説明

医薬化合物を酸性環境から保護するための医薬組成物

【課題】医薬化合物(すなわち、薬物)を酸性環境中で保護するための方法及び医薬組成物の提供,および、医薬化合物を酸性環境中で保護し得る組成物を用いる治療方法の提供。
【解決手段】組成物は、通常治療有効量の少なくとも1つの医薬化合物及び医薬的に許容され得る保護剤を含む。医薬的に許容され得る保護剤は、通常水溶性酸中和剤及び水不溶性酸中和剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は医薬化合物を酸性環境中で保護する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医薬化合物は酸性環境中で分解を受けやすい。例えば、ある抗生物質(例えば、エリスロマイシン)、プロトンポンプ阻害剤(PPI)(例えば、ランソプラゾールまたはオメプラゾール)やペンクレアチンは酸性環境中で分解する化合物であり、よって“酸不安定性(acid-labile)”と呼ばれている。胃pHは強酸性(通常pH約1.5〜1.9)であるために、酸不安定性医薬化合物の経口デリバリーは難題である。また、胃の胃酸容量は通常約50〜100mlであり、約0〜11mM/時の胃酸分泌速度で補充されている。更に、絶食状態での胃滞留時間(物質が胃環境に留まっている時間)は通常約30〜60分である。比較的少量の食物が消費されると、胃酸分泌速度及び胃酸滞留時間が高くなる。よって、前記条件下では、酸不安定性医薬化合物は保護されていなければ通常分解し、摂取のために容易に利用できない。
【0003】
例えば、ランソプラゾールは置換ベンゾイミダゾールであり、胃酸分泌を阻害する酸不安定性医薬化合物である。ランソプラゾールのような酸不安定性薬物の分解に対する胃pHの影響を表1に示す。表1に示すデータは37℃で集めたものであり、Kは一次分解定数である。表1に示したデータから、酸不安定性薬物が急速な酸触媒分解を受ける中酸性の条件下ではランソプラゾールが不安定であることが分かる。一方、表1には、ランソプラゾールが中性またはアルカリ性pHでは比較的に安定のままであることも示されている。
【0004】
【表1】

【0005】
酸不安定性薬物のpH感受性のために、前記薬物は通常該各物を酸性胃環境から保護する形態で投与されている。理想的には、前記薬物は無傷の吸収可能な形態で十二指腸または上部小腸領域に達しなければならず、そこで薬物は迅速に吸収され得る。
【0006】
多分、腸溶コーティングが酸不安定性薬物を胃分解から保護する最も一般的な方法であろう。腸溶コーティング法では、胃環境の低pHに導入されたきには溶解しないが上部小腸でみられるような6以上のpHで溶解するポリマーで薬物粒子または剤形が被覆されている。残念ながら、腸溶コーティングを施した組成物は液体として処方しにくく、そのため小児患者及び/または嚥下困難な患者に投与することは困難となる。また、胃環境のpH、胃酸分泌速度及び胃滞留時間は個人毎に異なる多数の生理的因子に依存する。更に、腸溶コーティングの溶解時間はレシピエントにより異なり、同一レシピエントでも例えば組成物を服用する前かどうかに応じて異なり得る。
【0007】
酸不安定性薬物は、この酸不安定性薬物の投与前または投与と同時に胃液のpHを中和することにより胃の酸性環境から保護されてきた。意図する上記目的の液体組成物には、場合により腸溶コーティングを施した薬物と共に中和剤が配合されている。しかしながら、従来方法は通常重炭酸ナトリウムのような酸中和剤を大量に使用しており、その結果胃内にガスが発生しておくびが出る。胃内ガスの発生は胃食道逆流症(CERD)を患っている患者にとって好ましくない。この状況はCERDを緩和する目的でPPIを服用している患者にとって特に有害であることは明らかである。
【0008】
重炭酸ナトリウムのような中和化合物は胃環境の初期酸性状態を中和するのに有効であるが、絶食状態での胃滞留時間は約30〜60分である。上記したように、この滞留時間は食物摂取のような要因により上昇する。従って、酸中和剤が胃環境の初期pHを中和するだけでなく、胃滞留期間中高pHを維持することが重要である。
【0009】
更に、例えば通常PPIは投与から1.5〜2時間まで胃痛を軽減しない。よって、PPIを服用するときのように胃痛を軽減したいときには、PPIの治療効果が達成されるまで高いpHを与えることが有利である。胃酸刺激は通常約3.5〜4.0のpHで軽減されるが、PPIを例えば消化管の所望領域に進入させ、治療効果を発揮するためには胃環境のpHを患者の快適レベルよりも高いpHにできるだけ長く維持することが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記にてらして、症状を緩解させるだけでなく酸不安定性薬物を簡単に分解しない環境を与える胃pHを上昇し且つ維持する剤形及び方法が要望されている。また、腸溶コーティングを施した組成物に関連する問題を解消し、固体または液体組成物に対して十分な安定性を与える方法及び医薬組成物も要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、酸不安定性医薬化合物を酸性環境中で保護するための方法及び組成物を提供する。
【0012】
本発明により提供される組成物は、通常治療有効量の酸不安定性医薬化合物、水溶性酸中和剤及び水不溶性酸中和剤を含む。前記組成物は胃酸分泌刺激剤及び他の治療有効量の酸不安定性または酸安定性医薬化合物をも含み得る。好ましくは、前記組成物及び組成物中に含まれる医薬化合物は腸溶コーティングを施されていない。上記した組成物は、医薬化合物が適応される生理的障害の治療を要する患者に対して投与され得る。
【0013】
酸不安定性医薬化合物を酸性環境から保護する方法も提供される。通常、前記方法は酸不安定性薬物を水溶性酸中和剤及び水不溶性酸中和剤と混合することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】水不溶性中和剤を用いる胃酸中和時間に対するpHの線グラフを示す。
【図2】模擬胃液(SGF)(50ml)に添加した中和懸濁液/溶液の容量に対するpHを示す滴定グラフである。
【図3】SGF(50ml)に添加した中和懸濁液/溶液の容量に対するpHを示す滴定グラフである。
【図4】初期及びその後の胃液分泌を模るためにSGFを15分毎に交換したときのpH変化のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記したように、本発明は医薬化合物を酸性環境中で保護するための方法及び組成物を提供する。本発明が提供する方法及び組成物は、酸不安定性医薬化合物の酸性環境中のpHを患者に快適さを与えるレベルであり且つ酸不安定性医薬化合物を分解から保護するのに十分なレベルに上昇させることが有利である。更に、前記組成物及び方法は、酸不安定性医薬化合物を実質的に分解することなく例えば胃を通過し、上部小腸管まで到達し得るように十分にpHレベルを上昇させ且つ高いpHレベルを維持する。その結果、酸不安定性医薬化合物は所望効果を達成し得る。更に、高いpHレベルを長期間与え得る本発明の能力によれば、通常低いpHレベルで起こる潰瘍増悪を短時間で緩解させる。上記した組成物は、容易に調製し得る腸溶コーティングなしの剤形で提供され得る。
【0016】
本発明の組成物は、通常水溶性酸中和剤、水不溶性酸中和剤及び治療有効量の少なくとも1つの酸不安定性医薬化合物を含む。驚き且つ予期せぬことに、酸中和剤の組合せが、各酸中和剤を単独で使用したときに比してpHをかなり上昇させ、pHを高レベルで長期間維持できることが知見された。「水溶性酸中和剤」は、100ml中に少なくとも1g、好ましくは75ml中に少なくとも1g、より好ましくは30ml中に少なくとも1gの溶解度を有する溶液のpHを上昇させ得る医薬的に許容され得る化合物または物質を意味する。水溶性酸中和剤の例には、メグルミン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸トリカリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム及び好ましくはトロメタミン、またはその組合せが含まれるが、これらに限定されない。「水不溶性酸中和剤」は、1,000ml中に1g未満、好ましくは5,000ml中に1g未満、より好ましくは10,000ml中に1g未満の溶解度を有する溶液のpHを上昇させ得る医薬的に許容され得る化合物または物質を意味する。水不溶性酸中和剤の例には、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、酸化マグネシウム、トリケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム及びその組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
組成物中の水溶性酸中和剤及び水不溶性酸中和剤の量及び比率は通常投与する酸不安定性薬物の量に依存せず、酸不安定性医薬化合物を分解から保護するのに十分にpHを迅速及び持続的に上昇させるように非常に広範囲で変更され得る。使用する中和剤の正確な量は当業者の選択事項であり、下記実施例に記載されているような実験により経験的に決定され得る。例えば、異なる量及び比率の中和剤の組合せを、所望効果を達成するようにいろいろな量の模擬胃液及び状態で試験し得る。組成物中の水溶性中和剤の量は、通常50〜1000mg、好ましくは100〜600mg、より好ましくは300〜500mgである。組成物中の水不溶性中和剤の量は、通常100〜1000mg、好ましくは250〜750mg、より好ましくは250〜600mgである。
【0018】
水溶性酸中和剤及び水不溶性酸中和剤の組合せは、本明細書中“医薬保護剤”の別名で称されている。好ましくは、医薬保護剤は50mlの(下記する)模擬胃液のpHを20分以内、より好ましくは15分以内に、最も好ましくは10分以内に7以上に上昇させ得る。更に、医薬保護剤は通常下記実施例5に示すように模擬胃状態で模擬胃液のpHを3以上に30分間、好ましくは3以上に60分間、最も好ましくは3以上に90分間維持し得る。
【0019】
上記した酸中和剤の組合せは、胃腸管、特に胃で見られるような酸性環境から酸不安定性医薬化合物を保護するのに特に適している。「酸不安定性」は、成分が酸性環境中に存在するために変化、分解、劣化または薬理的に無効になる傾向または可能性を指す。本明細書中、「医薬化合物」は動物に適応される薬物、プロドラッグまたは化合物、並びにその医薬的に許容され得る塩及びエナンチオマーを指す。酸不安定性医薬化合物の例には、ある抗生物質(例えば、エリスロマイシン)、プロトンポンプ阻害剤(PPI)(例えば、ランソプラゾールまたはオメプラゾール)及びペンクレアチンが含まれるが、これらに限定されない。PPIは本発明で使用するのに特に好ましい酸不安定性医薬化合物である。PPIはオメプラゾール、ランソプラル、パントプラゾール、パリプラゾール及びレミノプラゾールのよう公知の置換ベンゾイミダゾールである
現在好ましいプロトンポンプ阻害剤は以下に示すランソプラゾールである。
【0020】
【化1】

【0021】
酸不安定性医薬化合物に加えて、本発明の組成物は酸不安定性でない他の医薬化合物をも含み得る。こうした他の医薬化合物の例には、非ステロイド消炎剤(NSAID)、抗生物質等が含まれる。酸不安定性医薬化合物の組合せは本発明に従って使用され得る。
【0022】
ランソプラゾールのようなプロトンポンプ阻害剤を含む本発明の実施態様では、組成物は更にPPIの有効性を高めるための成分を含み得る。特に、PPIは胃腸管中の酸性環境から保護されなければならないが、標的壁細胞において酸性環境でなければならない。プロトンポンプ阻害剤は中性pHでは酸阻害性を実質的に有さない。よって、PPIが体血液循環を介して壁細胞に送達されたら、PPIが酸性状態を中和し得る活性代謝物に変換されるべくPPIをプロトン化するように胃の壁細胞内の状態は酸性でなければならない。従って、壁細胞の状態を酸性とする化合物は“PPIエンハンサー”と見做される。カフェイン、ビールやミルク等の幾つかの一般的な食品は胃酸分泌を刺激し、壁細胞の状態を酸性とする。壁細胞でのガストリン放出及び酸分泌はカルシウム塩(例えば、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム及びクエン酸カルシウム)を経口摂取することによっても刺激される。ペプチド及びアミノ酸も同様の壁細胞応答を刺激する。よって、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン、ホエータンパク質、タウリン、アラニン、トリプトファン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、アルギニン、グリシン、セリン、ヒスタジン、システイン、チロシン、プロリン及びヒスチジンもPPIエンハンサーの例である。カフェインはPPIエンハンサーの別の例である。上記PPIエンハンサーを使用する場合、その量は通常胃中和の目的で必要な量よりも少ない量、例えば250mg未満、好ましくは225mg未満である。
【0023】
上記したように、医薬化合物は無機酸または有機酸から誘導される医薬的に許容され得る塩の形態で利用され得る。本明細書中、「医薬的に許容され得る」は、健全な医学的判断の範囲で過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を呈することなくヒト及び下等動物の組織と接触させて使用するのに適しており、妥当な損益比で釣り合っている成分または化合物を含む。
【0024】
例えば、医薬的に許容され得る塩は当業界で公知である。前記塩は、本発明の化合物の最終単離・精製中にその場で製造され得るか、または遊離塩基官能基を適当な有機酸と反応させて製造され得る。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、亜硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
更に、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化メチル,エチル,プロピル及びブチル、臭化メチル,エチル,プロピル及びブチル、並びにヨウ化メチル,エチル,プロピル及びブチル)、長鎖ハライド(塩化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル、臭化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル、並びにヨウ化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル)、アリールアルキルハライド(例えば、臭化ベンジル及びフェネチル)等のような物質を用いて4級化され得る。こうすると、水溶性もしくは水分散性生成物、または油溶性または油分散性生成物が得られる。
【0026】
医薬的に許容され得る酸付加塩を形成するために使用され得る酸の例には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸)及び有機酸(例えば、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸)が含まれる。
【0027】
塩基付加塩は、本発明の化合物の最終単離・精製中にカルボン酸含有部分を医薬的に許容され得る金属カチオンの適当な塩基(例えば、水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩)、アンモニア、または有機第1級、第2級もしくは第3級アミンと反応させることによりその場で製造され得る。医薬的に許容され得る塩には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩)をベースとするカチオン、非毒性4級アンモニア及びアミンカチオン、特にアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム及びエチルアンモニウムが含まれるが、これらに限定されない。塩基付加塩を形成するのに有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン等が含まれる。
【0028】
本発明の組成物は、医薬化合物が適応される殆どの生理的及び/または精神障害の治療のために上記したような医薬化合物と組み合わせて使用され得る。本発明の医薬的に許容され得る保護剤を腸溶コーティングが施されていない酸不安定性PPIと組み合わせた好ましい使用の場合、前記した酸耐性組合せは各種胃腸状態の治療のために使用され得る。胃腸状態の例には胃酸障害が含まれ、この中には特に活動型十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃食道逆流症(GRED)、重篤なびらん性食道炎、低反応性全身性GRED、及び病的分泌過多状態(例えば、ゾリンジャー−エリソン症候群)が含まれるが、これらに限定されない。胃酸障害には、当業界で“攻撃的因子”として公知の酸及びペプシン産生と、当業界で“防御的因子”として公知の粘膜、重炭酸塩及びプロスタグランジン産生とのアンバランスにより引き起こされる疾患も含まれる。
【0029】
従って、本発明は生理学的精神的障害の治療方法をも包含し、その方法は治療を要する患者に対して水溶性中和剤、水不溶性中和剤、及び場合によりPPIエンハンサー及び/または他の医薬化合物と一緒に処方した治療有効量の少なくとも1つの医薬化合物(好ましくは、酸不安定性医薬化合物)を経口投与するステップを含む。
【0030】
本明細書中、「治療有効量」は、例えば組成物、化合物または製剤の医学的治療に適用され得る妥当な損益比で所望疾患を治療するのに必要な十分量を意味する。他の薬剤と同様に、本発明の医薬組成物の1日総量は健全な医学的判断の範囲内で患者の担当医により決定されると理解されたい。特定患者に対する特定の治療有効量は、治療しようとする疾患及び該疾患の重篤度;使用する特定化合物の活性;使用する特定組成物;患者の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食事;使用する特定化合物の投与時期、投与ルート及び排泄率;治療期間;使用する特定化合物と組合せてまたは同時に使用される薬物;及び当業者に公知の他の要因を含めた各種要因に依存する。例えば、最初は所望治療効果を達成するのに必要な量よりも少ない量の化合物を投与し、所望の効果が得られるまで用量を漸増させることは当業者の裁量である。
【0031】
本発明の組成物は、各患者の臨床状態、投与部位及び方法、投与スケジュール及び医者には公知の他の要因を考慮して健全な医学的実地に従って投与される。
【0032】
よって、本発明の目的のために治療有効量は当業界で公知のような判断により容易に決定され得る。用量は改善を達成するのに流動的でなければない。前記改善には胃pHの上昇、胃腸出血の低下、輸血の必要性の減少、より高い生存率、より速い回復及び/または症状の改善/解消、並びに当業者により適当な手段により選択されるような他の因子が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明が提供する組成物は他の公知の医薬的に許容され得る成分、例えば担体、希釈剤、賦形剤、増量剤等をも含み得る。本発明が提供する組成物は固体または液体剤形で投与され得る。本発明の経口投与するための固体剤形は通常下記実施例の錠剤と同様にして作成される。また、本発明の経口投与するための液体剤形は医薬的に許容され得るエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルであり得る。活性化合物に加えて、液体剤形は当業界で慣用されている不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒)、可溶化剤及び乳濁剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及び/またはゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル及びその混合物)を含み得る。
【0034】
不活性希釈剤の他に、本発明の経口組成物は佐剤、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、矯味剤、フレーバー及び/またはパフュームをも含み得る。
【0035】
本発明の組成物は、酸不安定性及び/または酸安定性医薬化合物を顆粒及び/または粉末の形態で使用して製造され得る。或いは、顆粒または粉末の代わりに微粉状酸不安定性医薬組成物を使用してもよい。微粉化は、顆粒に比してより小さい直径を有する粒子を作成するために使用される。本発明の酸不安定性医薬組成物の溶解速度は通常特に組成物粒子の表面積に直接比例するので、粒径を小さくすると露出表面積は大きくなり、よって溶解速度が上昇する。
【0036】
微粉化すると露出表面積が大きくなり、微粉化の効果を打ち消す恐れがある粒子の凝集が生じ、また微粉化は高価な製造ステップであるが、プロトンポンプ阻害剤の微粉化はオメプラゾールのような比較的水溶性の薬物の溶解速度を上昇させるという有利な効果が得られる。
【0037】
本発明の好ましい実施態様及び/または使用を説明するために下記実施例を提示する。これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0038】
下記実施例では、塩酸(7.0ml)及び1000ml溶液を調製するのに十分な量の水中に塩化ナトリウム(2.0g)及びタンパク質1mgあたり800〜2500単位の活性を有する(ブタ胃粘膜由来の)精製ペプシン(3.2g)を溶解することにより模擬胃液(SGF)を作成した。溶液のpHは1.2であった。
【0039】
下記実施例で使用した所謂“カービカーブ(carbicarb)”乾燥粉末混合物は、適当な容器に炭酸ナトリウム(46.93g)を入れ、重炭酸ナトリウム(37.17g)を添加することにより作成した。
【0040】
(実施例1)
即効性/水溶性中和剤の試験
可溶性(すなわち、即効性)酸中和剤を示す化学組成物を同定するために酸中和試験を実施した。水酸化マグネシウム(840mg)、トロメタミン(840mg)及びカービカーブ(840mg)を別々に13mmダイを有するカーバープレスを用い、1秒の保圧時間、500ポンドの圧縮力で圧縮した。また、水酸化マグネシウム(420mg)及びトロメタミン(420mg)を含有する第1混合物も上記方法を用いて錠剤に圧縮した。更に、水酸化マグネシウム(420mg)及びカービカーブ(420mg)を含有する第2混合物も上記のように錠剤に圧縮した。
【0041】
5種の調製物をそれぞれ次のように試験した。各調製物の錠剤をUSP溶解装置バスケットに充填した後、そのバスケットをスピンドルに取り付けた。装置の撹拌部品をセットして、バスケットを約75rpmで回転させた。次いで、充填回転バスケットをSGF(50ml)及び蒸留脱イオン水(50ml)を含むビーカーに浸した。試験中ビーカー中の媒体のpHをマイクロpH電極を用いて常にモニターした。各錠剤を用いてビーカー中のpHが7に上昇するのに要した時間を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
(実施例2)
水不溶性酸中和剤を用いるpH上昇
修正模擬胃液(100ml)を収容しているビーカーに炭酸カルシウム(840mg)または炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム(840mg)を添加した。ビーカーの内容物をやさしく撹拌し、その内容物のpHを常にモニターした。pH値を20分間記録し、表3に示す。炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム溶液のpHをより長時間にわたり測定し、結果を図1にグラフで示す。
【0044】
【表3】

【0045】
図1及び表3に示すように、炭酸カルシウムも炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウムもそれ自体ではpHを測定している間修正模擬胃液のpHを7以上に上昇させ得なかった。
【0046】
(実施例3)
水溶性中和剤及び水不溶性中和剤を用いる酸性サンプルの滴定
幾つかの酸中和剤組合せを比較して、各組合せの中和特性をpH対使用した酸中和剤の容量の関数として調べた。
【0047】
トロメタミン(別名“TRIS”)及び水酸化マグネシウムMg(OH)を表4に示す異なる比率で混合した。各種トロメタミン/水酸化マグネシウム混合物の各々を10%懸濁液が生ずるまで蒸留水に添加した。2つの10% カービカーブ溶液も表4のサンプル5及び6に示すように調製した。
【0048】
【表4】


【0049】
1つのサンプル(サンプル6)を除いて、いずれの中和試験でも炭酸カルシウムCaCO(100mg)をまずガラスビーカー中のSGF(50ml)中に撹拌しながら添加した。次いで、ビーカー内容物を各種10%制酸剤懸濁液に対して滴定した。サンプル6では、炭酸カルシウム(100mg)をカービカーブ(700mg)と混合した後、混合物をSGF(50ml)中に添加した。SGFのpHを7以上に上昇させるのに要した制酸剤混合物の最小総容量及びそれぞれの混合物中の各酸中和剤の量を図2にグラフで示す。
【0050】
図2に示すように、10%溶液を約2.5ml添加後に全ての組合せがSGFのpHを7以上に上昇させた。SGFのpHを7以上に上昇させるのに要した中和混合物の最低総容量及びそれぞれの混合物中の各中和剤の量を下表5に示す。
【0051】
【表5】

【0052】
(実施例4)
水溶性中和剤と水不溶性中和剤の組合せを用いる酸性サンプルの滴定
実施例3を繰り返した。ただし、本実施例では、各サンプルの10%懸濁液に炭酸カルシウムCaCOを添加した後そのサンプル懸濁液をSGF(50ml)中で滴定した。各サンプル調製物の量を下表6に示す。
【0053】
【表6】

【0054】
SGFのpHを7以上に上昇させるのに要した制酸剤混合物の最低総容量及びそれぞれの混合物中の各制酸剤の量を図3にグラフで示す。
【0055】
実施例3と同様に図3に示すように、10%溶液を約2.5ml添加後に全ての組合せがSGFのpHを7以上に上昇させた。SGFのpHを7以上に上昇させるのに要した中和混合物の最低総容量及び各中和剤の量を下表7に示す。表7には、表4に示す例外サンプルのサンプル6からのデータも含まれている。
【0056】
【表7】

表7のサンプル1〜4及び表4のサンプル6はそれぞれ約240mgでSGFのpHを7以上に上昇させるのに対して、表7に示した5つのサンプル中サンプル4は最高のpH値をもたらし、その変化をもたらすのに要した総量も最低であった。
【0057】
(実施例5)
模擬胃条件での医薬保護剤の活性
本発明の酸中和成分の緩衝機能をカービカーブの緩衝機能と比較するために酸中和試験を実施した。第1サンプルは水酸化マグネシウム(350mg)、トロメタミン(350mg)及び炭酸カルシウム(140mg)を含んでいた。第2サンプルはコントロールとして使用し、カービカーブ(840mg)を含んでいた。両サンプルをカーバーペレットプレス(500lb圧,1秒の保圧時間)を用いて錠剤に圧縮し、それぞれを溶解バスケット(Van Kel)に入れた。両バスケットをSGF(100ml)を収容している別々のビーカーに下げた。バスケットを約75rpmで回転し、各サンプルを含む溶液を常にモニターした。ビーカー内容物5mlを、先端に70μm全流量式フィルターを取り付けたシリンジを用いて15分毎に取り出した。新しい修正模擬胃液(35ml)をビーカーに添加した。この過程を120分間繰り返した。結果を図4に示す。
【0058】
図4に示すように、各胃液交換で緩やかなpH低下がみられる。カービカーブの場合には、4回目の胃液交換後のpH低下が劇的である。カービカーブ及びトロメタミンは水溶性酸中和剤であり、これらは胃液交換後にビーカーから部分的に除去される。水酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムは水不溶性であるので、胃液交換毎に除去されない。このことはインビボで起こると予想される現象に似ている。不溶性中和剤及び水溶性中和剤の組合せはより良好なpH回復及び高い緩衝能を示す。
【0059】
(実施例6)
医薬保護剤の活性
粉末混合物の総重量が800mgまたは700mgであるように異なる量のトロメタミン及び水酸化マグネシウムを炭酸カルシウム(250mg)と混合した。各粉末ブレンドの組成を表8に示す。SGF(100ml)を、37.0℃に設定した水浴に接続した7つの水ジャケットビーカーに入れた。緩やかに撹拌(磁気撹拌プレート;Fischer Scientific)しながら上記粉末ブレンドをそれぞれSGF収容ビーカーに移し、10分間混合した。粉末ブレンドを最初に添加した後のビーカー内容物のpHを記録した。10分後、更にSGF(5ml)をビーカーに添加し、2分間混合し、この時点でpHを記録した。ビーカー内容物のpHが6.0以下に下がるまでSGF(5ml)の添加プロセスを繰り返した。粉末ブレンド添加後の最初のpH、粉末ブレンド添加してから10分後のpH、SGFのpHが7.0以上に上昇するのに要した時間及びpHを6以下に下げるのに要したSGFの総容量を表8に示す。
【0060】
全ての粉末ブレンドで、pHを6.0以下とするには120〜175mlの模擬胃液(SGF)が必要であった。成人の胃内絶食容量(非刺激)は24mlである(Geigy Scienticic Tables参照)。成人の胃液の基礎流量は79.7ml/時である(Geigy Scienticic Tables参照)。公表されている胃液の容量は本インビトロ実験で使用したSGFの容量よりも有意に少ない。よって、酸不安定性薬物と本発明の医薬保護剤の組合せは、酸不安定性医薬化合物のみと比較して胃酸中和をより速く開始し、pHコントロール時間をより長くできなければならない。
【0061】
【表8】

【0062】
(実施例7)
医薬保護剤の安定性
水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム及びトロメタミンを含有するランソプラゾール顆粒剤を調製し、効力について試験し、模擬胃液中での安定性を評価した。同一顆粒剤を室温で(光から保護して)27日間保存後再び試験した。更に、懸濁液組成物を調製し、安定性についてサンプルを調製直後、サンプルを室温及び冷蔵条件で14日間、27日間保存した後に評価した。
【0063】
水酸化マグネシウム(Mallinckrodt)、重炭酸ナトリウム(ACSグレード,Fisher)、トロメタミン、USP(Sigma)及び炭酸カルシウム(ACSグレード,Fischer)を表9に示す割合でランソプラゾール(Takeda Chemicals)と混合した。スクロース(NF,Fischer)を精製水(Fischer)に溶解して、60%溶液を調製した。スクロース溶液を粉末混合物に添加し、粉砕すると、湿った集塊が生じた。この集塊をサイズ10篩に通し、篩分けした顆粒を45℃で一晩乾燥した。乾燥顆粒をサイズ10篩に再び通した。
【0064】
100ml容量のガラスビーカーにおいて、ランソプラゾール30mgに等しい顆粒を模擬胃液(USP;50ml)に添加し、ゆっくり撹拌した。5分後、ランソプラゾールの更なる分解を凍結するために2N 水酸化ナトリウム(5ml)をビーカーに添加した。5分後ではなく60分後に2N 水酸化ナトリウム(認定グレード,Fisher)を添加する以外は、同一手順を繰り返した。2つのビーカーの内容物をHPLC法により安定性について分析した。現在の組成物を模擬胃液(USP;50ml)に添加したときに観察されたランソプラゾールの分解は1%未満であった。
【0065】
ランソプラゾール(約300mg)を含む顆粒を密閉容器中に室温(22±2℃)で保存した。27日後、前記サンプルを物理的変化の兆候について試験し、HPLC法により安定性について分析した。ランソプラゾールは、表9に示した処方により調製した顆粒中では安定であることが判明した。
【0066】
【表9】

【0067】
(実施例8)
医薬保護剤の安定性
実施例7に上記した顆粒化手順を繰り返した。ただし、サイズ10篩ではなくサイズ20篩を使用した。調製した顆粒を用いて懸濁液組成物を作成した。ランソプラゾール300mg(10回投与)に等しい量の懸濁液用顆粒を100ml容量のメスフラスコに入れた。メスフラスコにフレーバーブレンド(10g)を添加した。次いで、容量が100mlとなるのに十分量の精製水(Fischer)を添加した。
【0068】
懸濁液の一部を密封容器中で冷蔵(4℃)保存し、他の一部を室温(22±2℃)で保存した。14日及び27日後、これらのサンプルを物理的変化の兆候について試験し、HPLC法により安定性について分析した。ランソプラゾールは冷蔵でも室温保存でも懸濁液組成物中で安定であることが判明した。
【0069】
当業者は、本明細書に記載されている実施態様を参照して本明細書に記載されている組成物及び方法に対して本発明の趣旨を逸脱することなく変化を加え得ることを理解している。本発明は好ましい実施態様に関して上記してきたが、本発明に複数の再構成、修飾及び改変を適用し、こうした再構成、修飾及び改変がすべて本発明の範囲に包含されると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって、前記医薬組成物は(a)治療有効量の少なくとも1つの医薬化合物及び(b)医薬的に許容され得る保護剤を含み、前記保護剤は(i)水溶性酸中和剤及び(ii)水不溶性酸中和剤を含む前記組成物。
【請求項2】
医薬化合物が酸不安定性である請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項3】
医薬化合物がプロトンポンプ阻害剤である請求の範囲第2項に記載の組成物。
【請求項4】
医薬化合物がランソプラゾール、ランソプラゾールのエナンチオマーまたはその医薬塩である請求の範囲第3項に記載の組成物。
【請求項5】
水溶性酸中和剤がトロメタミン、メグルミン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びトロメタミン、メグルミン、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの組合せから選択される請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項6】
水不溶性酸中和剤が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、炭酸カルシウム、並びに水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム及び炭酸カルシウムの組合せからなる群から選択される請求の範囲第1項に記載の組成物。
【請求項7】
更にプロトンポンプ阻害剤エンハンサーを含む請求の範囲第3項に記載の組成物。
【請求項8】
医薬化合物がランソプラゾール、ランソプラゾールのエナンチオマーまたはその医薬塩である請求の範囲第7項に記載の組成物。
【請求項9】
胃酸障害の治療用医薬組成物であって、前記組成物は(a)治療有効量のプロトンポンプ阻害剤及び(b)前記プロトンポンプ阻害組成物を包囲する医薬的に許容され得る保護剤を含み、前記保護剤は(i)水溶性酸中和剤及び(ii)水不溶性酸中和剤を含む前記組成物。
【請求項10】
水溶性酸中和剤がトロメタミン、メグルミン、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの1つまたはそれ以上を含む請求の範囲第9項に記載の組成物。
【請求項11】
水溶性酸中和剤がトロメタミン、メグルミン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びトロメタミン、メグルミン、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの組合せから選択される請求の範囲第9項に記載の組成物。
【請求項12】
水不溶性酸中和剤が水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム、炭酸カルシウム、並びに水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸ジヒドロキシアルミニウムナトリウム及び炭酸カルシウムの組合せからなる群から選択される請求の範囲第9項に記載の組成物。
【請求項13】
プロトンポンプ阻害剤がランソプラゾール、ランソプラゾールのエナンチオマーまたはその医薬的に許容され得る塩である請求の範囲第9項に記載の組成物。
【請求項14】
治療有効量の少なくとも1つの医薬化合物を医薬的に許容され得る保護剤と組合せて前記医薬化合物を保護するステップを含み、前記保護剤は水溶性酸中和剤及び水不溶性酸中和剤を含む、医薬化合物を胃液分解から保護する方法。
【請求項15】
医薬化合物が酸不安定性である請求の範囲第14項に記載の方法。
【請求項16】
医薬化合物がランソプラゾール、ランソプラゾールのエナンチオマーまたはその医薬塩であり、水不溶性酸中和剤として水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び炭酸カルシウムの少なくとも1つを選択する請求の範囲第15項に記載の方法。
【請求項17】
請求の範囲第1項に記載の組成物を医薬的に許容され得る量投与することを含む生理的障害の治療方法。
【請求項18】
医薬化合物が酸不安定性である請求の範囲第17項に記載の方法。
【請求項19】
医薬化合物がプロトンポンプ阻害剤である請求の範囲第18項に記載の方法。
【請求項20】
医薬化合物がランソプラゾール、ランソプラゾールのエナンチオマーまたはその医薬塩である請求の範囲第19項に記載の方法。
【請求項21】
組成物が更にプロトンポンプ阻害剤エンハンサーを含む請求の範囲第20項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−176955(P2012−176955A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−91625(P2012−91625)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2003−528545(P2003−528545)の分割
【原出願日】平成14年7月12日(2002.7.12)
【出願人】(509022185)タケダ ファーマシューティカルズ ユー.エス.エー. インコーポレイティド (8)
【Fターム(参考)】