説明

医療器具

【課題】内視鏡本体の細径化を図ることができ、内視鏡の先端部を迅速かつ安全に目的部位に挿入することができる医療器具を提供すること。
【解決手段】医療器具10は、穿刺針8と、穿刺針8の内腔に軸方向に移動可能に挿入された内視鏡1と、内視鏡1を穿刺針8に対して先端方向に付勢するコイルバネ15を備えている。内視鏡1は、内視鏡本体2、撮像素子3、ライトガイド5を備えており、ライトガイド5は、ライトガイド用ルーメン21に軸方向に移動可能に挿入されている。内視鏡本体2の先端部には、その側面に開口し、ライトガイド用ルーメン5の先端部に連通する側孔22が形成されている。これにより、内視鏡1は、ライトガイド5を軸方向に移動させることにより、ライトガイド5の先端部が側孔22から突出した状態と、内視鏡本体2内に収納された状態とを採り得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腹腔内の内視鏡を用いた検査や治療では、まず、気腹を行う。この気腹では、ベレス針が用いられ、腹腔内に所定のガスを導入する。
【0003】
ベレス針は、先端に鋭利な針先を有する穿刺針と、この穿刺針内に挿入され、ガスが流れる管体とを備えている(例えば、特許文献1参照)。管体の先端部の側面には、ガスが吐出する側孔が形成され、また、管体の先端は、プラグにより封止されている。また、管体は、穿刺針の基端側に設けられたバネの付勢力により先端方向に付勢され、通常は、管体の先端部が穿刺針の針先よりも突出している。
【0004】
このようなベレス針を腹腔内に挿入する際には、管体の先端部は、腹壁に押し当てる力により穿刺針内に押し込まれ、穿刺針の針先が腹壁を穿刺する。穿刺針の針先が腹壁を貫通すると、腹壁に押し付けられていた管体の先端部は、バネの付勢力により再び穿刺針の針先より突出する。これにより、その穿刺針の針先で腹腔内の臓器を傷つけてしまうことを防止できる。そして、次に、ベレス針で穿刺して形成された孔部から内視鏡を腹腔内に挿入する。
【0005】
しかしながら、従来のべレス針では、別途、内視鏡を腹腔内に挿入する作業が必要であり、手間および時間を要するという欠点がある。
【0006】
また、従来の内視鏡では、その直径が太く、このため被検査者や患者への負担が大きく、より細い内視鏡が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3342021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、内視鏡本体の細径化を図ることができ、内視鏡の先端部を迅速かつ安全に目的部位に挿入することができる医療器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
(1)先端に鋭利な針先を有する中空の穿刺針と、
前記穿刺針の内腔に、その軸方向に移動可能に挿入された内視鏡と、
前記内視鏡を前記穿刺針に対して先端方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記内視鏡の先端部に基端方向に向って負荷がかかっていない状態では、前記穿刺針の針先から前記内視鏡の先端部が突出し、前記内視鏡の先端部に基端方向に向って負荷がかかると、前記内視鏡が前記付勢手段の付勢力に抗して基端方向に移動し、前記内視鏡の先端が前記穿刺針の針先と該穿刺針の軸方向の同じ位置または前記穿刺針の針先よりも基端側に位置し得るように構成されており、
前記内視鏡は、少なくとも1つのライトガイド用ルーメンを有する長尺状の内視鏡本体と、
前記内視鏡本体の先端に設置され、観察部位を撮像する撮像素子と、
前記ライトガイド用ルーメンに前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に挿入され、観察部位を照らす光を導光し、該光を先端部から出射する少なくとも1つのライトガイドとを備え、
前記内視鏡本体は、前記撮像素子よりも基端側に形成され、前記内視鏡本体の側面に開口し、前記ライトガイド用ルーメンの先端部に連通する側孔を有し、
前記ライトガイドを前記内視鏡本体の軸方向に移動させることにより、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態と、前記内視鏡本体内に収納された状態とを採り得るよう構成されていることを特徴とする医療器具。
【0010】
(2)前記内視鏡本体の基端側に設けられ、前記ライトガイドを移動操作する移動操作手段を有する上記(1)に記載の医療器具。
【0011】
(3)前記移動操作手段は、操作部本体と、
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記ライトガイドが連結された操作部材とを有する上記(2)に記載の医療器具。
【0012】
(4)前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記内視鏡本体が連結された内視鏡本体支持部を有し、
前記付勢手段は、前記操作部本体に設置され、前記内視鏡本体支持部を先端方向に付勢するバネである上記(3)に記載の医療器具。
【0013】
(5)前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に位置しているとき、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出することを阻止する突出阻止手段を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療器具。
【0014】
(6)前記内視鏡本体の基端側に設けられた操作部本体と、前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記ライトガイドが連結された操作部材とを有し、前記ライトガイドを移動操作する移動操作手段と、
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記内視鏡本体が連結された内視鏡本体支持部とを備え、
前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に位置しているとき、前記操作部材に当接して該操作部材の先端方向への移動を阻止し、前記内視鏡本体支持部に設けられた第1の当接部を有し、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出することを阻止する突出阻止手段を備える上記(1)に記載の医療器具。
【0015】
(7)前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に移動することを阻止する移動阻止手段を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の医療器具。
【0016】
(8)前記内視鏡本体の基端側に設けられた操作部本体と、前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記ライトガイドが連結された操作部材とを有し、前記ライトガイドを移動操作する移動操作手段と、
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記内視鏡本体が連結された内視鏡本体支持部とを備え、
前記内視鏡本体支持部に設けられた第1の係合部と、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記第1の係合部と係合し、前記操作部本体に設けられた第2の係合部と、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記内視鏡本体支持部に当接して前記第1の係合部と第2の係合部との係合の解除を阻止し、前記操作部材に設けられた第2の当接部とを有し、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に移動することを阻止する移動阻止手段を備える上記(1)または(6)に記載の医療器具。
【0017】
(9)前記付勢手段は、前記操作部本体に設置され、前記内視鏡本体支持部を先端方向に付勢するバネである上記(6)または(8)に記載の医療器具。
【0018】
(10)前記穿刺針は、前記操作部本体に固定されている上記(3)、(4)、(6)、(8)、(9)のいずれかに記載の医療器具。
【0019】
(11)前記穿刺針は、前記操作部本体に対して着脱自在に装着されるものである上記(3)、(4)、(6)、(8)、(9)のいずれかに記載の医療器具。
【0020】
(12)移動操作手段は、前記ライトガイドの前記側孔からの突出長を規制する機能を有している上記(2)ないし(4)、(6)、(8)ないし(11)のいずれかに記載の医療器具。
【0021】
(13)前記ライトガイド用ルーメンの先端部は、前記内視鏡本体の中心軸に対して傾斜している上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の医療器具。
【0022】
(14)前記内視鏡本体の軸方向から見たとき、前記ライトガイド用ルーメンは、前記撮像素子よりも内側に位置している上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の医療器具。
【0023】
(15)前記内視鏡本体の軸方向から見たとき、前記内視鏡本体の少なくとも先端部は、前記撮像素子より外側に突出していない上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の医療器具。
【0024】
(16)前記内視鏡本体は、直線状をなす硬質部材で構成されている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の医療器具。
【0025】
(17)前記ライトガイドは、その先端部の側面の少なくとも一部と、先端とから光を出射するよう構成されている上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の医療器具。
【0026】
(18)前記ライトガイドの先端部は、自然状態で所定の形状に湾曲または屈曲している上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の医療器具。
【0027】
(19)前記ライトガイドを2つ有し、
前記内視鏡本体は、前記ライトガイド用ルーメンを2つ有しており、該2つのライトガイド用ルーメンは、前記内視鏡本体の中心軸を介して互いに対向するように配置されている上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の医療器具。
【0028】
(20)前記内視鏡は、子宮鏡または腹腔鏡である上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の医療器具。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、内視鏡の先端部を迅速かつ安全に目的部位に挿入することができる。
また、ライトガイドが移動可能であり、そのライトガイドの先端部は、使用時以外は、撮像素子よりも基端側の内視鏡本体内に収納しておき、使用時に、内視鏡本体の側孔から突出させることができるので、内視鏡本体を細径化することができる。これにより、穿刺針の外径を小さくすることができ、被検査者や患者への負担を軽減することができる。
【0030】
また、状況に応じて、ライドガイドを移動させ、その先端部を最適な位置に配置することにより、状況に応じた最適な照明を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の医療器具の第1実施形態を示す側面図および平面図である。
【図2】図1に示す医療器具の断面図である。
【図3】図1に示す医療器具の先端部の断面図およびケーシングの断面図である。
【図4】図1に示す医療器具の断面図である。
【図5】図1に示す医療器具の断面図である。
【図6】本発明の医療器具の第2実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の医療器具の第3実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の医療器具の第4実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の医療器具を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の医療器具の第1実施形態を示す図であって、図1(a)は、側面図、図1(b)は、平面図である。図2は、図1に示す医療器具の断面図である。図3は、図1に示す医療器具の断面図であって、図3(a)は、先端部の断面図、図3(b)は、ケーシングの断面図である。図4および図5は、図1に示す医療器具の断面図である。
【0033】
なお、以下では、図1〜図8中の左側を「先端」、右側を「基端(後端)」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0034】
また、図3(a)および図7では、その他の図に対し、図中の縦方向を横方向よりも強調して記載している。
【0035】
図1〜図5に示すように、医療器具10は、先端に鋭利な針先を有する中空の穿刺針8と、穿刺針8の内腔に、その軸方向に移動可能に挿入された内視鏡1とを備えている。
【0036】
内視鏡1は、生体の管腔内に挿入される長尺状の内視鏡本体2と、内視鏡本体2の先端に設置され、観察部位を撮像する撮像素子3と、撮像素子3の先端に設置され、複数または単数のレンズ等で構成された撮像光学系4と、観察部位を照らす光を導光し、その光を先端部から出射する2つのライトガイド5とを備えている。
【0037】
本発明の医療器具における内視鏡の用途は、特に限定されないが、例えば、子宮内を観察する子宮鏡、経膣的に使用される経膣的内視鏡として用いることが好ましい。本実施形態では、代表的に、内視鏡1を腹腔鏡、すなわち、経膣的腹腔鏡とする場合について説明する。
【0038】
以下、医療器具10の各構成要素について順次説明する。
穿刺針8は、直線状をなしている、また、穿刺針8は、先端に鋭利な針先を有するとともに、その先端部に刃面が形成されている。この穿刺針8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。
【0039】
また、穿刺針8の先端部には、超音波で検出し得る超音波マーカーが設けられていることが好ましい。これにより、例えば、超音波プローブを用い、得られた画像を見て、穿刺針8の先端部の位置を確認しつつ操作を行うことができる。
【0040】
超音波マーカーとしては、例えば、複数の微小な凹凸等が挙げられる。すなわち、金属材料で構成された穿刺針8の表面に複数の微小な凹凸を形成することにより、その凹凸が形成された部位を超音波で検出できる。
【0041】
内視鏡1の撮像素子3としては、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を用いることができる。
【0042】
この撮像素子3と撮像光学系4とは、図示の構成では、ケーシング内に収納され、一体化された1つのパッケージになっている。本明細書では、そのケーシングを含めて、撮像素子3の部分を撮像素子3と言い、撮像光学系4の部分を撮像光学系4と言う。これら撮像素子3および撮像光学系4により、撮像手段が構成される。なお、撮像素子3と撮像光学系4とが別体として設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0043】
また、撮像素子3および撮像光学系4の内視鏡本体2の軸方向から見たときの外形形状は、それぞれ、特に限定されないが、図示の構成では、円形をなしている。また、撮像素子3の外径と撮像光学系4の外径とは、等しい。
【0044】
また、内視鏡本体2のその軸方向から見たときの外形形状は、特に限定されないが、図示の構成では、円形をなしている。この内視鏡本体2は、直線状をなし、その全長に亘って、可撓性、すなわち柔軟性のある部材で構成されている。内視鏡本体2が直線状をなすことにより、内視鏡本体2、すなわち内視鏡1を容易に穿刺針8に対して移動させることができる。内視鏡本体2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種の樹脂材料を用いることができる。
【0045】
なお、内視鏡本体2の基端部が硬質部材で構成され、基端部よりも先端側の部位が、可撓性を有していてもよく、また、内視鏡本体2の先端部が可撓性を有し、先端部よりも基端側の部位が、硬質部材で構成されていてもよい。また、内視鏡本体2は、その全長に亘って硬質部材で構成されていてもよい。
【0046】
また、内視鏡1の先端部には、超音波で検出し得る超音波マーカーが設けられていることが好ましい。この超音波マーカーは、その構成材料として、例えば、前述した穿刺針8の構成材料として例示したものと同様のものを用い、その表面に複数の微小な凹凸を形成することにより構成することができる。
【0047】
内視鏡本体2には、2つのライトガイド用ルーメン21が形成されている。各ライトガイド用ルーメン21は、それぞれ、内視鏡本体2の基端から先端部まで形成されている。すなわち、各ライトガイド用ルーメン21の先端部は、それぞれ、内視鏡本体2の先端部に位置し、基端は、それぞれ、内視鏡本体2の基端に開口している。また、各ライトガイド用ルーメン21は、内視鏡本体2の中心軸Oを介して互いに対向するように配置されている。なお、各ライトガイド用ルーメン21は、中心軸Oを介して互いに対向するように配置されていなくてもよいことは言うまでもない。各ライトガイド用ルーメン21は、同様であるので、以下では、代表的に、一方のライトガイド用ルーメン21について説明する。
【0048】
また、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、内視鏡本体2の少なくとも先端部は、撮像素子3より外側に突出していない。図示の構成では、内視鏡本体2の外径は、その全長に亘って一定であり、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、内視鏡本体2は、その全長に亘って撮像素子3より外側に突出していない。すなわち、内視鏡本体2の外径と撮像素子3の外径とは等しく、撮像素子3の外周面と内視鏡本体2の外周面とが段差のない連続面を形成している。また、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、ライトガイド用ルーメン21は、撮像素子3よりも内側に位置している。
【0049】
これにより、内視鏡本体2の外径を小さくすることができ、それにより穿刺針8の外径も小さくすることができ、これによって、被検査者や患者への負担を軽減することができる。
【0050】
この内視鏡本体2および撮像素子3の外径は、それぞれ、10mm以下であることが好ましく、0.3〜5.0mm程度であることがより好ましく、0.5〜2.0mm程度であることがさらに好ましい。
【0051】
また、内視鏡本体2には、ケーブル用ルーメン23が形成されている。ケーブル用ルーメン23は、内視鏡本体2の基端から先端まで形成されている。すなわち、ケーブル用ルーメン23の先端部は、内視鏡本体2の先端に開口し、基端は、内視鏡本体2の基端に開口している。また、ケーブル用ルーメン23は、内視鏡本体2の中心に配置されている。
【0052】
撮像素子3の各配線を含むケーブル6は、ケーブル用ルーメン23を挿通し、そのケーブル6の基端部は、コネクタ72に接続されている。
【0053】
コネクタ72は、図示しない光源や制御部等を有する制御・光源装置の対応するコネクタに着脱自在に接続され、その制御・光源装置と撮像素子3との間で、画像信号や制御信号等の各信号の送受信がなされる。
【0054】
各ライトガイド5は、それぞれ、ライトガイド用ルーメン21に内視鏡本体2の軸方向に移動可能に挿入されている。なお、各ライトガイド5は、同様であるので、以下では、代表的に、一方のライトガイド5について説明する。
【0055】
ライトガイド5は、光を導光することができるものであれば特に限定されないが、本実施形態では、効率良く導光する観点から、1本の光ファイバーまたは光ファイバーを複数本束ねてなる光ファイバー束で構成されている。なお、光ファイバー束の各光ファイバーは、互いに固定され、一体化されている。光ファイバーの構成材料としては、例えば、各種の樹脂材料やガラスが挙げられるが、樹脂材料が好ましい。また、ファイバーを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリカーボネートおよびポリクロロスチレン等が挙げられる。
なお、ライトガイド5の先端には、図示しない投光レンズが設けられていてもよい。
【0056】
ここで、前記内視鏡本体2の先端部には、内視鏡本体2の側面に開口し、2つのライトガイド用ルーメン21の先端部に連通する2つの側孔22が形成されている。各側孔22は、それぞれ、撮像素子3よりも基端側に形成されている。なお、各側孔22は、同様であるので、以下では、代表的に、一方の側孔22について説明する。
【0057】
これにより、内視鏡1は、ライトガイド5を内視鏡本体2の軸方向に移動させることにより、ライトガイド5の先端部が側孔22から突出した状態(以下、「突出状態」とも言う)(図5参照)と、内視鏡本体2内に収納された状態(以下、「収納状態」とも言う)(図2、図3(a)参照)とを採り得る。
【0058】
内視鏡1を収納状態とすることにより、内視鏡本体2を円滑に移動させることができ、また、ライトガイド5の損傷を防止することができる。
【0059】
そして、内視鏡1を突出状態とすることにより、ライトガイド5の先端部から出射する光によって観察部位を照明することができる。また、状況に応じて、ライトガイド5を移動させ、その先端部を最適な位置に配置することにより、状況に応じた最適な照明を行うことができる。
【0060】
また、ライトガイド用ルーメン21の先端部は、中心軸Oに対して所定角度傾斜している。これにより、ライトガイド5の先端部を側孔22から円滑に突出させることができる。
【0061】
このライトガイド用ルーメン21の先端部の中心軸Oに対する傾斜角度θは、1〜45°程度であることが好ましく、1〜30°程度であることがより好ましい。これにより、ライトガイド5の先端部を側孔22から突出させるときのライトガイド5の移動量を比較的少なくしつつ、そのライトガイド5の先端部を側孔22から円滑に突出させることができる。
【0062】
また、内視鏡本体2のライトガイド用ルーメン21の内周面には、例えば、潤滑剤を塗布する等の摩擦低減処理を施してもよい。これにより、ライトガイド5を円滑に移動させることができる。
【0063】
また、ライトガイド5は、ライトガイド用ルーメン21を挿通し、そのライトガイド5の基端部は、コネクタ71に接続されている。
【0064】
コネクタ71は、制御・光源装置の対応するコネクタに着脱自在に接続される。制御・光源装置の光源から発せられた光は、ライトガイド5の基端から入射し、ライトガイド5により導光され、ライトガイド5の先端から出射し、所定の部位が照明される。照明光としては、特に限定されず、例えば、白色光、レーザ光等の単色光等が挙げられる。
【0065】
また、内視鏡本体2および穿刺針8の基端側には、操作部11が設置されている。
操作部11は、ケーシング(操作部本体)9と、レバー(操作部材)13と、内視鏡本体支持部14と、内視鏡1を穿刺針8に対して先端方向に付勢する付勢手段であるコイルバネ(バネ)15とを有している。各ライトガイド5およびケーブル6は、それぞれ、ケーシング9内を挿通している。なお、ケーシング9およびレバー13により、各ライトガイド5を内視鏡本体2の軸方向に移動操作する操作手段の主要部が構成される。
【0066】
ケーシング9の外形形状は、長手形状、図示の構成では四角柱状で、その先端部が先細りした形状をなしている。ケーシング9の長手方向と、内視鏡本体2の軸方向とは、一致している。なお、ケーシング9の外形形状は、前記の形状に限らず、その他、例えば、円柱状で、その先端部が先細りした形状等が挙げられる。
【0067】
また、ケーシング9の上側の壁部951には、その壁部951を貫通する長孔961が形成されている。この長孔961は、ケーシング9の長手方向に沿って、ケーシング9の中央部から基端部まで形成されている。
【0068】
また、ケーシング9内には、内視鏡本体支持部14、レバー13およびコイルバネ15のそれぞれの所定の部位が収納された空間91および92が形成されている。空間91は、ケーシング9内の上側に位置し、ケーシング9の長手方向に沿って、ケーシング9の先端部から基端部まで形成されている。また、空間92は、空間91の下方に位置し、ケーシング9の長手方向に沿って、ケーシング9の先端部から基端部まで形成されている。また、空間91および92の上下方向の長さ、すなわち高さは、それぞれ、その先端部が中央部から基端部までの部位よりも高く設定されている。
【0069】
また、壁部951の空間91の先端部に臨む内面には、凹部(第2の係合部)97が形成されている。この凹部97内の上側の面は、その先端部を除き、基端方向に向って凹部97の深さが漸減するように傾斜している。
【0070】
また、空間91と空間92とを仕切る壁部952の先端部には、その壁部952を貫通する長孔962がケーシング9の長手方向に沿って形成されている。
【0071】
また、壁部952の中央部から基端部までの部位には、その壁部952を貫通する長孔963がケーシング9の長手方向に沿って形成されている。
【0072】
内視鏡本体支持部14は、前記ケーシング9内に、内視鏡本体2の軸方向に移動可能に設置されており、この内視鏡本体支持部14には、内視鏡本体2が連結されている。すなわち、内視鏡本体支持部14は、内視鏡本体2の基端部が固定された固定部141と、固定部141の上部から基端方向に向って延出する突出部(第1の当接部)142とを有している。突出部142は、その基端部に、上方に向って突出する突起(第1の係合部)143を有している。この突起143の上面は、その先端部を除き、基端方向に向って突起143の高さが漸減するように傾斜している。固定部141には、貫通孔144が形成されており、内視鏡本体2の基端部は、貫通孔144に挿入され、その貫通孔144において固定部141に固定されている。
【0073】
なお、初期状態、すなわち内視鏡1の先端部に基端方向に向って負荷がかかっていない状態では、内視鏡本体支持部14の突出部142は、ケーシング9内の空間91の先端部に配置され、固定部141は、空間92の先端部に配置されている。また、初期状態では、突出部142は、空間91の上部に位置し、突起143は、凹部97内に挿入され、突出部142の下方に、後述するレバー13の突出部134が挿入し得る隙間が形成されている。
【0074】
この内視鏡本体支持部14は、ケーシング9内の空間92の先端部に設置されたコイルバネ15により、先端方向に付勢されるようになっている。コイルバネ15の先端側は、内視鏡本体支持部14の固定部141に当接し、基端部は、ケーシング9内の壁部に当接している。コイルバネ15は、外力が付与されていない自然状態、または若干収縮して内視鏡本体支持部14を先端方向に付勢した状態で設置されている。なお、各ライトガイド5およびケーブル6は、コイルバネ15内を挿通している。
【0075】
レバー13は、ケーシング9に対し、内視鏡本体2の軸方向に移動可能に設置されている。なお、レバー13は、内視鏡本体2よりも基端側に位置している。
【0076】
このレバー13には、各ライトガイド5が連結されている。すなわち、レバー13は、各ライトガイド5の途中の部位が固定された固定部131と、固定部の上方に位置し、指等で操作される指当部132と、固定部131と指当部132とを接続する接続部133と、接続部133の中央部から先端方向に向って延出する突出部(第2の当接部)134とを有している。
【0077】
固定部131には、2つの貫通孔135と、1つの貫通孔136とが形成されている。図示の構成では、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、各貫通孔135は、貫通孔136を介して互いに対向するように配置されている。各貫通孔135には、それぞれ、対応するライトガイド5が挿通し、その貫通孔135において固定部131に固定され、また、貫通孔136には、ケーブル6が挿通している。なお、各貫通孔135は、貫通孔136を介して互いに対向するように配置されていなくてもよい。
【0078】
レバー13は、その指当部132のみが、ケーシング9の上面上に位置し、固定部131、接続部133および突出部134は、ケーシング9内に収納されている。なお、初期状態では、突出部134は、ケーシング9内の空間91の基端部に配置され、固定部131は、空間92の基端部に配置されている。
【0079】
また、ケーシング9の先端部、すなわち空間92の先端側には、その空間92に連通する貫通孔93が形成されている。穿刺針8の基端部は、貫通孔93に挿入され、その貫通孔93においてケーシング9に固定されている。これにより、穿刺針8の内腔と空間92とが連通する。
【0080】
また、ケーシング9の基端部、すなわち空間92の基端側には、その空間92に連通する2つの貫通孔941と、1つの貫通孔942とが形成されている。図示の構成では、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、各貫通孔941は、貫通孔942を介して互いに対向するように配置されている。各貫通孔941には、それぞれ、対応するライトガイド5が挿通し、また、貫通孔93には、ケーブル6が挿通している。
【0081】
ここで、この医療器具10においては、図2および図3(a)に示すように、初期状態、すなわち内視鏡1の先端部に基端方向に向って負荷がかかっていない状態では、穿刺針8の針先から内視鏡1の先端部が突出している。これにより、穿刺針8の針先で臓器等を損傷させてしまうことを防止することができる。
【0082】
一方、図4に示すように、内視鏡1の先端部に基端方向に向って負荷がかかると、内視鏡1がコイルバネ15の付勢力に抗して基端方向に移動し、内視鏡1の先端が穿刺針8の針先と穿刺針8の軸方向の同じ位置または穿刺針8の針先よりも基端側に位置し得るようになっている。これにより、穿刺針8の針先で生体を穿刺することができる。
【0083】
また、初期状態において、レバー13を先端方向に移動させると、これとともに各ライトガイド5が先端方向に移動し、また、レバー13を基端方向に移動させると、これとともに各ライトガイド5が基端方向に移動する。
【0084】
また、図2および図3(a)に示すように、レバー13の基端側が、ケーシング9の基端部に当接している状態では、各ライトガイド5の先端部は、ライトガイド用ルーメン21内、すなわち、内視鏡本体2内に収納されている。
【0085】
そして、レバー13を先端方向に移動させると、各ライトガイド5は先端方向に移動し、各ライトガイド5の先端部は、側孔22から外部に突出する。
【0086】
さらにレバー13を先端方向に移動させると、各ライトガイド5はさらに先端方向に移動し、各ライトガイド5の先端部は、側孔22からさらに外部に突出する。この各ライトガイド5の先端部の突出、すなわち、各ライトガイド5の先端方向への移動は、レバー13の先端側がケーシング9の先端部に当接するまで行うことができる。
【0087】
各ライトガイド5の先端部の側孔22からの突出長の最大値は、特に限定されないが、各ライトガイド5の先端が、撮像光学系3の先端よりも先端側に位置するように設定されることが好ましい。これにより、観察部位を確実に照明することができる。
【0088】
ここで、図4に示すように、側孔22が穿刺針8の針先よりも基端側に位置している状態では、内視鏡本体支持部14の突出部142の突起143がレバー13の突出部134の先端部に当接し、これにより、レバー13の先端方向への移動が阻止される。これにより、各ライトガイド5の先端部が側孔22から突出することが阻止され、各ライトガイド5の先端部が穿刺針8の内壁に当って損傷してしまうことを防止することができる。なお、突出部142により、突出阻止手段の主要部が構成される。
【0089】
また、穿刺針8と内視鏡1との間の隙間に生体組織等が詰まったり、また、内視鏡1の先端部が臓器等に接触して、コイルバネ15の付勢力では内視鏡1が初期状態に戻らないときは、レバー13を先端方向に移動させると、そのレバー13とともに、内視鏡本体支持部14が先端方向に移動し、穿刺針8の針先から内視鏡1の先端部が突出し、初期状態に戻り、また、前述したように、各ライトガイド5の先端部は、側孔22から外部に突出する。
【0090】
また、図2に示すように、初期状態では、内視鏡本体支持部14の突出部142の突起143は、ケーシング9の凹部97内に挿入され、その凹部97と係合しており、また、突出部142の下方に、レバー13の突出部134が挿入し得る隙間が形成されている。そして、各ライトガイド5の先端部が側孔22から突出した状態のときは、レバー13の突出部134は、前記隙間に挿入されている。これにより、突出部134が、下方から突出部142に当接し、突出部142が下方に移動することが阻止され、これにより、突起143と凹部97との係合が解除されることが阻止される。これによって、内視鏡本体支持部14が基端方向に移動することが阻止され、ライトガイド5の側孔22が穿刺針8の針先よりも基端側に移動することを防止することができ、各ライトガイド5の先端部が穿刺針8の内壁に当って損傷したり、また、その際に生じたライトガイド5の破片が体内に残ってしまうことを防止することができる。なお、突起143、凹部97および突出部134により、移動阻止手段の主要部が構成される。
【0091】
なお、本実施形態では、各ライトガイド5が一体的に移動するように構成されているが、これに限らず、各ライトガイド5が別々に移動するように構成されていてもよい。
【0092】
また、ライトガイド5およびライトガイド用ルーメン21の数は、それぞれ、2つに限らず、1つでもよく、また、3つ以上でもよい。
【0093】
また、内視鏡1がライトガイド5を2つ以上有し、内視鏡本体2がライトガイド用ルーメン21を2つ以上有している場合は、各ライトガイド用ルーメン21は、内視鏡本体2の周方向に沿って等間隔に配置されていることが好ましい。なお、各ライトガイド用ルーメン21の配置は、等間隔でなくてもよいことは言うまでもない。
【0094】
また、ライトガイド5は、その先端のみから光を出射する構成のものに限定されず、例えば、先端部の側面の少なくとも一部と、先端とから光を出射するよう構成されていてもよい。この場合、例えば、ライトガイド5の先端部の側面全体から光を出射するように構成したり、また、その側面のうちの非連続な複数の箇所から光を出射するように構成することができる。
【0095】
これにより、撮像素子3により撮像される観察部位全体を明るく照明することができ、視野を広くすることができる。また、ライトガイド5の先端部に目盛りを設けることにより、撮像素子3によりその目盛りを撮像することができ、これによって、診断部の位置が把握し易くなる。
【0096】
ライトガイド5の先端部の側面から光を出射させる方法としては、例えば、ライトガイド5の先端部、すなわち、ライトガイド5を構成する光ファイバーの先端部の側面を研摩または研削したり、複数の微小な凹部を形成する。
【0097】
次に、医療器具10の使用時の手順の一例を説明する。
図2および図3(a)に示すように、初期状態、すなわち内視鏡1の先端部に基端方向に向って負荷がかかっていない状態では、穿刺針8の針先から内視鏡1の先端部が突出している。
【0098】
この状態で、医療器具10の先端部を膣内から穿刺し、卵管等の目的の部位に位置させる。この際、図4に示すように、内視鏡1の先端部に基端方向に向って負荷がかかり、内視鏡1がコイルバネ15の付勢力に抗して基端方向に移動し、内視鏡1の先端が穿刺針8の針先よりも基端側に移動し、穿刺針8の針先で穿刺することができる。そして、医療器具10の先端部が卵管内に移動すると、図2および図3(a)に示すように、内視鏡1の先端部にかかっていた負荷がなくなり、コイルバネ15の付勢力により、内視鏡1は、先端方向に移動し、その先端部が穿刺針8の針先から突出し、初期状態に戻る。これにより、穿刺針8の針先で卵管内を損傷させてしまうことを防止することができる。また、内視鏡本体2の外径および穿刺針8の外径が小さいので、被検査者や患者の負担を軽減することができる。
【0099】
なお、前記医療器具10の先端部の卵管内への挿入は、例えば、超音波プローブを用い、得られた画像を見て、穿刺針8や内視鏡1の先端部の位置を確認しつつ行うことができる。
【0100】
次に、図5に示すように、レバー13を先端方向に移動させ、各ライトガイド5を先端方向に移動させる。これにより、各ライトガイド5の先端部が、側孔22から外部に突出してゆく。この際、撮像素子3により撮像された画像を見ながら、明るく鮮明な画像が得られるまで各ライトガイド5を移動させる。以上で準備が完了し、検査や治療を行う。
【0101】
次に、医療器具10を抜去する際は、図2および図3(a)に示すように、内視鏡1を収納状態とする。すなわち、レバー13を、その基端部がケーシング9の基端部に当接するまで、基端方向に移動させる。そして、この収納状態で、医療用器具10を抜去する。
【0102】
以上説明したように、この医療器具10によれば、その先端部を迅速かつ安全に目的部位に挿入することができる。
【0103】
また、内視鏡本体2を細径化することができ、これにより、被検査者や患者への負担を軽減することができる。
【0104】
また、状況に応じて、各ライトガイド5を移動させ、その先端部を最適な位置に配置することにより、状況に応じた最適な照明を行うことができる。
【0105】
なお、本発明では、移動操作手段に、ライトガイド5の側孔22からの突出長を規制する機能を設けてもよい。
【0106】
この構成例としては、レバー13とケーシング9との一方に、内視鏡本体2の軸方向に沿って複数の凹凸を形成し、他方に、その凹凸の凹部に挿入される突起を形成する。これにより、レバー13は、ケーシング9に対し、内視鏡本体2の軸方向に位置決めされ、これによって、レバー13が不本意に移動してしまうことを防止することができる。また、レバー13を移動させる際は、突起が各凹凸の凸部を乗り越えながらレバー13が移動することにより、クリック感が得られる。
【0107】
したがって、前記複数の凹凸および突起により、レバー13を内視鏡本体2の軸方向に位置決めする手段であるクリック機構、すなわち、ライトガイド5の側孔22からの突出長を規制する手段の主要部が構成される。
【0108】
また、本発明では、ケーシング9等には、ライトガイド5の側孔22からの突出長を示す目盛りが設けられていてもよい。これにより、ライトガイド5の側孔22からの突出長を容易かつ確実に把握することができる。
【0109】
また、本発明では、内視鏡本体2に、例えば、穿刺、薬液等の液体の投与・吸引、バイオプシー、縫合、クリッピング等を行うための他のルーメンを設けてもよい。この場合、そのルーメンの先端は、内視鏡本体2の撮像素子3よりも基端側の側面に開口する。これにより、内視鏡本体2を細径化することができる。
【0110】
<第2実施形態>
図6は、本発明の医療器具の第2実施形態を示す断面図である。
【0111】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0112】
図6に示す第2実施形態の医療器具10では、穿刺針8が操作部11のケーシング9に対して着脱自在に装着されるように構成されている。
【0113】
すなわち、穿刺針8の基端部には、ケーシング9の先端部に着脱自在に装着されるハブ81が設けられている。このハブ81は、ケーシング9の先端部に嵌合し得るよう構成されている。
【0114】
この医療器具10では、ケーシング9の先端部に穿刺針8のハブ81を装着し、その装着状態で使用できることはもちろんのこと、先に、穿刺針8のみを単独で穿刺し、その後、内視鏡1を穿刺針8の内腔に挿入し、ケーシング9の先端部に穿刺針8のハブ81を装着して使用することもできる。
【0115】
なお、この第2実施形態は、後述する第3実施形態および第4実施形態にも適用することができる。
【0116】
<第3実施形態>
図7は、本発明の医療器具の第3実施形態を示す断面図である。
【0117】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0118】
図7に示す第3実施形態の医療器具10では、ライトガイド5の先端部は、外力が付与されていない自然状態で所定の形状に湾曲または屈曲している。したがって、ライトガイド5の先端部は、側孔22から外部に突出すると、その復元力により、元の湾曲または屈曲形状に戻る。この場合、ライトガイド5の先端部の自然状態での形状は、直線状以外であれば、特に限定されないが、図示の構成では、ライトガイド5の先端面が内視鏡本体2の中心軸Oに対して垂直になるように、ライトガイド5の先端部が湾曲している。これにより、内視鏡本体2の前方を照明し易くなり、撮像素子3により撮像される観察部位を確実に照明することができ、より明瞭な画像を得ることができる。
【0119】
また、ライトガイド5は、その中心軸を中心に回動可能にライトガイド用ルーメン21に挿入されている。これにより、ライトガイド5の先端を様々な方向に向けることができ、特に明るく照明したい部位を明るく照明することができる。
【0120】
具体的には、ライトガイド5は、レバー13に対して、内視鏡本体2の軸方向には移動できず、ライトガイド5の中心軸を中心に回動し得るように設置されている。これにより、レバー13を内視鏡本体2の軸方向に移動操作すると、ライトガイド5は、そのレバー13とともに、内視鏡本体2の軸方向に移動する。また、ライトガイド5のうちのケーシング9の基端から基端方向に突出した部位を把持し、ライトガイド5をその中心軸を中心に回動させることができる。
【0121】
<第4実施形態>
図8は、本発明の医療器具の第4実施形態を示す断面図である。
【0122】
以下、第4実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0123】
図8に示す第4実施形態の医療器具10は、手動操作の他に、自動的に、制御・光源装置の光源を発光させることができるように構成されている。
【0124】
すなわち、医療器具10は、ライトガイド5の先端部が側孔22から外部に突出したことを検出する検出手段として、タッチセンサ12を有している。このタッチセンサ12の図示しない配線の基端部は、コネクタ72に接続されており、コネクタ72が制御・光源装置の対応するコネクタに接続されると、そのタッチセンサ12から制御・光源装置に信号を送信することが可能になる。
【0125】
タッチセンサ12は、ケーシング9の所定部位、図示構成では、長孔963内の壁部952に設置されており、レバー13が、ライトガイド5の先端部が側孔22から外部に突出する位置に移動したとき、そのタッチセンサ12にレバー13が接触するように構成されている。
【0126】
ライトガイド5の先端部が側孔22から外部に突出し、タッチセンサ12にレバー13が接触すると、タッチセンサ12から制御・光源装置に、前記ライトガイド5の先端部が側孔22から外部に突出したことを示す信号が送信される。制御・光源装置の制御部は、前記信号を受信すると、光源を発光させる。これにより、ライトガイド5の先端から光が出射し、所定の部位が照明される。このように、この医療器具10によれば、制御・光源装置の光源を発光させる操作を手動で行う必要がなく、操作を簡略化することができる。
【0127】
なお、制御・光源装置の制御部により、検出手段によりライトガイド5の先端部が側孔22から外部に突出したことが検出されたとき、光源を発光させる制御を行う制御手段が構成される。
【0128】
以上、本発明の医療器具を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0129】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 内視鏡
10 医療器具
2 内視鏡本体
21 ライトガイド用ルーメン
22 側孔
23 ケーブル用ルーメン
3 撮像素子
4 撮像光学系
5 ライトガイド
6 ケーブル
71、72 コネクタ
8 穿刺針
81 ハブ
9 ケーシング
91、92 空間
93、941、942 貫通孔
951、952 壁部
961〜963 長孔
97 凹部
11 操作部
12 タッチセンサ
13 レバー
131 固定部
132 指当部
133 接続部
134 突出部
135、136 貫通孔
14 内視鏡本体支持部
141 固定部
142 突出部
143 突起
144 貫通孔
15 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に鋭利な針先を有する中空の穿刺針と、
前記穿刺針の内腔に、その軸方向に移動可能に挿入された内視鏡と、
前記内視鏡を前記穿刺針に対して先端方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記内視鏡の先端部に基端方向に向って負荷がかかっていない状態では、前記穿刺針の針先から前記内視鏡の先端部が突出し、前記内視鏡の先端部に基端方向に向って負荷がかかると、前記内視鏡が前記付勢手段の付勢力に抗して基端方向に移動し、前記内視鏡の先端が前記穿刺針の針先と該穿刺針の軸方向の同じ位置または前記穿刺針の針先よりも基端側に位置し得るように構成されており、
前記内視鏡は、少なくとも1つのライトガイド用ルーメンを有する長尺状の内視鏡本体と、
前記内視鏡本体の先端に設置され、観察部位を撮像する撮像素子と、
前記ライトガイド用ルーメンに前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に挿入され、観察部位を照らす光を導光し、該光を先端部から出射する少なくとも1つのライトガイドとを備え、
前記内視鏡本体は、前記撮像素子よりも基端側に形成され、前記内視鏡本体の側面に開口し、前記ライトガイド用ルーメンの先端部に連通する側孔を有し、
前記ライトガイドを前記内視鏡本体の軸方向に移動させることにより、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態と、前記内視鏡本体内に収納された状態とを採り得るよう構成されていることを特徴とする医療器具。
【請求項2】
前記内視鏡本体の基端側に設けられ、前記ライトガイドを移動操作する移動操作手段を有する請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記移動操作手段は、操作部本体と、
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記ライトガイドが連結された操作部材とを有する請求項2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記内視鏡本体が連結された内視鏡本体支持部を有し、
前記付勢手段は、前記操作部本体に設置され、前記内視鏡本体支持部を先端方向に付勢するバネである請求項3に記載の医療器具。
【請求項5】
前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に位置しているとき、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出することを阻止する突出阻止手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の医療器具。
【請求項6】
前記内視鏡本体の基端側に設けられた操作部本体と、前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記ライトガイドが連結された操作部材とを有し、前記ライトガイドを移動操作する移動操作手段と、
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記内視鏡本体が連結された内視鏡本体支持部とを備え、
前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に位置しているとき、前記操作部材に当接して該操作部材の先端方向への移動を阻止し、前記内視鏡本体支持部に設けられた第1の当接部を有し、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出することを阻止する突出阻止手段を備える請求項1に記載の医療器具。
【請求項7】
前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に移動することを阻止する移動阻止手段を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の医療器具。
【請求項8】
前記内視鏡本体の基端側に設けられた操作部本体と、前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記ライトガイドが連結された操作部材とを有し、前記ライトガイドを移動操作する移動操作手段と、
前記操作部本体に対し、前記内視鏡本体の軸方向に移動可能に設置され、前記内視鏡本体が連結された内視鏡本体支持部とを備え、
前記内視鏡本体支持部に設けられた第1の係合部と、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記第1の係合部と係合し、前記操作部本体に設けられた第2の係合部と、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記内視鏡本体支持部に当接して前記第1の係合部と第2の係合部との係合の解除を阻止し、前記操作部材に設けられた第2の当接部とを有し、前記ライトガイドの先端部が前記側孔から突出した状態のとき、前記側孔が前記穿刺針の針先よりも基端側に移動することを阻止する移動阻止手段を備える請求項1または6に記載の医療器具。
【請求項9】
前記付勢手段は、前記操作部本体に設置され、前記内視鏡本体支持部を先端方向に付勢するバネである請求項6または8に記載の医療器具。
【請求項10】
前記穿刺針は、前記操作部本体に固定されている請求項3、4、6、8、9のいずれかに記載の医療器具。
【請求項11】
前記穿刺針は、前記操作部本体に対して着脱自在に装着されるものである請求項3、4、6、8、9のいずれかに記載の医療器具。
【請求項12】
移動操作手段は、前記ライトガイドの前記側孔からの突出長を規制する機能を有している請求項2ないし4、6、8ないし11のいずれかに記載の医療器具。
【請求項13】
前記ライトガイド用ルーメンの先端部は、前記内視鏡本体の中心軸に対して傾斜している請求項1ないし12のいずれかに記載の医療器具。
【請求項14】
前記内視鏡本体の軸方向から見たとき、前記ライトガイド用ルーメンは、前記撮像素子よりも内側に位置している請求項1ないし13のいずれかに記載の医療器具。
【請求項15】
前記内視鏡本体の軸方向から見たとき、前記内視鏡本体の少なくとも先端部は、前記撮像素子より外側に突出していない請求項1ないし14のいずれかに記載の医療器具。
【請求項16】
前記内視鏡本体は、直線状をなす硬質部材で構成されている請求項1ないし15のいずれかに記載の医療器具。
【請求項17】
前記ライトガイドは、その先端部の側面の少なくとも一部と、先端とから光を出射するよう構成されている請求項1ないし16のいずれかに記載の医療器具。
【請求項18】
前記ライトガイドの先端部は、自然状態で所定の形状に湾曲または屈曲している請求項1ないし17のいずれかに記載の医療器具。
【請求項19】
前記ライトガイドを2つ有し、
前記内視鏡本体は、前記ライトガイド用ルーメンを2つ有しており、該2つのライトガイド用ルーメンは、前記内視鏡本体の中心軸を介して互いに対向するように配置されている請求項1ないし18のいずれかに記載の医療器具。
【請求項20】
前記内視鏡は、子宮鏡または腹腔鏡である請求項1ないし19のいずれかに記載の医療器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−110469(P2012−110469A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261009(P2010−261009)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】