医療システム、医療システムのプロセッサ装置、及び画像生成方法
【課題】酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報を同時に取得する。
【解決手段】被検体のリンパ節にICGを投与する。このリンパ節に対して励起光を照射して、そのリンパ節から薬剤蛍光を励起発光させる。励起光の照射と同時に、酸素飽和度を測定するための第1〜第3狭帯域光をそれぞれ順に照射する。カラーのCCDのR画素により薬剤蛍光を撮像し、B画素またはG画素により第1〜第3狭帯域光の反射光等を撮像する。R画素から出力される撮像信号に基づいて、蛍光画像を生成する。B画素またはG画素から出力される撮像信号に基づいて、酸素飽和度画像を生成する。生成された蛍光画像、酸素飽和度画像はモニタに表示される。
【解決手段】被検体のリンパ節にICGを投与する。このリンパ節に対して励起光を照射して、そのリンパ節から薬剤蛍光を励起発光させる。励起光の照射と同時に、酸素飽和度を測定するための第1〜第3狭帯域光をそれぞれ順に照射する。カラーのCCDのR画素により薬剤蛍光を撮像し、B画素またはG画素により第1〜第3狭帯域光の反射光等を撮像する。R画素から出力される撮像信号に基づいて、蛍光画像を生成する。B画素またはG画素から出力される撮像信号に基づいて、酸素飽和度画像を生成する。生成された蛍光画像、酸素飽和度画像はモニタに表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着目する血管の周辺における血中ヘモグロビンの酸素飽和度を観察しながら診断を行うことができる医療システム、医療システムのプロセッサ装置、及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療においては、内視鏡装置を用いた診断等が広く行われている。内視鏡装置による被検体内の観察としては、照明光として広帯域光の白色光を用いる通常光観察の他、波長を狭帯域化した狭帯域光を用いて、被検体内の血管を強調表示等させる特殊光観察も行われるようになってきている。
【0003】
また、特殊光観察の他に、血中ヘモグロビンの酸素飽和度などの被検体の機能情報を画像化することも行われている。例えば、特許文献1では、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて光吸収が変化する波長の光を被検体に照射し、それぞれの光の反射光等を撮像したときの画像信号に基づいて疑似カラーで酸素飽和度を表示している。さらには、特許文献2に示すように、ICG(Indocyanine Green)などの蛍光薬剤を被検体に投与し、特定波長の励起光を照射することで、特定の血管から薬剤蛍光を発生させることも行われている。このような薬剤蛍光を用いて、リンパ節や生体組織から奥深い位置にある血管などを目立たせることによって、診断能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2648494号公報
【特許文献2】特開2009−39561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の内視鏡診断では、ある1種類の生体情報だけでなく、複数種類の生体情報を同時に取得し、それら複数種類の生体情報を用いて様々な観点から診断を行うマルチモダリティー化が求められている。例えば、生体情報として、血中ヘモグロビンの酸素飽和度や観察部位からの薬剤蛍光に関する情報はいずれも診断上重要な情報であるため、これらを同時に取得して同時に把握できるようにすることが求められている。
【0006】
しかしながら、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報の同時取得については、特許文献1及び2のいずれにおいても触れられていない。したがって、現時点においては、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報の両方を取得するためには、酸素飽和度測定モードと薬剤蛍光観察モードの両方を有する内視鏡システムにおいて、手動でモードを切り替える必要がある。
【0007】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたもので、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報を同時に取得することができる医療システム、医療システムのプロセッサ装置、及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の医療システムは、被検体に照明光を照射する照明手段と、互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を有し、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する撮像手段と、前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段と、前記酸素飽和度画像と前記蛍光画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光には、青色領域と緑色領域の狭帯域光の反射光が含まれ、前記蛍光情報を含む光には、蛍光薬剤が投与された被検体から赤色領域の励起光により励起発光される近赤外の薬剤蛍光が含まれることが好ましい。前記第1画素はB色のカラーフィルタが設けられたB画素またはG色のカラーフィルタが設けられたG画素であり、前記第2画素はR色のカラーフィルタが設けられたR画素であることが好ましい。
【0010】
前記蛍光薬剤が投与される部位はリンパ節であることが好ましい。前記蛍光薬剤が投与される部位は一定太さ以上の血管であることが好ましい。前記蛍光画像から、着目する血管を含む着目エリアを特定する着目エリア特定手段を備えることが好ましい。蛍光薬剤はICG(Indocyanine Green)であることが好ましい。
【0011】
上記記載の本発明の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた内視鏡スコープを備える内視鏡システムであることが好ましい。上記記載の本発明の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた腹腔鏡スコープを備える腹腔鏡システムであることが好ましい。
【0012】
本発明の医療システムのプロセッサ装置は、互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する医療装置から、前記第1画素から出力される第1撮像信号と前記第2画素から出力される第2撮像信号を受信する受信手段と、前記第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像生成方法は、被検体に照明光を照射し、互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像し、前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カラー撮像素子の第1画素で、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を撮像し、第1画素とは光透過特性が異なる第2画素で、蛍光情報を含む光を撮像することにより、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報を同時に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子内視鏡システムの外観図である。
【図2】第1実施形態の内視鏡システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】広帯域光、励起光、及び第1〜第3狭帯域光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】青色レーザ光とこの青色レーザー光を蛍光体に当てることによって励起発光する励起発光光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数を示すグラフである。
【図6】R色、G色、B色のカラーフィルタの分光透過率を示すグラフである。
【図7】通常観察モード時におけるCCDの撮像制御を説明するための説明図である。
【図8】特殊観察モード時におけるCCDの撮像制御を説明するための説明図である。
【図9】蛍光画像と酸素飽和度画像の画像図である。
【図10】ミキシング画像の画像図である。
【図11】本発明の作用を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態の内視鏡システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図13】腹腔鏡システムの外観図である。
【図14】腹腔鏡スコープを用いた腹腔鏡手術を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、第1実施形態の電子内視鏡システム10は、被検体内を撮像する電子内視鏡11と、撮像により得られた信号に基づいて内視鏡画像を生成するプロセッサ装置12と、被検体を照明する光を発生する光源装置13と、内視鏡画像を表示するモニタ14とを備えている。この電子内視鏡システム10は、白色光などの広帯域光を被検体に照明して通常光画像を得る通常観察モードと、ICG(Indocyanine Green)などの蛍光薬剤をリンパ節に投与してリンパ節を特定するとともに、特定したリンパ節周辺の酸素飽和度を測定する特殊観察モードとの切り替えが可能である。
【0017】
電子内視鏡11は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。挿入部16の先端には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部19が形成されている。湾曲部19は、操作部のアングルノブ21を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部19の先端には、体腔内撮影用の光学系等を内蔵した先端部16aが設けられている。先端部16aは、湾曲部19の湾曲動作によって体腔内の所望の方向に向けられる。
【0018】
ユニバーサルコード18には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ24が取り付けられている。コネクタ24は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、電子内視鏡11は、このコネクタ24を介して、プロセッサ装置12および光源装置13に着脱自在に接続される。
【0019】
図2に示すように、光源装置13は、広帯域光源30と、シャッタ31と、励起光光源32と、酸素飽和度測定用光源33と、カプラー36とを備えている。広帯域光源30は、図3に示すように、波長が青色領域から赤色領域(約400〜700nm)にわたる広帯域光BBを発生する。広帯域光源30は、電子内視鏡11の使用中、常時点灯している。なお、広帯域光BBとしては、キセノンランプなどの白色光ほか、中心波長445nmのレーザ光とこのレーザ光により蛍光体から励起発光される460nm〜700nmの励起発光光とを合波した白色光(発光スペクトルは図4参照)を用いてもよい。
【0020】
シャッタ31は、広帯域光源30と広帯域光BBが入射する広帯域用光ファイバ40との間に設けられており、通常観察モードに設定されている場合には、シャッタ31が広帯域光BBの光路を開放して広帯域光BBが広帯域用光ファイバ40に入射できるようにする一方、特殊観察モードに設定されている場合には、シャッタ31が広帯域光BBの光路を遮断して広帯域光BBが広帯域用光ファイバ40に入らないようにする。
【0021】
励起光光源32は、図3に示すような中心波長780nmの励起光を発生するLD(Laser Diode)32aを備えており、この励起光光源32から発せられた励起光は励起光用光ファイバ41に入射する。励起光は、ICGが投与されたリンパ節に照射することで、そのリンパ節から840nm付近の薬剤蛍光を発生させることができる。ICGは、一定太さ以上の血管に投与された場合は一定時間以上経過すると、そのほとんどが流れ出てしまってその血中に残留しなくなるため、励起光を照射したとしても薬剤蛍光を発しなくなるが、リンパ節に投与された場合には一定時間以上経過しても残留するため、常に薬剤蛍光を発生させることができる。なお、励起光光源はLED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0022】
酸素飽和度測定用光源33は、中心波長405nmの第1狭帯域光を発生するLD33aと、中心波長445nmの第2狭帯域光を発生するLD33bと、中心波長473nmの第3狭帯域光を発生するLD33cと(各狭帯域光の発光スペクトルは図3参照)を備えており、それぞれの狭帯域光は狭帯域用光ファイバ42に入射する。LD駆動部34は、LD33a〜33cが順にONとなるように駆動制御することで、第1〜第3狭帯域光を順に狭帯域用光ファイバ42に入射させる。
【0023】
中心波長445nmの第2狭帯域光及び中心波長473nmの第3狭帯域光は、図5に示すように、酸化ヘモグロビン(Hb02)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が異なる波長範囲の光である。一方、中心波長405nmの第1狭帯域光は、酸化ヘモグロビン(Hb02)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が等しい波長範囲の光である。このように互いに吸光係数が異なる第1〜第3狭帯域光を被検体に照射して撮像することで、その撮像により得られる撮像信号には、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する情報が含まれるようになる。
【0024】
カプラー36は、電子内視鏡11内のライトガイド43と、広帯域用光ファイバ40、励起光用光ファイバ41、及び狭帯域用光ファイバ42とを連結する。これにより、通常観察モード時には広帯域光BBのみがライトガイド43に入射し、特殊観察モード時には励起光と第1〜第3狭帯域光のいずれかとが同時にライトガイド43に入射する。
【0025】
電子内視鏡11は、ライトガイド43、CCD44、アナログ処理回路45(AFE:Analog Front End)、撮像制御部46を備えている。ライトガイド43は大口径光ファイバ、バンドルファイバなどであり、入射端が光源装置内のカプラー36に挿入されており、出射端が先端部16aに設けられた照射レンズ48に向けられている。ライトガイド43内で導光された光は、照射レンズ48及び先端部16aの端面に取り付けられた照明窓49を通して、被検体内に照射される。被検体からの反射光等は、先端部16aの端面に取り付けられた観察窓50を通して、集光レンズ51に入射する。
【0026】
CCD44は、集光レンズ51からの光を撮像面44aで受光し、受光した光を光電変換して信号電荷を蓄積し、蓄積した信号電荷を撮像信号として読み出す。読み出された撮像信号は、AFE45に送られる。また、CCD44はカラーCCDであり、撮像面44aには、図6に示すような分光透過率を有するB色、G色、R色のカラーフィルターが設けられたB画素、G画素、R画素の3色の画素が配列されている。なお、R色のカラーフィルタの透過範囲は、薬剤蛍光を透過することができるように近赤外領域にまで広げられている。また、CCD44の手前には、ハレーション防止のために、励起光をカットするカットフィルタを設けることが好ましい。
【0027】
通常観察モード時には、波長領域が約400〜700nmである広帯域光BBのみがCCD44に入射するため、B画素、G画素、R画素の全てが感応する。一方、特殊観察モード時には、赤色領域に含まれる薬剤蛍光はR画素のみに感応し、青色領域または緑色領域に含まれる第1〜第3狭帯域光はB画素またはG画素に感応する。このように薬剤蛍光と酸素飽和度測定に用いられる第1〜第3狭帯域光は別々の画素に感応するため、薬剤蛍光観察と酸素飽和度測定とを同時に行うことができる。なお、R画素から出力される信号を赤色信号R、G画素から出力される信号を緑色信号G、B画素から出力される信号を青色信号Bとする。
【0028】
AFE45は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、CCD44からの撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD44の駆動により生じたノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
【0029】
撮像制御部46は、プロセッサ装置12内のコントローラー59に接続されており、コントローラー59から指示がなされたときにCCD44に対して駆動信号を送る。CCD44は、撮像制御部46からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで撮像信号をAFE45に出力する。
【0030】
通常観察モードに設定されている場合には、図7に示すように、広帯域光BBを光電変換して電荷を蓄積するステップと、その電荷を出力するステップを繰り返し行うように駆動制御する。一方、特殊観察モードに設定されている場合には、図8に示すように、励起光と第1狭帯域光を光電変換して電荷を蓄積するステップと、その電荷を出力するステップを1フレーム分行うように駆動制御する。これらステップが完了すると、励起光と第2狭帯域光の電荷蓄積と電荷出力のステップを1フレーム分行い、更にその後に励起光と第3狭帯域光の電荷蓄積と電荷出力のステップを1フレーム分行うように駆動制御する。これら合計3フレーム分の駆動制御は繰り返し行われる。
【0031】
図2に示すように、プロセッサ装置12は、画像生成部55と、フレームメモリ56と、表示制御回路58を備えており、コントローラー59が各部を制御している。画像生成部55は、通常光画像を生成する通常光画像生成部60と、薬剤蛍光によって着目するリンパ節が特定された蛍光画像を生成する蛍光画像生成部61と、酸素飽和度に関する情報が画像化された酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成部62と、蛍光画像と酸素飽和度画像を合成するミキシング画像生成部63とを備えている。
【0032】
通常光画像生成部60は、通常観察モード時において、電子内視鏡のAFE45から出力される青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rに各種信号処理を施すことによって、通常光画像を生成する。蛍光画像生成部61は、特殊観察モード時において、AFE45から出力される赤色信号Rに各種信号処理を施すことによって蛍光画像を生成する。酸素飽和度画像生成部62は、特殊観察モード時において、AFE45から出力される青色信号B及び緑色信号Gに各種信号処理を施すことによって、酸素飽和度画像を生成する。酸素飽和度画像は、3フレーム分の青色信号B及び緑色信号Gを、所定の色変換テーブルを用いて輝度信号及び色差信号に変換することにより得られる。したがって、酸素飽和度画像では、酸素飽和度の情報は擬似カラーで表される。ミキシング画像生成部63は、生成された蛍光画像と酸素飽和度画像を合成することにより、ミキシング画像を生成する。以上の各画像生成部60〜63で生成された各種画像は、フレームメモリ56で一時的に記憶される。
【0033】
表示制御回路58は、フレームメモリ56から各種画像を読み出し、読み出した画像をモニタ14に表示する。通常観察モード時には通常光画像がモニタ14に表示される。一方、特殊観察モード時には、図9に示すように蛍光画像と酸素飽和度画像が並列表示、または図10に示すようなミキシング画像が表示される。表示の切り替えは、画像切り替えボタン68によって行われる。蛍光画像の取得に用いられる励起光と酸素飽和度画像の取得に用いられる第1〜第3狭帯域光は同時に照射され、且つ励起光によって発生する薬剤蛍光と第1〜第3狭帯域光の反射光等は、CCD44において透過特性が異なる別々の画素で同時に撮像をしているため、蛍光画像と酸素飽和度画像とで被検体の部位に位置ズレが生じることはない。また、そのような蛍光画像と酸素飽和度画像からミキシング画像を生成しているため、ミキシング画像においても位置ズレが生じることはない。
【0034】
次に、本発明の作用について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。まず、被検体のリンパ節にICGを投与する。次に、モード切替ボタン69によって、通常観察モードから特殊観察モードに切り替える。これにより、シャッタ31が広帯域光BBの光路を遮断するため、被検体への広帯域光BBの照射が停止する。同時に、励起光光源32のLD32aと酸素飽和度測定用光源33のLD33aとがONになり、励起光と第1狭帯域光が被検体に照射される。励起光の照射によりリンパ節から薬剤蛍光が発せられる。この薬剤蛍光はCCD44のR画素で撮像される。また、第1狭帯域光の反射光等はCCD44のB画素またはG画素で撮像される。
【0035】
次に、酸素飽和度測定用光源33のLD33aをOFFにし、LD33bをONにすることより、励起光と第2狭帯域光が被検体に照射される。これら光が照射されると、上記同様にして薬剤蛍光と第2狭帯域光の反射光等がCCD44で撮像される。薬剤蛍光と第2狭帯域光の撮像が完了すると、酸素飽和度測定用光源33のLD33bをOFFにし、LD33cをONにすることより、励起光と第3狭帯域光が被検体に照射される。これら光が照射されると、上記と同様にして薬剤蛍光と第3狭帯域光の反射光等がCCD44で撮像される。
【0036】
蛍光画像生成部61は、CCD44のR画素から出力される赤色信号Rに基づいて蛍光画像を生成する。また、酸素飽和度画像生成部62は、CCD44のB画素またはG画素から出力される青色信号Bまたは緑色信号Gに基づいて酸素飽和度画像を生成する。これら画像が生成されると、図9に示すように蛍光画像と酸素飽和度画像が並列表示、または図10に示すようなミキシング画像が表示される。
【0037】
第2実施形態では、リンパ節ではなく、一定太さ以上の血管に対してICGを投与し、その血管周辺の酸素飽和度を測定する。ICGは、リンパ節に投与した場合には一定時間以上経過してもそのまま残留するため薬剤蛍光による血管特定が可能であるが、一定太さ以上の血管は一定時間以上経過すると流出するため、薬剤蛍光による血管特定が困難となる。
【0038】
そこで、図12に示す第2実施形態の電子内視鏡システム100では、ICG投与直後の薬剤蛍光による血管特定が可能な間(薬剤蛍光取得期間)においては、第1実施形態と同様に蛍光画像と酸素飽和度画像を同時取得する。その間に、着目エリア特定部101は、蛍光画像から、着目する血管を含む着目エリアをパターン認識などの画像処理で特定する。着目エリアの特定方法としては、CCD44のG画素の出力値とR画素の出力値の比が高い領域を着目エリアとして特定し、その比が低い領域については着目エリアでないとする。そして、一定時間経過して薬剤蛍光による血管特定が困難となった後は、励起光の照射を停止して、特定した着目エリアから血管特定を行う。なお、それ以外は電子内視鏡システム100は第1実施形態の電子内視鏡システム10と同様である。
【0039】
なお、第2実施形態では、薬剤蛍光取得期間経過後は、励起光の照射を停止するため、CCDのR画素が空きチャンネルとなる。そこで、この空きチャンネルを有効活用するために、より深層の血管の酸素飽和度を測定できる赤色領域の狭帯域光(例えば680nm、805nm、950nm)を照射してもよい。これにより、B画素またはG画素から出力される撮像信号から表層血管の酸素飽和度を、R画素から出力される撮像信号から中深層血管の酸素飽和度を算出することができる。
【0040】
なお、上記第1及び第2実施形態では、電子内視鏡システムで本発明を実施したが、これに代えて、図13に示すような腹腔鏡システム200において本発明を実施してもよい。腹腔鏡システム200では、第1実施形態と同様のプロセッサ装置12及び光源装置13に、腹腔鏡スコープ201が接続されている。腹腔鏡スコープ201は、図14に示すように、腹壁に開けられた穴に設けられたトロッカー202を介して、腹腔に挿入される。また、別のトロッカー203を介して、腹腔には電気メス204が挿入される。また、腹壁は気腹装置からの気腹ガス(図示省略)によって膨張している。
【0041】
このような状態で、腹腔鏡操作者は、腹腔鏡スコープ201によって撮像した手術部位をモニタ14で観察しながら、電気メス204を操作して手術を行う。モニタ14には、薬剤蛍光により特定される着目血管とその着目血管周りの酸素飽和度の状態が表示されているため、被検者の状態を様々な観点から把握しながら手術を行うことができる。例えば、着目血管周りの酸素状態が低酸素状態となったときには、腹腔鏡手術から通常の外科手術に切り替えるという判断も下すことができる。
【符号の説明】
【0042】
10,100 電子内視鏡システム
14 モニタ
32 狭帯域光源
33 酸素飽和度測定用光源
44 CCD
61 蛍光画像生成部
62 酸素飽和度画像生成部
101 着目エリア特定部
200 腹腔鏡システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、着目する血管の周辺における血中ヘモグロビンの酸素飽和度を観察しながら診断を行うことができる医療システム、医療システムのプロセッサ装置、及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療においては、内視鏡装置を用いた診断等が広く行われている。内視鏡装置による被検体内の観察としては、照明光として広帯域光の白色光を用いる通常光観察の他、波長を狭帯域化した狭帯域光を用いて、被検体内の血管を強調表示等させる特殊光観察も行われるようになってきている。
【0003】
また、特殊光観察の他に、血中ヘモグロビンの酸素飽和度などの被検体の機能情報を画像化することも行われている。例えば、特許文献1では、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に応じて光吸収が変化する波長の光を被検体に照射し、それぞれの光の反射光等を撮像したときの画像信号に基づいて疑似カラーで酸素飽和度を表示している。さらには、特許文献2に示すように、ICG(Indocyanine Green)などの蛍光薬剤を被検体に投与し、特定波長の励起光を照射することで、特定の血管から薬剤蛍光を発生させることも行われている。このような薬剤蛍光を用いて、リンパ節や生体組織から奥深い位置にある血管などを目立たせることによって、診断能を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2648494号公報
【特許文献2】特開2009−39561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の内視鏡診断では、ある1種類の生体情報だけでなく、複数種類の生体情報を同時に取得し、それら複数種類の生体情報を用いて様々な観点から診断を行うマルチモダリティー化が求められている。例えば、生体情報として、血中ヘモグロビンの酸素飽和度や観察部位からの薬剤蛍光に関する情報はいずれも診断上重要な情報であるため、これらを同時に取得して同時に把握できるようにすることが求められている。
【0006】
しかしながら、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報の同時取得については、特許文献1及び2のいずれにおいても触れられていない。したがって、現時点においては、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報の両方を取得するためには、酸素飽和度測定モードと薬剤蛍光観察モードの両方を有する内視鏡システムにおいて、手動でモードを切り替える必要がある。
【0007】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたもので、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報を同時に取得することができる医療システム、医療システムのプロセッサ装置、及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の医療システムは、被検体に照明光を照射する照明手段と、互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を有し、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する撮像手段と、前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段と、前記酸素飽和度画像と前記蛍光画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
前記酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光には、青色領域と緑色領域の狭帯域光の反射光が含まれ、前記蛍光情報を含む光には、蛍光薬剤が投与された被検体から赤色領域の励起光により励起発光される近赤外の薬剤蛍光が含まれることが好ましい。前記第1画素はB色のカラーフィルタが設けられたB画素またはG色のカラーフィルタが設けられたG画素であり、前記第2画素はR色のカラーフィルタが設けられたR画素であることが好ましい。
【0010】
前記蛍光薬剤が投与される部位はリンパ節であることが好ましい。前記蛍光薬剤が投与される部位は一定太さ以上の血管であることが好ましい。前記蛍光画像から、着目する血管を含む着目エリアを特定する着目エリア特定手段を備えることが好ましい。蛍光薬剤はICG(Indocyanine Green)であることが好ましい。
【0011】
上記記載の本発明の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた内視鏡スコープを備える内視鏡システムであることが好ましい。上記記載の本発明の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた腹腔鏡スコープを備える腹腔鏡システムであることが好ましい。
【0012】
本発明の医療システムのプロセッサ装置は、互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する医療装置から、前記第1画素から出力される第1撮像信号と前記第2画素から出力される第2撮像信号を受信する受信手段と、前記第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の画像生成方法は、被検体に照明光を照射し、互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像し、前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カラー撮像素子の第1画素で、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を撮像し、第1画素とは光透過特性が異なる第2画素で、蛍光情報を含む光を撮像することにより、酸素飽和度と薬剤蛍光に関する情報を同時に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子内視鏡システムの外観図である。
【図2】第1実施形態の内視鏡システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】広帯域光、励起光、及び第1〜第3狭帯域光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】青色レーザ光とこの青色レーザー光を蛍光体に当てることによって励起発光する励起発光光の発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数を示すグラフである。
【図6】R色、G色、B色のカラーフィルタの分光透過率を示すグラフである。
【図7】通常観察モード時におけるCCDの撮像制御を説明するための説明図である。
【図8】特殊観察モード時におけるCCDの撮像制御を説明するための説明図である。
【図9】蛍光画像と酸素飽和度画像の画像図である。
【図10】ミキシング画像の画像図である。
【図11】本発明の作用を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態の内視鏡システムの電気的構成を示すブロック図である。
【図13】腹腔鏡システムの外観図である。
【図14】腹腔鏡スコープを用いた腹腔鏡手術を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、第1実施形態の電子内視鏡システム10は、被検体内を撮像する電子内視鏡11と、撮像により得られた信号に基づいて内視鏡画像を生成するプロセッサ装置12と、被検体を照明する光を発生する光源装置13と、内視鏡画像を表示するモニタ14とを備えている。この電子内視鏡システム10は、白色光などの広帯域光を被検体に照明して通常光画像を得る通常観察モードと、ICG(Indocyanine Green)などの蛍光薬剤をリンパ節に投与してリンパ節を特定するとともに、特定したリンパ節周辺の酸素飽和度を測定する特殊観察モードとの切り替えが可能である。
【0017】
電子内視鏡11は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。挿入部16の先端には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部19が形成されている。湾曲部19は、操作部のアングルノブ21を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部19の先端には、体腔内撮影用の光学系等を内蔵した先端部16aが設けられている。先端部16aは、湾曲部19の湾曲動作によって体腔内の所望の方向に向けられる。
【0018】
ユニバーサルコード18には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ24が取り付けられている。コネクタ24は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、電子内視鏡11は、このコネクタ24を介して、プロセッサ装置12および光源装置13に着脱自在に接続される。
【0019】
図2に示すように、光源装置13は、広帯域光源30と、シャッタ31と、励起光光源32と、酸素飽和度測定用光源33と、カプラー36とを備えている。広帯域光源30は、図3に示すように、波長が青色領域から赤色領域(約400〜700nm)にわたる広帯域光BBを発生する。広帯域光源30は、電子内視鏡11の使用中、常時点灯している。なお、広帯域光BBとしては、キセノンランプなどの白色光ほか、中心波長445nmのレーザ光とこのレーザ光により蛍光体から励起発光される460nm〜700nmの励起発光光とを合波した白色光(発光スペクトルは図4参照)を用いてもよい。
【0020】
シャッタ31は、広帯域光源30と広帯域光BBが入射する広帯域用光ファイバ40との間に設けられており、通常観察モードに設定されている場合には、シャッタ31が広帯域光BBの光路を開放して広帯域光BBが広帯域用光ファイバ40に入射できるようにする一方、特殊観察モードに設定されている場合には、シャッタ31が広帯域光BBの光路を遮断して広帯域光BBが広帯域用光ファイバ40に入らないようにする。
【0021】
励起光光源32は、図3に示すような中心波長780nmの励起光を発生するLD(Laser Diode)32aを備えており、この励起光光源32から発せられた励起光は励起光用光ファイバ41に入射する。励起光は、ICGが投与されたリンパ節に照射することで、そのリンパ節から840nm付近の薬剤蛍光を発生させることができる。ICGは、一定太さ以上の血管に投与された場合は一定時間以上経過すると、そのほとんどが流れ出てしまってその血中に残留しなくなるため、励起光を照射したとしても薬剤蛍光を発しなくなるが、リンパ節に投与された場合には一定時間以上経過しても残留するため、常に薬剤蛍光を発生させることができる。なお、励起光光源はLED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0022】
酸素飽和度測定用光源33は、中心波長405nmの第1狭帯域光を発生するLD33aと、中心波長445nmの第2狭帯域光を発生するLD33bと、中心波長473nmの第3狭帯域光を発生するLD33cと(各狭帯域光の発光スペクトルは図3参照)を備えており、それぞれの狭帯域光は狭帯域用光ファイバ42に入射する。LD駆動部34は、LD33a〜33cが順にONとなるように駆動制御することで、第1〜第3狭帯域光を順に狭帯域用光ファイバ42に入射させる。
【0023】
中心波長445nmの第2狭帯域光及び中心波長473nmの第3狭帯域光は、図5に示すように、酸化ヘモグロビン(Hb02)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が異なる波長範囲の光である。一方、中心波長405nmの第1狭帯域光は、酸化ヘモグロビン(Hb02)と還元ヘモグロビン(Hb)の吸光係数が等しい波長範囲の光である。このように互いに吸光係数が異なる第1〜第3狭帯域光を被検体に照射して撮像することで、その撮像により得られる撮像信号には、血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する情報が含まれるようになる。
【0024】
カプラー36は、電子内視鏡11内のライトガイド43と、広帯域用光ファイバ40、励起光用光ファイバ41、及び狭帯域用光ファイバ42とを連結する。これにより、通常観察モード時には広帯域光BBのみがライトガイド43に入射し、特殊観察モード時には励起光と第1〜第3狭帯域光のいずれかとが同時にライトガイド43に入射する。
【0025】
電子内視鏡11は、ライトガイド43、CCD44、アナログ処理回路45(AFE:Analog Front End)、撮像制御部46を備えている。ライトガイド43は大口径光ファイバ、バンドルファイバなどであり、入射端が光源装置内のカプラー36に挿入されており、出射端が先端部16aに設けられた照射レンズ48に向けられている。ライトガイド43内で導光された光は、照射レンズ48及び先端部16aの端面に取り付けられた照明窓49を通して、被検体内に照射される。被検体からの反射光等は、先端部16aの端面に取り付けられた観察窓50を通して、集光レンズ51に入射する。
【0026】
CCD44は、集光レンズ51からの光を撮像面44aで受光し、受光した光を光電変換して信号電荷を蓄積し、蓄積した信号電荷を撮像信号として読み出す。読み出された撮像信号は、AFE45に送られる。また、CCD44はカラーCCDであり、撮像面44aには、図6に示すような分光透過率を有するB色、G色、R色のカラーフィルターが設けられたB画素、G画素、R画素の3色の画素が配列されている。なお、R色のカラーフィルタの透過範囲は、薬剤蛍光を透過することができるように近赤外領域にまで広げられている。また、CCD44の手前には、ハレーション防止のために、励起光をカットするカットフィルタを設けることが好ましい。
【0027】
通常観察モード時には、波長領域が約400〜700nmである広帯域光BBのみがCCD44に入射するため、B画素、G画素、R画素の全てが感応する。一方、特殊観察モード時には、赤色領域に含まれる薬剤蛍光はR画素のみに感応し、青色領域または緑色領域に含まれる第1〜第3狭帯域光はB画素またはG画素に感応する。このように薬剤蛍光と酸素飽和度測定に用いられる第1〜第3狭帯域光は別々の画素に感応するため、薬剤蛍光観察と酸素飽和度測定とを同時に行うことができる。なお、R画素から出力される信号を赤色信号R、G画素から出力される信号を緑色信号G、B画素から出力される信号を青色信号Bとする。
【0028】
AFE45は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、CCD44からの撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD44の駆動により生じたノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
【0029】
撮像制御部46は、プロセッサ装置12内のコントローラー59に接続されており、コントローラー59から指示がなされたときにCCD44に対して駆動信号を送る。CCD44は、撮像制御部46からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで撮像信号をAFE45に出力する。
【0030】
通常観察モードに設定されている場合には、図7に示すように、広帯域光BBを光電変換して電荷を蓄積するステップと、その電荷を出力するステップを繰り返し行うように駆動制御する。一方、特殊観察モードに設定されている場合には、図8に示すように、励起光と第1狭帯域光を光電変換して電荷を蓄積するステップと、その電荷を出力するステップを1フレーム分行うように駆動制御する。これらステップが完了すると、励起光と第2狭帯域光の電荷蓄積と電荷出力のステップを1フレーム分行い、更にその後に励起光と第3狭帯域光の電荷蓄積と電荷出力のステップを1フレーム分行うように駆動制御する。これら合計3フレーム分の駆動制御は繰り返し行われる。
【0031】
図2に示すように、プロセッサ装置12は、画像生成部55と、フレームメモリ56と、表示制御回路58を備えており、コントローラー59が各部を制御している。画像生成部55は、通常光画像を生成する通常光画像生成部60と、薬剤蛍光によって着目するリンパ節が特定された蛍光画像を生成する蛍光画像生成部61と、酸素飽和度に関する情報が画像化された酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成部62と、蛍光画像と酸素飽和度画像を合成するミキシング画像生成部63とを備えている。
【0032】
通常光画像生成部60は、通常観察モード時において、電子内視鏡のAFE45から出力される青色信号B、緑色信号G、赤色信号Rに各種信号処理を施すことによって、通常光画像を生成する。蛍光画像生成部61は、特殊観察モード時において、AFE45から出力される赤色信号Rに各種信号処理を施すことによって蛍光画像を生成する。酸素飽和度画像生成部62は、特殊観察モード時において、AFE45から出力される青色信号B及び緑色信号Gに各種信号処理を施すことによって、酸素飽和度画像を生成する。酸素飽和度画像は、3フレーム分の青色信号B及び緑色信号Gを、所定の色変換テーブルを用いて輝度信号及び色差信号に変換することにより得られる。したがって、酸素飽和度画像では、酸素飽和度の情報は擬似カラーで表される。ミキシング画像生成部63は、生成された蛍光画像と酸素飽和度画像を合成することにより、ミキシング画像を生成する。以上の各画像生成部60〜63で生成された各種画像は、フレームメモリ56で一時的に記憶される。
【0033】
表示制御回路58は、フレームメモリ56から各種画像を読み出し、読み出した画像をモニタ14に表示する。通常観察モード時には通常光画像がモニタ14に表示される。一方、特殊観察モード時には、図9に示すように蛍光画像と酸素飽和度画像が並列表示、または図10に示すようなミキシング画像が表示される。表示の切り替えは、画像切り替えボタン68によって行われる。蛍光画像の取得に用いられる励起光と酸素飽和度画像の取得に用いられる第1〜第3狭帯域光は同時に照射され、且つ励起光によって発生する薬剤蛍光と第1〜第3狭帯域光の反射光等は、CCD44において透過特性が異なる別々の画素で同時に撮像をしているため、蛍光画像と酸素飽和度画像とで被検体の部位に位置ズレが生じることはない。また、そのような蛍光画像と酸素飽和度画像からミキシング画像を生成しているため、ミキシング画像においても位置ズレが生じることはない。
【0034】
次に、本発明の作用について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。まず、被検体のリンパ節にICGを投与する。次に、モード切替ボタン69によって、通常観察モードから特殊観察モードに切り替える。これにより、シャッタ31が広帯域光BBの光路を遮断するため、被検体への広帯域光BBの照射が停止する。同時に、励起光光源32のLD32aと酸素飽和度測定用光源33のLD33aとがONになり、励起光と第1狭帯域光が被検体に照射される。励起光の照射によりリンパ節から薬剤蛍光が発せられる。この薬剤蛍光はCCD44のR画素で撮像される。また、第1狭帯域光の反射光等はCCD44のB画素またはG画素で撮像される。
【0035】
次に、酸素飽和度測定用光源33のLD33aをOFFにし、LD33bをONにすることより、励起光と第2狭帯域光が被検体に照射される。これら光が照射されると、上記同様にして薬剤蛍光と第2狭帯域光の反射光等がCCD44で撮像される。薬剤蛍光と第2狭帯域光の撮像が完了すると、酸素飽和度測定用光源33のLD33bをOFFにし、LD33cをONにすることより、励起光と第3狭帯域光が被検体に照射される。これら光が照射されると、上記と同様にして薬剤蛍光と第3狭帯域光の反射光等がCCD44で撮像される。
【0036】
蛍光画像生成部61は、CCD44のR画素から出力される赤色信号Rに基づいて蛍光画像を生成する。また、酸素飽和度画像生成部62は、CCD44のB画素またはG画素から出力される青色信号Bまたは緑色信号Gに基づいて酸素飽和度画像を生成する。これら画像が生成されると、図9に示すように蛍光画像と酸素飽和度画像が並列表示、または図10に示すようなミキシング画像が表示される。
【0037】
第2実施形態では、リンパ節ではなく、一定太さ以上の血管に対してICGを投与し、その血管周辺の酸素飽和度を測定する。ICGは、リンパ節に投与した場合には一定時間以上経過してもそのまま残留するため薬剤蛍光による血管特定が可能であるが、一定太さ以上の血管は一定時間以上経過すると流出するため、薬剤蛍光による血管特定が困難となる。
【0038】
そこで、図12に示す第2実施形態の電子内視鏡システム100では、ICG投与直後の薬剤蛍光による血管特定が可能な間(薬剤蛍光取得期間)においては、第1実施形態と同様に蛍光画像と酸素飽和度画像を同時取得する。その間に、着目エリア特定部101は、蛍光画像から、着目する血管を含む着目エリアをパターン認識などの画像処理で特定する。着目エリアの特定方法としては、CCD44のG画素の出力値とR画素の出力値の比が高い領域を着目エリアとして特定し、その比が低い領域については着目エリアでないとする。そして、一定時間経過して薬剤蛍光による血管特定が困難となった後は、励起光の照射を停止して、特定した着目エリアから血管特定を行う。なお、それ以外は電子内視鏡システム100は第1実施形態の電子内視鏡システム10と同様である。
【0039】
なお、第2実施形態では、薬剤蛍光取得期間経過後は、励起光の照射を停止するため、CCDのR画素が空きチャンネルとなる。そこで、この空きチャンネルを有効活用するために、より深層の血管の酸素飽和度を測定できる赤色領域の狭帯域光(例えば680nm、805nm、950nm)を照射してもよい。これにより、B画素またはG画素から出力される撮像信号から表層血管の酸素飽和度を、R画素から出力される撮像信号から中深層血管の酸素飽和度を算出することができる。
【0040】
なお、上記第1及び第2実施形態では、電子内視鏡システムで本発明を実施したが、これに代えて、図13に示すような腹腔鏡システム200において本発明を実施してもよい。腹腔鏡システム200では、第1実施形態と同様のプロセッサ装置12及び光源装置13に、腹腔鏡スコープ201が接続されている。腹腔鏡スコープ201は、図14に示すように、腹壁に開けられた穴に設けられたトロッカー202を介して、腹腔に挿入される。また、別のトロッカー203を介して、腹腔には電気メス204が挿入される。また、腹壁は気腹装置からの気腹ガス(図示省略)によって膨張している。
【0041】
このような状態で、腹腔鏡操作者は、腹腔鏡スコープ201によって撮像した手術部位をモニタ14で観察しながら、電気メス204を操作して手術を行う。モニタ14には、薬剤蛍光により特定される着目血管とその着目血管周りの酸素飽和度の状態が表示されているため、被検者の状態を様々な観点から把握しながら手術を行うことができる。例えば、着目血管周りの酸素状態が低酸素状態となったときには、腹腔鏡手術から通常の外科手術に切り替えるという判断も下すことができる。
【符号の説明】
【0042】
10,100 電子内視鏡システム
14 モニタ
32 狭帯域光源
33 酸素飽和度測定用光源
44 CCD
61 蛍光画像生成部
62 酸素飽和度画像生成部
101 着目エリア特定部
200 腹腔鏡システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照明光を照射する照明手段と、
互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を有し、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する撮像手段と、
前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段と、
前記酸素飽和度画像と前記蛍光画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする医療システム。
【請求項2】
前記酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光には、青色領域と緑色領域の狭帯域光の反射光が含まれ、
前記蛍光情報を含む光には、蛍光薬剤が投与された被検体から赤色領域の励起光により励起発光される近赤外の薬剤蛍光が含まれることを特徴とする請求項1記載の医療システム。
【請求項3】
前記第1画素はB色のカラーフィルタが設けられたB画素またはG色のカラーフィルタが設けられたG画素であり、前記第2画素はR色のカラーフィルタが設けられたR画素であることを特徴とする請求項2記載の医療システム。
【請求項4】
前記蛍光薬剤が投与される部位はリンパ節であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の医療システム。
【請求項5】
前記蛍光薬剤が投与される部位は一定太さ以上の血管であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の医療システム。
【請求項6】
前記蛍光画像から、着目する血管を含む着目エリアを特定する着目エリア特定手段を備えることを特徴とする請求項5記載の医療システム。
【請求項7】
蛍光薬剤はICG(Indocyanine Green)であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の医療システム。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1項記載の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた内視鏡スコープを備える内視鏡システムであることを特徴とする。
【請求項9】
請求項1ないし7いずれか1項記載の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた腹腔鏡スコープを備える腹腔鏡システムであることを特徴とする。
【請求項10】
互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する医療装置から、前記第1画素から出力される第1撮像信号と前記第2画素から出力される第2撮像信号を受信する受信手段と、
前記第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする医療システムのプロセッサ装置。
【請求項11】
被検体に照明光を照射し、
互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像し、
前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成することを特徴とする画像生成方法。
【請求項1】
被検体に照明光を照射する照明手段と、
互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を有し、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する撮像手段と、
前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段と、
前記酸素飽和度画像と前記蛍光画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする医療システム。
【請求項2】
前記酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光には、青色領域と緑色領域の狭帯域光の反射光が含まれ、
前記蛍光情報を含む光には、蛍光薬剤が投与された被検体から赤色領域の励起光により励起発光される近赤外の薬剤蛍光が含まれることを特徴とする請求項1記載の医療システム。
【請求項3】
前記第1画素はB色のカラーフィルタが設けられたB画素またはG色のカラーフィルタが設けられたG画素であり、前記第2画素はR色のカラーフィルタが設けられたR画素であることを特徴とする請求項2記載の医療システム。
【請求項4】
前記蛍光薬剤が投与される部位はリンパ節であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の医療システム。
【請求項5】
前記蛍光薬剤が投与される部位は一定太さ以上の血管であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の医療システム。
【請求項6】
前記蛍光画像から、着目する血管を含む着目エリアを特定する着目エリア特定手段を備えることを特徴とする請求項5記載の医療システム。
【請求項7】
蛍光薬剤はICG(Indocyanine Green)であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の医療システム。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1項記載の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた内視鏡スコープを備える内視鏡システムであることを特徴とする。
【請求項9】
請求項1ないし7いずれか1項記載の医療システムは、先端部に前記撮像手段を設けた腹腔鏡スコープを備える腹腔鏡システムであることを特徴とする。
【請求項10】
互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像する医療装置から、前記第1画素から出力される第1撮像信号と前記第2画素から出力される第2撮像信号を受信する受信手段と、
前記第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする医療システムのプロセッサ装置。
【請求項11】
被検体に照明光を照射し、
互いに光透過特性が異なる第1及び第2カラーフィルタを含む複数種類のカラーフィルタが設けられたカラーの撮像素子を用いて、被検体からの戻り光のうち、酸素飽和度の変化に応じて強度変化をする光を前記第1カラーフィルタが設けられた第1画素で撮像し、蛍光情報を含む光を前記第2カラーフィルタが設けられた第2画素で撮像し、
前記第1画素から出力される第1撮像信号に基づいて酸素飽和度画像を生成し、前記第2画素から出力される第2撮像信号に基づいて蛍光画像を生成することを特徴とする画像生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−152460(P2012−152460A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15501(P2011−15501)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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