説明

医用画像診断装置、画像処理装置及び方法

【課題】異なる脈管の支配領域の弁別を容易にすること。
【解決手段】実施形態によれば、画像生成部は、医用画像を生成する。そして、決定部が、医用画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する。また、決定部が、医用画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定する。そして、生成部が、カラーマップと、医用画像の各領域における到達時刻とに基づいて、医用画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する。そして、制御部が、色相変換画像をモニタにて表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、医用画像診断装置、画像処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの他の医用画像診断装置に比べ装置規模が小さく、また、超音波プローブを体表から当てるだけの簡便な操作により、例えば、心臓の拍動や胎児の動きといった検査対象の動きの様子をリアルタイムで表示可能な装置であることから、今日の医療において重要な役割を果たしている。また、被曝のおそれがない超音波診断装置には、片手で持ち運べる程度に小型化された装置も開発されており、かかる超音波診断装置は、産科や在宅医療などの医療現場においても容易に使用することができる。
【0003】
さらに、近年、静脈投与型の超音波造影剤(以下、造影剤と記す)が製品化され、「造影エコー法」が行われるようになってきている。造影エコー法では、造影剤として微小気泡(マイクロバブル)などを静脈から注入して血流信号を増強することで、血流動態を明瞭に観察することが可能となる。例えば、造影エコー法は、心臓や肝臓などの検査に用いられる。医師は、造影エコー法により生成された造影像にて描出された血流動態を参照することにより、癌の鑑別診断や、慢性肝炎、肝硬変などのびまん性肝疾患の診断などを行なうことが可能となっている。例えば、原発性肝癌の場合、造影像に描出された動脈相の血流情報や門脈相の血流情報を相補的に用いることで、医師は、肝腫瘍の良性悪性の鑑別診断を行なうことができる。
【0004】
このような、造影エコー法を用いた血流動態の観察においては、血流信号の強度の経時的変化を明瞭に示す手法として、造影剤の流入時間を静止画像上にマッピングする手法が知られている。例えば、上記した手法では、造影剤によって反射された信号のピーク時間の違いを異なる色相で表現することにより、同一画像上で示された種々の部位における造影剤の流入時間を明瞭に示すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−183360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術においては、異なる脈管の支配領域の弁別が困難となる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態の医用画像診断装置は、画像生成部と、時刻検出部と、カラーマップ設定部と、生成部と、表示制御部とを備える。画像生成部は、医用画像を生成する。時刻検出部は、前記医用画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する。カラーマップ設定部は、前記医用画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定する。生成部は、前記カラーマップと、前記医用画像の各領域における到達時刻とに基づいて、前記医用画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する。表示制御部は、前記色相変換画像を所定の表示部にて表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る画像生成部の構成を説明するための図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る関心領域の一例を説明するための図である。
【図4】図4は、関心領域における輝度の検出の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、造影剤到達時間の決定の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、色相変換画像の一例を説明するための図である。
【図7A】図7Aは、健常者の色相変換画像の一例を説明するための図である。
【図7B】図7Bは、びまん性肝疾患などを罹患した患者の色相変換画像の一例を説明するための図である。
【図8A】図8Aは、到達時間の頻度分布の一例を示す図である。
【図8B】図8Bは、各色相の頻度分布の一例を示す図である。
【図9】図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2の実施形態に係る関心領域の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、1つの関心領域に複数の脈管が含まれる場合の造影剤到達時間の決定の一例を説明するための図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、色相変換画像及び色相変換テーブル生成後の関心領域の設定の一例を説明するための図である。
【図14A】図14Aは、被検体P1の超音波検査によって生成された色相変換テーブルを示す図である。
【図14B】図14Bは、被検体P2の超音波検査によって生成された色相変換テーブルを示す図である。
【図15】図15は、色相変換画像及び色相変換テーブルのグラデーション表示の一例を説明するための図である。
【図16】図16は、第4の実施形態に係るX線CT装置の構成を説明するための図である。
【図17】図17は、第4の実施形態に係る画像処理部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10の構成を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、超音波プローブ11と、入力装置12と、モニタ13と、装置本体100とを有し、ネットワーク14に接続されている。
【0010】
超音波プローブ11は、複数の圧電素子を有し、これら複数の圧電素子は、後述する装置本体100が有する送受信部110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生し、さらに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ11は、圧電素子に設けられる整合層と、圧電素子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
【0011】
超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ11が有する複数の圧電素子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0012】
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ11や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ11により、被検体Pを3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
【0013】
入力装置12は、トラックボール12a、スイッチ12b、ボタン12c、マウス12d、キーボード12eなどを有し、超音波診断装置10の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求(例えば、関心領域の設定要求や画質条件設定指示など)を転送する。
【0014】
モニタ13は、超音波診断装置10の操作者が入力装置12を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像などを表示したりする。
【0015】
装置本体100は、超音波プローブ11が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置であり、図1に示すように、送受信部110と、Bモード処理部120と、ドプラ処理部130と、画像生成部140と、画像メモリ150と、制御部160と、内部記憶部170と、インターフェース部180とを有する。
【0016】
送受信部110は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波プローブ11に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ11から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0017】
また、送受信部110は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ11が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行ない、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0018】
このように、送受信部110は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信部110は、後述する制御部160の制御により、遅延情報、送信周波数、送信駆動電圧、開口素子数などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更においては、瞬時に値を切り替えることが可能であるリニアアンプ型の発振回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。また、送受信部110は、1フレームもしくはレートごとに、異なる波形を送信して受信することも可能である。
【0019】
Bモード処理部120は、送受信部110からゲイン補正処理、A/D変換処理および加算処理が行なわれた処理済み反射波信号である反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0020】
ここで、Bモード処理部120は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理部120は、1つの受信データに対して、2つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。
【0021】
このBモード処理部120の機能を用いることにより、超音波造影剤が注入された被検体Pの関心領域における1つの受信データから、関心領域を流動する超音波造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とする反射波データと、関心領域に存在する組織を反射源とする反射波データとを分離することができ、後述する画像生成部140は、流動するバブルを高感度に映像化した造影像および形態を観察するために組織を映像化した組織像を生成することができる。
【0022】
ここで、造影像は、主に、非線形信号であるセカンドハーモニック(2次高調波)成分を元に生成されることが多く、形態観察用の組織像は、主に、基本波成分を元に生成される。なお、以下では、造影像を生成するためにBモード処理部120が受信データから分離したセカンドハーモニック成分のBモードデータを、「信号1」と記載し、組織像を生成するためにBモード処理部120が受信データから分離した基本波成分のBモードデータを、「信号2」と記載する。
【0023】
ドプラ処理部130は、送受信部110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0024】
画像生成部140は、Bモード処理部120が生成したBモードデータや、ドプラ処理部130が生成したドプラデータから、超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部140は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)することで、Bモードデータやドプラデータから表示用の超音波画像(Bモード画像やドプラ画像)を生成する。さらに、画像生成部140は、Bモード処理部120が受信データから分離したセカンドハーモニック成分のBモードデータ(信号1)に基づいて、造影像をカラーマッピングした色相変換画像を生成する。なお、色相変換画像の生成については、後に詳述する。
【0025】
画像メモリ150は、画像生成部140によって生成された造影像や組織像などの画像データを記憶する。また、画像メモリ150は、後述する画像生成部140による処理結果を記憶する。さらに、画像メモリ150は、送受信部110を経た直後の出力信号(RF:Radio Frequency)や画像の輝度信号、種々の生データ、ネットワーク14を介して取得した画像データなどを必要に応じて記憶する。画像メモリ150が記憶する画像データのデータ形式は、後述する制御部160によりモニタ13に表示されるビデオフォーマット変換後のデータ形式であっても、Rawデータである座標変換前のデータ形式でもよい。
【0026】
制御部160は、超音波診断装置10における処理全体を制御する。具体的には、制御部160は、入力装置12を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部170から読込んだ各種制御プログラムおよび各種設定情報に基づき、送受信部110、Bモード処理部120、ドプラ処理部130および画像生成部140の処理を制御したり、画像メモリ150が記憶する超音波画像などをモニタ13にて表示するように制御したりする。
【0027】
内部記憶部170は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや、ボディマークや各種設定情報などの各種データを記憶する。さらに、内部記憶部170は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像の保管などにも使用される。
【0028】
インターフェース部180は、入力装置12、ネットワーク14と装置本体100との間での各種情報のやり取りを制御するインターフェースである。例えは、インターフェース部180は、ネットワーク14上の他の装置に対する画像メモリ150や内部記憶部170が記憶するデータの転送を制御する。
【0029】
このように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、超音波プローブ11から送信した超音波の反射波に基づいて造影像や組織像を生成するが、以下、詳細に説明する画像生成部140の処理により、第1の実施形態に係る超音波診断装置10では、異なる脈管の支配領域を簡便な操作で映像化することで、異なる脈管の支配領域の弁別を容易にすることが可能となるように構成されている。具体的には、第1の実施形態に係る画像生成部140では、造影剤が投与された被検体Pにおいて、造影剤の流入が早い脈管の支配領域と、造影剤の流入が遅い脈管の支配領域とを異なる色相で映像化する。その結果、第1の実施形態に係る超音波診断装置10では、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能とする。
【0030】
以下、第1の実施形態に係る画像生成部140の処理について、図2などを用いて詳細に説明する。ここで、第1の実施形態における処理は、造影剤が投与された被検体Pに対して超音波を走査し、反射波からセカンドハーモニック成分を抽出して、順次生成された複数の造影像それぞれに対して行われる処理である。なお、本処理は、造影像が生成されるごとに実行される場合でもよく、或いは、造影像の生成が完了した後に実行される場合であってもよい。また、第1の実施形態においては、処理の一例として、被検体Pの肝臓における門脈及び動脈それぞれの支配領域(肝実質)を異なる色相で映像化する場合について説明する。なお、門脈は、動脈と比較して、造影剤の流入が遅いことが知られている。
【0031】
図2は、第1の実施形態に係る画像生成部140の構成を説明するための図である。第1の実施形態に係る画像生成部140は、図2に示すように、信号処理部141と、スキャンコンバータ142と、画像処理部143とを有する。
【0032】
信号処理部141は、Bモードデータ及びドプラデータに対してフィルタリング処理を実行する。具体的には、信号処理部141は、超音波スキャン走査線信号列からノイズ成分を除去する。スキャンコンバータ142は、受信した輝度データや血流情報等のデータの超音波スキャン走査線信号列をテレビなどの一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換する。
【0033】
画像処理部143は、図2に示すように、検出部143aと、決定部143bと、生成部143cとを有し、造影像をカラーマッピングした色相変換画像を生成する。検出部143aは、造影剤に由来する超音波の反射波信号により生成された超音波画像である造影像において、反射波信号の強度を検出する。具体的には、検出部143aは、反射波信号の強度として、造影像の画素の輝度を用いる。例えば、検出部143aは、Bモード処理部120が生成したBモードデータに基づいてスキャンコンバータ142が生成した造影像の輝度を検出する。
【0034】
決定部143bは、造影像の複数の関心領域において、検出部143aによって検出された反射波信号の強度が所定の閾値に達した到達時間をそれぞれ決定する。具体的には、決定部143bは、関心領域を構成する画素の輝度が所定の輝度に達した画素数の割合が所定の閾値を越えた時期を到達時間と判定する、或いは、関心領域を構成する画素の輝度の平均である平均輝度が所定の閾値を越えた時期を到達時間と判定する。
【0035】
ここで、まず、関心領域(ROI:Region Of Interest)について説明する。関心領域とは、超音波診断装置10の操作者や医師などによって指定された領域であり、脈管を含む領域である。図3は、第1の実施形態に係る関心領域を説明するための図である。
【0036】
図3においては、造影剤が投与された被検体Pの肝臓の造影像について示しており、肝実質と脈管とが示されている。例えば、超音波診断装置10の操作者や医師などが、図3に示すように、脈管A及び脈管Bにそれぞれ関心領域a及び関心領域bを指定する。ここで、脈管Aは、例えば、肝動脈である。また、脈管Bは、例えば、門脈である。なお、関心領域が指定される画像は、被検体Pを超音波検査した際の複数の造影像のいずれを用いてもよく、組織像が用いられてもよい。
【0037】
図3に示すように、超音波診断装置10の操作者や医師などによって関心領域が指定されると、決定部143bは、関心領域を構成する画素において、検出部143aによって検出された画素の輝度が所定の輝度に達した画素数の割合が所定の閾値を越えた到達時間を決定する。ここで、まず、検出部143aによる輝度の検出について説明する。図4は、関心領域における輝度の検出の一例を説明するための図である。
【0038】
図4においては、図3に示す関心領域a及び関心領域bのように、医師などによって指定された関心領域における輝度の検出について示している。例えば、図4に示すように、検出部143aは、関心領域200に含まれる各画素201の輝度を検出する。検出部143aは、被検体Pを超音波検査した際の複数の造影像において、操作者又は医師などによって指定されたすべてのフレームについて、時系列順に関心領域に含まれる各画素201の輝度を検出する。
【0039】
そして、決定部143bは、図4に示すように、検出部143aによって時系列順のフレームごとに検出された各画素201の輝度が閾値に到達したか否かを判定し、閾値に到達した場合に、当該画素201を造影剤が到達した画素である造影剤到達画素として決定する。そして、決定部143bは、関心領域200内の全ての画素201に対する造影剤到達画素の割合が所定の閾値に到達したか否かを判定する。ここで、関心領域200内の全ての画素201に対する造影剤到達画素の割合が所定の閾値に到達した場合には、決定部143bは、当該関心領域200に造影剤が到達したと判定して、到達時間を決定する。すなわち、決定部143bは、関心領域200内の脈管に造影剤が到達した時間を決定する。
【0040】
図5は、造影剤到達時間の決定の一例を説明するための図である。図5においては、横軸が時間、縦軸が関心領域内で造影剤(バブル)が到達した割合を示している。また、図5においては、図3に示す関心領域a及び関心領域bそれぞれに造影剤が到達したか否かの判定の一例を示している。例えば、決定部143bは、図5に示すように、関心領域aに含まれる全ての画素に対する造影剤到達画素の割合が閾値に達した時間t1を決定する。すなわち、ここでいう時間とは、複数の造影像において、関心領域として指定された脈管に造影剤が到達したことが映像化されたフレームの時間である。
【0041】
同様に、決定部143bは、図5に示すように、関心領域bに含まれる全ての画素に対する造影剤到達画素の割合が閾値に達した時間t2を決定する。ここで、図5に示すように、到達時間t1に達するまでの色相として色相1が、到達時間t1から到達時間t2までの色相として色相2が、到達時間t2経過後の色相として色相3が予め設定されている。なお、上述した造影剤到達画素の決定では、関心領域に含まれる画素の輝度が所定の閾値に到達した場合に、当該画素を造影剤到達画素と決定する場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、画素の輝度が最大となる場合に、当該画素を造影剤到達画素と決定する場合であってもよい。また、上述した造影剤到達の決定では、関心領域に含まれる全ての画素に対する造影剤到達画素の割合が所定の閾値に到達したか否かを用いる場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、関心領域における全ての画素の輝度の平均である平均輝度が最大値又は任意の値を越えた場合に、造影剤が到達したと決定する場合であってもよい。
【0042】
図2に戻って、生成部143cは、決定部143bによって新たな到達時間が決定された以降に、所定の閾値に達する領域に割り当てる色相を変化させることで、異なる到達時期間に所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像を生成する。生成部143cは、さらに、色相変換画像にて割り当てられた各色相を時間軸に沿って示した色相変換テーブルを生成する。
【0043】
具体的には、生成部143cは、被検体Pの造影像の複数の造影像において、1つの関心領域における造影剤の到達時間から他の関心領域における造影剤の到達時間までの間に、造影剤による反射波信号が検出された領域を同一の色相で示した色相変換画像を生成する。また、生成部143cは、決定部143bによって決定された造影剤の到達時間に色相を変化させた色相変換テーブルを生成する。そして、生成部143cは、生成した色相変換画像及び色相変換テーブルを画像メモリ150に格納する。
【0044】
図6は、色相変換画像の一例を説明するための図である。図6においては、図3に示す造影像の色相変換画像と色相変換テーブルとを示している。例えば、生成部143cは、図6に示すように、関心領域aに造影剤が到達するまでを色相1で示し、関心領域aにおける造影剤の到達時間t1から関心領域bにおける造影剤の到達時間t2までを色相2で示し、到達時間t2以降を色相3で示した色相変換画像を生成する。また、生成部143cは、図6に示すように、関心領域aにおける造影剤の到達時間t1において色相1から色相2に変化させ、関心領域bにおける造影剤の到達時間t2において色相2から色相3に変化させた色相変換テーブルを生成する。
【0045】
すなわち、図6の色相2で示された領域は、到達時間t1から到達時間t2までの間に造影剤が到達した領域であることを示している。また、図6の色相3で示された領域は、到達時間t2以降に造影剤が到達した領域を示している。図6によれば、図6に示された肝実質は、脈管Bに支配(栄養)されていることがわかる。
【0046】
ここで、図6においては、あるフレームの時間以前に生成された造影像全てを用いてカラーマップした色相変換画像が示されているが、実際には、すべてのフレームごとに色相変換画像が更新され、生成される。従って、それら全ての色相変換画像を保存しておき、動画像として見た場合には、被検体Pの肝臓に造影剤が流入して、徐々に輝度が変化していく様子が、色相により鮮明に見て取ることができる。そして、この動画像では、関心領域に造影剤が到達するごとに色相が変化した色相変換画像を見ることができる。
【0047】
ここで、生成部143cは、色相変換画像を生成するために用いられる造影像間のずれを補正した後に、色相変換画像を生成する。具体的には、生成部143cは、被検体Pが動いたり、超音波プローブ11がぶれたりすることによるフレーム間の位置のずれを補正した色相変換画像を生成する。
【0048】
例えば、生成部143cは、各フレームに含まれる造影像中の特徴点を抽出し、抽出した特徴点を基準として、フレーム間の位置のずれを補正する。そして、生成部143cは、フレーム間の位置のずれを補正した造影像に基づいて、色相変換画像を生成する。
【0049】
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置10を用いた例を説明する。例えば、びまん性肝疾患などを罹患した患者に対して、第1の実施形態に係る超音波診断装置10を用いた超音波検査を実行した場合には、色相変換画像に血流動態の変化が示されることとなる。以下、血流動態の変化の一例を図7A及び図7Bを用いて説明する。図7Aは、健常者の色相変換画像の一例を説明するための図である。図7Bは、びまん性肝疾患などを罹患した患者の色相変換画像の一例を説明するための図である。
【0050】
図7Aに示すように、健常者の肝臓においては、肝実質が脈管Bに支配されている。一方、びまん性肝疾患などを罹患した患者の肝臓においては、図7Bに示すように、到達時間t1から到達時間t2との間に造影剤が到達した肝実質の領域が色相2によって示されており、血流動態が変化して脈管Aによって支配された肝実質の領域が増加していることが明らかである。すなわち、超音波診断装置10の操作者又は医師などにとっては、血流動態の変化を把握しやすい画像が提供されることとなる。
【0051】
また、生成部143cは、造影像又は関心領域に含まれる画素それぞれにおいて、反射波信号の強度が所定の閾値に達した時期又は色相変換画像上における色相と、画素の数とを対応付けた頻度分布を生成して、画像メモリ150に格納する。図8Aは、到達時間の頻度分布の一例を示す図である。図8Bは、各色相の頻度分布の一例を示す図である。
【0052】
例えば、生成部143cは、図8Aに示すように、到達時間ごとの画素の頻度分布を示す図を生成する。また、生成部143cは、図8Bに示すように、色相ごとの画素の頻度を示すヒストグラムを生成する。図8A及びBに示すように、生成部143cは、ヒストグラムの最頻値(ピーク)、重心、分散などを算出することが可能である。
【0053】
このように、画像生成部140によって生成された色相変換画像及び色相変換テーブルを制御部160が画像メモリ150から読み出してモニタ13に表示させることで、第1の実施形態に係る超音波診断装置10では、異なる脈管の支配領域を異なる色相で映像化することができ、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能にする。
【0054】
次に、図9を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置10の処理について説明する。図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図9においては、被検体Pの造影像に対して操作者又は医師などが関心領域を指定した後の処理について示している。図9に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10においては、色相変換コマンドが実行されると(ステップS101肯定)、決定部143bが、各関心領域における造影剤到達の状態を表すフラグと、造影剤が到達した画素の割合と、色相インデックスとを初期値に設定する(ステップS102)。
【0055】
そして、検出部143aが各関心領域に含まれる画素ごとに輝度を検出し、決定部143bが、造影剤が未到達の関心領域において、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達した場合には(ステップS103肯定)、決定部143bが、到達フラグ及び色相インデックスを更新して、色相変換時刻を画像メモリ150に格納する(ステップS104)。そして、生成部143cが、画像メモリ150によって記憶された色相インデックス及び色相変換時刻を参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS105)。
【0056】
一方、ステップS103において、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達していない場合には(ステップS103否定)、生成部143cが、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS105)。すなわち、生成部143cは、画像メモリ150によって記憶された更新前の色相インデックスを参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する。
【0057】
そして、生成部143cは、終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。ここで、終了条件を満たさない場合には(ステップS106否定)、ステップS103に戻って、決定部143bが、造影剤が未到達の関心領域において、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達したか否かを判定する。一方、終了条件を満たす場合には(ステップS106肯定)、超音波診断装置10は処理を終了する。なお、ステップS106における終了条件としては、操作者又は医師などによって指定されたフレームすべてについて処理が実行された場合などである。
【0058】
上述したように、第1の実施形態によれば、検出部143aが、造影剤に由来する超音波の反射波信号により生成された超音波画像である造影像において、反射波信号の強度を検出する。そして、決定部143bが、造影像の複数の関心領域において、検出部143aによって検出された反射波信号の強度が所定の閾値に達した到達時期をそれぞれ決定する。そして、生成部143cが、決定部143bによって新たな到達時間が決定された以降に、所定の閾値に達する領域に割り当てる色相を変化させることで、異なる到達時期間に所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像を生成する。制御部160は、生成部143cによって生成された色相変換画像をモニタ13にて表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、異なる脈管の支配領域を異なる色相で映像化することができ、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能にする。
【0059】
また、第1の実施形態によれば、生成部143cが、さらに、色相変換画像にて割り当てられた各色相を時間軸に沿って示した色相変換テーブルを生成する。そして、制御部160が、さらに、色相変換テーブルをモニタ13にて表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、造影剤の流入時刻と色相との関係を明瞭にすることを可能にする。
【0060】
例えば、これまでには、異なる脈管に対する造影剤の流入時刻を事前に把握したうえで、動脈と門脈とを異なる色相で示すことで、動脈と門脈とを分離する技術が知られている。また、特定の脈管に流れる造影剤を高音圧超音波の照射によって破壊し、特定の脈管の支配領域への造影剤の流入を抑止することにより、造影像における支配領域の輝度を低下させ、他の支配領域と弁別する技術が知られている。しかしながら、動脈と門脈とを分離する技術では、疾患の種類や程度、患者ごとに造影剤の流入時刻を事前に把握する必要があり、超音波検査を行うまでに手間がかかる。また、造影像における支配領域の輝度を低下させ、他の支配領域と弁別する技術では、特定の脈管のみに選択的に高音圧超音波を照射させなければならず、走査断面の設定などが困難である。
【0061】
本実施形態に係る超音波診断装置10では、操作者又は医師が、造影剤が流入するまでの時間が異なる脈管を指定するだけで、それぞれの脈管に支配されている領域を異なる色相で映像化することができ、支配領域の弁別を容易に行うことを可能にする。このことにより、例えば、びまん性肝疾患を罹患した患者の肝臓における血流動態として報告されている肝臓の血管の動脈化について、明瞭な検査が可能となる。例を挙げると、本実施形態に係る超音波診断装置10を用いて門脈及び動脈それぞれに支配された領域を弁別することで、肝臓の血管の動脈化の程度を直感的に把握することができる。
【0062】
また、第1の実施形態によれば、検出部143aは、反射波信号の強度として、関心領域に含まれる造影像の画素の輝度を用いる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、生データを用いることなく、簡便な方法により、造影剤の到達時間を決定することを可能とする。
【0063】
また、第1の実施形態によれば、決定部143bは、関心領域を構成する画素の輝度が所定の輝度に達した画素数の割合が所定の閾値を越えた時期を到達時期と判定する、或いは、関心領域を構成する画素の輝度の平均である平均輝度が所定の閾値を越えた時期を到達時期と判定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、造影剤の到達時間について多様な設定ができ、柔軟な検査を実行することを可能にする。
【0064】
また、第1の実施形態によれば、生成部143cは、造影像又は関心領域に含まれる画素それぞれにおいて、到達時期又は色相変換画像上における色相と、画素の数とを対応付けた頻度分布を生成する。そして、制御部160は、生成部143cによって生成された頻度分布をモニタ13に表示させる。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、超音波検査に対して医師がより正確な判断を行うことを可能にする。
【0065】
また、第1の実施形態によれば、生成部143cは、色相変換画像を生成するために用いられる造影像間のずれを補正した後に、色相変換画像を生成する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、体動又は超音波プローブのぶれなどの影響を排除した、検査対象部位に正確に合致した色相変換画像を生成することを可能にする。
【0066】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、1つの脈管ごとに関心領域として指定する場合について説明した。第2の実施形態では、複数の脈管を1つの関心領域として指定する場合について説明する。なお、以下では、2つの脈管を1つの関心領域として指定する場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、関心領域に含まれる脈管の数が任意であり、例えば、3つの脈管が含まれる場合であってもよい。
【0067】
図10は、第2の実施形態に係る関心領域を説明するための図である。図10においては、造影剤が投与された被検体Pの肝臓の造影像について示しており、肝実質と脈管とが示されている。例えば、超音波診断装置10の操作者や医師などが、図10に示すように、脈管A及び脈管Bを含む関心領域cを指定したとする。ここで、脈管Aは、例えば、肝動脈である。また、脈管Bは、例えば、門脈である。なお、関心領域が指定される画像は、被検体Pを超音波検査した際の複数の造影像のいずれのフレームを用いてもよい。
【0068】
決定部143bは、検出部143aによって検出された反射信号の強度が異なる複数の閾値に達した到達時期をそれぞれ決定する。具体的には、決定部143bは、関心領域における全ての画素の輝度の平均である平均輝度が、段階的に設定された閾値それぞれに達した時間を決定する。
【0069】
図11は、1つの関心領域に複数の脈管が含まれる場合の造影剤到達時間の決定の一例を説明するための図である。図11においては、横軸が時間、縦軸が関心領域内の平均輝度を示している。また、図11においては、図10に示す関心領域cに造影剤が到達したか否かの判定の一例を示している。例えば、決定部143bは、図11に示すように、関心領域cにおける平均輝度が第1閾値に達した時間t3を決定する。そして、決定部143bは、関心領域cにおける平均輝度が第2閾値に達した時間t4を決定する。
【0070】
生成部143cは、決定部143bによって決定された新たな到達時期で色相を変化させることで、異なる到達時期間に所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像を生成する。例えば、生成部143cは、決定部143bによって決定された時間t3及び時間t4で色相を変換させた色相変換画像と色相変換テーブルとを生成する。
【0071】
次に、図12を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置10の処理について説明する。図12は、第2の実施形態に係る超音波診断装置10による処理の手順を示すフローチャートである。なお、図12においては、被検体Pの造影像に対して操作者又は医師などが関心領域を指定した後の処理について示している。図12に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置10においては、色相変換コマンドが実行されると(ステップS201肯定)、決定部143bが、関心領域における平均輝度と、色相インデックスとを初期値に設定する(ステップS202)。
【0072】
そして、検出部143aが関心領域に含まれる画素ごとに輝度を検出し、決定部143bが、造影剤が未到達の関心領域において、関心領域の平均輝度が第1閾値に達したか否かを判定する(ステップS203)。ここで、平均輝度が第1閾値に達した場合には(ステップS203肯定)、決定部143bが、色相インデックスを更新して、色相変換時刻を画像メモリ150に格納する(ステップS204)。
【0073】
その後、決定部143bが、平均輝度が第1閾値に到達した関心領域において、関心領域の平均輝度が第2閾値に達したか否かを判定する(ステップS205)。ここで、平均輝度が第2閾値に達した場合には(ステップS205肯定)、決定部143bが、色相インデックスを更新して、色相変換時刻を画像メモリ150に格納する(ステップS206)。そして、生成部143cが、画像メモリ150によって記憶された第1閾値及び第2閾値それぞれにおける色相インデックス及び色相変換時刻を参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS207)。
【0074】
一方、ステップS203において、平均輝度が第1閾値に達していない場合には(ステップS203否定)、生成部143cが、画像メモリ150によって記憶された更新前の色相インデックスを参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS207)。また、ステップS205において、平均輝度が第2閾値に達していない場合には(ステップS205否定)、生成部143cが、画像メモリ150によって記憶された更新前の色相インデックスと、第1閾値における色相インデックス及び色相変換時刻とを参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS207)。
【0075】
そして、生成部143cは、終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS208)。ここで、終了条件を満たさない場合には(ステップS208否定)、ステップS203に戻って、決定部143bが、造影剤が未到達の関心領域において、平均輝度が第1閾値に達したか否かを判定する。一方、終了条件を満たす場合には(ステップS208肯定)、超音波診断装置10は処理を終了する。なお、ステップS208における終了条件としては、操作者又は医師などによって指定されたフレームすべてについて処理が実行された場合などである。
【0076】
上述したように、第2の実施形態によれば、決定部143bは、検出部143aによって検出された前記反射波信号の強度が異なる複数の閾値に達した到達時期をそれぞれ決定する。そして、生成部143cは、決定部143bによって決定された新たな到達時間で色相を変化させることで、異なる到達時期間に所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像を生成する。従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置10は、脈管が密集した領域などで、2つの関心領域が指定できない場合であっても、異なる脈管の支配領域を異なる色相で映像化することができ、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能にする。
【0077】
(第3の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0078】
上述した実施形態では、画像生成部140が、医用画像(超音波画像)を生成する画像生成部として機能する。そして、決定部143bが、医用画像(超音波画像)の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する時刻検出部として機能する。また、決定部143bが、医用画像(超音波画像)に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定するカラーマップ設定部として機能する。そして、生成部143cが、カラーマップと、医用画像(超音波画像)の各領域における到達時刻とに基づいて、前記医用画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する生成部として機能する。そして、制御部160が、色相変換画像をモニタ13にて表示させる表示制御部として機能する。しかしながら、これらの機能ブロックは、任意に変更することが可能である。
【0079】
(1)関心領域の設定
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、最初に指定された関心領域に基づいて、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成した後に、最初に指定された関心領域を移動させ、移動後の関心領域に基づいて色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する場合であってもよい。
【0080】
例えば、決定部143bは、超音波画像上の関心領域の位置が移動された場合に、移動後の関心領域における到達時期を再度決定する。そして、生成部143cは、色相変換画像を、決定部143bによって再度決定された到達時期に色相を変化させた画像に変換する。図13は、色相変換画像及び色相変換テーブル生成後の関心領域の設定の一例を説明するための図である。図13においては、関心領域a及び関心領域bが設定され、色相変換画像及び色相変換テーブルが生成された後に、関心領域aが移動された場合について示している。
【0081】
図13の上図に示すように、操作者又は医師などによって関心領域aが関心領域dの位置に移動された場合には、決定部143bは、図13の下図に示すように、関心領域dにおける造影剤の到達時間t5を決定する。例えば、検出部143aが、関心領域dに含まれる画素の輝度を検出する。そして、決定部143bは、検出部143aによって検出された関心領域dの画素の輝度に基づいて、関心領域dにおける造影剤の到達時間t5を決定する。
【0082】
そして、生成部143cが、図13の(B)に示すように、関心領域が移動された場合の色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する。このことにより、操作者又は医師などにとっては、血管の形態を画像上で確認しながら、任意に色相を変換させた色相変換画像を見ることができ、動脈や静脈の分離、腫瘍内血流の流入過程などが明瞭に把握することができる。なお、関心領域の再設定に用いられる画像は、組織像、造影像、色相変換画像のいずれが用いられる場合であってもよい。
【0083】
(2)色相の変化
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、予め設定された色相により色相変換画像を生成する場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、造影剤の到達時間の間隔によって色相を変化させる場合でもよい。
【0084】
例えば、生成部143cが、単数又は複数の関心領域それぞれに対して、決定部143bによって決定された時間の間隔に応じて、用いる色相を変化させる。かかる場合には、画像メモリ150又は内部記憶部170に、時間間隔と色相とを対応付けた情報を記憶させておき、生成部143cが、この情報を参照することによって色相を変化させる。以下、色相の変化の一例を図14A及び図14Bを用いて説明する。図14Aは、被検体P1の超音波検査によって生成された色相変換テーブルを示す図である。図14Bは、被検体P2の超音波検査によって生成された色相変換テーブルを示す図である。
【0085】
例えば、生成部143cは、図14Bの上側の図に示すように、到達時間t1から到達時間t2までの間隔が、図14Aに示す間隔よりも狭くなっていることから、図14Bの下側の図に示すように、色相3を色相4に変化させた色相変換テーブルを生成する。このことにより、操作者又は医師などにとっては、例えば、到達時間の間隔に特徴がある疾患などをより明瞭に把握することが可能である。
【0086】
(3)色相の変更
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、予め設定された色相を用いて色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、色相変換画像及び色相変換テーブルが生成された後に、色相を変更させることも可能である。
【0087】
かかる場合には、例えば、生成部143cは、色相変換テーブルの色相が変更された場合に、変更された色相変換テーブルに基づいて、生成済みの色相変換画像の色相を変更する。このことにより、操作者又は医師などにとっては、弁別し難い領域間が明確にされることで、疾患などを明瞭に把握することができる。
【0088】
(4)処理対象
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、2次元の超音波画像(造影像)を用いる場合について説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、3次元の超音波画像(造影像)を用いる場合であってもよい。かかる場合には、色相変換画像は、例えば、ある指定方向からのレンダリング画像として表示されたり、或いは、所定の断面で切断したMPR(Multi Planar Reformation)画像で表示されたりする。
【0089】
(5)色相のグラデーション表示
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、単色の色相変換画像(カラーマップ)及び色相変換テーブルを用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、同一の時間間隔の色相を同系色のグラデーションで表示する場合であってもよい。
【0090】
図15は、色相変換画像及び色相変換テーブルのグラデーション表示の一例を説明するための図である。図15においては、図3に示す造影像の色相変換画像と色相変換テーブルとを示している。例えば、生成部143cは、図15に示すように、色相1、色相2及び色相3をそれぞれ時間経過に伴って同系色でグラデーションをかけた色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する。一例を挙げると、生成部143cは、図15に示すように、脈管Aの左端から関心領域aまでの造影剤の流れを同系色で淡い色から濃い色に変化させた色相1で示し、関心領域aに造影剤が到達した後、関心領域bに造影剤が到達するまでの間の造影剤の流れを、色相1とは異なる同系色で淡い色から濃い色に変化させた色相2で示し、関心領域bに造影剤が到達した後の造影剤の流れを色相1及び2とは異なる同系色で淡い色から濃い色に変化させた色相3で示した色相変換画像を生成する。
【0091】
また、生成部143cは、図15に示すように、造影剤が投与されてから到達時間t1までの時間を色相1で示し、到達時間t1から到達時間t2までの時間を色相2で示し、到達時間t2以降の時間を色相3で示した色相変換テーブルを生成する。
【0092】
このように、造影剤の流れをグラデーションで表示することにより、図15に示すように、脈管内の血液の流れの向きや肝実質に対して血液がどのように送られているのかが容易に観察することが可能になる。 なお、図15に示すようなグラデーション表示された色相変換画像は、上述した実施形態と同様に、全てのフレームごとに色相変換画像が生成され、それら全てを用いてカラーマップした1枚の色相変換画像を示しているが、全てのフレームごとの色相変換画像を時系列順に表示させることで動画像として表示させることも可能である。
【0093】
(第4の実施形態)
上述した第1、第2及び第3の実施形態では、医用画像診断装置(モダリティ)として超音波診断装置を用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置や、X線診断装置などの他のモダリティを用いる場合であってもよい。以下、X線CT装置を用いる場合について説明する。
【0094】
図16を用いて、第4の実施形態に係るX線CT装置の構成について説明する。図16は、第4の実施形態に係るX線CT装置30の構成例を示す図である。図16に例示するように、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、架台装置310と、寝台装置320と、コンソール装置330とを有する。
【0095】
架台装置310は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出してコンソール装置300に出力する。かかる架台装置310は、高電圧発生部311と、X線管312と、X線検出器313と、データ収集部314と、回転フレーム315と、架台駆動部316と、架台寝台制御部317とを有する。
【0096】
高電圧発生部311は、架台寝台制御部317による制御に従って、X線管312に対して高電圧を供給する。X線管312は、高電圧発生部311から供給される高電圧によってX線を発生する真空管であり、回転フレーム315の回転に伴って、被検体Pに対してX線を照射する。すなわち、高電圧発生部311は、X線管312に供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
【0097】
X線検出器313は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図16に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、第4の実施形態におけるX線検出器313は、被検体Pの体軸方向に沿って320列など多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲など、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
【0098】
データ収集部314は、X線検出器313によって検出されたX線を用いて投影データを生成し、生成した投影データをコンソール装置330の画像処理部334に送信する。回転フレーム315は、被検体Pを中心にして、高速でかつ連続的に回転する円環状のフレームであり、X線管312及びX線検出器313が対向して配置される。
【0099】
架台駆動部316は、架台寝台制御部317による制御に従って、架台を駆動する。具体的には、架台駆動部316は、モータの駆動によって回転フレーム315を高速に連続回転させ、被検体Pを中心とした円軌道上でX線管312及びX線検出器313を連続回転させる。架台寝台制御部317は、後述するスキャン制御部336による制御に従って、高電圧発生部311、架台駆動部316及び寝台駆動部321を制御する。
【0100】
寝台装置320は、撮影対象の被検体Pを載置する台であり、寝台駆動部321と、天板322とを有する。寝台駆動部321は、架台寝台制御部317による制御に従って、モータの駆動によって、天板322を被検体Pの体軸方向に連続して往復移動する。天板322は、被検体Pを載置する板である。
【0101】
なお、X線CT装置30による検査では、回転フレーム315を固定させた状態でX線管312からX線を照射しながら天板322を移動させることで、被検体Pの全身を体軸方向に沿ってスキャンしたスキャノグラムが撮影される。そして、被検体Pのスキャノグラムを参照した操作者は、X線CT画像の撮影計画を立案する。これにより、架台装置310は、例えば、天板322を移動させながら回転フレーム315を回転させて被検体Pを螺旋状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台装置310は、天板322を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム315を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。
【0102】
コンソール装置330は、図16に示すように、入力部331と、表示部332と、システム制御部333と、画像処理部334と、データ記憶部335と、スキャン制御部336とを有し、操作者によるX線CT装置30の操作を受け付けるとともに、架台装置310によって収集された投影データからX線CT画像を再構成する。
【0103】
入力部331は、X線CT装置30の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部333に転送する。例えば、入力部331は、操作者からスキャン計画及び再構成計画の設定に関する操作や、医用画像を3Dモニタに表示させる際の各種設定に関する編集操作等を受け付ける。なお、X線CT装置30は、スキャン計画の設定において、被検体Pの属性情報(性別や年齢、体格)、検査目的、検査部位などに応じて、各種条件があらかじめ設定されたスキャン計画から最適なスキャン計画を操作者に選択させることも可能である。このように、あらかじめ設定されたスキャン計画は、「EP(Expert Plan):エキスパートプラン」と呼ばれる。
【0104】
表示部332は、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイであり、各種情報を表示する。例えば、表示部332は、データ記憶部335によって記憶されているX線CT画像や、操作者から各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。
【0105】
システム制御部333は、架台装置310、寝台装置320及びコンソール装置330を制御することによって、X線CT装置30全体の制御を行う。例えば、システム制御部333は、スキャン制御部336を制御して3次元投影データを収集させる。また、例えば、システム制御部333は、画像処理部334を制御して3次元投影データからX線CT画像を再構成させる。そして、システム制御部336は、画像処理部334によって生成されたX線CT画像、色相変換画像及び色相変換テーブルなどを表示部332にて表示するように制御する。
【0106】
なお、第4の実施形態においては、システム制御部333は、メインスキャンとしてダイナミックスキャンを実行させる。ここで、ダイナミックスキャンとは、撮影対象となる部位(例えば、肝臓など)を含む範囲にX線を繰り返し照射することによって、撮影対象部位の動態画像を再構成する方法である。このダイナミックスキャンによって、撮像対象部位に造影剤が流れる様子を観察することができる。
【0107】
かかるダイナミックスキャンは、X線検出器313として多列の平面検出器を用いて、撮影対象部位を含む範囲を透過したX線を同時に検出することによって行うことも可能であるが、例えば、天板321をスライス方向に往復移動させることによって、撮影対象部位を含む範囲にX線を螺旋状に繰り返し照射することによって行うことも可能である。
【0108】
画像処理部334は、データ収集部314から受信した3次元投影データに対して各種処理を行う。具体的には、画像処理部334は、データ収集部314から受信した3次元投影データに対して感度補正などの前処理を行い、前処理後の3次元投影データを逆投影処理することで、3次元X線CT画像(以下、「ボリュームデータ」と表記する場合がある)を再構成する。そして、画像処理部334は、再構成後のボリュームデータをデータ記憶部335に格納する。また、画像処理部334は、例えば、SVR(Shaded Volume Rendering)法等により立体感のあるX線CT画像を生成したり、任意面の断面画像を生成して、生成したX線CT画像をデータ記憶部335に格納する。
【0109】
データ記憶部335は、画像処理部334によって再構成されたボリュームデータやX線CT画像等を記憶する。スキャン制御部336は、システム制御部333から指示されたスキャン条件に基づき架台寝台制御部317及びデータ収集部314を制御する。
【0110】
以上、第4の実施形態に係るX線CT装置30の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、以下、詳細に説明する画像処理部334の処理により、異なる脈管の支配領域を簡便な操作で映像化することで、異なる脈管の支配領域の弁別を容易にすることが可能となるように構成されている。具体的には、第4の実施形態に係る画像処理部334では、造影剤が投与された被検体Pにおいて、造影剤の流入が早い脈管の支配領域と、造影剤の流入が遅い脈管の支配領域とを異なる色相で映像化する。その結果、第4の実施形態に係るX線診断装置30では、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能とする。
【0111】
以下、第4の実施形態に係る画像処理部334の処理について、図17を用いて詳細に説明する。図17は、第4の実施形態に係る画像処理部の構成を説明するための図である。画像処理部334は、図17に示すように、検出部334aと、決定部334bと、生成部334cとを有する。検出部334aは、撮影中に再構成される画像に設定されたROI内の造影剤濃度を示す指標値を検出する。具体的には、検出部334aは、画像処理部334によってX線CT画像が再構成されると、その都度、再構成されたX線CT画像をデータ記憶部335から読み出す。
【0112】
そして、検出部334aは、X線CT画像を読み出すごとに、それぞれのX線CT画像に設定されている関心領域内におけるCT値を検出し、検出したCT値を、図示していない内部メモリなどに時系列に保存する。ここで、CT値が検出される領域である関心領域は、操作者によって入力部331を介して設定される。また、検出部334aは、検出したCT値を決定部334bに通知する。なお、上記したように、第4の実施形態においては、造影剤濃度を示す指標値としてCT値を用いる手法を説明したが、造影剤濃度を示すことができる値であれば、CT値ではない他の値を用いてもよい。
【0113】
決定部334bは、医用画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する。具体的には、決定部334bは、検出部334aによって検出されたX線CT画像のCT値において、関心領域を構成する画素のCT値が所定のCT値に達した画素数の割合が所定の閾値を越えた時刻を到達時刻と判定する、或いは、関心領域を構成する画素のCT値の平均である平均CT値が所定の閾値を越えた時刻を到達時刻と判定する。
【0114】
また、決定部334bは、X線CT画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定する。具体的には、決定部334bは、第1の流入時刻と第2の流入時刻との間の到達時刻に第1の色相を、前記第2の流入時刻以降の到達時刻に第2の色相を関連付けたカラーマップを設定する。
【0115】
生成部334cは、決定部334bによって設定されたカラーマップと、X線CT画像の各領域における到達時刻とに基づいて、X線CT画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する。具体的には、生成部334cは、被検体Pの複数のX線CT画像において、1つの関心領域における造影剤の到達時間から他の関心領域における造影剤の到達時間までの間に、造影剤によるCT値の増加が検出された領域を同一の色相で示した色相変換画像を生成する。また、生成部334cは、色相変換画像にて割り当てられた各色相を時間軸に沿って示した色相変換テーブルを生成する。そして、生成部334cは、生成した色相変換画像及び色相変換テーブルをデータ記憶部335に格納する。
【0116】
ここで、生成部334cは、色相変換画像を生成するために用いられるX線CT画像間のずれを補正した後に、色相変換画像を生成する。具体的には、生成部334cは、被検体Pの呼吸などによる異なる時相のX線CT画像間の位置のずれを補正した色相変換画像を生成する。例えば、生成部334cは、非線形のワーピング(warping)処理や、平行移動及び回転などの線形の位置合わせ処理を実行する。
【0117】
また、生成部334cは、X線CT画像又は関心領域に含まれる画素それぞれにおいて、CT値が所定の閾値に達した時刻又は色相変換画像上における色相と、画素の数とを対応付けた頻度分布を生成して、データ記憶部335に格納する。
【0118】
上述した第4の実施形態に係るX線CT装置30による処理は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10による処理と比較して、医用画像データに含まれるCT値を用いる点が異なる。そこで、第4の実施形態に係るX線CT装置30による処理の手順については、図9を用いて説明する。
【0119】
すなわち、第4の実施形態に係るX線CT装置30においては、図9に示すように、色相変換コマンドが実行されると(ステップS101肯定)、決定部334bが、各関心領域における造影剤到達の状態を表すフラグと、造影剤が到達した画素の割合と、色相インデックスとを初期値に設定する(ステップS102)。
【0120】
そして、検出部334aが各関心領域に含まれる画素ごとにCT値を検出し、決定部334bが、造影剤が未到達の関心領域において、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達したか否かを判定する(ステップS103)。ここで、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達した場合には(ステップS103肯定)、決定部334bが、到達フラグ及び色相インデックスを更新して、色相変換時刻をデータ記憶部335に格納する(ステップS104)。そして、生成部334cが、データ記憶部335によって記憶された色相インデックス及び色相変換時刻を参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS105)。
【0121】
一方、ステップS103において、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達していない場合には(ステップS103否定)、生成部334cが、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS105)。すなわち、生成部334cは、データ記憶部335によって記憶された更新前の色相インデックスを参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する。
【0122】
そして、生成部334cは、終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。ここで、終了条件を満たさない場合には(ステップS106否定)、ステップS103に戻って、決定部334bが、造影剤が未到達の関心領域において、造影剤が到達した画素の割合が所定の閾値に達したか否かを判定する。一方、終了条件を満たす場合には(ステップS106肯定)、X線CT装置30は処理を終了する。なお、ステップS106における終了条件としては、操作者又は医師などによって指定されたフレームすべてについて処理が実行された場合などである。
【0123】
また、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、第2の実施形態に係る超音波診断装置と同様に、複数の関心領域を1つの関心領域として指定することも可能である。以下、かかる場合について説明する。
【0124】
決定部334bは、検出部334aによって検出されたCT値が異なる複数の閾値に達した到達時刻をそれぞれ決定する。具体的には、決定部334bは、関心領域における全ての画素のCT値の平均である平均CT値が、段階的に設定された閾値それぞれに達した時間を決定する。
【0125】
生成部334cは、決定部334bによって決定された新たな到達時刻で色相を変化させることで、異なる到達時刻間に所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像と、色相変換テーブルとを生成する。
【0126】
上述した第4の実施形態に係るX線CT装置30による処理は、第2の実施形態に係る超音波診断装置10による処理と比較して、造影剤の到達時刻の決定に平均CT値を用いる点が異なる。そこで、上述した第3の実施形態に係るX線CT装置30による処理の手順については、図12を用いて説明する。
【0127】
第4の実施形態に係るX線CT装置30においては、図12に示すように、色相変換コマンドが実行されると(ステップS201肯定)、決定部334bが、関心領域における平均CT値と、色相インデックスとを初期値に設定する(ステップS202)。
【0128】
そして、検出部334aが関心領域に含まれる画素ごとに平均CT値を検出し、決定部334bが、造影剤が未到達の関心領域において、関心領域の平均CT値が第1閾値に達したか否かを判定する(ステップS203)。ここで、平均CT値が第1閾値に達した場合には(ステップS203肯定)、決定部334bが、色相インデックスを更新して、色相変換時刻をデータ記憶部335に格納する(ステップS204)。
【0129】
その後、決定部334bが、平均CT値が第1閾値に到達した関心領域において、関心領域の平均CT値が第2閾値に達したか否かを判定する(ステップS205)。ここで、平均CT値が第2閾値に達した場合には(ステップS205肯定)、決定部334bが、色相インデックスを更新して、色相変換時刻をデータ記憶部335に格納する(ステップS206)。そして、生成部334cが、データ記憶部335によって記憶された第1閾値及び第2閾値それぞれにおける色相インデックス及び色相変換時刻を参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS207)。
【0130】
一方、ステップS203において、平均CT値が第1閾値に達していない場合には(ステップS203否定)、生成部334cが、データ記憶部335によって記憶された更新前の色相インデックスを参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS207)。また、ステップS205において、平均CT値が第2閾値に達していない場合には(ステップS205否定)、生成部334cが、データ記憶部335によって記憶された更新前の色相インデックスと、第1閾値における色相インデックス及び色相変換時刻とを参照して、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成する(ステップS207)。
【0131】
そして、生成部334cは、終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS208)。ここで、終了条件を満たさない場合には(ステップS208否定)、ステップS203に戻って、決定部334bが、造影剤が未到達の関心領域において、平均CT値が第1閾値に達したか否かを判定する。一方、終了条件を満たす場合には(ステップS208肯定)、X線CT装置30は処理を終了する。なお、ステップS208における終了条件としては、操作者又は医師などによって指定されたフレームすべてについて処理が実行された場合などである。
【0132】
なお、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、色相変換画像及び色相変換テーブルを生成した後に、最初に指定された関心領域を移動させ、移動後の関心領域に基づいて色相変換画像及び色相変換テーブルを生成することも可能である。かかる場合には、決定部334bは、X線CT画像上の関心領域の位置が移動された場合に、移動後の関心領域における到達時刻を再度決定する。そして、生成部334cは、色相変換画像を、決定部334bによって再度決定された到達時刻に色相を変化させた画像に変換する。 このことにより、操作者又は医師などにとっては、血管の形態を画像上で確認しながら、任意に色相を変換させた色相変換画像を見ることができ、動脈や静脈の分離、腫瘍内血流の流入過程などが明瞭に把握することができる。なお、関心領域の再設定に用いられる画像は、組織像、造影像、色相変換画像のいずれが用いられる場合であってもよい。
【0133】
また、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、造影剤の到達時間の間隔によって色相を変化させることも可能である。かかる場合には、生成部334cが、単数又は複数の関心領域それぞれに対して、決定部334bによって決定された時間の間隔に応じて、用いる色相を変化させる。具体的には、データ記憶部335に、時間間隔と色相とを対応付けた情報を記憶させておき、生成部334cが、この情報を参照することによって色相を変化させる。このことにより、操作者又は医師などにとっては、例えば、到達時間の間隔に特徴がある疾患などをより明瞭に把握することが可能である。
【0134】
また、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、色相変換画像及び色相変換テーブルが生成された後に、色相を変更させることも可能である。 かかる場合には、生成部334cは、色相変換テーブルの色相が変更された場合に、変更された色相変換テーブルに基づいて、生成済みの色相変換画像の色相を変更する。このことにより、操作者又は医師などにとっては、弁別し難い領域間が明確にされることで、疾患などを明瞭に把握することができる。
【0135】
また、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、2次元又は3次元のX線CT画像を用いることが可能である。かかる場合には、色相変換画像は、例えば、ある指定方向からのレンダリング画像として表示されたり、或いは、所定の断面で切断したMPR(Multi Planar Reformation)画像で表示されたりする。
【0136】
上述した第4の実施形態によれば、画像処理部334が、X線CT画像を生成する。そして、決定部334bが、X線CT画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する。また、決定部334bが、X線CT画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定する。そして、生成部334cが、カラーマップと、X線CT画像の各領域における到達時刻とに基づいて、X線CT画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する。そして、システム制御部333が、色相変換画像を表示部332にて表示させる。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、異なる脈管の支配領域を異なる色相で映像化することができ、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能にする。
【0137】
また、第4の実施形態によれば、生成部334cが、さらに、色相変換画像にて割り当てられた各色相を時間軸に沿って示した色相変換テーブルを生成する。そして、システム制御部333が、さらに、色相変換テーブルを表示部332にて表示させる。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、造影剤の流入時刻と色相との関係を明瞭にすることを可能にする。
【0138】
また、第4の実施形態によれば、検出部334aは、関心領域に含まれる画素のCT値を用いて到達時刻を検出する従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、生データを用いることなく、簡便な方法により、造影剤の到達時間を決定することを可能とする。
【0139】
また、第4の実施形態によれば、決定部334bは、関心領域を構成する画素のCT値が所定のCT値に達した画素数の割合が所定の閾値を越えた時期を到達時刻と判定する、或いは、関心領域を構成する画素のCT値の平均である平均CT値が所定の閾値を越えた時期を到達時刻と判定する。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、造影剤の到達時間について多様な設定ができ、柔軟な検査を実行することを可能にする。
【0140】
また、第4の実施形態によれば、生成部334cは、X線CT画像又は関心領域に含まれる画素それぞれにおいて、到達時刻又は色相変換画像上における色相と、画素の数とを対応付けた頻度分布を生成する。そして、システム制御部333は、生成部334cによって生成された頻度分布を表示部332に表示させる。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、造影剤を用いたCT検査において医師がより正確な判断を行うことを可能にする。
【0141】
また、第4の実施形態によれば、生成部334cは、色相変換画像を生成するために用いられるX線CT画像間のずれを補正した後に、色相変換画像を生成する。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、体動などの影響を排除した、検査対象部位に正確に合致した色相変換画像を生成することを可能にする。
【0142】
また、第4の実施形態によれば、決定部334bは、検出部334aによって検出されたCT値が異なる複数の閾値に達した到達時刻をそれぞれ決定する。そして、生成部334cは、決定部334bによって決定された新たな到達時刻で色相を変化させることで、異なる到達時刻間に所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像を生成する。従って、第4の実施形態に係るX線CT装置30は、脈管が密集した領域などで、2つの関心領域が指定できない場合であっても、異なる脈管の支配領域を異なる色相で映像化することができ、異なる脈管の支配領域を容易に弁別することを可能にする。
【0143】
以上、医用画像装置としてX線CT装置を用いる例について説明した。上述した第4の実施形態に係るX線CT装置30においては、適宜、第3の実施形態に記載の内容を適用することが可能である。
【0144】
以上説明したとおり、第1〜第4の実施形態によれば、本実施形態の医用画像診断装置は、異なる脈管の支配領域を簡便な操作で映像化することで、異なる脈管の支配領域の弁別を容易にすることを可能にする。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0146】
10 超音波診断装置
11 超音波プローブ
12 入力装置
13 モニタ
30 X線CT装置
100 装置本体
110 送受信部
120 Bモード処理部
130 ドプラ処理部
140 画像生成部
141 信号処理部
142 スキャンコンバータ
143、334 画像処理部
143a、334a 検出部
143b、334b 決定部
143c、334c 生成部
150 画像メモリ
160 制御部
170 内部記憶部
310 架台装置
320 寝台装置
330 コンソール装置
331 入力部
332 表示部
333 システム制御部
335 データ記憶部
336 スキャン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を生成する画像生成部と、
前記医用画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する時刻検出部と、
前記医用画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定するカラーマップ設定部と、
前記カラーマップと、前記医用画像の各領域における到達時刻とに基づいて、前記医用画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する生成部と、
前記色相変換画像を所定の表示部にて表示させる表示制御部と、
を備える、医用画像診断装置。
【請求項2】
前記カラーマップ設定部は、前記第1の流入時刻と第2の流入時刻との間の到達時刻に第1の色相を、前記第2の流入時刻以降の到達時刻に第2の色相を関連付けたカラーマップを設定する、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記生成部は、さらに、前記色相変換画像にて割り当てられた各色相を時間軸に沿って示した色相変換情報を生成し、
前記表示制御部は、さらに、前記色相変換情報を前記所定の表示部にて表示させる、請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記時刻検出部は、前記指定領域に含まれる画素の輝度を用いて前記到達時刻を検出する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記時刻検出部は、前記指定領域を構成する画素の輝度が所定の輝度に達した画素数の割合が所定の閾値を越えた時刻を前記到達時刻と判定する、或いは、前記指定領域を構成する画素の輝度の平均である平均輝度が所定の閾値を越えた時刻を前記到達時刻と判定する、請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記時刻検出部は、前記医用画像上の前記指定領域の位置が移動された場合に、移動後の指定領域における前記到達時刻を再度検出し、
前記生成部は、前記色相変換画像を、前記時刻検出部によって再度検出された到達時刻に基づいて、色相を変化させた画像に変換する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記生成部は、前記第1又は第2の指定領域それぞれに対して、前記時刻検出部によって検出された前記時刻の間隔に応じて、用いる色相を変化させる、請求項1〜6のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の指定領域を含む単一の指定領域が設定される場合であって
前記時刻検出部は、前記画素の輝度が異なる複数の閾値に達した到達時刻をそれぞれ検出し、
前記生成部は、前記時刻検出部によって検出された新たな到達時刻で色相を変化させることで、異なる到達時刻間に前記所定の閾値に達した領域を異なる色相で示す色相変換画像を生成する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記生成部は、前記医用画像又は前記指定領域を構成する画素において、前記到達時刻又は前記色相変換画像上における色相と、画素数とを対応付けた頻度分布を生成し、
前記表示制御部は、前記生成部によって生成された前記頻度分布を所定の表示部にて表示させる、請求項4〜8のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記色相変換画像を生成するために用いられる医用画像間のずれを補正した後に、前記色相変換画像を生成する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記生成部は、前記色相変換情報が変更された場合に、前記色相変換画像を変更された色相変換情報に基づいて更新する、請求項3〜10のいずれ一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項12】
前記医用画像は、2次元又は3次元の医用画像である、請求項1〜11のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項13】
医用画像を生成する画像生成部と、
前記医用画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出する時刻検出部と、
前記医用画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定するカラーマップ設定部と、
前記カラーマップと、前記医用画像の各領域における到達時刻とに基づいて、前記医用画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成する生成部と、
前記色相変換画像を所定の表示部にて表示させる表示制御部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項14】
医用画像を生成し、
前記医用画像の所定の領域へ造影剤が到達した到達時刻を検出し、
前記医用画像に設定した第1の指定領域に対応する第1の流入時刻と、第2の指定領域に対応する第2の流入時刻とに基づいて、到達時刻と色相とを関連付けるカラーマップを設定し、
前記カラーマップと、前記医用画像の各領域における到達時刻とに基づいて、前記医用画像の各領域へ色相を割り当てた色相変換画像を生成し、
前記色相変換画像を所定の表示部にて表示させる、
ことを含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図16】
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【図17】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−55687(P2012−55687A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173828(P2011−173828)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】