説明

医用装置及びスクリーンロック制御プログラム

【課題】他者による操作や情報の漏洩を防止しつつ、スクリーンロック時における装置の動作状況をユーザに認識させることが可能な医用装置を提供する。
【解決手段】複数のスクリーンロック画面421〜425等を記憶した画面記憶部42と、これら複数のスクリーンロック画面のそれぞれと複数の動作状況のそれぞれとを関連付ける登録情報430を記憶した登録情報記憶部43と、スクリーンロック時の装置の動作状況を監視して動作状況の変化を検知する装置監視部44とを有する。制御部46は、登録情報430により一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面が表示部35に表示されている場合に、当該一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、登録情報430により当該他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を表示部35に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンロック機能を有する医用装置及びスクリーンロック制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報セキュリティ管理の必要性が高まりを見せており、様々なセキュリティ管理技術が開発されている。たとえば、コンピュータに記憶されたデータへのアクセスに対するセキュリティ管理技術の1つとして、スクリーンロック(Screen Lock)機能が注目されてきている。
【0003】
スクリーンロック機能は、コンピュータによる作業が中断されているときに作動して、コンピュータの表示画面をロックさせることにより、操作を受け付けないようにしたり、表示情報の漏洩を防止したりするための技術である(例えば特許文献1参照)。このスクリーンロック機能は、キー入力やマウス操作等の操作が一定時間なされなかったときや、あらかじめ定められた操作がなされたときなどに作動するようになっている。
【0004】
医用分野においては、主に患者の個人情報保護の観点から情報セキュリティ管理の技術開発が進められており、スクリーンロック機能を搭載した医用装置の検討もなされている。その対象とされるべき医用装置には多種多様なものがある。たとえば、超音波診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置などの画像診断装置や、病院情報システム(HIS:Hospital Information System),放射線情報システム(RIS:Radiology Information system)、医用画像保管通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)等の医用情報システムなどが想定される。
【0005】
【特許文献1】特開2005−149443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような医用装置にスクリーンロック機能を搭載する場合、医用分野特有の事情を考慮する必要がある。たとえばX線CT装置で投影データを収集しているときに、他者が装置を操作したり、ハードウェア又はソフトウェアにエラーが発生したりすると、X線の曝射量が変更されてしまったり、患者の体位が変更されてしまったりするおそれがある。また、検査結果や診断結果等が変更されてしまうと、誤診等につながりかねない。更に、患者の既往歴や現在の病状等の情報の漏洩は、患者のプライバシーを著しく脅かすおそれがある。
【0007】
また、表示画面がスクリーンロックされている状態で、バックグラウンド処理が実行されていることがある。その状態でバックグラウンド処理にエラーが発生しても、スクリーンロック状態は維持されるため、ユーザはスクリーンロックを解除するまでエラーの発生を認識することができない。また、バックグラウンド処理においてダイアログの表示要求がなされても、表示画面にダイアログは表示されないため、スクリーンロックを解除するまでダイアログの内容を確認することができない。このような事態が生じると、大きな時間のロスが発生するうえ、場合によっては患者に危険が及ぶこともないとは言えない。また、スクリーンロック時にハードウェアに異常動作が発生した場合にも、ユーザはその旨を認識することができなかった。
【0008】
このような事情を考慮すると、エラー発生時やダイアログ表示要求時や異常動作時にスクリーンロックを無条件に解除することが適当と思われる。しかしながら、前述の医用分野特有の事情を勘案すると、スクリーンロックの無条件解除は、大きな危険性を伴うものであることが明らかである。このように、医用装置に対してスクリーンロック機能を有効な形態で適用するには、スクリーンロックを無条件に解除することなく、バックグラウンド処理の処理状況などの装置の動作状況をユーザに認識させる必要がある。
【0009】
また、装置の動作状況に異常が発生したときに警報音を出力することも考えられる。しかし、ユーザがその場にいない場合には警報音を認識することができず、異常の発生を把握することができない。
【0010】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、他者による操作や情報の漏洩を防止しつつ、スクリーンロック時におけるバックグラウンド処理の処理状況などの装置の動作状況をユーザに認識させることが可能な医用装置及びスクリーンロック制御プログラムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、スクリーンロック時における装置の動作状況を、装置の側にいないユーザに対して通知することが可能な医用装置及びスクリーンロック制御プログラムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、医用情報を表示する表示手段と、該表示手段にスクリーンロック画面を表示させる制御手段とを有する医用装置であって、スクリーンロック時の装置の動作状況を監視する動作状況監視手段を備え、前記制御手段は、前記監視される動作状況の変化に対応して、前記表示手段に表示させるスクリーンロック画面を切り換える、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、医用情報を表示する表示手段と、該表示手段にスクリーンロック画面を表示させる制御手段とを有する医用装置であって、複数のスクリーンロック画面をあらかじめ記憶した画面記憶手段と、前記記憶された複数のスクリーンロック画面のそれぞれと、複数の動作状況のそれぞれとを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶した関連情報記憶手段と、スクリーンロック時の装置の動作状況を監視して動作状況の変化を検知する動作状況監視手段と、を備え、前記制御手段は、前記関連情報により前記複数の動作状況のうちの一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面が前記表示手段に表示されている場合において、当該一の動作状況から他の動作状況への変化が前記検知されたときに、前記関連情報により前記他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を前記表示手段に表示させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の医用装置であって、ネットワークを介してユーザ端末と通信可能に接続されており、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、所定の報知情報を前記ネットワークを介して前記ユーザ端末に送信する報知手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項11に記載の発明は、医用情報を表示する表示手段と、複数のスクリーンロック画面をあらかじめ記憶した画面記憶手段と、前記記憶された複数のスクリーンロック画面のそれぞれと、複数の動作状況のそれぞれとを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶した関連情報記憶手段と、を有する医用装置を、スクリーンロック時の装置の動作状況を監視して動作状況の変化を検知する動作状況監視手段、及び前記関連情報により前記複数の動作状況のうちの一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面が前記表示手段に表示されている場合において、当該一の動作状況から他の動作状況への変化が前記検知されたときに、前記関連情報により前記他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を前記表示手段に表示させる制御手段、として機能させることを特徴とするスクリーンロック制御プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、医用装置の動作状況を監視し、その動作状況の変化に対応して表示手段に表示させるスクリーンロック画面を切り換えることができるので、ユーザは、切り換え表示されたスクリーンロック画面を参照することにより、スクリーンロック状態のバックグラウンド処理やハードウェアにどのような動作状況の変化が発生したかを把握することができる。また、動作状況変化後においてもスクリーンロック状態になっているので、他者が不適当な操作を行ったとしても、その操作の影響を受けることが無いうえに、情報が漏洩することもない。したがって、他者による操作や情報の漏洩を防止しつつ、スクリーンロック時におけるバックグラウンド処理の処理状況などの装置の動作状況をユーザに認識させることが可能である。
【0017】
本発明によれば、複数のスクリーンロック画面をあらかじめ記憶した画面記憶手段と、これらスクリーンロック画面のそれぞれと、複数の動作状況のそれぞれとを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶した関連情報記憶手段とを備えており、前記関連情報によりこれら複数の動作状況のうちの一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面が表示手段に表示されている場合において、この一の動作状況から他の動作状況への変化を検知したときに、前記関連情報により当該他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を表示手段に表示させることができる。したがって、上記発明と同様に、他者による操作や情報の漏洩を防止しつつ、スクリーンロック時におけるバックグラウンド処理の処理状況などの装置の動作状況をユーザに認識させることが可能である。
【0018】
また、本発明によれば、一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、所定の報知情報をネットワークを介してユーザ端末に送信することができるので、スクリーンロック時における装置の動作状況を、装置の側にいないユーザに対して通知することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係る医用装置及びスクリーンロック制御プログラムの好適な実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[医用装置の構成]
本発明に係る医用装置の構成の一例を図1に示す。同図に示す医用装置1は、たとえば超音波診断装置、X線CT装置、MRI等の画像診断装置や、検体装置や、HIS、RIS、PACS等の医用情報システムなどの任意の医用装置である。図1においては、このような各種用途の医用装置1が具備する特有の構成要素は省略されている。
【0021】
この医用装置1は、ネットワークNを介してユーザ端末10と通信可能に構成されている。ユーザ端末10は、医用装置1のユーザなど医用装置1に関わるユーザが使用する端末装置である。
【0022】
このユーザ端末10としては、たとえば、携帯電話、固定電話、PDA(Personal Digital Assistannce)、ノートパソコン、デスクトップパソコンなど、ユーザが携帯する任意の端末装置や、ユーザの自宅やオフィス等に設置された任意の端末装置を用いることができる。
【0023】
また、ネットワークNとしては、電話回線、インターネット回線、LAN、専用回線などの任意の通信回線を適宜使用することができる(有線回線、無線回線を問わず。公共回線、専用回線を問わず。)。
【0024】
医用装置1には、図1に示すように、アプリケーション実行部2、ハードウェア構成部3、装置制御部4及び通信部5が設けられている。以下、これらの各部について、その詳細を説明する。
【0025】
〔アプリケーション実行部〕
アプリケーション実行部2は、医用装置1の機能に応じた検査アプリケーションや患者情報登録アプリケーション等の各種の医用アプリケーションソフトウェアを実行するもので、CPU等のマイクロプロセッサやRAM等のメモリとを含んで構成されている。このアプリケーション実行部2は、アプリケーションソフトウェアの実行状況ステータス(動作状況)を装置制御部4に通知する機能を有している。
【0026】
〔ハードウェア構成部〕
ハードウェア構成部3は、医用装置1の機能に応じた各種のハードウェアを含んで構成されている。このハードウェア構成部3には、操作部31、ハードウェア32、寝台33、重量検出センサ34及び表示部35が設けられている。
【0027】
操作部31は、医用装置1の操作や情報入力等をユーザが行うための任意の操作デバイス(入力デバイス)により構成される。特に、ユーザは、操作部31を操作することにより、スクリーンロック画面の管理(新規登録、削除、変更)や、後述の登録情報の管理(新規登録、削除、変更)を行うことができる。
【0028】
この操作部31としては、たとえば、マウス、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、タブレット、タッチパネル等を適宜に使用することができる。この操作部31は、本発明の「操作手段」の一例に相当するものである。
【0029】
ハードウェア32は、前述した医用装置1の機能に応じたハードウェアに相当するものである。たとえば医用装置1がX線CT装置である場合、ハードウェア32にはガントリ等が含まれる。また、医用装置1が医用情報システムである場合、ハードウェア32にはメディアに記録された情報の読み出し処理と、メディアに対する情報の記録処理とを行うドライブ装置などが含まれる。
【0030】
このハードウェア32の動作状況(たとえばX線曝射量など)は、従来と同様に、図示しないセンサ等によって検出されて装置制御部4に通知される。また、このハードウェア32は、装置制御部4によって動作制御される。
【0031】
寝台33は、医用装置1が、X線CT装置、X線診断装置、MRI装置等の画像診断装置である場合に設けられるものである。医用画像撮影時には、この寝台33に患者を横たえて処置を行う。重量検出センサ34は、寝台33上に載置された患者の重量を検出するものである。寝台33の動作状況(寝台位置、チルト角度等)は、従来と同様に、図示しないセンサ等により検出されて装置制御部4に通知される。寝台33は、装置制御部4によって動作制御される。
【0032】
表示部35は、装置制御部4の制御にしたがって、各種医用情報等を含む画面を表示する。この表示部35としては、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示装置を適用することができる。この表示部35は、本発明の「表示手段」の一例に相当する。
【0033】
〔装置制御部〕
装置制御部4は、医用装置1の各部の制御を行うものである。装置制御部4は、情報登録部41、画面記憶部42、登録情報記憶部43、装置監視部44、計時部45及び制御部46を含んで構成されている。
【0034】
(画面記憶部)
画面記憶部42には、各種のスクリーンロック画面(の画像データ;以下同様)が記憶されている。図2に、スクリーンロック画面の一例を示す。図2(A)のスクリーンロック画面421は、正常動作時に表示されるスクリーンロック画面である。図2(B)のスクリーンロック画面422は、ダイアログの表示要求が発生した時に表示されるスクリーンロック画面である。図2(C)のスクリーンロック画面423は、警告発生時に表示されるスクリーンロック画面である。図2(D)のスクリーンロック画面424は、レベル1(軽度)のエラーが発生した時に表示されるスクリーンロック画面である。図2(E)のスクリーンロック画面425は、中程度のエラーが発生した時に表示されるスクリーンロック画面である。この画面記憶部42は、本発明の「画面記憶手段」の一例に相当するものであり、たとえばハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置により構成されている。
【0035】
(登録情報記憶部)
登録情報記憶部43には、医用装置1の動作状況に対応する各種の設定情報が記録された登録情報430が記憶されている。この登録情報430は、本発明の「関連情報」の一例に相当する。また、画面記憶部42は、本発明の「関連情報記憶手段」の一例に相当するもので、たとえばハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置により構成されている。なお、登録情報430に記録された各種の情報のうち、ユーザにより指定されたものが本発明の「指定情報」に相当する。
【0036】
図3に登録情報430の一例を示す。同図に示す登録情報430には、「動作状況」として、正常動作を示す「正常」と、ダイアログの表示要求の発生を示す「ダイアログ表示」と、警告の発生を示す「警告」と、レベル1のエラーの発生を示す「エラー(レベル1)」と、レベル2のエラーの発生を示す「エラー(レベル2)」と、レベル3のエラーの発生を示す「エラー(レベル3)」と、医用情報等の情報の表示要求の発生を示す「情報表示」とが設定されている。なお、設定可能な動作状況は、これらに限定されるものではなく、たとえば医用装置1の運用形態等に応じた動作状況を適宜に設定することが可能である。
【0037】
ここで、エラーのレベル分けの具体例を説明する。医用装置1としてX線CT装置を用いる。レベル1のエラーとしては、撮影されたCT画像のメディアへの書き込みエラーなどの軽度のエラーが割り当てられる。また、レベル2のエラーとしては、ガントリにより収集された生データの保存エラーや、再構成データの保存エラーなどの中度のエラーが割り当てられる。また、レベル3のエラーとしては、患者をスキャンしているときのエラー、たとえばX線曝射量が設定値と異なる場合(曝射量が過大であったり、曝射されなかったりした場合など)など、患者に危険が及ぶような重度のエラーが割り当てられる。また、スキャン中に重量検出センサ34による検出値が変化した場合(たとえば、患者が寝台33から降りてしまった場合や、患者が大きく動いた場合など)については、たとえばレベル2若しくはレベル3のエラーに設定することができる。
【0038】
登録情報430には、上記の各動作状況に対して、「ロック解除」、「画面ID」、「切り換え」、「ユーザ通知」、「通知先情報」及び「メッセージ」の各設定情報が記録されている。これらの各設定情報は、対応する動作状況に関連付けられて記録される。この関連付けは、例えば後述の動作状況識別情報によってすることができる。
【0039】
設定情報「ロック解除」の欄には、その動作状況になったときに、スクリーンロックを自動的に解除させるか否か、すなわち、スクリーンロック画面を表示させるか(解除させないか)、若しくは、スクリーンロック画面を表示させずに通常の画面(操作を受け付け可能な通常の検査用の画面や診断用の画面など)に復帰させるか(解除させるか)、について指定された情報が記録される。
【0040】
図3の設定情報「ロック解除」の欄には、各動作状況毎にチェックボックスが設けられている。塗りつぶされたチェックボックスは、スクリーンロックを解除させるよう設定されていることを示しており、塗りつぶされていないチェックボックスは、スクリーンロックを解除させないよう設定されていることを示している(以下同様)。したがって、図3の登録情報430では、動作状況「エラー(レベル3)」の場合にのみスクリーンロックを解除するようになっている。
【0041】
なお、実際には、塗りつぶされたチェックボックスは所定のフラグが立てられている状態に相当し、塗りつぶされていないチェックボックスはそのフラグが立てられていない状態に相当するものである。
【0042】
設定情報「画面ID」の欄には、その動作状況になったときに表示されるスクリーンロック画面に付与された画面ID(画面識別情報)が記録されている。なお、その動作状況になってもスクリーンロック画面を表示させない場合(「ロック解除」オンの場合等)には、画面IDを記録させる必要はない。
【0043】
図3の登録情報430の設定情報「画面ID」の欄において、「正常」には、図2(A)に示すスクリーンロック画面421の画面ID「lock_pic_1」が関連付けられている。「ダイアログ表示」には、図2(B)に示すスクリーンロック画面422の画面ID「lock_pic_2」が関連付けられている。「警告」には、図2(C)に示すスクリーンロック画面423の画面ID「lock_pic_3」が関連付けられている。「エラー(レベル1)」には、図2(D)に示すスクリーンロック画面424の画面ID「lock_pic_4」が関連付けられている。「エラー(レベル2)」には、図2(E)に示すスクリーンロック画面425の画面ID「lock_pic_5」が関連付けられている。「エラー(レベル3)」には、スクリーンロック画面の画面IDが関連付けられていない。「情報表示」には、図示しないスクリーンロック画面の画面ID「lock_pic_6」が関連付けられている。
【0044】
なお、動作状況とスクリーンロック画面との関連付けは、このような画面IDを用いる代わりに、画面記憶部42におけるスクリーンロック画面の格納位置情報(ディレクトリ)や、スクリーンロック画面を格納するフォルダのフォルダ名などを用いて行うことができる。
【0045】
設定情報「切り換え」の欄には、その動作状況になったときに、その画面IDにより特定されるスクリーンロック画面に表示を切り換えるか否かについて指定された情報が記録されている。図3の登録情報430においては、「正常」、「ダイアログ表示」、「警告」、「エラー(レベル1)」、「エラー(レベル2)」については、それぞれ、対応するスクリーンロック画面への切り換えを行うように設定されており、「エラー(レベル3)」と「情報表示」については、切り換えを行わないように設定されている。
【0046】
設定情報「ユーザ通知」の欄には、その動作状況になったことをユーザ(ユーザ端末10)に通知するか否かについて指定された情報が記録されている。図3の登録情報430においては、「正常」、「ダイアログ表示」、「警告」、「エラー(レベル1)」、「情報表示」については、それぞれ、ユーザ端末10への通知を行わないように設定されており、「エラー(レベル2)」と「エラー(レベル3)」とについては、通知を行うように設定されている。
【0047】
設定情報「通知先情報」の欄には、ユーザ端末10のアドレス情報が記録されている。ユーザ端末10として携帯電話や固定電話を用いる場合には、その電話番号をアドレス情報として記録する。また、ユーザ端末10として電子メール機能を有する携帯電話やPDAやパソコンを用いる場合には、その電子メールアドレスをアドレス情報として記録する。図3の登録情報430においては、「エラー(レベル2)」については電話番号「0287−XXXX−XXXX」が記録されており、「エラー(レベル3)」については電子メールアドレス「Tsb@xxx.xxx.jp」が記録されている。
【0048】
設定情報「メッセージ」の欄には、ユーザ端末10に通知されるメッセージ内容が記録されている。図3の登録情報430においては、「エラー(レベル2)」についてはメッセージ「レベル2のエラーが発生しました」が記録されており、「エラー(レベル3)」についてはメッセージ「レベル3のエラーが発生しました」が記録されている。
【0049】
なお、「エラー(レベル2)」の場合の「通知先情報」が電話番号であることから、メッセージ「レベル2のエラーが発生しました」は音声情報とされる。また、「エラー(レベル3)」の場合の「通知先情報」が電子メールアドレスであることから、メッセージ「レベル3のエラーが発生しました」は文字情報とされる。
【0050】
「メッセージ」欄に記録されているこれらの情報は、所定の動作状況の発生をユーザに報知するためのものであり、本発明の「報知情報」の一例に相当する。
【0051】
(情報登録部)
前述のように、ユーザは、操作部31を操作することにより、スクリーンロック画面の新規登録、削除、変更などを行う。また、同じく操作部31を操作することにより、登録情報430に含まれる各情報の新規登録、削除、変更などを行う。
【0052】
情報登録部41は、ユーザが新たなスクリーンロック画面を入力した場合、操作部31からの信号を受けて、その新たなスクリーンロック画面の画像データを画面記憶部42に記憶させる。また、画面記憶部42に記憶されているスクリーンロック画面の削除をユーザが要求した場合、情報登録部41は、操作部31からの信号を受けて、削除要求されたスクリーンロック画面を画面記憶部42から消去する。また、画面記憶部42に記憶されているスクリーンロック画面の変更をユーザが要求した場合、情報登録部41は、操作部31からの信号を受けて、変更要求されたスクリーンロック画面に変更を施す。登録情報430の新規登録、削除、変更についても、同様に実行される。
【0053】
この情報登録部41は、図示しないスクリーンロック制御プログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサとRAM等のメモリとを含んで構成される。
【0054】
(装置監視部)
装置監視部44は、ハードウェア構成部3のハードウェア32や寝台33等から、その動作状況を示す信号を受信することにより、ハードウェア構成部3の各部の動作状況を監視する。また、装置監視部44は、重量検出センサ34から検出結果を示す信号を受信する。また、装置監視部44は、アプリケーション実行部2がアプリケーションソフトウェアに基づいて実行する演算処理や制御処理の処理状況を示す信号を受信することにより、アプリケーション実行部2の動作状況を監視する。
【0055】
装置監視部44には、あらかじめ指定された各種の動作状況を識別する情報(動作状況識別情報)が記憶されている。たとえば、本実施形態においては、ダイアログ表示に対応するログの文字列情報、警告が発生したときのログの文字列情報、各レベルのエラーに該当する処理に対応するログの文字列情報、情報表示に対応するログの文字列情報などが、動作状況識別情報として記憶される。また、アプリケーション実行部2やハードウェア構成部3からの信号を識別する情報なども動作状況識別情報として記憶される。
【0056】
装置監視部44は、このような処理や動作が発生したときに生成されるログや信号を認識し、そのログや信号が、動作状況識別情報のいずれかに一致するか否かを判定する。一致した場合、装置監視部44は、その動作状況が発生したものと判断し、その旨を示す動作状況発生信号を制御部46に入力する。この動作状況発生信号には、発生したと判断された動作状況の動作状況識別情報が付加されている。
【0057】
このように作用する装置監視部44は、本発明の「動作状況監視手段」の一例に相当するもので、たとえば、前述のスクリーンロック制御プログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサと、RAM等のメモリと、動作状況識別情報を記憶するハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置とを含んで構成される。
【0058】
(計時部)
計時部45は、現在時刻(年、月、日、時、分、秒など)を計時する機能を有するCPU等のマイクロプロセッサにより構成される。
【0059】
(制御部)
制御部46は、表示部35による表示処理の制御を含む、医用装置1各部の動作制御を実行する。また、制御部46は、通信部5を制御して、ユーザ端末10に対するメッセージの通知処理を行う。制御部46の具体的な動作態様については後述する。
【0060】
制御部46は、特に、表示部35によるスクリーンロック画面の表示制御を行う。スクリーンロック画面が表示されているとき、制御部46は、操作部31からの操作信号を受け付けず(つまり、操作信号に対応する処理を実行せず)、スクリーンロック画面が表示されていないとき(通常の画面が表示されているとき)には、操作信号を受け付けるようになっている。
【0061】
この制御部46は、本発明の「制御手段」の一例に相当するものであり、たとえば、前述のスクリーンロック制御プログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサと、RAM等のメモリとを含んで構成される。また、本発明の「報知手段」は、たとえば、この制御部46と通信部5とを含んで構成される。
【0062】
〔通信部〕
通信部5は、ネットワークNを介してデータ通信を行うためのモデムやLANカード等の通信インターフェイスを含んで構成される。通信部4は、装置制御部4(制御部46)により制御されてデータ通信を行う。
【0063】
[動作態様]
以上のように構成された本実施形態の医用装置1の動作態様について説明する。まず、医用装置1の基本的な動作態様の一例を示す図4を参照しつつ説明する。この図4のフローチャートは、スクリーンロック中に所定の動作状況が発生した場合の処理を表している。なお、所定の動作状況が発生しない場合には、通常と同様に、ユーザが解除するまでスクリーンロック状態が保持される。
【0064】
まず、準備段階として、ユーザが、スクリーンロック画面や登録情報の管理(新規登録、削除、変更等)を行う(S1)。この準備段階は、例えば医用装置1の据付時やメンテナンス時のように、医用装置1を使用しないときに行うことができる。以下、画面記憶部42には、図2に示すスクリーンロック画面421〜425を含む複数のスクリーンロック画面が記憶されているものとする。また、登録情報記憶部43には、図3に示す登録情報430が記憶されているものとする。
【0065】
医用装置1の使用を開始する(S2)。制御部46は、計時部45から提供される時刻情報に基づいて、医用装置1に対する操作が一定時間為されていないか判断する(S3)。すなわち、制御部46は、操作部31からの操作信号が一定時間入力されていないか否かを判断する。
【0066】
操作が一定時間為されなかったとき(S3;Y)、制御部46は、装置監視部44からの動作状況発生信号の入力の有無に応じてスクリーンロック画面を選択し、このときに表示されている通常の画面(検査用の画面や診断用の画面など;「通常画面」と呼ぶ。)に替えて表示部35に表示させる(S4)。スクリーンロック画面のバックグラウンドでは、この通常画面に関する処理などが実行されている。
【0067】
ステップS4において未だ動作状況発生信号が入力されていないことは、医用装置1が現在正常に動作していることを意味している。その場合には、制御部46は、図2(A)のスクリーンロック画面421を画面記憶部42から選択取得して表示部35に表示させる。
【0068】
一方、ステップS4において既に動作状況発生信号が入力されている場合には、所定の動作状況(図3の「正常」以外の動作状況)にあることを意味する。その場合、制御部46は、動作状況発生信号とともに入力された動作状況識別情報に関連付けられた画像IDを登録情報430から選択取得する。そして、その画像IDにより特定されるスクリーンロック画面を画面記憶部42から取得して表示部35に表示させる。
【0069】
この段階で所定の動作状況が発生することは稀であるので、ステップS4では、正常な動作状況を示すスクリーンロック画面421が表示されたものとする。
【0070】
スクリーンロック画面421が表示された状態において、所定の動作状況が発生し、装置監視部44から動作状況発生信号と動作状況識別情報が入力されると(S5;Y)、制御部46は、入力された動作状況識別情報に対応する動作状況を、登録情報430に含まれる動作状況のうちから特定する(S6)。
【0071】
更に、制御部46は、特定された動作状況に関連付けられた画面IDにより識別されるスクリーンロック画面を画面記憶部42から選択取得し(S7)、表示部35の表示画面を、スクリーンロック画面421から当該選択されたスクリーンロック画面に切り換える(S8)。このとき、制御部46は、計時部45から時刻を取得してスクリーンロック画面上に重ねて表示させる(S9)。この時刻は、スクリーンロック画面が切り換えられたときの時刻(所定の動作状況が発生した時刻とほぼ同じ)を表す。
【0072】
ステップS8で表示されたスクリーンロック画面は、ユーザが所定のスクリーンロック解除操作(パスワード入力等)を行うことにより上記の通常画面に切り換えられる。なお、ステップS6で特定された動作状況が「エラー(レベル3)」である場合には、スクリーンロック画面の表示処理(S7、S8)は実行されない。
【0073】
以上が、本実施形態の医用装置1の基本的な動作態様である。以下、ステップS6において特定された動作状況が「ダイアログ表示」である場合、「警告」である場合、「エラー(レベル1)」である場合、「エラー(レベル2)」である場合、「エラー(レベル3)」である場合、「情報表示」である場合、における動作態様をそれぞれ説明する。
【0074】
〔ダイアログ表示〕
図4のステップS6において特定された動作状況が「ダイアログ表示」である場合の医用装置1の動作態様の一例を図5に示す。
【0075】
特定された動作状況が「ダイアログ表示」である場合(S11)、制御部46は、登録情報430の動作状態「ダイアログ表示」に対応する「ロック解除」がオフに指定されていることを確認するとともに(S12)、「切り換え」がオンに指定されていることを確認する(S13)。それらの確認結果を受けた制御部46は、画面ID「lock_pic_2」のスクリーンロック画面422を画面記憶部42から選択し(S14)、表示部35に表示させる(S15)。更に、計時部45から時刻を取得し、スクリーンロック画面422に重ねて表示させる(S16)。
【0076】
また、制御部46は、「ユーザ通知」を参照し、それがオフに設定されていることを確認する(S27)。したがって、動作状況が「ダイアログ表示」の場合には、ユーザ端末10に対する通知処理の制御は行わない。
【0077】
ユーザは、表示部35に表示されたスクリーンロック画面422を見て、ダイアログ表示の要求があったことを認識する(また、その時刻についても認識することができる。)。ユーザが、操作部31により所定のスクリーンロック解除操作を行うと(S18)、制御部46は、その操作信号を受け、スクリーンロック画面422に替えて、表示要求対象となっているダイアログを通常画面とともに表示部35に表示させる(S19)。以上で、「ダイアログ表示」の場合のスクリーンロック動作は終了となる。
【0078】
〔警告〕
次に、図4のステップS6において特定された動作状況が「警告」である場合の医用装置1の動作態様の一例について、図6を参照しつつ説明する。
【0079】
特定された動作状況が「警告」である場合(S21)、制御部46は、登録情報430の動作状態「警告」に対応する「ロック解除」がオフに指定されていることを確認するとともに(S22)、「切り換え」がオンに指定されていることを確認する(S23)。それらの確認結果を受けた制御部46は、画面ID「lock_pic_3」のスクリーンロック画面423を画面記憶部42から選択し(S24)、表示部35に表示させる(S25)。更に、計時部45から時刻を取得し、スクリーンロック画面423に重ねて表示させる(S26)。
【0080】
また、制御部46は、「ユーザ通知」を参照し、それがオフに設定されていることを確認する(S27)。したがって、動作状況が「警告」の場合には、ユーザ端末10に対する通知処理の制御は行わない。
【0081】
ユーザは、表示されたスクリーンロック画面423を見て、警告に該当する処理状況が発生したことを認識する(その時刻も認識できる。)。ユーザが、所定のスクリーンロック解除操作を行うと(S28)、制御部46は、スクリーンロック画面423に替えて通常画面を表示部35に表示させる(S29)。このとき、当該警告の内容を示すダイアログ等を表示させるようにしてもよい。以上で、「警告」の場合のスクリーンロック動作は終了となる。
【0082】
〔エラー(レベル1)〕
次に、図4のステップS6において特定された動作状況が「エラー(レベル1)」である場合の医用装置1の動作態様の一例について、図7を参照しつつ説明する。
【0083】
特定された動作状況が「エラー(レベル1)」である場合(S31)、制御部46は、登録情報430の動作状態「エラー(レベル1)」に対応する「ロック解除」がオフに指定されていることを確認するとともに(S32)、「切り換え」がオンに指定されていることを確認する(S33)。それらの確認結果を受けた制御部46は、画面ID「lock_pic_4」のスクリーンロック画面424を画面記憶部42から選択し(S34)、表示部35に表示させる(S35)。更に、計時部45から時刻を取得し、スクリーンロック画面424に重ねて表示させる(S36)。
【0084】
また、制御部46は、「ユーザ通知」を参照し、それがオフに設定されていることを確認する(S37)。したがって、動作状況が「エラー(レベル1)」の場合には、ユーザ端末10に対する通知処理の制御は行わない。
【0085】
ユーザは、表示されたスクリーンロック画面424を見て、レベル1に該当する軽度のエラーが発生したことを認識する(エラー発生時刻も認識できる。)。ユーザが、所定のスクリーンロック解除操作を行うと(S38)、制御部46は、スクリーンロック画面424に替えて通常画面を表示部35に表示させる(S39)。このとき、エラーの内容等を示すダイアログ等を表示させるようにしてもよい。以上で、「エラー(レベル1)」の場合のスクリーンロック動作は終了となる。
【0086】
〔エラー(レベル2)〕
次に、図4のステップS6において特定された動作状況が「エラー(レベル2)」である場合の医用装置1の動作態様の一例について、図8を参照しつつ説明する。
【0087】
特定された動作状況が「エラー(レベル2)」である場合(S41)、制御部46は、登録情報430の動作状態「エラー(レベル2)」に対応する「ロック解除」がオフに指定されていることを確認するとともに(S42)、「切り換え」がオンに指定されていることを確認する(S43)。それらの確認結果を受けた制御部46は、画面ID「lock_pic_5」のスクリーンロック画面425を画面記憶部42から選択し(S44)、表示部35に表示させる(S45)。更に、計時部45から時刻を取得し、スクリーンロック画面425に重ねて表示させる(S46)。
【0088】
また、制御部46は、「ユーザ通知」を参照し、それがオンに設定されていることを確認すると(S47)、「通知先情報」に指定された電話番号「0287−XXXX−XXXX」によって特定されるユーザ端末10(電話機)に対して呼び出しを行う(S48)。ユーザが電話に応答したこと若しくは留守番電話が応答したことを確認し(S49)、「メッセージ」に指定された音声情報「レベル2のエラーが発生しました」をユーザ端末10に送る(S50)。
【0089】
ユーザは、表示されたスクリーンロック画面425やメッセージによって、レベル2に該当する中度のエラーが発生したことを認識する(表示された時刻やメッセージを受けた時刻に基づいてエラー発生時刻も認識できる。)。ユーザが、所定のスクリーンロック解除操作を行うと(S51)、制御部46は、スクリーンロック画面425に替えて通常画面を表示部35に表示させる(S52)。このとき、エラーの内容等を示すダイアログ等を表示させるようにしてもよい。以上で、「エラー(レベル2)」の場合のスクリーンロック動作は終了となる。
【0090】
〔エラー(レベル3)〕
次に、図4のステップS6において特定された動作状況が「エラー(レベル3)」である場合の医用装置1の動作態様の一例について、図9を参照しつつ説明する。
【0091】
特定された動作状況が「エラー(レベル3)」である場合(S61)、制御部46は、登録情報430の動作状態「エラー(レベル3)」に対応する「ロック解除」がオンに指定されていることを確認する(S62)。なお、「ロック解除」がオンである場合には「切り換え」の指定内容の確認を行う必要はない(すなわち「ロック解除」は「切り換え」に優先して適用される。)。「ロック解除」がオンであることを確認すると、制御部46は、このときに表示されている通常画面の表示状態を継続する(S63)。制御部46は、計時部45から時刻を取得し、通常画面に重ねて表示させる(S64)。このとき、エラーが発生した旨やエラーの内容等を示すダイアログ等を表示させるようにしてもよい。
【0092】
また、制御部46は、「ユーザ通知」を参照し、それがオンに設定されていることを確認すると(S65)、「通知先情報」に指定された電子メールアドレス「Tsb@xxx.xxx.jp」を送信先とし、「メッセージ」に指定された文字情報「レベル3のエラーが発生しました」を送信メッセージとする電子メールを作成し(S66)、ユーザ端末10(携帯電話、PDA等)に向けて送信する(S67)。以上で、「エラー(レベル3)」の場合のスクリーンロック動作は終了となる。ユーザは、電子メールや上記ダイアログ等によって、レベル3に該当する重度のエラーが発生したことを認識し(表示された時刻や電子メールを受けた時刻に基づいてエラー発生時刻も認識できる。)、発生したエラーに対処する。
【0093】
〔情報表示〕
図4のステップS6において特定された動作状況が「情報表示」である場合の医用装置1の動作態様の一例を図10に示す。
【0094】
特定された動作状況が「情報表示」である場合(S71)、制御部46は、登録情報430の動作状態「情報表示」に対応する「ロック解除」がオフに指定されていることを確認するとともに(S72)、「切り換え」がオフに指定されていることを確認する(S73)。それらの確認結果を受けた制御部46は、このときに表示されているスクリーンロック画面の表示状態を継続する(S74)。制御部46は、計時部45から時刻を取得し、このスクリーンロック画面に重ねて表示させる(S75)。このとき、情報の表示要求がなされた旨を示すダイアログや、表示要求がなされた情報自体を表示させるようにしてもよい。
【0095】
また、制御部46は、「ユーザ通知」を参照し、それがオフに設定されていることを確認する(S76)。したがって、動作状況が「情報表示」の場合には、ユーザ端末10に対する通知処理の制御は行わない。
【0096】
以上で、「情報表示」の場合のスクリーンロック動作は終了となる。ユーザは、たとえば表示部35に表示された上記のダイアログや情報自体などを見て、情報表示の要求があったことや、その情報自体を認識する(また、情報表示要求があった時刻についても認識することができる。)。
【0097】
[作用効果]
以上のように動作する本実施形態に係る医用装置1が奏する作用及び効果について説明する。
【0098】
まず、医用装置1は、医用情報を表示する表示部35と、装置の動作状況を監視する装置監視部44と、監視される動作状況の変化(たとえば動作状況「正常」から「ダイアログ表示」に変化)に対応して、表示部35に表示させるスクリーンロック画面を切り換えるように構成されている。
【0099】
より具体的には、この医用装置1は、複数のスクリーンロック画面421〜425等をあらかじめ記憶した画面記憶部42と、これらスクリーンロック画面421〜425等のそれぞれと、複数の動作状況(「正常」、「ダイアログ表示」等)のそれぞれとを関連付ける登録情報430をあらかじめ記憶した登録情報記憶部43とを備えており、制御部46は、これら複数の動作状況のうちの一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面(たとえば「正常」に対応するスクリーンロック画面421)が表示部35に表示されている場合において、当該一の動作状況から他の動作状況(たとえば「ダイアログ表示」)への変化を装置監視部44が検知したときに、当該他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面(「ダイアログ表示」に対応するスクリーンロック画面422)を表示部35に表示させるようになっている。
【0100】
このような医用装置1によれば、ユーザは、切り換え表示されたスクリーンロック画面を参照することにより、スクリーンロック状態のバックグラウンド処理やハードウェアにどのような動作状況の変化が発生したかを把握することができる(スクリーンロック時に実行されたソフトウェア処理及びハードウェア動作をまとめて「バックグラウンド処理」と称することにする。)。また、動作状況変化後においてもスクリーンロック状態になっているので、他者が不適当な操作を行ったとしても、その操作の影響を受けることが無いうえに、情報が漏洩することもない。
【0101】
したがって、この医用装置1によれば、他者による操作や情報の漏洩を防止しつつ、スクリーンロック時におけるバックグラウンド処理の処理状況などの装置の動作状況をユーザに認識させることが可能である。
【0102】
また、医用装置1によれば、レベル2やレベル3のエラー等が発生したときに、ユーザ端末10に対してメッセージを送信して、スクリーンロック時における装置の動作状況を装置の側にいないユーザ(たとえば遠隔地にいるユーザ等)に対して通知することができる。したがって、ユーザは、動作状況の異常等を迅速に把握して適当な対処を施すことができる。
【0103】
登録情報430は、複数の動作状況の緊急度を示す情報(緊急度情報)を記録している。すなわち、複数の動作状況のうち緊急度が所定レベル以上のもの(たとえばレベル2、レベル3のエラー)に関する「ユーザ通知」がオンに設定され、緊急度が所定レベル未満のもの(たとえばレベル1のエラー)に関する「ユーザ通知」がオフに設定されている。そして、緊急度が所定レベル以上の動作状況が発生した場合にのみ、ユーザ端末10へのメッセージ送信を行うようになっている。
【0104】
それにより、緊急度が比較的高い動作状況が発生した場合においては、ユーザは迅速に対処を施すことができる一方で、緊急度がそれほど高くない動作状況が発生した場合においては、そのような動作状況の発生を知らせるメッセージをわざわざ受け取ることがない。換言すると、緊急度が高い場合、つまりユーザに通知する必要性が高い場合にのみ、メッセージの通知を行うことができる。
【0105】
医用装置1では、緊急度の高い動作状況、すなわちユーザが通知を受ける必要があると判断する動作状況を、操作部31を用いてユーザ自身が指定できるように構成されている。したがって、各ユーザの要請に応じて、メッセージ送信の有無を設定することができ、システム運用上の利便性が高い。なお、メッセージ通知の有無の設定は、各動作状況の緊急性に応じてデフォルト設定されていてもよい。
【0106】
また、この医用装置1においては、別の意味での緊急度情報を登録情報430に記録している。すなわち、レベル3のエラーなど特に緊急度の高い動作状況については、その発生とともにスクリーンロックを解除するように「ロック解除」をオンに設定している。
【0107】
たとえばX線曝射量が大きすぎる場合等、患者に危険が及ぶおそれがある場合などには、スクリーンロックを解除するための時間も、その危険性を増大させてしまう。そこで、本実施形態では、緊急度の特に高い動作状況が発生した場合には、スクリーンロックを自動解除するようになっている。すなわち、患者に危険が及ぶような場合には、情報の漏洩よりも患者の安全を優先するものである。
【0108】
このスクリーンロックの自動解除の有無についても、ユーザ自身が指定できるので運用上便利である(もちろんデフォルト設定されていてもよい。)。
【0109】
また、本実施形態の医用装置1においては、複数の動作状況のそれぞれについて別の動作状況から当該動作状況に変化したときにスクリーンロック画面の切り換えを行うか否かを、ユーザ自身が指定することができ、その指定結果が登録情報430の「切り換え」の欄に記録される。制御部46は、動作状況の変化が検知されたときに、登録情報430を参照してスクリーンロック画面の切り換えを行うか否かを認識し、切り換えを行う場合には、その変化後の動作状況を示すスクリーンロック画面を表示させ、切り換えを行わない場合には切り換え前のスクリーンロック画面の表示を継続するようになっている。
【0110】
したがって、スクリーンロック画面の切り換えを行う必要があるほど重要でない動作状況が発生した場合には、敢えてスクリーンロック画面を切り換えないという選択肢を選択することができるので、運用上便利である。
【0111】
また、この医用装置1によれば、装置の動作状況の変化したときに、その変化が発生した時刻を表示するように構成されているので、ユーザは、変化発生時刻を参照して、異常の進行度合を判断したり、対処方法を検討したりすることができる。
【0112】
[変形例]
以上において具体的に説明した構成は、本発明に係る医用装置を好適に実施するための一例に過ぎないものである。したがって、本発明を実施するときには、本発明の要旨の範囲内における各種の変形を施すことができる。
【0113】
スクリーンロック中に2以上の異常な動作状況が発生した場合には、それらのうち最も重要度(緊急性等)の高いものに関連付けられたスクリーンロック画面を表示させることができる。そのためには、たとえば、登録情報430の動作状況に対してあらかじめ優先順位を設定しておき、動作状況が変化する度毎に、変化前の動作状況の優先順位と変化後の動作状況の優先順位とを比較し、優先順位の高い方のスクリーンロック画面を表示させるように制御すればよい。
【0114】
スクリーンロックを手作業で解除するときに、たとえば入力パスワードの文字数が多い場合など解除に長時間掛かる構成を採用している場合において、所定の動作状況が発生した後の解除操作を別の容易な方法に変更するように制御することができる。たとえば、通常の解除時の入力パスワードが15文字であるときに、所定の動作状況(たとえばレベル2のエラー等)が発生したときの簡易パスワードとして4文字からなるものをあらかじめ設定しておくことができる。このとき、簡易パスワード適用中であることを示すメッセージをスクリーンロック画面とともに表示させてもよい。
【0115】
所定時間使用しないときに電源モードをスリープモードに移行させる構成の医用装置を用いる場合において、所定の動作状況(緊急度の高いものなど)が発生したときに、通常使用時モードなどの復帰時間の短い電源モードに変更するように制御することが可能である。それにより、発生した動作状況に対する処置を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0116】
[スクリーンロック制御プログラム]
本発明に係るスクリーンロック制御プログラムについて説明する。上述した医用装置1の各種動作(図4〜図10)は、このスクリーンロック制御プログラムに従って実行される。スクリーンロック制御プログラムは、医用装置1に内蔵されたハードディスクドライブやROM等の記憶装置、若しくは、医用装置1がアクセス可能なコンピュータ等に内蔵の記憶装置にあらかじめ記憶されている。
【0117】
なお、このスクリーンロック制御プログラムを、コンピュータが読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させることができる。たとえば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などに記憶させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る医用装置の好適な実施形態の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により表示されるスクリーンロック画面の形態の一例を表す概略図である。
【図3】本発明に係る医用装置の好適な実施形態に記憶される登録情報の一例を表す図である。
【図4】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【図5】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【図7】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【図8】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【図9】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【図10】本発明に係る医用装置の好適な実施形態により実行される処理の一例を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
1 医用装置
2 アプリケーション実行部
3 ハードウェア構成部
31 操作部
32 ハードウェア
33 寝台
34 重量検出センサ
35 表示部
4 装置制御部
41 情報登録部
42 画面記憶部
421〜425 スクリーンロック画面
43 登録情報記憶部
430 登録情報
44 装置監視部
45 計時部
46 制御部
5 通信部
10 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報を表示する表示手段と、該表示手段にスクリーンロック画面を表示させる制御手段とを有する医用装置であって、
スクリーンロック時の装置の動作状況を監視する動作状況監視手段を備え、
前記制御手段は、前記監視される動作状況の変化に対応して、前記表示手段に表示させるスクリーンロック画面を切り換える、
ことを特徴とする医用装置。
【請求項2】
医用情報を表示する表示手段と、該表示手段にスクリーンロック画面を表示させる制御手段とを有する医用装置であって、
複数のスクリーンロック画面をあらかじめ記憶した画面記憶手段と、
前記記憶された複数のスクリーンロック画面のそれぞれと、複数の動作状況のそれぞれとを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶した関連情報記憶手段と、
スクリーンロック時の装置の動作状況を監視して動作状況の変化を検知する動作状況監視手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記関連情報により前記複数の動作状況のうちの一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面が前記表示手段に表示されている場合において、当該一の動作状況から他の動作状況への変化が前記検知されたときに、前記関連情報により前記他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする医用装置。
【請求項3】
ネットワークを介してユーザ端末と通信可能に接続されており、
前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、所定の報知情報を前記ネットワークを介して前記ユーザ端末に送信する報知手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用装置。
【請求項4】
前記関連情報は、前記複数の動作状況のそれぞれに対し、当該動作状況の緊急度を示す緊急度情報を関連付け、
前記報知手段は、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、当該他の動作状況に関連付けられた緊急度情報に示す緊急度が所定レベル以上である場合にのみ、前記所定の報知情報を前記ユーザ端末に送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の医用装置。
【請求項5】
ネットワークを介してユーザ端末と通信可能に接続されており、
所定の報知情報を前記ネットワークを介して前記ユーザ端末に送信する報知手段と、
前記複数の動作状況のそれぞれについて前記報知手段による報知を必要とするか否かを指定するための操作手段と、
を更に備え、
前記関連情報は、前記複数の動作状況のそれぞれに対し、前記指定された結果を示す指定情報を関連付け、
前記報知手段は、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、前記他の動作状況に関連付けられた指定情報を参照し、報知が必要であると指定されている場合に、所定の報知情報を前記ユーザ端末に送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用装置。
【請求項6】
前記関連情報は、前記複数の動作状況のそれぞれに対し、当該動作状況の緊急度を示す緊急度情報を関連付け、
前記制御手段は、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、当該他の動作状況に関連付けられた緊急度情報に示す緊急度が所定レベル以上である場合には、前記表示手段に対するスクリーンロックを解除する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用装置。
【請求項7】
前記複数の動作状況のそれぞれについて、別の動作状況から当該動作状況に変化したときにスクリーンロックを解除させるか否かを指定するための操作手段を更に備え、
前記関連情報は、前記複数の動作状況のそれぞれに対し、前記指定された結果を示す指定情報を関連付け、
前記制御手段は、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、前記他の動作状況に関連付けられた指定情報を参照し、スクリーンロックを解除させると指定されている場合にはスクリーンロックを解除し、解除させないと指定されている場合には前記他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用装置。
【請求項8】
前記複数の動作状況のそれぞれについて、別の動作状況から当該動作状況に変化したときにスクリーンロック画面の切り換えを行うか否かを指定するための操作手段を更に備え、
前記関連情報は、前記複数の動作状況のそれぞれに対し、前記指定された結果を示す指定情報を関連付け、
前記制御手段は、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、前記他の動作状況に関連付けられた指定情報を参照し、前記切り換えを行うと指定されている場合には前記他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を表示させ、前記切り換えを行わないと指定されている場合には前記一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面の表示を継続する、
ことを特徴とする請求項2に記載の医用装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記動作状況監視手段により一の動作状況から他の動作状況への変化が検知されたときに、該検知された時刻を前記表示手段に表示させる、
ことを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項10】
前記複数の動作状況は、前記表示手段がスクリーンロックされているときに装置が正常に動作している状況に加えて、スクリーンロック時のバックグラウンド処理においてエラーが発生した状況と、ダイアログの表示要求が発生した状況と、警告状態が発生した状況と、情報の表示要求が発生した状況とのうちの少なくとも一の状況を含んでいる、
ことを特徴とする請求項2〜請求項9のいずれか一項に記載の医用装置。
【請求項11】
医用情報を表示する表示手段と、
複数のスクリーンロック画面をあらかじめ記憶した画面記憶手段と、
前記記憶された複数のスクリーンロック画面のそれぞれと、複数の動作状況のそれぞれとを関連付ける関連情報をあらかじめ記憶した関連情報記憶手段と、
を有する医用装置を、
スクリーンロック時の装置の動作状況を監視して動作状況の変化を検知する動作状況監視手段、及び
前記関連情報により前記複数の動作状況のうちの一の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面が前記表示手段に表示されている場合において、当該一の動作状況から他の動作状況への変化が前記検知されたときに、前記関連情報により前記他の動作状況に関連付けられたスクリーンロック画面を前記表示手段に表示させる制御手段、
として機能させることを特徴とするスクリーンロック制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−164372(P2007−164372A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358154(P2005−358154)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】