説明

医療用画像のビューの生成

医療用画像のビューを生成する画像処理システムは、患者の疑わしい診断を表す情報を受信する入力(1)と、患者の医療用画像を受信する入力(2)と、医療用画像を観察するためのビューイングパラメータの集合に対して患者の疑わしい診断をマッピングするマッパ(3)と、ビューイングパラメータの集合に従って医療用画像のビューを提供するビュージェネレータ(8)と、 疑わしい診断を一般ビューイングパラメータの集合に対してマッピングするデータベース(4)と、医療用画像のコンテンツに基づいて、一般ビューイングパラメータの集合を画像に特有のビューイングパラメータの集合に変換する変換器(5)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像のビューを生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用撮像技術が進歩するにつれて、益々多くの画像データ集合が診断を容易化するように医療スキャナにより取得されるようになっている。所与の患者について、その患者について収集された情報に基づいて、医師は、患者の診断を確立するタスクを有する。このために、医師は、医療用画像又は調査結果等の患者の調査結果に基づいて、確認又は拒絶したい仮定的診断を有することが可能である。医療用画像の場合には、医師は、診断の確認又は拒絶の助けとなる画像調査結果に対して仮定をマッピングする。画像調査結果を得るように、医師は、X線、CT又はMR等の撮像モダリティを用いて、必要な医療用画像を取得する必要があるばかりでなく、取得された医療用画像データの適切なビューを生成する必要がある。そのようなビューは、画像処理システムを用いて生成されることが可能である、そのようなビュー生成は、例えば、適切なコントラスト及び輝度レベル、ズームレベル並びにパンを手動で設定することを含むことが可能である。三次元画像データは、例えば、スライスビュー、多重平面再フォーマットビュー、又は特定の透視からの透視ビューを生成するように処理する必要がある。この処理においては、ビューの手動による生成はかなり時間を要するものである。例えば、特定の種類の癌を診断するために、必要な画像調査結果は、器官の特定領域における血管強調を有することが可能である。3D医療用画像からのそのような画像調査結果を得ることができるように、医師は、適切な断面図、又は器官を伴わない特定の血管を示す3Dレンダリングビューを生成する必要がある。それらのステップは時間を要するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
医療用画像のビューを生成するための改善されたシステムを有することは有利である。この点にうまく対処するように、本発明の第1の特徴において、
− 患者の疑わしい診断に関連する情報を受信する入力、
− 患者の医療用画像を受信する入力、
− 医療用画像を観察するためのビューイングパラメータの集合に対して患者の疑わしい診断をマッピングするマッパ、及び
− ビューイングパラメータの集合に従って医療用画像のビューを提供するビュージェネレータ、
を有するシステムを提供している。
【0004】
従って、そのシステムは、ビューイングパラメータの集合を介して、疑わしい診断に関連する医療用画像のビューを提供することができる。疑わしい診断に関連するビューを自動的に生成することにより、その疑わしい診断を確認する又は拒絶するためのビューの手動による生成の負担が医師から取り除かれる。従って、診断を実行するための医療用画像の観察は、必要な手動操作がより少ないために、より効率的になる。更に、ビュー生成は、それらのビューが自動的に生成されるために、より一貫性を有するようになる。
【0005】
マッパは、医療用画像のコンテンツに基づいて、疑わしい診断を一般ビューイングパラメータの集合に対してマッピングするためのデータベースと、一般ビューシングパラメータの集合を画像に特有のビューイングパラメータの集合に変換する変換器とを有する。多くの場合、好ましいビューは、画像コンテンツの一部の特徴のみに関連して有効である。マッピングテーブル及び変換器は、この画像コンテンツを考慮に入れて、ビューイングパラメータを画像特有のものとする。これは、特定の疑わしい診断が確認される又は拒絶されることを可能にする更に正確なビューを提供することを可能にする。
【0006】
一般ビューイングパラメータは、画像モデルに対して規定されることが可能であり、変換器は、
− 適合パラメータの集合を得るように、医療用画像に対して画像モデルを適合させるモデル適合器、及び
− 適合パラメータの集合に基づいて、画像に特有のビューイングパラメータの集合に対して一般ビューイングパラメータの集合を適合させるパラメータ適合器、
を有することが可能である。
【0007】
一般ビューイングパラメータは、一般ビューイングパラメータを表現するのに比較的ロバストな且つ直感的な方法である画像モデルに対して表現されることが可能である。
【0008】
そのモデルは形状モデルを有することが可能である。形状モデルは、例えば、画像中に存在することが期待されるオブジェクトを位置決めするのに適切であり、それらの形状モデルは、画像中にあることが期待されるオブジェクトに関して表現されることが可能である。
【0009】
一般ビューイングパラメータは、画像モデルに関連する幾何学的パラメータを有することが可能である。幾何学的画像パラメータは、ビューの重要な特徴である。画像モデルに関連してそれらを規定することは、特定の疑わしい診断をもたらすために用いられることが可能である多くの画像について有効である一般的な方法において幾何学的画像パラメータを規定することを可能にする。例えば、一般ビューイングパラメータの1つ又はそれ以上が形状モデルに関して与えられる。
【0010】
画像調査結果表示手段は、医療用画像のビューが方向付けられる画像調査結果を示すために提供されることが可能である。このように、システムのユーザは、そのユーザがこのビューによりもたらすことが可能である画像調査結果により促される。そのことは、システムがこのビューを生成した理由をユーザが理解することを可能にする。更に、そのことは、画像において探すべきものをユーザが認識することが容易であるようにする。疑惑診断表示手段は、医療用画像のビューに関連する疑わしい診断をユーザに対して示すために提供されることが可能である。このことは、疑わしい診断の放射線医師に対して指摘する役割を果たす。
【0011】
マッパは、ビューイングパラメータの集合の順序付けられたリストを生成するように備えられることが可能であり、出力は、順序付けられたリストにより規定された順序において、ビューイングパラメータのそれぞれの集合に従って、医療用画像のそれぞれのビューを提供するように備えられることが可能である。このことは、診断を行うことに関連する一連の有用な画像の効率的な見直しを可能にする。
【0012】
医療撮像ワークステーションは、上記画像処理システムを有することが可能である。
【0013】
画像処理方法は、
− 患者の疑わしい診断に関する情報を受信する段階、
− 患者の医療用画像を受信する段階、
− 医療用画像を観察するためのビューイングパラメータの集合に対して患者の疑わしい診断をマッピングする段階、及び
− ビューイングパラメータの集合に従って医療用画像のビューを提供する段階、
を有することが可能である。
【0014】
コンピュータ化されたシステムが上記の方法を実行するようにするコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータプログラムプロダクトが提供されることが可能である。
【0015】
本発明についての上記の実施形態、実行及び/又は特徴の2つ又はそれ以上が何れかの有用であるとみなされる方式で結合されることが可能であることを、当業者は理解することができるであろう。
【0016】
上記のシステムの修正及び変形に対応する、画像取得装置、ワークステーション、方法及び/又はコンピュータプログラムプロダクトの修正及び変形について、本明細書に基づいて当業者が実行することが可能である。
【0017】
当業者は、標準的なX線撮像、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、超音波(US)、陽電子放射型断層撮影(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)及び核医学(NM)等の種々の取得モダリティにより取得される多次元画像データであって、例えば、二次元(2D)、三次元(3D)又は四次元(4D)画像にその方法が適用されることが可能であるが、それらに限定されるものではないことを、当業者は理解することができるであろう。
【0018】
本発明は、独立請求項に記載されている。有利な実施形態については、従属請求項に記載されている。
【0019】
本発明の上記の及び他の特徴については、図を参照して更に明らかにすることにより十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像処理システムの特徴を示すブロック図である。
【図2】ビューを生成する方法を示すブロック図である。
【図3】形状モデルの実施例を可視化した図である。
【図4】形状モデルに関する切断面を示す図である。
【図5】MR頭部画像の矢状スライスを示す図である。
【図6】MR頭部画像に適合した形状モデルを示す図である。
【図7】形状モデルに関して規定された切断面に対応するMR頭部画像の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
所与の患者については、患者のデータであって、特に、取得された医療用画像データ集合及び疾病又は診断の1つ又はそれ以上の最初の仮定に基づいて、放射線医師は、分別診断を導出するように、その仮定を確認する又は拒絶する必要がある。このために、その放射線医師は、そのような仮定を確認する又は拒絶する特定の仮定用の画像調査結果に対して仮定をマッピングする。医師がそのような画像調査結果を示すことができる場合には、その医師は、その仮定を確認することが可能であり、そうでない場合には、彼はその仮定を拒絶することが可能である。代替として、特定の画像調査結果の存在を示す能力は、患者を診断する処置の一部であり得る。画像調査結果の存在を確認する又は拒絶するように、医師は、患者のデータについての適切なビューを生成し、そのビューにおいてその調査結果を確認する。所与の仮定を支持する又は拒絶する画像調査結果を確認するように患者データのビューを生成することは、放射線医師/医師(リーダ(reader))により実行される時間を要する、大部分が手作業である。
【0022】
高速ビュー生成を可能にするように、画像調査結果を確認する又は拒絶する適切なビューイング情報に対して仮定を自動的にマッピングするシステムが提供されることが可能である。そのようなビューイング情報は、例えば、解剖学的モデルに関する投影情報、組織モデル及び/又は撮像プロトコルに関するルックアップテーブル、複数の画像についての融合パラメータ、又は医療用画像を表示するときに特定の構造をハイライトするコンピュータ化されたシステムを命令する情報を有することが可能である。
【0023】
仮定から医療用画像を表示する特定の方法へのマッピングを実行する情報は、医療用画像処理システムに統合されることが可能である医学事典又は医学データベースに記憶されることが可能である。
【0024】
図1は、医療用画像のビューを生成するシステムを示している。そのシステムの1つ又はそれ以上の要素は、医療用ワークステーション、パーソナルコンピュータ、PACS等の分散医療用画像記憶、検索及び視覚化システムを用いて実行されることが可能である。そのようなコンピュータ化システムは、ソフトウェアコードを実行することが可能である少なくとも1つのプロセッサと、処理される医療用画像データ及び/又はソフトウェアコードを記憶する記憶手段と、を有する。そのようなメモリは、RAM、ROM、ハードドライブ、又はDVD媒体等の取り外し可能媒体を有することが可能である。通信手段は、ネットワークであって、例えば、LAN、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク又はインターネット等の通信リンクにおいてデータを送信及び受信するために備えられることが可能である。ネットワークにおいて送信されることが可能であるデータは、疑わしい診断データ、医療用画像データ、又はビューイングパラメータの集合についての情報を含む。また、ハードウェアは、人間のオペレータとのインタラクションを可能にするように備えられることが可能である。そのようなハードウェアは、マウス、キーボード及び/又はディスプレイを有することが可能である。記憶手段に記憶されている医療用画像のビューを表示するディスプレイが用いられることが可能である。人間のインタラクションは、特定の患者を選択することと、疑わしい診断を示すことと、を有することが可能である。従って、患者の疑わしい診断を示す情報を受信する入力1が備えられることが可能である。そのような疑わしい診断はまた、例えば、潜在的な診断又は仮定診断と称されることもある。その情報は、例えば、医療用画像データ集合を伴い、特定の撮像プロトコルに関連するメタデータから導出されることも可能である。その情報は、電子患者ファイルから抽出されること可能である。
【0025】
入力2は、患者の医療用画像を受信するために備えられることが可能である。上記のように、医療用画像は、例えば、ネットワーク接続を介してサーバから又は記憶手段から得られる。医療用画像は、医療用画像取得装置から直接得ることが可能である。
【0026】
マッパ3は、医療用画像を観察するためのビューイングパラメータの集合に対して患者の疑わしい診断をマッピングするために備えられることが可能である。ビューイングパラメータの集合は、専用システムが画像のビューを生成するように医療用画像に対して適用する画像処理技術を表し、その画像のビューは、疑わしい診断が患者の正確な又は不正確な診断であるかを医師が判定することを可能にすることと関連性がある。例えば、マッパ3は、画像の特定の断面を規定するパラメータを提供するために備えられることが可能であり、前記断面は、その画像の特定の方位及び位置を有し、医療用画像の多平面再フォーマットを示すことが可能である。
【0027】
ビュージェネレータ8は、ビューイングパラメータの集合に従って医療用画像のビューを提供するために備えられることが可能である。特定の断面を規定するパラメータの実施例においては、ビュージェネレータは、入力2を介して提供される医療用画像の多平面再フォーマットを生成するように備えられることが可能であり、多平面例フォーマットは、ビューイングパラメータの集合により規定される断面に対応する。
【0028】
出力9は、ビュージェネレータ8により生成された医療用画像のビューを出力するように備えられることが可能である。例えば、出力9は、ユーザへの表示時に医療用画像のビューを示すためのディスプレイに接続されることが可能である。例えば、ユーザは、放射線医師又は医師であることが可能である。マッパ3により生成された患者特有のビューイングパラメータを記憶するための及び/又はビューパラメータ8により提供されたビューを記憶するための出力9が備えられることも可能である。ビュー又は患者特有のビューイングパラメータを、他のコンピュータシステムであって、例えば、患者データベースにデータを記憶するためのサーバに送信するための出力9が備えられることも可能である。
【0029】
マッパ3は、疑わしい診断を一般ビューイングパラメータの集合に対してマッピングするデータベース4を有することが可能である。ここで、一般ビューイングパラメータは、患者の特定の医療用画像と関係ない又は特定の患者に関係ないビューイングパラメータであることが可能である。一般ビューイングパラメータは、患者に特有でないビューの形式的記述を可能にする。
【0030】
マッパ3は、一般ビューイングパラメータを画像特有のビューイングパラメータの集合に送信する送信器5を有することが可能である。この送信は、医療用画像のコンテンツに基づくものであることが可能である。
【0031】
画像モデルに関して規定された一般ビューイングパラメータの集合に対して疑わしい診断をマッピングするように、データベース4が備えられることが可能である。そのデータベースは、関連画像モデルの識別に対して疑わしい診断をマッピングするためにも備えられることが可能である。変換器5は、医療用画像に対して画像モデルを適合させるモデル適合器6を有することが可能である。この適合化処理は適合パラメータの集合をもたらすことが可能である。適合パラメータの集合は、画像モデルと医療用画像との間の違いを表すことが可能である。
【0032】
変換器5は、適合パラメータの集合に基づいて、画像に特定のビューイングパラメータの集合に一般ビューイングパラメータの集合を適合させるパラメータ適合器7も有することが可能である。従って、適合パラメータの集合は、画像に特有のビューイングパラメータの集合に一般ビューイングパラメータの集合を変換するように用いられることが可能である。
【0033】
画像モデルは形状モデルを有することが可能である。画像モデルは、代替として又は付加的に、画像に存在している画像強度レベルのモデル、例えば、画像の一部又は画像全体における画像強度レベルの平均及び/又は標準偏差を有することが可能である。画像の少なくとも一部のヒストグラムが、画像モデルとして用いられることも可能である。一般ビューイングパラメータは、形状モデルに関する1つ又はそれ以上の幾何学的パラメータを有することが可能である。一般ビューイングパラメータは、画像モデルに関する1つ又はそれ以上の変換関数パラメータも有することが可能である。そのような変換関数パラメータは、例えば、画像又は画像の一部における平均強度レベルの関数として、輝度、コントラスト、ウィンドウ幅、ウィンドウレベル、ガンマレベル等を有することが可能である。画像に特有のパラメータの集合は画像の局所的部分に特有であり得る。例えば、一般ビューイングパラメータの集合は、局所的画像コンテンツに依存して画像において変化する画像特有のパラメータに変換されることが可能である。
【0034】
表示手段は、医療用画像のビューが、命令された画像調査結果をユーザに示すように提供されることが可能である。これは、医療用画像において探すべきものをユーザが迅速に認識することを可能にする。その表示は、テキストラベル、聴覚キュー、又は画像調査結果を表す視覚的アイコンの形で提供されることが可能である。同様に又は代替として、表示手段が、医療用画像のビューに関連する疑わしい診断をユーザに対して示すように備えられることが可能である。
【0035】
マッパ3は、ビューイングパラメータの集合の順序付けられたリストを生成するように備えられることが可能である。ビュージェネレータ8は、順序付けられたリストにより規定された順序で、ビューイングパラメータのそれぞれの集合に従って、医療用画像のそれぞれのビューを提供するように備えられることが可能である。これは、医師による有効なビューを可能にする順序でビューを記憶することによりワークフローを改善する助けとなる。
【0036】
図2は、医療用画像のビューを生成する方法を示している。ステップ100は、患者の疑わしい診断に関連する情報を受信することを有する。ステップ101は、患者の医療用画像を受信することを有する。ステップ102は、医療用画像を見るためのビューイングパラメータの集合に対して患者の疑わしい診断をマッピングすることを有する。ステップ103は、ビューイングパラメータの集合に従って医療用画像のビューを提供することを有する。その方法は、コンピュータプログラムプロダクトにおいて実行されるのに適切である。
【0037】
ビューイングパラメータを生成するように、医療用画像のビューを提供するシステムは、データが取得されたときに適用されるそれぞれの撮像プロトコルのような、仮定された異常についての情報及び/又は他のビュー関連情報を用いて問い合わせされることが可能である。そのシステムはその場合、基準モデルに関して規定されるビューの(可能性高い順序付けされた)リスト及び対応するビューイングパラメータの集合を提供することが可能である。その場合、基準モデルが、実際の患者の画像データの集合に(自動的に又は半自動的に)適合されることが可能であり、その結果として得られた適合パラメータは、患者のデータに対してビューイングパラメータの集合を適合させるように用いられることが可能である。適合されたビューイングパラメータは、それぞれのビューを生成するように用いられることが可能である。
【0038】
上記のマッピングを実行するように用いられる情報は、画像調査結果及び/又はビューイングパラメータに関連する複数の可能性高い仮定(特に、仮定的診断)を有することが可能である。この情報はデータベース中に記憶されることが可能である。
【0039】
例えば、ビューイングパラメータの集合は、視力障害を含む症候を有する患者の撮像調査を読み取るために自動検索されることが可能である。本発明者は、放射線医師が、医療用画像であって、例えば、視神経疾患又は視神経鞘疾患が存在し得る仮定の下でのこの患者の脳MRTIWスキャンを実行する又は検査するように要求されることを想定する。
【0040】
仮定“視神経疾患”及び“視神経鞘疾患”は、診断的仮定からビューへのマッピングを実行することが可能であるシステムに問い合わせするように用いられることが可能である。例えば、このシステムは、有効な画像調査結果も含むデータベースを有することが可能である。更に、そのシステムは、そのような有効な画像調査結果又は仮定的診断に対応するビューイングパラメータの集合の形式的記述を有することが可能である。例えば、“視神経疾患”及び“視神経鞘疾患”については、データベースは、表1に示すようなエンティティのリストを有することが可能である。その表のエンティティに従って、システムはビューのリストに対応することが可能である。ビューは、例えば、投影情報及び/又はウィンドウパラメータ/レベルパラメータ等の付加的パラメータにより特徴付けられることが可能である。幾何学的ビューイングパラメータが、標準的解剖学的基準モデル(例えば、人間の視神経の中心線のモデル)に対して提供されることが可能であり、基準投影指定が、モデル(例えば、視神経の軸状、矢状又は冠状ビューに対応する)に対して提供されることが可能である。ウィンドウ/レベルビューイングパラメータ等の変換関数パラメータが、基準画像の所定のパラメータに対して与えられることが可能である(例えば、好ましい変換関数パラメータが与えられる画像のヒストグラムデータが収集されることが可能である)。ビューイングパラメータが、最大値投影(MIP)又は直接ボリュームレンダリング等の種々の投影方法について与えられることが可能である。ビューイングパラメータが、種々のモデルに対して与えられることが可能である。例えば、ウィンドウ/レベル設定が、CTデータについてのハウンスフィールド(Hounsfield)単位において、そしてMRデータについての画像の平均強度レベルに対して与えられることが可能である。投影行列を規定するビューイングパラメータが、明確な取得座標系等の特定の座標系に対して規定されることが可能である。
【0041】
順序付けられたビューのリストがその座標系により与えられることが可能である。それらのビューの各々は、種々のビューイングパラメータの集合に関連付けられることが可能である。それらの種々のビューイングパラメータの集合は、同じモデル又は異なるモデルに関連付けられることが可能である。例えば、ビューのリストは、それぞれの疾患のサブカテゴリの発生確率、又はそれぞれの疾患サブカテゴリの診断の緊急性に従って順序付けられることが可能である。そのような発生確率又は緊急性は、ユーザに対して定量化される及び/又は表示されることが可能である。また、ビューにおいて探索されるようになっている予測される画像調査結果についての情報が、例えば、生成されたビューの註釈等として、システムのユーザに対して与えられることが可能である。
【0042】
患者の画像データへの一般ビューパラメータの適合化が、例えば、自動的モデルに基づくセグメント化により自動的に実行されることが可能である。視神経に対して規定されたビューイングパラメータの実施例においては、視覚伝導路(例えば、眼球、視交叉、視神経及び/又は視索)の表面モデルを有する形状モデルが、患者のデータに適合されることが可能である。この表面モデル(このモデルが特定のプロトコルにより取得された患者の画像データに適合されることがどのように可能であるかについての情報を含むことが可能である)が、システムにより基準モデルとして提供されることも可能である。モデル適合化は、視覚伝導路の構造を示す患者の画像データの註釈をもたらすことが可能である。患者の視神経の主要部分の中心線の幾何学的表現が、この註釈から自動的に得られることが可能である。同様に、軸方向の/矢状方向の/冠状方向の投影方向が、その適合化されたモデルから導出されることが可能である。その場合、ビューを生成するように、データベースにより投影される投影マトリックスが患者のデータに対して適合されることが可能である。例えば、左の視神経の中心線に対して一連の5つの等距離の冠状傾斜ビューにおける第1のビューを生成するように、モデルに基づくセグメント化により患者のデータから抽出された対応する中心線が、5つの等距離の間隔に分割されることが可能である。その場合、第1の間隔のビューは、所定の幾何学的拡張、例えば、5x5cm(データベースにより戻されるビュー表現において規定される)により第1の間隔の開始点における中心線方向に対して垂直な面として規定されることが可能である。得られた(患者に特有の)投影行列は、仮定に特有の及び患者に適合された投影情報をもたらすデータベースにより投影される投影行列により乗算されることが可能である。MRデータのスライスビューを生成するように、レンダリングエンジンは、患者に適合されたウィンドウ/レベルパラメータ集合を付加的に用いることが可能である。このために、患者の画像データのヒストグラムを演算し、そしてヒストグラム限界に対してアフィン変換の範囲を適用して、平方根誤差を最小化することにより、データベースにより提供される基準ヒストグラムに対して自動的に適合させることが可能である。最適に適合するアフィン変換が、それぞれのビューにおいてウィンドウ/レベルパラメータに適用されることが可能であり、患者に適合されたウィンドウ/レベルパラメータをもたらすことが可能である。
【0043】
他の種類のビューの表現がデータベースに記憶されることが可能である。例えば、映像シーケンスを生成するために用いられることが可能であるパラメータを規定することも可能である。また、位置の患者のデータを他の患者のデータと組み合わせてビューを規定することが可能である。完全なビューイングワークフローを備えることが可能である。例えば、どの解剖学的構造が特に観察される必要があるかに関してラベルを有するどのビューが生成される必要があるかを規定し、どの画像調査結果が正常であるか及びどの画像調査結果が異常であるか、若しくはどの測定が実行される必要があるか等を規定することが可能である。データベースは、問い合わせにおいて、患者の画像データの仮定及び/又は特性が与えられるばかりでなく、データベースがビュー指定を戻す必要があることに関するモデル基準が与えられることも可能である。
【0044】
図3乃至図7は、脳MRデータ集合への上記のシステムの例示としての適用を示している。図3は、脳301の適切な形状モデル300、視神経304並びに眼球302及び303を有する画像モデルを示している。図4は、画像モデルであって、特に適合可能な形状モデル300について規定された一般ビューイングパラメータの集合の概念を示している。一般ビューイングパラメータは、適合可能な形状モデル300についての切断面401を規定している。例えば、一般ビューイングパラメータは、適合可能な形状モデル300の点に関して、切断面401上の点及び切断面401の垂直ベクトルを示す。図5は、脳501を含む三次元医療用画像の二次元スライスを示している。三次元医療用画像を構成する複数のスライスのうちの1つのスライスのみが、その図において単に例示目的で示されているように、その図において再生されている。しかしながら、その図に示している技術は二次元画像に適用されることも可能である。適合可能な形状モデル300は、適合可能な形状モデル300に1つ又はそれ以上の幾何学的変換を適用することにより、図5に示す医療用画像に適合されることが可能である。特定の医療用画像に適合可能な形状モデルを適合させる処理については、当該技術分野で知られている。適合化の処理における適合可能な形状モデルに対して行われる適合を記録することにより、適合パラメータの集合を得ることが可能である。図6は、医療用画像に適合される適合可能な形状モデル300を表す適合されたモデル601による医療用画像のスライスを示している。また、医療用画像及び適合されたモデルの二次元スライスのみが、その図に示されている。適合パラメータに基づいて、切断面401を規定する一般ビューイングパラメータが、医療用画像に適合されることが可能である。例えば、適合可能な形状モデルの回転及び/又は平行移動が適合された形状モデル601を得るように実行される場合、同様な回転及び/又は平行移動操作が切断面401に対して実行されることが可能である。適合可能な形状モデル300が非剛性的に適合されるとき、切断面は、適合可能な形状モデルにおいて規定された一部の特定なアンカーポイントに固定されたまま保たれるように、適合されることが可能である。図7は、切断面401を規定するパラメータに適合パラメータを適用した後に、図6の医療用画像に適用されるときに、切断面401に対応する得られた切断面を示している。
【0045】
表1はデータベースエンティティの複数の例を示している。そのようなデータベースエンティティにおいては、仮定(例えば、医療用画像データが見直されている患者の仮定又は可能性の高い診断)は1つ又はそれ以上の画像調査結果に関連付けられる。画像調査結果は1つ又はそれ以上のビュー表現に関連付けられる。実際のシステムにおいては、パラメータ値を用いるビューの形式的記述が提供される。表1においては、ビューの形式的記述は削除されている、又は発話記述により置き換えられている。
【0046】
【表1】

上記のシステムは、例えば、PACSシステムにおいて、診断情報を記憶するサーバにおいて又は医療用ワークステーションにおいて実施されることが可能である。
【0047】
本発明はまた、コンピュータプログラムであって、特に、本発明を実現するように適合された担体におけるコンピュータプログラムに拡張することもできることを理解することができる。そのプログラムは、部分的にコンパイルされた形式又は本発明に従った方法の実施で用いるのに適切な何れかの他の形式のような、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース及びオブジェクトコードの形式にあることが可能である。また、そのようなプログラムは多くの異なるアーキテクチャデザインを有することが可能であることも理解できる。例えば、本発明に従った方法又はシステムの機能を実施するプログラムコードは1つ又はそれ以上のサブルーチンに副分割されることが可能である。それらのサブルーチンに機能を割り当てるための複数の異なる方法について、当業者は理解することができる。それらのサブルーチンは、内蔵式プログラムを構成するように1つの実行可能なファイルに一緒に記憶されることが可能である。そのような実行可能ファイルは、コンピュータ実行可能命令であって、例えば、プロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えば、Java(登録商標)インタプリタ命令)を有することが可能である。代替として、1つ又はそれ以上、若しくは全てのサブルーチンが、少なくとも1つの外部ライブラリファイルに記憶され、例えば、ランタイムに静的に又は動的に主プログラムとリンクされることが可能である。主プログラムはサブルーチンの少なくとも1つに少なくとも1つの呼び出しを含む。また、サブルーチンは、互いに対する関数呼び出しを有することが可能である。コンピュータプログラムプロダクトに関する実施形態は、上記の方法の少なくとも1つの処理ステップの各々に対応するコンピュータ実行命令を有する。それらの命令は、サブルーチンに副分割される、並びに/若しくは、静的に又は動的にリンクされることが可能である1つ又はそれ以上のファイルに記憶されることが可能である。コンピュータプログラムプロダクトに関連する他の実施形態は、上記のシステム及び/又はプロダクトの少なくとも1つの手段の各々に対応するコンピュータ実行可能命令を有する。それらの命令は、サブルーチンに、及び/又は、静的に又は動的にリンクされることが可能である1つ又はそれ以上のファイルに副分割されることが可能である。
【0048】
コンピュータプログラムの担体は、プログラムを担持することが可能である何れかのエンティティ又は装置であることが可能である。例えば、担体は、ROMであって、例えば、CD ROM又は半導体ROM、若しくは磁気記録媒体であって、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク又はハードディスク等の記憶媒体を有することが可能である。更に、担体は、電気ケーブル又は光ケーブルを介して又は無線又は他の手段により搬送されることが可能である電気信号又は光信号等の伝送可能担体であることが可能である。プログラムがそのような信号において具現化されるときには、担体は、ケーブル若しくは他の装置又は手段により構成されることが可能である。代替として、担体は、プログラムが実施される集積回路であることが可能であり、集積回路は、関連方法を実行するように、又は関連方法の性能において用いるように適合されていることが可能である。
【0049】
上記の実施形態は例示であって、本発明を制限するものではなく、当業者は、同時提出の特許請求の範囲における範囲から逸脱することなく、多くの代替の実施形態を設計することができることに留意する必要がある。用語“を有する”及びその派生表現は、特許請求の範囲に記載した要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の単数表現はその要素の複数の存在を排除するものではない。本発明は、複数の別個の要素を有するハードウェア手段により、そして適切にプログラムされたコンピュータにより実施されることが可能である。複数の手段を列挙している装置請求項においては、それらの手段の幾つかは同一のハードウェアにより具現化されることが可能である。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されていることは、それらの手段の組み合わせが有利に用いられることができないことを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像のビューを生成する画像処理システムであって:
患者の疑わしい診断を表す情報を受信する入力;
患者の医療用画像を受信する入力;
前記医療用画像を観察するためのビューイングパラメータの集合に対して前記患者の前記疑わしい診断をマッピングするマッパ;及び
前記のビューイングパラメータの集合に従って前記医療用画像のビューを提供するビュージェネレータ;
を有する画像処理システム。
【請求項2】
前記マッパは:
疑わしい診断を一般ビューイングパラメータの集合に対してマッピングするデータベース;及び
前記医療用画像のコンテンツに基づいて、前記の一般ビューイングパラメータの集合を画像に特有のビューイングパラメータの集合に変換する変換器;
を更に有する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記一般ビューイングパラメータは画像モデルに関して規定され、前記変換器は:
適合パラメータの集合を得るように、前記医療用画像に前記画像モデルを適合させるモデル適合器;及び
前記の適合パラメータの集合に基づいて、前記の画像に特有のビューイングパラメータに前記の一般ビューイングパラメータの集合を適合させるパラメータ適合器;
を有する、請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像モデルは形状モデルを有する、請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記一般ビューイングパラメータは前記画像についての幾何学的パラメータを有する、請求項3に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記医療用画像の前記ビューが方向付けられる画像調査結果をユーザに示す画像調査結果表示手段を有する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記医療用画像の前記ビューに関連付けられた疑わしい診断をユーザに示す疑惑診断表示手段を有する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記マッパは、ビューイングパラメータの集合の順序付けられたリストを生成するように備えられ;
前記ビュージェネレータは、前記順序付けられたリストにより規定された順序に、ビューイングパラメータのそれぞれの集合に従って前記医療用画像のそれぞれのビューを提供するように備えられている;
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の画像処理システムを有する医療用撮像ワークステーション。
【請求項10】
医療用画像のビューを生成する方法であって:
患者の疑わしい診断を表す情報を受信する段階;
患者の医療用画像を受信する段階;
前記医療用画像を観察するためのビューイングパラメータの集合に対して前記患者の前記疑わしい診断をマッピングする段階;及び
前記のビューイングパラメータの集合に従って前記医療用画像のビューを提供する段階;
を有する方法。
【請求項11】
コンピュータ化システムが請求項10に記載の方法を実行するようにするコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−513778(P2012−513778A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541693(P2011−541693)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055765
【国際公開番号】WO2010/070585
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】