説明

医療用診療台

【課題】 従来の心臓の検査等のように前記落込部や引抜部を落とし込んだ側から超音波プローブを患部に当てて検査するような場合や、肝臓ガンの診療のような肝臓に針を打ち込み、この針からラジオ波等を流して診療を行うような場合には、前記落とし込んだ側に位置する患者の腕が邪魔になるといった問題があった。
【解決手段】 基台1に取付けられたシート3と、該シートに対して起伏自在に取付けられた背凭れ4と、該背凭れの一側に形成された切欠部42に略90度の間隔で2つのロック溝71aが形成されたロック軸71によって回動自在に取付けられた補助背凭れ7と、該補助背凭れの裏面側に取付けられた軸受けに回動自在に取付けられ、かつ、先端が前記ロック溝に選択的に係合されるハンドル73とより構成した医療用診療台である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓等の臓器の診断・処置を行う診療台であって、処置を行う臓器に対応する背凭れの補助背凭れを回動して前記臓器の部位から取り除き、かつ、診療時に患者の手が前記部位側の腕が邪魔にならないように固定するための上肢テーブルを取付けた医療用診療台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より臓器の診断や処置を行うための診療台として、該臓器の部位と対応する診療台の一部を回動したり取り外したりして診療器具を取り除いた部分から患者の身体に当てて診療や検診を行う診療台が、例えば、特開平10−248846号公報にて公知の技術である。
【0003】
すなわち、前記公報の発明は、診療台における長手方向に沿った一側に落込部を、他の側に引抜部を形成し、この落込部や引抜部を落とし込んだ部分や引き抜いた部分から超音波のプローブを患者の胸部や腹部に当てることができるようにしたものであり、また、患者を診療台に寝かせた状態において、患者の背中側を起伏可能としたものである。
【特許文献1】特開平10−248846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した心臓の処置等のように前記落込部や引抜部を落とし込んだ側から超音波プローブを患部に当てて検査するような場合や、肝臓ガンの診療のような肝臓に針を打ち込み、この針からラジオ波等を流して診療を行うような場合には、前記落とし込んだ側に位置する患者の腕が邪魔になるといった問題があった。
【0005】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、背凭れに対してハンドル操作を行うことで背凭れに対して平行な状態と、背凭れに対して裏面側において略垂直な状態に補助背凭れを固定できるので、診療や治療状態と平坦なベッド状態への移行が確実、かつ、簡単に行え、また、補助背凭れを落とし込んだ側の患者の腕を胸の上側で支持することで、各種の臓器診断や処置時に邪魔になることがなく、また、寝た状態の患者を起こすために背凭れを起立させる場合に、下肢が乗っているシートを患者の膝小僧部分で山形状に変位させることで、座位姿勢の患者が前方にズレることがないようにした医療用診療台を提供せんとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の医療用診療台は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、基台に取付けられたシートと、該シートに対して起伏自在に取付けられた背凭れと、該背凭れの一側に形成された切欠部に略90度の間隔で2つのロック溝が形成されたロック軸によって回動自在に取付けられた補助背凭れと、該補助背凭れの裏面側に取付けられた軸受けに回動自在に取付けられ、かつ、先端が前記ロック溝に選択的に係合されるハンドルとより構成し、該ハンドル操作によって前記補助背凭れを背凭れと平行な位置と背凭れの裏面側において垂直な位置とに固定できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の手段は、基台に取付けられたシートと、該シートに対して起伏自在に取付けられた背凭れと、該背凭れの一側に形成された切欠部に背凭れと面一の状態と裏面側に回動された状態の位置で固定される補助背凭れと、前記背凭れの他側に揺動自在に軸支されると共に所望角度でロック可能に取付けられた揺動アームと、該揺動アームの先端に揺動アームから垂直に延長して取付けられた患者の腕を固定するための上肢受けとから構成したものである。
【0008】
請求項3の手段は、前記した請求項2において、前記上肢受けを前記揺動アームに対して取付けるためのアームは、前記揺動アームに対して略90度の2位置によって選択的に固定可能に取付けられ、前記上肢受けを背凭れ側面と平行な位置と、背凭れ側面に対して直交して突出する位置とに変更することができるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の手段は、前記した請求項2において、前記上肢受けは、該上肢受けを前記揺動アームに取付けるための前記アームに対して回動、かつ、固定可能に取付けられ、前記背凭れの患者の背中と接する面と平行な面で回動して患者の腕の捩れを防止することができることを特徴とする。
【0010】
請求項4の手段は、前記した請求項1または2において、背凭れが起立方向に変位すると、この変位に連動して前記シートの長手方向の略中央部が押し上げられ山形に変位して、座位状態の患者の膝部分を押し上げて前方にズレるのを防止できるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の手段は、前記した請求項1または2において、前記背凭れや前記補助背凭れ等の患者の上半身が位置する部分の金属部分を非磁性体あるいは磁性の少ない材料で構成することで、患者の肝臓等の臓器の近辺に位置する磁性体による磁場の影響を少なくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は前記したように、補助背凭れをハンドル操作によって背凭れと平行な状態と、背凭れの裏面側において垂直な状態との2つの位置で固定することが可能であることから、治療前においては平坦なベッド状となり、治療時には裏面側に垂直な状態において固定されるので、ラジオ波焼灼治療等を行う場合に補助背凭れが邪魔になるようなことがない。
【0013】
また、背凭れの一側に切欠部を形成し、該切欠部に補助背凭れを回動自在に取付けたので、臓器の裏側あるいは側面から施術器具や検診器具を使用して施術や検診を行うことができ、また、他の側に前記補助背凭れ側に位置する患者の腕を支持する上肢テーブルを取付けたもので、前記診断や処置時に腕が邪魔になることがなく、かつ、上肢テーブルが取付けられている揺動アームを背凭れの側面において揺動自在とすることで、背凭れ前面に突出しないようにすることができるので患者の診療台への乗り降りにも邪魔なることがない。
【0014】
さらに、前記揺動アームは所望の角度位置で固定できると共に上肢テーブルを回動自在となし、かつ、所望の角度で固定できるので、患者の邪魔になる腕を楽な姿勢位置で固定することができ、また、座位あるいは仰臥位の何れにおいても固定することができる。
【0015】
また、背凭れの起立と連動してシートが山形に変位するようにしたので、前方にズレようとする患者の姿勢を保持でき、従って、長時間におよぶ診療においても患者の負担を軽減することができる。
【0016】
さらに、背凭れや補助背凭れ等の患者の上半身が位置する部分の金属部分を非磁性体あるいは磁性の少ない材料で構成することで、患者の肝臓の近辺に位置する磁性体による磁場の影響を少なくしたことにより、CT再構成画像を構築するシステムの位置情報を検出する磁気センサに影響を及ぼすことがなく、従って、磁気センサによって得られる肝臓の画像が綺麗に写されるといった効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、補助背凭れをハンドル操作によって背凭れと平行な状態と、背凭れの裏面側において垂直な状態との2つの位置で固定することが可能なようにした。
【実施例1】
【0018】
次に、本発明に係る医療用診療台の一実施例を図面と共に説明する。
図1〜図5において、1は基台、2は蛇腹状の外周膜で覆われた昇降手段、3は該昇降手段2の後述する支持台21に対してリンク機構6を介して取付けられたシート、4は前記シート3の後方(各図において左側)に起伏自在に軸支された背凭れにして、一端が前記シート3側に取付けられた油圧シリンダ31のラム側が取付けられている。従って、油圧シリンダに油を供給すると背凭れ4は起立方向に回動し椅子状態となり、油を抜くと伏倒方向に回動しベッド状態となる。
【0019】
なお、32は前記油圧シリンダ31を覆うカバーである。また、図1において5は前記昇降手段2の上下動動作および油圧シリンダ31の伸長を制御するためのフットペダルにして、医師やアシスタントが操作するものである。
【0020】
前記昇降手段2の上端には前記シート3をリンク機構6を介して取付けるための支持台21が取付けられている。リンク機構6は前記支持台21の前方に先端側が軸支された前方リンク61と、支持台21の後方に後端が軸支された後方リンク62と、支持台21の略中間部に回動自在に軸支された回動リンク63と、該回動リンク63と前記背凭れ4の下端から突出する連結リンク41と前記回動リンク63の下端側とを連結する前後動リンク64とから構成されている。
【0021】
前記前方リンク61と後方リンク62との連結は、前方リンク61の後方部から突出した軸61aを、後方リンク62の前方に開口された長孔62aを係合することで行われている。また、回動リンク41の上端は後方リンク62の前記長孔62aの近傍に軸支されている。
【0022】
このように構成することで、背凭れ4が油圧シリンダ31によって起立方向に変位すると前後動リンク64が図2において左方向に移動するので、該前後動リンク64に軸支されている回動リンク63は時計方向に回動し後方リンク62を押し上げる。その結果、前方リンク61と後方リンク62に取付けられているシート3は中央部が押し上げられて山形状になる。
【0023】
次に、座位状態あるいは伏倒位の患者の背面側から診療や検診を行うための装置について説明する。
7は前記背凭れ4の左右の何れか(図示では右側)に形成された切欠部42の両端に固定された略90度の間隔で2つのロック溝71aが形成されたロック軸71の軸71bに対して回動自在に軸支された補助背凭れにして、該補助背凭れ7の裏面側の両側にはパイプ状の軸受け72が取付けられており、この軸受け72に対してコの字状のハンドル73が摺動自在に嵌挿されている。
【0024】
このハンドル73の先端は鋭角に形成されて前記ロック溝71aに係合されるロック歯73aとなっている。また、ハンドル73は軸受け72内に収納されたスプリング74によって前記ロック歯73aがロック溝71aに係合される方向にバネ付勢されている。
【0025】
このように構成された補助背凭れ7は、各図に示すように背凭れ4と面一状態となっている時にはハンドル73のロック歯73aが図6(b)に示すロック軸71のロック溝71aの1つに係合されて面一状態が維持されている。この状態においてハンドル73をスプリング74のバネ力に抗して引くと(図にといて右方向)、ロック歯73aが現在のロック溝71aから離脱するので補助背凭れ7が回転可能となるので、補助背凭れ7を背凭れ4の裏面側に略90度回転してハンドル73の引っ張り力を解除するとロック歯73aが他のロック溝71aに係合される。その結果、補助背凭れ7は背凭れ4の裏面側に略90度の位置で固定されるので、患者の背面側から施術器具等を使用して診療や検診を行うことが可能となる。
【0026】
次に、患者の診断や処置時に邪魔となる腕を患者の胸の前で固定するための上肢固定手段について説明する。
上肢固定手段は背凭れ4の前記補助背凭れ7が取付けられた側とは反対側の側面に回動、かつ、固定可能に取付けられる揺動アーム8と、該揺動アーム8に対して回動、かつ、固定可能に取付けられた上肢受け9とから構成されている。
【0027】
揺動アーム8は背凭れ4に固定された固定部材81と、該固定部材81に揺動自在に取付けられた支持板82と、固定部材81に固定された多数のロック溝83aが形成されたロック軸83と、前記支持板82に取付けられたパイプ84と、該パイプ84内を摺動可能ではあるが回転不能に嵌挿されたロック杆85と、前記パイプ84の上端に回転可能に嵌挿され、かつ、端面に90度の間隔で係合溝86aが形成され上肢受け9が取付けられる回転管86とから構成されている。
【0028】
前記ロック杆85の先端には前記ロック溝83aに係合されるロック歯85aが形成されており、また、前記回転管86より突出する先端には回転管86の係合溝86aに選択的に係合されるロックピン85bが取付けられている。そして、ロック杆85の先端にはロック歯85aをロック溝83aに係合する方向にバネ付勢するスプリング87が嵌挿されている。なお、85cはロック杆85の上端に取付けられた握り球である。
【0029】
このように構成された揺動アーム8は、握り球85cを握ってスプリング87のバネ力に抗して引っ張ると、ロック杆85のロック歯85aがロック軸83のロック溝83aから離脱し、また、ロックピン85bが回転管86の係合溝86aから離脱する。この状態において支持板82は、固定部材81に対して回動可能となるので、握り玉85cを持って支持板82を固定部材81に対して回転させるとロック杆85(パイプ84)は背凭れ4の側面において揺動する。
【0030】
そして、所望角度だけ回動させた位置において握り玉85cの引っ張り力を緩めると、ロック杆85はスプリング87のバネ力によってロック歯85aがロック軸82のロック溝82aに係合され固定されるので、揺動アーム8を背凭れ4の側面において所望の角度位置で固定することができる。
【0031】
また、図1のような背凭れ4の側面に対して直交する位置にアーム91がある状態において、握り玉85cを引っ張っりロックピン85bを回転管86の係合溝86aから外して、後述する上肢テーブル95を持って90度回転すると、背凭れ4の側面と面一状態となる。すなわち、アーム91は2位置においてロック固定されるものである。
【0032】
次に、前記揺動アーム8に取付けられる上肢受け9の構造について説明する。
91は前記した揺動アーム8における略90度の間隔で回転、かつ、ロック可能に取付けられている回転管86に対して固定されたアームにして、先端には雄ねじ部91aが形成されている。92は前記アーム91の略中央部に嵌合されネジ92aによって固定されたパイプ状ストッパ、93は該パイプ状ストッパ92と前記雄ねじ部91aとの間における前記アーム91に回転可能に嵌挿された回転パイプ、94は前記アーム91の雄ねじ部91aに螺合される袋ナットにして、該袋ナット94には袋ナット94を回転するためのハンドル94aが取付けられ、また、前記アーム91に嵌挿された回転パイプ93の端面と対向するキャップ部94bが形成されている。95は前記回転パイプ93に取付けられた上肢テーブルにして、側面形状が湾曲されており腕を載せた時にフィットするように形成され、かつ、腕を載せた状態で固定するためのベルト95aが取付けられている。
【0033】
このように構成された上肢テーブル95はハンドル94aを回転して雄ねじ部91aとの螺合度合いを緩めると回転パイプ93はアーム91に対して回転可能となるので、上肢テーブル95はアーム91に対して回転可能となり、背凭れ4が水平な状態でも起こした状態でも、常に上肢テーブル95を水平に保つことができる。
【0034】
次に、患者の診断や処置を行う場合の動作について説明する。
患者の診療や検診を行う方法としては、座位状態あるいは仰臥位状態の何れでも行うことができるが、この説明においては、座位状態で行う場合について説明する。
【0035】
先ず、診療台が図1に示すような状態において患者をシート3に着座させる時に上肢固定手段が邪魔になるような場合には、医師やアシスタントが握り玉85cを引っ張ってロックピン85bと係合溝86aとの係合を外して上肢テーブル95を90度回転させて揺動アーム8と同一面となるようにすると、患者の椅子への乗り降りに上肢固定手段が邪魔になることがない。
【0036】
このような状態において患者を診療台に座らせるが、座った患者に対してシート3は前記したリンク機構によってシートの長手方向の略半分の位置が山形状となっているので、着座している患者は膝の部分で折り曲げられ前方に移動するのを阻止することとなり、従って、患者を安楽な姿勢で診療や検診を受けることができる。
【0037】
次いで、上肢固定手段によって患者の右腕の上肢を固定して診断や処置時に邪魔にならないようにする。すなわち、握り玉85cを引っ張ると、ロック歯85aがロック溝83aから外れ、背凭れ4の側方で上下方向に回動自在となり、患者の伸長差を吸収して上肢受け9を適切な位置へ調整可能となる。
【0038】
この状態において患者の上肢を上肢テーブル95の上に載せベルト95aで締め付け固定する。この時、患者の上肢と上肢テーブル95の湾曲面との間にズレがあった場合には、ハンドル94aを回転してキャップ部94bとパイプ状ストッパ92とで固定されていた回転パイプ93をフリーな状態とすることで、上肢テーブル95は回転可能となるので患者の腕の周面形状と上肢テーブル92の湾曲面とが一致するので、患者の腕に対して無理な捩じり力を与えることがなくなる。
【0039】
また、患者の身体表面に対する上肢テーブル92との間隔が大き過ぎたり、小さ過ぎたりした場合には、握り球85cを引っ張ってロック歯85aとロック溝83aとの係合位置を変えることで調整することができる。
【0040】
そして、患者が座位状態で、かつ、右腕が固定された状態において、補助背凭れ7の裏面側に配置されているハンドル73をスプリング74のバネ力に引くことで、ロック歯73aとロック溝71aとの係合が外れて補助背凭れ7の回動(背凭れ後ろ側への回動)が可能となるので、補助背凭れ7を背凭れ4の背面側に略90度回転し、この状態においてハンドル73をスプリングのバネ力で戻すことで、ロック歯73aは他のロック溝71aに係合され固定される。従って、患者の右側上体の背中側(例えば、肝臓の背中側)が開口されるので、この開口された部分から診療を行うことが可能となる。
【0041】
なお、背凭れ4の上端にはU字状の把持杆42が取付けられているが、診療や検診の施術内容によっては前記上肢固定手段を利用することができない場合がある。このような場合において、患者の腕が邪魔になるような場合には、この把持杆42に腕を頭が側に上げて把持することで安定した姿勢を維持することが可能となる。
【0042】
ところで、前記した医療用診療台を使用して肝臓ガンの処置でラジオ波焼灼治療等を行う場合に、超音波診断装置で腫瘍の位置を確認して穿刺することが多いが、腫瘍の位置や状況をより解りやすくために、CTのボリュームデータに超音波診断装置の位置情報を与えることで超音波画像と同一断面のCT再構成画像を構築するシステムを併用して穿刺を行う技術が開発され、そのシステムの導入する敷設が増加している。
【0043】
しかし、CT再構成画像を構築する場合において、前記した本発明の診療台にあっては、背凭れ4を構成するフレームや補助背凭れ7を構成するフレームおよびロック軸71、軸受け72、ハンドル73やシリンダ31を覆うカバー32等が鉄等の磁性体で構成されているため、CT再構成画像を構築するシステムの位置情報を検出する磁気センサに影響を及ぼし、システム自体の使用ができないという問題があった。
【0044】
そこで、本発明にあっては、前記した背凭れ4を構成するフレーム4′0補助背凭れ7を構成するフレーム7′およびロック軸71、軸受け72、ハンドル73やシリンダ31を覆うカバー32等が鉄等の磁気センサを使用することで悪影響を及ぼす部材を非磁性体あるいは磁性の少ない材料で構成し(図10に示す実線部分)、これにより、患者の肝臓の近辺に設置する磁気発生装置が作る磁場に与える影響を少なくして、CT再構成画像を構築するシステムの使用ができるようにした。
【0045】
なお、背凭れ5や補助背凭れ7はフレーム4′,7′に木製あるいは樹脂製の板材が取付けられ、この板材の上にクッションシートが張られている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る医療用診療台の背面側から見た斜視図である。
【図2】同上のシート部分のリンク機構を示した側面図である。
【図3】背凭れの裏面膜を切除した状態の背凭れ下方背面側から見た斜視図である。
【図4】医療用診療台をベッド状にした状態の側面図である。
【図5】同上のシート部分のリンク機構を示した側面図である。
【図6】補助背凭れのみを示し、(a)は裏面図、(b)は同上の断面側面図である。
【図7】上肢固定手段にとける揺動アームの斜視図である。
【図8】同上の揺動アームと上肢受けとの組み合わせ構造を示す断面図である。
【図9】上肢受けの上肢テーブル部分の構造を示す断面図である。
【図10】背凭れ部分における磁性体を非磁性体や磁性の少ない材料で構成した斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 基台
2 昇降手段
3 シート
4 背凭れ
4′ フレーム
42 切欠部
6 リンク機構
7 補助背凭れ
7′ フレーム
71 ロック軸
72 軸受け
73 ハンドル
8 揺動アーム
9 上肢受け
91 アーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に取付けられたシートと、該シートに対して起伏自在に取付けられた背凭れと、該背凭れの一側に形成された切欠部に略90度の間隔で2つのロック溝が形成されたロック軸によって回動自在に取付けられた補助背凭れと、該補助背凭れの裏面側に取付けられた軸受けに回動自在に取付けられ、かつ、先端が前記ロック溝に選択的に係合されるハンドルとより構成し、該ハンドル操作によって前記補助背凭れを背凭れと平行な位置と背凭れの裏面側において垂直な位置とに固定できるようにしたことを特徴とする医療用診療台。
【請求項2】
基台に取付けられたシートと、該シートに対して起伏自在に取付けられた背凭れと、該背凭れの一側に形成された切欠部に背凭れと面一の状態と裏面側に回動された状態の位置で固定される補助背凭れと、前記背凭れの他側に揺動自在に軸支されると共に所望角度でロック可能に取付けられた揺動アームと、該揺動アームの先端に揺動アームから垂直に延長して取付けられた患者の腕を固定するための上肢受けとから構成したことを特徴とする医療用診療台。
【請求項3】
前記上肢受けを前記揺動アームに対して取付けるためのアームは、前記揺動アームに対して略90度の2位置によって選択的に固定可能に取付けられ、前記上肢受けを背凭れ側面と平行な位置と、背凭れ側面に対して直交して突出する位置とに変更することができるようにしたことを特徴とする請求項2記載の医療用診療台。
【請求項4】
前記上肢受けは、該上肢受けを前記揺動アームに取付けるための前記アームに対して回動、かつ、固定可能に取付けられ、前記背凭れの患者の背中と接する面と平行な面で回動して患者の腕の捩れを防止することができることを特徴とする請求項2記載の医療用診療台。
【請求項5】
背凭れが起立方向に変位すると、この変位に連動して前記シートの長手方向の略中央部が押し上げられ山形に変位して、座位状態の患者の膝部分を押し上げて前方にズレるのを防止できるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の医療用診療台。
【請求項6】
前記背凭れや前記補助背凭れ等の患者の上半身が位置する部分の金属部分を非磁性体あるいは磁性の少ない材料で構成することで、患者の肝臓等の臓器の近辺に位置する磁性体による磁場の影響を少なくしたことを特徴とする請求項1または2記載の医療用診療台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−117715(P2007−117715A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177608(P2006−177608)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】