説明

医用画像管理システム、医用画像管理装置及びプログラム

【課題】医用画像データの暗号化処理、復号化処理において、セキュリティ性を向上させること。
【解決手段】サーバは暗号化キーと復号化キーを生成する。そして、生成した暗号化キーに基づいて医用画像データを暗号化し、当該医用画像データをメディアに書き込み、自宅PCにデータ移送する。また、生成した復号化キーをメディアとは別個に電子メール等により自宅PCに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像データの記憶管理を行う医用画像管理装置と、当該医用画像管理装置とデータ通信可能に構成された医用画像再生装置とを具備する医用画像管理システム、当該医用画像管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、患者を撮影した医用画像のデジタル化が実現されている。具体的には、CR(Computed Radiography)装置やCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の医用画像生成装置(以下、「モダリティ」と称す)が撮影して得られた医用画像の画像データ(以下、「医用画像データ」と称す)を生成する。この医用画像データは、PACS(Picture Archiving and Communication System for medical application)と呼ばれるシステム中のサーバ(医用画像管理装置)で記憶管理されている。
【0003】
医用画像データは、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠したデータ形式で、患者情報や検査情報を含む付帯情報と実画像データとから成る。DICOMとは、医用画像の通信及び保存フォーマットに関する標準規格であり、この規格に準拠することで、異なる医療機器間での相互通信性が確保される。
【0004】
ところで、近年はDICOM規格や医療情報標準化規格(以下「HL7(Health Level 7)」と称す)等の標準規格を臨床現場のワークフローに則して適用するためのIHE(Integrating Healthcare Enterprise)及びIHE−J(Integrating Healthcare Enterprise - Japan)と呼ばれるガイドラインが定められ、運用されている。このIHE及びIHE−Jに則っとることで、医療機器間の相互通信性が高められている。
【0005】
このような医用画像データの標準化により、ネットワークを介した医用画像データの提供が容易になった。また、医用画像データの提供方法としては、MOディスクやCD−R等の各種メディア(記憶媒体)を用いてデータ移送する方法もあり、メディアに医用画像データを記憶する際のデータ構造もIHE及びIHE−JのPDI(Portable Data for Imaging)によって定められている。そのため、メディアを用いた医用画像データの提供も容易になった。
【0006】
ところで、医用画像データの付帯情報には、患者情報のような個人情報が含まれており、ネットワークを介した医用画像データの提供、メディアを用いた医用画像データの提供等において、セキュリティ対策が必要となっている。
【0007】
これらの医用画像データの送受信におけるセキュリティ対策として、送信側でセキュリティ保護(暗号化処理)を施した医用画像データを用意し、この医用画像データのセキュリティ保護解除機能(復号化処理)を持つソフトウエアと共に受信側に送信する技術が挙げられる(特許文献1参照)。
【0008】
また、送信側で医用画像データを付帯情報と実画像データに分離し、分離したデータ毎に暗号化処理を施し受信側に送信し、受信側で受信した各データに復号化処理を施す技術が挙げられる(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−230165号公報
【特許文献2】特開2002−247026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術では、セキュリティ保護を施された医用画像データと、セキュリティ保護解除機能を持つソフトウエアとを、ネットワークを介した一連の通信制御で送受信する。そのため、これらの通信データが第三者に傍受された場合、簡単に医用画像データのセキュリティ保護を解除して閲覧されてしまう危険性があった。
【0010】
また、特許文献2の技術においても、暗号化された医用画像データと、暗号化及び復号化に必要な情報とを、ネットワークを介した一連の通信制御で送受信するため、特許文献1と同様に、第三者に簡単に閲覧されてしまう危険性があった。
【0011】
本発明は、上述したような課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、医用画像データの暗号化処理、復号化処理において、セキュリティ性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
医用画像データの記憶管理を行う医用画像管理装置と、当該医用画像管理装置とデータ通信可能に構成された医用画像再生装置とを具備する医用画像管理システムにおいて、
前記医用画像管理装置は、
前記医用画像データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を生成する復号情報生成手段と、
前記復号情報生成手段により生成された復号情報を前記医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段と、
を備え、
前記医用画像再生装置は、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを前記記憶媒体から読み込む読込手段と、
前記医用画像管理装置から送信された前記復号情報を受信する復号情報受信手段と、
前記復号情報受信手段により受信された復号情報に基づいて、前記読込手段によって読み込まれた前記医用画像データを復号化する復号化手段と、
を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記医用画像データは、患者情報を含む付帯情報と、実画像データとを有し、
前記暗号化手段は、前記付帯情報に含まれる患者情報を暗号化し、
前記復号化手段は、前記暗号化手段により暗号化された患者情報を復号化すること、
を特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明は、
医用画像再生装置とデータ通信可能に接続された、医用画像データの記憶管理を行う医用画像管理装置において、
前記医用画像データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を生成する復号情報生成手段と、
前記復号情報生成手段により生成された復号情報を前記医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段と、
を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記医用画像データは、患者情報を含む付帯情報と、実画像データとを有し、
前記暗号化手段は、前記付帯情報に含まれる患者情報を暗号化し、
前記復号情報生成手段は、前記暗号化手段により暗号化された患者情報を復号化するための復号情報を生成すること、
を特徴としている。
【0016】
請求項5に記載のプログラムは、
コンピュータを、
医用画像データを暗号化する暗号化手段、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を生成する復号情報生成手段、
前記復号情報生成手段により生成された復号情報を、データ通信可能に接続された医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段、
として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、医用画像管理装置が、医用画像データを暗号化する暗号化手段と、暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段を備える。そして、医用画像管理装置は、暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段を備える。そのため、暗号化された情報と復号化するための情報とを別手段で医用画像再生装置に送ることが可能である。
【0018】
したがって、第三者に復号情報を傍受されたとしても、医用画像データは記憶媒体に記憶されてデータ移送されるため、医用画像データを閲覧される恐れは少ない。また、医用画像データを記憶した記憶媒体を紛失しても、記憶された医用画像データは暗号化されており、復号情報はネットワークを介して送信されているため、医用画像データを閲覧される恐れは少ない。そのため、医用画像データの暗号化処理、復号化処理において、セキュリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図9を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
【0020】
[医用画像管理システムの構成]
図1は、医用画像管理システム1のシステム構成の一例を示すブロック図である。医用画像管理システム1は、ある病院のPACSのサーバ2と患者の自宅にある自宅PC3とを備えて構成されている。サーバ2と自宅PC3はネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0021】
サーバ2は、モダリティにより生成された医用画像データをデータベース化して記憶管理する医用画像管理装置である。また、自宅PC3は、医用画像データを再生する医用画像再生装置である。医用画像データは、付帯情報と実画像データとを有し、例えば、DICOM規格に準拠したデータ形式により構成される。付帯情報は、患者ID、氏名、性別及び生年月日等の患者情報や、検査日時や検査部位等の検査情報等を有して構成される。
【0022】
サーバ2で記憶管理されている医用画像データは、メディア4を介して自宅PC3にデータ移送される。メディア4がデータを記憶する際のデータ構造は、IHE及びIHE−JのPDIによって予め定められている。
【0023】
また、メディア4を介してサーバ2から自宅PC3にデータ移送される医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報は暗号化される。具体的に、サーバ2は、暗号化キー(暗号情報)、復号化キー(復号情報)を生成し、暗号化キーに基づいて医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報を暗号化して、メディア4に医用画像データを書き込む。そして、復号化キーをネットワークNを介して電子メール等で自宅PC3に送信する。
【0024】
一方、自宅PC3は、メディア4に書き込まれた医用画像データを読み込む。また、自宅PC3は、ネットワークNを介して電子メール等でサーバ2から復号化キーを受信し、読み込んだ医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報をその復号化キーに基づいて復号化する。
【0025】
[サーバの機能構成]
次に、サーバ2の機能構成について、図2を参照して説明する。サーバ2は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)27と、記憶部24と、入力部21と、表示部22と、通信部23と、I/F部25とを備えて構成される。
【0026】
CPU20は、各機能部の動作の制御と、機能部間のデータ入出力の制御等を行うことでサーバ2を統括的に管理・制御する。
【0027】
具体的には、入力部21から入力される操作信号に応じて記憶部24に格納されたプログラムをRAM27に読み出し、当該プログラムに従った処理を実行する。そして、その処理結果に基づいて、表示部22の表示画面の更新や記憶部24へのデータの記憶、通信部23を介した外部機器とのデータ通信等を行う。
【0028】
入力部21は、カーソルキーやテンキー等の各種キー群や、マウスやタッチパネルなどのポインティングデバイスを備えて構成される。入力部21は、ユーザに押下されたキーに対応する操作信号や、ポインティングデバイスにより指定された画面上の座標位置に対応する操作信号をCPU20に出力する。
【0029】
表示部22は、CRT(Cathode-ray Tube)やLCD等により構成され、CPU20の制御に基づいた表示画面の表示を行う。
【0030】
通信部23は、LANインターフェイスやモデム等により構成され、ネットワークN等を介して外部の機器とデータ通信を行う機能部である。I/F部25は、メディアドライブ26との間で所定の通信方式に基づいてデータ通信を行う機能部であり、例えば、USBやSCSI等により構成される。
【0031】
メディアドライブ26は、各種メディアに対してデータの読み書きを行う装置であり、CDドライブであればCD−RやCD−RWに、DVDドライブであればDVD−RやDVD−RWに書き込み及び読み出しを行う。
【0032】
記憶部24は、磁気的、光学的な記憶媒体にデータの読み書きを行う機能部であり、HDD(Hard Disk Drive)等により構成される。記憶部24は、医用画像DB240とPDIビューア241と暗号化プログラム242とを記憶する。
【0033】
PDIビューア241は、PDIによって定められたデータ構造のメディアに記憶された医用画像データを閲覧するためのプログラムである。また、PDIビューア241は、医用画像データに含まれる付帯情報中の患者情報を復号化するための復号化プログラムを含む。尚、この復号化処理には復号化キーが必要であり、当該プログラムは、ユーザによる復号キーの入力を求める。
【0034】
医用画像DB240は、モダリティから受信した医用画像を検索可能に記憶するデータベースであり、例えば、当該医用画像データに含まれる付帯情報に基づいてリレーショナルに記憶する。
【0035】
暗号化プログラム242は、制御部20に、暗号化キー(暗号情報)と復号化キー(復号情報)を生成させ、当該暗号化キーに基づいて医用画像データに含まれる付帯情報中の患者情報を暗号化させるためのプログラムである。
【0036】
読影医等のユーザは、サーバ2に記憶されている医用画像データをメディア4に書き込む際には、対象となる患者のIDや氏名(患者情報)、検査IDや検査日時(検査情報)といった様々な検索キーを入力する。CPU20は、この入力された患者情報や検査情報に対応付けられた医用画像データを医用画像DB240から検索して読み出す。
【0037】
CPU20は、暗号化プログラム242と協働することにより暗号化手段、復号情報生成手段として機能する。即ちCPU20は、患者情報を暗号化する暗号化キーと、暗号化された患者情報を復号化する復号化キーとを生成し、当該暗号化キーに基づいて医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報を暗号化する。そしてCPU20は、暗号化した当該医用画像データをメディア4に書き込む。
【0038】
また、CPU20は、PDIビューア241を記憶部24から読み出して、メディア4に書き込む。このため、サーバ2は、図4に示すように、医用画像データ(実画像データと付帯情報)と、PDIビューア241とを書き込んだメディアを作成する。
【0039】
また、CPU20は、復号化キーをネットワークNを介してメール等で自宅PC3に送信することで、医用画像データを記憶したメディア4とは別個に復号化キーを送信する。尚、暗号化、復号化の方式は、秘密鍵暗号方式や公開鍵暗号方式等の公知技術を適宜採用可能である。
【0040】
[自宅PCの機能構成]
次に、自宅PC3の機能構成について、図3を参照して説明する。自宅PC3の各機能部の主要な構成は、サーバ2の各機能部の主要な構成と略同一である。このため、自宅PC3の機能構成については、サーバ2と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
自宅PC3は、図3に示すように、CPU30と、RAM37と、記憶部34と、入力部31と、表示部32と、通信部33と、I/F部35とを備えて構成される。
【0042】
記憶部34は、サーバ2で暗号化された患者情報を復号化するための復号化キー340を記憶する。CPU30は、サーバ2からネットワークNを介して送信された復号化キー340を受信すると、この受信した復号化キー340を記憶部34に記憶させる。
【0043】
CPU30は、PDIビューア241に含まれる復号化プログラムと協働することにより復号化手段として機能する。即ち、CPU30は、ユーザによって入力された復号化キーに基づいて医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報を復号化する。
【0044】
[具体的な動作]
次に、医用画像管理システム1の具体的な動作を図5を参照して説明する。ここで、図5の処理は、サーバ2のCPU20と自宅PC3のCPU30によって行われる処理であるが、説明の簡略化のため、サーバ2と自宅PC3とを主体として記述する。
【0045】
読影医等のユーザは、サーバ2に記憶管理されている医用画像データをメディア4に書き込む際に、対象となる患者IDや氏名等の検索キーを入力部21から入力する。サーバ2は、入力されたこれらの検索キーに基づいて、医用画像DB240から該当する医用画像データを読み出す。
【0046】
そして、サーバ2は、暗号化キーと復号化キー340を生成する(ステップS1、ステップS2)。そして、サーバ2は、生成した復号化キー340を自宅PCにネットワークNを介して電子メールで送信する(ステップS3)。ここで、復号化キー340は、具体的にはPDIビューア241上で入力するパスワードである。また、送信された復号化キー340は、自宅PC3の記憶部34に記憶される。
【0047】
次に、サーバ2は、医用画像DB240から読み出した医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報を暗号化キーに基づいて暗号化し、当該医用画像データをメディア4に書き込む(ステップS4)。また、サーバ2は、PDIビューア241を記憶部24から読み出してメディア4に書き込む。
【0048】
患者等のユーザは、当該メディア4を自宅に持ち帰り、自宅PC3のメディアドライブ36に当該メディア4を挿入する。自宅PC3は、当該メディア4から医用画像データ、PDIビューア241を読み込み(ステップS5)、PDIビューア241を起動する(ステップS6)。このとき、表示部32には、図6及び図7に示すように患者情報に該当する患者項目320b及び患者情報321aが暗号化されたままの状態でPDIビューア241を介して医用画像データが表示される。
【0049】
次に、自宅PC3は、患者等のユーザによる入力部31からの信号に基づいて、復号キー340を表示部32に表示する。そして、患者等のユーザは、表示部32に表示された復号キー340を入力部31から入力する。自宅PC3は、入力された復号化キー340に基づいて患者情報を復号化し(ステップS7、ステップS8)、患者情報が復号化された医用画像データを図8及び図9に示すように、表示部32に表示させる(ステップS9)。ここで、復号化された患者情報は、図8における患者項目322b、図9における患者情報323aである。また、自宅PC3のステップS7、ステップS8の処理は、PDIビューア241に含まれる復号化プログラムに基づいて行われる。
【0050】
[画面例]
次に、図6〜図9を用いてPDIビューア241の画面例を示す。図6は復号化処理前の画像選択画面320、図7は復号化処理前のタグ情報表示画面321、図8は復号化処理後の画像選択画面322、図9は復号化処理後のタグ情報表示画面323である。
【0051】
先ず、復号化処理前の画像選択画面320、タグ情報表示画面321について説明する。図6に示すように画像選択画面320中の患者一覧320aは、患者項目320b−検査項目320c−シリーズ項目320d−医用画像項目320eとツリー形式で構成されている。また、患者項目320bは「A@@@@@B(Q[YdQ ZYb_)」と文字化けの状態で表示されている。
【0052】
医用画像項目320eの一つをダブルクリックすると、図7に示すように当該画像に関連するタグ情報表示画面321が表示される。項目「患者の名前」は「Q[YdQ ZYb_=+4…」、項目「患者ID」は「A@@@@@B」、項目「患者の誕生日」は「AIHE@E@H」、項目「患者の性別」は「]」と文字化けの状態で暗号化されて表示される(患者情報321a)。
【0053】
次に、復号化処理後の画像選択画面322、タグ情報表示画面323について説明する。図8に示すように画像選択画面322中の患者一覧322a中の患者項目322bは「1000002(AKITA JIRO)」となっており、文字化けの状態から復号化されて表示される。
【0054】
医用画像項目322eの一つをダブルクリックすると、図9に示すように当該画像に関連するタグ情報表示画面323が表示される。項目「患者の名前」は「AKITA JIRO=秋田 次郎=アキタ ジロウ」、項目「患者ID」は「1000002」、項目「患者の誕生日」は「19850508」、項目「患者の性別」は「M」となっており、それぞれが文字化けの状態から復号化されて表示される(患者情報323a)。
【0055】
以上、第1の実施形態によれば、サーバ2は、医用画像データを暗号化し、暗号化された医用画像データをメディア4に書き込む。そして、サーバ2は、暗号化された医用画像データを復号化するための復号化キー340を自宅PC3に送信する。そのため、暗号化された医用画像データと復号化キー340とを別手段で自宅PC3に送ることが可能である。
【0056】
したがって、第三者に復号化キー340を傍受されたとしても、医用画像データはメディア4に記録されてデータ移送されるため、医用画像データを閲覧される恐れは少ない。また、医用画像データを記憶したメディア4を紛失しても、記録された医用画像データは暗号化されおり、復号化キー340はネットワークを介して送信されているため、医用画像データを閲覧される恐れは少ない。そのため、医用画像データの暗号化処理、復号化処理において、セキュリティ性を向上させることができる。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、図10を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。この説明において、第1の実施形態と異なる部分を説明する。
【0058】
[具体的な動作]
第2の実施形態におけるサーバ2は、上述した第1の実施形態と同様に、暗号化キーと復号化キー340とを生成する(ステップS101、ステップS102)。そして、サーバ2は、記憶部24に記憶されている復号ソフトを読み出し、復号化キー340を組み込む(ステップS103)。次に、サーバ2は、当該復号ソフトを自宅PCにネットワークNを介して電子メールで送信する(ステップS104)。また、自宅PC3に送信された復号ソフトは、自宅PC3の記憶部34に記憶される。ここで、復号ソフトとは、CPU30に、当該復号ソフトに組み込まれた復号化キー340を読み込ませ、患者情報を復号化させるプログラムである。
【0059】
次に、サーバ2は、作成した暗号化キーを用いて、医用画像DB240から読み出した医用画像データの付帯情報に含まれる患者情報を暗号化し、当該医用画像データをメディア4に書き込む(ステップS105)。また、サーバ2は、PDIビューア241を記憶部24から読み出してメディア4に書き込む。
【0060】
患者等のユーザは、当該メディア4を自宅に持ち帰り、自宅PC3のメディアドライブ36に当該メディア4を挿入する。自宅PC3は、当該メディア4から医用画像データ、PDIビューア241を読み込み(ステップS106)、PDIビューア241を起動する(ステップS107)。PDIビューア241が起動すると、CPU30は、PDIビューア241のプログラム命令に基づいて復号ソフトを起動させ、復号ソフトに組み込まれた復号化キー340を読み込む(ステップS108)。そして、CPU30は、読み込んだ復号化キー340に基づいて患者情報を復号化し(ステップS109)、表示部32に、患者情報が復号化された医用画像データを図8及び図9に示すように表示させる(ステップS110)。
【0061】
以上、第2の実施形態によれば、CPU30が、復号ソフトのプログラム命令により、当該復号ソフトに組み込まれた復号化キー340を読み込んで患者情報を復号化する。そのため、患者等のユーザが復号化キー340(パスワード)をPDIビューアに入力する手間を省ける。
【0062】
[変形例]
尚、上述した実施形態の医用画像管理システム1の構成において、自宅PC3の代わりとして、サーバ2とは別のPACS中のサーバに置き換えて、各PACSのサーバ間で医用画像データのデータ移送を行ってもよい。
【0063】
尚、上述した実施形態において、患者情報に暗号化処理、復号化処理を施すとしたが、付帯情報又は医用画像データ全体に暗号化処理、復号化処理を施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】医用画像管理システムのシステム構成図。
【図2】サーバのブロック図。
【図3】自宅PCのブロック図。
【図4】メディアに記録されたデータ構造の概要図。
【図5】第1の実施形態におけるシーケンス図。
【図6】復号化処理前の画像選択画面。
【図7】復号化処理前のタグ情報表示画面。
【図8】復号化処理後の画像選択画面。
【図9】復号化処理後のタグ情報表示画面。
【図10】第2の実施形態におけるシーケンス図。
【符号の説明】
【0065】
1 医用画像管理システム
2 サーバ
3 自宅PC
4 メディア
20 CPU
21 入力部
22 表示部
23 通信部
24 記憶部
25 I/F部
26 メディアドライブ
27 RAM
30 CPU
31 入力部
32 表示部
33 通信部
34 記憶部
35 I/F部
36 メディアドライブ
37 RAM
240 医用画像DB
241 PDIビューア
242 暗号化プログラム
320 復号化処理前の画像選択画面
321 復号化処理前のタグ情報表示画面
322 復号化処理後の画像選択画面
323 復号化処理後のタグ情報表示画面
340 復号化キー
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データの記憶管理を行う医用画像管理装置と、当該医用画像管理装置とデータ通信可能に構成された医用画像再生装置とを具備する医用画像管理システムにおいて、
前記医用画像管理装置は、
前記医用画像データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を生成する復号情報生成手段と、
前記復号情報生成手段により生成された復号情報を前記医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段と、
を備え、
前記医用画像再生装置は、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを前記記憶媒体から読み込む読込手段と、
前記医用画像管理装置から送信された前記復号情報を受信する復号情報受信手段と、
前記復号情報受信手段により受信された復号情報に基づいて、前記読込手段によって読み込まれた前記医用画像データを復号化する復号化手段と、
を備えることを特徴とする医用画像管理システム。
【請求項2】
前記医用画像データは、患者情報を含む付帯情報と、実画像データとを有し、
前記暗号化手段は、前記付帯情報に含まれる患者情報を暗号化し、
前記復号化手段は、前記暗号化手段により暗号化された患者情報を復号化すること、
を特徴とする請求項1に記載の医用画像管理システム。
【請求項3】
医用画像再生装置とデータ通信可能に接続された、医用画像データの記憶管理を行う医用画像管理装置において、
前記医用画像データを暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段と、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を生成する復号情報生成手段と、
前記復号情報生成手段により生成された復号情報を前記医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段と、
を備えることを特徴とする医用画像管理装置。
【請求項4】
前記医用画像データは、患者情報を含む付帯情報と、実画像データとを有し、
前記暗号化手段は、前記付帯情報に含まれる患者情報を暗号化し、
前記復号情報生成手段は、前記暗号化手段により暗号化された患者情報を復号化するための復号情報を生成すること、
を特徴とする請求項3に記載の医用画像管理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
医用画像データを暗号化する暗号化手段、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを記憶媒体に書き込む書込手段、
前記暗号化手段により暗号化された医用画像データを復号化するための復号情報を生成する復号情報生成手段、
前記復号情報生成手段により生成された復号情報を、データ通信可能に接続された医用画像再生装置に送信する復号情報送信手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−132101(P2008−132101A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319563(P2006−319563)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】