説明

医療用物品及び医療用物品の受発注システム

【課題】 人為的なミスがなく、簡便かつ正確に医療用物品の使用情報が収集できると共に、病院に預託した物品の使用実績に基づく物品販売業者の請求書発行と使用物品の在庫の補充を行うための発注業務を自動的に行う取引管理システムを提供する。
【解決手段】 読取装置を介して電気的に接続されたアンテナ11を有するコンピュータシステム10と、信号の送信及び/又は受信が妨げられるように設けられたICタグを有する包装材内に滅菌された状態で封入された医療用物品100とを有し、ICタグは、包装材が開封されて医療用物品100の滅菌状態が解消されることにより、ICタグとアンテナ11とが無線通信可能となり、コンピュータシステム10はアンテナ11と無線通信可能な状態となったICタグから医療用物品の製品情報を読み取り、その読み取られた製品情報に基づき、専用回線または外部ネットワーク20を介して発注する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院における医療器具、医薬品ならびに医療補助品など、予め滅菌包装された物品を開封(使用)したことにより生じる情報に基づき、特定の処置に使用された医療物品を正確に把握、記録すると共に、医療用品販売業者と病院の取引を自動的に行う受発注システム、及びそのシステムで使用される医療用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
病院において、バーコードやICタグを用いて手術用器具などの管理を行う方法が提案されている。
【0003】
例えば、病院において使用される器具や、その器具を入れたパックに直接バーコードを付けて管理する方法については、特許文献1に記載された医療管理システムがあるが、一般にバーコードリーダと呼ばれている光学式の読取装置をバーコードに近づけて、情報をその都度手で操作して読み取る必要があり、このような操作は煩雑なばかりでなく、操作が行われないと情報を収集できないという情報漏れの欠点がある。
【0004】
また、ICタグをそれぞれ組み込んだ各物品と物品をカートに積載し、手術の前後でカートを読み取りゲートに通し、使用した(カートから無くなった)物品の情報を収集する手術使用物品管理システムが特許文献2に開示されている。このシステムは手で読取装置を操作する煩雑さはないが、使用された物品の情報を得るために、物品を積載したカートを手術前と手術後にアンテナと読取装置を装着した専用ゲートにくぐらせて、手術前後の製品情報の差で使用物品を特定するものである。したがって、ゲートをくぐらせないと情報を収集できないのみならず、使用済みの物品がカートに残っていたり、カートに積載されていなかった物品が追加、混入した場合には、使用物品の正確な情報を得られないという欠点がある。また、手術に使用する物品の数は百以上に及ぶ場合があるが、ICタグを組み込んだカードを各物品に装着するという従来なかった手間が余分にかかることになり、作業効率を追及する病院にとっては受け入れがたいものである。
【0005】
一方、バーコードやICタグを用いた病院と医療用品販売業者の取引支援システムが、特許文献3や特許文献4に開示されている。
【0006】
特許文献3に記載されているものは、病院が医療材料を発注する際に、物品に接着可能なように接着剤が塗布されかつ2次元バーコ−ドが印刷された管理ラベルを納入業者に渡し、納入業者から病院の倉庫部門への納品、倉庫部門から病院内部署への出庫、病院内部署から倉庫部門への払い出し請求のたび毎に、物品に貼られたバーコードをバーコードリーダで読取り、病院内の管理を行うものである。物品の使用時には、上記管理ラベルに切り取り可能に設けられた物品シールを、物品から切り離して払い出し請求用台紙に張り替え、請求を受けた倉庫部門が物品シールをバーコードリーダによって読み取ることによって物品使用情報が収集される。このシステムにおいては、物品用シールの貼付という煩雑さがあり、シールの取り忘れがあると正確な使用情報が得られないという問題がある。また、物品が使用されたことで自動的に納入業者に発注されるというものでもない。
【0007】
特許文献4に記載されているものは、カテーテルなどの医療物品管理システムに関するもので、スキャナを介してコンピュータに連結されたアンテナが内部に取り付けられた、扉付き収納庫により入出庫管理を行う。入庫時には物品情報を入力装置で手入力すると共に、物品にIDタグからなる管理ラベルを貼り付ける。物品出庫後は、扉を閉めることによりアンテナから電波が送信されて内部に残った物品のIDタグ情報を収集し、入庫情報と照合することにより、出庫情報が得られる。この出庫情報に基づいて発注情報が自動的に納入業者に送信される。このシステムにおいては、出庫即発注という自動化は達成されるが、管理ラベルの貼付の煩雑さに加え、入庫情報が手入力によってなされるので、人為ミスの発生が避けられないのみならず、使われずに戻された物品や実際には使われず紛失したものの確認が自動的に行われないという欠点がある。
【特許文献1】特開2003−16198号公報
【特許文献2】特開2002−179223号公報
【特許文献3】特開2003−132145号公報
【特許文献4】特開2002−119577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上述べたように、従来提案されている病院においてバーコードやICタグを使用するシステムでは、バーコードリーダでバーコードを読み取らせたり、或いは、手術前や後にICタグを専用ゲートにくぐらせるなどの人為的な操作が必要であり、作業効率が悪いとともに、人為ミスが避けられない問題があった。
【0009】
本発明は上記のような人為的なミスがなく、簡便かつ正確に医療用物品の使用情報が収集できると共に、病院に預託した物品の使用実績に基づく物品販売業者の請求書発行と使用物品の在庫の補充を行うための発注業務を自動的に行う取引管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の医療用物品は、信号の送信及び/又は受信が妨げられるように設けられたICタグを有する包装材内に滅菌された状態で封入された医療用物品であって、ICタグは包装材を開封して医療用物品の滅菌状態を解消することにより信号の送信及び/又は受信が可能となるよう封入されてなるものである。
【0011】
また本発明の医療用物品の受発注システムは、読取装置を介して電気的に接続された第1アンテナを有するコンピュータシステムと、信号の送信及び/又は受信が妨げられるように設けられたICタグを有する包装材内に滅菌された状態で封入された医療用物品と、を有し、ICタグは、包装材が開封されて医療用物品の滅菌状態が解消されることにより、ICタグと第1アンテナとが信号の送信及び/又は受信が可能な状態となり、コンピュータシステムは第1アンテナと信号の送信及び/又は受信が可能な状態となったICタグから信号を受信して医療用物品の製品情報を読み取り、記憶する記憶部を有し、この記憶部に記憶された製品情報に基づき、専用回線または外部ネットワークを介して、当該製品を納入業者に発注する発注手段を有することを特徴とする医療用物品の受発注システムとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の医療用物品によると、包装材を開封して滅菌状態を解消することにより信号の送信が可能となるICタグが取り付けてあるので、医療用物品の使用を自動的に記録して管理することが可能になり、簡便な病院内医療物品管理ならびに自動発注、請求が可能になる。
【0013】
この場合、ICタグは、電磁波遮断シートに挟まれた状態で密封されており、電磁波遮断シートは、包装材の開封に伴って電磁波遮断シートが開封されるよう包装材に一体化されてなることで、包装材の開封でICタグによる信号の送信が可能になる構造とすることが簡単にできる。
【0014】
また、ICタグは、信号の送受信用アンテナを有し、そのアンテナをショートさせる導線線が張付けられており、導線線は、包装材の開封に伴って導電線が送受信用アンテナから剥脱されるよう包装材に一体化されてなることで、アンテナをショートによって、簡単にICタグから信号を送信させることができない状況にすることができる。
【0015】
また、医療用物品とICタグとは、異なる区画にそれぞれ封入され、包装材を開封することにより、両区画とも開封されるようにしたことで、包装材に封入された医療用物品だけを滅菌状態とすることができ、ICタグを滅菌状態とする必要がなく、ICタグを滅菌状態とするための問題を解決できる。
【0016】
また、医療用物品は、包装材が未開封の滅菌状態でも信号の送受信が可能な第2ICタグを更に有することで、第2ICタグからの信号で未開封の医療用物品管理が行えるとともに、開封することで送信が可能となるICタグからの信号の受信状態と組み合わせることで、より高度な管理が可能になる。
【0017】
また本発明の医療用物品の受発注システムによると、医療用物品の使用を自動的に記録して管理することが可能になり、製品の記録を人為ミスがなく正確に収集することができ、簡便な病院内医療物品管理ならびに自動発注、請求が可能なシステムを提供することができる。
【0018】
この場合、医療用物品は、包装材が未開封の滅菌状態でも信号の送受信が可能な第2ICタグを更に有し、第2ICタグの信号を受信可能な第2アンテナを医療用物品の保管場所に設置し、第2アンテナが受信した医療用物品の製品情報から、保管場所に入庫された医療用物品の情報を記憶し、保管場所より取り出された医療用物品の情報を記憶する在庫出庫確認データベースを更に有することで、医療用物品の在庫状況についても正確に検出して管理できるようになる。
【0019】
また、在庫出庫確認データベースは、医療用物品の使用を管理するコンピュータシステム内に設けられることで、医療用物品の在庫と使用を確実に管理できるようになる。
【0020】
また、在庫出庫確認データベースが入庫および出庫の時間情報を製品情報と関連付けて記憶することで、使用期限などの時間に関する管理についても可能になる。
【0021】
また、医療用物品が、在庫出庫確認データベースで出庫とされ、かつ出庫時間より所定期間経過後にICタグの開封に伴う情報を受信していなかった場合に、医療用物品が紛失されたと判断することで、紛失時の補充などの対処が簡単かつ迅速にとれるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
本例においては、病院内で使用する医療用物品に適用したものであり、滅菌された状態で保管される医療用物品の受発注システムとしたものである。
【0023】
まず、図1〜図4を参照して、本例の医療用物品の構成を説明する。
図1は、本例の医療用物品である医療製品収納パック100の構成例を示した平面図である。医療製品収納パック100は、医療製品(医療用物品)を収納する収納部101を有し、収納部101に、滅菌された状態で医療用物品(図示せず)が収納される。具体的には、例えば図3に断面で示すように、透明な合成樹脂製シート102と、ガス透過性シート103とで構成して、図1に示すように、両シート102,103の周囲を密着させて、両シート102,103の間で形成される空間を、収納部101とする。ガス透過性シート103は、不織布等からなる。
【0024】
収納部101に収納される医療用物品としては、例えば、人体の、特に血管に導入するカテーテル及びその付属品などがある。このような医療用物品は、滅菌されたものである必要がある。通常これらは一回限りの使い捨て製品であり、滅菌状態で密封された包装形態で販売され、開封により滅菌状態が解消されたら、その後使用しなくても廃棄せざるを得ない。したがって、開封=使用済として取り扱うことができる。
【0025】
ガス透過性のシート103は、ガス(気体)は透過するが、細菌類が通さない性質を有するシートである。ガス透過性のシート103を使用してあることで、滅菌にエチレンオキサイドガスを使用できる。なお、ガンマ線滅菌や電子線滅菌等ガスを使用しない滅菌の場合は、ガス透過性のシートを使用しないで、密封される包装形態としてもよい。
【0026】
医療製品収納パック100は、合成樹脂製シート102側を引き裂いて開封するような構成になっている。即ち、図1及び図3に示すように、合成樹脂製シート102は長方形のパックの長手方向(図1の右端側)に延伸されて、その延伸部の上側に開封用シート110が貼り付けてある。この開封用シート110は、合成樹脂製シートの材料よりも強度の高いシート材料で形成されており、開封用シート110の先端部は、つまみ部112となって突出していて、V字型の引き裂きライン111に沿って容易に引き裂くことができる構成としてある。引き裂きライン111は、透明な合成樹脂製シート102に張付けてある粘着テープ等の補強部材によって規定される。従って、例えば図2に示すように、つまみ部112を他方の短辺方向へ引っ張ることによって、医療製品収納パック100の表面の合成樹脂製シート102がV字型に引き裂かれ、収納部101に収納された医療用物品を取り出せるようになっている。図4は、図3と同じ断面で開封時に引き裂かれる状態を示した図である。
【0027】
そして本例においては、この医療製品収納パック100の収納部101から延伸した部分に、ICタグを取り付けるようにしてある。本例のICタグは、後述するICタグ読み取り用のアンテナの近傍に位置した場合に、そのICタグが内蔵するICチップに記憶されたデータを無線通信で読み出すことができ、また場合によっては無線通信でデータをICチップに記憶させることができる。ICタグの構成としては、例えば小面積の基材上にICチップとアンテナとが配置して構成される。一般にはICタグは、ICタグ読み取り用のアンテナからの電波を受信して生じた電力で作動するようにしてあるが、ICタグそのものが電池を内蔵してもよい。
【0028】
本例の場合、図1に示すように、医療製品収納パック100に第1ICタグ130と第2ICタグ140の2個のICタグを取り付けるようにしてある。ICタグには、製品の情報として、例えば、名称、形式、滅菌ロット番号、販売者、製造者、病院名、製品固有ID番号(シリアル番号)等を記憶させておく。2つのICタグ130,140は、これらのデータを同じように記憶させてもよいが、少なくとも何れか一方のICタグ(例えば第2ICタグ140)の記憶データには、他方のICタグと区別できるデータを記憶させておく。或いは、第1ICタグ130には、そのシリアル番号などの制限されたデータと、そのICタグを区別するデータだけを記憶させてもよい。
【0029】
そして、第1ICタグ130は、医療製品収納パック100を開封しない限り、外部のアンテナと無線通信できない配置としてあり、第2ICタグ140は、医療製品収納パック100を開封しなくても、外部のアンテナと無線通信できる配置としてある。
【0030】
具体的には、第1ICタグ130については、例えば図2に示すように、開封時に引き裂かれる合成樹脂製シート102とガス透過性シート103との間に、配置する。この場合、第1ICタグ130の配置位置は、医療用物品の収納部101とは離れた位置としてあり、図3の断面で示すように、合成樹脂製シート102側のシールド膜121と、ガス透過性シート103側のシールド膜122とで挟まれた空間123に配置される。
【0031】
シールド膜121及び122は、電磁波シールド部材として機能する膜である。例えば、樹脂よりなる包装材料に導電性塗料を塗装する方法で形成することができる。導電性塗料は銅、銀、ニッケルなどの金属粉末、樹脂などのバインダならびに溶剤からなり、高い導電性を得るために少なくともこれら金属粉末が10〜15重量%含まれる。
【0032】
このような導電性塗料が塗布された樹脂をシート102,103の内側に貼り付け、その間の空間123に固定されるように、第1ICタグ130を介在させる。導電性塗料が塗布された面積は、第1ICタグ130全体を隠すことが出来るサイズであれば良い。ここでは、第1ICタグ130を介在させる空間123は、医療用物品の収納部101とは隔離された空間としてある。このように区画させることで、互いに細菌等の移動ができない。これは、滅菌の方法によっては、電磁波シールド膜121及び122がICタグを封入した空間の滅菌を妨げる可能性があるためである。なお、電磁波シールドを透過するような滅菌方法であれば、区画は必ずしも必要ではないが、滅菌の方法によってはICタグが故障する可能性もあり、区画を分けておけば、ICタグが封入された空間のみ滅菌されないように処理することもできる。
【0033】
このようにしてシールド膜121及び122で覆われた位置に第1ICタグ130を配置させることで、医療製品収納パック100が未開封の状態では、外部のアンテナと第1ICタグ130側のアンテナとの無線通信が、シールド膜121及び122で阻止されて、第1ICタグ130を認識することが出来ない状態になっている。
【0034】
そして、医療製品収納パック100を開封することで、図2及び図4に示すように、開封用シート110とともに合成樹脂製シート102が引き剥がされて、シールド膜121が取り除かれて、シールドが解除されて、第1ICタグ130が外部と無線通信できる状態になる。即ち図2に示すように、つまみ部112を持って他方の短辺方向へ引っ張ると、まず上側のシールド膜121が持ち上がり、第1ICタグ130が空気中に露呈される。次いで、医療用物品が封入された空間101が開封される。
【0035】
なお、上述した説明では、樹脂シートに導電性塗料を塗装したものを、シート102,103の内側に貼り付けるようにしたが、合成樹脂製シート102の内側のタグが装着される部分に直接導電性塗料を塗って、電磁波シールド部材として機能させても良い。更に、包装用の樹脂シートに上述した導電性材料を予め混合させてもよい。また、樹脂中にエッチング等を施したアルミニウム等の金属箔や金属のメッシュを封入させてラミネート状にしたもので、電磁波シールド材を構成させても良い。
【0036】
第2ICタグ140については、医療製品収納パック100を開封しなくても、外部のアンテナと無線通信できる配置としてあり、例えば図1に示すように、合成樹脂製シート102の表面に貼り付けてある。
【0037】
次に、このように構成される医療製品収納パック100を使用した処理システムを、図5を参照して説明する。本例においては、病院内の医療製品収納パック100を使用する部屋(例えば手術室)に、コンピュータ装置で構成されたデータ処理端末10を設置する。端末10には、医療製品収納パック100に取り付けられたICタグ130,140と無線通信を行うための第1アンテナ11及び第2アンテナ12が、ICタグの読み取り装置(図示せず)を介して接続してあり、ICタグ130,140に記憶されたデータを読み出して、端末10が判断して、後述するデータベースなどを作成するようにしてある。
【0038】
第1アンテナ11については、例えば、手術室内で、看護師等の補助者が手術に使用される医療用物品を準備するための机の近傍等に設置されている。
【0039】
第2アンテナ12については、病院内(例えば手術室内又はその近く)に設置された医療用物品の保管場所(ここでは専用保管棚と称する)13に設置し、専用保管棚13に保管されたICタグ付の医療製品収納パック100に取り付けられた第2ICタグ140のデータを受信する。従って、専用保管棚13に医療製品収納パック100を収納することで、収納された医療製品の種類や数を端末10で把握することができる。なお、この病院内の専用保管棚13に保管された未使用の医療用具は、一般には病院内にメーカまたは販売会社の所有物として預託在庫されているものである。
【0040】
第2アンテナ12は、連続的、若しくは所定間隔で定期的に駆動させて、専用保管棚13に新しい製品が入れられた場合に、第2ICタグ140から情報を入手し、端末10内でデータベースに保存する。データベースは、例えば端末10が備える記憶部14に記憶される。すなわち、データベースに保存されている製品リストと、検出される棚内の製品の第2ICタグ140から入手した情報を都度照合している。そのため、棚から製品が取り出された場合には、それまでデータベースに入っていた製品から信号が得られなくなるため、取り出されたことを情報として入手することができる。その際には、取り出された(信号の検出ができなくなった)製品の第2ICタグ140の情報を、取り出されたことを確認した日時の情報とリンクさせてデータベースに保存する。
【0041】
そして、専用保管棚13から医療製品収納パック100が取り出された場合には、その医療製品収納パック100を、上述した手術に使用される医療用物品を準備するための机に置いて、滅菌包装を開封すると、図2などを用いて説明したように、内封された第1ICタグ130が露呈され、信号の送受信が可能な状態となる。第1アンテナ11についても連続的に駆動させて、第1アンテナ11で第1ICタグ130からの信号を検出させて、その検出した情報を端末10のデータベースに格納させる。データベースは、第2アンテナ12から得られた棚からの取り出し情報と照合を行うと共に、使用済み製品としてフラグを立てる。
【0042】
端末10は、表示手段であるディスプレイを備えたコンピュータ装置であれば、デスクトップ型のコンピュータ装置でも、ノート型のコンピュータ装置でも、いずれの形態でもよい。また、図示はしないが、プリンタ装置などの周辺機器を接続してあってもよい。
【0043】
病院内の端末10は、インターネット等の外部ネットワーク10に接続される構成としてあり、外部とデータ転送が行える。ここでは、外部ネットワーク10を介してデータ転送を行う相手として、ホストコンピュータ30を設けてあり、病院内の端末10からのデータベースの更新データが、ホストコンピュータ30に随時届くようにしてある。ホストコンピュータ30へのデータ転送については、専用回線を使用したり、或いはダイヤルアップ接続で接続された電話回線を経由させてもよい。また、図5では手術室などに設置された端末10が直接外部ネットワーク20に接続される構成としてあるが、端末10から病院内のネットワークを介して病院内のサーバにデータを転送して、そのサーバで集計してから、外部ネットワーク20に送出させてもよい。
【0044】
ホストコンピュータ30では、そのデータベースの更新データに基づいて、各病院ごとの医療製品の在庫のデータベースを作成して、記憶部33に記憶させる。この記憶部33の記憶データは、医療製品の製造メーカ31側の端末に転送する。メーカ31側では、その使用された医療用具の種類及び数量のデータに基づいて、販売会社32の端末に、使用医療用具及びその請求書の配送依頼を行うデータを送信し、販売会社32側から病院に使用医療用具の補充と請求書の配送を行う。ホストコンピュータ30については、例えばメーカ31内に設置する。また、製造メーカ31では、使用された製品の製造を行う手配をする。請求書の配送については、病院内の用度課の端末に電子的に送るようにしてもよい。
【0045】
端末10は、例えば、取り出し情報入手の都度、若しくは1日1回程度の定期的な運用で、フラグのついた使用済み製品の情報を専用回線またはインターネット等の外部ネットワークを介してホストコンピュータ30に送信する。ホストコンピュータ30は送られてきた情報を病院名や日時等の情報と併せて、医療用物品の販売会社または製造会社へ送信する。このとき、ホストコンピュータは病院に対して請求書発行処理を行うこともできる。請求書発行処理は、販売会社または製造会社が行うものとしても良い。
【0046】
第1アンテナ11の設置場所としては、無線ICタグ130の電波到達距離が長い場合には、室内であれば何処でも良いが、距離が短い場合は配置場所を工夫する必要がある。上述した例では机を用いたが、他に、手術室へ医療用具を搬送するカートに無線LAN等で結ばれたアンテナを設置したり、包装材を廃棄するためのゴミ箱の例えば内側にアンテナを取り付けることにより、廃棄された包装材に付与されたICタグの情報を読み取ることにより、医療物品の使用実績データを得ることができる。
【0047】
なお、端末10は、第2アンテナ12で検知した棚からの取り出し情報入手時刻から、所定時間(例えば、12時間)を経過しても、第1アンテナ11で開封情報が入手できず、かつ棚へ戻されもしなかった場合には、該当する製品が紛失したものと判断し、その旨をホストコンピュータ30へ送信する。それを受けて、ホストコンピュータ、または販売会社もしくは製造会社は、当該製品の請求書を発行する。
【0048】
また、端末10には、患者情報や処置(手術)名を入力する入力部が設けてある。病院の補助者は、医療用物品100を開封する前後で、当該物品を使用する手術の患者情報や、手術名を入力しておけば、端末10を、患者処置の記録、管理システムとして利用することができる。
【0049】
すなわち、患者情報や処置(手術)名を記憶した患者処置データベースと使用製品のデータベースの記憶情報に基づき、患者処置記録を印刷または他のシステムに出力して利用することができる。図6は、患者処置データベースを作成する際の入力画面の例である。この入力画面では、上側に、施設名、手術日、症例のコード、手術名、病変部位、病変数、病変のうち、血管の完全閉塞があった場合はその旨、検査または治療の開始時間及び終了時間を入力する欄がある。これらの情報の内で、施設名や手術日などについては、自動的に入力されるようにしてもよい。そして、入力画面の下側には、医療処置で使用する医療器具の入力欄が表示される。具体的には、血管内カテーテル検査または治療で使用する器具がセット化された親キット(パック)の製品名、コード番号、ロット番号、固体番号の表示欄があり、また、親キットとは別に使用された個別の製品についての製品名、コード番号、ロット番号、固体番号の表示欄がある。個別の製品としては、例えば、パックに含まれない器具である血管拡張用カテーテル、ステント等の他に、パックに含まれる器具を重複して使用する場合がある。
【0050】
これらの入力項目の内で、ICタグが取り付けられた医療製品収納パック100から取り出されて使用された製品については、その種類と数が自動的に画面内の該当箇所に入力されるようにしてある。なお、これらの詳細な入力データについては、ホストコンピュータ30側には送らないようにして、ホストコンピュータ30には使用された製品の種類と数量だけを送るようにして、患者名などの個人情報が外部に漏れないようにしてもよい。
【0051】
また、図6に示すような詳細な入力画面等で、本例の開封製品を手術で使用される医療器具として自動入力させた場合には、その手術で使用することが適正か否か端末10で判断させて、適正でない場合には何らかの警告表示を行うようにしてもよい。
【0052】
次に、本例のシステムでの病院側での処理例と、ホストコンピュータ側での処理例を、それぞれフローチャートを参照して説明する。
【0053】
まず、図7のフローチャートを参照して、病院側の端末10での処理について説明すると、病院側の端末10では、第2アンテナ12で第2ICタグ140からのデータの受信があるか否か判断する(ステップS11)。ICタグからのデータの受信がある場合には、そのデータに基づいて、専用保管棚13に保管された製品のデータベースを作成する(ステップS12)。データベースを作成する際には、製品が専用保管棚13に保管された日時についても記憶させる。
【0054】
その後、第1アンテナ11で第1ICタグ130からのデータの受信があるか否か判断する(ステップS13)。ここで、受信がある場合には、データベース中の、受信したデータで示されるシリアル番号の製品に使用済フラグを設定し(ステップS14)、ステップS12に戻ってデータベースのデータを更新させる。このときには、例えば第1アンテナ11で受信した日時(すなわち製品が使用された日時)についても記憶させる。
【0055】
また、データベースの作成(更新)後に、第1アンテナ11で第1ICタグ130からのデータの受信がない場合には、データベース内の医療製品の中で、使用済フラグが設定されない状況で、第2アンテナ12で第2ICタグ140からのデータを受信できなくなった製品(すなわち使用された形跡がない状態で無くなった製品)があるか否か判断する(ステップS15)。ここでは、例えば専用保管棚13から取り出されてから、一定時間(例えば12時間)経過しても使用された形跡がない場合に、該当する判断を行う。この判断で、使用済フラグが設定されない状況で一定時間以上見つからない製品がある場合には、データベース内の該当するシリアル番号の製品に、紛失フラグを設定する(ステップS16)。
【0056】
ステップS15で紛失した製品がない場合には、予め決められたデータ送信タイミングであるか否か判断し(ステップS17)、データ送信タイミングでない場合には、ステップS11の第2アンテナ12での受信処理と、その受信データに基づいたデータベースの更新処理に戻る。なお、一定時間ごとにデータ送信タイミングを設定する場合には、前回の送信からデータベースのデータに変化がない場合にも、ステップS11の処理に戻るようにしてもよい。
【0057】
そして、ステップS17でデータ送信タイミングであると判断した場合と、ステップS16で紛失フラグが設定された場合には、端末10が記憶したデータベースのデータをホストコンピュータ30に送信し(ステップS18)、ステップステップS11の処理に戻る。
【0058】
次に、ホストコンピュータ30での処理例を図8のフローチャートを参照して説明する。ホストコンピュータ30では、このホストコンピュータ30が管理する病院の端末10からデータの転送(受信)があるか否か判断し(ステップS21)、データ転送があった場合には、その転送されたデータで、該当する病院の製品在庫や使用実績などを記憶するデータベースのデータを更新させる(ステップS22)。ここで、更新されたデータに使用済フラグ又は紛失フラグが設定されたデータがあるか否か判断する(ステップS23)。使用済フラグ及び/又は紛失フラグが設定されたデータがある場合には、その使用済フラグが設定された製品が使用された数及び/又は紛失フラグが設定された製品の数だけ請求処理を行う(ステップS24)。また、使用済フラグが設定された製品が使用された数及び/又は紛失フラグが設定された製品の数だけ、病院に補充する在庫補充処理を行う(ステップS25)。この請求処理と在庫補充処理については、例えば販売会社を経由して行う。
【0059】
このようにして病院側でICタグから受信したデータに基づいて、未使用の在庫のデータベースを作成して、そのデータベースをホスト側に送ることで、自動的な医療製品の在庫管理と請求処理が行える。従って、従来のICタグを使用したシステムのように、使用ごとに専用のゲートを通過させるなどの人為的な操作が必要なく、ミスなく確実に医療製品の使用を管理できるようになる。
【0060】
なお、ここまで説明した例では、滅菌状態では信号の送信が妨げられ、包装材を開封して滅菌状態を解消することによりICタグからの信号の送信が可能となる構成として、電磁波シールド部材でICタグを挟む構成としたが、その他の構成としてもよい。例えば、ICタグには信号の送受信用アンテナが取り付けてあるが、包装材が未開封の状態では、そのアンテナを物理的にショートさせて、ICタグから信号が送信できないようにしてもよい。
【0061】
すなわち、例えば図9に示すように、第1ICタグ130として、基材131上にICチップ132を配置し、そのICチップ132に接続されたコイル状のアンテナ133を、基材131上に配置する構成とする。このような構成の第1ICタグ130を用意した場合に、医療製品収納パック100が未開封の状態では、導電性部材からなるショート部品123をアンテナ133に接触させて、アンテナ133で電波を受信できない状態とする。ICタグは、RF信号などの電磁波をアンテナ133で受信することで、信号を送信するエネルギ(電力)を得ることができるので、結果的に第1ICタグ130から送信できない状態となる。
【0062】
ショート部品123は、容易に剥離可能な粘着材で基材の剥離紙上に張付けられたものであり、図1〜図4に示した例と同様の構成で、つまみ部を引っ張ることによって、基材131から剥がれるように構成する。このようにすることで、医療製品収納パック100を開封することにより、ショート部品123がICタグから外れて、ICタグのアンテナが正規の長さになり、電波受信(送信)可能な状態となる。なお、つまみ側の剥離紙上にICタグを貼り付け、下側にショート部品を設けて、つまみ部を引っ張って剥がすとショート部品が残留して外れる様な構成も可能である。ショート部品を構成する導電性部材としては、例えば、銅・アルミニウム等の金属や導電性のインクが用いられる。
【0063】
また、上述した実施の形態で使用される病院内の端末やホストコンピュータ装置については、汎用のコンピュータ装置に、上述した実施の形態の処理を実行するプログラム(ソフトウェア)をインストールすることで、対処可能であり、容易にシステムを組むことができる。このためのプログラムについては、各種記録媒体を介して配付する他に、インターネットなどの通信手段を介してダウンロードするようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、病院内の端末とホストコンピュータ装置との間を、何らかの通信手段で接続させて、自動的にデータ転送させるようにしたが、例えば医療製品の販売会社の社員がほぼ定期的(例えば数日毎)に病院に行って、その社員が所持した携帯型のデータ処理装置(ノート型のコンピュータ装置など)を病院内の端末に接続させて、端末に蓄積されたデータを読み出して、そのデータ処理装置に読み出したデータを、社員が販売会社に戻ってからホストコンピュータ装置側に送るような処理でもよい。
【0065】
また、上述した実施の形態では、滅菌された状態で包装材内にICタグと共に封入された医療用物品として、血管に導入するカテーテル及びその付属品などの手術に使用する医療用器具を例としたが、滅菌された状態で包装材内に封入されて保管される医療用物品あれば、その他の医療用物品(医療器具、薬品など)の包装材にも適用可能である。
【0066】
また、上述した実施の形態では、未開封の状態で読み出せない第1ICタグと、常時読み出しができる第2ICタグの双方を、医療製品収納パックに取り付けたが、第2ICタグについては医療製品収納パックに取り付けない構成として、保管棚での在庫管理などについてはICタグを使用しない別の処理で行い、未開封の状態で読み出せない第1ICタグだけを取り付けて、手術などの際に使用される医療製品の確認だけを行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施の形態による医療用物品の例を示した平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態による医療用物品の開封時の要部を拡大して示した斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3と同じ断面で示した開封状態の断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるシステム構成例を示した説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態による表示例を示した説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態による病院内の端末での処理例を示したフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態によるホストコンピュータ装置での処理例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施の形態によるICタグをショートさせる例を示した平面図である。
【符号の説明】
【0068】
10…病院内端末、11…第1アンテナ、12…第2アンテナ、13…専用保管棚、14…記憶部、20…外部ネットワーク、30…ホストコンピュータ、31…メーカ、32…販売会社、33…記憶部、100…医療製品、101…収納部、102…合成樹脂製シート、103…ガス透過性シート、104,105…接着部、110…開封用シート、111…切込み部、112…つまみ部、113,114…接着部、121,122…シールド膜、123…ショート部材、130…第1ICタグ、131…基材、132…ICチップ、133…アンテナ、140…第2ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の送信及び/又は受信が妨げられるように設けられたICタグを有する包装材内に滅菌された状態で封入された医療用物品であって、
前記ICタグは前記包装材を開封して前記医療用物品の滅菌状態を解消することにより信号の送信及び/又は受信が可能となるよう封入されてなることを特徴とする医療用物品。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用物品において、
前記ICタグは、電磁波遮断シートに挟まれた状態で密封されており、前記電磁波遮断シートは、前記包装材の開封に伴って前記電磁波遮断シートが開封されるよう前記包装材に一体化されてなる医療用物品。
【請求項3】
請求項1に記載の医療用物品において、
前記ICタグは、信号の送信及び/又は受信用アンテナを有し、該アンテナをショートさせる導電線が張付けられており、該導電線は、前記包装材の開封に伴って該導電線が前記送信及び/又は受信用アンテナから剥脱されるよう前記包装材に一体化されてなる医療用物品。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療用物品において、
前記医療用物品と前記ICタグとは、異なる区画にそれぞれ封入され、前記包装材を開封することにより、両区画とも開封される医療用物品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医療用物品において、
前記医療用物品は、前記包装材が未開封の滅菌状態でも信号の送信及び/又は受信が可能な第2ICタグを更に有する医療用物品。
【請求項6】
読取装置を介して電気的に接続された第1アンテナを有するコンピュータシステムと、
信号の送信及び/又は受信が妨げられるように設けられたICタグを有する包装材内に滅菌された状態で封入された医療用物品と、を有し、
前記ICタグは、前記包装材が開封されて前記医療用物品の滅菌状態が解消されることにより、前記ICタグと前記第1アンテナとが信号の送信及び/又は受信が可能な状態となり、
前記コンピュータシステムは前記第1アンテナと信号の送信及び/又は受信が可能な状態となった前記ICタグから信号を受信して前記医療用物品の製品情報を読み取り、記憶する記憶部を有し、
該記憶部に記憶された製品情報に基づき、専用回線または外部ネットワークを介して、当該製品を納入業者に発注する発注手段を有することを特徴とする医療用物品の受発注システム。
【請求項7】
請求項6に記載の医療用物品の受発注システムにおいて、
前記医療用物品は、前記包装材が未開封の滅菌状態でも信号の送受信が可能な第2ICタグを更に有し、前記第2ICタグの信号を受信可能な第2アンテナを前記医療用物品の保管場所に設置し、
前記第2アンテナが受信した前記医療用物品の製品情報から、前記保管場所に入庫された前記医療用物品の情報を記憶し、該保管場所より取り出された前記医療用物品の情報を記憶する在庫出庫確認データベースを更に有する医療用物品の受発注システム。
【請求項8】
請求項7に記載の医療用物品の受発注システムにおいて、
前記在庫出庫確認データベースは前記コンピュータシステム内に設けられる医療用物品の受発注システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載の医療用物品の受発注システムにおいて、
前記在庫出庫確認データベースが入庫および出庫の時間情報を製品情報と関連付けて記憶する医療用物品の受発注システム。
【請求項10】
請求項9に記載の医療用物品の受発注システムにおいて、
前記医療用物品が、前記在庫出庫確認データベースで出庫とされ、かつ出庫時間より所定期間経過後に前記ICタグの開封に伴う情報を受信していなかった場合に、前記医療用物品が紛失されたと判断する請求項9に記載の医療用物品の受発注システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−39773(P2006−39773A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216398(P2004−216398)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】