説明

医用画像診断支援システム及び医用画像診断支援プログラム

【課題】 DICOM規格に従って作成されたデータのタグの定義ルールを解析することにより、自システムのみならず他のシステムにおいて記録された情報をも表示可能とし、情報共有の効率化を可能にする医用画像診断支援システム等を提供すること。
【解決手段】 DICOMデータのヘッダーのタグに関するルールを定義するDICOMデータルール定義ファイルと、当該システム1がDICOMデータのヘッダーのタグを読む際のルールを定義するシステムルール定義ファイルとを比較・解析してDICOMデータのプライベートタグシステムのパブリックタブとの同一性を検証し、標準サポート外であるタグを判定する。判定の結果、標準サポート対象外とされるプライベートタグが存在する場合には、当該標準サポート外のタグを表示するためのアプリケーション毎の適合度を計算し、提示された表示アプリケーション候補リストとしてユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DICOM規格において標準化されていない、システム固有のプライベート タグ及びそのデータを別の異なるシステムにて読込み表示する際の支援を行う医用画像診断支援システム及び医用画像診断支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)とは、医用におけるディジタル画像と通信に関する標準規格であり、医用画像機器間での画像情報の通信分野、HIS(Hospital Information System)/RIS(Radiology Information System)との連携によるシステム構築分野等において全世界で普及している。このDICOM規格を採用した機器を用いることにより、さまざまなメーカーの医用画像情報機器をネットワークに接続し、装置間において医用画像等の医用情報をやり取りすることができる。
【0003】
DICOM規格を利用する医用画像診断支援システムでは、DICOM規格で標準化される前のシステム固有の情報は、プライベートタグ領域(操作者側が自由に利用できるタグ領域)に記述される。この様なシステム固有の情報がその後DICOM規格によって標準化された場合には、パブリック領域に記述されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−326314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のDICOM規格をサポートする医用画像観察装置(ビューア)では、DICOM規格により標準化されていないシステム固有のデータ、例えば他社装置や他機種のプライベートタグをシステムで解釈することができず、読み飛ばしてて表示を行っていない。このため、プライベートタグに含まれている有効な情報を好適に利用することができない。また、プライベートタグに含まれている有効な情報を敢えて読み出し表示しようとすれば、類似のデータを取得するために他社の類似システムで再度解析する必要があり、作業効率が低下することになる。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、DICOM等の所定の規格に従って作成されたデータのタグの定義ルールを解析することにより、自システムのみならず他のシステムにおいて記録された情報をも表示可能とし、情報共有の効率化を可能にする医用画像診断支援システム及び医用画像診断支援プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、所定の規格に従って生成された医用画像を含む医用情報を表示し、医用画像診断を支援するための医用画像診断支援システムであって、表示対象とする前記医用情報と、前記各医用情報の記載ルールを定義する少なくとも一つの第1ルール定義ファイルと、当該システムが前記所定の規格に従う医用情報を読込む際のルールを定義する第2ルール定義ファイルと、を取得する取得手段と、前記表示対象とする医用情報に対応する前記第1ルール定義ファイルと、前記第2ルール定義ファイルと、を比較することにより、前記医用情報に含まれる情報のうち当該医用画像診断支援システムにおいてサポート外である情報を判定する判定手段と、前記サポート外と判定された情報を表示するための適合度を、表示アプリケーション毎に計算する計算手段と、前記表示アプリケーション毎の適合度を、所定の形態で表示する表示手段と、を具備することを特徴とする医用画像診断支援システムである。
【0009】
請求項8に記載の発明は、所定の規格に従って生成された医用画像を含む医用情報を表示し、医用画像診断を支援するための医用画像診断支援プログラムであって、コンピュータに、表示対象とする前記医用情報と、前記各医用情報の記載ルールを定義する少なくとも一つの第1ルール定義ファイルと、当該システムが前記所定の規格に従う医用情報を読込む際のルールを定義する第2ルール定義ファイルと、を取得させる取得機能と、前記表示対象とする医用情報に対応する前記第1ルール定義ファイルと、前記第2ルール定義ファイルと、を比較させることにより、前記医用情報に含まれる情報のうち当該医用画像診断支援システムにおいてサポート外である情報を判定させる判定機能と、前記サポート外と判定された情報を表示するための適合度を、表示アプリケーション毎に計算させる計算機能と、前記表示アプリケーション毎の適合度を、所定の形態で表示させる表示機能と、を実現することを特徴とする医用画像診断支援プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
以上本発明によれば、DICOM等の所定の規格に従って作成されたデータのタグの定義ルールを解析することにより、自システムのみならず他のシステムにおいて記録された情報をも表示可能とし、情報共有の効率化を可能にする医用画像診断支援システム及び医用画像診断支援プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断支援システム1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、DICOMデータルール定義ファイル113の構成の一例を示した図である。
【図3】図3は、システムルール定義ファイル115の構成の一例を示した図である。
【図4】図4は、本医用画像診断支援機能を用いて、表示要求対象となるDICOMデータの読込から表示までを行う場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】図5は、表示ユニット23において表示される表示アプリケーション候補リストの一例を示した図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る医用画像診断支援システム1のブロック構成図を示している。
【図7】図7は、本第1の実施形態に係る医用画像診断支援機能を用いて、表示要求対象となるDICOMデータの読込から表示までを行う場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る医用画像診断支援システムを図面に従って説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。なお、本医用画像診断支援システムは、例えば医用画像観察装置(ビューア)等に代表されるワークステーションに内蔵され使用されるものである。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る医用画像診断支援システム1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本医用画像診断支援システム1は、データベースユニット11、DICOMデータ読込ユニット13、ルール定義ファイル読込ユニット15、解析ユニット17、データ変換ユニット19、アプリケーション実行ユニット21、表示ユニット23、入力ユニット25、送受信ユニット27を具備している。
【0014】
データベースユニット11は、少なくとも一つのDICOMデータファイル、各DICOMデータファイルに対応するDICOMデータルール定義ファイル、当該医用画像診断支援システム1に関するシステムルール定義ファイルを格納する。ここで、DICOMデータルール定義ファイルとは、DICOMデータのヘッダーのタグに関する記載ルールを定義するファイルであり、各DICOMデータを作成したシステム毎に作成され、必要に応じて各DICOMデータと対応付けて管理される。また、システムルール定義ファイルとは、当該医用画像診断支援システム1がDICOM規格に従ってDICOMデータのヘッダーのタグを読む際のルールを定義するファイルである。
【0015】
図2は、DICOMデータルール定義ファイル113の構成の一例を示した図である。図3は、システムルール定義ファイル115の構成の一例を示した図である。各図に示す様に、何れのルール定義ファイルも、DICOMデータの各タグ(プライベートタグ、パブリックタグのいずれも含む)がどのような意味を持つものであるかについて、「値の意味」、「単位」、「値の評価方法(閾値と閾値とを境にどのような解釈が成り立つか等)」、「推奨される表示アプリケーション(ベンダー名、アプリケーション名、システム名、テキスト、グラフ、表、図又はこれらの組み合わせ等)」の各カテゴリ毎に説明されている。
【0016】
DICOMデータ読込ユニット13は、入力ユニット25を介してユーザから表示要求の対象とされた少なくとも一つのDICOMデータを、データベースユニット11から読み込む。
【0017】
ルール定義ファイル読込ユニット15は、DICOMデータ読込ユニット13によって読込まれた少なくとも一つのDICOMデータに対応するDICOMデータルール定義ファイル113とシステムルール定義ファイル115とを、データベースユニット11から読み込む。
【0018】
解析ユニット17は、ルール定義ファイル読込ユニット15が読み込んだDICOMデータルール定義ファイル113とシステムルール定義ファイル115とを比較して解析し、表示要求の対象とされたDICOMデータの各タグに含まれる情報が当該システムにおいてサポートされているか否かを判定し、標準サポート対象であるタグと標準サポート対象でないタグとを区別する。また、解析ユニット17は、標準サポート外のタグが存在すると判定した場合には、当該標準サポート外のタグを表示するためのアプリケーション毎の適合度を計算する。この適合度の計算は、例えば、標準サポート外と判定されたタグに関するDICOMデータルール定義ファイル113の説明と、システムルール定義ファイル115のタグの説明との間で順次文字列比較を実行し、その結果に基づいて実行される。
【0019】
データ変換ユニット19は、標準サポート対象でないタグを当該システムがサポートするタグと認識するように、DICOMデータルール定義ファイルの変換を行う。
【0020】
アプリケーション実行ユニット21は、入力ユニット25を介してユーザによって選択されたアプリケーション等を実行し、表示要求対象とされたDICOMデータを表示ユニット23に表示する。
【0021】
表示ユニット23は、所定のアプリケーションによって実行されたDICOMデータを所定の形態で表示する。また、表示ユニット23は、後述する表示アプリケーション候補リスト、表示アプリケーション毎の適合度、サポート対象外の表示アプリケーションとして選択された回数等を所定の形態で表示する。
【0022】
入力ユニット25は、キーボード、トラックボール、マウス、各種専用スイッチを具備している。ユーザは、当該ユニット25を介して、表示要求対象とするDICOMデータを特定するための情報、標準サポート外のタグを表示するためのアプリケーションの選択指示等を入力する。
【0023】
送受信ユニット27は、ネットワークを介して、他の装置(データベースを含む)とDICOMデータ、DICOMデータルール定義ファイル等を含む情報を送受信する。
【0024】
(医用画像診断支援機能)
次に、本医用画像診断支援システム11が有する、医用画像診断支援機能について説明する。本機能は、DICOMデータのヘッダーのタグに関するルールを定義するDICOMデータルール定義ファイルと、当該医用画像診断支援システム1がDICOM規格に従ってDICOMデータのヘッダーのタグを読む際のルールを定義するシステムルール定義ファイルとを比較・解析してDICOMデータのプライベートタグシステムのパブリックタブとの同一性を検証し、その検証結果に基づいて、標準サポート対象外とされるプライベートタグであっても、適切なアプリケーションを選択して表示可能とするものである。
【0025】
図4は、本第1の実施形態に係る医用画像診断支援機能を用いて、表示要求対象となるDICOMデータの読込から表示までを行う場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【0026】
まず、入力ユニット25を介して、ユーザから表示要求対象となるDICOMデータファイルの読み込み要求指示が入力される(ステップS1)。DICOMデータ読込ユニット13は、入力された要求指示に応答して、データベースユニット11から対象となるDIOCMデータファイル111を読み込む(ステップS2)。また、ルール定義ファイル読込ユニット15は、表示要求対象となったDICOMデータに対応するDICOMデータルール定義ファイル113と、当該医用画像診断支援システム1に関するシステムルール定義ファイルと、をデータベースユニット11から読み込む(ステップS3)。ステップS2、S3において読み込まれた情報は、解析ユニット17に引き渡される。
【0027】
次に、解析ユニット17は、DICOMデータルール定義ファイル113、システムルール定義ファイル115を比較し、両者が完全に一致するか否かを解析する(ステップS4)。その結果、DICOMデータルール定義ファイル113とシステムルール定義ファイル115とが完全に一致した場合には、解析ユニット17は、表示要求対象とされたDICOMデータのタグは、全て標準サポート対象内と判定し(ステップS4の「Yes」)、対応するアプリケーションによって実行するため、表示要求対象となっているDICOMデータ、DICOMデータルール定義ファイル113、システムルール定義ファイル115をアプリケーション実行ユニット21に引き渡す(ステップS5)。アプリケーション実行ユニット21は、表示要求対象となっているDICOMデータのタグは全て当該医用画像診断支援システム1がサポート対象とするものであると判定し、所定のアプリケーションを実行する。その結果、表示要求対象とされたDICOMデータは表示ユニット23に所定の形態で表示される(ステップS6)。一方、ステップS4の解析の結果、DICOMデータルール定義ファイル113とシステムルール定義ファイル115とが完全には一致しない場合には、解析ユニット17は、表示要求の対象とされたDICOMデータのタグは標準サポート対象外であると判定し(ステップS4の「No」)、ステップS401に以降する。
【0028】
次に、解析ユニット17は、例えば表示要求対象となっているDIOCMデータで値を有するタグに一致するタグの説明が、システムルール定義ファイルに存在するか否か等を検証する(ステップS402)。具体的には、解析ユニット17は、DICOMデータルール定義ファイル113とシステムルール定義ファイル115とを比較し、タグ番号は異なるが同一のアプリケーション名が含まれているか/いないかを検証する。
【0029】
検証の結果、双方のルール定義ファイル間において異なるタグ番号で同一のアプリケーション名が含まれていない判定した場合には(ステップS402の「No」)、解析ユニット17は、DICOMデータルール定義ファイル113及びシステムルール定義ファイル115の各カテゴリ毎に、順次文字列比較を実行し当該標準サポート外のタグを表示するためのアプリケーション毎の適合度を計算する(ステップS403)。すなわち、解析ユニット17は、DICOMデータルール定義ファイル113及びシステムルール定義ファイル115の「値の意味」、「単位」、「値の評価方法」等のカテゴリ毎に、各カテゴリに記載されている文字列を比較し、一致した文字列を分子とし、各カテゴリの文字列(長い文字列の文字数)を分母とした割合を算出する。解析ユニット17は、こうして得られた各カテゴリ毎の割合と、カテゴリ毎に設定された所定の重み付け係数とを用いて、アプリケーション毎の適合度を計算する。
【0030】
一方、検証の結果、双方のルール定義ファイル間において異なるタグ番号で同一のアプリケーション名が含まれていると判定した場合には、当該アプリケーションの適合度を100%とし(ステップS402の「Yes」)、ステップS404に進む。
【0031】
次に、解析ユニット17は、当該医用画像診断支援システム1がサポートする各アプリケーション毎にステップS402、ステップS403において取得された表示アプリケーション毎の適合度を示す表示アプリケーション候補リストを作成し、表示ユニット23において所定の形態で表示(提示)する(ステップS404)。
【0032】
図5は、表示ユニット23において表示される表示アプリケーション候補リストの一例を示した図である。同図の例では、適合度が所定の閾値以上(例えば適合度50%以上)である表示アプリケーションを候補として提示している。また、表示アプリケーション候補リストには、同図の例に示す様に、常に「テキスト形式」、「表形式」、「画像形式」を表示するアプリケーションを表示することが好ましく、アプリケーション毎に「これまで当該のサポート対象外タグの表示アプリケーションとして選択された回数」を表示することが好ましい。なお、表示可能なアプリケーションが存在しない場合(例えば、適合度50%以上のアプリケーションが存在しない場合)には、DICOMデータのヘッダに記載された情報がテキストで表示される。この様な構成よれば、ユーザは過去に表示可能であったアプリケーションを定量的に把握することができ、今回のアプリケーション選択における基準とすることができる。
【0033】
次に、提示された表示アプリケーション候補リストを参照しながら、入力ユニット25を介してユーザから所望の表示アプリケーションの選択指示が入力されると、データ変換ユニット19は、標準サポート外のタグとデータとを本医用画像診断支援システム1がサポートするタグと認識するように、DICOMデータファイルにおいてデータの置き換え(タグの変換)を実行する(ステップS406)。
【0034】
次に、解析ユニット17は、タグが変換されたDICOMデータをアプリケーション実行ユニット21に引き渡す(ステップS5)。アプリケーション実行ユニット21は、ステップS405において選択されたアプリケーションを用いて、表示要求対象とされたDICOMデータを、所定の形態で表示ユニット23に表示する(ステップS6)。
【0035】
なお、DICOMデータの表示後、正しく表示されたかをユーザに確認することにより、ユーザが満足するアプリケーションのみ、タグの表示アプリケーションとしての選択回数を加算して更新し、次回以降の表示アプリケーション候補リストに反映させることが好ましい。また、タグと表示アプリケーション候補の組合せを記憶することにより、次回目以降自動的に今回選択したアプリケーションにて表示してもよい。
【0036】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0037】
本医用画像診断支援システムによれば、DICOMデータのヘッダーのタグに関するルールを定義するDICOMデータルール定義ファイルと、当該医用画像診断支援システム1がDICOM規格に従ってDICOMデータのヘッダーのタグを読む際のルールを定義するシステムルール定義ファイルとを比較・解析してDICOMデータのプライベートタグシステムのパブリックタブとの同一性を検証し、標準サポート外であるタグを判定する。判定の結果、標準サポート対象外とされるプライベートタグが存在する場合には、当該標準サポート外のタグを表示するためのアプリケーション毎の適合度を計算し、提示された表示アプリケーション候補リストとしてユーザに提示する。従って、ユーザは、当該システムから提示される表示アプリケーション候補リストのうち、適合度の高いものから順に選択・実行することで、標準サポート外のタグを読み飛ばすことなく適切に表示することができる。
【0038】
また、標準サポート外のタグをシステムが自動的に判定し、表示するためのアプリケーションの適合度を自動的に計算しユーザに提示するため、標準サポート外のタグの抽出処理や表示するための解析処理を別途行う必要がない。従って、画像診断の作業効率を向上させることができると共に、標準サポート外のタグに含まれる重要な情報の読み飛ばしを防止することができ、画像診断の質の向上に寄与することができる。
【0039】
さらに、本医用画像診断支援システムでは、表示アプリケーション毎に「標準サポート外のタグの表示アプリケーションとして選択された回数」をユーザに確認し、その結果をフィードバックして、表示アプリケーション候補リストにおいて表示回数としてユーザに提示する。従って、ユーザは、過去に表示アプリケーションとして選択された回数を基準として、今回の表示アプリケーションを選択することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、当該医用画像診断システム1において、DICOMデータルール定義ファイル、及びシステムルール定義ファイルの双方が揃っている場合を例に説明した(図1参照)。これに対し、本第2の実施形態では、当該医用画像診断システム1において、DICOMデータルール定義ファイル、又はシステムルール定義ファイルのどちらか一方しか存在しない双方が揃っておらず、ネットワークを介して他方のルール定義ファイルを他の装置から取得する場合について説明する。なお、本実施形態では、説明を具体的にするため、DICOMデータルール定義ファイルが存在しない場合を例とする。
【0041】
図6は、第2の実施形態に係る医用画像診断支援システム1のブロック構成図を示している。図4に示した第1の実施形態のブロック構成図と比較した場合、データベースユニット11内にDICOMデータルール定義ファイルが格納されていない点、ルール定義ファイル検索ユニット29をさらに具備する点が異なる。
【0042】
ルール定義ファイル検索ユニット29は、解析ユニット17からの要求指示を受けて、送受信ユニット27を介してネットワークに接続された各装置を検索し、医用画像診断支援機能の従う処理に必要な情報(例えば、DICOMデータルール定義ファイル等)を取得する。
【0043】
図7は、本第1の実施形態に係る医用画像診断支援機能を用いて、表示要求対象となるDICOMデータの読込から表示までを行う場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【0044】
まず、入力ユニット25を介して、ユーザから表示要求対象となるDICOMデータファイルの読み込み要求指示が入力される(ステップS11)。DICOMデータ読込ユニット13は、入力された要求指示に応答して、データベースユニット11から対象となるDIOCMデータファイル111を読み込む(ステップS12)。ルール定義ファイル読込ユニット15は、当該医用画像診断支援システム1に関するシステムルール定義ファイルをデータベースユニット11から読み込む(ステップS13)。ステップS12、S13において読み込まれた情報は、解析ユニット17に引き渡される。
【0045】
次に、解析ユニット17は、ステップS12、S13において読み込まれた情報を引き受け、表示要求対象となっているDICOMデータ、当該DICOMデータのルール定義ファイル、当該システムに関するルール定義ファイルが全て揃っているか否かを検証する。検証の結果、不足する情報がある場合(本実施形態の例では、表示要求対象となっているDICOMデータのルール定義ファイルが不足)には、解析ユニット17は、ルール定義ファイル検索ユニット29に、対応するDICOMデータルール定義ファイルの検索要求を指示する(ステップS14)。
【0046】
次に、ルール定義ファイル検索ユニット29は、送受信ユニット27を経由して、ネットワーク上の他の装置やデータベースを検索し、表示要求対象となったDICOMデータに対応するDICOMデータルール定義ファイル113を取得する(ステップS15)。具体的には、表示対象とされるDICOMデータが生成されたシステム或いは当該システムの名称、型式に基づいて、ネットワーク上の別システム、ルール定義ファイルサーバ等を検索し、ダウンロード(取得)する。取得されたDICOMデータルール定義ファイル113は、解析ユニット17に引き渡される。
【0047】
以降、ステップ16〜ステップS18までの各処理は、図4に示したステップS4〜ステップS6までの各処理と実質的に同じである。
【0048】
以上述べた構成によれば、当該医用画像診断システム1において、DICOMデータルール定義ファイル、又はシステムルール定義ファイルのどちらか一方が存在しない場合であっても、他方のルール定義ファイルをネットワークを介して他の装置から取得し、当該システムルール定義ファイルとを比較・解析してDICOMデータのプライベートタグシステムのパブリックタブとの同一性を検証し、その検証結果に基づいて、標準サポート対象外とされるプライベートタグであっても、適切なアプリケーションを選択して表示することができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
【0050】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上本発明によれば、DICOM等の所定の規格に従って作成されたデータのタグの定義ルールを解析することにより、自システムのみならず他のシステムにおいて記録された情報をも表示可能とし、情報共有の効率化を可能にする医用画像診断支援システム及び医用画像診断支援プログラムを実現することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…医用画像診断支援システム、11…データベース、13…DICOMデータ読込ユニット、15…ルール定義ファイル読込ユニット、17…解析ユニット、19…データ変換ユニット、21…アプリケーション実行ユニット、23…表示ユニット、25…入力ユニット、27…送受信ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の規格に従って生成された医用画像を含む医用情報を表示し、医用画像診断を支援するための医用画像診断支援システムであって、
表示対象とする前記医用情報と、前記各医用情報の記載ルールを定義する少なくとも一つの第1ルール定義ファイルと、当該システムが前記所定の規格に従う医用情報を読込む際のルールを定義する第2ルール定義ファイルと、を取得する取得手段と、
前記表示対象とする医用情報に対応する前記第1ルール定義ファイルと、前記第2ルール定義ファイルと、を比較することにより、前記医用情報に含まれる情報のうち当該医用画像診断支援システムにおいてサポート外である情報を判定する判定手段と、
前記サポート外と判定された情報を表示するための適合度を、表示アプリケーション毎に計算する計算手段と、
前記表示アプリケーション毎の適合度を、所定の形態で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする医用画像診断支援システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記表示対象とする医用情報が生成されたシステムに関する情報又は当該医用画像診断支援システムに関する情報に基づいて、前記第1ルール定義ファイル又は前記第2ルール定義ファイルを検索し取得することを特徴とする請求項1記載の医用画像診断支援システム。
【請求項3】
前記判定手段は、一方のファイルにおいて値を有する情報が、他方のファイルに存在するか否かに基づいて、前記サポート外である情報を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の医用画像診断支援システム。
【請求項4】
前記計算手段は、前記第1のルール定義ファイルと前記第2のルール定義ファイルとの間において、一方のファイルに含まれる表示アプリケーションに関する情報が他方のファイルにも含まれているか否かに基づいて、前記適合度の計算を行うことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の医用画像診断支援システム。
【請求項5】
前記計算手段は、
前記表示対象とする医用情報に対応する前記第1ルール定義ファイルに記載されているルール及び前記第2定義ファイルに記載されているルールに含まれる文字列の一致度をカテゴリ毎に判定することで、前記適合度の判定を実行すること、
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の医用画像診断支援システム。
【請求項6】
前記適合度が表示された表示アプリケーションの中から、所望の表示アプリケーションを選択させるための選択手段と、
前記入力手段を介して選択された表示アプリケーションを用いて前記サポート外と判定された情報を表示するために、当該前記サポート外と判定された情報の変換を行うデータ変換手段と、をさらに具備し、
前記表示手段は、前記入力手段を介して選択された表示アプリケーションを用いて、前記変換後の前記サポート外と判定された情報を所定の形態で表示すること、
を特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の医用画像診断支援システム。
【請求項7】
前記表示手段は、前記表示アプリケーション毎の適合度と共に、サポート外と判定された情報の表示アプリケーションとして過去に選択された回数を表示することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の医用画像診断支援システム。
【請求項8】
所定の規格に従って生成された医用画像を含む医用情報を表示し、医用画像診断を支援するための医用画像診断支援プログラムであって、
コンピュータに、
表示対象とする前記医用情報と、前記各医用情報の記載ルールを定義する少なくとも一つの第1ルール定義ファイルと、当該システムが前記所定の規格に従う医用情報を読込む際のルールを定義する第2ルール定義ファイルと、を取得させる取得機能と、
前記表示対象とする医用情報に対応する前記第1ルール定義ファイルと、前記第2ルール定義ファイルと、を比較させることにより、前記医用情報に含まれる情報のうち当該医用画像診断支援システムにおいてサポート外である情報を判定させる判定機能と、
前記サポート外と判定された情報を表示するための適合度を、表示アプリケーション毎に計算させる計算機能と、
前記表示アプリケーション毎の適合度を、所定の形態で表示させる表示機能と、
を実現することを特徴とする医用画像診断支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−8590(P2011−8590A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152337(P2009−152337)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】