説明

医用画像診断支援システム

【課題】読影レポート上に医用画像を貼り付けるとともに、その画像の結節の情報も貼り付ける。
【解決手段】画像管理部2bは、入力管理部2aから対象画像キー情報、対象画像の結節の位置情報、および「レポート上への画像貼り付け」を指示する操作種情報が供給された場合、画像保管部2cから対象画像を読み出し、それを複製して貼り付け用の画像を生成する。また画像管理部2bは、対象画像の結節の位置情報を画像解析部2eに供給し、結節の大きさなどを解析させ、解析結果である結節情報を受け取る。画像管理部2bは、生成した貼り付け用の画像と画像解析部2eから受け取った結節情報を出力管理部2fに供給する。出力管理部2fは、画像管理部2bから供給された貼り付け用画像と結節情報を、モニタ3に表示された読影レポート作成画面上の所定位置に貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断支援システムに関し、特に、医用画像について読影結果を報告するレポートを作成する際に、レポート上に医用画像を貼り付けるとともに、その画像の結節の情報も貼り付ける医用画像診断支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療行為の専門分野が細分化され、レントゲン、X線診断装置、CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置、および超音波診断装置などの医用画像診断装置で撮影された医用画像の読影を、専門医に依頼することが広く行われている。このような読影依頼に際し、専門医は、読影対象の画像を画像観察装置に表示させて、その結果を読影レポート作成支援装置にて報告書(読影レポート)にまとめ、依頼元に渡す処理を行っている。
【0003】
具体的には、読影レポート作成支援装置において、読影レポートを表示させ、画像観察装置において、依頼元から取得した医用画像を順次表示させる。読影医は、読影レポート上に患者情報や検査情報などの必要な項目を入力し、読影対象となる医用画像の所見をレポート内の所見記入欄へ、画像所見を元にした診断結果を診断記入欄へ書き込む。また所見で指摘する医用画像については、必要に応じて画像添付欄に貼り付ける。以上の手順によって作成された読影レポートのデータが、読影依頼元に渡される。
【0004】
このような読影レポート作成装置では、読影レポートにおいて、所見の記入内容と貼付画像との関係がわかりにくい場合がある。
【0005】
そこで特許文献1には、医用画像の読影レポート作成時に、所見内容で参照することが想定される読影対象の医用画像等の情報を自動的にリンク付けする技術が提案されている。この技術よって、読影レポートの閲覧者は、簡単な操作で、リンク付けされた参照情報を取得し、所見者の意図を容易に把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−12044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、腫瘍(結節)などの経過観察において、読影医は、読影レポート上に、過去の検査で得られた画像と今回の検査で得られた画像を貼り付ける。さらには、注目した結節について、その大きさや、過去の検査で計測された大きさと今回の検査で計測された大きさの差分情報(結節がどれだけ小さくなったのか、あるいは、結節がどれだけ大きくなったのかを表す情報)を記載して報告することが重要である。
【0008】
しかしながら、結節の大きさや差分といった情報を記載する場合、記載内容等についてミスを誘発する恐れがあり、また入力作業にも時間がかかる課題があった。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、医用画像について読影結果を報告するレポートを作成する際に、レポート上に医用画像を貼り付けるとともに、その画像の結節の情報も貼り付けることが可能となる医用画像診断支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明の特徴は、操作者からの操作に応じて入力される情報を管理する入力管理手段と、読影のための医用画像を保管する画像保管手段と、医用画像における結節の位置情報を記憶する結節位置記憶手段と、読影のための医用画像の表示、および、読影レポートの表示を管理する出力管理手段とを有する医用画像診断支援システムにおいて、入力管理手段から貼り付け対象画像を指定するキー情報が供給された場合、画像保管手段から貼り付け対象画像を読み出すとともに、結節位置記憶手段から貼り付け対象画像の結節の位置情報を読み出す画像管理手段と、画像管理手段により読み出された貼り付け対象画像の結節の位置情報から、結節を解析する画像解析手段とを備え、出力管理手段は、読影レポート上に、画像管理手段により読み出された貼り付け対象画像、および、画像解析手段による解析結果である結節情報を貼り付けることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、医用画像について読影結果を報告するレポートを作成する際に、レポート上に医用画像を貼り付けるとともに、その画像の結節の情報も貼り付けることで、レポート記載時のミスを無くすだけでなく、入力作業時間も短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る医用画像診断支援システムの構成例を示す図である。
【図2】医用画像診断支援システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図3】読影レポートの作成時における画像の貼り付け処理を説明するフローチャートである。
【図4】読影レポート作成画面の表示例を示す図である。
【図5】観察画像表示画面の表示例を示す図である。
【図6】読影レポート作成画面上に貼り付け対象画像と結節情報が貼り付けられた表示例を示す図である。
【図7】読影レポート作成画面上に貼り付け対象の比較画像と結節情報が貼り付けられた表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る医用画像診断支援システムの構成例を示す図である。この医用画像診断支援システムにおいては、医用画像保管装置1、医用画像観察装置2、医用画像観察装置2に接続されるモニタ3、および読影レポート作成支援装置4から構成されている。医用画像保管装置1、医用画像観察装置2、および読影レポート作成支援装置4は、ネットワーク5を介して互いに接続されている。
【0015】
医用画像保管装置1は、例えば、大容量のHDD(Hard Disc Drive)やファイルサーバからなり、図示せぬX線診断装置、CT装置、および超音波診断装置などから取得した医用画像を保管する。
【0016】
医用画像観察装置2は、例えば、汎用のコンピュータであり、プログラムとこのプログラム処理に必要となるデータを記憶する主記憶装置、プログラムやデータに基づいて演算処理を行なうCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種操作を入力するための入力部、ネットワーク5と接続する通信部などから構成されている。
【0017】
医用画像観察装置2は、読影医により指定された検査に対応する医用画像を、医用画像保管装置1からネットワーク5を介して取得し、モニタ3に表示させる。読影医は、モニタ3に表示された複数の医用画像から読影のための画像を選択し、選択した画像内の結節の位置情報(座標)の入力を行う。医用画像観察装置2は、読影医によって入力された結節の位置情報から結節の大きさなどを解析し、解析結果である結節情報を、医用画像に関連付けて管理する。結節情報には、例えば、結節の長さ、面積、体積、および、過去の結節の大きさと今回の結節の大きさの差分が含まれる。
【0018】
また医用画像観察装置2は、読影医により指定された読影レポートを、読影レポート作成支援装置4からネットワーク5を介して取得し、モニタ3に表示させる。読影医は、モニタ3に表示された読影レポートに患者情報や検査情報などの必要な項目を入力する。
【0019】
さらに医用画像観察装置2は、読影医により画像貼り付けの指示のあった貼り付け対象画像、および、その画像に係る結節情報を、モニタ3に表示されている読影レポート上に貼り付ける。読影医は、読影レポート上に貼り付けられた貼り付け対象画像や結節情報に基づいて、所見記入欄に所見を書き込む。
【0020】
モニタ3は、例えば、液晶ディスプレイで構成され、マルチウィンドウなどの画面表示機能により、医用画像観察装置2から出力される観察画像と読影レポート作成支援装置4から出力される読影レポートを表示する。
【0021】
読影レポート作成支援装置4は、例えば、汎用のコンピュータであり、主記憶装置、CPU、ROM、RAM、通信部などから構成されている。読影レポート作成支援装置4は、医用画像について読影結果を報告するための読影レポートを管理している。
【0022】
ネットワーク5は、公衆回線網、ローカルエリアネットワーク、またはインターネットなどのネットワーク、デジタル衛星放送といった、有線または無線のいずれのものでもよい。
【0023】
なお、医用画像観察装置2と読影レポート作成支援装置4は、それぞれ独立した専用装置として構成してもよいし、あるいは、1台で画像観察と読影レポート作成の双方の機能を有する装置として構成するようにしてもよい。
【0024】
図2は、医用画像診断支援システムの機能構成例を示すブロック図である。図2に示す医用画像観察装置2の機能部のうちの少なくとも一部は、医用画像観察装置2のCPUにより画像管理アプリケーションが実行されることによって実現され、読影レポート作成支援装置4の機能部のうちの少なくとも一部は、読影レポート作成支援装置4のCPUによりレポート作成アプリケーションが実行されることによって実現される。
【0025】
図2に示すように、医用画像観察装置2は、入力管理部2a、画像管理部2b、画像保管部2c、結節位置データベース2d、画像解析部2e、出力管理部2f、および通信管理部2gとから構成される。読影レポート作成支援装置4は、レポート管理部4a、キー画像保管部4b、レポートデータベース4c、および通信管理部4dから構成される。
【0026】
入力管理部2aは、操作者からの操作に応じて入力された情報を受け取り、受け取った入力情報を管理する入力管理手段として機能する。入力管理部2aは、受け取った入力情報を、入力内容に応じて画像管理部2b、出力管理部2f、または通信管理部2gに供給する。
【0027】
例えば、入力内容が、対象画像を指定するキー情報(画像を特定するID)と対象画像に対する操作種情報(画像を開く、または結節位置の記憶などを指示する情報)の場合、入力管理部2aは、入力情報を画像管理部2bに供給する。
【0028】
また例えば、入力内容が、対象画像を指定するキー情報、結節の位置情報、および対象画像に対する操作種情報(結節の解析を指示する情報など)の場合、入力管理部2aは、入力情報を画像管理部2bに供給する。
【0029】
また例えば、入力内容が、貼り付け対象画像を指定するキー情報と貼り付け対象画像に対する操作種情報(レポート上への画像貼り付けを指示する情報)、および出力管理部2fからの結節の解析結果情報(結節の長さ、面積、体積、および、過去の結節の大きさと今回の結節の大きさの差分など)の場合、入力管理部2aは、入力情報を画像管理部2bに供給する。
【0030】
また例えば、入力内容が、読影レポート上の所見編集に関する情報(文字の挿入、削除、または更新などを指示する情報)の場合、入力管理部2aは、入力情報を出力管理部2fに供給する。
【0031】
また例えば、入力内容が、対象検査(レポート)を指定するキー情報(検査を特定するID)と読影レポート作成に関する操作種情報(レポートの作成、レポートの編集、またはレポートの保存などを指示する情報)の場合、入力管理部2aは、入力情報を通信管理部2gに供給する。
【0032】
画像管理部2bは、入力管理部2aから供給された入力情報に基づいて、処理を行う画像の情報および処理内容を管理する。
【0033】
例えば、入力情報が、対象画像キー情報と「画像を開く」を指示する操作種情報との場合、画像管理部2bは、画像保管部2cから対象画像を読み出し、結節位置データベース2dから対象画像の結節の位置情報を読み出す。このとき、結節位置データベース2dに対象画像の結節の位置情報が存在した場合には、読み出した結節の位置情報を画像解析部2eに供給し、結節の大きさなどを解析させ、解析結果である結節情報を受け取る。画像管理部2bは、対象画像と結節情報を出力管理部2fに供給する。なお、結節位置データベース2dに対象画像の結節の位置情報が存在しない場合には、対象画像のみが出力管理部2fに供給される。
【0034】
また例えば、入力情報が、対象画像キー情報、結節の位置情報、および「結節解析」を指示する操作種情報の場合、画像管理部2bは、結節の位置情報を画像解析部2eに供給し、結節の大きさなどを解析させ、解析結果である結節情報を受け取る。画像管理部2bは、画像保管部2cから対象画像を読み出し、画像解析部2eから受け取った結節情報とともに出力管理部2fに供給する。画像管理部2bは、画像解析部2eから受け取った解析結果である結節情報を結節位置データベース2dに記憶させる。
【0035】
また例えば、入力情報が、対象画像キー情報、結節の位置情報、および「結節位置の記憶」を指示する操作種情報の場合、画像管理部2bは、対象画像キー情報に関連付けて結節の位置情報を結節位置データベース2dに記憶させる。
【0036】
また例えば、入力情報が、貼り付け対象画像キー情報と「レポート上への画像貼り付け」を指示する操作種情報の場合、画像管理部2bは、画像保管部2cから貼り付け対象画像を読み出し、それを複製して貼り付け用の画像を生成する。このとき、入力情報に結節の位置情報が含まれている場合(貼り付け対象画像の結節解析がまだ行われていない場合)、結節の位置情報を画像解析部2eに供給し、結節の大きさなどを解析させ、解析結果である結節情報を受け取る。画像管理部2bは、生成した貼り付け用画像と画像解析部2eから受け取った結節情報を出力管理部2fに供給する。なお、入力情報に結節情報(解析結果)が含まれている場合、画像管理部2bは、生成した貼り付け用画像と入力情報に含まれる結節情報を出力管理部2fに供給する。
【0037】
この画像管理部2bは、画像保管部2cから貼り付け対象画像を読み出すとともに、結節位置データベース2dから貼り付け対象画像の結節の位置情報を読み出す画像管理手段として機能する。
【0038】
画像保管部2cは、例えば、HDDからなり、操作者の要求に応じて、観察対象となる画像の保管先である医用画像保管装置1からネットワーク5を介して画像を取得し、保管する画像保管手段として機能する。つまり画像は、通常、医用画像保管装置1内で保持されているが、操作者の要求に応じて画像保管部2cに保管される。なお、画像の保管先は、画像の種類(CT画像や超音波画像など)に応じて分けるようにしたり、あるいは、MO(Magnetic Optical Disc)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Video Disc)、およびUSB(Universal Serial Bus)メモリといった可搬媒体に保管させるようにしたりしてもよい。
【0039】
結節位置データベース2dは、例えば、HDDからなり、観察対象となる画像の結節の位置情報を、対象画像キー情報に関連付けて記憶および管理する結節位置記憶手段として機能する。
【0040】
画像解析部2eは、画像管理部2bから供給された結節の位置情報から、結節の大きさなどの解析を行う画像解析手段として機能する。画像解析部2eは、解析結果である結節情報を画像管理部2bに返す。
【0041】
出力管理部2fは、モニタ3への出力情報を管理する出力管理手段として機能する。
【0042】
例えば、出力情報が、対象画像と医用画像観察画面の表示を指示する情報の場合、出力管理部2fは、モニタ3に医用画像観察画面を表示させ、その画面上に対象画像を表示させる。
【0043】
また例えば、出力情報が、読影レポート作成画面の表示を指示する情報の場合、出力管理部2fは、モニタ3に読影レポート作成画面を表示させる。
【0044】
また例えば、出力情報が、読影レポート作成画面上への画像貼り付けを指示する情報の場合、出力管理部2fは、モニタ3に表示された読影レポート作成画面上の所定位置に、貼り付け用画像と結節情報を表示させる。
【0045】
通信管理部2gは、LAN(Local Area Network)カードやモデムなどで構成されており、ネットワーク5を介して読影レポート作成支援装置4との通信を管理する。すなわち通信管理部2gは、ネットワーク5を介して読影レポート作成支援装置4から受信したデータを出力管理部2fに送信し、入力管理部2aや画像管理部2bから供給されたデータを、ネットワーク5を介して読影レポート作成支援装置4に送信する。
【0046】
レポート管理部4aは、通信管理部4dから供給された医用画像観察装置2からの要求に応じて処理を行い、処理結果を通信管理部4dに返す。
【0047】
例えば、レポート作成や編集開始が要求された場合、レポート管理部4aは、レポートデータベース4cから対象となる読影レポートを読み出し、キー画像保管部4bから読影レポートに貼り付けられた(関連付けられた)キー画像を読み出し、読み出した情報を通信管理部4dに供給する。
【0048】
また例えば、レポート保存が要求された場合、レポート管理部4aは、編集内容をレポートデータベース4cおよびキー画像保管部4bに反映させる。
【0049】
レポートデータベース4cは、例えば、HDDからなり、読影レポート、そのレポート上に入力されている検査情報、患者情報、所見情報、キー画像参照先情報、結節情報などを維持および管理する。
【0050】
キー画像保管部4bは、例えば、HDDからなり、読影レポート上に貼り付けられたキー画像を維持および管理する。
【0051】
通信管理部4dは、LANカードやモデムなどで構成されており、ネットワーク5を介して医用画像観察装置2との通信を管理する。すなわち通信管理部4dは、ネットワーク5を介して医用画像観察装置2から受信したデータをレポート管理部4aに送信し、レポート管理部4aから供給されたデータを、ネットワーク5を介して医用画像観察装置2に送信する。
【0052】
次に、図3のフローチャートを参照して、読影レポートの作成時における画像の貼り付け処理について説明する。
【0053】
ステップS1において、入力管理部2aは、操作者によって図示せぬ入力部が操作され、検査リストから対象検査(レポート)が指定されることによって読影レポート作成が指示されたか否かを判定し、読影レポート作成が指示されるまで待機する。そして、読影レポート作成が指示されたと判定された場合、入力管理部2aは、対象検査キー情報と読影レポート作成を指示する情報を通信管理部2gに供給する。
【0054】
ステップS2において、通信管理部2gは、入力管理部2aからの入力情報に基づいて、ネットワーク5を介して読影レポート作成支援装置4に読影レポートの送信を要求する。通信管理部2gは、要求に応じて読影レポート作成支援装置4から送信されてきた読影レポートを受信し、出力管理部2fに供給する。出力管理部2fは、通信管理部2gから供給された読影レポートをモニタ3に表示させる。
【0055】
図4は、モニタ3に表示される読影レポート作成画面W1の表示例を示す図である。
【0056】
図4に示す読影レポート作成画面W1の表示例では、患者IDと患者名の他、画像を貼り付けるための画像エリアA1、読影に応じて所見を入力するための所見エリアA2が表示されている。なお、図示していないが、検査部位や撮影条件などを含む検査情報も表示される。
【0057】
ステップS3において、入力管理部2aは、操作者により読影のための観察画像の表示が指示されたか否かを判定し、観察画像の表示が指示されるまで待機する。そして、観察画像の表示が指示されたと判定された場合、入力管理部2aは、対象検査キー情報と画像読み出しを指示する情報を画像管理部2bに供給する。
【0058】
ステップS4において、画像管理部2bは、入力管理部2aからの入力情報に基づいて、画像保管部2cから対象検査キー情報に対応する観察画像を読み出す。画像管理部2bは、読み出した観察画像を出力管理部2fに供給する。
【0059】
ステップS5において、出力管理部2fは、画像管理部2bから供給された観察画像をモニタ3に表示させる。
【0060】
図5は、モニタ3に表示される観察画像表示画面W2の表示例を示す図である。
【0061】
図5に示す観察画像表示画面W2の表示例では、9枚の観察画像が表示されるとともに、読影レポート(図4の読影レポート作成画面W1)上に画像を貼り付ける場合に選択される保存ボタンB1、画像の貼り付けをキャンセルしたり、または観察画像表示画面W2の表示を終了したりする場合に選択されるキャンセルボタンB2が表示されている。
【0062】
ステップS6において、入力管理部2aは、操作者によって画像の貼り付けが指示されたか否かを判定し、画像の貼り付けが指示されるまで待機する。例えば、操作者は、観察画像表示画面W2において、読影レポート上に貼り付けたい画像を選択し(画像上でマウスをクリックし)、保存ボタンB1を押下することで画像の貼り付けを指示することができる。
【0063】
ステップS6において、画像の貼り付けが指示されたと判定された場合、入力管理部2aは、対象画像キー情報と画像の貼り付けを指示する情報を画像管理部2bに供給する。
【0064】
ステップS7において、画像管理部2bは、入力管理部2aからの入力情報に基づいて、画像保管部2cから貼り付け対象画像を読み出し、それを複製して貼り付け用画像を生成する。
【0065】
ステップS8において、画像管理部2bは、入力管理部2aからの入力情報に基づいて、結節位置データベース2dから貼り付け対象画像の結節の位置情報を読み出す。
【0066】
ステップS9において、画像管理部2bは、ステップS8の処理の結果、貼り付け対象画像の結節の位置情報が読み出されたか否かを判定し、貼り付け対象画像の結節の位置情報が読み出されたと判定した場合、ステップS10に進む。
【0067】
ステップS10において、画像管理部2bは、ステップS8の処理で読み出された結節の位置情報を画像解析部2eに供給する。画像解析部2eは、結節の位置情報から結節の大きさ(長さ、面積、体積など)を解析し、解析結果である結節情報を画像管理部2bに返す。画像管理部2bは、画像解析部2eから受け取った解析結果である結節情報、ステップS7の処理で生成された貼り付け用画像、および画像と結節情報の貼り付けを指示する情報を出力管理部2fに供給する。
【0068】
ステップS11において、出力管理部2fは、画像管理部2bから供給された情報に基づいて、読影レポート作成画面W1上の所定位置に貼り付け用画像と結節情報を貼り付け、モニタ3に表示させる。
【0069】
図6は、読影レポート作成画面W1上に貼り付け対象画像と結節情報が貼り付けられた表示例を示す図である。図6に示す読影レポート作成画面W1の表示例では、画像エリアA1に、貼り付け用画像P1が貼り付けられ(表示され)、その貼り付け用画像P1の下方に、貼り付け用画像P1の結節情報Q1が貼り付けられている。
【0070】
これにより、操作者は、読影レポート上に貼り付けた画像の結節の大きさなどを新たに入力する必要がないため、レポート作成時間を短縮でき、かつ、手入力によるミスを防ぐことができる。
【0071】
ステップS9において、画像管理部2bは、ステップS8の処理の結果、貼り付け対象画像の結節の位置情報が読み出されていないと判定した場合、ステップS7の処理で生成された貼り付け用画像とその画像の貼り付けを指示する情報を出力管理部2fに供給する。
【0072】
ステップS12において、出力管理部2fは、画像管理部2bから供給された情報に基づいて、読影レポート作成画面W1上の所定位置に貼り付け用画像を貼り付け、モニタ3に表示させる。つまりこの場合には、貼り付けが指示された画像の結節情報が存在しないため、画像のみが読影レポート上に貼り付けられることになる。
【0073】
なお、図6に示した読影レポート作成画面W1上では、操作者により選択された貼り付け用画像が1つであったが、例えば、今回の検査で選択された貼り付け用画像と同じ位置で過去に撮影された画像が存在する場合、その両者を比較画像として貼り付けることができる。
【0074】
詳細には、画像管理部2bは、画像保管部2cから貼り付け対象画像を読み出す際に、同位置で撮影された過去の画像が存在するか否かを検索し、同位置で撮影された過去の画像が検索できた場合、その過去の画像も貼り付け対象画像として読み出す。画像管理部2bは、読み出した現在の画像と過去の画像を複製して貼り付け用の比較画像を生成する(ステップS7)。
【0075】
そして、画像管理部2bは、結節位置データベース2dから貼り付け対象画像の結節の位置情報を読み出す(ステップS8)。ここでは、現在の画像の結節の位置情報と過去の画像の結節の位置情報が読み出される。画像解析部2eは、画像管理部2bにより読み出された現在の画像の結節の位置情報と過去の画像の結節の位置情報から、結節の大きさ、および現在の結節の大きさと過去の結節の大きさの差分を解析する(ステップS10)。
【0076】
出力管理部2fは、画像管理部2bから供給される、貼り付け用の比較画像、比較画像の結節情報、および画像と結節情報の貼り付けを指示する情報に基づいて、読影レポート作成画面W1上の所定位置に貼り付け用比較画像と結節情報を貼り付け、モニタ3に表示させる(ステップS11)。
【0077】
図7は、読影レポート作成画面W1上に貼り付け対象の比較画像と結節情報が貼り付けられた表示例を示す図である。図7に示す読影レポート作成画面W1の表示例では、画像エリアA1に、比較画像P2が貼り付けられ、その比較画像P2の下方に、比較画像P2の結節情報Q2が貼り付けられている(表示されている)。結節情報Q2には、結節の長さ、面積、体積の他、現在の結節の大きさと過去の結節の大きさの差分情報も表示されている。
【0078】
これにより、操作者は、読影レポート上に貼り付けた比較画像と比較画像の結節の大きさの差分情報を確認することによって、結節の経過観察を容易に行うことが可能となる。
【0079】
以上においては、操作者により結節の位置情報(座標)が入力され、その位置情報から結節の大きさを解析するようにしたが、これに限らず、例えば、コンピュータ診断支援(CAD:Computer-Aided Diagnosis)による病変部位の自動検出結果や定量的な解析結果を用いることも勿論可能である。
【0080】
また、結節の位置情報(座標)を結節位置データベース2dに記憶させるようにしたが、この他に結節の解析結果である結節の大きさ(長さ、面積、体積)を記憶させるようにしてもよい。これにより、解析時間を短縮することが可能となる。
【0081】
さらに、結節の位置情報を、結節位置データベース2dに記憶させるだけでなく、今回の検査と過去の検査を関連付ける情報を保持するDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)形式のオブジェクトなどに記憶させるようにしてもよい。このDICOM形式で情報を記憶させることによって、他の装置での利用が容易となり、情報の有効再利用が可能となる。
【0082】
以上のように、本実施の形態によれば、読影レポート上に、過去の検査で得られた画像と今回の検査で得られた同位置の画像を比較画像として貼り付けることができるとともに、その比較画像の結節の大きさ、および、現在と過去の結節の大きさの差分情報もレポート上に貼り付けることができ、記載時のミスを無くすとともに、入力作業時間を短縮することが可能となる。また、結節の経過観察を容易に行うことが可能となる。
【0083】
この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化したり、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせたりすることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0084】
1 医用画像保管装置
2 医用画像観察装置
2a 入力管理部
2b 画像管理部
2c 画像保管部
2d 結節位置データベース
2e 画像解析部
2f 出力管理部
2g 通信管理部
3 モニタ
4 読影レポート作成支援装置
4a レポート管理部
4b キー画像保管部
4c レポートデータベース
4d 通信管理部
5 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者からの操作に応じて入力される情報を管理する入力管理手段と、
読影のための医用画像を保管する画像保管手段と、
前記医用画像における結節の位置情報を記憶する結節位置記憶手段と、
前記読影のための医用画像の表示、および、読影レポートの表示を管理する出力管理手段と
を有する医用画像診断支援システムにおいて、
前記入力管理手段から貼り付け対象画像を指定するキー情報が供給された場合、前記画像保管手段から前記貼り付け対象画像を読み出すとともに、前記結節位置記憶手段から前記貼り付け対象画像の結節の位置情報を読み出す画像管理手段と、
前記画像管理手段により読み出された前記貼り付け対象画像の結節の位置情報から、前記結節を解析する画像解析手段と
を備え、
前記出力管理手段は、前記読影レポート上に、前記画像管理手段により読み出された前記貼り付け対象画像、および、前記画像解析手段による解析結果である結節情報を貼り付ける
ことを特徴とする医用画像診断支援システム。
【請求項2】
前記画像管理手段は、前記貼り付け対象画像を複製して貼り付け用の画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断支援システム。
【請求項3】
前記画像管理手段は、前記入力管理手段から供給された前記貼り付け対象画像を指定するキー情報から、現在の画像と過去の画像を読み出し、それらを複製して貼り付け用の比較画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断支援システム。
【請求項4】
前記画像管理手段は、前記結節位置記憶手段から前記現在の画像の結節の位置情報と前記過去の画像の位置情報を読み出し、
前記画像解析手段は、前記画像管理手段により読み出された前記現在の画像の結節の位置情報と前記過去の画像の結節の位置情報から、前記現在の画像の結節の大きさと前記過去の画像の結節の大きさの差分を解析し、
前記出力管理手段は、前記読影レポート上に、前記貼り付け用の比較画像、および、前記画像解析手段による解析結果である差分情報を貼り付ける
ことを特徴とする請求項3に記載の医用画像診断支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−167144(P2010−167144A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13399(P2009−13399)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】