説明

化粧板およびその製造方法

【課題】 植林木合板等の合板と木質繊維板とを複合した木質複合板の表面に化粧層を設けた化粧板とその製造方法に関し、製造時並びに使用時に反り、ねじれ等の変形が生じず、また、製造時に合板の抜け節や硬い晩材部の跡が表面に浮き上がらない化粧板を、生産性よく製造できるものを提供することを目的とする。
【解決手段】上から順に、防湿性表面化粧層と、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板と、JIS Z0208条件Bによる試験で30g/m・24h以上の防湿性能を有している高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層と、合板とからなる、使用時に反りやねじれなどの変形を生じない化粧板であり、このような化粧板を製造時に反りやねじれなどの変形や、抜け節や硬い晩材部の跡が表面に浮き上がることなく、生産性よく製造できる化粧板の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等建築物の床材や壁材等に用いるに好適な化粧板およびその製造方法に関し、特に、反り、ねじれなどの変形を生じることがない化粧板と、この化粧板を生産性良く製造することができる化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のあるように、合板の表面に硬度の高いMDF等の木質繊維板を貼着した木質複合板は良く知られている。このような木質複合板は、通常、合板の表面に尿素樹脂や尿素−メラミン樹脂接着剤などの水系熱硬化性樹脂接着剤を塗布し、この上に木質繊維板を積層した後、ホットプレス装置により熱圧して接着一体化し、製造されている。またこの木質複合板の表面に、突板などのシート状化粧材をホットプレス装置により熱圧接着して化粧板が製造されている。
【0003】
しかしながら、このような木質複合板の製造方法では、上記熱圧時に接着剤中の水分が合板の表面層や木質繊維板の裏面層に移行して膨張し、また、熱圧時の熱によって木質繊維板の表面層は水分が蒸発して収縮する結果、得られる木質複合板にその表面側を凹とする凹反りやねじれなどの変形を生じるという問題を有していた。
【0004】
このため、特許文献1では、表裏の単板の繊維方向を長手方向とし、表面側単板の厚さを裏面側単板の厚さより厚くなるように設定する等の単板構成の工夫によって、ホットプレス装置による熱圧時の凹反りやねじれ等の変形が防止できるようにしている。
【0005】
しかしながら、この方法では、木質複合板の構成が極めて限定され、応用性に乏しく生産性も悪くなるという問題を有していた。また、ホットプレス装置による熱圧接着が必要なため、大掛りな生産設備を必要とするとともに、バッチ的処理のため生産性が良くないという問題も有していた。さらには、得られた木質複合板の表面に突板などのシート状化粧材を熱圧接着して化粧板に形成した場合には、この熱圧時の熱によって化粧板の表面に反りやねじれなどの変形が生じ易いという問題があった。
【0006】
一方近年の木材資源の枯渇化と地球環境保護の観点から、合板の原料となる南洋産広葉樹の入手が困難となり、これに代わって、カラマツ、エゾマツなど早晩材の硬度差が明瞭な針葉樹材や、ラジアータパイン、トドマツ等抜け節の多い針葉樹材、或いは気乾比重が0.5未満の軽質な植林木等からなる単板で構成される合板を、木質複合板の基板として使いこなすことが必要となってきている。
【0007】
しかしながら、このような単板を用いて製造した合板の表面に木質繊維板をホットプレス装置で熱圧接着して形成した木質複合板を基板とし、その表面に突板や印刷化粧シートをホットプレス装置で熱圧接着して化粧板を製造しようとした場合には、合板を構成する単板の晩材部の跡や抜け節の跡が化粧面に浮き出す現象を生じ、化粧板の外観を著しく損なうという問題を有していた。
【0008】
このような問題を解消するため、本出願人は、特許文献2に記載の化粧板の製造方法を提案している。この方法は、所定の含水率に調整した木質繊維板と合板とをホットメルト樹脂接着剤を介して積層し、この積層物をロールプレス装置により冷圧して一体に接着し、得られた木質複合板の表面に突板などのシート状化粧材を接着するものである。
【0009】
これによれば、木質繊維板と合板とを水分を含まないホットメルト樹脂接着剤を用いて連続的にロールプレス装置で冷圧接着して木質複合板に形成することができるので、水分や熱の影響を受けず、反りやねじれのない木質複合板を連続的に生産性良く製造することができる。また、木質複合板を構成する合板の製造に用いる単板に抜け節や、早材部と晩材部とに大きな硬度差がある場合であっても、従来のようにホットプレス装置で熱圧接着していないので、木質複合板の表面に前記晩材部の跡や抜け節の跡が浮き出すことはほとんどない。
【0010】
しかしながら、このようにして得られた木質複合板の表面に、突板などのシート状化粧材を、水系熱硬化性樹脂接着剤を用いてホットプレス装置で熱圧接着した場合には、前記したようにこの製造時において、反りやねじれなどの変形を生じたり、晩材部の跡や抜け節の跡が化粧面に浮き出したりすることがあった。更には、製造後の使用時において、湿気を吸収、放散することに伴う木質繊維板と合板の伸縮率の差に起因する反り、ねじれ等の変形を生じることがあった。
【特許文献1】特開2006−192817号公報
【特許文献2】特願2007−101813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題に鑑みなされたもので、製造時には前記、合板を構成する単板の晩材部の跡や抜け節の跡が化粧面に浮き出す現象が生じるのを防止するとともに、反りやねじれ等の変形が生じるのを防止して生産性良く製造することができ、また、使用時においては、反りやねじれなどの変形が生じることのない、合板の表面に木質繊維板を接着一体化して形成した木質複合板の表面に表面化粧層が設けられた化粧板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的の達成のため、請求項1の発明の化粧板は、上から順に、防湿性表面化粧層と、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板と、30g/m・24h以上の防湿性能を有している高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層と、合板とからなることを特徴とする構成とした。
【0013】
上記請求項1の発明の化粧板によると、通常、合板に較べて気乾含水率が低く、湿気の吸湿放散に伴う伸縮率が大きい木質繊維板を、防湿性表面化粧層と高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層とで挟んだ構成になっているので、木質繊維板が空気中の湿気や合板内の湿気の影響を受けて伸縮するのを防止し、化粧板として使用した時に反りやねじれが発生するのを防止することができる。
【0014】
ここにおいて高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層を構成する高防湿性ホットメルト樹脂接着剤としては、特許文献1に記載の化粧板の製造方法で用いる湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト樹脂接着剤のように、その防湿性能が100〜120g/m・24h程度のものではなく、10〜30g/m・24h程度の高度な防湿性能を有するものを用いることが好ましい。尚、このような防湿性能の数値は、JIS Z0208条件Bの規定に準じた試験に基づくものである。
【0015】
また、請求項2の発明の化粧板は、防湿性表面化粧層が突板等からなるシート状化粧材とその表面の合成樹脂塗膜層とからなることを特徴とする構成とした。この場合には、合成樹脂透明性塗膜層が表面化粧層に良好な防湿性能を付与することになる。
【0016】
次に、請求項3の発明の化粧板の製造方法は、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板の表面にシート状化粧材を接着して化粧木質繊維板に形成し、該化粧木質繊維板の裏面または合板の表面に、30g/m・24h以上の防湿性能を有している高防湿性ホットメルト樹脂接着剤を塗布した後、この化粧木質繊維板の裏面と合板の表面とを重ね合わせて積層し、次いで上記高防湿性ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にある内に上記積層物をロールプレス装置で冷圧接着した後、その表面に合成樹脂塗料を塗布することを特徴とする。
【0017】
上記請求項3の発明の化粧板の製造方法によると、化粧木質繊維板と合板とを、水分を含まないホットメルト樹脂接着剤を用いてロールプレス装置で冷圧接着しているので、水系熱硬化性樹脂接着剤を用いてホットプレス装置で熱圧接着する従来の方法に較べて、製造時に水分と熱の影響をほとんど受けることがなく、従って製造時に反りやねじれ等の変形を生じることがない化粧板を、生産性良く製造することができる。
【0018】
また、カラマツ、エゾマツなど早晩材の硬度差が明瞭な針葉樹材や、ラジアータパイン、トドマツ等抜け節の多い針葉樹材、或いは気乾比重が0.5未満の軽質な植林木からなるものを、本発明の合板を構成する単板として用いた場合にも、製造時に、晩材部の跡や抜け節の跡が化粧面に浮き出すことはない。
【0019】
また、合板と積層接着する前の木質繊維板の表面に、予めシート状化粧材を接着しているので、従来の様に木質繊維板と合板とを接着してから、この木質複合板の表面に突板等のシート状化粧材を水系熱硬化性樹脂接着剤を用いてホットプレスにより熱圧接着する場合のように、製造時における反りやねじれ等の変形を生じる心配はない。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明は、使用時に反りやねじれなどの変形が生じない化粧板を得ることができ、また、この化粧板を、製造時に反りやねじれなどの変形や、合板を構成する単板の晩材部の跡や抜け節の跡が化粧面に浮き上がる現象を生じることなく、生産性良く製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態である化粧板Aとその製造方法について図面に基づき説明する。尚、本発明は本実施形態の記載内容に限られるものではない。
【0022】
図1は、矩形状の化粧板Aを示し、上から順に、防湿性表面化粧層4と、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板2と、JIS Z0208条件Bの規定に準じた試験で30g/m・24h以上の防湿性能を有している高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層3と、合板1とで構成されている。
【0023】
ここにおいて、合板1を構成する木質単板の積層枚数は特に限定されないが、化粧板Aを床板用に用いる場合には、4枚又は5枚程度であるのが望ましい。4枚未満となると強度的性質が不足し、5枚を超えると重くなり経済性も悪くなる。
【0024】
また、合板1を構成する木質単板の木材繊維の方向も特に限定されない。一般的には、合板1が5枚構成である場合、最上層と最下層と中心層の木質単板の木材繊維の方向が化粧板Aの略長手方向となり、上から2番目と4番目の木質単板の木材繊維の方向が化粧板Aの略短手方向となる通常の構成の合板を用いることができる。しかし、本願においては、最上層の木質単板の木材繊維の方向が略短手方向となり、最下層の木質単板の木材繊維の方向が略長手方向となるように構成しておくと、例えば使用中の乾燥時においては木質繊維板2が収縮して短手方向に凹反りしようとするのに対し、合板1が短手方向に凸反りしようとして打ち消し合い、化粧板Aに短手方向の反りやねじれなどの変形が生じるのを良好に抑制することができるので好ましい。また使用中の膨潤時においては、木質繊維板2が膨張して短手方向に凸反りしようとするのに対し、合板1が短手方向に凹反りしようとして打ち消し合い、化粧板Aに短手方向の反りやねじれなどの変形が生じるのを良好に抑制することができるので好ましい。
【0025】
具体的に、本実施形態における図1の化粧板Aでは、合板1の木質単板の枚数を5枚とし、最上層の木質単板1aと上から4番目の木質単板1dの木材繊維の方向を化粧板Aの略短手方向とし、上から2番目と3番目の木質単板1b、1cおよび最下層の木質単板1eの木材繊維の方向を化粧板Aの略長手方向としたものを示している。尚、ここにおいて、上から3番目の木質単板1cの木材繊維の方向は、化粧板Aの略短手方向にしておくこともできる。
【0026】
さらに、合板1を構成する木質単板の積層枚数が4枚の場合も、最上層の木質単板の木材繊維の方向が略短手方向となり、最下層の木質単板の木材繊維の方向が略長手方向となるように構成しておくことにより、化粧板Aの使用時において化粧板Aの短手方向に反りやねじれなどの変形が生じるのを良好に抑制することができるので好ましい。
【0027】
このような合板1は、その含水率が8重量%から14重量%程度のものを通常用いることができる。また、合板1を構成する木質単板の樹種は特に限定されず種々のものを用いることができるが、特に本発明においては、軽質で硬度が低い樹種、反りやねじれなどの変形を生じ易い樹種、抜け節や早晩材の硬度差の大きな樹種など欠点の多い樹種、例えば国産トドマツ、カラマツなどの針葉樹やエゾマツ、ラジアータパイン、ポプラ、アカシアマンギューム、アカシアハイブリッド、ファルカタ、ゴムなどの早生植林木からなる木質単板を、合板1を構成する木質単板1a〜1eとして、或いは合板1の一部を構成する木質単板1a〜1eとして用いることができる。
【0028】
一方、木質繊維板2としては、厚さ0.7mm〜4.0mmで気乾比重0.6〜0.9のものを好適に用いることができる。木質繊維板2の厚さが0.7mm未満となると、得られる化粧板Aの表面硬度が不十分となって好ましくなく、また4.0mmを超えると木質繊維板2の影響が大きくなりすぎて化粧板Aに反りやねじれなどの変形が生じ易くなるので好ましくない。特に合板を構成する木質単板として植林木のように軽質で硬度が低い樹種、或いは抜け節等の欠点の多い樹種を用いた場合でも、得られる化粧板Aに良好な表面硬度を付与でき、且つ反り等の変形を防止できるという観点から、木質繊維板2の厚さは、1.0mm〜3.0mmであるのが好ましい。
【0029】
また、木質繊維板2は、厚さが2.0mm未満の薄いものを経済的に且つ安定して製造するのは難しいので、例えば1.5mm厚の木質繊維板2を得たい場合には、3.0mm厚の木質繊維板をその厚み方向で2分割して1.5mm厚に形成し用いることができる。
【0030】
また、木質繊維板2の気乾比重は、0.6未満となると硬度が低くなって表面に傷が付き易くなるので好ましくなく、0.9を超えると加工性が悪くコストが高くなるので好ましくない。
【0031】
また、木質繊維板2の含水率は、通常4〜8重量%程度であり、合板1の含水率よりも低い含水率を有している。
【0032】
そして、木質繊維板2の表面には、防湿性表面化粧層4が設けられている。図1の化粧板Aでは、防湿性表面化粧層4として、突板や印刷化粧紙からなるシート状化粧材4bの表面に合成樹脂塗膜層4aを設けたものを例示している。ここにおいて、合成樹脂塗膜層4aの防湿性能としては、JIS Z0208条件Bの規定に準じた試験で、60〜120g/m・24h程度のものを用いることができ、同上の防湿性能を防湿性表面化粧層4に与えることができる。この他に防湿性表面化粧層4として、合成樹脂化粧シートや樹脂含浸化粧シートを用いることもできる。
【0033】
3は高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層で、合板1と木質繊維板2とを接着しており、その防湿性能は、JIS Z0208条件Bによる試験で、30g/m・24h以上、好ましくは10〜30g/m・24h程度の高い防湿性能を有しているものを用いることができる。このような高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層3を構成する高防湿性ホットメルト樹脂接着剤としては、100〜120g/m・24h程度の防湿性能を有する汎用の湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト接着剤の防湿性能を、前記10〜30g/m・24h程度に高めたものを好適に用いることができる。前記防湿性能が30g/m・24hを超えると、木質繊維板2が、木質繊維板2よりも含水率の高い合板1の水分の影響を受けることがあるので好ましくない。
【0034】
このことにより、合板1に較べて湿気の吸収放散に伴う伸縮率の大きな木質繊維板2は、防湿性表面化粧層4と高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層3とでサンドイッチされて、大気中の湿気と合板1に含まれる水分とが木質繊維板2に入り込むのを防止することができ、使用時に木質繊維板2に生じる反りやねじれなどの変形を小さくして、化粧板Aに特に短手方向の反りやねじれなどの変形が生じるのを防止することができる。
【0035】
次に、本実施形態の化粧板Aの製造方法を図2、図3に基づき説明する。先ず、図2(a)に示す通り、木質繊維板2の表面に、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、尿素樹脂などの水系熱硬化性樹脂接着剤5を塗布し、この接着剤5の塗布面に突板4bを載置し、ホットプレス装置6で熱圧して図2(b)に示す化粧木質繊維板7を得る。この化粧木質繊維板7は、熱圧時の水分と熱の影響を受けて、反りなどの変形を生じている。このため、図2(c)に示すように、この変形が生じた化粧木質繊維板7を所謂腹合わせ状態に複数枚堆積し、錘8を載せて矯正し、図2(c)に示す、フラットな化粧木質繊維板7を得る。
【0036】
尚、ここにおいて接着剤5として酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、水性ビニルウレタン樹脂エマルジョン接着剤などのエマルジョン接着剤を用い、平盤プレスで冷圧して接着することもできる。また、湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト樹脂接着剤を用い、ロールプレスにより接着することもできる。更には、シート状化粧材4bが合成樹脂印刷化粧シートである場合には、上記エマルジョン接着剤や水性接着剤を塗布した後、熱圧ロールなどにより熱圧プレスすることにより接着することもできる。このような場合に、得られた化粧木質繊維板7に反りなどの変形が生じ難いので、図2(c)に示すような堆積による矯正工程を省くことができる。
【0037】
次いで、図3(a)に示すように、化粧木質繊維板7を、その裏面が30℃〜50℃程度となるように加温装置9により加温し、続いて、図3(b)に示すように、加温状態の化粧木質繊維板7の裏面に、ホットメルト樹脂接着剤塗布装置10により、JIS Z0208条件Bの規定に準じた試験で、10〜30g/m・24h程度の高い防湿性能を有する湿気硬化型ウレタン樹脂系ホットメルト樹脂接着剤3'を60g/m〜100g/mの割合で塗布した後、直ちに図3(c)に示すように、化粧木質繊維板7裏面のホットメルト樹脂接着剤3'塗布面に合板1の表面を重ね合わせて積層載置し、塗布したホットメルト樹脂接着剤3'が溶融状態(圧力により流動変形できる状態)にあるうちに、ロールプレス装置11により冷圧し、化粧木質繊維板7と合板1とを接着する。
【0038】
ここにおいて、ホットメルト樹脂接着剤3'は、通常用いられる水系メラミン樹脂接着剤等とは異なって水分が含まれていないので、合板1と化粧木質繊維板7とを接着複合化する時に接着剤中の水分が合板1の表面や化粧木質繊維板7の裏面に浸透することがなく、また、ロールプレス装置11による冷圧で合板1と化粧木質繊維板7とを接着するので熱の影響を受けることがなく、得られる化粧板には、製造時における反りやねじれ等の変形を生じることがない。
【0039】
また、合板1を構成する木質単板1a〜1eに早材部と晩材部との硬度差の大きなものを用いたり、抜け節の多いものを用いても、従来のように化粧木質繊維板7と合板1とをホットプレス装置で熱圧接着せず、ロールプレス装置11で瞬時に冷圧接着しているので、製造時に晩材部の跡や抜け節の跡が化粧板Aの化粧面に現出することがない。
【0040】
また、ホットメルト樹脂接着剤3'を塗布する前に、化粧木質繊維板7の裏面を加温装置9により加温しておくことで、溶融状態のホットメルト接着剤3'を塗布した時に、このホットメルト樹脂接着剤3'がロールプレス装置11によるプレス前に固化を始めるのを防止することができるので好ましい。
【0041】
そして、このようにして得られた化粧板Aの表面に、図3(d)に示すようにロールコーター等の塗装装置12により、合成樹脂塗料を塗布して合成樹脂塗膜層4aを形成し、化粧板Aを製造する。このようにして製造された化粧板Aは、前記した通り、製造に起因する反りやねじれなどの変形、および、晩材部の跡や抜け節の跡の表面への現出はなく、更には、使用時に反りやねじれなどの変形を生じないものであり、このような化粧板Aをロールプレス装置11により連続的に生産性良く製造することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、植林木などを用いた合板を木質繊維板と複合して、床材などの化粧板として用いることができるので、資源の有効利用や環境保護の観点からも有用な技術であり、産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態である化粧板Aの断面図。
【図2】本発明の実施形態である化粧板Aの製造方法における化粧木質繊維板の製造工程の説明図。
【図3】本発明の実施形態である化粧板Aの製造方法の説明図。
【符号の説明】
【0044】
A 化粧板
1 合板
1a〜1e 木質単板
2 木質繊維板
3 ホットメルト樹脂接着剤層
3' ホットメルト樹脂接着剤
4 防湿性表面化粧層
4a 合成樹脂塗膜
4b シート状化粧材
5 接着剤
6 ホットプレス装置
7 化粧木質繊維板
8 錘
9 加温装置
10 ホットメルト樹脂接着剤塗布装置
11 ロールプレス装置
12 塗装装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上から順に、防湿性表面化粧層と、厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板と、30g/m・24h以上の防湿性能を有している高防湿性ホットメルト樹脂接着剤層と、合板とからなることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
防湿性表面化粧層がシート状化粧材とその表面の合成樹脂塗膜層とからなることを特徴とする請求項1に記載の化粧板。
【請求項3】
厚さ4.0mm以下で気乾比重0.6〜0.9の木質繊維板の表面にシート状化粧材を接着して化粧木質繊維板に形成し、該化粧木質繊維板の裏面または合板の表面に、30g/m・24h以上の防湿性能を有している高防湿性ホットメルト樹脂接着剤を塗布した後、この化粧木質繊維板の裏面と合板の表面とを重ね合わせて積層して積層物を形成し、次いで上記高防湿性ホットメルト樹脂接着剤が溶融状態にある内に上記積層物をロールプレス装置で冷圧接着した後、その表面に合成樹脂塗料を塗布することを特徴とする化粧板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−274286(P2009−274286A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126580(P2008−126580)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【出願人】(000157256)丸玉産業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】