化5】

【0024】
(式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R1及びX1は前記と同じである。)
で表されるラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー 100〜0.1質量部とを(共)重合させてなるカルボシロキサンデンドリマー構造を含有するビニル系重合体が好ましい。
【0025】
上記式中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が例示される。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が例示される。これらの中でもメチル基,フェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0026】
このビニル系重合体において、(A1)成分のビニル系単量体は、ラジカル重合性のビニル基を有するものであれば良く、その種類等については特に限定されない。かかるビニル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の低級アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の高級アルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメトキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド等のアミド基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリセリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸含有ビニル型単量体及びそれらの塩;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2ーエチルヘキシルビニルエーテル等のエーテル結合含有ビニル型単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アリルグリシジルエーテル、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の反応性基含有モノマー;片末端に(メタ)アクリル基を含有したポリジメチルシロキサン、片末端にスチリル基を含有するポリジメチルシロキサンなどのマクロモノマー類;ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;(メタ)アクリロニトリル;フマル酸ジブチル;無水マレイン酸;スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなスルホン酸基を有するラジカル重合性不飽和単量体、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのような(メタ)アクリル酸から誘導される4級アンモニウム塩;メタクリル酸ジエチルアミノエチルのような3級アミノ基を有するアルコールのメタクリル酸エステル、ビニルピリジンおよびそれらの4級アンモニウム塩などが例示される。
【0027】
また、多官能ビニル系単量体も使用可能であり、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、スチリル基封鎖ポリジメチルシロキサンなどの不飽和基含有シリコ−ン化合物等が例示される。
【0028】
成分(A2)のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式(2)で表されるラジカル重合可能な有機基を有するものであれば良く、その種類等については特に限定されない。一般式(2)中、Yはラジカル重合可能な有機基であり、ラジカル反応可能な有機基であればよいが、具体的には、下記一般式で表される(メタ)アクリロキシ基含有有機基、(メタ)アクリルアミド基含有有機基、スチリル基含有有機基、炭素原子数2〜10のアルケニル基等が挙げられる。
【0029】
【化6】

【0030】
(式中、R4及びR6は水素原子又はメチル基であり、R5及びR8は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基である。bは0〜4の整数であり、cは0または1である。)
【0031】
このようなラジカル重合可能な有機基としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、2−メタクリロイルオキシエチル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基、4−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−(2−プロペニル)フェニル基、3−(2−プロペニル)フェニル基、2−(4−ビニルフェニル)エチル基、2−(3−ビニルフェニル)エチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、5−ヘキセニル基が挙げられる。
【0032】
一般式(2)において、i=1、すなわちシリルアルキル基の階層数が1である場合、(A2)成分のカルボシロキサンデンドリマーは、一般式:
【0033】
【化7】

【0034】
(式中、Y,R1,R2およびR3は前記と同じであり、R12は水素原子または前記R1と同じである。a1は前記aiと同じであるが、1分子中のa1の平均合計数は0〜7である。)で表される。
このようなラジカル重合可能な有機基を含有するカルボキシデンドリマー(A2)としては、下記平均組成式で示されるカルボシロキサンデンドリマーが例示される。
【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
このようなカルボシロキサンデンドリマーは、例えば、特開平11―1530号公報、特開2000−63225号公報等に記載された製造方法に従って製造することができる。
【0038】
本発明で用いられるデンドリマー構造を含有するビニル系重合体において、上記(A1)成分と(A2)成分の質量割合は、(A1):(A2)=0:100〜99.9:0.1が好ましく、5:95〜90:10がより好ましく、更に10:90〜80:20となる範囲であるのが好ましい。
【0039】
本発明で用いられる成分(A)のカルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体の数平均分子量は、化粧品原料としての配合のしやすさから、好ましくは、3,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは、5,000〜800,000である。また、その性状は、常温で液状、ガム状、ペースト状、固体状などのいずれでも良いが、得られる化粧皮膜の持続性の観点から、固体状のものが好ましい。また、配合性の観点からは、溶媒によって希釈された溶液や分散液であることが好ましい。
【0040】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体が特に好ましく、FA4001CM(デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA4002ID(イソドデカン溶液)(以上、東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
【0041】
成分(A)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%含有される。含有量を0.1質量%以上とすることで、パウダーファンデーションを重ね塗りした時の凹凸を目立たなくすることができる。また、含有量を30質量%以下とすることで、使用時に良好な伸びを得ることができる。
【0042】
本発明で用いる成分(B)のポリマー粒子は、無機顔料を内包するものである。
ポリマー粒子中における無機顔料の内包のされ方に特に制限は無く、例えば、ポリマー粒子全体に均一に分布するもの、粒子表面近傍に分布するもの、内部に偏在するもの等を用いることができる。
無機顔料としては、白色無機顔料、赤色無機顔料、黄色無機顔料、黒色無機顔料、セラミック顔料等が挙げられる。
【0043】
成分(B)のポリマー粒子は少なくとも1種の白色顔料を含有するものであることが、適度な隠蔽性を発現する上で好ましい。また、白色顔料内包粒子に加えて、有色の顔料を含有するものを用いることが、より自然な仕上がりを得ることができる点で好ましい。
成分(B)のポリマー粒子は、各色の顔料を別々に単体で含有していても良いし、適当な割合で混合されたものを含有していても良い。混合された顔料を内包させる場合は、少なくとも一種類の白色の顔料を含有することが、調色のしやすさの点で好ましく、白色と赤色を混合して含有する粒子、及び又は、白色と黄色を混合して含有する粒子を用いることが好ましく、さらに白色と赤色と黄色の3種を混合して含有する粒子を用いることが色別れを生じることがなく、滑らかで、厚塗り感のない自然な仕上がりが得られる点でより好ましい。
【0044】
白色無機顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型等)等の金属酸化物;酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物、酸化アルミニウム/酸化マグネシウム複合酸化物、酸化カルシウム/酸化ジルコニウム複合酸化物等の複合金属酸化物;硫酸バリウム等の硫酸塩;炭酸カルシウム等の炭酸塩などが挙げられ、これらの白色無機顔料は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、化粧料中における安定性等の観点から、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、酸化亜鉛/二酸化チタン複合酸化物が好ましく、特に、二酸化チタンが好ましい。
【0045】
赤色無機顔料としては、例えば、ベンガラ、酸化鉄/酸化チタン焼結物、カドミウムレッド、モリブデンレッド等が挙げられ、ベンガラが好ましい。
黄色無機顔料としては、例えば、黄酸化鉄、酸化セリウム、ビスマスバナジウムイエロー、黄鉛、カドミウムイエロー等が挙げられ、黄酸化鉄が好ましい。
さらに、黒色無機顔料としては、黒酸化鉄等が挙げられ、セラミック顔料としては、陶磁器顔料等が挙げられる。
【0046】
無機顔料の平均粒径は、それぞれ0.01〜0.5μmであるのが、ポリマー粒子中に均一に分散させる点から好ましい。
【0047】
(B1)白色無機粉体、(B2)赤色無機顔料、及び(B3)黄色無機顔料を内包する場合、これらのポリマー粒子中の質量割合は、光の短波長側をカットして、毛穴・色ムラを目立たないようにさせる観点から、50〜99.8:0.1〜20:0.1〜30であるのが好ましく、50〜97:1〜20:2〜30、特に60〜97:1〜15:2〜25、更に70〜97:1〜13:2〜17であるのがより好ましい。
なお、このような場合であっても、無機顔料として、前記(B1)、(B2)及び(B3)以外に、黒色無機顔料や、セラミック顔料などを含有することができる。
【0048】
無機顔料には、例えば、撥水性を付与するアルキルシラン処理、シリコーン処理;撥水・撥油性を付与するフッ素処理等の表面処理が施されていることが好ましい。アルキルシラン処理、シリコーン処理が施された無機顔料は、一般的な有機溶媒中への分散性に優れ、フッ素処理が施された無機顔料は、フッ素系溶媒中への分散性に優れている。アルキルシラン処理としては、トリメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等が用いられる。シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンシリコーン、シラノール含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン等が用いられる。フッ素処理としては、パーフルオロアルキル燐酸エステル、パーフルオロポリエーテル等が用いられる。
【0049】
ポリマー粒子中における無機顔料の含有量は、合計で5〜40質量%、特に10〜20質量%であるのが、粉体の光透過性と光散乱性のバランス面で好ましい。
【0050】
一方、母となるポリマーとしては、疎水的な性質を示し、化粧料に通常用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂等をはじめ、ラウリル(メタ)アクリレート−エチレングリコールジ(メタ)アクリレートコポリマー、イソステアリルアクリレート−ジビニルベンゼンコポリマー、架橋ポリウレタン等の架橋ポリマーが挙げられる。これらのポリマーのうち、重合体が透明又は半透明であり、その製造が容易であって、粒子強度及び耐溶剤性に優れるものが好ましく、架橋ポリマーが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート−エチレングリコールジ(メタ)アクリレートコポリマーが特に好ましい。
【0051】
ポリマーに無機顔料を内包させる方法は、用いられるポリマーの種類により適宜選択することができる。例えば、ポリマーの種類がナイロン樹脂の場合、パラフィン等と環状ラクタムとを混合して、加熱、溶解させ、得られた混合物に、所望量の無機顔料の粉末を添加する。これを、かき混ぜながら、重合促進剤、例えば、三塩化リン等を添加してアルカリ重合を行ない、粒子を得る。更に該粒子を濾別し、得られた粒子を、有機溶剤、例えば、イソプロピルアルコール、ベンゼン等又は水で洗浄し、次いで、乾燥する方法等が挙げられる。
【0052】
また、例えば、ポリマーの種類がシリコーン樹脂の場合、アンモニア、アミン等の水溶液と無機顔料の粉末とを混合し、得られた混合物に加水分解性シラン、アルコキシシラン、アセトキシシラン等を混合してアルコキシシラン等を加水分解する。次いで、アルコキシシラン等の加水分解物と、アルコキシシラン等の加水分解物又は加水分解されていないアルコキシシラン等との縮合反応を行ない、粒子を得る。更に該粒子を濾別し、得られた粒子を水洗して乾燥する方法等が挙げられる。
【0053】
さらに、例えば、ポリマーの種類が、アクリル酸系樹脂の場合、モノマーとして(メタ)アクリル酸エステル、重合開始剤として、例えばラウロイルパーオキサイド等のラジカル発生剤を混合して溶解し、得られた混合物に、所望量の無機顔料を添加して分散させる。得られた分散液をポリビニルアルコール水溶液に添加して分散させ、撹拌しながら加熱して重合(懸濁重合)を行ない、粒子を得る。該粒子を濾別し、得られた粒子を水洗して乾燥する方法等が挙げられる。
【0054】
また、ポリマー粒子内における無機顔料の分散状態は、高分散状態であることが好ましく、分散状態をコントロールする方法としては、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、アトライターミル、ボールミル等の機械を用いる分散方法;低分子界面活性剤〔例えば、アニオン界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等)、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等〕、高分子分散剤〔例えば、デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルポリシロキサン等〕などを用いる分散方法等が挙げられる。
【0055】
成分(B)のポリマー粒子の平均粒径は、毛穴等の皮溝部や皮丘部に対して均一な付着性を発現することにより、自然な透明感のあるなめらかな仕上がりを与えつつ、肌の凹凸を目立ちにくくするとともに、使用時のきしみ感等を抑制して良好な使用感を与え、使用者に違和感を与えないようにする観点から、1μm以上、特に3μm以上であるのが好ましい。なお、ポリマー粒子の平均粒径の上限値は、使用時の粉っぽさを抑える観点から、30μm以下、特に15μm以下であるのが好ましい。成分(B)のポリマー粒子の粒子径分布に特に制限はないが、上記した範囲において幅広く分布しているものが、パウダーファンデーションを重ね付けした時の凹凸の隠れやすさや、ななめ方向からの観察における毛穴が目立ち難さの点で好ましい。
本発明において、平均粒径とは、エタノールを溶媒とし、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定された体積基準平均粒径をいう。なお、ポリマー粒子中の顔料の粒子径は、電子顕微鏡観察により測定しても良い。
【0056】
成分(B)のポリマー粒子の形状は、球状、紡錘状、棒状、板状、不定形状などいずれでも良く、光散乱効果と使用感に優れる点から、球状、紡錘状が好ましい。「球状」とは、真球である必要はなく、例えば、真球状のもの;略球状のもの;正反射及び/又は乱反射を抑制する性質を発現する回転楕円体;球状のものの表面に凹凸があるもの等をいう。
【0057】
また、成分(B)のポリマー粒子は、肌の色むらと肌の凹凸や毛穴を目立たなくさせる効果の点から、全透過率は30%以上90%未満、特に、40%以上80%未満であるのが好ましく、ヘイズ値は45以上100未満、特に、60以上100未満であるのが好ましい。全透過率とヘイズ値の測定は、粉体0.4g、アミノ変性シリコーン(SF8417、東レ・ダウコーニング社)1.6gを良く練り込んだものをガラス板へ25μmのアプリケータを用いて塗布して、JISK7361−1、JISK7136法にて、波長550nmをピークとした光、8°視野光を用いて行う。測定には市販の機器、例えば、Haze−meter HM−150(村上色彩技術研究所社製)等を用いることができる。
【0058】
ポリマー粒子は、そのままの状態で用いることができるが、更にその表面に、通常用いられている疎水化処理剤で疎水化処理を施して用いることもできる。疎水化処理剤としては、通常用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルクロロシラン等のアルキルシリル化剤、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン等のシリコーン油、脂肪酸金属塩、アルキルリン酸、アルキルリン酸のアルカリ金属塩又はアミン塩、炭素数8〜22のN−モノ脂肪族アシル塩基性アミノ酸、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステル等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。疎水化処理剤のうち、特に、アルキルトリアルコキシシラン、シリコーン油、パーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルが好ましい。
【0059】
成分(B)のポリマー粒子は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは2〜18質量%含有される。含有量を0.1質量%以上とすることで正面から観察した時の毛穴の目立ちが抑えられる点で好ましく、また含有量を30質量%以下とすることで、使用時に良好な伸びが得られる。
【0060】
本発明の化粧料における成分(A)と成分(B)の割合、(A)/(B)は3/1〜1/9が好ましく、8/3〜1/2がより好ましい。(A)/(B)比をこの範囲にすることで、斜め方向からの観察における毛穴の目立ちを有効に抑えることができる。
【0061】
本発明の化粧料は、更に、(C)25℃で液状の不揮発性油剤を含有することができる。ここで、液状とは流動性を有するもので、クリーム状やペースト状のものも含まれる。また、不揮発性とは、サンプル1gを直径48mmのガラスシャーレに広げ、25℃、常圧で24時間放置後の重量減少率が1%以下のものである。不揮発性油性物質の分子量は、好ましくは250〜2000、より好ましくは300〜1000の範囲である。分子量がこれよりも低いと拡散してしまう傾向があり、逆に高いと成分(A)との相溶性が低下して可塑化効果が得られにくくなる場合がある。
【0062】
また、成分(C)の不揮発性油性油剤は、溶解度パラメーター(SP値)が16.5以上、好ましくは17.5〜23、より好ましくは19〜22のものである。この範囲のSP値の不揮発性油性物質であれば、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体と相溶し、粘着性を発現する。また、ポリジメチルシロキサン等の低粘度シリコーン油の溶解度パラメーター(約15)と大きく異なるため、低粘度シリコーン油には非相溶であり、化粧膜の強度や接着性が低下することがない。
【0063】
ここで、油性物質のSP値とは、溶解度パラメーターδであって、液体の分子凝集エネルギーEと分子容Vからδ=(E/V)1/2(J/cm3)で与えられる物質定数である。SP値は、各種方法で求められるが、本発明においては、Fedorsの方法に従い、 J. BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th 」(JHON WILEY & SONS,INC 1999年発行)、VII685〜686項に示されるパラメーターを用いて求めたものである。
【0064】
具体的には、例えば、イソノナン酸イソトリデシル(16.5)、リンゴ酸ジイソステアリル(17.9)、ミリスチン酸イソステアリル(16.9)、トリイソステアリン(17.1)、リン酸トリスエトキシジグリコール(18.1)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(18.2)、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(18.6)、ジイソステアリン酸ジグリセリル(18.7)、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル(19.1)、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(19.2)、dl−α−トコフェロール(19.4)、メチルフェニルポリシロキサン(20.0)、モノイソステアリン酸ジグリセリル(21.7)等の極性油性物質が挙げられる。
【0065】
これらの不揮発性油剤は1種以上用いることができ、全組成中に0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%含有されるのが、皮膜感が無く、のびが重くならず使用感が良好であり、好ましい。
【0066】
さらに、油性物質は2種以上を使用することがより好ましく、特にSP値が16.8〜18.4の範囲の油性物質と18.5〜23の範囲の油性物質を組み合わせ、かつSP値16.8〜18.4の油性物質/SP値18.5〜23の油性物質の値が0.01〜100であるのが使用感、化粧持続性および組成物の安定性の点で好ましい。
【0067】
また、成分(A)と成分(C)の質量割合は、(A)/(C)=0.1〜10、好ましくは0.2〜5、より好ましくは0.5〜4である。10を超えた場合には、十分な粘着性が得られず、皮膚追従性が低下する傾向があり、0.1未満でも、べたつくなど使用感が悪化する傾向がある。
【0068】
本発明の化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油性物質、前記以外の粉体、界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、紫外線吸収剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を、本発明の目的、効果を損なわない質的、量的範囲内で含有することができる。
【0069】
本発明の化粧料は、前記各成分を用い、常法に従って製造することができ、粉末固形型、高含油粉末固形型、油分散型、水分散型、油中水乳化液、水中油乳化液等の任意の剤型とすることができる。
【0070】
特に、油中水型乳化化粧料とするのが好ましく、その場合には、更に(D)ポリエーテル変性シリコーンを含有するのが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体等が挙げられる。これらのポリエーテル変性シリコーンは、ペンダント型、片末端型、両末端型、マルチブロック型のいずれの型に変性されていてもよく、さらにシリコーン鎖が分岐した型であってもよい。
【0071】
また、成分(D)のポリエーテル変性シリコーンは、製品の外観や安定性の点から、HLBが1〜9、特に2〜8のものが好ましい。
ここで、HLBとは、親水親油バランス(Hydrophile−Lipophile−Balance)のことであり、Griffinの定義に倣い、親水基の重量分率に20を乗じた数値である。
【0072】
成分(D)のポリエーテル変性シリコーンとしては、市販品を用いることができ、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体として、シリコーンKF−6011、KF−6013、KF−6015、KF−6017(信越化学工業社製)、SH−3771、SH3775、(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられ、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体として、KF−6012(信越化学工業社製)等が挙げられる。また、ポリエーテル変性シリコーンは、デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物であってもよく、市販品としては、BY11−030(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)等が挙げられる。
【0073】
成分(D)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜5質量%、特に0.3〜3.5質量%含有するのが乳化物の安定性および化粧持続性が良いので好ましい。
【0074】
油中水型乳化化粧料とする場合には、更に、(E)水を全組成中に0.1〜90質量%、特に10〜60質量%含有するのが好ましい。
【0075】
油中水型乳化化粧料は、25℃における粘度が500〜20万mPa・s、特に1000〜10万mPa・s、更に2000〜5万mPa・sであるのが、配合安定性、使用性、使用感の点で好ましい。ここで、粘度はB型粘度計で測定するもので、ローター(No.1〜No.4)および回転数(6,12,30,60rpm)は化粧料の粘度範囲に応じて指示値が10〜100の範囲に入るように適切なものを使い、1分間回転させた後の値を読む。複数のローターと回転数の組合せが選択可能な場合は、回転数が低いほうの組合せを選ぶ。
【0076】
本発明の化粧料は、特に液状ファンデーション、乳化液状ファンデーション、パウダーファンデーション、油性ファンデーション、化粧下地、口紅、アイシャドウ、頬紅等のメイクアップ化粧料;サンスクリーン乳液等の薬用化粧料などにすることができ、特に、液状ファンデーション、乳化液状ファンデーションとして好適である。
【実施例】
【0077】
製造例1(ポリマー粒子の製造)
1300mL容のビーカーに、ラウリルメタクリレート 56g、エチレングリコールジメタクリレート 19g及びラウロイルパーオキシド 1.5gを仕込み、溶液を得た。また、平均粒径0.25μmの酸化チタン(CR−50、石原産業社製)、平均粒径0.38μmのベンガラ(ベンガラ七宝、森下ベンガラ社製)、平均粒径0.07×0.7μm(針状のため)の黄酸化鉄(イエローLLXLO、チタン工業社製)を、表1に示す割合で混合し、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて撥水処理(無機粉体に対して2%)した。次に、得られた溶液と、撥水処理した無機顔料とを、表1に示す内包率になるよう混合し、分散させて、分散液を得た。この分散液に1質量%ポリビニルアルコール(ゴーセノールGH−17、日本合成化学工業社製)水溶液750gを添加し、超音波分散機を用いて分散した(時間と強度で粒径がコントロールできる)。得られた分散液を1000mL容のセパラブルフラスコに仕込み、その後、該セパラブルフラスコ内の気相を窒素置換した。次いで、前記分散液を150r/minで撹拌しながら、75℃で8時間、窒素雰囲気下に維持して、重合を行なった。重合終了後、得られた産物を濾過して固体を回収し、水で洗浄し、次いで、減圧乾燥して、表1に示す平均粒径の無機顔料含有ポリマー粒子120gを得た。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例1〜11及び比較例1〜5
表3及び表4に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、自然な仕上がり、モデルパウダーファンデーションを重ねて仕上げた時の凹凸の隠れ方、くすみにくさ、塗布直後及び5時間経過後の毛穴の目立ち難さを評価した。結果を表3及び表4に併せて示す。
【0080】
(製法)
油相成分及びポリマー成分を均一混合した後、粉体成分を油相成分にディスパーで分散させる。これに、水相成分の混合物を攪拌しながら徐々に添加して乳化し、目的の油中水型乳化ファンデーションを得た。
【0081】
(評価方法)
(1)厚塗り感が無い自然な仕上がり:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用したときの厚塗り感が無い自然な仕上がりを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が厚塗り感が無く自然な仕上がりであると評価した。
A ;6〜7人が厚塗り感が無く自然な仕上がりであると評価した。
B ;5人が厚塗り感が無く自然な仕上がりであると評価した。
C ;3〜4人が厚塗り感が無く自然な仕上がりであると評価した。
D ;0〜2人が厚塗り感が無く自然な仕上がりであると評価した。
【0082】
(2)モデルパウダーファンデーションを重ねて仕上げた時の凹凸の隠れ方:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用したあとに、さらにモデルパウダーを重ねたときの凹凸の隠れ方を官能評価し、以下の基準で判定した。
モデルパウダーファンデーションは、以下の成分を以下の製法により得た。
A+;8人以上が自然で目立たないと評価した。
A ;6〜7人が自然で目立たないと評価した。
B ;5人が自然で目立たないと評価した。
C ;3〜4人が自然で目立たないと評価した。
D ;0〜2人が自然で目立たないと評価した。
【0083】
(成分)
シリコーン処理マイカ(平均粒径10μm) 52.3(質量%)
シリコーン処理フッ素処理タルク(平均粒径5μm) 30.0
シリコーン処理フッ素処理酸化チタン 7.0
シリコーン処理フッ素処理ベンガラ 0.5
シリコーン処理フッ素処理黄酸化鉄 2.0
シリコーン処理フッ素処理黒酸化鉄 0.2
メチルポリシロキサン(10cs) 8.0
【0084】
(製法)
粉体成分を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、これに油分を加えて更に混合した。これを中皿に充填し、プレス成形して、モデルパウダーファンデーションを得た。
【0085】
(3)塗布5時間後のくすみにくさ:
専門評価者10人により、各油中水型乳化化粧料を使用したときの塗布5時間後のくすみにくさを官能評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上がくすんでいないと評価した。
A ;6〜7人がくすんでいないと評価した。
B ;5人がくすんでいないと評価した。
C ;3〜4人がくすんでいないと評価した。
D ;0〜2人がくすんでいないと評価した。
【0086】
(4)毛穴の目立ち難さ:
油中水型乳化化粧料の塗布顔の撮影を実施した。撮影条件は表2に示すとおりである。
【0087】
【表2】

【0088】
(a)各油中水型乳化化粧料を使用したときの直後の仕上がりを入射角−15°、受光角30°で撮影した写真を専門評価者10人に提示し、毛穴の目立ち難さを評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が目立たないと評価した。
A ;6〜7人が目立たないと評価した。
B ;5人が目立たないと評価した。
C ;3〜4人が目立たないと評価した。
D ;0〜2人が目立たないと評価した。
【0089】
(b)各油中水型乳化化粧料を使用したときの直後の仕上がりを入射角15°、受光角0°で撮影した写真を専門評価者10人に提示し、毛穴の目立ち難さを評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が目立たないと評価した。
A ;6〜7人が目立たないと評価した。
B ;5人が目立たないと評価した。
C ;3〜4人が目立たないと評価した。
D ;0〜2人が目立たないと評価した。
【0090】
(c)各油中水型乳化化粧料を使用したときの塗布5時間後の仕上がりを入射角−15°、受光角30°で撮影した写真を専門評価者10人に提示し、毛穴の目立ち難さを評価し、以下の基準で判定した。
A+;8人以上が目立たないと評価した。
A ;6〜7人が目立たないと評価した。
B ;5人が目立たないと評価した。
C ;3〜4人が目立たないと評価した。
D ;0〜2人が目立たないと評価した。
【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
実施例12(化粧下地)
以下に示す組成の化粧下地(油中水型乳化化粧料)を、常法により製造した。
(成分)
(1)ジメチルポリシロキサン・ポリオキシエチレン共重合体*1 2.0(質量%)
(2)シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体*2 10.0
(3)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5.0
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 5.0
(5)ジメチルポリシロキサン(6cs) 17.5
(6)水 残量
(7)ポリマー粒子10(製造例1) 5.0
(8)タルク 5.2
(9)マイカ 5.2
(10)ポリマー粒子8(製造例1) 1.3
(11)フッ素処理酸化鉄被覆雲母チタン*3 2.6
(12)フッ素処理酸化鉄*3 0.1
(13)フッ素処理ウレタンパウダー*3 1.3
(14)フッ素処理ナイロンパウダー*3 1.3
合計 100
*1:FZ2233(東レ・ダウコーニング社)
*2:FA4001CM(東レ・ダウコーニング社);30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液
*3:パーフルオロアルキルリン酸エステルで5質量%処理したもの
【0094】
実施例12で得られる化粧料は、仕上がり、持続性に優れ、特に塗布直後及び長時間経過後も、毛穴などの肌の凹凸を、見る方向によらず目立ち難くする効果に優れるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体
0.1〜30質量%、
(B)無機顔料を内包するポリマー粒子 0.1〜30質量%
を含有する化粧料。
【請求項2】
成分(B)のポリマー粒子が、有色の無機顔料を内包するものである請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
更に、(C)25℃で液状であり、かつ溶解度パラメーターが16.5以上の不揮発性油剤を0.1〜30質量%含有する請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】
更に、(D)ポリエーテル変性シリコーン及び(E)水を含有する油中水型乳化化粧料である請求項1〜3のいずれか1項記載の化粧料。

【公開番号】特開2011−126807(P2011−126807A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285648(P2009−285648)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】