説明

化粧板及びその製造方法

【課題】高級感を表出させることのできるとともに、仕上げ層を確実に接着して界面剥離を生じ難い耐久性を備えた化粧板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材20の表面にリアル材21、目止め着色層22、シーラー層23、カラークリヤー層25、押さえ材層26、樹脂層27、及び仕上げ層29を順次積層して化粧板11が形成せれている。仕上げ層29を形成する上塗り塗料の塗布に先立って、樹脂層27の表面はサンダー処理され、微細な凹凸面を備えた表面とされ、その後に上塗り塗料を塗布して仕上げ層29が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧板及びその製造方法に係り、更に詳しくは、キッチンのパネル、室内ドア、玄関ドア、その他の家具の板材として利用可能な化粧板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種パネル、ドア、家具等に用いられる化粧板としては、板状の基材の表面に印刷が施された化粧シートを接着するとともに、この化粧シートの表面に樹脂層を積層する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−276329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された化粧シートを用いる化粧板にあっては、化粧シートが印刷されたものであるため、外観上の高級感が得られず、高級板材としての適応性がない、という不都合がある。
そこで、化粧シートを用いる場合の高級感を付与する対応として、前記化粧シートの表面に施される上塗り塗装における塗膜を厚く施す試みが存在するが、この場合には工数が不可避的に増加する一方で、期待する高級感を得るには一定の限界がある。
【0005】
ところで、高級感を付与するために、化粧シートに替えて突板や単板等のリアル材を用いることもできるが、仕上げ層として上塗り塗装を施すにあたり、時間間隔をあけて上塗り塗装を施すと、その塗膜が中間樹脂層にしっかり接着できない場合があり、上塗り塗装膜が界面剥離を起こしてしまう、という不都合がある。このことは、仕上げ層としての上塗り塗装を行う前の中間製品を在庫として一定期間保存する生産方式に適合させることができず、上塗り塗装を最終工程に含むように時間間隔をおくことなく一連の生産方式としなければならない、という製法上の制約を受けることになる。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、前述した不都合に基づいて案出されたものであり、その目的は、基材にリアル材を接着して当該リアル材が有する高級感を表出させることできるとともに、仕上げ層を確実に接着して界面剥離を生じ難い耐久性を備えた化粧板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、基材と、当該基材に接着された突板若しくは単板を含むリアル材と、このリアル材の表面側に積層された樹脂層と、当該樹脂層の表面側に積層された仕上げ層とを備え、
前記樹脂層の表面が凹凸面に形成される、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、基材の表面に突板若しくは単板を含むリアル材を接着する工程と、リアル材の表面側に樹脂を流し込んで樹脂層を形成する工程と、硬化した樹脂層をサンダー処理して凹凸面を形成する工程と、樹脂層の表面に仕上げ層を塗布する工程とを含む方法を採っている。
【0009】
前記方法における各工程の間に前記サンダー処理がそれぞれ行われる、という手法を採用することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基材にリアル材が用いられているため、当該リアル材の高級感を表出させることができる他、仕上げ層の下位層をなす樹脂層の表面に凹凸面を設けることにより、仕上げ層の塗膜が凹凸面に絡み付くようになり、仕上げ層の剥離も確実に解消することができる。
【0011】
また、各工程の間にサンダー処理をそれぞれ行うことで、各層の接着強度も高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1には、本実施形態に係る化粧板が用いられたパネルの概略斜視図が示され、図2には、そのA−A線矢視断面図が示されている。これらの図において、パネル10は、角材からなる枠フレーム11と、この枠フレーム11の表裏各面に取り付けられた化粧板12,12とにより構成されている。
【0014】
前記化粧板12は、図3に示されるように、板状の基材20の表面に接着剤aを介して接着されたリアル材21と、このリアル材21の表面を平滑面にするためのウレタン等を塗布して形成される目止め着色層22と、当該着色層22の表面にシーラー層23を介して塗布されたカラークリヤー層25と、このカラークリヤー層25の表面にウレタン等を塗布して形成される押さえ材層26と、当該押さえ材層26に積層されたポリエステル樹脂等からなる樹脂層27と、樹脂層27の表面にウレタン等からなる上塗り塗料を塗布して積層された仕上げ層29とにより構成されている。
【0015】
前記基材20は、MDF、パーティクルボード、合板等が利用されている一方、リアル材21としては、ナラ、ブナ、カエデ、サペリ等の広葉樹又は針葉樹等の突板、単板を利用することができる。また、樹脂層27は、ポリエステル樹脂液を押さえ材層26の表面に流し込んだ後、表面にフィルムを転写して樹脂液を硬化させ、当該硬化完了後にフィルムを剥離することによって形成することができる。この樹脂層27は、フィルム剥離後に、表面に微細な凹凸が形成されるようにサンダー処理され、このサンダー処理が完了した状態で表面に上塗り塗料が塗布されるようになっている。なお、サンダー処理は、目止め着色層22,シーラー層23,カラークリヤー層25,押さえ材層26の各表面にも施してよく、これにより、各層の密着強度を高めることができる。
【0016】
以上の化粧板12は、フレーム11の各面に取り付けられた後に、必要な加工、例えば、部分的な彫り込み等を形成することで、最終製品としてのパネル10が完成されることとなる。
【0017】
従って、このような実施形態によれば、リアル材を用いているとともに、当該リアル材に着色して多層構造としているため、奥行感を備えた化粧板を提供することができる。しかも、樹脂層27の表面に施されるサンダー処理が、表面平滑でなく、微細な凹凸面形成であるため、特に、時間間隔をおいて仕上げ層29の材料を塗布したときに、当該仕上げ層29が界面剥離してしまうような不都合を回避することができる。
【0018】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0019】
例えば、前記各層の構成は、必要に応じて一部省略することができる一方、更に、他の層を追加することを妨げない。また、用いる樹脂材料は、任意に変更することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る化粧板が用いられたパネル材の概略斜視図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】図2のB部拡大図。
【図4】図3のC部拡大図。
【符号の説明】
【0021】
10…パネル、12…化粧板、20…基材、21…リアル材21、22…目止め着色層22、23…シーラー層、25…カラークリヤー層、26…押さえ材層26、27…樹脂層27、29…仕上げ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、当該基材に接着された突板若しくは単板を含むリアル材と、このリアル材の表面側に積層された樹脂層と、当該樹脂層の表面側に積層された仕上げ層とを備え、
前記樹脂層の表面が凹凸面に形成されていることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
基材の表面に突板若しくは単板を含むリアル材を接着する工程と、リアル材の表面側に樹脂を流し込んで樹脂層を形成する工程と、硬化した樹脂層をサンダー処理して凹凸面を形成する工程と、樹脂層の表面に仕上げ層を塗布する工程とを含む化粧板の製造方法。
【請求項3】
前記リアル材を接着する工程と前記樹脂層形成工程の間に、目止め着色塗布を行う工程と、シーラー塗布工程と、クリヤー塗布工程と押さえ材塗布工程とを含み、各工程の間にサンダー処理がそれぞれ行われることを特徴とする請求項2記載の化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−168138(P2007−168138A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365674(P2005−365674)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】