説明

医療デバイス

本発明は、式:


で示されるセファロタキシンを宿主に投与しまたは送達するのに有用な医療デバイス、医薬組成物、および医療方法を提供する。本発明は、該セファロタキシンが血管新生の病気または疾患を治療しまたは予防するのに有用である、ことをも提供する。本発明は、血管新生の病気または疾患を処置するのに、マトリックスおよびセファロタキシンを含有するコーティングを含有する医療デバイスをも提供する。本発明は、抗血管新生薬としてのセファロタキシンアルカロイドを含有する、血管新生の病気もしくは疾患を有する宿主の治療のための、または血管新生の病気もしくは疾患の発症もしくは進行を阻害するための宿主の予防学的な処置のための、方法および組成物をも提供する。本発明はまた、セファロタキシンをインビボで送達しまたは投与するのに有用な医療デバイスをも提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国仮出願番号60/651,757(2005年2月10日出願)の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、セファロタキシンを宿主に投与しまたは送達するのに有用な、医療デバイス、医薬組成物、および医療方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
血管新生は、新規な血管の形成および分化として定義される。そのものは、多数の疾患および病気、特に癌、炎症およびある網膜の障害と関連する。血管新生インヒビターは最近、癌との闘いにおける高プロファイル薬である。いくつかの化合物、最も注目すべきはアンジオスタチン、エンドスタチン、コンブレタスタチン、SU5416、TNP470、抗−VEGF化合物およびその他は、抗癌剤としての臨床的な治験に進んでいる。
【0004】
血管新生(これは、新しい血管が形成されるプロセスである)は、正常な身体の活動(例えば、生殖、発生、創傷修復を含む)にとって必須である。該プロセスは完全に理解されてはいないが、内皮細胞(毛細血管の一次細胞)の増殖を制御する分子の複雑な相互作用に関与すると考えられる。正常な条件下では、これらの分子は、長期間(これは、数週間、時には10年間続き得る)、静止状態(すなわち、毛細管の成長がないものの1つである)で微小血管系を保つと考えられる。必要な場合には(例えば、創傷治癒の間)、これらの同じ細胞は、5日間内に速い増殖および代謝回転を受け得る(Folkman, J.およびShing, Y.による, J. Biol. Chem., 267(16), 10931-10934;並びに、Folkman, J.およびKlagsbrun, M.による, Science, 235, 442-447 (1987))。
【0005】
血管新生は正常な条件下での非常に制御されたプロセスであるが、多数の疾患(これは、血管新生疾患または病気として特徴的である)は、持続性の非制御的な血管新生によって働く。それ以外に述べると、非制御的な血管新生は、ある疾患を直接に引き起こしたり、あるいは現存する病理学的な病気を悪化し得る。例えば、眼の新生血管は失明の最も一般的な原因として関連付けられ、そして約20の眼疾患を支配している。現存する病気(例えば、関節炎)において、新たに形成する毛細血管は関節に侵入し、そして軟骨を破壊する。糖尿病の場合には、網膜中で形成する新たな毛細血管は、硝子体に侵入し、出血し、そして失明を引き起こす。固形腫瘍の増殖および転移はまた、血管新生に依存する(Folkman, J.による, (1986) Cancer Research, 46, 467-473;Folkman, J.による, (1989) J. National Cancer Institute, 82, 4-6(これらは共に本明細書の一部を構成する))。例えば、2mm以上に拡大する腫瘍はそれら自身による血液供給を得なければならず、そしてこのことは新しい毛細血管の増殖を引き起こすことによってそれを成すことが分かっている。これらの血管が腫瘍中に包埋した後には、それらは腫瘍が異なる部位(例えば、肝臓、肺、または骨)に転移するための手段を提供する(Weidner, N.らによる, (1991) The New England Journal of Medicine, 324 (1), 1-8)。
【0006】
今日まで、いくつかの天然に存在する血管新生因子が記載され、そして確認されている(Fidler, J. I.およびEllis, L. M.による, (1994) Cell, 79, 185-189)。最近、O' Reillyらは、腫瘍を有するマウスの血清および尿からの、内皮細胞の増殖を抑制する38キロダルトン(kDa)のタンパク質を単離精製した(O' Reilly, M.らによる, (1994) Cell, 79, 315-328;および国際特許出願WO 95/29242(1995年11月2日公開))。この内皮インヒビターの小配列分析は、マウスプラスミノーゲンの内部フラグメントと98%配列相同性を示した。アンジオスタチン(これは、マウス阻害性フラグメントと呼ばれる)は、マウスプラスミノーゲンの最初の4クリングル領域を含むペプチドであった。ヒトプラスミノーゲンの同じ領域由来のペプチドフラグメント(すなわち、クリングル1−4を含有する)はまた、インビトロおよびインビボでの毛細内皮細胞の増殖を強く抑制した。このペプチドフラグメントが由来する無傷のプラスミノーゲンは、強い阻害効果を有しなかった。
【0007】
血管新生疾患を処置する際に使用するためのいくつかの血管新生インヒビターが、現在開発中であるが(Gasparini, G.およびHarris, A. L.による, (1995) J. Clin. Oncol., 13(3): 765-782)、これらの化合物に関連する欠点が存在する。例えば、スラミンは強力な血管新生インヒビターであるが、しかし、抗腫瘍活性に要求される用量では、激しい全身性毒性の原因である。例えば、レチノイド、インターフェロン、および抗エストロゲン薬などの化合物は、ヒトの使用には安全であるが、抗血管新生効果が弱い。
【0008】
動脈の狭小化および血液凝固は、循環器系に共通に関連する2つの関連した生命を脅かす疾患である。狭窄症は、通常、脂肪および/またはコレステロールの蓄積が原因の、血管の狭小化である。血栓症は、心臓の血管または腔の内側での血液凝固の形成である。共に、血管の閉塞を引き起こし得る。現在では、狭窄症が原因の詰まったまたは狭窄した動脈に対する方法は、バルーン血管形成術または経皮的冠動脈形成術(PTCA)である。しかしながら、PTCAを受けている患者の約30%〜40%は、該方法の3〜6ヶ月以内に再狭窄症または該血管の再狭小化を被る。再狭窄症は主に、血管平滑筋細胞の増殖、および損傷の部位での細胞外マトリックスの分泌から生じる。該患者は、その後の血管形成術を受けなければいけないことがある。再狭窄症は、医療デバイス(例えば、ステント(これは、動脈を支持(buttress)することができ、動脈の弾性的反動(elastic recoil)を防止するために血管形成術により最近広まっている))の使用によって抑制し得る。非冠動脈血管も同様に、再狭窄症によって影響を受ける。頚動脈、大腿、腸骨、および腎臓の動脈は、血管形成術および/またはステント方法後に、再狭小化を被ることがある。
【0009】
最近の研究は、血管新生インヒビターであるアンジオスタチンのステントベースの送達が、血管形成術およびステント設置後の患者に有利な影響を供し得ることを示唆している(Ganaha F.らによる, J. Vasc. Interv. Radiol. 2004 Jun; 15(6): 601-8)。加えて、抗血栓性治療および抗再狭窄症治療のためのマルチコーティングの薬物溶出性ステントが開発されている(Byunらによる, 米国特許第6,702,850号、およびYangらによる, 米国特許第6,258,121号)。
【0010】
従って、哺乳類において血管新生疾患または病気を処置する際に有用な化合物に対する要求が存在する。加えて、血管新生疾患または病気の発症、進行または再発生を防止しまたは抑制するために、宿主の予防学的処置において有用な化合物に対する要求が存在する。その上、血管新生疾患もしくは病気を有しおよび/または医学的な方法(例えば、PTCA)を受けている患者に、血管新生インヒビターを送達することができる医療デバイスに対する要求が存在する。
【0011】
いくつかの抗血管新生インヒビターが同定されているが、臨床的な使用における改善はなお探索中である。本明細書中に記載する発明は、血管新生を抑制し、その結果血管疾患または病気に影響を及ぼし得る、ホモハリングトニンを含めたセファロタキシンアルカロイドおよびその誘導体の、医療デバイスまたはその新規な使用を示す。
【発明の開示】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、セファロタキシンを宿主に投与しまたは送達するのに有用な、医療デバイス、医薬組成物、および医療方法に関する。該セファロタキシンは、血管新生の病気または疾患を治療しまたは予防するのに有用である。本発明は、マトリックスおよびセファロタキシンを含有するコーティングを含有する、血管新生の病気または疾患を処置するための医療デバイスを提供する。本発明は、抗血管新生薬としてのセファロタキシンアルカロイドを含有する、血管新生の病気または疾患を有する宿主の処置のための、あるいは血管新生の病気または疾患の発症または進行を阻害するための宿主の予防学的な処置のための、方法および組成物を提供する。本発明はまた、インビボでセファロタキシンを送達しまたは投与するのに有用な医療デバイスをも提供する。
【0013】
1実施態様において、医療デバイスは、デバイス本体、および該デバイス本体の表面上のコーティング(マトリックス)を有し、ここで、該コーティングは、セファロタキシンを単独でまたは別の活性薬物と組み合わせて含む。該デバイスは、カテーテル、内視鏡、創傷治癒包帯、組織/臓器のバリヤー、縫合材、人工臓器、人工オルガノイド、インプラント型モニター、除細動器、ペースメーカー、インプラント型ポンプ、セルレザバー、プロステーシスデバイス、および整形デバイスであり得る。ある実施態様において、該デバイスはステント以外である。
【0014】
別の実施態様において、該医療デバイスは、ステント、およびセファロタキシンを含む該ステントの表面上のコーティング(マトリックス)から構成される。ある実施態様において、該ステントは、別の単一のヘパリン含有コーティングを有しない。本発明のデバイスのコーティングは、ポリマー(例えば、生体ポリマーまたは合成ポリマー)を含み得る。別に、該コーティングは、非ポリマー物質を含み得る。該コーティング中に含まれるセファロタキシンは、ホモハリングトニン(セファロタキシン、4−メチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−4−メチル ペンチル)ブタン二酸エステル)またはセファロタキシンアナログを含む。該医療デバイスは、1個以上のコーティングを含み得て、そして該コーティングは第2の薬物を含み得る。該医療デバイスはまた、セファロタキシンを単独でまたは他の活性薬物と組み合わせて含有するマトリックスであり得る。
【0015】
該医療デバイスは、心臓病学、眼科学、炎症性疾患、感染症のコントロール、外科的癒着のコントロール、術中適用法、創傷治癒管理、火傷用包帯、医療用画像診断、およびその他における適用法に使用することができる。
【0016】
本発明はまた、インビボで宿主を医療デバイスと接触させる方法をも提供する。ある実施態様において、該デバイスは、血管新生を阻害するのに十分な量のセファロタキシンを供する。他の実施態様において、該セファロタキシンは、血管新生疾患の発症または進行を阻害する。該医療デバイスは、宿主中にインプラントすることが好ましい。本発明はまた、腔を有するカテーテル、および該腔中に含まれるセファロタキシン含有ステント、を有する送達デバイスをも提供する。
【0017】
(詳細な記載)
本明細書中に記載する本発明の実施態様は、以下に具体的に開示する実施態様に本発明を徹底しあるいは限定することを意図するものではない。該開示する実施態様は、当該分野における当業者が本発明の原理および実行を認識しそして理解することができるように選択する。
【0018】
疾患または病気を処置するために、宿主にセファロタキシンを送達しまたは投与するための医療デバイス、医療方法、および医薬組成物を供する。セファロタキシンは、(1)血管新生疾患を有する宿主の治療;および、(2)血管新生疾患の発症または進行を防止するための宿主の予防学的な処置、において有用であり得る。ある実施態様において、セファロタキシンは、宿主における効果を有することによって、宿主における疾患または病気を処置する(例えば、血管新生の阻害、炎症の阻害、および/または細胞増殖の阻害を含むが、これらに限定されない)のに使用する。
【0019】
本明細書中に提供する該医療デバイス、医療方法、および医薬組成物は、宿主または宿主の処置において使用する。「宿主」とは、ヒトおよび他の動物(特に、哺乳動物)の両方を含む。従って、該方法は、ヒトの治療法および獣医学的な使用法の両方に適用可能である。宿主は、患者であり得る。好ましい実施態様において、患者は哺乳動物であり、そして最も好ましい実施態様において、患者はヒトである。
【0020】
化合物または化学的な薬物(例えば、セファロタキシン)は、それらの抗増殖性の性質について知られる。セファロタキシンは、好ましい実施態様において、血管新生のインヒビター(すなわち、血管形成のインヒビター)として本明細書中で使用する。セファロタキシンは、イヌガヤ科(Cephalotaxus fortunei Hook)および他の関連種(例えば、セファロタックス・シネンシス(Cepholotaxus sinensis)Li、C.ハイナネンシス(hainanensis)、およびC.ウィルソニアナ(wilsoniana)(これは、C.オリべリ・マスト(oliveri mast)およびC.ハリングトニア(harringtonia)を含む))の皮、茎、葉および種から抽出されるアルカロイドである(Powell, R. G.による, (1972) J. Pharm Sci., 61 (8): 1227-1230)。
【0021】
本明細書中に使用する用語「セファロタキシン」とは、中国常緑樹であるイヌガヤ(Cephalotaxus fortunei)のアルカロイド誘導体およびそのアナログを含む化学ファミリーの全ての要素を含む。該セファロタキシンファミリーは、図1に示す化学構造によって定義される。
【0022】
セファロタキシンアナログは、RおよびRで置換基を有する、図1に示される構造で定義されるが、それに限定されない。Rおよび/またはRの例としては、エステル(例えば、ハリングトニン、イソハリングトニン、ホモハリングトニン、デオキシハリングトニン、アセチルセファロタキシンなどを形成する)を含む。表1は、これらのアナログのいくつかについてのRおよびRの構造を例示する。RおよびRの置換基は典型的に、生物学的活性、製薬的な寄与(例えば、バイオアベイラビリティまたは安定性)を改善するのに、あるいは毒性を低下させるのに使用する。1実施態様において、Rおよび/またはRは、アルキル置換基(例えば、メチル、エチル、プロピルなど)を含む。別の実施態様において、Rおよび/またはRは、エステル(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなど)を含む。他の実施態様において、RおよびRは、エステル、例えば−(O−C(O)−X)(式中、Xはアルキルまたは置換アルキルである)である。
【表1】

【0023】
セファロタキシンの具体例はホモハリングトニンであって、このものはセファロタキシンのブタン二酸エステル、4−メチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−4−メチル ペンチル)(図2)である。
【0024】
実施例中に例示する通り、セファロタキシンは血管新生インヒビターである。本発明の1態様は、セファロタキシンの宿主への送達または投与のための、医療デバイス、医療方法、および医薬組成物を提供することである。各々の場合において、該セファロタキシンは、血管新生を阻害しまたは防止するのに十分な量で与える。好ましい実施態様において、該セファロタキシンは、その抗血管新生の性質のため、すなわち血管新生疾患を処置するために使用する。更なる態様において、本発明は、血管新生疾患または病気の発症または進行を防止するための予防学的な処置における使用のための、セファロタキシンの送達のための医療デバイス、医療方法、および医薬組成物を提供する。
【0025】
セファロタキシンによる血管新生の阻害は、血管新生疾患または病気を治療しまたは予防するのに有用である。血管新生疾患または病気の例としては、例えば糖尿病性網膜症、炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、喘息、および肺線維症)、黄斑変性症、血管線維腫、血管新生緑内症(neovascular glaucoma)、狭窄症、血栓症、再狭窄症、乾癬、角膜移植片血管新生、化膿性肉芽腫、水晶体後線維増殖症、強皮症、肉芽形成、血管腫、トラコーマ、血友病性関節、並びに血管接着を含むが、これらに限定されない。
【0026】
ある実施態様において、該医療デバイスは、血管新生を阻害するためにセファロタキシンを固形腫瘍に送達するのに使用する。この場合に、固形腫瘍の機能は血管新生疾患と合わさる。腫瘍の増殖および転移は、血管新生に依存する。固形腫瘍は、生存しそして増殖するのに酸素および栄養素を必要とする。血液が供給されない場合には、潜在的な腫瘍は、死亡するかまたは休止したままのいずれかである。これらの潜在的な腫瘍は、例えば微小腫瘍性または微小転移性の癌細胞であり得る。「微小腫瘍」は、死亡する細胞が新しい細胞によって置き代えられる、安定な細胞個体群として残る。微小腫瘍は、例えば他の固形腫瘍を有しない宿主における固形腫瘍の開始となり得る。微小腫瘍はまた、固形腫瘍(これから、微小腫瘍が転移する)が除かれまたは根絶された後は、宿主において存在する残留腫瘍細胞となり得る。この病気は、癌性腫瘍が寛解中である宿主において生じ得る。微小転移性癌細胞とは、未だ血管新生化せず、固形腫瘍を形成する癌細胞を意味する。
【0027】
微小腫瘍は、血管新生化する場合には速い増殖性腫瘍となり、そしてこのものは、血管新生化後2週間で、最初の大きさの16,000倍にまで拡張し得る。血液が供給されない場合には、増殖は全く見られない(Folkman, J.による, (1974) Tumor Angiogenesis, Adv. Cancer Res. 19: 331 358;Ausprunk, D. H.およびFolkman, J.による, (1977) Migration and Proliferation of Endothelial Cells in Preformed and Newly Formed Blood Vessels During Tumor Angiogenesis, Microvasc. Res. 14: 53-65(これらは共に本明細書の一部を構成する))。
【0028】
該腫瘍に栄養素および酸素を供給することに加えて、血管新生は、固形腫瘍が転移することを可能とする。新しい血管は、細胞が固形腫瘍から宿主中の他の部位に転移することを可能とする経路を与え、その結果二次的な腫瘍の形成を生じる。
【0029】
従って、血管新生を抑制することによって、腫瘍および/または微小腫瘍の血管新生化は最少となり、そして転移および腫瘍増殖の進行は抑制されまたは停止される。
【0030】
本発明の1実施態様において、セファロタキシンは、微小腫瘍を有する宿主に投与または送達される。該セファロタキシンは、血管新生を抑制するのに十分な量で投与または送達され、その結果、該微小腫瘍の増殖および転移を抑制する。該微小腫瘍は、腫瘍の増殖を特徴とする疾患の早期発症であり得る。該微小腫瘍は、確立された固形腫瘍の転移の結果であり得る。
【0031】
過度な血管の増殖を特徴とする別の疾患は、糖尿病性網膜症である。最近の研究は、慢性高血糖に対する反応の際の、眼におけるレニン−アンギオテンシン系(RAS)および血管内皮増殖因子(VEGF)についての病原的な役割を示している(Wilkinson-Berka J. L.らによる, (2001) The Interaction Between the Renin-Angiotensin System and Vascular Endothelial Growth Factor in the Pathogenesis of Retinal Neovascularization in Diabetes, J. Vasc. Res., 38(6): 527-35)。
【0032】
本発明の1実施態様において、セファロタキシンは、糖尿病性網膜症を患っているかあるいは患う危険がある宿主に投与される。該セファロタキシンは、血管新生を抑制するのに十分な量で投与または送達され、その結果、糖尿病性網膜症の進行を遅らせる。好ましい実施態様において、セファロタキシンを含有するマトリックス粒子を含む医療デバイスは、網膜またはその近くに分散するために眼球内的に(intraoccularly)投与する。
【0033】
血管新生は、慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、喘息、および肺線維症を含む)に関与する(Walsh, D. A.およびPearson' C. I.による, (2001), Angiogenesis in the Pathogenesis of Inflammatory Joint and Lung Diseases, Arthritis Res., (3): 147-153;Storgard1, C. M.らによる, (1999), Decreased Angiogenesis and Arthritic Disease in Rabbits Treated with an vβ3 Antagonist, J. Clin. Invest, 3 (1): 47-54(これらは各々、本明細書の一部を構成する))。
【0034】
本発明の1実施態様において、セファロタキシンは、炎症性疾患を有する宿主に血管新生を抑制するのに十分な量で投与または送達され、その結果、炎症性疾患の進行を遅らせる。本発明の好ましい実施態様において、該炎症性疾患は、骨関節炎である。関節炎の各場合に、セファロタキシンを含有するマトリックスを含有する医療デバイスは、患部の関節の滑液包(bursa)中に注射する。別の実施態様において、該炎症性疾患は喘息または肺線維症である。
【0035】
セファロタキシンは、予防学的処置として宿主に投与または送達される。「予防学的処置」とは、血管疾患の発症または進行を予防するために、宿主へのセファロタキシンの投与または送達を意味する。本発明のこの実施態様において、セファロタキシンは、腫瘍の増殖もしくは転移の発症、または腫瘍の増殖もしくは転移を特徴とする疾患を予防するために、宿主に投与または送達される。該処置は、例えば腫瘍(例えば、癌性腫瘍)の増殖を示すが、現在寛解中である宿主において所望され得る。
【0036】
セファロタキシンは、癌性腫瘍の増殖以外の血管新生疾患の発症または進行を予防するために、宿主に投与または送達される。この実施態様において、該セファロタキシンは、炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、喘息、または肺線維症)を示す危険がある宿主に投与または送達される。
【0037】
更に好ましい実施態様において、セファロタキシンは、糖尿病性網膜症の発症を予防しまたは抑制するための予防学的処置として、糖尿病であるかあるいは糖尿病となる危険がある宿主に投与または送達される。別の更に好ましい実施態様において、セファロタキシンは、黄斑変性症の発症を予防しまたは抑制するための予防学的処置として、黄斑変性症を示す危険がある宿主(例えば、老人)に投与または送達される。
【0038】
上記の予防学的処置について、該セファロタキシンは、血管新生疾患の発症または進行を抑制するのに十分な量で投与または送達される。
【0039】
該医療デバイスは、(1)セファロタキシンを単独でもしくは他の活性薬物と組み合わせて含有するマトリックスを用いてコーティングされるデバイス本体、または(2)セファロタキシンを単独でまたは他の活性薬物と組み合わせて含有するマトリックス、であり得る。該医療デバイスは、経口、静脈内、局所、血管内、腹腔内、筋肉内、または皮内で送達することができる。該マトリックスは、セファロタキシンの徐放を可能とする生分解性ポリマーであり得る。該生分解性ポリマーは、例えばブレム(Brem)らによる, J. Neurosurg. 74: 441-446 (1991)、および本明細書中の他所で詳述されている。
【0040】
該医療デバイスのマトリックス内で使用可能なセファロタキシン以外の活性薬剤または薬物の種類は、抗増殖性薬、細胞分裂阻害薬、細胞傷害性薬、アポトーシス誘導因子、シグナル伝達影響因子、キナーゼおよびホスファターゼのインヒビターおよびインデューサー、放射線感作物質、放射線保護薬、DNA修復インヒビター、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、駆虫薬、癌化学療法薬、抗炎症薬、脂質代謝に影響を及ぼす化合物、グルコースに影響を及ぼす化合物、向神経活性薬/神経保護薬、薬物耐性逆転薬、化学的保護薬、サイトカイン、増殖因子、リンホカイン、治療用抗体、遺伝子治療薬RNAi/アンチセンス治療薬などを含む。
【0041】
ある実施態様において、マトリックス中での使用に適当な該活性薬物は、天然の生成物起源の化合物、植物アルカロイド、マクロライド、テルペン、抗生物質、ビンカアルカロイド、カンプトテシン、タキサン、タキサンアナログ、ブルセアンチン(bruceantin)、バンコマイシンなどを含むが、これらに限定されない。例えば、本明細書中に記載するセファロタキシンは、抗増殖性薬として活性である。本明細書中に記載する通り、それらはまた血管新生に影響を及ぼし、アポトーシスを誘発し、そしてシグナル伝達経路の態様に影響を及ぼし、そしてこのものは、新規で有用な材料(例えば、医療デバイス)または治療学的な材料を創製するために、本明細書中に記載するマトリックスを単独であるいは本明細書中に記載する他の薬物および/または賦形剤と組み合わせて使用する。
【0042】
1実施態様において、マトリックス中での使用に適当な活性薬物は、以下の抗癌薬を含むが、これらに限定されない。アシビシン(acivicin)、アクラルビシン、アコダゾール、アクロニシン、アドゼレシン、アラノシン、アルデスロイキン、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アモナフィド、アンプリゲン、アムサクリン、アンドロゲン、アングイジン(anguidine)、アフィディコリングリシン酸、アサレイ(asaley)、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、ベーカー社製のアンチフォル(Baker's Antifol)(可溶性)、ベータ−2'−デオキシチオグアノシン、ビスアントレン塩酸(hcl)、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルフォキシミン、BWA 773U82、BW 502U83.HCl、BW 7U85 メシレート、セラセミド(ceracemide)、カルベチマー(carbetimer)、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキノキサリン−スルホンアミド、クロロゾトシン(chlorozotocin)、クロモミシン(chromomycin)A3、シスプラチン、クラドリビン、コルチコステロイド、コリネバクテリウム・パルバム、CPT−11、クリスナトール、シクロシチジン、シクロホスファミド、シタラビン、シテンベナ(cytembena)、ダビス マレイン酸塩(dabis maleate)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン HCl、デアザウリジン(deazauridine)、デクスラゾキサン、ジアンヒドガラクチトール(dianhydrogalactitol)、ジアジコン(diaziquone)、ジブロモジュルシトール(dibromodulcitol)、ジデムニン(didemnin)B、ジエチルジチオカルバメート、ジグリコアルデヒド(diglycoaldehyde)、ジヒドロ−5−アザシチジン(azacytidine)、ドキソルビシン、エキノマイシン、エダトレキセート、エデルフォスシン(edelfosine)、エフロミチン(eflomithine)、エリオット溶液(Elliott's solution)、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エピルビシン、エソルビシ、リン酸エストラムスチン、エストロゲン、エタニダゾール(etanidazole)、エチオホス(ethiofos)、エトポシド、ファドロゾール(fadrazole)、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フィルグラスチム、フィナステリド、酢酸フラボン、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、フルオゾール.RTM.、フルタミド、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、酢酸ゴセレリン、ヘプスルファム(hepsulfam)、ヘキサメチレン ビスアセタミド、ホモハリングトニン、硫酸ヒドラジン、4−ヒドロキシアンドロステンジオン、ヒドロキシ尿素(hydrozyurea)、イダルビシン HCl、イホスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン−1 アルファおよびベータ、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、4−イポメアノール、イプロプラチン、イソトレチノイン、ロイコボリンカルシウム、酢酸リュープロリド、レバミソール、ダウノルビシンリポソーム、リポソームカプセル化ドキソルビシン、ロムスチン、ロニダミン、マイタンシン(maytansine)、塩酸メクロレタミン、メルファラン、メノガリル、メルバロン(merbarone)、6−メルカプトプリン、メスナ、カルメット・ゲラン桿菌のメタノール抽出残留物、メトトレキサート、N−メチルホルムアミド、ミフェプリストン、ミトグアゾン、マイトマイシン−C、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、単球/マクロファージコロニー刺激因子、ナビロン、ナフォキシジン、ネオカルチノスタチン、酢酸オクトレオチド、オルマプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パラ(pala)、ペントスタチン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ピラルビシン、ピリトレキシム、ピロキサントロン塩酸、PIXY−321、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロゲスチン、ピラゾフリン、ラゾキサン(razoxane)、サルグラモスチム、セムスチン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン(spiromustine)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェナル、スラミンナトリウム、タモキシフェン、タキソテール、テガフール、テニポシド、テレフタルアミジン、テレキシロン(teroxirone)、チオグアニン、チオテパ、チミジン注射薬、チアゾフリン、トポテカン、トレミフェン、トレチノイン、塩酸トリフロペラジン、トリフルリジン、トリメトレキサート、腫瘍壊死因子、ウラシル・マスタード、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンゾリジン、ヨシ(Yoshi)864、ゾルビシン、およびそれらの混合物。
【0043】
別の実施態様において、該活性薬物は抗炎症性薬物であり、このものは例えば以下のものを含み得るが、これらに限定されない。非ステロイド系抗炎症性薬物(NSAIDS)、例えばアスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラック、オキサプロシン(oxaprosin)、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナブメトン(nambumetone)(レラフェン(relafen))、アセトアミノフェン(タイレノール.RTM.)、およびそれらの混合物;COX−2インヒビター、例えばニメスリド、NS−398、フロスリド(flosulid)、L−745337、セレコキシブ、ロフェコキシブ、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム、JTE−522、バルデコキシブ、SC−58125、エトリコキシブ、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク、メロキシカム、S−2474、およびそれらの混合物;グルココルチコイド(例えば、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニソロン(fluprednisolone)、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、デスオキシコルチコステロン、およびそれらの混合物;並びに、それらの混合物。
【0044】
1実施態様において、該活性薬物は医学的な画像診断薬物で有り得て、このものは例えば、常磁性物質(例えば、ナノ粒子酸化鉄、GdまたはMn)、放射性同位元素、および非毒性のラジオパク(radio-opaque)マーカー(例えば、硫酸バリウムケージおよびビスマス三酸化物)を含むが、これらに限定されない。造影剤(Radiopacifier)(例えば、ラジオパク物質)は、いずれかの製造法中に含むことができ、あるいは本明細書中に記載する医療デバイスの一部または全部の表面中に吸着させもしくは該表面上にスプレーすることができる。造影剤(例えば、ラジオパク物質)は、いずれかの製造法中に含むことができ、あるいは本発明の医療デバイスの一部または全部の表面中に吸着させもしくは該表面上にスプレーすることができる。放射線不透過性の造影の大きさは、該インプラント中またはその上の該造影剤の濃度をコントロールすることによって変えることができる。放射線不透過性は、ヨウ素を該インプラントの要素のポリマー単量体ビルディングブロックと共有結合することによって付与し得る。通常のラジオパク物質としては、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、およびジルコン二酸化物を含む。他のラジオパク物質としては、カドミウム、タングステン、金、タンタル、ビスマス、白金、イリジウム、およびロジウムを含む。ある実施態様において、ヨウ素は、その放射線不透過性および抗菌性の性質の両方のために使用することができる。このことは、身体中にインプラントする(処置部位に包埋する)か、あるいは身体の一部を移動する(すなわち、該デバイスのインプラントの間)、本明細書中に記載する医療デバイスの検出に有用であり得る。常磁性共鳴画像診断、超音波画像診断、x−線法、蛍光透視、または他の適当な検出技術は、これらの物質を含有する医療デバイスを検出することができる。ある実施態様において、該医学用画像診断用薬物は、一旦インプラントされると、本明細書中に記載する医療デバイスの医学的な画像診断を補助することができる。
【0045】
別の実施態様において、該活性薬物は免疫抑制薬で有り得て、例えばシクロスポリン、タクロリムスFK506、ラパマイシン(シロリムス)、およびラパマイシンのアナログを含むが、これらに限定されない。ラパマイシンのアナログは例えば、CCI−779 (ワイス社製)、RAD001またはエベロリムス(ノバルティス社製)、およびAP23573(アライアド・ファーマシューティカルズ社製)を含むが、これらに限定されない。ラパマイシンは、腎臓移植拒絶反応を防止するのに使用することができる。そのものはまた、再狭窄症を防止するのに有効であるとも報告されている(セルイス(Serruys), P. E.らによる, Heart 2002, 87; 305-307)。1実施態様において、マトリックスは、セファロタキシンおよびラパマイシン、またはそのアナログの1つを含む。別の実施態様において、マトリックスは、セファロタキシン、ラパマイシン、またはそのアナログの1つ、および別の活性薬物を含む。
【0046】
別の実施態様において、該活性薬物は、創傷治癒のプロモーターで有り得て、このものは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および/または増殖因子を含むが、これらに限定されない。
【0047】
別の実施態様において、第1活性薬物および第2活性薬物を含有するマトリックスは、送達される該第1活性薬物の量が該宿主中の病気または疾患を調整するように、直接的にまたは該マトリックスでコーティングされた医療デバイス本体によって、宿主に送達される。送達される該第1活性薬物の量は、達成される調整が、宿主が該第1活性薬物なしで該第2活性薬物を受け取る場合よりも大きくなる量であり得る。好ましい実施態様において、該第1の活性薬物はセファロタキシンである。好ましい実施態様において、該医療デバイスはステントである。別の好ましい実施態様において、該調整される病気は再狭窄症である。より好ましい実施態様において、該調整は再狭窄症の阻害である。
【0048】
該活性薬剤または薬物は、天然もしくは合成の供給源、放射性核種、または生物品(例えば、治療学的なペプチド/タンパク質、核酸ポリマー(例えば、DNA)、哺乳類配列もしくは非哺乳類配列(例えば、プラスミドまたはウイルス)、合成核酸ポリマー(例えば、アンチセンス核酸、RNA干渉))のいずれかであり得て、これらは、単独でまたは組み合わせを変えて含み、適当な生物学的な/疾患管理の効果を生じることができる。該生物学的に許容し得るマトリックス中に含まれる該活性薬物は、マトリックスと結合してもまたは結合性しなくてもよい。結合は、共有結合、イオン性結合、水素結合によって、複合化または封入まで創造し得る。使用することができる該活性薬物の大きさを変えた粒子としては、ナノ粒子、ミクロ粒子、界面活性剤および安定化剤のあるなしでのエマルジョンを含む。加えて、他の薬物および賦形剤を、徐放、安定性の増大、抗酸化性などを供するために使用することができる。
【0049】
これらのマトリックスを使用することができるデバイスとしては、例えば、カテーテル(バルーンカテーテルまたは膨張カテーテル、注射カテーテル、中枢静脈カテーテルおよび動脈カテーテル)、およびステント(血管ステント、尿道ステント、胆管ステント、胆汁ステント、食道ステント、気管もしくは気管支のステント)、血管ステントグラフト、内視鏡、創傷治癒包帯、組織バリヤーもしくは臓器バリヤー(例えば、外科手術の癒着防止)、縫合材、人工臓器もしくは人工オルガノイド(例えば、インスリン分泌デバイス);インプラント型モニター、除細動器、補助人工心臓(ventricular assist)デバイス)、ペースメーカー、インプラント型ポンプ、セルレザバー(例えば、幹細胞設置の場合)、プロステーシスデバイス(プロステーシス心臓弁を含む)、整形デバイスを含み得るが、これらに限定されない。他のデバイスは、手術用止め金、ガイドワイヤー、カニューレ、心臓ペースメーカー、および電気刺激リードもしくはリードチップ、除細動器リードもしくはリードチップ、インプラント型血管アクセスポート、血液保存バッグ、血液チューブ、血管もしくは他のグラフト、大動脈内バルーンポンプ、心臓弁、心血管縫合材、全人工心臓および心室補助ポンプ、および体外デバイス、例えば人工肺(blood oxygenator)、血液フィルター、中隔欠損デバイス、血液透析ユニット、血液灌流ユニット、プラスマフェレーシスユニット、吻合デバイス、インプラント型バイオセンサー、インプラント型薬物注入チューブ、産児調節閉塞デバイス、乳房インプラント、疼痛管理デバイス、前立腺癌処置デバイス、歯科インプラント、焦点性てんかん処置デバイス、神経再生導管、大静脈フィルター、脊髄修復デバイス、脊髄刺激装置、内部型補聴器(internal hearing aids)、神経動脈瘤処置デバイス、心臓弁修復デバイス、硝子体内ドラッグ送達デバイス、関節置換術、眼科インプラント、ニードル、および血管グラフトを含むが、これらに限定されない。
【0050】
本発明にとって適当な医療デバイスは、管状または円柱状の部分を有するデバイスを含む。別の実施体様において、該デバイスはディスクの形態である。該ディスクは、ステンレンス鋼または本明細書中に記載する別の生体適合性物質から構成され得る。該医療デバイスの管状部分は、完全に円柱状である必要はない。例えば、該管状部分の横断面は、いずれかの形(例えば、四角形、三角形など;但し、正に円形ではない)であり得る。該デバイスは、ステント、バルーンカテーテル、およびグラフトを含むが、これらに限定されない。二分枝ステントはまた、本発明に従って製造することができる該医療デバイスに含まれる。本発明に特に適当な医療デバイスは、当該分野の当業者にとって知られる医学的な目的のためのいずれかの種類のステントを含む。
【0051】
本発明のデバイスは、一部または全部が生体適合性物質(これは、典型的には組織を支持する能力を有する)から構成され得る。1実施態様において、該組織は血管であり、欠損した血管が好ましい。1実施態様において、該物質は生体適合性の金属製物質である。該金属製物質は、金属または合金であり得る。金属製物質の種類は、チタン、ニチノール、ニッケルチタン合金、熱記憶合金物質、ステンレス鋼、タンタル、ニッケル−クロム、金および特定のコバルトの合金(例えば、コバルト−クロム−ニッケルの合金)を含むが、これらに限定されない。
【0052】
別の実施態様において、該生体適合性物質は、プラスチック、セラミック、または別の適当な物質である。セラミック性物質は例えば、遷移元素の酸化物、炭化物、または窒化物(例えば、チタン酸化物、ハフニウム酸化物、イリジニウム酸化物、クロム酸化物、アルミニウム酸化物、およびジルコン酸化物)を含み得るが、これらに限定されない。シリコンベースの物質(例えば、シリカ)をまた使用することができる。
【0053】
1実施態様において、本発明は、患者におけるインビボ使用に適当な医療デバイスを提供する。該使用は、患者へのインプラントを含み得る。該医療デバイスは、一部または全部が生分解性物質または生体吸収性物質から構成され得る。別の実施態様において、該医療デバイスは、インプラント型の腔内デバイスである。生物学的に活性な物質は、本明細書中に記載する医療デバイスを用いて、身体の内腔にまで送達することができる。例えば、ステントは、当該分野の当業者にとって知られる方法によって、患者の身体中に挿入することができる。ステントが自己膨張型ステントである場合には、そのものは、外筒にそれを置くことによって小さい直径まで崩壊し、カテーテルを用いて患者の身体の内腔中に導入し、そして外筒からそのものを除くことによって標的領域中に拡張することができる。該ステントがバルーン拡張型ステントである場合には、そのものは、小さい直径まで崩壊し、血管形成術バルーンカテーテル上に置き、そして設置する領域中まで動かすことができる。該バルーンが膨張する場合には、該ステントは広がる。
【0054】
本発明のデバイス(例えば、ステント)は、血管、管、体内通路、または管(例えば、臓器内)の部分的に閉塞されたセグメントを拡張するために、拡張性の腔内の血管グラフトと連結させて使用することができる。加えて、該デバイスはまた、多数の他の種類の体内通過経路についての拡張性のプロステーシスとしての多くの他の目的のために使用することもできる。例えば、拡張性のプロステーシスはまた、以下の目的で使用することができる。(1)内部支持なしで崩壊する能力を有する経腔的な再開通によって開口された遮断された動脈内での支持的グラフトの設置;(2)手術不能な癌によって閉塞された縦隔および他の静脈を通るカテーテル通過後の同様な使用;(3)門脈圧亢進症を患う患者における門脈と肝静脈との間における、カテーテル創造の肝臓内情報交換の増強;(4)食道、腸、尿管、尿道などの狭小化の支持的グラフトの設置;(5)血管および臓器内の欠陥(例えば、動脈瘤または妨害物)の腔内的なバイパス;(6)再開口しおよび先に妨害された胆管の支持的グラフトの設置。従って、用語「プロステーシス」の使用は、様々な種類の体内通過経路内での上記の用途を包含し、そして用語「腔内グラフト」または「腔内医療デバイス」の使用は、体内通過経路の内腔の開存性を拡張しおよび/または維持するための使用を包含する。更に、用語「体内通過経路」は、体内のいずれかの内腔または腔(例えば、上記のもの)、並びに血管系内のいずれかの静脈、動脈、もしくは血管を包含する。
【0055】
他の血管性適用法は、吻合デバイス、閉塞デバイス(血管の動脈瘤または閉塞などの疾患の処置のため)を含む。他の例示的な適用法は、中隔欠損症および中隔閉鎖のデバイスの処置を含む。
【0056】
他の非血管性適用法は、神経学(脳)、胃腸管、十二指腸、胆管、胆嚢管、肝管、食道、尿道、リンパ管、生殖器系、前立腺、気管、および呼吸器(例えば、気管支)管、および耳科学上の適用法を含む。
【0057】
他の使用法としては、様々な適用法のためのシャント(例えば、水頭症、脳脊髄液シャント、泌尿器科学適用法、緑内障ドレインシャント);耳/鼻/咽頭(例えば、耳ドレナージチューブ);腎臓デバイス;および透析(例えば、グラフト)、神経再生導管、腹部大動脈瘤グラフト、血管インターベンションデバイス、尿中拡張器、循環性サポートシステム、血管造影カテーテル、トランジションのシース(sheaths)および拡張器、鼓膜切開術減圧チューブを含む。
【0058】
本発明の医療デバイス(該デバイスは、水性系(例えば、体液)と接触する)を使用することができる。該デバイスは、生理活性な薬物を長期間で且つ制御された様式で放出するように適合し、通常は、該デバイス表面とその水性環境との間で最初に接触させることで開始する。生理活性薬物の組み合わせの局所的な送達は、いずれかの数の医療デバイスを使用して広範囲な疾患を処置するために、あるいは該デバイスの機能および/または寿命を増大させるために、使用することができる。本質的に、いずれかの種類の医療デバイスは、該デバイスまたは生理活性薬物の使用を越えて処置を増大する1個以上の生理活性薬物と一緒に、いくつかの様式で製造することができる。
【0059】
本発明のデバイスは、体内のいずれかのインプラント部位を処置するのに使用することができ、ここで、使用中に完全にまたは一部分解するデバイスを供するのが好ましい。ある実施態様において、該デバイスを用いて、体内のインプラント部位を処置する。ここで、インプラント部位の開存性もしくは整合性を修復しおよび保持する一方で、該インプラント部位の機能を許容するのが好ましい。例えば、血管性の適用法において、該デバイスは、該デバイスを用いて処置する血管部位の開存性を修復しそして保持することができ、従って、絶え間ない血流が該処置部位を通って流れることが可能となる。ある実施態様において、本発明のデバイスは更に、1個以上の生理活性な薬物の徐放性を供する。
【0060】
本明細書中に記載するデバイスは、当該分野における当業者にとって知られる様々な方法(例えば、微細線維または線維の溶接、成型、および巻き取りもしくは編みこみを含むが、これらに限定されない)によって形成して、連続的な構造を形成することができる。
【0061】
1実施態様において、本発明の活性薬物は、本明細書中に記載する医療デバイスによって供する。好ましい実施態様において、該デバイスの一部または全部は、マトリックス(ここで、該マトリックスは本明細書中に記載するポリマーである)を用いてコーティングする。より好ましい実施態様において、該マトリックスは該薬物または活性薬物を含む。最も好ましい実施態様において、該活性薬物または薬物は、セファロタキシンである。
【0062】
薬物または活性薬物での使用において使用可能なマトリックスは、ポリマーを含む。該ポリマーは、生体ポリマー(例えば、コラーゲン、フィブリノゲン、ヒアルロン酸、脂質複合体、キチン、アルブミン シクロデキストリン、グルコサミン、炭水化物複合体、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびそれらの共重合体を含むが、これらに限定されない)であり得る。該ポリマーは、合成ポリマー(例えば、ダクロン、ナイロン、ポリウレタン、ライクラ(登録商標)、ゴアテックス(登録商標)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、およびそれらの共重合体を含むが、これらに限定されない)であり得る。他の適当なポリマーは例えば以下のものを含むが、これらに限定されない。ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド−共−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−共−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−ラクチド−共−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−共−トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン(phosphazene))、ポリ(D,L−ラクチド−共−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコリド−共−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリアンヒドリド(PAN)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチル メタクリレート)、エラスチンポリペプチド共重合体、ポリウレタン、ポリシロキサン、エチレンビニル−アセテート、ポリエチレンテレフタレート、熱可塑性エラストマー、ポリビニルクロリド、ポリオレフィン、セルロース、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、アクリル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸−ポリエチレンオキシド共重合体、セルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリアルキレンシュウ酸、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリシアノアクリレート、ポリホスファゼン、エチレングリコールIジメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル メタクリレート)、ポリテトラフルオロエチレンポリ(HEMA)、ポリヒドロキシアルカノレート、ポリ(グリコシド−ラクチド)共重合体、ポリ(γ−カプロラクトン)、ポリ(γ−ヒドロキシブチレート)、ポリジオキサノン、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリイミノカーボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリアンヒドリド、アルギネート、デキストラン、コットン、およびそれらの共重合体もしくは誘導化体、すなわち、例えば結合位もしくは架橋基を含むように修飾されたポリマー(ここで、該ポリマーは、構造的な整合性を保持し、一方で細胞および分子(例えば、タンパク質、核酸など)との結合が可能である)。
【0063】
該活性薬物または薬物での使用において使用可能なマトリックスは、非ポリマーマトリックスを含み得る。非ポリマー物質の例としては例えば以下のものを含むが、これらに限定されない。ステロール(例えば、コレステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、およびエストラジオール);コレステリルエステル(例えば、コレステリル ステアリン酸);C12〜C24脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、およびリグノセリン酸);C18〜C36のモノ−、ジ−、およびトリ−アシルグリセリド(例えば、グリセリルモノオレイン酸、グリセリルモノリノール酸、グリセリルモノラウリン酸酸、グリセリルモノドコサン酸(docosanoate)、グリセリルモノミリスチン酸、グリセリルモノジセン酸(monodicenoate)、グリセリルジパルミチン酸、グリセリルジドコサン酸、グリセリルジミリスチン酸、グリセリルジデセン酸(didecenoate)、グリセリルトリドコサン酸、グリセリルトリミリスチン酸、グリセリルトリデセン酸、グリセロールトリステアリン酸、およびそれらの混合物;スクロース脂肪酸エステル(例えば、スクロースジステアリン酸およびスクロースパルミチン酸);ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアリン酸、ソルビタンモノパルミチン酸、およびソルビタントリステアリン酸);C16〜C18脂肪族アルコール(例えば、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、およびセトステアリルアルコール);脂肪族アルコールおよび脂肪酸のエステル(例えば、セチルパルミチン酸およびセテアリルパルミチン酸);脂肪酸の無水物(ステアリン酸無水物);リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、およびそれらの溶解性誘導体(lysoderivative)を含む);スフィンゴシンおよびその誘導体;スフィンゴミエリン(例えば、ステアリル、パルミトイル、およびトリコサニル(tricosanyl)のスフィンゴミエリン);セラミド(例えば、ステアリルおよびパルミトイルのセラミド);スフィンゴ糖脂質;ラノリンおよびラノリンアルコール;並びに、それらの組み合わせおよび混合物)。好ましい非ポリマー物質は、コレステロール、グリセリルモノステアレート、グリセロールトリステアレート、ステアリン酸、無水ステアリン酸、グリセリルモノオレイン酸、グリセリルモノリノール酸、およびアセチル化モノグリセリドを含む。
【0064】
本発明は、1個以上のポリマーを含有するマトリックスから構成され得るコーティングを有する医療デバイスを提供する。該コーティングはまた、1個以上の非ポリマー物質を含有するマトリックスをも含み得る。加えて、ポリマーまたは非ポリマー物質のいずれかを含有するマトリックスはまた、本明細書中に記載する1個以上の活性薬物を有し得る。1実施態様において、医療デバイスは、1個以上のコーティングを有し得る。別の実施態様において、コーティングは、該デバイスの完全な表面を実質的に覆う。1実施態様において、コーティングは、該デバイスの一部を覆う。加えて、有機液体との接触を有するデバイスのいずれかの部分を同様にコーティングし得る。好ましい実施態様において、該医療デバイスの少なくとも1つの表面は、本明細書中に記載する1個以上のポリマーでコーティングする。該ポリマーでコーティングされた表面を有するコーティングされたデバイスは、インプラント部位での局在化された処置を供し得る。該コーティングは、当該分野においてよく知られる方法(例えば、溶媒蒸発方法、または制御された真空超音波スプレー成膜プロセスを含むが、これらに限定されない)を用いた患者への挿入前に、該デバイスに適用する。該コーティング方法は、本明細書中に記載する1個以上のポリマーを本明細書中に記載する活性薬物および溶媒と一緒に混合し、該混合物を医療デバイスの表面に浸漬しまたはスプレーすることによって適用し、そして該医療デバイスを乾燥して溶媒およびポリマーを蒸発させることを含み得る。次いで、該医療デバイスの表面は、活性薬物を含有する薄層フィルムを含む。該乾燥工程はまた、溶媒だけを蒸発させて、活性薬物およびポリマーの層を残すことを含み得る。
【0065】
1実施態様において、第1コーティングを医療デバイスに適用する。該第1コーティングは、該デバイスの一部または全てを覆うことができる。別の実施態様において、第2コーティングをその後に、医療デバイスに適用する。該第2コーティングは、先に第1コーティングによって覆われていないデバイスの第1の領域を覆うことができる。別法として、該第2コーティングは、先に第1コーティングによって覆われたデバイスの第2領域を覆うことができる。別の実施態様において、該第2コーティングは、第1領域および第2領域を覆うことができる。最も好ましい実施態様において、第2コーティングは、ヘパリンを含まない。加えて、本発明は、本明細書中に記載する医療デバイスへの2以上のコーティングの適用を提供する。
【0066】
別の実施態様において、コーティングは、ポリマー、および本明細書中に記載する1個以上の薬物を含む。貯蔵薬物の放出は、ポリマー−液体表面を通って、次いで液体中への拡散によって達成することができる。また、放出は、加水分解(これは、ポリマー−化合物層を侵食し、従って、両方を液体中に放出する)によるポリマーの分解によって起こり得る。
【0067】
各コーティグは、一連の適用法において本明細書中に記載するデバイスの表面上に供し得る。適用の数は、適当な厚さの個々のコーティング層、並びに所望に応じて、複数のコーティングの所望する総数を供するように、選択することができる。該実施態様において、該コーティングは、所望に応じて、同じかまたは異なってもよい。他の実施態様において、適用の数は、該ポリマーコーティングへの所望する総厚みを供するように制御し得る。一般的に、該コーティングの厚さは、それが患者内でのインプラントおよび使用のためのデバイスのプロファイルを有意に増大しないように選択する。本明細書中に記載するコーティングの総厚みは、約1μm〜約100μmであり得る。
【0068】
1実施態様において、デバイス上のコーティングは、分解性ポリマー物質の複数の層から構成され、各々個々の層または層の分類は異なる活性薬物を含み得る。例えば、冠血管ステントにおいて、コーティングは、急性血栓症を軽減するために、抗血栓形成性薬(例えば、ヘパリン、クマジンなど)を含み得る。コーティングはまた、亜急性再狭窄症を防止するための抗増殖性薬(例えば、セファロタキシン、エベロリムス、シロリムス、アンギオペプチン(angiopeptin)、パクリタキセル等)を含み得る。該コーティングは、抗炎症薬(例えば、セファロタキシン、アスピリン、脂質低下スタチン、脂肪低下リポスタビル(lipostabil)、エストロゲンおよびプロゲスチン、エンドセリン受容体拮抗薬、インターロイキン−6拮抗薬、VCAMもしくはICAMに対するモノクローナル抗体等)を含み得る。
【0069】
1実施態様において、本発明の医療デバイスは、循環器系医学の領域において使用し得る。冠血管形成術は、心臓における狭小化または遮断された動脈を通過する血流を修復するのに使用される医学的な方法である。心臓の動脈(冠動脈)は、それらの内壁上でのプラークと呼ばれる物質の蓄積が原因で狭小化されそして遮断され得る。この狭小化は、動脈を通過する血液の流れを減少させ、そしてオーバータイムで、冠動脈心臓疾患および心臓発作を引き起こし得る。血管形成術において、末端上にバルーンまたは他のデバイスを有する細いチューブを最初に、腕または鼡径部(上大腿)内の血管を通って、冠動脈内の狭小化または遮断の部位にまで通すことができる。一旦置いた後に、次いで該バルーンを、動脈の壁に対して外向きに該プラークを押し出すために膨張させることができ、これにより、動脈を広げ、そしてそれを通る血流を修復させることができる。血管形成術を用いて、心臓への血流の減少によって起こる胸の痛みを軽減し、および/または心臓発作の間の心筋への損傷を最小とすることができる。
【0070】
最も好ましい実施態様において、該医療デバイスはステントである。狭窄症は、狭窄または狭小化を意味する。狭窄されまたは狭小化された冠動脈は、狭窄症と呼ばれる。オーバータイムでの脂肪、コレステロール、および他の物質の蓄積は、動脈を詰まらせ得る。冠動脈を広げるための1方法は、PTCA(バルーン血管形成術)を使用することによる。PTCAを受けている患者は、該方法の約6ヶ月以内に、該広げたセグメントの再狭窄症(再狭小化)を有する。再狭窄された動脈は、別の血管形成術を受けなければいけないことがあり得る。再狭窄症の防止を助ける1方法は、ステントを使用することによる。ステントは、金属またはプラスチックから構成され得て、そして固体壁(solid walls)またはメッシュ壁のいずれかを有し得るチューブである。ステントは、バルーン拡張型または自己拡張型であり得る。それらは、血管形成術後に動脈を開口するのを助けるのに使用することができる。
【0071】
ステントは、小さいばねに似ている細いメッシュチューブであり得て、そしてこれは、より最近開発された血管形成術方法において使用されている。ステントは、一連の開口部を含有するメッシュ本体を含み得る。本発明のステントは、冠動脈ステントまたは非冠動脈ステントであり得る。該ステントは、血管(例えば、動脈)が開いたままに保つには狭小化された領域に挿入することができる。ステントは、血管が再び閉じるのを防止するのを助けるために、薬物療法を用いてコーティングすることができる。ステントは、ほとんどの血管形成術(ここでは、血管はステントを収容するのに十分に大きい)において使用することができる。1実施態様において、該ステントは、患部の血管を開いたままに保持することによって再狭窄症を阻害するために、血管形成術方法後に使用することができる。
【0072】
血管形成術方法後の血管の再狭窄または再狭小化は、ステントされた動脈においては一般的ではない。この方法の長期間の成功を改善する約束を示す薬物を用いて覆われたステントを用いる研究方法が進行中である。狭窄症はまた、冠動脈バイパス移植(CABG)手術後に起こり得る。この種類の心臓外科手術は、詰まった動脈周辺の血液を再経路しまたは「バイパスする」のに行う。それはまた、心臓への血液および酸素の供給を改善する。この場合に、該狭窄症は、移植された血管セグメント中で起こり得る。他の狭窄された動脈と同様に、それらは、それらを再び開くために血管形成術またはアテレクトミーを必要とし得る。
【0073】
1実施態様において、本発明のデバイスは、再狭窄阻害性の薬物を含む。好ましい実施態様において、該デバイスはステントである。再狭窄阻害性の薬物は、微小管安定化物(例えば、タキソール、パクリタキセル、それらのアナログ、誘導体、および混合物)を含み得る。例えば、適当な誘導体としては、2'−スクシニル−タキソール、2'−スクシニル−タキソール トリエタノールアミン、2'−グルタリル−タキソール、2'−グルタリル−タキソール トリエタノールアミン塩、N−(ジメチルアミノエチル)グルタミンとの2'−O−エステル、およびN−(ジメチルアミノエチル)グルタミド塩酸塩との2'−O−エステルを含む。加えて、該再狭窄阻害性の薬物は、セファロタキシン、並びにそのアナログ、誘導体、および混合物であり得る。該阻害性薬物は、ポリマー物質中に溶解しまたは分散することができ、そして該ポリマー物質はステント本体に接着することができる。他の実施態様において、本明細書中に記載するマトリックスは、該ステント上にスプレーし、浸漬し、または押し出すことができる。
【0074】
1実施態様において、本明細書中に記載するコーティングは実質的に、該ステント本体上で連続的である。別の実施態様において、該コーティングは、主に該ステント構造上に存在するが、しかし、開口部上では存在しない。例えば、ワイヤーメッシュで形成されるステントの場合には、該コーティングは、その間の開口部を覆うことなく、該ワイヤーに密に接着し得る。
【0075】
本発明によるステントは、所望する放出用量プロファイルに従って選択し、そして処置する医師へ供給し得る。血管形成術の方法後に、再狭窄阻害性の活性薬物を有するコーティングされたステントは、狭窄症(最近、拡張する冠動脈領域である)へ送達され得る。送達は、当該分野の当業者にとってよく知られる方法(例えば、カテーテルの遠位の末端上で処分される膨張性バルーン上にステントをマウントする)を用いて成就し得る。該ステントを該膨張する領域の近くの位置にまで前進させた場合には、該ステントは、外側および該血管壁内部に対する位置にまで強制され得る。該ステントが自己膨張性である場合には、該ステントは、該ステントを送達デバイス中に配置することによって送達することができ、それにより、該ステントを血管壁内部に対して広げることが可能となる。侵食性のポリマーコーティングから放出される場合には、該活性な薬剤または薬物は、該血管壁内部によって吸収され得る。オーバータイムで、該ポリマーのコーティングは、体液によって侵食され得る。
【0076】
1実施態様において、本明細書中に記載する医療デバイスは薬物−送達デバイスである。好ましい実施態様において、このデバイスは、本明細書中に記載するポリマーおよび本発明の化合物を含むコーティングを含有する少なくとも1つの表面を有する。
【0077】
別の実施態様において、該医療デバイスはカテーテルである。
【0078】
該化合物の用量は、処置する病気、化合物、および他の臨床的な因子(例えば、ヒトまたは動物の体重および病状、並びに該化合物の投与または送達の経路)に依存する。本発明は、ヒトおよび家畜の両方での使用のための適用を有すると、理解すべきである。
【0079】
本発明の1実施態様において、該セファロタキシンは、0.05〜5.0mg/mの範囲で宿主に投与または送達される。好ましい実施態様において、該セファロタキシンは、0.1〜3.0mg/mの範囲で宿主に投与または送達される。更に好ましい実施態様において、該セファロタキシンは、0.1〜1.0mg/mの範囲で宿主に投与または送達される。
【0080】
該セファロタキシンは、血管新生を抑制しまたは血管新生疾患の発症もしくは進行を抑制するために必要に応じて、隔週で、毎週、毎日、1日に2回、またはそれ以上の回数で投与または送達することができる。
【0081】
該医療デバイスは、経口、腸、眼(例えば、硝子体内または眼房内を含む)、鼻腔、局所(例えば、頬側および舌下を含む)、膣、または非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、気管内、および硬膜外)の投与または送達によって投与することができる。該医療デバイスは、1回投与形態で容易に供することができ、そして通常の製薬技術によって製造することができる。それらの技術としては、医療デバイスおよび医薬的な担体若しくは賦形剤を組み合わせる工程を含む。一般的に、該製剤は、セファロタキシンを含有するマトリックスを、液体担体もしくは細かく分割した固体担体またはその両方と均一におよび密に組み合わせ、次いで必要な場合には、該生成物を成型することによって製造する。
【0082】
経口投与または送達に適当な本発明の製剤は通常、セファロタキシンを含有するマトリックス(ここで、セファロタキシンを含有するマトリックスは、各々予め決めた量の活性成分を含有する、カプセル剤、サッシェ、または錠剤中に取り込まれる)から製造され;これらは、散剤もしくは顆粒剤;水性液体もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤;水中油滴型乳剤もしくは油中水滴型乳剤、およびボーラスなどである。
【0083】
錠剤は、場合により1個以上の補助成分と一緒に圧縮または成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、適当な機械で流動性形態(例えば、粉末または顆粒)のセファロタキシン含有マトリックス(このものは、場合により結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、保存剤、界面活性剤、または分散剤と混合する)を圧縮することによって製造することができる。成形した錠剤は、適当な機械で、不活性な液体希釈剤を用いて湿らせた粉末状のマトリックスの混合物を成形することによって製造することができる。該錠剤は、場合によりコーティングしまたはスコア化し、そして該錠剤中のマトリックスの数分間から数時間、数日間にわたる緩徐放出または徐放を供するために、製剤化することができる。
【0084】
口腔中での局所投与または送達に適当な製剤としては、芳香基剤(これは通常、スクロース、およびアカシア、またはトラガカント)中にセファロタキシン含有マトリックスを含有するトローチ剤;不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含有するパステル剤(pastille)を含む。
【0085】
皮膚への局所投与または送達に適当な製剤は、医薬的に許容し得る担体中で投与または送達されるセファロタキシン含有マトリックスを含有する、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、およびペースト剤として供することができる。好ましい局所送達システムは、投与または送達する医療デバイス(マトリックス)を含有する経皮パッチである。
【0086】
腸投与または送達のための製剤は、例えばココアバターまたはサリチル酸を含有する適当な基剤を有する坐剤として供することができる。
【0087】
担体がマトリックスまたは該マトリックスを含有する固体である、セファロタキシン含有マトリックスの鼻腔投与または送達に適当な製剤としては、吹入剤を投与または送達する様式で投与または送達される(すなわち、鼻の近くに保った粉末の容器から鼻腔経路を通る速い吸入による)、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末を含む。例えば、鼻スプレー剤または点鼻剤として投与または送達のための、担体が液体である適当な製剤としては、活性なマトリックスまたは該マトリックスを含有する固体の水性または油性の液剤を含む。
【0088】
膣投与または送達に適当な製剤は、該医療デバイスに加えて、当該分野において適当であると知られる担体を含有する、ペッサリー、タンポン(tamports)、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡剤、またはスプレー製剤として供することができる。
【0089】
非経口投与または送達に適当な製剤としては、水性および非水性の滅菌注射液剤(これは、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、および該製剤を目的のレシピエントの血液と等張とする溶質を含む);並びに、水性および非水性の滅菌懸濁剤(これは、懸濁化剤および増粘剤を含み得る)を含む。該製剤は、1回投与または複数回投与の容器、例えば封したアンプル剤およびバイアルで供することができ、そして、使用する直前に滅菌液体担体(例えば、注射用の水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)の条件で保存することができる。即時注射の液剤および懸濁剤は、上記の種類の滅菌の散剤、顆粒剤、および錠剤から製造することができる。
【0090】
好ましい1回投与製剤は、投与または送達する活性成分の、本明細書中に上記で列挙する、1日の用量若しくは単位、1日サブ用量、またはそれらの適当な分画を含有する製剤である。
【0091】
該成分(特に、上記の成分)に加えて、本発明の製剤は、関心ある製剤の種類について当該分野において一般的である他の剤を含み得て、例えば、経口投与または送達に適当な製剤は芳香剤を含み得ると、理解すべきである。
【0092】
加えて、本発明のセファロタキシン組成物は、他の活性化合物と一緒に投与または送達することができる。セファロタキシン組成物と同時投与または同時送達することができる活性化合物の例としては例えば、他の抗血管新生剤(例えば、アンジオスタチン、VEGFインヒビター、エンドスタチン、コンブレタスタチン、2−メトキシ−エストラジオール、サイリドマイドおよびアバスタチン(Avastatin)(登録商標)、タキサン、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート、コルチコステロイド、コルヒチン、およびアナログ)、血管新生標的に対する抗体、インターフェロン、糖尿病制御剤(例えば、インスリン、およびインスリン増殖因子インヒビター)、抗炎症剤(例えば、COX−2インヒビター)、抗関節炎剤、アスピリン、イブプロフェン、ナプロシンなど;遺伝子標的に対する、遺伝子療法、アンチセンス療法、およびRNA干渉療法、関連(associated)mRNA、並びに血管新生、アンチセンス療法、およびRNA干渉療法のタンパク質標的が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
活性成分は、セファロタキシン組成物の投与前、その間、またはその後に、宿主に投与または送達することができる。本発明の1実施態様において、該活性成分を投与前にセファロタキシンと一緒に混合し、そして該混合物を宿主に投与または送達する。更なる実施態様において、該活性成分およびセファロタキシンを、宿主に別々であるがしかし同時に投与または送達する。別の更なる実施態様において、該活性成分を、セファロタキシンの前に投与または送達する。好ましい実施態様において、該活性成分を、該活性成分が宿主中になお全身的に存在した状態で、該セファロタキシンの前に投与または送達する。別の更なる実施態様において、該活性成分を、セファロタキシンの後に投与または送達する。好ましい実施態様において、活性成分を、該セファロタキシンが宿主中になお全身的に存在する間に、セファロタキシンの後に投与または送達する。
【0094】
本発明の適当な宿主は、ヒトまたは他の動物を含む。
【0095】
以下の実施例は、上記の本発明を用いる様式をより十分に記載するために、並びに本発明の様々な態様を実施するために企図する最良の形態を記載するために用いる。これらの実施例はいかなる形でも本発明の真の範囲を限定するように用いるものではなく、むしろ例示の目的で提示するものと理解する。本明細書中に引用する全ての刊行物は、本明細書の一部を構成する。
【実施例】
【0096】
実施例1
CAMアッセイにおけるホモハリングトニンの影響
(プロトコール)
鶏の受精卵(HiChick Breeding Co、Kapunda、South Australia)を、38℃で3日間インキュベートした。3日後に、胚を該卵から砕いてとり出し、このものをプラスチック製管から構成されるカップ(このものは、頂上部でプラスチック製フィルムを伸張して、その中で懸濁させる卵のためにハンモックを形成する)中に入れた。ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するDMEM(2mL)を、該卵を加える前に各カップに加えた。頂上のペトリ皿は、滅菌を保った。インキュベートは、加湿の37℃インキュベーター中で続けた。
【0097】
4日目に、絨毛尿膜(CAM)は増殖し始め、そして各胚の写真を×5で撮影して、画像分析ソフトウェア(Video Pro 32、Leading Edge Pty Ltd、South Australia)を用いてCAMの面積を測定した。次いで、胚をそれらCAMの面積に従って群化し、これらは比較のために各々の中にコントロール胚を有する。ホモハリングトニンの6.25、12.5および25ngを用いて処理した場合に、4個の釣り合った胚が存在した。該CAMの増殖中でのこれらの初期の発生段階の変化は劇的であるので、群化は重要である。4日目での比較的に小さいサイズの差違は、5日目でのCAMにおける大きな差異に翻訳され、このことより処理を比較することは困難である。物質は、メチルセルロースディスク(これは最初に真空下で終夜乾燥した)中で使用した。該メチルセルロースディスクを該CAMの頂上部に適用し、そして処理の開始時には、該CAM面積よりも少なくとも3〜4倍に大きくなり、このことは処理がCAM表面全体に行き渡ったことを意味する。
【0098】
5日目に、造影剤を有する脱脂乳をCAM中に注射した。次いで、写真を×63倍までの様々なレベルの拡大率で撮影した。定量的な測定は、×5の写真から行なった。CAM面積、並びに静脈および動脈の長さを画像分析(Video Pro 32、Leading Edge Pty Ltd、South Australia)を用いて測定した。次いで、血管の長さの相対値を、全長/CAM面積として算出した。統計学的な分析は、有意水準のレベルとしてp<0.05を有する、シグマスタット アンド ワンウェイ(SigmaStat and OneWay)ANOVAを用いて行なった。
【0099】
図3Aは、該CAMの正常な組織化は均一であって、主な静脈は左の方向にドレインし、そして動脈の枝分れは該CAMの頂上部および底部の端にまで及ぶことを例示する。図3Bおよび3Cは、血管の長さの測定について実施した通り、静脈および動脈の枝分かれのトレーシングを図示的に例示する。
【0100】
血管新生インヒビターであるホモハリグトニンは、ケムジェネックス社(ChemGenex Therapeutics、Inc.)(Menlo Park、CA)から入手し、そしてこのものは滅菌水中で適当な濃度に調製した。ホモハリングトニンを用いた初期用量では、該用量が減少するために、胚の死を引き起こした。ホモハリングトニンは、6.25、12.5、および25ng(11.3、22.5、および45nM)の用量で使用し、これらを水処理のコントロールと比較した。結果を、表2に示す。ホモハリングトニンは、25ngで処理したCAMの場合には、コントロールの42%にまで、該CAMの増殖を減少させた。該静脈、動脈、および総血管の長さはまた、25ngの群の場合には有意に減少し、6.25および12.5ngで処理した群の場合には、血管の長さは有意に減少しなかった。該静脈、動脈、および総血管の長さは、それぞれコントロールの15%、18%、および17%にまで低下した。驚くべきことではないが、ホモハリングトニンの全3個の用量レベルについて、相対的な動脈の長さは有意に低下して、相対的な血管の長さもまた低下し、そして最も高用量のホモハリングトニンの場合にだけ、相対的な静脈の長さおよび全血管の長さが有意に相違した。
【表2】

【0101】
CAMのホモハリングトニン処理は、図4に例示する通り、血管の有意な減少を生じた。
【0102】
図4に示す通り、最も低用量のホモハリグトニンの場合でさえも、該CAMはより小さくなり、そして正常な血管の組織化は妨害される。該CAMの底部での大きな静脈および動脈の枝分かれの重なりに注意する。12.5ngの場合の該CAMは、血管の一般的な減少を有し、組織化における非常に多くの障害はなかった。最も高用量の25ngは、微細な痕跡血管だけが残り、そして血管の発達はほとんど完全に遮断された。25ngの用量は、より小さい1胚を殺した。
【0103】
より高い拡大率でのホモハリングトニンに起因して見られる変化は特異的であって、そして試験を行なった他の基質とは似ていなかった。図5において、正常なCAMおよび25ngのホモハリングトニン処理のCAMを示す。水コントロールは、よく可視化する。ホモハリングトニン処理は、血流の著しい低下を生じ、赤血球を送達する場において少しの微細な血管だけが存在する。特異的な特徴は、血流が止まった血管中にトラップされた赤血球を示す視野に広がる黒点である。このものをタキソールを用いた場合に見られる変化と、該血管および残留血流がないより大きな血管の骨格の外側への赤血球の拡散性漏出について比較する。
【0104】
ホモハリングトニンの抗血管新生活性を、早期の鶏絨毛尿膜(CAM)を用いて試験した。ホモハリングトニンの使用により、CAM中の血管の発達の有意な減少を生じ、タキソールの場合から観察される効力および定性の変化の両方の面で差違が存在する。これらの差違は、作用機構の変化(例えば、冒される内皮細胞の増殖、アポトーシス、およびこれらの基質が原因の移動)に反映され得る。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、セファロタキシンファミリーの一般的な化学構造を示す図面である。
【図2】図2は、ホモハリングトニンの化学構造を示す図面である。
【図3】図3は、絨毛尿膜(CAM)血管を示す図面である。図3Bは、該CAM内の静脈を示す図面である。図3Cは、該CAM内の静脈および動脈を示す図面である。
【図4】図4は、CAMにおけるホモハリングトニンの影響を示す図面である。
【図5】図5は、ホモハリングトニンおよびタキソールによって引き起こされる定性的な変化の比較を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス本体、および該デバイス本体の表面上のコーティングを含有する医療デバイスであって、該コーティングがセファロタキシンを含む、該医療デバイス。
【請求項2】
該医療デバイスがステント以外である、請求項1記載の医療デバイス。
【請求項3】
該デバイスが、カテーテル、内視鏡、創傷治癒包帯、組織/臓器のバリヤー、縫合材、人工臓器、人工オルガノイド、インプラント型モニター、除細動器、ペースメーカー、インプラント型ポンプ、セルレザバー、プロステーシスデバイス、および整形デバイスからなる群から選ばれる、請求項1記載の医療デバイス。
【請求項4】
ステント、およびセファロタキシンを含有する該ステントの表面上でのコーティングを含有する、医療デバイスであって、
該デバイスが、ヘパリンを含有する該ステント上での別の単一のコーティングを有しない、該医療デバイス。
【請求項5】
該コーティングは更にポリマーを含む、請求項1または4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項6】
該ポリマーは生体ポリマーを含む、請求項5記載の医療デバイス。
【請求項7】
該生体ポリマーは、コラーゲン、フィブリノゲン、ヒアルロン酸、脂質複合体、キチン、アルブミンシクロデキストリン、グルコサミン、炭水化物複合体、ポリラクチド、ポリグリコリド、および共重合体からなる群から選ばれる、請求項6記載の医療デバイス。
【請求項8】
該ポリマーは合成ポリマーを含む、請求項5記載の医療デバイス。
【請求項9】
該合成ポリマーは、ダクロン、ナイロン、ポリウレタン、ライクラ(登録商標)、ゴアテックス(登録商標)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、およびポリエチレングリコールからなる群から選ばれる、請求項8記載の医療デバイス。
【請求項10】
該コーティングは更に非ポリマー物質を含む、請求項1または4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項11】
セファロタキシンは、ホモハリングトニン(セファロタキシン、4−メチル−2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−4−メチル ペンチル)ブタン二酸エステル)を含む、請求項1または4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項12】
該セファロタキシンは式:
【化1】

[式中、
はエステルまたは置換アルキルであり、そしてRはエステルまたは置換アルキルである]
で示される化合物を含む、請求項1または4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項13】
該デバイスは更に第2コーティングを含む、請求項1または4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項14】
該医療デバイスは2個以上のコーティングを含む、請求項1または4のいずれかに記載の医療デバイス。
【請求項15】
該コーティングは更に第2の薬物を含む、請求項1または4のいずれかに記載する医療デバイス。
【請求項16】
マトリックス、および該マトリックス中に含まれるセファロタキシンを含有する、医療デバイス。
【請求項17】
該マトリックスは生分解性である、請求項16記載の医療デバイス。
【請求項18】
該マトリックスは時限放出型マトリックスである、請求項16記載の医療デバイス。
【請求項19】
インビボで宿主を請求項1、4または16のいずれか1つに記載の医療デバイスと接触させることを含む方法であって、ここで、該デバイスは血管新生を阻害するのに十分な量の該セファロタキシンを供する、該方法。
【請求項20】
インビボで宿主を請求項1、4または16のいずれか1つに記載の医療デバイスと接触させることを含む、血管新生疾患を処置するための方法であって、ここで、該デバイスは血管新生疾患の発症または進行を阻害するするのに十分な量の該セファロタキシンを供する、該方法。
【請求項21】
該接触工程は該宿主中に該医療デバイスをインプラントすることを含む、請求項19または20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
腔および該腔中に含まれる請求項4記載のデバイスを有するカテーテルを含有する、送達デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−529667(P2008−529667A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555266(P2007−555266)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/004849
【国際公開番号】WO2006/086693
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(502332795)ケムジェネックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CHEMGENEX Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】