説明

医療器具および機器に対する生分解性の洗浄用濃縮物

飲用水中に約1/40オンス/ガロン〜約1/10オンス/ガロンに希釈した場合にスケール制御および腐食阻害を示す、金属器具および金属成分(部品、道具、器具、容器、機器、および表面)に使用するための濃縮された中性の水性洗浄用組成物。さらに、前記濃縮物は、ステンレスのような金属の表面に直接適用してよく、付加的な腐食または他の金属表面に対するダメージを生じることなく、さびおよび他の変色を除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具およびその他の機器ならびにハード表面を洗浄するための濃縮された洗浄用組成物に関する。特に、本発明は、医療器具および他の金属機器ならびにハード表面の洗浄において使用するための、取扱いが簡単な、生分解性の洗浄用濃縮物に向けられ、それは、希釈しても維持されるスケール(scale)制御および腐食防止の特性を有し、完全な強度で使用した場合、脱色およびさび除去をする。水性、生分解性の本発明の洗浄用組成物は、界面活性剤、スケール制御剤、および軟質金属に対する腐食防止剤の相乗的な組み合わせを含んでなり、従来の洗浄剤よりもずっと低い希釈強度で使用した場合であっても、上述した特性を達成するために効果的である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、および主に、医療器具ならびに他の金属機器および部品に対する病院での洗浄剤(cleaner/detergent)としてのその有用性に関して論じているが、病院での使用または医療器具もしくは装置の洗浄に限定されない。ここで使用する場合、「医療器具」という用語は、手術器具(メス、生検器具、クランプ等);内視鏡、直腸鏡、腹腔鏡、結腸鏡、および医療または外科の処置のために使用される他の機器;薬学および/または歯学の実施において使用される他の金属機器ならびにこれらの実施において生じる洗浄する必要のあるハード表面のような広範な分類のものを意味し、含むことが意図される。さらに、本発明は、同様に洗浄の必要のある施設における器具、装置、ハード表面等を含むことも意図され、例えば、医薬製造施設、酪農場、水リサイクル、食品加工、レストラン、ヘアサロン、美容処置、獣医学の実施、および他の適用(ヒトもしくは動物の血液、タンパク質、脂質汚れ、または他の同様の汚れが必要とするクリーニング)であり、適用する洗浄用組成物におけるスケール制御、腐食防止および脱色の特性に対する要求がある。
【0003】
金属器具および他の金属装置(部品、道具、容器、表面)の洗浄における使用のための洗浄剤は、当該分野で既知である。医療器具および付随する装置は、滅菌を必要とし、典型的に、そのような器具および機器は、最初に洗浄され、洗い落として汚れ(限定するものではないが、使用の間に被覆された血液、脂質およびタンパク質汚れを含む)を除去する。前記汚れは、後で除去するのが難しいほど硬くなった残留物として固化され得るため、器具/機器は、これらの汚れで被覆されている間は滅菌されるべきではない。汚れは、滅菌剤の浸透に対するバリヤーにもなる。
【0004】
通常、器具および機器は、洗浄剤溶液を用いて手動で洗浄され(またはすすがれ)、洗浄剤溶液中に浸漬され、その表面から汚れの大部分が除去される。汚れ除去は、自動洗浄機中に汚れた装置を置くことによっても行うことができる。病院またはそのような洗浄が必要とされる他の施設内の機器処理部門で使用される通常の洗浄製品の量は、典型的に非常に多い。医療器具および他の装置の処理において高い効率を達成するために、空の容器からいっぱいの容器への変化を最小限に維持する必要がある。結果として、従来の洗浄剤は、5〜55ガロンの容器で製造され、病院または他の施設に販売されている。これらの容器の重量および容積は、容器を扱う労働者に人間工学的なリスクを与える。さらに、前記容器の大きさは、貴重なスペースを占領する。
【0005】
1つの現在入手可能な洗浄剤は、大量の洗浄製品に付随する人間工学的問題および貯蔵スペースの問題に直面している。前記洗浄剤は、固体の化学物質であり、洗浄(washingまたはcleaning)工程に導入する前に、水で希釈しなければならない。この乾燥製品は、水および/または水に伴う混入物により引き起こされる腐食から、医療器具(もしくは他の金属器具)または自動器具洗浄機を十分に保護しない。また、医療器具もしくは他の金属機器、または自動洗浄機において、硬水(>100ppm CaCO)を使用することにより生じる水の硬い沈着物または水あかの形成を避けるのに十分な量または種類の成分を含まない。
【0006】
理想的には、金属器具、機器およびハード表面に対して有用な洗浄用組成物は、1つの製品中にスケール制御、腐食防止、および金属表面の脱染(destaining)を提供すべきである。最もありふれた洗浄用組成物は、スケール制御および腐食防止の特性を組み合わせているが、脱染またはさび除去は、慣習的に、別の製品である専用の脱染剤を用いて行われている。付加的な脱染色製品に対する必要性を排除することは、加工および価値のある貯蔵スペースを大切にするという両方の観点から対費用効果が高い。
【0007】
理想的な洗浄剤組成物は、低い使用希釈度において効果的な洗浄を提供すべきであり、すなわち、効率的に洗浄するためにより少ない量を必要とすべきである。医療器具および他の機器ならびにハード表面を洗浄するために使用される通常の洗浄剤および洗浄化学物質は、典型的に、使用前に約1/8oz./gal.〜2oz./gal.以上の範囲の希釈度で希釈される。
【0008】
低い使用希釈度で同じまたはそれ以上の洗浄効果を達成するため、ならびにスケール制御、腐食防止および脱染の特性を提供するために必要な量がより少ない洗浄濃縮物は、コストおよび人間工学的考察の両方から望ましい。効果、スケール制御、および腐食防止を達成するためにより少ない洗浄濃縮物を使用することにより、より小さな容器でよく、また、より大きな容器からの入れ替えを少なくし、各洗浄工程に対する材料のコストを抑えることが可能である。
【0009】
通常の洗浄用組成物は、生分解性でないキレート剤、金属イオン封鎖剤または他のスケールおよび腐食の防止剤を含有する強い酸性またはアルカリ性の洗浄剤を使用することにより、スケール制御および腐食防止を達成する。強い酸性またはアルカリ性の洗浄剤は取り扱いが難しく、環境、使用者の健康および安全性に対する危険性が存在する。加えて、強い酸性の洗浄剤は、酸性である多くの別の脱染製品を含み、それらは金属表面にダメージを与え、金属をさらなる腐食に対して感受性にする。
【0010】
腐食防止およびスケール制御は達成するのが容易であり、たとえいくつかの製品が他より優れているとしても、多くの現在入手可能な洗浄剤製品はこれらの目標を達成することができる。一般的に、洗浄濃縮物におけるスケール制御は、スケール防止のためのキレート剤(例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、リン酸塩、およびホスホネート)を使用することにより達成され、通常1:1のモル比でカルシウムまたはマグネシウムカチオンに化学的に結合し、複合体、すなわちキレートを形成することにより、カルシウムおよびマグネシウムのスケール沈着を阻害する。Drew Chemical Corp., Principles of Industrial Water Treatment., 1984, pp. 80-84。簡単に言うと、1モルのキレート剤は1以上のカルシウムイオンまたは他の金属イオンと結合し、新たな複合体を形成する。この複合体は、カルシウムまたはマグネシウムのカチオンが炭酸アニオンと相互作用するのを阻害し、その結果としてスケール形成を阻害する。キレート剤は、亜鉛、銅または鉄のような金属が汚染または腐食を生じ得る器具または洗浄機の表面に沈着することも阻害する。
【0011】
金属イオン封鎖剤もまた、スケール形成を制御するために使用される。金属イオン封鎖剤は、異なる態様で作用する。1つの金属イオン封鎖剤分子は、多数の金属イオンおよび塩と相互作用し得る。金属イオン封鎖剤は、カルシウムまたはマグネシウムの炭酸塩の形成を阻害しない。むしろ、それらは小さなカルシウムおよびマグネシウムの炭酸塩粒子と相互作用し、それらが硬いスケール沈着物へと凝集するのを妨げる。粒子は互いにしりぞけ合い、水に懸濁したままであり、沈殿し得るゆるい凝集体を形成する。これらのゆるい凝集体は、簡単にすすぎ流され、沈着物を形成しない。
【0012】
上述した特定のキレート剤に加え、他の組成物も、カルシウム炭酸塩スケールおよび鋼腐食を制御するために使用される。1つの例は、米国特許第5,647,995号であり、フリーラジカル源の存在下でアセチレン化合物とアルカリ金属次亜リン酸塩を反応させることにより形成されるアルカリ金属ジホスフィネートを用いた水の冷却において、スケールおよび腐食を制御する方法が開示されている。ジホスフィネートは、さらに反応し、スケール制御および腐食防止の特性を有するジホスホネート化合物およびジホスフィネート含有付加体、オリゴマー、およびポリマーが得られる。
【0013】
もう1つの例は、米国特許第5,489,666号であり、水冷却システムのような水循環システムにおけるカルシウムスケールの形成および沈着を阻害するための組成物を開示している。水を処理するために使用される組成物は、修飾されたポリエポキシコハク酸であり、高いpH、高いカルシウム濃度および高いM−アルカリ度の状況下で効果的であると述べられており、通常の処理では効果を喪失する。
【0014】
U.S.2005/0247637 A1では、硬水におけるスケール制御のための水処理を開示しており、ボイラー、または他の加熱装置、商業的、産業的および家庭的な使用のためのホットパイプ、特に、飲料水の処理、内部の混合表面、ボイラーまたはオンデマンド加熱部品ならびに同様の構成部品を有する食物供給自動販売機および計量分配機において使用される。前記処理は、ポリリン酸塩と共に金属粒子の組み合わせ(例えば、亜鉛および銅)を含んでなり、高いサイクルの食品または飲料供給システムの内部表面におけるスケール沈着を激減させると述べられており、成分を単独で使用した場合と比較して相乗効果を有する。
【0015】
EP0733073(WO95/15984)は、0.15〜2.5の置換度(D.S.)を有するカルボキシメチルイヌリンを開示しており、炭酸カルシウムの結晶化の阻害剤として有用であり、生分解性であると述べられている。特定の洗浄剤についての開示はない。
【0016】
上述したものを含む通常のキレート剤、金属イオン封鎖剤および他のスケール制御剤の多くは、それらの環境に対する影響により、増大する取り締まりの対象となっている。さらに、通常の濃縮された洗浄剤は、一般的に、希釈されたときに効果を有するように、10%以上のキレート剤濃度を必要とする。典型的な医療器具洗浄剤は、1/8〜2oz./gal.(水中)に希釈され、結果として洗浄溶液中で195ppm〜781ppmの活性キレート剤/阻害剤の濃度になる。コストを最小限にするためにより低い濃度の洗浄剤(detergent/cleaner)を使用してスケール制御を達成することが望ましいが、先行技術の組成物と同等以上の結果を達成し、ユーザーおよび環境にやさしいという付加的な利点を有する。
【0017】
スケール制御に加えて、医療器具および機器の処理は、それらの安全性および効率的な操作を維持するために重大な意味を持つ。多くの器具および機器は、銅、黄銅、アルミニウムおよびアルマイトのような軟金属を含み、それらが処理される場合に、洗浄剤および水の両方からのダメージに対して非常に影響されやすい。典型的に、中性の洗浄化学物質は、これらの軟金属を処理するために使用される;しかしながら、現在入手可能な中性化学物質(例えばSTERIS Corporation's Renu-KlenzおよびNpH Klenz)は、リン酸塩またはホスホン酸塩ベースの腐食阻害剤を含み、環境にやさしくない。通常の腐食に対する化学物質も、1/8〜2oz./gal.の範囲に希釈される。このレベルの希釈は、通常の化学物質の大きな容器を必要とし、器具を加工する労働者への人間工学的なリスクを伴い、貴重な貯蔵スペースも占有してしまう。
【0018】
通常のスケール制御成分のように、腐食防止のために使用されるリン酸塩およびリン酸含有化学物質は、環境的な理由により増大する監視の対象である。国際的および国内的の両方で、規制はより厳しくなっており、リン酸含有化学物質を置換することが必要とされている。それ故、リン酸塩を含まない化学物質に対する消費者の好みおよび要求は増加すると予想される。
【0019】
軟金属は、医療器具および機器においてますます使用されている。環境的な圧力によりリン酸塩およびリン酸塩を含有する物質が撤廃されたら、軟金属から作られた金属器具および機器のメンテナンスは、腐食を防止する新たな化学物質を開発することなくしてはより難しくなる。それ故、現在入手可能な洗浄剤で達成されるのと同等以上であり、環境に対する影響が最小限である、軟金属の腐食防止を達成する新たな洗浄用組成物に対する必要性がある。
【0020】
スケールおよび腐食の問題に加えて、医療器具および機器は、種々の金属沈着物および腐食産物によりしばしば変色させられる。それらの適切な機能を維持し、腐食を食い止め、器具または機器の外見を維持するために、金属の表面からの変色または腐食を除去する必要がある。通常の脱染および腐食(さび)除去のための製品は酸性(強酸性の場合もある)であり、研磨剤を含むものと含まないものがある。例えば、米国特許第5,215,676号は、塩酸およびリン酸と有機アンモニウム塩酸塩および有機硫酸塩の非常に低いpHの混合物からなる化学的組成物を開示しており、金属、コンクリート、プラスチック、木材およびガラス繊維の表面を含む種々の表面からさびおよび変色を除去するために効果的であり、金属に対して非腐食性であると記載されている。米国特許第4,517,023号は、マレイン酸のコポリマーおよびモノマーの水溶液のコーティングを塗布することにより、金属表面からさびを除去する方法を開示しており、それは金属表面に塗布され、乾燥され、後で、表面からさびと共に剥離される。U.S. 2004/0102344 A1は、塩基性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、および種々のアミンまたはその塩)、水溶性キレート剤、およびチオ尿素ジオキシドを含んでなるさび除去のための組成物であり、水溶性媒質に溶解した場合にアルカリ性溶液となり、いずれか1つの成分を単独で使用する場合またはいずれか2つの成分を組み合わせて使用する場合と比較して相乗効果を有すると述べられている。前記組成物は、透析装置、水処理装置、水パイプ、およびその周辺機器のような医療用の器具および機器に生じるさびを除去するのに有用であると述べられている。
【0021】
酸性のさび除去剤または脱染剤は、不適切に使用した場合、金属表面にダメージを与え得る。ステンレスの場合、変色および/または腐食は、パッシブ(passive)層にある程度のダメージを与えると予想される。ステンレスのパッシブ層は、非常に薄い金属層であり、鉄含量に対するクロムの比がバルク(bulk)金属よりも高い。クロム含量の増加は、金属の腐食耐性を増大させる。この天然のパッシブ層は、空気にさらされるといつでも、ステンレス上に生じる。しかしながら、前記層は、強くはなく、化学的に不活化されたステンレス(例えば、硝酸、リン酸、クエン酸を用いて)よりも腐食に対して感受性が高い。酸性の脱染製品を広範に使用する場合、または表面に長時間接触させたままにしておく場合、腐食ダメージが生じ得る。このように、金属が一度水に曝されると、化学的に不活化されたステンレスよりも腐食に対して感受性が高まる。研磨剤を含む製品を使用した場合にも、同様の効果が見られる。研磨製品は、パッシブ層をひっかき、将来の腐食に対する潜在的な部位を作る。
【0022】
上記に基づいて、現在入手可能な濃縮洗浄剤は、その使用において多くの不都合を有する。多くは生分解性でなく、ユーザーまたは環境にやさしくなく、厳しい環境調査の対象であり、労働者の健康および安全性の問題もある。強酸性およびアルカリ性の洗浄剤は、安全性に対する危険のみならず、付加的な腐食効果により、それが使用される医療器具および他の機器の使用期間を制限する。大きな容積は、しばしば現場で、効率的な操作のために必要とされ、大きな容器は洗浄剤の供給のためにしばしば使用される。これらの大きな容器は、貴重なスペースを占有し、製品容器の容積および重量による人間工学的なリスクを伴う。従来の製品は、低濃度での腐食阻害およびスケール制御のいずれも達成しておらず、1つの製品において、スケール制御および腐食阻害の特性と共に脱染能力を有するものはない。
【0023】
腐食阻害剤、スケール制御成分(キレート剤、金属イオン封鎖剤)、界面活性剤および緩衝系の相乗的な組み合わせを含んでなる新規の高度に濃縮された洗浄用組成物が発明され、それは、驚くべきことに、生分解性であること、中性であること、腐食を阻害すること、スケール制御をすること、および脱染することの特性を1つの濃縮された製剤中に有する。前記組成物は、従来の薬剤により必要とされる濃度よりもずっと低い濃度範囲である1/40oz./gal.〜1/10oz./gal.で効果的な腐食阻害およびスケール制御を提供する。さらに、前記組成物は、変色した金属表面に直接適用する場合に、15分〜1時間の接触時間の後においても金属表面にダメージを与えることなく変色を除去することができる。
【0024】
組成物の緩衝系は中性のpHを与え、それは、組成物の物理学的な安定性および金属との適合性の両方に対して重要である。前記組成物は、界面活性系も使用し、それは、組成物全体の安定性を維持するため、および金属表面のぬれのために必要である。
【0025】
本発明の組成物の第1の利点は、その高度に濃縮された性質および使用において低い希釈度でよいことにより、処理コストおよび人間工学的なリスクおよび貯蔵スペースが減ることである。従来の洗浄剤の1/10の量の使用希釈度であっても、本発明の組成物は効果的な洗浄を提供し、少なくとも従来の化学物質が達成するのと同等に、器具の保全性を維持し、水の硬度および腐食を制御する。本発明の組成物は、金属を脱染するための付加的な製品に対する必要性を排除し、酸性の脱染製品と比較して安全で腐食性が低い。
【0026】
一般的に、本発明の水性の濃縮された生分解性の洗浄剤は、以下の成分を含んでなる:
a)少なくとも1の界面活性剤;
b)少なくとも1のスケール制御成分;
c)少なくとも1の腐食阻害剤;
d)中性のpHを維持するための緩衝系;および
e)水。
【0027】
色素、香料、カップリング剤、脱泡剤、殺菌剤、酵素、溶媒のような他の成分も添加されてよい。
【0028】
本発明の目的は、医療器具および機器ならびにハード表面において使用するための濃縮洗浄剤組成物を提供することであり、上述した通常の組成物の不利益を避け、商業的な、対費用効果の高い代替物を提供する。
【0029】
本発明のさらなる目的は、取扱いおよび使用に対して安全であり、環境にやさしい濃縮洗浄剤組成物を提供することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、脱染のための付属の洗浄剤が必要ない、医療器具、機器およびハード表面における使用のための単一の濃縮洗浄組成物を提供することである。
【0031】
本発明のさらなる目的は、単一の濃縮洗浄組成物において、濃縮洗浄剤組成物を希釈した場合にも維持されるスケールコントロールおよび腐食阻害の望ましい特性を提供することである。
【0032】
本発明のさらなる目的は、必要とされる希釈されるべき濃縮物の量が少ない濃縮洗浄剤組成物を提供し、上述した利点を達成し、コストを削減することである。
【0033】
本発明のさらなる目的は、従来の洗浄剤と同等の効果を達成するために必要とされる濃縮物の量が少ない濃縮洗浄剤組成物を提供することであり、その結果として、洗浄剤組成物を貯蔵しておくための大容量の容器に対する必要性および洗浄剤の供給品を貯蔵しておくために必要なスペースを低減する。
【発明の概要】
【0034】
本発明は、医療器具および他の機器ならびにハード表面を洗浄するための新規の水性の濃縮組成物を提供し、キレート剤、金属イオン封鎖剤、腐食阻害剤および界面活性剤の相乗的な組み合わせを含んでなる。本発明の組成物は、環境にやさしく、取扱いが安全であり、経済的である。スケール制御および腐食阻害のような有利な特性は、通常の、従来の洗浄剤組成物について使用されるよりもずっと低い希釈強度に希釈して使用する場合でも維持される。それ故、これらの特性を達成するのに必要な本発明の濃縮物の量がより少ないため、非常に対費用効果の高い代替物を提供する。
【0035】
本発明の組成物は、驚くべきことに、スケール制御および腐食阻害の特性を提供するだけでなく、1つの組成物において脱染の特性も提供するため、付加的な脱染製品に対する必要性を排除する。さらに、従来の濃縮された医療器具または金属部品の洗浄剤よりもずっと低い希釈度で使用しても、濃縮物はよく作用するため、より小さな容器およびより狭い貯蔵スペースが必要とされ、人間工学的なリスクも低減される。
【0036】
一般的に、本発明の洗浄剤濃縮物は、中性のpHの組成物であり、以下に示すような成分の相乗的な組み合わせを含んでなる:
a.界面活性系;
b.1または複数のスケール制御成分;
c.1または複数の腐食阻害剤;
d.水。
【0037】
他のアジュバントが添加されてもよく、例えば、緩衝剤、色素、芳香剤、殺菌剤(過酸、フェノール、4級アミン等)、タンパク分解酵素または他の酵素であり、達成される有利な特性に影響を与えないものである。
【0038】
本発明は、本発明の詳細な説明を図面と共に読むことにより、より理解され、他の特徴および利点が明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】3/40oz.の本発明の水中の組成物を使用したスケール阻害/制御実験の結果を示す。
【発明の詳細な説明】
【0040】
本発明は、スケール制御、腐食阻害および脱染の主要な特性に関して述べている。本発明は、界面活性剤、腐食阻害剤およびスケール制御成分を含んでなり、中性のpHを有する、水性ベースの濃縮洗浄剤組成物である。1つの実施形態において、本発明の組成物は、キレート剤および金属イオン封鎖剤の両方を含むスケール制御成分;軟金属に効果的な少なくとも2の腐食阻害剤;少なくとも1つが両性である少なくとも2の界面活性剤の組み合わせ;中性pHを維持するための緩衝剤;および水を含んでなる。本発明の製剤の成分は、使用者および環境にやさしい。前記成分は、スケール制御、腐食阻害および脱染の特性を達成するために相乗的に作用するように見え、その結果として、予想外にも、既知の洗浄用組成物を使用する場合よりもずっと低い希釈度で使用できる。
【0041】
従って、本発明の製剤に独特の特徴は、通常の洗浄剤濃縮物よりも低い使用濃度でそれらの有利な性質を達成することである。本発明の製剤は、1/10oz./gal.〜1/40oz./gal.の水中における濃縮洗浄剤の使用希釈度で(通常の洗浄剤の場合、1/8oz./gal.〜2oz./gal.の使用希釈度)、水道水および脱イオン水の両方において、軟金属の腐食を効果的に阻害する。それらは、通常医療機器の洗浄のために使用される従来の洗浄剤の1/10の量の希釈度で、スケール形成を制御することもできる。好ましい希釈組成物は、約1/40oz./gal.の使用希釈度の場合15〜25ppm、約1/10oz./gal.の使用希釈度の場合65〜100ppmの範囲の活性濃度のキレート剤/阻害剤を生じる。
【0042】
本発明の製剤は、変色またはさびの除去(脱染)も提供し、濃縮洗浄剤をステンレスのような金属表面に直接塗布することにより容易に達成される。いずれかの理論により結合されることを望まないが、1つの特定の成分とは対照的に、本発明の組成物について選択される成分の特定の組み合わせは、相乗的に作用し、中性の濃縮洗浄剤において独特の性質を提供する。結果として、脱染の目的のための別の製品に対する必要性がなく、前記濃縮物の使用は金属表面に対して付加的なダメージを与えない。
【0043】
ほとんどの実施形態において、系のpHは金属の物理的安定性および適合性の両方に対して重要であるため、緩衝系は重要な要素である。さらに、界面活性系は、製剤全体の安定性を維持するために重要である。
【0044】
スケール制御
スケール形成は、水の硬度によるものである。スケールは硬く、カルシウムまたはマグネシウムのような粘着性のミネラル組成物であり、通常は結晶形態で存在する。スケール沈着は、温度、pH、濃度、流速、圧力または他の水の状態が変化した場合に生じるプロセスである。水は、カルシウムおよびマグネシウムイオン、シリカ化合物、鉄および他の鉱物のような多くの潜在的なスケールを生じさせる成分を含有する。
【0045】
好ましくは、本発明の組み合わせは、2つの別の相乗的な成分であるキレート剤および金属イオン封鎖剤を使用することによりスケール制御を達成する。キレート剤または金属イオン封鎖剤は単独でスケール制御を達成することができるが、本発明において成分の独特の組み合わせを用いると予想外の相乗的な結果が得られるため、キレート剤と金属イオン封鎖材の組み合わせが好ましい。
【0046】
キレート剤は、カルシウムおよびマグネシウムを含む金属と結合することにより、キレートとして既知の複合体を形成し、カルシウムまたはマグネシウムカチオンを炭酸アニオンとの相互作用から保護し、それによりスケール形成を妨げる。それらは、亜鉛、銅または鉄のような金属が、変色または腐食を引き起こし得る器具または洗浄表面に沈着することを防止する。一方、金属イオン封鎖剤は、異なる態様で作用する。金属イオン封鎖剤は、カルシウムまたはマグネシウム炭酸塩の形成を妨げない。むしろ、それらは小さなカルシウムおよびマグネシウム炭酸塩の粒子と相互作用し、それらが硬いスケール沈着物へと凝集することを妨げる。前記粒子は相互に退け合い、水に懸濁したままであるか、または沈降し得るゆるい凝集体を形成する。これらのゆるい凝集体は、容易にすすぎ流され、沈着物を形成しない。
【0047】
それ故、本発明の組成物のスケール制御特性の鍵となる側面は、一般的に、洗浄剤組成物に含まれる2つの異なるタイプの化学物質の使用に起因する。これら2つの化学物質(キレート剤および金属イオン封鎖剤)は、それぞれ独立にスケール制御を達成することができるが、それらの間には相乗効果が見られ、非常に低い使用希釈度(1/40〜1/10oz./gal.)で、水道水(飲用水)におけるスケール制御を可能にする。
【0048】
スケール制御のための化学物質は、市場において比較的新しく、生分解性である。本発明の組成物に対して有用な金属イオン封鎖剤には、ポリアスパラギン酸ナトリウム(Baypure DS 100)およびカルボン酸塩置換度(DS)がそれぞれ1.5、2.0および2.5であるカルボキシメチルイヌリンナトリウムが含まれる(すなわち、それぞれDequest PB 11615、Dequest PB11620およびDequest PB11625またはDequest SPE 15625として現在知られている。SPEは、実験的な名前であり、最終的に市販される名前は異なってもよい。)。好ましい金属イオン封鎖剤は、カルボキシメチルイヌリンナトリウム(DS2.5)である。もう1つの好ましい金属イオン封鎖剤は、カルボキシメチルイヌリンナトリウム(DS2.0または2.5)である。さらにもう1つの好ましい金属イオン封鎖剤は、ポリアスパラギン酸ナトリウムである。
【0049】
金属イオン封鎖性のスケール制御阻害剤は、本発明の製剤中に、濃縮物の全重量に基づいて、約1〜約10重量%、より好ましくは約2〜約7重量%、最も好ましくは約3〜約5重量%の範囲の量で存在する。2以上のスケール制御阻害剤が使用されてもよく、前記範囲は、本発明の製剤中のスケール制御阻害剤の全量を示す。
【0050】
キレート剤は、スケール制御のためにも使用される。権利請求する発明において使用するために選択されるキレート剤には、メチルグリシン二酢酸(MGDA, Trilon Mとして入手可能)、グルコヘプトン酸ナトリウム(Burco BSGH−400)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸二ナトリウム(XUS 40855.01)、イミノ二コハク酸(Baypure CX 100/34またはBaypure CX 100 Solid G)、EDDS([S,S]−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸)(Octaquest A65またはOctaquest E30)、クエン酸、グリコール酸および乳酸が含まれる。好ましいキレート剤は、イミノ二コハク酸四ナトリウム塩である。もう1つの好ましいキレート剤は、メチルグリシン二酢酸三ナトリウム塩である。さらにもう1つの好ましいキレート剤はEDDSである。
【0051】
キレート剤は、本発明の製剤中に、濃縮物の全重量に基づいて、約2〜約20重量%、より好ましくは約5〜約15重量%、最も好ましくは約8〜約12重量%の範囲の量で存在する。2以上のキレート剤が使用されてもよく、前記範囲は本発明の製剤中のキレート剤の全量を示す。
【0052】
腐食阻害
水、血液もしくは他の体液、または腐食性の液体の存在下において、金属器具/機器は、瞬時に腐食し始める傾向がある。本発明の濃縮物は、それ故、好ましくは1以上の腐食阻害剤を含んでなる。腐食阻害剤は、一般的に、洗浄されるべき金属における物性に従って選択され、組成物が種々の金属に使用できるように、1以上の腐食阻害剤を含むことが望ましいが、より環境にやさしい阻害剤を選択することが重要である。
【0053】
本発明と関連して、腐食阻害の性質は腐食阻害剤の使用により主に達成されるが、スケール制御成分および界面活性剤は同様の効果を有する。代表的な銅および黄銅の腐食阻害剤は、一般的に、例えば、アミン、硝酸塩化合物、安息香酸塩、アゾール、イミダゾール、ジアゾール、トリアゾール、カルボン酸等のような窒素または酸素を含有する化合物である。メルカプトベンゾチアゾールのようなアゾール、ならびにベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、およびトリルトリアゾールナトリウムのような芳香族トリアゾールおよびその塩は、銅および黄銅の腐食阻害剤として特に適している。アゾールベースの腐食阻害剤の組み合わせは、例えば、コブラテック(Cobratec:商標)としてPMCから入手可能である。
【0054】
上記リストにある特有の阻害剤は、アルミニウムに対する腐食阻害も提供し得る。以下に示すトリカルボン酸および/または4級アミン組成物(例えばCarboshield 1000)は、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する保護を提供する。上述したスケール制御の達成のように、本発明の組成物に特有の性質は、低い使用希釈濃度における金属保護である。
【0055】
権利請求する発明において有用な腐食阻害剤には、ウンデカン二酸 (Irgacor DC 11)、ドデカン二酸(Irgacor DC 12)、エタノール、2,2'-[[メチル-1H- ベンゾトリアゾール-l-イル)メチル]イミノ]ビス- (Irgamet 42)、 6,6',6"-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリミノ) トリス(ヘキサン酸) Irgacor L190)、ジデシルジメチルアンモニウム炭酸水素塩/炭酸塩(CarboShield 1000)、トリルトリアゾールナトリウムおよびベンゾトリアゾールナトリウムが含まれる。好ましい系は、1つの成分として、トリルトリアゾールナトリウム、ベンゾトリアゾールナトリウム、または黄色の金属(銅、黄銅等)に対するIrgamet 42のいずれかと、他の成分として、Irgacor L 190、Irgacor DC 11、Irgacor DC 12またはCarboShield 1000を含む相乗的な組み合わせを含有する。
【0056】
腐食阻害剤は、本発明の製剤中に、濃縮物の全重量に基づいて、約5〜約25重量%、より好ましくは約10〜約20重量%、最も好ましくは約12〜約18重量%の範囲の量で存在する。2以上の腐食阻害剤を使用してもよく、上記範囲は、本発明の製剤中における腐食阻害剤の全量を示す。
【0057】
緩衝剤
緩衝剤は、洗浄用組成物のpHを6.5〜9.0、好ましくはpH7.0〜8.0に維持するのに有効な量で使用される。有用な緩衝系は、塩酸カリウムもしくは塩酸ナトリウムと共にクエン酸を含むか、またはグリコール酸もしくは乳酸のような適切な酸と共にエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン(TEA)を含む。より容易に緩衝し、腐食系を妨げる可能性が低いため、有機酸が最も好ましい。他の緩衝系は、当業者に周知である。
【0058】
界面活性剤
本発明の組成物に対して有用な界面活性剤は、両性、双性イオン性、陰イオン性、および非イオン性の界面活性剤であってよい。これらの分類に含まれる界面活性剤は、洗浄剤の分野において周知である。両性、陰イオン性、および非イオン性の界面活性剤も使用されるが、好ましい界面活性剤は双性イオン性のものである。非イオン性界面活性剤は、溶液中でスケール制御系を存続させるためにカップリング剤を必要とするため、あまり好ましくない。しかしながら、適切なカップリング剤の存在下においては、非イオン性界面活性剤も有用である。
【0059】
界面活性剤は、本発明の製剤中に、濃縮物の全重量に基づいて、約10〜約15重量%、より好ましくは約15〜約40重量%、最も好ましくは約20〜約30重量%の範囲の量で存在する。2以上の界面活性剤が使用されてもよく、前記範囲は、本発明の製剤中の界面活性剤の全量を示す。
本発明の組成物の残りは水である。
【0060】
上述したように、本発明の組成物は、濃縮された形態でも希釈された形態でも中性のpH(6.5〜9.0)である。中性の洗浄剤製品は、皮膚に対する腐食性がないため、最終消費者に対して安全である。さらに、中性の脱染(さび除去)製品は、酸性および研磨性の製品を超える固有の利点を有する。中性の組成物は、金属表面にダメージを与える可能性が低く、ステンレスのみならず種々の金属表面に使用することができる。
【0061】
本発明の洗浄用組成物は、1/40oz./gallon〜1/10oz./gallonの希釈度で、水道水および脱イオン化水中の銅、黄銅、アルミニウム、およびアルマイトの腐食、スケール形成、および変色/染色を制御することができ、経済的である。
【0062】
本発明の洗浄用組成物は、リン酸塩およびEDTAを含まず、より環境にやさしい。成分は生分解性であり、環境に対する影響を最小限にすることができる。
【0063】
本発明の高度に濃縮された組成物は、物理的に安定であり、有効期間が長い。さらに、成分およびより低い使用希釈度を考慮することにより、洗浄剤供給のために使用される通常の15ガロンの容器をより小さな容器(1.5ガロン)に置き換えることができ、処理のコストも低減できる。
【実施例】
【0064】
以下の実施例は、本発明の組成物のいくつかの実施形態および達成される利点を示す。本発明は、実施例により限定されるものではなく、当業者はここでの教示に従って種々の組成物が調製でき、同じ結果を達成できることを理解するはずである。
【0065】
実施例1−実験は、本発明の範囲に含まれる種々の配合のスケール阻害/制御特性を決定するために行われた。
【0066】
表Iは、成分を列挙し、試験される本発明の製剤における各成分の重量%を示す。
【表1】

【0067】
上記配合のサンプルは、3/40oz./gal.の濃度で使用された。各製剤について、一定分量が、96mlの脱イオン水、ならびに0.1M塩化カルシウムおよび0.1M炭酸ナトリウムをそれぞれ2mL含む瓶に計量して分けられた。各サンプル瓶の水の硬度は、200百万分率(ppm)であった。サンプル瓶は、50℃で24時間インキュベートされた。インキュベーションの後、各サンプルはろ過され、その後10%硝酸溶液で酸性化された。ろ液のカルシウム含量について、ICPにより分析した。スケール阻害/制御実験の結果は、図1に示す。
【0068】
図1は、本発明の製剤が3/40oz./gal.の使用希釈濃度でスケール制御/阻害を示し、少なくとも50%のカリウムがキレート化され、少なくとも1の製剤は95%以上のカルシウムがキレート化されるスケール制御を達成することを示す。本発明の製剤は、米国の約80%で見られるのに相当する水の硬度において効果的なスケール阻害を提供することができ、これらの製剤を潜在的に市場において広く受け入れられるようにしている。このスケール阻害は、従来の洗浄化学物質が典型的に使用されるよりもずっと低い使用希釈度で、全く予想外に達成された。
【0069】
実施例2−実験は、軟金属(銅、黄銅、アルマイト)に対する本発明の製剤の適合性を試験するために行われた。各金属および金属合金の試験クーポンは洗浄され、0.0001gまで秤量された。表1に示した各製剤の2/10oz./gal.希釈は、水道水を用いて行った。この希釈は、行う試験方法毎に選択され、物質適合性試験のために使用されるラベルおいて推奨されている最も高い濃度の2倍の希釈度を必要とする。これにより、その推奨される濃度での製品の使用が軟金属に対して有害でないことを確認する。この試験において水道水を使用することにより、金属に対する現実の洗浄条件を再現した。各金属のクーポンを各希釈液中に入れ、50℃で48時間インキュベートした。インキュベーションの後、クーポンを試験希釈液から除去し、すすいで乾燥し、その後0.0001gまで再度秤量した。重量の違いは、各クーポンについてのミル/年(mpy)の腐食速度を計算するために使用された。2/10oz./gal.の濃度で使用された上記製剤のサンプルについての実験結果を、以下の表IIに示す。
【表2】

【0070】
表IIは、本発明の製剤は、たった2/10oz./gal.の濃度で使用した場合に、軟金属への適合性および保護作用を有することを示す。この使用希釈度は、金属を保護する化学物質を含む従来の洗浄剤を使用する場合の希釈度よりもずっと低い。許容可能な結果は、金属の可視的な変化がないこと、および/またはmpyの値が1より低いこととした。
【0071】
実施例3−安定性および効果の評価
安定性および効果を評価するために、種々のキレート剤および腐食阻害剤を用いて一連の濃縮された製剤が調製された。本発明の製剤の高度に濃縮された性質のため、完全に製剤化された製品の長期安定性を達成することは挑戦を意味した。実験の一部として、人工的な条件下(40℃および50℃で保存)で物理的な製品安定性が評価された。表IIIに示す製剤が評価された。
【表3】

【0072】
前記製剤は、濃縮形態で評価された。それらは、粘度、pH、透明性および外見について分析された。全ての製剤は、上述した人工的な条件下において、最低2週間の保存時間の後、全ての基準に対して良好な物理的安定性を示した。全ての製剤の粘度は、長時間にわたって、8〜15センチポイズの一定範囲に維持された。pHシフトはわずかであり、ほとんどが±0.5以下であった。全ての製剤は、透明なままであり、保存条件に関わらず、長時間にわたって色の変化を示さなかった。
【0073】
実施例4−変色実験
通常の洗浄剤で約2年間処理した後の重度に変色し、ダメージを受けた黄銅は、濃縮されたレベルの洗浄剤が変色を除去し、および/またはダメージを修復することができるかどうかを決定するために、本発明の製剤を用いて試験された。金属容器(basin)は、テープを用いて断片に分けられた。4つの断片のそれぞれは、異なる製品/製剤を塗布された。塗布後、断片は室温で30分間静置された。切片はその後、湿ったペーパータオルで拭かれ、乾燥した製品および変色が除去された。結果は、写真で示した。配合E(表IIIを参照されたい)で処理された容器の部分は、最終的な外見が最も良好であり、最も改善され、他の化学物質を適用した場合と比較して、脱染において優れていた。2番目に優れた改善が見られたのは、S−Klenzとして既知のSteris社により製造された酸性の製品を適用した場合であった。適用された残り2つの化学物質については、Criti-Klenz Liquid Concentrateとして既知のSterisにより製造されたアルカリ性の製品で処理された切片において、主に界面活性剤および尿素で構成される中性の固体製品の5%溶液を適用した場合よりも改善が見られた。
【0074】
本発明を実施する者および当該分野で通常の知識を有する者によれば、開示された概念から逸脱することなく本発明に種々の修飾および改善がなされてよいことは理解されるであろう。与えられる保護範囲は、特許請求の範囲および法律により許容される解釈の幅により決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属および表面の洗浄において使用するための高度に濃縮された洗浄用組成物であって、
a.少なくとも1の界面活性剤;
b.少なくとも1のスケール制御成分;
c.少なくとも1の腐食阻害剤;
d.緩衝系;および
e.水
を含んでなり、スケール制御、腐食阻害および脱染の特性を有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される洗浄用組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記両性界面活性剤は、ベタイン、イミノ二プロピオン酸塩またはそれらの混合物を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記スケール制御成分は、キレート剤と金属イオン封鎖剤の組み合わせを含んでなる洗浄用組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記腐食阻害剤は、ウンデカン二酸;ドデカン二酸;2,2'-[[メチル-1H- ベンゾトリアゾール-l-イル)メチル]イミノ]ビス-エタノール ;6,6',6"-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリミノ) トリス(ヘキサン酸);ジデシルジメチルアンモニウム炭酸水素塩/炭酸塩;トリルトリアゾールナトリウム;ベンゾトリアゾールナトリウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される洗浄用組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記キレート剤は、メチルグリシン二酢酸;グルコヘプトン酸ナトリウム;ヒドロキシエチルイミノ二酢酸二ナトリウム;イミノ二コハク酸;S,S−エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸;またはそれらの2以上の混合物を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項7】
請求項4に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記金属イオン封鎖剤は、ポリアスパラギン酸ナトリウム、カルボキシメチルイヌリンナトリウム、またはそれらの混合物を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項8】
金属および表面の洗浄において使用するための高度に濃縮された洗浄用組成物であって、
a.約10〜約50重量%の量の少なくとも1の界面活性剤;
b.約1〜約10重量%の量の少なくとも1のスケール制御成分;および
c.約5〜約25重量%の量の少なくとも1の腐食阻害剤
を含んでなり、前記量は濃縮された洗浄用組成物の全重量に基づいたものである洗浄用組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記界面活性剤は、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤またはそれらの混合物を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記両性界面活性剤は、ベタイン、イミノ二プロピオン酸塩またはそれらの混合物を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項11】
請求項8に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記スケール制御成分は、キレート剤と金属イオン封鎖剤の組み合わせを含んでなる洗浄用組成物。
【請求項12】
請求項8に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記腐食阻害剤は、ウンデカン二酸;ドデカン二酸;2,2'-[[メチル-1H- ベンゾトリアゾール-l-イル)メチル]イミノ]ビス-エタノール ;6,6',6"-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリミノ) トリス(ヘキサン酸);ジデシルジメチルアンモニウム炭酸水素塩/炭酸塩;トリルトリアゾールナトリウム;ベンゾトリアゾールナトリウムおよびそれらの混合物からなる群より選択される洗浄用組成物。
【請求項13】
高度に濃縮された洗浄用組成物であって、
a.約5〜約15重量%の量の少なくとも1の界面活性剤;
b.約5〜約15重量%の量の少なくとも1の腐食阻害剤;
c.約10〜約15重量%の量の少なくとも1のスケール制御成分;および
d.水
を含んでなり、前記重量%は濃縮された洗浄用組成物の全重量に基づいたものである洗浄用組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記界面活性剤は、オクチルベタインおよびエチルヘキシルイミノ二プロピオン酸二ナトリウムを含んでなる洗浄用組成物。
【請求項15】
請求項13に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記腐食阻害剤は、トリルトリアゾールナトリウムおよびポリカルボン酸を含んでなる洗浄剤組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記ポリカルボン酸は、6,6',6"-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリミノ) トリス(ヘキサン酸)を含んでなる洗浄用組成物。
【請求項17】
請求項13に記載の濃縮された洗浄用組成物であって、前記スケール制御成分は、イミノ二コハク酸およびカルボキシメチルイヌリンナトリウムを含んでなる洗浄用組成物。
【請求項18】
以下の成分を含んでなる、高度に濃縮された洗浄用組成物:
a.さらにオクチルベタインおよびエチルヘキシルイミノ二プロピオン酸二ナトリウムを含んでなる界面活性系;
b.さらにイミノ二コハク酸およびカルボキシメチルイヌリンナトリウムを含んでなるスケール制御成分;
c.さらにトリルトリアゾールナトリウムおよびポリカルボン酸を含んでなる腐食阻害剤;
d.緩衝系;および
e.水。
【請求項19】
以下を含んでなる、金属および表面を脱染するための方法:
a.さらにオクチルベタインおよびエチルヘキシルイミノ二プロピオン酸二ナトリウムを含んでなる界面活性系;さらにイミノ二コハク酸およびカルボキシメチルイヌリンナトリウムを含んでなるスケール制御成分;さらにトリルトリアゾールナトリウムおよびポリカルボン酸を含んでなる腐食阻害剤;および水を含む濃縮された洗浄用組成物を変色した金属表面に塗布することと;
b.前記表面に塗布した濃縮された洗浄用組成物を室温で約30分間静置することと;
c.前記表面を湿ったタオルまたは他の紙製の物質で拭き、乾燥した前記濃縮された洗浄用組成物および変色を除去すること。

【図1】
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【公表番号】特表2010−535888(P2010−535888A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519921(P2010−519921)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/009231
【国際公開番号】WO2009/020546
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(302044247)アメリカン ステリライザー カンパニー (24)
【Fターム(参考)】