説明

医用画像診断装置および画像処理装置

【課題】手術中に撮影された医用画像を参照して画像診断を行なう医師の負担を軽減すること。
【解決手段】ボリュームデータ生成部361は、手術中の患者Pの患部における3次元投影データから、ボリュームデータを生成する。体位取得部362aおよび位置・角度取得部362bは、入力装置31およびエンコーダ22からボリュームデータが撮影された時点における患者Pの手術中位置情報を取得する。画像生成パラメータ算出部362cは、手術中位置情報に基づいて、術前CT画像と同一または同一に近いMPR画像を生成するための画像生成パラメータを算出する。MPR生成部362dは、画像生成パラメータを用いて、ボリュームデータからMPR画像を生成し、システム制御部38は、生成されたMPR画像を、術中CT画像として表示装置32のモニタにて表示するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像診断装置および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脳外科領域や整形外科領域において、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置およびX線診断装置などの医用画像診断装置により手術中の患者を撮影した医用画像を取得することで、手術中における医師の画像診断を支援する術中画像支援が注目されている。医師は、術中画像支援により取得した手術中の医用画像と手術前に取得した患者の医用画像とを比較読影することで、治療の効果を判定したり、重篤な状態にある臓器、血管などの位置情報や腫瘍細胞の遺残などを確認したうえで治療方針を手術中で修正したりすることが可能となる。
【0003】
ここで、実際の手術において患者は、手術を行なう医師が患部にアクセスしやすいように、仰臥位、横臥位、腹臥位など、様々な体位を取ることとなる。また、特に、脳外科手術においては、通常、手術中の患部からの出血を抑えるため心臓よりも頭部を高くなるように、患者が載置される手術台の背もたれを傾けたうえで手術が行なわれている。
【0004】
しかし、医用画像診断装置による手術中の患者に対する撮影は、通常、手術台から標準寝台に患者を移載することで、手術中の患者を水平な体位にしたうえで行なわれていた。このため、術中画像支援を行なうためには、手術中の撮影のために患者を標準寝台へ移載し、さらに、撮影後に患者を手術中の体位となるように手術台へ移載することとなり、手術を行なう医師および患者双方にとって負担が大きい。また、標準寝台へ移載することで、手術中の患部の状態および形状は、例えば、ブレインシフトなどにより、変化してしまうこととなる。
【0005】
そこで、手術台、患者の体位および周辺機器など手術中のセットアップを保ったままで医用画像の撮影が可能となる医用画像撮影システムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。かかる医用画像撮影システムでは、例えば、投影データを収集するガントリの開口径を大きくすることで、手術中のセットアップを保ったままでX線CT画像の撮影が可能となる。また、かかる医用画像撮影システムでは、例えば、術前の撮影を行なうためのCアームの他に、術中の撮影を行なうためのΩアームを取り付けることにより、手術中のセットアップを保ったままでアンギオ用のX線画像の撮影が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−28160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した従来の技術は、手術中の体位を維持したまま医用画像の撮影が行なわれるので、モニタにて表示される手術中の医用画像の断面方向が、比較読影の対象となる手術前の医用画像の断面方向と必ずしも一致しない。すなわち、手術前の撮影では、通常、寝台にて水平な体位で載置された患者に対して手術前の撮影が行なわれるため、上記した従来の技術により手術中の体位を維持したまま医用画像の撮影が行なわれると、手術前と手術中とで撮影された医用画像の断面方向は、必ずしも一致せず、表示される画像に描出される患部の形状も異なってしまう。
【0008】
したがって、上記した従来の技術は、手術中に撮影された医用画像を参照して画像診断を行なう医師の負担を必ずしも軽減することができない場合があるといった課題があった。
【0009】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、手術中に撮影された医用画像を参照して画像診断を行なう医師の負担を軽減することが可能となる医用画像診断装置および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、手術中の被検体を撮影して3次元医用画像を生成する3次元医用画像生成手段と、前記3次元医用画像生成手段によって生成された前記3次元医用画像が撮影された時点における前記被検体の手術中位置情報を取得する手術中位置情報取得手段と、前記手術中位置情報取得手段によって取得された前記手術中位置情報に基づいて、手術前に撮影された前記被検体の2次元医用画像と同一または同一に近い断面を前記3次元医用画像から生成するための画像生成パラメータを算出する画像生成パラメータ算出手段と、前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記画像生成パラメータを用いて、前記3次元医用画像から断面画像を生成する断面画生成手段と、前記断面画像生成手段によって生成された前記断面画像を所定の表示部にて表示するように制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の本発明は、手術中の被検体の3次元医用画像が撮影された時点における前記被検体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、手術前に撮影された前記被検体の2次元医用画像と同一または同一に近い断面を前記3次元医用画像から生成するための画像生成パラメータを算出する画像生成パラメータ算出手段と、前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記画像生成パラメータを用いて、前記3次元医用画像から断面画像を生成する断面画像生成手段と、前記断面画像生成手段によって生成された前記断面画像を所定の表示部にて表示するように制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1または7の発明によれば、手術中に撮影された医用画像を参照して画像診断を行なう医師の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1におけるX線CT装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1におけるX線CT装置の架台装置を説明するための図である。
【図3】図3は、実施例1における画像生成部の構成を説明するための図である。
【図4】図4は、画像処理部による処理を説明するための図(1)である。
【図5】図5は、画像処理部による処理を説明するための図(2)である。
【図6】図6は、スカルピンに取り付けられるセンサについて説明するための図である。
【図7】図7は、実施例1におけるX線CT装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2における画像生成部を説明するための図である。
【図9】図9は、位置記憶部を説明するための図である。
【図10】図10は、実施例3における画像生成部を説明するための図である。
【図11】図11は、ランドマーク抽出部を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例3におけるX線CT装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、実施例4における画像生成部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る医用画像診断装置および画像処理装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、医用画像診断装置であるX線CT装置に、本発明を適用した場合を実施例として説明する。
【実施例1】
【0015】
まず、本実施例におけるX線CT装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施例1におけるX線CT装置の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施例におけるX線CT装置は、架台装置10と、手術台20と、ヘッドフレーム21と、エンコーダ22と、コンソール装置30とを有し、さらに、画像データベース40と接続される。
【0016】
ここで、本実施例におけるX線CT装置は、手術中のセットアップを保ったままで手術中の患者Pを撮影してX線CT画像(術中CT画像)を生成し、生成した術中CT画像を表示する手術用のX線CT装置である。また、本実施例におけるX線CT装置は、術中CT画像とともに、通常のX線CT装置により手術前の患者を撮影することで生成されたX線CT画像(術前CT画像)と術中CT画像とを表示する。なお、以下では、患者Pの頭部に対する脳神経外科手術中に、術中CT画像が撮影される場合について説明する。
【0017】
画像データベース40は、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベースや、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムなどのデータベースである。具体的には、画像データベース40は、通常のX線CT装置により撮影された患者Pの術前CT画像を記憶している。なお、術前CT画像は、2次元の断面画像である。
【0018】
架台装置10は、患者Pが挿入される撮影口となる空洞を有し、患者PにX線を照射して投影データを収集する装置であり、高電圧発生部11と、X線管12と、X線検出器13と、データ収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16とを有する。
【0019】
高電圧発生部11は、X線管12に高電圧を供給する装置であり、X線管12は、高電圧発生部11から供給される高電圧によりX線を発生する真空管である。X線検出器13は、患者Pを透過したX線のX線強度分布データを検出する検出器である。
【0020】
データ収集部14は、X線検出器13により検出されたX線強度分布データを用いて投影データを生成し、X線の照射方向ごとの投影データを収集するDAS(data acquisition system)であり、投影データを後述するコンソール装置30に送信する。
【0021】
回転フレーム15は、高速でかつ連続的に回転する円環状のフレームであり、X線管12とX線検出器13とを患者Pを挟んで対向するように支持している。
【0022】
架台駆動部16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、患者Pを中心とした円軌道上でX線管12およびX線検出器13を旋回させる駆動装置である。また、架台駆動部16は、架台装置10を後述する移動用レールに沿って移動させながら、回転フレーム15を回転駆動させることによって、患者Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを行なう。これにより、データ収集部14は、患者Pの患部における3次元投影データを収集する。
【0023】
なお、本実施例では、ヘリカルスキャンにより患者Pの患部における3次元投影データを収集する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、X線強度分布データを広範囲に検出することができる2次元アレイ型検出器(面検出器)をX線検出器13として用いることにより、コンベンショナルスキャンにより患者Pの患部における3次元投影データを収集する場合であってもよい。具体的には、面検出器としてのX線検出器13は、チャンネル方向(図1に示すY軸方向)に配列されたX線検出素子である検出素子列が被検体Pの体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って、例えば、320列に配列された検出素子列を有する。
【0024】
手術台20は、図1に示すように、脳外科手術などで用いられる三つ折寝台であり、手術を行なう医師が患部にアクセスしやすいように、仰臥位、横臥位、腹臥位など、様々な体位を取った患者Pが固定されて載置される。また、手術台20の背もたれの部分は、図1に示すように、手術を行なう医師が患部にアクセスしやすいように、また、患者Pの頭部が心臓より高くなるように、傾斜される。
【0025】
ヘッドフレーム21は、手術台20に取り付けられる頭部固定用の治具であり、患者Pの頭部を固定するスカルピンを有する。すなわち、手術台20に載置された患者Pの頭部は、開頭されたうえで、頭蓋骨がスカルピンにより固定される。
【0026】
エンコーダ22は、手術台20の背もたれの部分や、ヘッドフレーム21に取り付けられたセンサから、手術台20の背もたれの角度、ヘッドフレーム21の位置などを検知する。例えば、ヘッドフレーム21においてセンサが取り付けられる位置は、図1に示すように、ヘッドフレーム21が手術台20と接続されるためのアームなどが挙げられる。なお、エンコーダ22については、のちに詳述する。
【0027】
ここで、図2を用いて、本実施例におけるX線CT装置の架台装置10について、改めて説明する。図2は、実施例1におけるX線CT装置の架台装置を説明するための図である。
【0028】
図2に示すように、架台装置10は、架台装置移動台に固定されており、架台装置移動台は、移動用レールにより、移動する。すなわち、架台駆動部16は、架台装置移動台を移動用レールに沿って移動させることで、架台装置10を手術台20に載置された患者Pの患部(頭部)を撮影可能な位置まで移動させたり、ヘリカルスキャン実行中に、架台装置10を患者Pの体軸方向に沿って移動させたりする。
【0029】
ここで、手術中において、手術台20やヘッドフレーム21には、脳ベラなどの様々な治具が固定されるため、患者Pの頭部周辺は、ヘッドフレーム21も合わせて50cmを超えるボリュームとなる。そこで、架台装置10の撮影口の開口径は、通常の架台装置の撮影口の開口径が約70cmであるのに対して、80cm以上となっている。
【0030】
すなわち、本実施例におけるX線CT装置は、架台装置10を大口径とすることで、ヘッドフレーム21で固定された脳外手術中の患者Pを、手術中の体位そのままで撮像することが出来るようになっている。
【0031】
図1に戻って、コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けたり、架台装置10によって収集された投影データからX線CT画像(術中CT画像)を生成したりする装置であり、入力装置31と、表示装置32と、スキャン制御部33と、前処理部34と、投影データ記憶部35と、画像生成部36と、画像記憶部37と、システム制御部38とを有する。
【0032】
入力装置31は、マウスやキーボードやマイクなどを有し、操作者がX線CT装置を操作するための各種設定情報を入力するために用いられる。
【0033】
表示装置32は、モニタなどを有し、入力装置31を介して操作者から各種設定情報を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や後述する画像記憶部37が記憶する画像などを表示する。
【0034】
スキャン制御部33は、後述するシステム制御部38による制御のもと高電圧発生部11、データ収集部14、架台駆動部16の動作を制御することによって、患者Pの患部へのX線照射や投影データ(本実施例では、3次元投影データ)の収集処理などを制御する装置である。
【0035】
前処理部34は、データ収集部14が収集した投影データに対して感度補正などの前処理を行う処理部であり、投影データ記憶部35は、前処理部34により前処理された投影データを記憶する記憶部である。
【0036】
画像生成部36は、後述するシステム制御部38の制御により、投影データ記憶部35が記憶する前処理済み投影データからX線CT画像を生成したり、生成したX線CT画像を画像処理したりする処理部である。
【0037】
具体的には、画像生成部36は、前処理済みの3次元投影データを逆投影処理することで、3次元X線CT画像(以下、ボリュームデータと記載する)を生成する。また、画像生成部36は、ボリュームデータを画像処理することで、MPR(Multi Plane Reformat)画像を生成する。なお、画像生成部36については、のちに詳述する。
【0038】
画像記憶部37は、画像生成部36により生成された各種画像を記憶する記憶部である。
【0039】
システム制御部38は、架台装置10、寝台装置20、コンソール装置30の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。具体的には、システム制御部38は、入力装置31を介して操作者から受け付けた各種設定情報に基づいて、スキャン制御部33を制御することで、架台装置10から投影データを収集する。また、システム制御部38は、前処理部34、画像生成部36を制御することで、コンソール装置30における画像処理を制御する。また、システム制御部38は、画像記憶部37が記憶する各種画像を、表示装置32のモニタに表示するように制御する。さらに、システム制御部38は、画像データベースが記憶する患者Pの術前CT画像も、表示装置32のモニタに表示するように制御する。また、システム制御部38は、エンコーダ20が検知した角度・位置の情報を画像生成部36に転送する。
【0040】
ここで、本実施例におけるX線CT装置は、以下、詳細に説明するエンコーダ20や画像生成部36などの処理により、手術中に撮影されたX線CT画像(術中CT画像)を参照して画像診断を行なう医師の負担を軽減することが可能となることに主たる特徴がある。
【0041】
以下、この主たる特徴について図3〜図6を用いて説明する。なお、図3は、実施例1における画像生成部の構成を説明するための図であり、図4および5は、画像処理部による処理を説明するための図であり、図6は、スカルピンに取り付けられるセンサについて説明するための図である。
【0042】
図3に示すように、実施例1における画像生成部36は、ボリュームデータ生成部361と画像処理部362とを有する。
【0043】
ボリュームデータ生成部361は、前処理済みの3次元投影データを逆投影処理することで、ボリュームデータを生成し、生成したボリュームデータを画像記憶部37に格納する。
【0044】
画像処理部362は、ボリュームデータ生成部361が生成したボリュームデータから、MPR画像を術中CT画像として生成する処理部であり、体位取得部362aと、位置・角度取得部362bと、画像生成パラメータ算出部362cと、MPR生成部362dとを有する。
【0045】
ここで、術前CT画像は、通常のX線CT装置により水平な寝台に載置された患者Pの頭部を撮影されているので、図4の(A)に示すように、水平な体位に固定された患者Pの頭部が、体軸方向に沿って一定間隔でスライスされたアキシャル(Axial)断面となっている。
【0046】
しかし、脳神経外科手術中の撮影では、図4の(B)に示すように、患者Pの頭部が、例えば、傾斜角度「θ(シータ)」で傾斜された状態となっており、術中撮影時スライス面は、術前CT画像のスライス面と異なる。すなわち、脳外科手術中に患者Pを撮影することで生成されたボリュームデータから、術中撮影時スライス面によりMPR画像を生成すると、生成されたMPR画像は、術前CT画像と異なるスライス面となってしまう。
【0047】
このため、画像処理部362は、図4の(B)に示すように、傾斜角度「θ(シータ)」などの情報を用いて、表示用スライス面を調整することで、術前CT画像とほぼ同一の断面のMPR画像を、ボリュームデータ生成部361が生成したボリュームデータから生成する。
【0048】
かかる処理を行なうために、まず、画像処理部362は、図2に示す体位取得部362aおよび位置・角度取得部362bにより、ボリュームデータが撮影された時点における患者Pの手術中位置情報を取得する。
【0049】
具体的には、体位取得部362aは、患者Pの手術中における体位の情報を、X線CT装置の操作者から入力装置31を介して取得する。例えば、医師は、入力装置31を用いて、患者Pの体位が「仰臥位」であるとする情報を入力する。これにより、体位取得部362aは、システム制御部38を介して「患者P:仰臥位」を取得する。なお、医師は、患者Pの体位をより詳細に示す情報として、手術中の患者Pの頭部が、例えば、右30度に傾いていることを表す「右30度」も、入力装置31を用いて入力してもよい。これにより、体位取得部362aは、図5に示すように、システム制御部38を介して「患者P:仰臥位、右30度」を取得する。
【0050】
また、位置・角度取得部362bは、図1を用いて説明した手術台20およびヘッドフレーム21に取り付けられたセンサと接続されるエンコーダ20から、手術台20およびヘッドフレーム21の手術中における位置および角度を取得する。例えば、位置・角度取得部362bは、図5に示すように、手術台20の背もたれの部分に取り付けられた角度センサからエンコーダ22が検知した背もたれの傾斜角度(θ)を取得し、さらに、ヘッドフレーム21に取り付けられた位置センサからエンコーダ22が検知したヘッドフレーム21の空間位置における座標を取得する。
【0051】
図3に戻って、画像生成パラメータ算出部362cは、体位取得部362aが取得した患者Pの手術中の体位情報と、位置・角度取得部362bが取得した手術台20およびヘッドフレーム21の手術中における位置および角度とを手術中位置情報として受信する。
【0052】
そして、画像生成パラメータ算出部362cは、受信した手術中位置情報に基づいて、術前CT画像と同一または同一に近いMPR画像をボリュームデータから生成するための画像生成パラメータを算出する。
【0053】
具体的には、画像生成パラメータ算出部362cは、図5に示すように、画像生成パラメータとして、MPR画像を生成する際に用いられる画像生成座標面の向きおよび間隔を設定する。例えば、画像生成パラメータ算出部362cは、患者Pの手術中の体位と、手術台20の背もたれの傾斜角度(θ)と、ヘッドフレーム21の空間位置における座標とから、MPR画像を生成するための画像生成座標面の向き(傾き)を設定する。また、画像生成パラメータ算出部362cは、画像データベース40に患者Pの術前CT画像の付帯情報として格納されていた「術前CT画像のスライス間隔の情報」から、MPR画像を生成するための画像生成座標面の間隔を設定する。
【0054】
また、画像生成パラメータ算出部362cは、図5に示すように、画像生成パラメータとして、MPR画像にて描出される患者Pの患部の方向を、術前CT画像と一致させるための回転角度を設定する。例えば、画像生成パラメータ算出部362cは、図5に示すように、「患者P:仰臥位、右30度」の体位情報から、「右30度」を用いて回転角度「左30度」を設定する。
【0055】
なお、画像生成パラメータ算出部362cは、例えば、術前CT画像が撮影された際に患者Pが架台装置に挿入された方向と、ボリュームデータが撮影された際に患者Pが架台装置10に挿入された方向とが逆であることが、術前CT画像の付帯情報、あるいは操作者から入力装置31を介して取得した場合、回転角度「左右逆転」とする。
【0056】
図3に戻って、MPR生成部362dは、画像生成パラメータ算出部362cによって算出された画像生成パラメータを用いて、ボリュームデータからMPR画像を生成し、生成したMPR画像を患者Pの術中CT画像として画像記憶部37に格納する。
【0057】
すなわち、MPR生成部362dは、「画像生成座標面の向き」および「画像生成座標面の間隔」を用いて、ボリュームデータを、術前CT画像のスライス面とほぼ同一のスライス面にて、術前CT画像のスライス間隔と同一間隔でスライスした複数のMPR画像を生成する。そして、MPR生成部362dは、「回転角度」を用いて、複数のMPR画像の方向を修正する。
【0058】
システム制御部38は、患者Pの術中CT画像を画像記憶部37から読み出して、表示装置32のモニタにて表示するように制御する。具体的には、システム制御部38は、画像データベース40から読み出した患者Pの術前CT画像と、画像記憶部37に患者Pの術中CT画像として格納されたMPR画像とを、対応するスライス面にて並列表示したり、重畳表示したりするように制御する。
【0059】
なお、エンコーダ22と接続されるセンサが取り付けられる位置は、上述したように、手術台20の背もたれ部分や、ヘッドフレーム21が手術台20と接続されるためのアームに限定されるものではない。例えば、エンコーダ22と接続されるセンサが取り付けられる位置は、ヘッドフレーム21のスカルピンの位置や角度を検出可能な位置である場合であってもよい。
【0060】
ここで、ヘッドフレーム21は、スカルピンの本数により、3点固定式のヘッドフレーム(図6の(A)参照)と、4点固定式のヘッドフレーム(図6の(B)参照)とが知られている。例えば、3点固定式のヘッドフレームでは、図6の(A)に示すように、3本のスカルピンにより患者Pの頭蓋骨がおよその位置に固定されたのち、回転ねじにより2本のスカルピンが回転されて微調整されることで、患者Pの頭蓋骨が術式に応じて固定される。また、4点固定式のヘッドフレームでは、図6の(B)に示すように、スカルピンの挿入箇所が複数あり、例えば、2本のスカルピンにより患者Pの頭蓋骨がおよその位置に固定されたのち、さらに患者Pの頭部位置を微調整したのち他の2本のスカルピンで固定されることで、患者Pの頭蓋骨が術式に応じて固定される。
【0061】
したがって、3点固定式のヘッドフレーム21が用いられる場合、図6の(A)に示すように、2本のスカルピンを回転するための回転ねじに角度センサを取り付け、残りの1本のスカルピンが固定される箇所に位置センサに取り付けることにより、エンコーダ22は、患者Pの頭部が固定されている位置の情報を検知することができる。
【0062】
また、4点固定式のヘッドフレーム21が用いられる場合、図6の(B)に示すように、各スカルピンに位置センサに取り付けることにより、エンコーダ22は、患者Pの頭部が固定されている位置の情報を検知することができる。
【0063】
すなわち、図6に示すようにヘッドフレーム21におけるスカルピンの位置や角度を検出可能なセンサを取り付けることで、画像生成パラメータ算出部362cは、手術台20に取り付けた角度センサと、操作者から入力された体位(例えば、仰臥位)の情報とにより、より精度の高い画像生成パラメータを算出することができる。
【0064】
続いて、図7を用いて、本実施例におけるX線CT装置の処理の流れについて説明する。図7は、実施例1におけるX線CT装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【0065】
図7に示すように、実施例1におけるX線CT装置は、操作者から術中CT画像の撮影開始要求を受け付けると(ステップS101肯定)、ボリュームデータ生成部361は、架台装置10が収集し、前処理部34が前処理した3次元投影データから、ボリュームデータを生成する(ステップS102)。
【0066】
そして、体位取得部362aおよび位置・角度取得部362bは、ボリュームデータが撮影された時点における患者Pの手術中位置情報を取得する(ステップS103)。具体的には、体位取得部362aは、患者Pの手術中における体位の情報を操作者から入力装置31を介して取得し、位置・角度取得部362bは、手術台20およびヘッドフレーム21に取り付けられたセンサと接続されるエンコーダ20から、手術台20およびヘッドフレーム21の手術中における位置および角度を取得する。
【0067】
そののち、画像生成パラメータ算出部362cは、手術中位置情報に基づいて、患者Pの術前CT画像と同一または同一に近いMPR画像をボリュームデータから生成するための画像生成パラメータを算出する(ステップS104)。
【0068】
続いて、MPR生成部362dは、画像生成パラメータ算出部362cによって算出された画像生成パラメータを用いて、ボリュームデータからMPR画像を生成する(ステップS105)。
【0069】
そして、システム制御部38は、生成されたMPR画像を、術中CT画像として表示装置32のモニタにて表示するように制御し(ステップS106)、処理を終了する。具体的には、システム制御部38は、画像データベース40から読み出した患者Pの術前CT画像と、患者Pの術中CT画像として生成されたMPR画像とを、対応するスライス面にて並列表示したり、重畳表示したりするように制御する。
【0070】
上述してきたように、実施例1においては、ボリュームデータ生成部361は、手術中の患者Pの患部における3次元投影データから、ボリュームデータを生成する。体位取得部362aは、患者Pの手術中における体位の情報を操作者から入力装置31を介して取得し、位置・角度取得部362bは、手術台20およびヘッドフレーム21に取り付けられたセンサと接続されるエンコーダ20から、手術台20およびヘッドフレーム21の手術中における位置および角度を取得する。画像生成パラメータ算出部362cは、体位取得部362aおよび位置・角度取得部362bが取得した情報を、患者Pの手術中位置情報とし、手術中位置情報に基づいて、患者Pの術前CT画像と同一または同一に近いMPR画像をボリュームデータから生成するための画像生成パラメータを算出する。
【0071】
そして、MPR生成部362dは、画像生成パラメータ算出部362cによって算出された画像生成パラメータを用いて、ボリュームデータからMPR画像を生成し、システム制御部38は、画像生成されたMPR画像を、術中CT画像として表示装置32のモニタにて表示するように制御する。
【0072】
したがって、実施例1によれば、術前CT画像とほぼ同一スライス方向の術中CT画像を表示することができ、上記した主たる特徴の通り、手術中に撮影されたX線CT画像(術中CT画像)を参照して画像診断を行なう医師の負担を軽減することが可能となる。
【0073】
また、実施例1においては、画像生成パラメータ算出部362cは、画像生成パラメータとして、MPR画像にて描出される患者Pの患部の方向を、術前CT画像と一致させるための回転角度を設定するので、表示される術中CT画像の方向を術前CT画像の方向と一致させることができ、画像診断を行なう医師の負担をより軽減することが可能となることに主たる特徴がある。
【実施例2】
【0074】
実施例2では、上記した実施例1とは異なる方法で、手術中位置情報を取得する場合について、図8および図9を用いて説明する。なお、図8は、実施例2における画像生成部を説明するための図であり、図9は、位置記憶部を説明するための図である。
【0075】
図8に示すように、実施例2における画像生成部36は、図3を用いて説明した実施例1における画像生成部36と比較して、体位取得部362aおよび位置・角度取得部362bの代わりに位置記憶部362eを有する点が異なる。以下、これを中心に説明する。
【0076】
ここで、脳神経外科手術で頭部を固定するために用いられるスカルピンの標準的な頭蓋固定位置は、利用施設において、術式ごとに標準的な位置が予め定められている。すなわち、スカルピンの標準的な頭蓋固定位置は、手術中位置情報として用いることができる。
【0077】
そこで、位置記憶部362eは、ヘッドフレーム21が有するスカルピンの頭蓋固定位置を術式ごとに記憶する。例えば、位置記憶部362eは、図9に示すように、「術式:1」と「スカルピン位置:P1」とを対応付けて記憶する。
【0078】
そして、術中CT画像(MPR画像)を生成する際に、操作者から入力装置31を介して現在行なわれている術式が指定されると、画像生成パラメータ算出部362cは、指定された術式に対応するスカルピン位置を手術中位置情報として位置記憶部362eから取得して、画像生成パラメータの「画像生成座標面の向き」や「回転角度」を算出する。なお、画像生成パラメータ算出部362cは、画像生成座標面の間隔に関しては、実施例1と同様に算出する。
【0079】
なお、実施例2におけるX線CT装置による処理の流れは、図7を用いて説明した実施例1のX線CT装置による処理において、ステップS103における手術中位置情報の取得処理が、位置記憶部362eを用いた処理である以外は、同様であるので説明を省略する。
【0080】
上述してきたように、実施例2では、術式ごとのスカルピン位置を記憶し、操作者から入力された術式に対応するスカルピン位置を手術中位置情報として取得して画像生成パラメータを算出するので、センサやエンコーダ20の設置が不用とすることができ、術前CT画像とほぼ同一スライス方向の術中CT画像を簡易に生成することが可能となる。
【0081】
なお、本実施例では、術式に対応付けられたスカルピン位置のみを手術中位置情報として画像生成パラメータを算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、位置記憶部362eから取得したスカルピン位置と、図6を用いて説明したセンサを介してエンコーダ22が取得したスカルピン位置や角度とを手術中位置情報として画像生成パラメータを算出する場合であってもよい。
【実施例3】
【0082】
実施例3では、画像生成パラメータ算出部362cが算出した画像生成パラメータを修正する場合について、図10および図11を用いて説明する。なお、図10は、実施例3における画像生成部を説明するための図であり、図11は、ランドマーク抽出部を説明するための図である。
【0083】
図10に示すように、実施例2における画像生成部36は、図3を用いて説明した実施例1における画像生成部36と比較して、ランドマーク抽出部362fおよび画像生成パラメータ修正部362gをさらに有する点が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0084】
実施例3においては、実施例1と同様に、体位取得部362aおよび位置・角度取得部362bによって手術中位置情報が取得され、画像生成パラメータ算出部362cによって手術中位置情報から画像生成パラメータが算出される。
【0085】
そして、実施例3において、ランドマーク抽出部362fは、ボリュームデータ生成部361によって生成されたボリュームデータにて描出されている患者Pの生体組織に由来するランドマークを抽出する。
【0086】
例えば、ランドマーク抽出部362fは、図11に示すように、ボリュームデータから頭蓋骨が描出されている領域(頭蓋骨領域)のみを抽出し、抽出した頭蓋骨領域において、鼻骨の頂点、耳の穴における面積重心、眼窩における面積重心、頭蓋骨の縫合線の交点などをランドマークとして抽出する。
【0087】
図10に戻って、画像生成パラメータ修正部362gは、画像生成パラメータ算出部362cによって算出された画像生成パラメータを、ランドマーク抽出部362fによって抽出されたランドマークのボリュームデータにおける位置情報に基づいて修正する。
【0088】
そして、MPR生成部362dは、画像生成パラメータ修正部362gによって修正された画像生成パラメータを用いて、ボリュームデータからMPR画像を生成する。
【0089】
なお、ランドマーク抽出部362fによって抽出されるランドマークの個数が3個以上であるならば、画像生成パラメータ修正部362gは、画像生成パラメータの修正処理を精度よく実行することができる。
【0090】
また、ランドマーク抽出部362fによって抽出されるランドマークは、上述したように、患者Pの生体組織に由来するものに限定されるものではなく、生体組織以外の人工マーカがランドマークとして抽出される場合であってもよい。例えば、人工マーカとしては、患者Pの頭蓋骨に塗られたX線不透過性のマーカや、上述したスカルピンなどが挙げられる。
【0091】
また、ランドマークを用いた画像生成パラメータの修正処理は、実施例2で説明したスカルピン位置を手術中位置情報として用いる場合でも適用可能である。
【0092】
続いて、図12を用いて、本実施例におけるX線CT装置の処理の流れについて説明する。図12は、実施例3におけるX線CT装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【0093】
なお、図12に示すステップS201〜ステップS204の処理は、実施例1において図7を用いて説明したステップS101〜ステップS104の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
ステップS204の処理ののち、ランドマーク抽出部362fは、ボリュームデータにて描出されている患者Pの生体組織または人工マーカに由来するランドマークを抽出する(ステップS205)。
【0095】
そして、画像生成パラメータ修正部362gは、ランドマーク抽出部362fによって抽出されたランドマークのボリュームデータにおける位置情報に基づいて、ステップS204にて算出された画像生成パラメータを修正する(ステップS206)。
【0096】
続いて、MPR生成部362dは、画像生成パラメータ修正部362gによって修正された画像生成パラメータを用いて、ボリュームデータからMPR画像を生成する(ステップS207)。
【0097】
そして、システム制御部38は、生成されたMPR画像を、術中CT画像として表示装置32のモニタにて表示するように制御し(ステップS208)、処理を終了する。
【0098】
上述してきたように、実施例3では、ランドマークの位置情報を用いて画像生成パラメータを修正するので、術前CT画像とスライス方向が、実施例1および2の場合と比較して、より同一方向に近い術中CT画像を表示することができ、画像診断を行なう医師の負担をより軽減することが可能となる。
【実施例4】
【0099】
実施例4では、ランドマーク抽出部362fによって抽出されたランドマークのみを用いてMPR画像を生成する場合について、図13を用いて説明する。なお、図13は、実施例4における画像生成部を説明するための図である。
【0100】
図13に示すように、実施例4における画像生成部36の画像処理部362は、ランドマーク抽出部362fと、画像生成パラメータ算出部362cと、MPR生成部362dとを有する。
【0101】
そして、実施例4におけるランドマーク抽出部362fは、実施例3と同様に、ボリュームデータにて描出されている患者Pの生体組織または人工マーカに由来するランドマークを抽出する。
【0102】
さらに、ランドマーク抽出部362fは、抽出したランドマークのボリュームデータにおける位置情報を、手術中位置情報として取得する。
【0103】
そして、実施例4における画像生成パラメータ算出部362cは、ランドマーク抽出部362fが取得した手術中位置情報(ランドマークの位置情報)に基づいて、画像生成パラメータを算出する。
【0104】
なお、実施例4におけるX線CT装置による処理の流れは、図7を用いて説明した実施例1のX線CT装置による処理において、ステップS103における手術中位置情報の取得処理が、ランドマーク抽出部362fを用いた処理である以外は、同様であるので説明を省略する。
【0105】
上述してきたように、実施例4では、ランドマークの位置情報を手術中位置情報として画像生成パラメータを算出するので、センサやエンコーダ20の設置が不用とすることができ、術前CT画像とほぼ同一スライス方向の術中CT画像を簡易に生成することが可能となる。
【0106】
なお、上記した実施例1〜4では、手術中のセットアップを保ったままで3次元のX線CT画像の撮影を行なうX線CT装置に本発明を適用した場合について説明した。しかし、本発明は、手術中のセットアップを保ったままで3次元のMRI画像の撮影を行なうMRI装置や、手術中のセットアップを保ったままで3次元のX線画像の撮影を行なうX線診断装置などの医用画像診断装置に対しても、適用可能である。
【0107】
また、上記した実施例1〜4では、医用画像診断装置において術中のMPR画像を生成する場合について説明した。しかし、本発明は、画像処理部361の機能を有する画像処理装置が画像データベース40に格納された術中のボリュームデータから術中のMPR画像を生成する場合であってもよい。
【0108】
また、本発明は、脳神経外科手術における術中画像支援だけでなく、患者Pの手術中位置情報を取得することができるならば、整形外科手術などにおける術中画像支援においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のように、本発明に係る医用画像診断装置および画像処理装置は、術中画像支援を行なう場合に有用であり、特に、手術中に撮影された医用画像を参照して画像診断を行なう医師の負担を軽減することに適する。
【符号の説明】
【0110】
10 架台装置
11 高電圧発生部
12 X線管
13 X線検出器
14 データ収集部
15 回転フレーム
16 架台駆動部
20 手術台
21 ヘッドフレーム
22 エンコーダ
30 コンソール装置
31 入力装置
32 表示装置
33 スキャン制御部
34 前処理部
35 投影データ記憶部
36 画像生成部
361 ボリュームデータ生成部
362 画像処理部
362a 体位取得部
362b 位置・角度取得部
362c 画像生成パラメータ算出部
362d MPR生成部
37 画像記憶部
38 システム制御部
40 画像データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術中の被検体を撮影して3次元医用画像を生成する3次元医用画像生成手段と、
前記3次元医用画像生成手段によって生成された前記3次元医用画像が撮影された時点における前記被検体の手術中位置情報を取得する手術中位置情報取得手段と、
前記手術中位置情報取得手段によって取得された前記手術中位置情報に基づいて、手術前に撮影された前記被検体の2次元医用画像と同一または同一に近い断面を前記3次元医用画像から生成するための画像生成パラメータを算出する画像生成パラメータ算出手段と、
前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記画像生成パラメータを用いて、前記3次元医用画像から断面画像を生成する断面画生成手段と、
前記断面画像生成手段によって生成された前記断面画像を所定の表示部にて表示するように制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記画像生成パラメータ算出手段は、前記画像生成パラメータとして、前記断面画像を生成する際に用いられる画像生成座標面を設定するための第一のパラメータと、前記断面画像にて描出される前記被検体の患部の方向を、前記2次元医用画像と一致させるための回転角度を設定するための第二のパラメータとを算出し、
前記断面画生成手段は、前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記第一のパラメータを用いて前記3次元医用画像から生成した画像の方向を、前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記第二のパラメータを用いて修正したうえで、前記断面画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記被検体の手術中における体位の情報である体位情報を所定の入力部を介して取得する体位情報取得手段と、
前記被検体を固定して載置する手術台、および/または、前記被検体の患部を固定する固定具の位置情報を検知するセンサと、
をさらに備え、
前記手術中位置情報取得手段は、前記体位情報取得手段が取得した前記体位情報と、前記センサが検知した前記手術台、および/または、前記固定具の位置情報とを前記手術中位置情報として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
脳外科手術で用いられる頭部固定具が有するスカルピンの頭蓋固定位置を術式ごとに記憶する頭蓋固定位置記憶手段をさらに備え、
前記手術中位置情報取得手段は、操作者から指定された術式に対応するスカルピンの頭蓋固定位置を前記頭蓋固定位置記憶手段から取得し、当該取得したスカルピンの頭蓋固定位置を前記手術中位置情報として取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記3次元医用画像生成手段によって生成された前記3次元医用画像にて描出されている前記被検体の生体組織に由来する特徴点、および/または、前記3次元医用画像生成手段によって生成された前記3次元医用画像にて描出されている前記被検体の生体組織以外の指標に由来する特徴点を抽出する特徴点抽出手段と、
前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記画像生成パラメータを、前記特徴点抽出手段によって抽出された前記特徴点の位置情報に基づいて修正する画像生成パラメータ修正手段と、
をさらに備え、
前記断面画生成手段は、前記画像生成パラメータ修正手段によって修正された画像生成パラメータを用いて前記3次元医用画像から前記断面画像を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記位置情報取得手段は、前記3次元医用画像生成手段によって生成された前記3次元医用画像にて描出されている前記被検体の生体組織に由来する特徴点、および/または、前記3次元医用画像生成部によって生成された前記3次元医用画像にて描出されている前記被検体の生体組織以外の指標に由来する特徴点を抽出し、当該抽出した特徴点の位置情報を前記手術中位置情報として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
手術中の被検体の3次元医用画像が撮影された時点における前記被検体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、手術前に撮影された前記被検体の2次元医用画像と同一または同一に近い断面を前記3次元医用画像から生成するための画像生成パラメータを算出する画像生成パラメータ算出手段と、
前記画像生成パラメータ算出手段によって算出された前記画像生成パラメータを用いて、前記3次元医用画像から断面画像を生成する断面画像生成手段と、
前記断面画像生成手段によって生成された前記断面画像を所定の表示部にて表示するように制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−136132(P2011−136132A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171(P2010−171)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】