説明

医用診断装置及び方法

医用診断装置が無線で送信された時間データ用受信機及びプロセッサを備えている。関連する装置、方法及び機能も説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の改良された計時能力(timekeeping abilities)及び機能性を有する装置及び方法、並びにビジュアル・ユーザ・インターフェース能力に関する。
【背景技術】
【0002】
文書(document)、動作(act)又は知識(knowledge)の項目が言及又は説明されるこの明細書では、この言及又は説明することは、文書、動作又は知識の項目又はその任意の組合せが優先日において、公に利用できた、一般に周知であった、共通の一般的な知識の一部であった、又は適用できる法的規制のもとで従来技術を構成する、又は本明細書が関係している任意の問題を解決しようとする試みに関連して周知であるということを容認するものではない、
【0003】
現在では、グルコース・モニタは、通常、その装置がそれぞれのグルコース測定をタイムスタンプでマークできるようにする時間機能を備えている。ユーザは、この装置を用いて長い期間にわたって試験をして、グルコース測定値のチャートを作成するために、収集された時間データと関連したグルコース値が患者とその介護者によって使用される。この一連のデータは、患者の投薬を調整するために又は現在の治療の有効性を評価するツールとして使用されうる。
【0004】
現在のシステムの欠陥は、それらのシステムが時間を正確に設定することをユーザに依存していることである。時間をグルコース測定器(glucose meter)に設定することは必ずしも直接的な前向きの仕事ではなく、またグルコース測定器のユーザの多くは、高齢者及び/又は技術的知識がない者である。グルコース測定器の多くのユーザは、時間を装置に設定しなければならないことに気付いていない可能性が非常に高い。時間を正確に設定することが難しいために、多くのグルコース測定器は結果として、患者又は介護者が利用できない不正確なデータを集めることになる。
【0005】
一時的なグルコース・モニタリングに関する問題は、患者は現在の血糖のスナップショットを得るだけであることである。患者は、自身の状態をより正確に反映する動的な情報ではなく、そのスナップショットを用いて治療の決定をしなければならない。
【0006】
例えば、患者が自分の血糖の試験をして、それが低いことが分かると、血糖値を高めるために炭水化物を取ることを決定するであろう。しかしながら、彼らのグルコースはすでに上がっている可能性があり、この場合、彼らは多くの又は少しも炭水化物を必要としないであろう。
【0007】
逆に、患者が自分の血糖の試験をして、それが実際は急速に低下しているのを気付かずに、望ましいレベルであると判断することがある。この場合、患者は恐らく炭水化物を摂取しないことにするであろう、その時、現実には、患者が摂取しないと直ぐに、患者は低血糖症の事態に直面する可能性がある。
【0008】
グルコース・レベルがどの方向にまたどれほど急速に変化しているかを、グルコース測定器が予想できることが望ましい。これによりユーザは自身を一層正確に治療することができるため、低血糖症又は高血糖症の事態になる可能性を減らすことができるであろう。
【0009】
そのような予想を行うためには、少なくとも2つのことが要求される、すなわち、将来の動向を予想するための十分なヒストリカル・データ;及びこれらのヒストリカル・グルコース結果に関連した正確なタイムスタンプ情報である。
【発明の概要】
【0010】
「体液」は、本願で使用される場合、全ての血液、腸液、及びその混合物を含むものとする。
【0011】
「集積装置」又は「集積測定器」という用語は、本願で使用される場合、体液のサンプリング、体液の輸送、検体の定量化、及び体液のサンプルの中に含まれた検体の量を表示するために必要な全てのコンポーネントを含む装置又は測定器を意味するものとする。典型的な集積測定器は、米国特許第6,540,675号及び7,004,928号;米国特許出願第US2008/0077408号、US2007/0179404号、US2007/0179405号、US2007/0078358号、及びUS2007/0078313号の中で説明されている。上記で列挙された文書のそれぞれの全内容は、参照することによって本願に組み込まれるものとする。
【0012】
本願で、第1、第2、第3及び第4のコンポーネント(など)を参照しても、本発明をこれらのコンポーネントのそれぞれが互いに物理的に分離できるような実施形態に限定されないことは理解されよう。例えば、本発明の単一の物理的素子は、請求の範囲に記載された第1、第2、第3又は第4のコンポーネントの1つ以上の機能を実行できる。逆の言い方をすれば、共同動作する複数の別個の物理的素子は、請求の範囲に記載された第1、第2、第3又は第4のコンポーネントの1つの機能を実行することができる。同様に、第1、第2(など)の方法のステップを参照しても、本発明を別個のステップのみに限定するものではない。本発明によれば、単一の方法ステップは、本願で説明される複数のステップを満たすことができる。逆の面から言えば、複数の方法ステップは、組み合わされて、本願で列挙された1つの方法ステップを構成することができる。さらに、方法ステップは、それらが本願で説明される又は請求の範囲に記載される順序に必ずしも限定されることはない。
【0013】
現在の技術に対して本発明が与える利点は、技術が使用されるどのような装置も自動的かつ正確に装置の内部クロックを現地時間に設定されうることを保証することが、任意選択的に含まれることである。本発明が全面的に集積化されたグルコース測定器に適用される場合、本発明は1つ以上の下記の特定な利点を有することができる、すなわち、時間を装置に設定する必要がないという便利さ;装置の内部クロックが正確な現地時間に常に設定される確実性;測定器が収集したデータに対する介護者の信頼が著しく増加すること;試験結果におけるモニタ/検出動向に対する能力が向上すること;測定器が収集したデータに基づいて、患者の薬物治療を自信を持って調整する能力;グルコース・モニタでは現在使用されない方法を用いて、測定器がデータを内部処理できるようになること;現在はグルコース測定器から入手できない情報をユーザに提供できるようになること;及び集積化された測定器で実行された又はまた残っている試験の数を明確に常時ユーザに表示すること、という利点である。
【0014】
第1の態様によれば、本発明は、無線で送信された時間データを受け取りかつ処理する手段を備えた医用診断装置を提供する。
【0015】
別の態様によれば、本発明は、無線で送信された時間データを受け取りかつ処理するステップを含む、医用診断装置を動作させるための方法を提供する。
【0016】
さらに別の態様によれば、本発明は、グルコース測定器を動作させる方法を提供するものであり、この方法には、血中グルコース測定器に無線で送信された時間データを受け取りかつ処理するステップ;血中グルコース測定器を用いて複数の試験を実行するステップ;特定の時点又は時間間隔に関連した代表的なグルコース測定値の所定の範囲を確立するために、試験から得られた複数のグルコース濃度測定値を1日の特定の時点又は時間間隔に関係付けるステップ;及び測定されたグルコース値が代表的なグルコース測定値の所定の範囲の外に出た場合、ユーザに警告するステップ、が含まれる。
【0017】
さらに別の態様によれば、本発明は、血中グルコース測定器の支援を得て糖尿病をモニタ及び処置する方法を提供するものであり、この方法には、血中グルコース測定器に無線で送信された時間データを受け取りかつ処理するステップ;血中グルコース測定器を用いて複数の試験を実行するステップ;データ・セットを確立するために、試験から得られたグルコース濃度測定値を試験が行われた日の間の特定の時点に関係付けるステップ;血中グルコース測定器からデータ・セットをダウンロードするステップ;ダウンロードされたグルコース濃度値と関連する時間データに基づいて傾向を得るステップ;及び少なくともある程度この傾向に基づいて治療法を処方するステップ、が含まれる。
【0018】
別の代わりの態様によれば、本発明は血中グルコース測定器を用いて糖尿病をモニタ及び処置する方法を提供するものであり、この方法には、血中グルコース測定器に無線で送信された時間データを受け取りかつ処理するステップ;少なくとも1つの試験を血中グルコース測定器を用いて実行して、これにより血中グルコース濃度測定値を作り出すステップ;グルコース濃度測定値を試験が行われた日の間の特定の時点に関係付けるステップ;及びこのグルコース濃度測定値を、少なくともある程度、値に関連した相関時間に基づいて、食前試験又は食後試験のどちらかに関係付けられるものとして自動的に識別するステップ、又はグルコース濃度値を食前試験又は食後試験のどちらかに関係付けられるものとして識別するようにユーザを促すステップ、が含まれる。
【0019】
下記の好ましい実施形態の説明は、添付された図面と関連して読まれることができる。これらの図面では、同じ参照番号は同じ構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】時間データを含む信号を収集及び処理するために使用される回路の略図である。
【図2】診断医用装置が使用する正確な時間データを発生するために使用される信号を処理できる方法を例示している状態図である。
【図3】本発明の1つの選択自由の態様に基づいて組み立てられた診断装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
幾つかの態様によれば、本発明は全面的に集積化されたグルコース測定器に関する。しかしながら、本発明は、その利点を従来の(集積化されていない)グルコース測定器や、長期のデータ収集及びデータ内の傾向分析が重要な他の診断装置にも適用できるため、集積化されたグルコース測定器に限定されることはない。以下の説明では、「装置」という用語は、本発明の原理による前述された装置/実施形態に集合的に言及する場合に使用される。
【0022】
一般論として、本発明が装置に適用される場合、自動的に、迅速に、また正確にこの装置の内部クロックを調整しかつそれを正確な現地時間に設定するために、本発明は装置が無線通信(例えば、ラジオ・データ・システム(RDS/RBDS)、携帯電話、WiFiなど)で一般に入手できる時間情報を使用できるようにする。本発明は、組み合わされた場合、無線で送信された時間データに測定器をアクセスさせる電子コンポーネント(electronic components)を含むことができる。正しい電子機器(electronics)が所定の位置に配置されて、測定器が情報にアクセスできるようになると、装置が自動的に正確な時間に確実にプログラムされるように、データは注意深く処理される必要がある。ラジオ放送データ・ストリーム(Radio Broadcast Data Stream)(RDS/RBDS)内のデータにアクセスできる多くの電子コンポーネントは入手可能である。そのようなコンポーネントの1つは、Silicon Labs社のSi4705集積回路である。図1は、そのような1つのコンポーネントと、RBDSから時間データを収集することに関連した別の電気コンポーネント(electrical components)の概略図を示している。図1に例示されたコンポーネントに加えて、集積回路がRBDS情報を屋外又は屋内で受信できるようにするアンテナを設けることができる。このアンテナは、RBDSデータを受信するように最適化された特定の長さの線とする、又は全ての意図された使用環境、住宅、事務所、自動車、公園などで十分な強度が保証される任意の他のアンテナ・デザインとすることができる。
【0023】
1つの別の実施例では、集積回路及び関連する電子機器(electronics)は、装置の主回路基板構体上に集積化される。
【0024】
データを収集することは、本発明の1つの態様に過ぎない。時間データが収集されると、その時間データは装置が未加工のラジオ信号を正確かつ効率的に使用可能な時間に変換できる方法で処理される。これには、信号のハードウェア及びソフトウェア処理の両方が含まれる。未加工のRBDS信号を装置上で正確な時間に変換する1つの任意的な方法が、状態図の形式で図2に例示されている。
【0025】
状態図の中で説明されている内容の要約は、下記のようになる。
1.装置は、信号対雑音比(NSR)に基づいて最良のRBDS周波数を求めて複数回(例えば、最大10回)ローカル・エリアをスキャンする。
a.冗長性を可能にするために10個の信号をスキャンすることにより、何らかの信号が失われることになる。
b.データ・ファイルとして複数の周波数を記憶することにより、RBDS時間情報を得ることができる速度が向上される。特定の周波数が使用可能な時間データを素早く発生しない場合は、測定器は全ての周波数をスキャンする遅延なしに別の周波数に変化することができる。
c.複数の信号にアクセスすることは、装置に正確な時間を設定した検証として、幾つかの信号によってもたらされた時間を比較することもできる。
d.NSRに基づいて検索することにより、装置がそれに最も近い信号源を固定して、これにより装置の現在の位置に対して正しい時間を設定できるようにされる。
2.注意:電力を保存するために、装置のファームウェアは、使用可能な信号を発見することが困難になった場合、使用可能な周波数を検索する間の時間を徐々に増加させる命令も備えることができる。
a.このことは、状態図の右上部分の「待機(wait)」バルーンに例示されている。
b.このアルゴリズムにより、バッテリー寿命は最大にされる。
i.特定の条件(極めて遠い場所への出荷、保管、輸送)のもとでは、使用可能なRBDSを見つけるのが困難な場合がある。
ii.装置のプログラム論理が信号をいつ検索するかを決定するのに十分な知識を有していない場合は、それは電源が使い尽くされるまで検索を続けるであろう。
3.装置が使用可能なRBDS周波数の内部データベースを成功裏に作成すると、それは有効な時間情報の検索を開始する。
4.装置は、有効な時間情報を見出すと、現在装置内に記憶されている時間とRBDSから得られた時間とを比較する。
5.内部に記憶された時間が検証されたRBDS時間に一致しない場合は、クロックがRBDS時間に設定され、装置は次の時間点検サイクルが到来するまで待機する。
【0026】
内部クロックを正確に設定することは、本発明の1つの態様に過ぎない。クロックを正確に設定することが装置に与えることができる別の特徴及び利点も、本発明によって与えられる。下記のリストは完全なものではないが、潜在的な幾つかの利点を代表している。
【0027】
グルコースを予測することにより、食物又は薬剤のどちらかの不適切な摂取を避けることによって、検体モニタのユーザの安定性が向上されるであろう。
【0028】
オプション1−最新の前回の試験データを使用すること
装置のユーザは、傾向を識別できるかどうかを判断するために、最後の幾つかの試験を頻繁に見ることができる。例えば:7pm グルコース = 125 mg/dL → 8pm グルコース = 68 mg/dL
【0029】
この装置は、これはグルコースが急速に低下しているためと断定して、この傾向を検証するために、ユーザに対して所定の時間内に再度試験を行うように警告することができる。ユーザに対して医師と連絡を取るよう提案する、及び/又は炭水化物の摂取といった潜在的な治療を提案することもできる。
【0030】
オプション2−履歴データ
装置のユーザが同じ時間周期で常に試験を行う場合(すなわち、目覚めたとき、昼食後の時間など)、この測定器はユーザの一般的な傾向を「学習」して、適切な動作を提案することができる。例えば、装置が1日の特定の時間に潜在的な低血糖事態(極めて低いグルコース値)を決まって検出するが、特定の場合では、正常値を検出する場合、ユーザのグルコース・レベルが正常であり急速に低下していないことを検証するために、同じ時間に装置が数分以内に再度試験を行うようにユーザに勧めることができる。
【0031】
グルコースを予測する方法及び使用法は、前述されたものに限定されることはない。
【0032】
信頼できる正確な内部クロックの別の使用法は、異常な試験結果が出た後にユーザに差異試験をするように警告する機能である。例えば、明確な期間にわたって装置のユーザが常に特定の範囲内のグルコース・レベルを測定する場合、装置はユーザの代表的な傾向を「学習」することができる。装置がユーザの傾向を学習すると、装置は1日の特定の時間の特定のグルコース測定値を予想することを開始できる。ユーザが異常を発生する、すなわち1日の標準的範囲から外れる、グルコース測定を完了すると、装置は結果を検証するために再度試験をするようにユーザに勧めることができる。ユーザのグルコース測定がダイエット、薬剤に対する活動レベル又は反応によって標準範囲から外れる可能性があるが、装置に関わる問題のために、装置が真のグルコース値の計算を誤る可能性もある。グルコース・モニタに対する一般的なベンチマークは、試験の数の90%に対して±20%の精度でグルコース測定を行う能力である。このベンチマークは、時々間違ったグルコース測定が発生する可能性が広く受け入れられることを実証している。
【0033】
糖尿病を患っている多くの人々は、グルコース・レベルを安全で容認できる範囲内に維持するために、薬物療法(経口のインシュリン、注射可能なインシュリン、又は他の経口薬物)及び他の治療計画に依存している。例えば、医師は自分の患者に、目覚めると直ぐに、次に朝食、昼食及び夕食の1時間後に試験することを要求することがある。医師は次に自分の患者に、次の来院時に装置を持参するように要求する。患者が装置を持って来院すると、臨床スタッフは、測定器が収集した全てのデータをダウンロードする。次に、このデータは多くの方法を用いて分析されて、適切な治療計画を提案する。1つの代表的な分析法は、1日の時間に対して全ての患者のグルコース値をプロットすることである。これにより、患者のグルコース値が1日を通してどのような傾向を有するかを示すプロットが生じる。次に、臨床スタッフは患者の傾向プロットを見て、どの程度の薬物を処方するかを判断し、また患者に薬剤を飲む時間を伝える。この種の分析は、患者がまる1日を通して容認できるグルコース・レベルを維持するのを支援する上で極めて効果的である。
【0034】
しかしながら、患者の測定器が正確な時間情報を有しない場合は、面倒な問題が持ち上がる可能性がある。装置の時間が正確でないと臨床スタッフが気付くと、彼らはそのデータを埋め合わせて、治療計画を引き続き調整できるように傾向プロットを調整することができる。この種の調整は、どの位の期間、装置の内部クロックが不正確に設定されているかを知ることに依存する。例えば、患者の装置が結果の半分に対して時間が正確であったが、その反面、結果の残りの半分については時間が不正確だったことを、臨床スタッフが全く知らないことがある。不正確な時間を見た臨床スタッフは、そのとき全ての結果をシフトする可能性があり、この場合、結果の半分は依然として不正確である。良く見ても、臨床スタッフはデータに信頼度が不足しているために治療計画を変更しないと決定する可能性がある。最悪の場合、臨床スタッフは誤って治療計画を調整して、知らないで患者を危険にさらすことがある。
【0035】
臨床スタッフが装置に設定された時間が不正確であることを気付かないで、不正確な傾向プロットを読み込み、そして治療計画を誤って調整する可能性もある。この場合もやはり、患者が自身の疾病管理を向上させることを妨げられるか又は患者が薬物療法に関して危険にさらされる可能性がある。
【0036】
糖尿病を患っている多くの患者は、これらの患者を扱うことに専念する内分泌医師又はプライマリ・ケア医師のどちらかで治療を受ける。このため、糖尿病の患者を治療する診察室は、1日に種々の患者を見ることができる。診察室の効率的な運営を維持するために、臨床スタッフは迅速に患者の装置から情報を収集し、この情報を処理し、またデータを臨床スタッフに与えて彼らが現在の治療の有効性を判断して、患者の疾病管理を向上させるために治療計画を修正できるようにする必要がある。患者の装置からデータを収集する工程は、現在では、時間及び労力集約的な作業である。現在市場に出ているそれぞれの装置は、自分の個別のデータ転送ケーブルとデータ転送ソフトウェアを有している。測定器がデータのダウンロードを処理している間に、臨床スタッフは正しいケーブルと正しいソフトウェアを確認して、次に送信が何ら問題なく行われることを期待する必要がある。臨床スタッフが時間を適切に装置に設定する方法を見つけようとして混乱させられると、貴重な時間が浪費されることになる。市場に出ている全ての装置は個別のユーザ・インターフェースを有しているため、臨床スタッフが装置のクロックを調整する方法をユーザ用ガイドの中で調べる必要があり、これにより一層多くの時間が浪費されることになることは珍しいことではない。本発明は、患者の装置が常に正確に設定され、このため糖尿病を患っている患者を介護する診察室に対して直接時間とお金を節約することを保証する。
【0037】
本発明が診察室に対して時間と費用を節約させる別の方法は、各患者が新しい装置を受け取ったときに受ける必要がある訓練を高速化することである。現在では、患者が新しい装置を受け取ったときに、各患者を訓練するために時間を使うことは、臨床スタッフ(認定糖尿病教育者(Certified Diabetes Educator)など)にとって一般的な習慣である。そのような訓練には、基本測定器操作、及び装置をセットアップする時間(ユーザ基本設定、日時など)が一般に含まれる。クロックを設定する訓練を除くことは、即座に時間を節約することになるであろう。この時間の節約は小さいと思われるが、毎年その診察室で治療される数千の患者によって乗算されると、それは極めて大きな時間になる。
【0038】
臨床スタッフが治療計画を作成し維持する間に患者をモニタする大きな要因の1つは、食事前及び/又は食事の1〜2時間後の患者のグルコース・レベルである;これらの試験は一般に、食前及び食後試験と呼ばれる。このデータは、試験が実行されかつそれが特定の食事の前又は後であったと見なされる時間を見て、装置によって収集されたデータから手作業で除かれることができる。このデータを収集する別の方法は、ユーザが特定の試験を食事前又は後としてマークできるようにする幾つかの装置が有する機能に依存する。両方の方法には欠陥がある。
【0039】
データが手作業で取り除かれる場合、臨床スタッフは先ず初めに、データが収集されたとき装置上の時間は正しかったと考え、次に特定の時間の間に収集されたデータは食前又は食後のものであったと安心して決め込み、そしてより多くの時間を時間がかかる抽出工程に専念することができ、またその工程に自ら進んで専念するに違いない。
【0040】
装置のユーザによってマークされたデータはより正確である可能性があるが、この方法は、ユーザが試験をマークする方法を理解し、適切な食事マーカ(すなわち、朝食の前又は後など)を選択し、全ての試験にマークしたことを記憶して、作成された平均値が正確で十分長いデータ・セットを有することができる場合にのみ正しく機能する。
【0041】
本発明の別の利点は、本発明は、食前又は食後のどちらかと言うように、装置が正確にかつ自動的に試験にマークすることを可能にすることである。下記は、装置が自動的に試験に食事スタンプを押す(meal stamp)ことを可能にする、多数の考えられる論理シーケンス又は動作モードの1つである。
1.装置は、前述されたように、自動的に内部クロックを設定しかつ維持する。
2.オプション1:装置は1日の時間に基づいて食前又は食後といったグループ試験に自動的に設定されうる。
a.例 午前5〜7時の間の試験は常に朝食前として、また午前9〜10時の間の試験は常に朝食後としてマークされる、等々。
3.オプション2:ユーザは、彼らが特定の食事をして、そしてこのデータを使用して自動的に試験にマークを付ける時期を装置が「学習する」ように、装置を手作業で設定することができる。
a.例 午前6〜8時の間の試験は朝食前であり、また午前9〜11時の間の試験は朝食後であると認識するように、ユーザは装置をプログラムする、等々。
4.ユーザがグルコース測定を終えた後で、装置は試験のタイムスタンプを食前又は食後の時間について内部登録データと比較することができる。
5.試験が食事時間ウィンドウの1つの中に入る場合、装置は自動的に食前又は食後のマークを加えることができる。
6.オプション:試験が食前又は食後であったかを検証するために、装置は自動的にユーザに問い合わせることができる。これは冗長的であるが、より大きな信頼をデータ・セットに加えることができ、またユーザに対して分かりにくいメニューを見て回るように要求しない。単純なイエス/ノーで十分である。
7.オプション:この装置は、各食前又は食後のグルコース値の連続的に更新する平均値を記憶することができる。
a.この平均値は、装置に直接付いている単純なユーザ・インターフェースを用いて迅速にアクセスされうる。
b.データに容易にアクセスできるため、臨床スタッフは、コンピュータ、ケーブル、又は別のソフトウェアにアクセスする必要なく、情報に通じた上で治療の決定を行うことができる。
【0042】
本発明のさらに別のオプションによる態様に基づいて形成された装置が、図3に例示されている。この装置10は、任意の適当な材料で形成された任意の適当な形状の筐体12を備えることができる。この装置は、ディスプレイ14を備えている。装置10は、装置が実行した試験の数及び残っている試験の数の少なくとも1つの画像信号及び/又は音声信号を提供する機能強化されたユーザ・インターフェース機能を備えることができる。装置10は、ボタン16などの1つ以上のインターフェース装置を備えることができる。
【0043】
前述されたように、集積された測定器の形式の装置10は、目標検体の濃度及び/又は存在を決定するアッセイを実行するために必要な全てのコンポーネントを備えている。本発明の原理に基づいた集積測定器は、実際に、複数の試験を実行するために必要なコンポーネントを備えており、それぞれの試験は、目標検体物質の存在及び/又は濃度を決定することができる。例えば、集積測定器は、必要に応じて、着脱可能なカートリッジ18又は同様な装置を備えており、このカートリッジ18は、複数の試験を実行するために必要なコンポーネント20を含んでいる。この装置10は、カートリッジ18のコンポーネント20にアクセスして試験を実行するための試験ポート22を備えることができる。このカートリッジは、筐体12の一部を形成するドア又はカバー24を通って取り出されることができる。実行された試験の数、又はカートリッジ18を交換する必要がある前に使用できる試験の数は、このような装置のユーザに連絡する重要な情報になる。本発明によれば、集積測定器は、適切な音響信号及び/又は視覚信号(visual signal)をユーザに対して発生してそのような情報を伝えるために必要な手段を備えることができる。任意の適当な信号を使用できる。適当な音響信号は、実行された又は残っている試験の数に関する音声情報を含むことができる。適当な視覚信号15は、実行された及び/又は残っている試験の数を明記する英数字を含むことができる。これらの視覚信号15は、測定器自身が「パワー・ダウン」される、又は電源が遮断される、又は「スリープ」モードに置かれる場合でも、集積測定器によって連続的に表示されうる。さらに別の選択肢によれば、この集積測定器は、ユーザの皮膚に適用される場合、反転される又はフリップされるように設計されうる。このため、本発明のさらに別の態様によれば、この装置は反転又はフリップされた状態を感知する適当な手段を備えて、集積測定器の向きに関係なく、英数字の視覚表示も同様にフリップ又は反転されて、ユーザが容易に読み取れるようにする。
【0044】
この装置10は、電子コンポーネントを含む回路基板26をさらに備えている。これらのコンポーネントは、本願で前述されたように、無線で送信された時間データを受信及び処理するコンポーネントを含むことができる。このように、装置10は、本願で前述された全ての機能を備えることができる。無線で送信された時間データを受信し、かつオプションで少なくとも部分的に処理するための集積回路28を設けることができる。この集積回路28は、本願で前述したように、Silicon Labs社から市販されているSi4705回路などの任意の適当な形態をとることができる。この集積回路28は、装置10の筐体12の内部に収容されたワイヤ状アンテナなどの適当なアンテナ30を備えることができる。外部の可撓性アンテナなどの、他の適当なアンテナも考えられる。この回路基板は、プロセッサ32、メモリ34及び電源36などの多数の付加的な電子コンポーネントをさらに備えることができる。プロセッサ32はオプションで集積回路28と協同することができ、また装置10が使用するために受信した時間データを処理することもできる。
【0045】
この明細書で使用される材料、コンポーネント、反応条件などの数量を表す数字は、「約」という用語によって全ての場合に変更されるものと理解されるべきである。記載されている数値範囲やパラメータ、本願に示された広範囲の内容が概算であるにもかかわらず、記載された数値はできるだけ正確に示されている。しかしながら、どのような数値も、それぞれの測定技術の中に見出される標準偏差から必然的に生じるある程度のエラーを本質的に含んでいる。「手段(means)」という用語が明示的に使用されない限り、添付されたクレームの中で列挙されたどの要素も、35U.S.C.§112−6を求めていると解釈されるべきではない。
【0046】
本発明をその好ましい実施形態と関連して説明してきたが、明確に限定して説明されないような追加、削除、修正、及び置換を、添付のクレームの中で定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができることは、当業者は理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血中グルコース測定器を動作させる方法であって、
前記血中グルコース測定器に無線で送信された時間データを受信及び処理するステップと、
複数の試験を前記血中グルコース測定器を用いて実行するステップと、
特定の時点又は時間間隔に関連した代表的なグルコース測定値の所定の範囲を確立するために、前記試験から得られた複数のグルコース濃度測定値を1日の特定の時点又は時間間隔に関係付けるステップと、
測定されたグルコース値が代表的なグルコース測定値の所定の範囲の外に出た場合、ユーザに警告するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
血中グルコース測定器の支援を得て糖尿病をモニタ及び処置する方法であって、
前記血中グルコース測定器に無線で送信された時間データを受け取りかつ処理するステップと、
前記血中グルコース測定器を用いて少なくとも1つの試験を実行して、これにより血糖濃度測定値を作り出すステップと、
前記グルコース濃度測定値を前記試験が実行された日の特定の時点に関係付けるステップと、
前記グルコース濃度測定値を、少なくともある程度、前記値に関連した相関時間に基づいて、食前試験又は食後試験のどちらかに関係付けられるものとして自動的に識別するステップ、又は前記グルコース濃度値を食前試験又は食後試験のどちらかに関係付けられるものとして識別するようにユーザを促すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記血中グルコース測定器が、食前試験又は食後試験のどちらかに関係付けられた所定の時間間隔を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
食前試験及び食後試験の時間間隔を定義するように前記血中グルコース測定器をプログラムするステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
血中グルコース測定器の支援を得て糖尿病をモニタ及び治療する方法であって、
前記血中グルコース測定器に無線で送信された時間データを受信及び処理するステップと、
前記血中グルコース測定器を用いて複数の試験を実行するステップと、
データ・セットを確立するために、前記試験から得られたグルコース濃度測定値を前記試験が行われた日の間の特定の時点に関係付けるステップと、
前記血中グルコース測定器からデータ・セットをダウンロードするステップと、
ダウンロードされたグルコース濃度値と関連する時間データに基づいて傾向を得るステップと、
少なくともある程度前記傾向に基づいて治療法を処方するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
医用診断装置を動作させる方法であって、前記方法が、
無線で送信された時間データを受信及び処理するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記時間データを受信及び処理するステップが、無線による時間データ送信に対してローカル・エリアをスキャンするステップと、受信された各無線による時間データ送信に対して信号対雑音比を計算するステップと、及び前記装置によって受信された複数の無線による時間データ送信の信号対雑音比を比較するステップとを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記時間データを受信及び処理するステップが、複数の周波数をデータ・ファイルとして記憶するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記時間データを受信及び処理するステップが、所定の容認できる品質の信号を得ることが困難になった場合、無線による時間データ送信に対してローカル・エリアをスキャンする間の時間を自動的にかつ徐々に増加するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記時間データを受信及び処理するステップが、前記装置の中に現在記憶されている時間データを少なくとも1つの無線による時間データ送信から得られた時間データと比較するステップを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記時間データを受信及び処理するステップが、前記装置の中に現在記憶されている時間データを少なくとも1つの無線による時間データ送信から得られた時間データで、それらの時間データの間に不一致が検出されると、上書きするステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記時間データが放送波を介して送信される、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記時間データが下記のソース、すなわち、ラジオ放送データ・ストリーム(RBDS);全地球測位システム(GPS);無線フィデリティー・システム(WiFi);及びナショナル・アトミック・クロック信号、の少なくとも1つから送信される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
無線送信された時間データ用受信機及びプロセッサを有する医用診断装置。
【請求項15】
前記医用診断装置が集積グルコース測定器を備える、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
アンテナをさらに備える、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記受信機及びプロセッサが集積回路を備える、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記受信機及びプロセッサが、無線による時間データ送信に対してローカル・エリアをスキャンし、受信された各無線による時間データ送信に対して信号対雑音比を計算し、また前記装置によって受信された複数の無線による時間データ送信の信号対雑音比を比較するように構成される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記受信機及びプロセッサが、複数の周波数をデータ・ファイルとして記憶するように構成される、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記受信機及びプロセッサが、所定の容認できる品質の信号を得ることが困難になった場合、無線による時間データ送信に対してローカル・エリアをスキャンする間の時間を自動的にかつ徐々に増加するように構成される、ことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記受信機及びプロセッサが、前記装置の中に現在記憶されている時間データを少なくとも1つの無線による時間データ送信から得られた時間データと比較するように構成される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項22】
前記受信機及びプロセッサが、前記装置の中に現在記憶されている時間データを少なくとも1つの無線による時間データ送信から得られた時間データで、それらの時間データの間に不一致が検出されると、上書きするように構成される、ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記時間データがエアウェーブを介して送信される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項24】
前記時間データが下記のソース、すなわち、ラジオ放送データ・ストリーム(RBDS);全地球測位システム(GPS);無線フィデリティー・システム(WiFi);及びナショナル・アトミック・クロック信号、の少なくとも1つから送信される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−522594(P2011−522594A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512481(P2011−512481)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/003445
【国際公開番号】WO2009/148626
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(507406873)インテュイティ メディカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】