説明

医薬化合物

【化46】


式(1)の縮合ピリミジンおよび医薬的に許容されるその塩は、PI3Kの阻害剤としての活性を有し、それ故PI3キナーゼに関連する細胞増殖、機能または挙動の異常から生じる疾患または障害、例えば癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害および神経障害を治療するために使用し得る。前記化合物を合成するための方法も述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジン誘導体およびホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)の阻害剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール(以下「PI」と略す)は、細胞膜中に認められる多くのリン脂質の1つである。近年、PIが細胞内シグナル伝達に重要な役割を果たすことが明らかになった。1980年代後半に、PI3キナーゼ(PI3K)がホスファチジルイノシトールのイノシトール環の3位をリン酸化する酵素であることが認められた(D. Whitman et al, 1988, Nature, 332, 664)。
【0003】
PI3Kは当初単一酵素であると考えられたが、現在は、PI3Kには複数のサブタイプが存在することが明らかになっている。各々のサブタイプは、活性を調節するためのそれ自体の機構を有する。3つの主要クラスのPI3Kが、それらのインビトロでの基質特異性に基づいて同定された(B. Vanhaesebroeck, 1997, Trend in Biol. Sci, 22, 267)。クラスI PI3Kについての基質は、PI、PI4−ホスフェート(PI4P)およびPI4,5−ビホスフェート(PI(4,5)P2)である。クラスI PI3Kは、それらの活性化機構に関して、さらに2つの群、クラスIaとクラスIbに分けられる。クラスIa PI3Kは、チロシンキナーゼ結合受容体からのシグナルを伝達する、PI3K p110α、p110βおよびp110δサブタイプを含む。クラスIb PI3Kは、Gタンパク質結合受容体によって活性化されるp110γサブタイプを含む。PIおよびPI(4)PはクラスII PI3Kについての基質として知られる。クラスII PI3Kは、C末端にC2ドメインを含むことによって特徴付けられる、PI3K C2α、C2βおよびC2γサブタイプを含む。クラスIII PI3Kの基質はPIのみである。
【0004】
PI3Kサブタイプの中で、クラスIaサブタイプが現在まで最も広く検討されている。クラスIaの3つのサブタイプは、触媒110kDaサブユニットと85kDaまたは55kDaの調節サブユニットのヘテロニ量体である。調節サブユニットはSH2ドメインを含み、チロシンキナーゼ活性を有する増殖因子受容体または癌遺伝子産物によってリン酸化されるチロシン残基に結合し、それによって、その脂質基質をリン酸化するp110触媒サブユニットのPI3K活性を誘導する。それ故、クラスIaサブタイプは細胞増殖および発癌に関連すると考えられる。
【0005】
国際公開公報第WO01/083456号は、PI3Kの阻害剤としての活性を有し、癌細胞増殖を抑制する、一連の縮合ヘテロアリール誘導体を述べている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今や、縮合ピリミジン化合物の新規クラスは、薬物様の生理化学および薬物動態特性を有するPI3Kの有効な阻害剤であることが見出された。前記化合物は、クラスIbに比べてクラスIa PI3Kに選択性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、式(I):
【化13】

[式中、
Aは、チオフェンまたはフラン環を表わし;
nは1または2であり;
1は、式:
【化14】

[式中、
mは0または1であり;
30は、HまたはC1−C6アルキルであり;
4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環に縮合していてもよく、N、SおよびOから選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含み、および非置換であるかまたは置換されている、5員または6員の飽和N含有複素環式基を形成するか;またはR4およびR5の一方がアルキルであり、他方が、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基であるかまたは上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基によって置換されたアルキル基である]
の基であり;
2は、
(a)
【化15】

[式中、R6およびR7は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるかまたは置換されているモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゼパンまたはチアゼパン基を形成する];および
(b)
【化16】

[式中、Yは、鎖の構成炭素原子の間におよび/または鎖の一方または両方の末端に、O、NおよびSから選択される1または2個のへテロ原子を含み、非置換であるかまたは置換されている、C2−C4アルキレン鎖である]
から選択され;および
3は、
(a)以下の式:
【化17】

[式中、Bは、非置換であるかまたは置換されているフェニル環であり、およびZは、H、−OR、−SR、CH2OR、−CO2R、CF2OH、CH(CF3)OH、C(CF32OH、−(CH2qOR、−(CH2qNR2、−C(O)N(R)2、−NR2、−NRC(O)R、−S(O)mN(R)2、−OC(O)R、OC(O)N(R)2、−NRS(O)mR、−RC(O)N(R)2、CN、ハロゲンおよび−NO2から選択され、各々のRは、H、C1−C6アルキル、C3−C10シクロアルキルおよび非置換であるかまたは置換されている5−12員アリールまたはヘテロアリール基から独立して選択され、mは1または2であり、およびqは0、1または2である]
の基;
(b)1、2、3または4個の環窒素原子およびOおよびSから選択される0、1または2個の付加的なヘテロ原子を含み、単環式または二環式であり、非置換であるかまたは置換されているヘテロアリール基;および
(c)非置換であるかまたは置換されており、上記で定義したヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基
から選択され;
但し、R3は、非置換であるかまたは置換されているインドール基またはインダゾール基ではないことを条件とする]
の縮合ピリミジンである化合物または医薬的に許容されるその塩を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
式(I)のチオフェンまたはフラン環Aは、2つの可能な位置化学的配位のいずれかを採る。式(I)は、それ故、以下の式(Ia)のチエノ[3,2−d]ピリミジンおよびフラノ[3,2−d]ピリミジン並びに以下の式(Ib)のチエノ[2,3−d]ピリミジンおよびフラノ[2,3−d]ピリミジンをカバーする:
【化18】

[式中、R1−R3の各々およびnは上記で定義したとおりであり、およびXはSまたはOである]。
【0009】
式(I)において、nが2であるとき所与の化合物内で同じかまたは異なる、1個または複数の基R1は、チオフェンまたはフラン環A上の2つの使用可能な環位置のいずれかまたは両方に結合し得る。上記構造(Ia)および(Ib)に関して、それ故、nが1であるとき、フランまたはチオフェン環は2位または3位でR1によって一置換されている。nが2であるとき、チオフェンまたはフラン環は2位と3位でR1によって一置換されている。
【0010】
本明細書において指定されるように、アルキル基は、非置換であるかまたは置換されている直鎖または分岐飽和炭化水素基である。典型的には、C1−C20アルキル、例えばC1−C10アルキル、例えばC1−C6アルキルまたはC1−C4アルキル、例えばメチル、エチル、i−プロピル、n−プロピル、t−ブチル、s−ブチルまたはn−ブチルである。また、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの様々な分岐鎖異性体であり得る。
【0011】
アルキル基が置換されているとき、それは、典型的にはハロゲン、アルコキシ、炭素環基、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基、OH、SR、CN、ニトロ、NR2、−COOR、−C(O)R、S(O)mRおよび−CONR2[式中、各々のRは、H、非置換アルキルまたはC3−C10シクロアルキルであり、およびmは1または2である]から選択される1個またはそれ以上の置換基R20を担持する。前記アルキル基は、例えばハロアルキル基または−alk−N(R4)(R5)基[式中、alkはアルキレン鎖であり、R4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環に縮合していてもよく、N、SおよびOから選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含み、および非置換であるかまたは置換されている、5員または6員の飽和N含有複素環式基を形成する]である。典型的には、R20は、ハロゲン、アルコキシ、炭素環基、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基、OH、CN、NR2、−COORおよび−CONR2[式中、各々のRは、Hまたは上記で定義した非置換アルキルである]から選択される。それは、例えばハロアルキル基または−alk−N(R6)(R5)基[式中、alkはアルキレン鎖であり、R4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基を形成する]である。
【0012】
アルキレン基は、非置換であるかまたは置換された、直鎖または分岐鎖の飽和二価炭化水素基である。典型的にはC1−C8アルキレン、例えばC1−C6アルキレンである。好ましくは、C1−C4アルキレン、例えばC2−C4アルキレン、例えばメチレン、エチレン、i−プロピレン、n−プロピレン、t−ブチレン、s−ブチレンまたはn−ブチレンである。また、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレンおよびその様々な分岐鎖異性体である。アルキレン基が置換されているとき、それは、典型的には上記で定義した基R20によって置換されている。
【0013】
アルケニル基は、非置換であるかまたは置換された、1またはそれ以上の二重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基である。典型的にはC2−C8アルケニル、例えばC2−C6アルケニル、例えばアリル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニルまたはヘキセニルである。アルケニル基が置換されているとき、それは、典型的には上記で定義した基R20によって、もしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されている。
【0014】
アルキニル基は、非置換であるかまたは置換された、1またはそれ以上の三重結合を有する直鎖または分岐鎖炭化水素基である。典型的にはC2−C8アルキニル、例えばC2−C6アルキニル、例えばエチニル、プロピニルまたはブチニルである。アルキニル基が置換されているとき、それは、典型的には上記で定義した基R20、もしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されている。
【0015】
ハロアルキル基は、1個またはそれ以上のハロゲン原子によって置換されている、上記で定義したアルキル基である。ペルハロアルキル基、例えばトリフルオロメチルまたはペルフルオロヘキシルであり得る。
【0016】
ハロゲンは、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素である。典型的には臭素またはヨウ素である。
【0017】
アルコキシ基は、典型的にはC1−C6アルコキシ、例えばC1−C4アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、n−プロポキシ、t−ブトキシ、n−ブトキシまたはs−ブトキシである。前記アルコキシ基は、非置換であるか、または、例えば上記で定義した基R20によって、もしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって、または非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって、置換されている。典型的には、炭素環基、モルホリノ、OH、CN、NR2、−COORまたは−CONR2[式中、各々のRは、Hまたは上記で定義した非置換アルキルである]によって置換されている。
【0018】
炭素環基は、典型的には3−10個の炭素原子を有する、非芳香族飽和または不飽和単環式炭化水素環である。それは、C3−C8シクロアルキル基またはC5−C10シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであり得る。もしくは、シクロアルケニル基、典型的にはC4−C8シクロアルケニル基、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクテニルまたはシクロオクタジエニルであり得る。炭素環基は、非置換であるかまたは、例えば上記で定義した基R20によって、もしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されていてもよい。典型的には、炭素環基は、アルコキシ、モルホリノ、OH、CN、NR2、−COORおよび−CONR2[式中、各々のRは、Hまたは上記で定義した非置換アルキルである]によって置換されている。
【0019】
ベンゼン環に縮合していてもよく、N、SおよびOから選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含み、および非置換であるかまたは置換されている、5員または6員の飽和N含有複素環式基は、典型的にはモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、チオモルホリン、キノリン、イソキノリン、ジアゼパン、オキサゼパンおよびチアゼパンから選択される。
【0020】
上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基が置換されているとき、それは、典型的には1個またはそれ以上の置換基、例えば1、2または3個の置換基、典型的には1または2個の置換基によって置換されている。典型的には、置換基は、非置換であるかまたは置換されているアルキル、非置換であるかまたは置換されているアルコキシ、−NR2、−N(R’’’)−alk−OR、−alk−OR、−O−alk−OR、−alk−C(O)NR2、−C(O)NR2、−alk−Het、−N(R)−Het、−O−Het、−N(R)−C(O)−alk−OR、−C(O)−N(R)−alk−OR、−alk−S(O)2R、−N(R)−alk−OR、−alk−NR’R’’、−N(R’’’)−S(O)2R、S(O)2R’’’、−alk−N(R)−alk−OR、−S(O)2−alk−OR、第二の上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基、非置換であるかまたは置換されており、ベンゼン環に縮合していてもよい、5員または6員のN含有ヘテロアリール基、−COOR、−CONR2、オキソ(=O)、−SO2NR2、−SO2−alk−NR2および−CO−alk−OR[式中、alkは上記で定義したアルキレン鎖であり;Hetは、非置換であるかまたは置換されている、ここで定義する5員または6員のN含有ヘテロアリール基であり;RはHまたはアルキルであるか、もしくは2個のR基がNに結合しているとき、それらは、N原子と共に、非置換であるかまたは置換されている、ここで定義する飽和5員または6員のN含有複素環式基を形成してもよく;R’およびR’’の各々は、独立してH、アルキルまたはアルコキシであり;およびR’’’は、非置換であるかまたは、例えばCF3、NR2、OR、ここで定義する5員または6員の飽和N含有複素環式基またはここで定義する5員または6員のN含有ヘテロアリール基によって置換されているアルキルである]から選択され、前記複素環式基およびヘテロアリール基は、非置換であるかまたは置換されている。前記置換基は、上記で定義した基R20によって、もしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されていてもよい。
【0021】
典型的には、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基は、非置換であるかまたは置換されているアルキル、非置換であるかまたは置換されているアルコキシ、第二の上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基、非置換であるかまたは置換されており、ベンゼン環に縮合していてもよい、5員または6員のN含有ヘテロアリール基、−COOR、−CONR2、オキソ(=O)、OH、−NSO2R、−SO2NR2または−CO(CH2nOR[式中、RはHまたはアルキルである]、−NR’R’’[式中、R’およびR’’の各々は、独立してH、アルキルまたはアルコキシである]および−SO2R’’’[式中、R’’’は、非置換であるかまたは、例えばNR2または上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基によって置換されているアルキルである]から選択される基によって置換されている。
【0022】
より典型的には、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基は、非置換であるかまたは置換されている(例えば上記で定義したR20によって)上記で定義したアルキル、上記で定義したハロアルキル、非置換であるかまたは置換されている上記で定義したアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、ニトロ、アミノ、オキソ(=O)、および−NR’R’’[式中、R’およびR’’の各々は独立してHまたはアルキルである]から選択される1個またはそれ以上の置換基によって置換されている。
【0023】
N、SおよびOから選択される1または2個のヘテロ原子を含み、非置換であるかまたは置換されている5員、6員または7員の飽和複素環式基は、典型的にはテトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロチオフランから選択される。
【0024】
N、SおよびOから選択される1または2個のヘテロ原子を含む5員、6員または7員の飽和複素環式基が置換されているとき、それは、5員または6員の飽和N含有複素環式基に関して上記で規定したように置換されていてもよい。
【0025】
ヘテロアリール基は、1、2、3または4個の環窒素原子およびO、NおよびSから選択される0、1または2個の付加的なヘテロ原子を含み、単環式または二環式であり、非置換であるかまたは置換されているヘテロアリール基である。前記ヘテロアリール基は、典型的には5−12員環である。ヘテロアリール基の例は、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オール、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンおよびイサチン基を含む。好ましい例は、インダゾール、インドール、ピラゾールおよびテトラゾール基を含む。これらの基は、非置換であるかまたは、例えば上記で規定した基R20によってもしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されていてもよい。
【0026】
ベンゼン環に縮合していてもよい5員または6員のN含有ヘテロアリール基は、典型的にはピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、インドール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オール、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジンおよびピラジンから選択される。そのようなヘテロアリール基が置換されているとき、それは、上記で定義した基R20によってもしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されていてもよい。
【0027】
1において、mは0または1であり、典型的には1である。R30は、典型的にはHである。R4およびR5は、典型的には、それらが結合しているN原子と共に、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、キノリン、イソキノリン、ジアゼパン、オキサゼパンおよびチアゼパンから選択される飽和N含有複素環式基を形成する。R4とR5によって形成される複素環式基は、非置換であるかまたは、例えば上記で列挙した置換基の例、例えば上記で定義した基R20によって、もしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されている。
【0028】
式(I)のR2の定義(a)において、R6とR7によって形成される環は、典型的には、非置換であるかまたは、例えば上記で規定した基R20によってもしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されている、モルホリンである。あるいは前記環は、各々が非置換であるかまたは、例えば上記で規定した基R20によってもしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されている、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロチオフランから選択される基であってもよい。R6とR7によって形成される環が置換されているとき、それは、例えば上記で定義した基R20によって、環ヘテロ原子または環炭素原子のいずれかで置換され得る。
【0029】
式(I)のR2の定義(b)において、Yによって表わされるアルキレン鎖は、それが結合している炭素原子と共に、O、NおよびSから選択される1または2個のへテロ原子を含み、非置換であるかまたは置換されている飽和5員、6員または7員複素環を形成する。前記複素環の例は、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロチオフランおよびモルホリンを含む。複素環が置換されているとき、それは、典型的にはハロゲン、アルキル、ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)、アルコキシ、OH、CN、NR2、オキソ(=O)、−COORおよび−CONR2[式中、各々のRは、Hまたは上記で定義した非置換アルキルである]から選択される1個またはそれ以上の置換基、例えば1、2または3個の置換基によって置換されている。
【0030】
3についての定義(a)において、フェニル環Bは、非置換であるか(Z基を別にして)または置換されている。フェニル環Bが非置換であるとき、Z基は唯一の置換基である。フェニル環Bが置換されているとき、それは、典型的には、Z基に加えて、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、CN、NO2、OR’、SR’、NR’2、C(O)R’、SOR’、SO2R’、SO2NR’2、NC(O)R’およびCO2R’[式中、各々のR’は独立してHまたはC1−C6アルキルである]から選択される1個またはそれ以上の置換基を含む。
【0031】
Z基は、フェニル環B上のいずれかの使用可能な環位置に結合している。それ故それは、フェニル環の2、3、4、5または6位に位置し得る。典型的には、3または4位で結合する。Zは、−BZ部分が置換フェニル環であるように、最も典型的にはH以外である。Zの典型的な例は、上記で定義したOR基、特にOHである。この実施形態では、OR基、またはOH基は、典型的にはフェニル環Bの3または4位で結合する。典型的には、−BZは、非置換であるかまたは置換されているインドールまたはインダゾール基以外の、3−ヒドロキシフェニルまたは4−ヒドロキシフェニル基、またはそれらのイソステアである。
【0032】
ここで使用するイソステアは、式(I)の構造に関して3−ヒドロキシフェニルまたは4−ヒドロキシフェニル基と同じまたは類似の結合特性を有する官能基である。3−ヒドロキシフェニルおよび4−ヒドロキシフェニル基のイソステアは、R3についての定義(b)および(c)に包含される。
【0033】
3についての定義(b)において、ヘテロアリール基は、非置換であるかまたは置換されている。置換されている場合、それは、Z基、上記で定義したR20、非置換であるかまたは上記で定義したR20で置換されたアルキル、フェニル環B上の付加的な置換基として上記で規定したいずれかの基、およびオキソ基(=O)から選択される1個またはそれ以上の置換基によって置換され得る。典型的には、置換されている場合、ヘテロアリール基はOH、NH2またはオキソ基によって置換されている。1つの実施形態では、ヘテロアリール基は非置換である。
【0034】
3についての定義(c)において、ベンゼン環は、非置換であるかまたは置換されている。置換されている場合、それは、Z基、上記で定義したR20、非置換であるかまたは上記で定義したR20で置換されたアルキル、およびフェニル環B上の付加的な置換基として上記で規定した基のいずれかから選択される1個またはそれ以上の置換基によって置換され得る。ベンゼン環が縮合しているヘテロアリール基は、それ自体非置換であるかまたは、例えばZ基、R20または非置換であるかまたは上記で定義したR20で置換されたアルキルによって、フェニル環B上の付加的な置換基についての選択肢として上記で規定したいずれかの基によって、またはオキソ基(=O)によって置換されている。1つの実施形態では、ベンゼン環とヘテロアリール基の両方が非置換である。
【0035】
3についての定義(b)および(c)に含まれる基の例は、ピロール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソインドール、1,3−ジヒドロ−インドール−2−オン、ピリジン−2−オン、ピリジン、ピリジン−3−オール、イミダゾール、1,3−ジヒドロ−ベンズイミダゾロン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ピラゾロピリジン、アミノピラゾリノン、イミダゾピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンおよびイサチン基を含む。好ましい例は、ピラゾールおよびテトラゾール基を含む。これらの基は、非置換であるかまたは、例えばZ基、基R20によってもしくは非置換であるかまたは上記で定義した基R20で置換されたアルキルによって置換されていてもよい。典型的には、これらの基はイソステアである。
【0036】
より詳細には、上記で定義したR3についての定義(b)および(c)に含まれる基は、典型的には上記で定義したイソステアである、以下の構造:
【化19】

【化20】

【化21】

[式中、各々のR10は、H、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アシル、
−C(O)NR’R’’、−S(O)tNR’R’’、アリール、ヘテロアリール、スルホニルおよびハロゲン[式中、R’およびR’’は各々独立してHまたはC1−C6アルキルであり、tは1または2である]から独立して選択され;
各々のR11は、−OR10および−N(R102[式中、R10は上記で定義したとおりである]から独立して選択され;
各々のR12は、独立してH、FまたはCF3であり;
各々のWは、CR10およびN[式中、R10は上記で定義したとおりである]から独立して選択され;
およびW’は、O、SおよびNR12[式中、R12は上記で定義したとおりである]から選択され;
但し、式(1i)および(1ii)はインドールおよびインダゾール以外であることを条件とする]
を含む。
【0037】
本発明の化合物の詳細な例は、
3−(4−モルホリン−4−イル−6−モルホリン−4−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピロリジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−(6−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルメチル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[4−モルホリン−4−イル−6−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールトリフルオロ酢酸塩;
3−{6−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
3−[6−(4−メチル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−酢酸エチルエステル;
1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
3−{6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
3−(4−モルホリン−4−イル−6−チオモルホリン−4−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[6−(4−ジメチルアミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−2−オン;
3−[6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−アセトニトリル;
3−[4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(4−アミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−4−モルホリン−4−イルメチル−ピペリジン−4−オール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルアミド;
N−{1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−メタンスルホンアミド;
1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−2−メトキシ−エタノン;
N−{1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−アセトアミド;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミド;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−オール;
3−[6−(1,1−ジオキソ−1λ**−チオモルホリン−4−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−スルホン酸ジメチルアミド;
3−(6−{4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピペリジン−1−イルメチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピロリジン−3−オール;
(R,S)−3−[6−(2−ジメチルアミノメチル−ピロリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
(R,S)−3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−カルボン酸アミド;
2−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−N,N−ジメチル−アセトアミド;
3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピロリジン−3−イル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
2−ジメチルアミノ−1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
3−[6−((3R,5S)−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−((3R,5S)−4−メタンスルホニル−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
1−{(2R,6S)−4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
3−{6−[4−(3−ジメチルアミノ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
3−[6−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−{4−モルホリン−4−イル−6−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−モルホリン−4−イル−メタノン;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミド;
1−{3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェニル}−エタノール;
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェニル}−メタノール;
2−クロロ−5−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
2,3−ジフルオロ−5−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
2−(1H−インダゾール−6−イル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;および
6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピラゾール−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン
および医薬的に許容されるそれらの塩を含む。
【0038】
式(I)の化合物は、置換基の種類に依存して幾何異性体または互変異性体の形態で存在することがあり、分離された形態のこれらの異性体またはそれらの混合物は本発明において使用し得る。化合物が不斉炭素原子を有する場合、そのような炭素原子に基づき光学異性体が存在し得る。これらの光学異性体の混合物および単離形態の全てが本発明において使用し得る。
【0039】
mが1である式(I)の化合物を作製するための適切な合成戦略は、式(II):
【化22】

[式中、AおよびR2は上記で定義したとおりである]
の前駆体カルボキシアルデヒドを使用する。この前駆体から出発して、合成は、いずれかの順序で、パラジウムを介した(鈴木型)クロスカップリング反応および還元的アミノ化を実施することを含む。本発明は、それ故、さらに、
(a)式(II):
【化23】

[式中、AおよびR2は上で定義したとおりである]
の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上記で定義したとおりであり、および各々のR15はHまたはC1−C6アルキルであるかまたは2個の基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成する]のそのエステルで処理すること;および生じた式(III):
【化24】

[式中、A、R2およびR3は上記で定義したとおりである]
の化合物を、適切な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理すること;または
(b)上記で定義した式(II)の化合物を、適切な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理すること;および生じた式(IV):
【化25】

[式中、A、R2、R4およびR5は上記で定義したとおりである]
の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上記で定義したとおりであり、および各々のR15はHまたはC1−C6アルキルであるかまたは2個の基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成する]のそのエステルで処理すること
を含む、mが1である上記で定義した式(I)の化合物を作製するための方法を提供する。
【0040】
アミノ化工程およびPdを介したクロスカップリング工程の両方が慣用条件下で起こる。パラジウム触媒は、鈴木型クロスカップリングのための典型的に使用されるもの、例えばPdCl2(PPh32であり得る。還元剤は、典型的にはボロハイドライド、例えばNaBH(OAc)3、NaBH4またはNaCNBH4、特にNaBH(OAc)3である。
【0041】
本発明はさらに、
(a)式(V):
【化26】

[式中、OR’は、それが結合しているフェニル環の3または4位で結合しており、R’はヒドロキシ保護基であり、およびAおよびR2は上記で定義したとおりである]
の化合物を、適切な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理すること;および
(b)ヒドロキシ保護基を除去すること
を含む、mが1であり、およびR3が3−または4−ヒドロキシフェニル基である、式(I)の化合物を作製するための方法を提供する。
【0042】
還元剤は、典型的には、例えば上記で規定したような、ボロハイドライドである。
【0043】
ヒドロキシ保護基の例は、例えば"Protective Groups for Organic Chemistr
y", Third Edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, John Wiley & Sons, 1999に
述べられているように、当分野において公知である。例えばヒドロキシ基は、アセタール、置換アセタール、エステル、キサンテート、エーテルまたはシリルエーテルとして保護することができる。アセタールは、好ましくはテトラヒドロピランである。シリルエーテルは、好ましくはトリメチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、トリイソ−プロピルシリルエーテルまたはt−ブチルジフェニル−シリルエーテルである。これらの保護基は従来の手法によって除去される。
【0044】
上記で定義した式(V)の化合物は、式(VI):
【化27】

[式中、A、R2およびR’は上記で定義したとおりである]
の化合物を、リチウム化剤、次いでN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)で処理することを含む方法によって作製し得る。前記反応は、典型的には非極性有機溶媒、例えばヘキサンのような炭化水素溶媒中のリチウム化剤の溶液を、有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)中の式(VI)の化合物の懸濁液に添加することによって実施される。THFを使用する場合、添加は約−78℃の低温で実施される。リチウム化剤は、典型的にはアルキルリチウム、例えばn−ブチルリチウムである。
【0045】
上記で定義した式(VI)の化合物は、式(VII):
【化28】

[式中、AおよびR2は上記で定義したとおりである]
の化合物を、パラジウム触媒の存在下で、式(VIII):
【化29】

[式中、R’およびR15は上記で定義したとおりである]
のボロン酸で処理することを含む方法によって作製し得る。前記反応は、例えば上述したような、鈴木型クロスカップリング反応のための慣用条件下で実施される。
【0046】
2が−NR67である上記で定義した式(II)の化合物は、式(IX):
【化30】

[式中、A、R6およびR7は上記で定義したとおりである]
の化合物を、リチウム化剤、次いでN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)で処理することを含む方法によって調製し得る。前記反応は、典型的には式(V)の化合物の作製に関して上述したように実施される。
【0047】
上記で定義した式(IX)の化合物は、式(X):
【化31】

の化合物を、有機溶媒中の式NHR67[式中、R6およびR7は上記で定義したとおりである]のアミンで処理することを含む方法によって作製し得る。溶媒は、典型的にはアルコール、例えばメタノールである。反応は一般に室温で実施される。
【0048】
式(X)の化合物は、2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジンの調製のための参照実施例1で述べる方法によって、またはそのような方法と類似の方法によって調製し得る。
【0049】
2が式:
【化32】

である上記で定義した式(II)の化合物は、式(XI):
【化33】

[式中、AおよびR3は上記で定義したとおりである]
の化合物を、式(XII):
【化34】

[式中、Lは、Hまたはハロ、−OSO2CF3、−B(OR)2、−Sn(R)3および−Si(R)3[式中、RはHまたは上記で定義したアルキルである]から選択される基である]
の化合物とのパラジウムを介したクロスカップリングに供し、次に還元して、以下の式(XIII):
【化35】

[式中、A、R3およびYは上記で定義したとおりである]
の化合物を生成することを含む方法によって調製し得る。
【0050】
式(XIII)の化合物は、例えば式(VI)の化合物の式(V)の化合物への変換に関して上述した条件下で、リチウム化剤、次いでN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)での処理によって対応するカルボキシアルデヒドに変換し得る。リチウム化剤は、典型的には上記で定義したとおりである。生じたカルボキシアルデヒドは、次に、適切な還元剤、例えば上記で規定したボロハイドライド、特にNaBH(OAc)3の存在下で、
式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンでの処理によって、mが1である、上記で定義した式(I)の所望最終化合物に変換し得る。
【0051】
mが0である上記で定義した式(I)の化合物は、ブッフバルト型のパラジウムを介した窒素挿入反応によって調製し得る。そのような方法は、式(XIV):
【化36】

[式中、A、R2およびR3は上記で定義したとおりであり、およびWはBrおよびIから選択されるハロ基である]
の化合物を、パラジウム触媒の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理することを含み得る。
【0052】
式(XIV)の化合物は、式(XV):
【化37】

[式中、A、R2およびR3は上記で定義したとおりである]
の化合物を、リチウム化剤と臭素およびヨウ素から選択されるハロゲンで処理することによって作製し得る。リチウム化剤は、典型的にはアルキルリチウム、例えばブチルリチウムである。ハロゲンは、典型的には、WがIである式(XIV)の化合物を生じる、ヨウ素である。
【0053】
mが0である上記で定義した式(I)の化合物はまた、例えばD. Prim and G. Kirsch in Tetrahedron 55 (21), 6511-6526, 1999によって述べられている条件下で、SNAr置換反応によっても調製し得る。そのような方法は、WがBrである上記で定義した式(XIV)の化合物を、H2O中還流下で12時間、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理することを含む。
【0054】
あるいはmが0である上記で定義した式(I)の化合物は、WがIである上記で定義した式(XIV)の化合物を、1,4−ジオキサン中CuI/EnおよびK3PO4の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理することによって調製し得る。前記反応は約110℃で24時間実施される。この手順はKang S-K et al in Synlett, (3), 427-430, 2002によって記述されている。
【0055】
式(I)の縮合ピリミジンは、従来の方法によって、医薬的に許容される塩に変換してもよく、また塩は遊離化合物に変換してもよい。医薬的に許容される塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;および有機酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸、との酸付加塩を含む。本発明の化合物が遊離カルボキシ置換基を担持する場合、その塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属およびアンモニウムの塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムの塩を含む。後者は、式(I)の遊離縮合ピリミジンまたはその酸付加塩を、対応する金属塩基またはアンモニアで処理することによって調製される。式(I)の化合物およびそれらの塩は、水和物または溶媒和物として存在してもよい。
【0056】
本発明の化合物は、生物学的試験においてPI3キナーゼの阻害剤であることが認められた。前記化合物は、クラスIbに比べてクラスIaのPI3キナーゼに選択的であり、典型的にはクラスIb PI3キナーゼに比べてクラスIaに少なくとも20倍の選択性を示す。特に、本発明の化合物はp110αアイソフォームに選択的である。
【0057】
本発明の化合物は、それ故、PI3キナーゼ、特にクラスIa PI3キナーゼの阻害剤として使用し得る。従って、本発明の化合物は、PI3キナーゼに関連する細胞増殖、機能または挙動の異常から生じる疾患または障害を治療するために使用することができる。そのような疾患および障害の例は、Expert Opin. Ther. Patents(2004)14(5):703-732においてドリース(Drees)らにより議論されている。これらは、癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害および神経障害を含む。代謝/内分泌障害の例は、糖尿病および肥満を含む。本発明の化合物を使用して治療することができる癌の例は、白血病、脳腫瘍、腎癌、胃癌および皮膚、膀胱、乳房、子宮、肺、結腸、前立腺、卵巣および膵臓の癌を含む。
【0058】
免疫障害、癌、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害または神経障害に罹患しているヒトまたは動物患者は、それ故、上記で定義した本発明の化合物の投与を含む方法によって治療し得る。患者の状態はそれによって改良または改善し得る。
【0059】
生化学的効力を有することに加えて、本発明の化合物は、それらを薬剤としての使用に特に良好に適するものにする生理化学および薬物動態特性を示す。これは、例えば以下の実施例11で述べる生物学的アッセイの結果において示される。特に、本発明の化合物は生理的pHで高い水溶解度を有する;多くは少なくとも40μMの溶解度を有し、かなりの数が100μMより大きい溶解度を有する。生理的pHでの高い溶解度は、バイオアベイラビリティーを促進するので望ましい。本発明の化合物はまた、特に実施例11で述べる肝細胞クリアランスアッセイによって示されるように、高い代謝安定性を有しており、前記アッセイでは、試験化合物の大部分が低い肝細胞クリアランスを有することを示した。低い肝細胞クリアランスは低い肝代謝率と相関する。それ故、本発明の化合物は、PI3キナーゼの阻害剤としての生化学的効力を保持しながら、改善された生理化学および薬物動態特性を有することがわかる。
【0060】
本発明の化合物は、様々な投与形態で、例えば経口的に、例えば錠剤、カプセル、糖衣錠またはフィルムコート錠、液体溶液または懸濁液の形態で、または非経口的に、例えば筋肉内、静脈内または皮下経路で、投与することができる。本発明の化合物は、それ故、注射または注入によって投与し得る。
【0061】
用量は、患者の年齢、体重および状態および投与経路を含む様々な因子に依存する。1日用量は広い範囲内で変化させることができ、各々の特定症例における個々の必要に合わせて調節される。典型的には、しかしながら、化合物を単独で成人に投与するとき、各々の投与経路について採用される用量は、0.0001から50mg/kg、最も一般的には0.001から10mg/kg体重の範囲内、例えば0.01から1mg/kgである。そのような用量は、例えば1日1から5回投与し得る。静脈内注射については、適切な1日用量は0.0001から1mg/kg体重、好ましくは0.0001から0.1mg/kg体重である。1日用量は、単回投与としてまたは分割投与スケジュールに従って投与することができる。
【0062】
化合物は、医薬的にまたは獣医学的に許容される担体または希釈剤を同時に含有する、医薬または獣医薬組成物としての使用のために製剤される。前記組成物は、典型的には従来の方法に従って製造され、医薬的にまたは獣医学的に適切な形態で投与される。本発明の化合物は、例えば以下のような、何らかの慣用形態で投与し得る:
A)経口的に、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、液体溶液、分散性粉末または顆粒、乳剤、硬または軟カプセル、もしくはシロップまたはエリキシルとして。経口投与用の組成物は、医薬組成物の製造のために当分野で公知の何らかの方法に従って製造することができ、そのような組成物は、医薬的に洗練された口当たりのよい製剤を提供するために甘味料、香味料、着色剤および保存剤からなる群より選択される1またはそれ以上の物質を含有し得る。
【0063】
錠剤は、錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容される賦形剤と混合された有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、アルギン酸、アルギネートまたはデンプングリコール酸ナトリウム;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;潤滑剤、例えばシリカ、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、ステアリン酸またはタルク;発泡性混合物;染料、甘味料、湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベートまたはラウリル硫酸であり得る。錠剤は被覆されていなくてもよく、または胃腸管内での崩壊と吸着を遅延させ、それによってより長期間にわたる持続作用を提供するために公知の手法によって被覆されていてもよい。例えば放出時間遅延物質、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが使用され得る。そのような製剤は、公知の方法で、例えば混合、造粒、錠剤化、糖被覆またはフィルム被覆工程によって製造し得る。
【0064】
経口使用のための製剤はまた、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、または有効成分がそれ自体で存在するもしくは水または油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0065】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤と混合された有効成分を含有する。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムである;分散剤または湿潤剤は、天然に生じるホスファチド、例えばレシチン、または脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、または長鎖脂肪アルコールとエチレンオキシドの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、または脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、または脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであり得る。
【0066】
前記水性懸濁液はまた、1またはそれ以上の保存剤、例えばエチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1またはそれ以上の着色剤、例えばスクロースまたはサッカリンを含み得る。
【0067】
油性懸濁液は、有効成分を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油、または鉱物油、例えば流動パラフィンに懸濁することによって製剤し得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ろう、硬パラフィンまたはセチルアルコールを含み得る。
【0068】
上記で述べたような甘味料および香味料は、口当たりのよい経口製剤を提供するために添加し得る。これらの組成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸の添加によって保存されうる。水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適する分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1またはそれ以上の防腐剤と混合された有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上記で言及したものによって例示される。付加的な賦形剤、例えば甘味料、香味料および着色剤も存在し得る。
【0069】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の形態であり得る。油相は、植物油、例えばオリーブ油または落花生油、または鉱物油、例えば流動パラフィン、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に生じるゴム、例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然に生じるホスファチド、例えばダイズレシチン、および脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、およびエチレンオキシドと前記部分エステルの縮合物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであり得る。乳剤はまた、甘味料および香味料を含み得る。シロップおよびエリキシルは、甘味料、例えばグリセロール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤され得る。特に糖尿患者のためのシロップは、グルコースに代謝されないまたは非常に少量だけがグルコースに代謝される物質、例えばソルビトールだけを担体として含み得る。
【0070】
そのような製剤はまた、粘滑剤、保存剤および着香剤および着色剤を含み得る:
B)非経口的に、すなわち無菌注射用水性または油性懸濁液の形態で、皮下、または静脈内、または筋肉内、または胸骨内経路で、または注入手法によって。この懸濁液は、上記で述べた湿潤剤および懸濁化剤を適切に分散するものを用いて公知の技術に従って製剤し得る。無菌注射用製剤はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であり得る。
【0071】
使用し得る許容される賦形剤および溶媒の中には、水、リンガー液および等張塩化ナトリウム溶液があり得る。加えて、滅菌固定油も溶媒または懸濁媒質として慣例的に使用される。このために、合成モノまたはジグリセリドを含むいかなる刺激の強くない固定油も使用し得る。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸も注射剤の調製において使用される;
C)エアロゾルまたは噴霧器のための溶液の形態で、吸入によって;
D)薬剤を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、それ故直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製される坐薬の形態で、直腸経路で。そのような物質は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである;
E)クリーム、軟膏、ゼリー、洗眼薬、溶液または懸濁液の形態で、局所的に。
【0072】
以下の実施例において本発明をさらに説明する:
【実施例】
【0073】
(実施例1)
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール(9)
【0074】
化合物9の合成経路を以下のスキームに示す。
【化38】

【化39】

【0075】
3−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1)の調製
アセトニトリル(100mL)中のメチル−3−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート(8.00g、50.9mmol)の溶液に、炭酸カリウム(1.1当量、56.0mmol、7.73g)、次いでm−アニソイルクロライド(1.05当量、53.4mmol、7.51mL)を添加し、混合物を還流下で1時間加熱した。白色沈殿物が形成する。混合物を氷水中で冷却し、水(100mL)で希釈して、白色固体をろ過によって収集し、乾燥して、化合物1(12.78g)を得た。放置後、さらなる量の生成物が水−アセトニトリル溶液から沈殿した;これを同じように収集した。(総収量:14.08g、95%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)3.89(s,3H),3.93(s,3H),7.12(dd,1H,J=2.2,8.4),7.42(t,1H,J=7.9),7.54(d,lH,J=5.5),7.58(m,1H),8.29(d,lH,J=5.5)、11.17(br s,1H)。
【0076】
2−(3−メトキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(2)の調製
アンモニア性メタノールを、氷水中で冷却したメタノール(190mL)にアンモニア(30−32g)を通気することによって調製した。その溶液に、3−(3−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(18.00g、61.8mmol)を添加し、混合物を50psiの鋼性ボンベにおいて90℃で44時間加熱した。その後溶媒を真空中で除去し、イソプロパノール(300mL)、次いで2M水酸化ナトリウム水溶液(4.0当量、124mL)を添加した。溶液を還流下で15時間加熱し、その後氷水中で冷却した。4M塩酸を添加して混合物をpH1に酸性化し、白色沈殿物をろ過によって収集して、水で洗い、乾燥して、化合物2(15.20g、95%)を得た。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)3.86(s,3H),7.14(dd,1H,J=2.2,8.2),7.45(m,2H),7.70(s,1H),7.74(d,IH,J=7.8),8.22(d,1H,J=5.2),12.70(br s,1H)。
【0077】
2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(3)の調製
酢酸(170mL)中の2−(3−メトキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(30.31g、0.12mol)の懸濁液に48%臭化水素水溶液(170mL)を添加し、混合物を還流下で48時間加熱した。その後混合物を氷水中で冷却し、水(200mL)で希釈した。灰色固体をろ過によって収集し、水で洗浄して、乾燥し、化合物3(28.58g、100%)を得た。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)6.87(m,1H),7.23(t,1H,J=8.0),7.36(d,1H,J=5.2),7.45(m,2H),8.13(d,IH,J=5.2),9.67(br s,1H),12.52(br s,1H)。
【0078】
酢酸3−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェニルエステル(4)の調製
無水酢酸(280mL)中の2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(28.58g、0.12mol)と酢酸ナトリウム(1.1当量、0.13mol、10.56g)の混合物を還流下で1時間半加熱した。その後合物を氷水中で冷却し、灰色固体をろ過によって収集して、水で洗い、乾燥して、化合物4(27.69g、82%)を得た。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)2.32(s,3H),7.36(dd,1H,J=2.0,8.0),7.47(d,1H,J=5.2),7.59(d,1H,J=8.0),7.93(s,1H),8.04(d,1H,J=7.9),8.22(d,1H,J=5.2),12.75(br s,1H)。
【0079】
3−(4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールおよび酢酸3−(4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェニルエステル(5)の調製
ピリミドン(26.65g、93.1mmol)にオキシ塩化リン(130mL、15当量)を添加し、暗色混合物を還流下で3時間加熱した。減圧下での蒸留によってオキシ塩化リンの大部分を除去し、残留物を三角フラスコに移して、氷水中で冷却した。氷水の添加によって混合物をクエンチングし、その後飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(600mL)を添加した。固体をろ過によって収集し、pHが7より大きくなるように炭酸水素ナトリウム水溶液に再懸濁した。固体をろ過によって収集し、水で十分に洗って、乾燥し、クロロピリミジンの混合物5を1.5:1の比率で得た(24.0g)。
3−(4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール: 1H NMR(400MHz,d6−DMSO)6.94(dd,1H,J=1.6,7.6),7.35(t,1H,J=7.8),7.76(d,1H,J=5.4),7.87(m,2H),8.58(d,1H,J=5.4),9.67(br s,1H)。
酢酸3−(4−クロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェニルエステル: 1H NMR(400MHz,CDCl3)2.35(s,3H),7.24(m,1H),7.52(t,1H,J=8.0),7.61(d,1H,J=5.4),8.04(d,1H,J=5.4),8.28(t,1H,J=2.0),8.43(dd,1H,J=1.7,7.9)。
【0080】
3−(4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(6)の調製
n−ブタノール(220mL)中のクロロピリミジン(24.0g)の混合物にモルホリン(3.5当量、0.33mol、28.3mL)を添加し、この混合物を100℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、残留物に水を加えた。淡褐色固体をろ過によって収集し、真空炉で乾燥して、化合物6を淡褐色固体として得た(20.3g、70%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)3.81(t,4H,J=4.8),4.01(t,4H,J=4.8),6.86(m,1H),7.27(t,1H,J=8.0),7.51(d,1H,J=5.6),7.86(m,2H),8.25(d,1H,J=5.6),9.46(br s,1H)。
【0081】
2−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(7)の調製
DMF(45mL)中の3−(4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(17.28g、55.1mmol)、イミダゾール(1.7当量、93.7mmol、6.38g)およびtert−ブチルジメチルシリルクロライド(1.5当量、82.7mmol、12.47g)の混合物を50℃で5時間加熱した。その後反応混合物を冷却し、水(400mL)とエーテル(3×400mL)に分配した。混合有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)、ブライン(300mL)で連続的に洗い、分離して、乾燥した(MgSO4)。粗生成物をシリカ上に蒸発させ、クロマトグラフィー(5%→20%酢酸エチル−ペトロール)によって精製して、化合物7を白色固体として得た(19.60g、83%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)0.15(s,6H),0.92(s,9H),3.80(t,4H,J=4.8),3.98(t,4H,J=4.8),6.83(td,1H,J=1.5,8.3),7.22(t,1H,J=7.9),7.41(d,1H,J=5.5),7.64(d,1H,J=5.5),7.84(t,1H,J=2.0),7.95(d,1H,J=7.8)。
【0082】
4−モルホリン−4−イル−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(8)の調製
−78℃に冷却した無水THF(40mL)中の4−モルホリン−4−イル−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン(2.26g、5.29mmol)の溶液にnBuLi(ヘキサン中2.5M溶液、2.75mL、1.3当量)を添加した。20分間攪拌した後、無水N,N−ジメチルホルムアミド(617μL、1.5当量)を添加し、反応混合物を−78℃で20分間攪拌して、その後緩やかに室温に温めた。室温でさらに30分後、氷/ブラインで反応混合物をクエンチングし、次にクロロホルムで徹底的に抽出した。混合有機抽出物を乾燥し(MgSO4)、溶媒を真空中で除去して、化合物8を黄色固体として得た(2.38g、99%)。
【0083】
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール(9)の調製
4−モルホリン−4−イル−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(6.67g、14.66mmol)、N−メチルピペラジン(2.11mL、1.3当量)および酢酸(838μL、1.0当量)の混合物を、1,2−ジクロロエタン(70mL)中室温で攪拌した。これにトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.42g、1.1当量)を添加し、反応混合物を3日間攪拌した。その後反応混合物を重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチングし、クロロホルムで徹底的に抽出して、乾燥し(MgSO4)、溶媒を真空中で除去して、黄色油を得た。これを、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチルから酢酸エチル/メタノールまで)を用いて精製し、6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン(6.95g、88%)を得た。
【0084】
0℃に冷却したTHF(100mL)中の6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−2−[3−(1,1,2,2−テトラメチル−プロピルシラニルオキシ)−フェニル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン(6.95g、12.89mmol)の溶液に、THF中のフッ化テトラブチルアンモニウムの1.0M溶液(14.2mL、1.1当量)を添加した。30分後、溶媒を真空中で除去し、残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中8%メタノール)を用いて精製して、その後酢酸エチル/メタノールを用いて粉砕し、標題化合物を白色固体として得た(4.62g、85%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.27(s,3H,CH3),2.49(br s,8H,4xCH2),3.79(s,2H,CH2),3.82−3.84(m,4H,2xCH2),4.0−4.03(m,4H,2xCH2),6.88−6.91(m,H,ArH),7.24−7.28(m,2H,CDCl3下の2xArH部分),7.69−7.70(m,H,ArH),7.81(d,H,ArH,J=7.8Hz);MS(ESI+) 426(MH+)。
【0085】
(実施例2)
本発明のさらなる化合物
本発明の以下の化合物は、適切なアミンを用いて、実施例1で述べた手順と類似の手順で調製した。アミンは、特に異なる記載がない限り市販の化合物である。本発明の化合物についての特性決定データも示す。
【0086】
10:3−(4−モルホリン−4−イル−6−モルホリン−4−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、モルホリンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.55(m,4H),3.75−3.79(m,4H),3.82(s,2H),3.93−3.96(m,4H),4.04−4.00(m,4H),6.95(d,2H),7.36−7.30(m,2H),7.99−7.91(m,2H);MS(ESI+)413(MH+)。
【0087】
11:3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピロリジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、ピロリジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.87−1.90(m,4H),2.65−2.70(m,4H),3.82−3.88(m,4H),3.99−4.03(m,6H),6.95(d,2H),7.30−7.36(m,2H),7.80(s,1H),7.99(d,1H);MS(ESI+)397(MH+)。
【0088】
12:3−[6−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.86−2.88(m,4H),3.70(s,2H),3.83(s,3H),3.85−3.89(m,7H),3.97−4.02(m,6H),5.11(br s,1H),6.51(s,1H),6.60(s,1H),6.95(d,1H),7.35−7.30(m,2H),7.92(s,1H),8.01(d,1H);MS(ESI+)519(MH+)。
【0089】
13:3−(6−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルメチル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、4−ピペリジノピペリジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.42−1.48(m,2H),1.54−1.68(m,6H),1.82−1.84(m,2H),2.01−2.05(m,2H),2.28−2.30(m,1H),2.48−2.52(m,4H),2.97−2.99(m,2H),3.79(s,2H),3.85−3.89(m,4H),3.99−4.02(m,4H),6.90(d,1H),7.29−7.38(m,2H),7.90(s,1H),7.99(d,1H);MS(ESI+)494(MH+)。
【0090】
14:3−[4−モルホリン−4−イル−6−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、1−(2−ピリミジル)ピペラジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.58−2.62(m,4H)3.85−3.89(m,10H),3.99−4.02(m,4H),5.90(br s,1H),6.48 (t,1H),6.90(d,1H),7.29−7.38(m,2H),7.90(s,1H),7.99(d,1H),8.30(d,2H);MS(ESI+)490(MH+)。
【0091】
15:3−[6−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]フェノールを、1−(シクロヘキシルメチル)ピペラジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)0.83−0.95(2H,m),1.17−1.26(3H,m),1.42−1.50(1H,m),1.68−1.77(5H,m),2.14(2H,d,J=7.1Hz),2.40−2.50(4H,br m),2.52−2.64(4H,広域),3.81(2H,s),3.87(4H,t,J=4.6Hz),4.03(4H,t,J=4.6Hz),5.23−5.28(1H,広域,OH),6.92−6.94(1H,m),7.31(1H,s),7.33(1H,t,J=7.9Hz),7.91(1H,s),8.00(1H,d,J=7.8);MS(ESI+)508.2(MH+)。
【0092】
16:3−[6−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、1−イソプロピルピペラジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)0.99(d,6H),2.65(七重項,1H)3.82−3.88(m,6H),3.94−3.99(m,4H),6.90(d,1H),7.27−7.30(m,1H),7.40(s,1H),7.84−7.88(m,2H),9.55(1H,s),DMSOピーク下で隠された8H@2.52;MS(ESI+)454(MH+)。
【0093】
17:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを、1−BOC−ピペラジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.48(s,9H)2.48−2.52(m,4H),3.48−3.51(m,4H),3.79(s,2H),3.85−3.89(m,4H),3.99−4.02(m,4H)6.90(d,1H),7.29−7.38(m,2H),7.76−7.99(m,2H);MS(ESI+)512(MH+)。
【0094】
19:3−{6−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノールを、1−(2−メトキシエチル)ピペラジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.58−2.68(m,10H),3.35(s,3H),3.52(t,2H,J=5.6Hz),3.82(s,2H),3.87(t,4H,J=4.6Hz),4.03(t,4H,J=4.6Hz),5.60−5.68(br s,1H),6.92−6.94(m,1H),7.31(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz)MS(ESI+)470.1(MH+)。
【0095】
20:3−[6−(4−メチル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、1−メチルホモピペラジンを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.85−1.89(m,2H),2.40(s,3H),2.65−2.74(m,4H),2.82−2.86(m,4H),3.88(t,4H,J=4.6Hz),3.95(s,2H),4.04(t,4H,J=4.6Hz),5.90−5.98(br s,1H),6.92−6.94(m,1H),7.31(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)440.1(MH+)。
【0096】
21:{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−酢酸エチルエステルを、1−(エトキシカルボニルメチル)ピペラジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.27(t,3H,J=7.1Hz),2.60−2.69(br,8H),3.23(s,2H),3.83(s,2H),3.89(t,4H,J=4.6Hz),4.03(t,4H,J=4.6Hz),4.20(q,2H,J=4.6Hz),5.12(br s,1H),6.92−6.94(m,1H),7.31 (s,1H),7.33(t,1H,J=7.9),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)498.1(MH+)。
【0097】
22:1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノンを、1−アセチルピペラジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.09(s,3H,CH3),2.52−2.55(m,4H,2xCH2),3.49−3.51(m,2H,CH2),3.66−3.68(m,2H,CH2),3.83(s,2H,CH2),3.86−3.90(m,4H,2xCH2),4.03−4.06(m,4H,2xCH2),5.88(br s,H,OH),6.94(d,H,ArH,J=7.66Hz),7.31−7.35(m,2H,2xArH),7.93(s,H,ArH),7.98(d,H,ArH,J=7.77Hz);MS(ESI+)454.0(MH+)。
【0098】
23:3−{6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノールを、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.63(br m,10H,2xCH2),3.65(m,2H,CH2),3.84(s,2H,CH2),3.87−3.90(m,4H,2xCH2),4.04−4.06(m,4H,2xCH2),6.93(d,H,ArH,J=10.0Hz),7.32−7.36(m,2H,2xArH),7.91(s,H,ArH),8.01(d,H,ArH,J=7.74Hz);MS(ESI+)456.1(MH+)。
【0099】
24:3−(4−モルホリン−4−イル−6−チオモルホリン−4−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、チオモルホリンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.70−2.72(m,4H,2xCH2),2.80−2.82(m,4H,2xCH2),3.83(s,2H,CH2),3.87−3.90(m,4H,2xCH2),5.77(sbr,H,OH),6.93(d,H,ArH,J=7.84Hz),7.30−7.35(m,2H,2xArH),7.93(s,H,ArH),7.98(d,H,ArH,J=7.84Hz);MS(ESI+)429.2(MH+)。
【0100】
25:3−[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、1−エチルピペラジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.11(t,3H,J=7.1Hz),2.45−2.49(br m,2H),2.49−2.72(br,8H),3.83(s,2H),3.88(t,4H,J=4.6Hz),4.03(t,4H,J=4.6Hz),6.24−6.32(br,1H),6.91−6.94(m,1H),7.28(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.94(s,1H),7.98(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)440.2(MH+)。
【0101】
26:3−(6{[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.80−1.88(3H,br m),1.97−2.08(1H,br m),2.17(3H,s),2.33(3H,s),2.33−2.39(2H,br m),2.48−2.56(1H,br m),2.99−3.10(2H,br m),3.83(2H,s),3.86−3.89(4H,m),4.02−4.04(4H,m),6.93(1H,m),7.21(1H,s),7.32(1H,t,J=7.9),7.93(1H,s),8.00(1H,d,J=7.8);MS(ESI+)454.1(MH+)。
【0102】
27:3−[6−(4−ジメチルアミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、4−ジメチルアミノピペリジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.58−1.68(br m,2H),1.87−1.95(br m,2H),2.10(brt,2H,J=10.7Hz),2.34(br m,1H),2.37(br s,6H),3.02(br m,2H),3.80(s,2H),3.87(t,4H,J=4.7Hz),4.03(t,4H,J=4.9Hz),6.92−6.94(m,1H),7.31(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)454.1(MH+)。
【0103】
28:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−2−オンを、ピペラジン−2−オンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.77(t,2H,J=5.3Hz),3.39(2H,s),3.42(brt,2H),3.89(t,4H,J=5.0Hz),3.92(s,2H),4.05(t,4H,J=5.0Hz),5.48(br s,1H),5.86(bs,1H),6.92−6.94(m,1H),7.31(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)426.1(MH+)。
【0104】
29:3−[6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、1−メタンスルホニルピペラジンハイドロクロライドから調製した。これは、順次、ジクロロメタン中の塩化メタンスルホニルとN−BOC−ピペラジンの反応、次にジクロロメタン中のHCl(2M)を用いたBOC保護基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.59(m,4H,2xCH2),2.72(s,3H,CH3),3.20(m,4H,2xCH2),3.80(m,6H,3xCH2),3.94−3.97(m,4H,2xCH2),6.87(d,H,ArH,J=7.76Hz),7.19−7.27(m,2H,2xArH),7.88(m,2H,2xArH);MS(ESI+)490.0(MH+)。
【0105】
30:{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−アセトニトリルを、ピペラジン−1−イル−アセトニトリルハイドロクロライドから調製した。これは、順次、MeCN中のブロモアセトニトリルとN−BOC−ピペラジンの反応、次にジクロロメタン中のHCl(2M)を用いたBOC保護基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.64−2.68(m,8H,4xCH2),3.56(s,2H,CH2),3.84(s,2H,CH2),3.90−3.92(m,4H,2xCH2),4.05−4.08(m,4H,2xCH2),6.93−6.95(m,H,ArH),7.32−7.36(m,2H,2xArH),7.94(s,H,ArH),8.0(d,H,ArH,J=7.8Hz);MS(ESI+)451.1(MH+)。
【0106】
31:3−[4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、4−モルホリノピペリジンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.56−1.65(m,2H,CH2),1.83−1.86(m,2H,CH2),2.08−2.14(m,2H,CH2),2.19−2.24(m,H,CH),2.55(m,4H,2xCH2),3.02−3.05(m,2H,CH2),3.72−3.74(m,4H,2xCH2),3.79(s,2H,CH2),3.85−3.88(m,4H,2xCH2),4.0−4.03(m,4H,2xCH2),6.52(br s,H,OH),6.91(m,H,ArH),7.29−7.34(m,2H,2xArH),7.91(s,H,ArH),7.98(d,H,ArH,J=7.8Hz);MS(ESI+)496.2(MH+)。
【0107】
33:3−[6−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、3−(ジメチルアミノ)ピロリジンから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)9.52(s,1H),7.85(m,2H),7.37(s,1H),7.28(t,1H,J=7.6Hz),6.87(d,1H),3.96(m,6H),3.82(m,4H),2.89(m,2H),2.79(m,1H),2.68(m,1H),2.24(s,6H),1.95(m,1H),1.74(m,1H); MS(ESI+)440.1(MH+)。
【0108】
34:1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−4−モルホリン−4−イルメチル−ピペリジン−4−オールを、4−モルホリン−4−イルメチル−ピペリジン−4−オールジハイドロクロライドから調製した。これは以下のように調製した:ヨウ化トリメチルスルホキソニウム(1.0g、4.54mmol、1.03当量)および水素化ナトリウム(190mg、4.75mmol、1.08当量)を、窒素下に無水DMSO(5mL)中で攪拌した。30分後、DMSO中のt−ブチル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートの溶液(875mg、4.39mmol、1当量)を添加し、生じたものをアルゴン下に60℃で4時間加熱した。その後混合物を冷却し、水で希釈して、EtOAc(3×30mL)で抽出した。混合抽出物を乾燥し(Na2SO4)、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1−オキサ−6−アザ−スピロ[2.5]オクタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステルをオフホワイト色の固体として得た(661.6mg、71%)。
【0109】
1−オキサ−6−アザ−スピロ[2.5]オクタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.47mmol)とモルホリン(42μL、0.48mmol、1.03当量)を、EtOH中、室温で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4%MeOH/DCM)によって精製して、4−ヒドロキシ−4−モルホリン−4−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た(91.4mg、67%)。
【0110】
MeOH(3mL)中の4−ヒドロキシ−4−モルホリン−4−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(91.4mg、0.32mmol)の溶液に、エーテル中2M HCl(480μL、0.96mmol、3当量)を添加した。混合物を室温で4日間攪拌し、その後真空中で濃縮して、ゴムを得、それをさらなる精製なしで使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.56−1.62(m,4H,2xCH2,HOD部分),2.35(s,2H,CH2),2.51(m,2H,CH2),2.61−2.64(m,4H,2xCH2),2.74(m,2H,CH2),3.12(br s,H,OH),3.69−3.71(m,4H,2xCH2),3.84(s,2H,CH2),3.87−3.89(m,4H,2xCH2),4.02−4.05(m,4H,2xCH2),5.2 (br s,H,OH),6.94(d,H,ArH,J=7.55Hz),7.31(s,H,ArH),7.35(t,H,ArH,J=7.9Hz),7.9(s,H,ArH),8.02(d,H,ArH,J=7.75Hz);MS(ESI+)526.2(MH++OMe)。
【0111】
35:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルアミドを、ピペラジン−1−カルボン酸エチルアミドから調製した。これは、順次、ジクロロメタン中のイソシアン酸エチルとN−BOC−ピペラジンの反応、次にジクロロメタン中のHCl(エーテル中2M溶液)を用いたBOC保護基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.14(t,3H,J=7.3Hz),2.55(t,4H,J=5.0Hz),3.25−3.32(m,2H),3.41(t,4H,J=5.0Hz),3.84(s,2H),3.89(t,4H,J=4.Hz),4.05(t,4H,J=4.8Hz),4.35(t,1H),5.22−5.28(br m,1H),6.92−6.94(m,1H),7.31(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)483.1(MH+)。
【0112】
39:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミドを、ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミドから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)9.50(1H,br s),7.85−7.80(2H,m),7.38(1H,s),7.30−7.27(1H,m),6.85(1H,d),3.99−3.96(4H,m),3.90(2H,s),3.81−3.78(4H,m),3.17−3.15(4H,m),2.72(6H,s),2.55−2.52(4H,m);MS(ESI+)483(MH+)。
【0113】
40:1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−オールを、4−ヒドロキシピペリジンから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.40−1.47(m,2H),1.72−1.75(m,2H),2.16−2.21(m,2H),2.75−2.78(m,2H),3.48−3.50(m,1H),3.79−3.82(m,6H),3.96−3.98(m,4H),4.57(d,1H,J=4.1Hz),6.85(dd,1H),7.26(t,1H,J=8.1Hz),7.35(s,1H),7.83−7.85(m,2H),9.48(s,1H);MS(ESI+)427.1(MH+)。
【0114】
41:3−[6−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イルメチル]−フェノールを、文献(Journal of Medicinal Chemistry, 1994, 37, 913-923)に従って調製した、チオモルホリン1,1−ジオキシドから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)9.50(br s,1H),7.85−7.80(m,2H),7.40(1H,s),7.30−7.27(m,1H),6.85(d,1H),4.08(s,2H),4.00−3.95(m,4H),3.81−3.78(m,4H),3.23−3.20(m,4H),3.02−2.98(m,4H);MS(ESI+)461(MH+)。
【0115】
42:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−スルホン酸ジメチルアミドを、ピペラジン−1−スルホン酸ジメチルアミドを用いて調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)9.50(1H,br s),7.85−7.80(2H,m),7.40(1H,s),7.30−7.27(1H,m),6.85(1H,d),4.02−3.98(4H,m),3.95(2H,s),3.81−3.78(4H,m),3.23−3.20(4H,m),2.75(6H,s),2.55−2.52(4H,m);MS(ESI+)519.4(MH+)。
【0116】
43:3−(6−{4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピペリジン−1−イルメチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、(2−メトキシ−エチル)−メチル−ピペリジン−4−イル−アミドから調製した。これは、順次、還元的アミノ化によってtert−ブチル−4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレートおよびN−(2−メトキシエチル)メチルアミンから、そして次にジクロロメタン中のHCl(エーテル中2M溶液)を用いたBOC保護基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.40−1.49(m,2H),1.64−1.67(m,2H),2.02−2.07(m,2H),2.20(s,3H),2.29−2.35(m,1H),2.56(t,2H,J=6.2Hz),2.93−2.96(m,2H),3.23(s,3H),3.36(t,2H,J=6.2Hz),3.79−3.82(m,6H),3.96−3.98(m,4H),6.85(dd,1H),7.26(t,1H,J=8.1Hz),7.35(s,1H),7.83−7.85(m,2H),9.48(s,1H);MS(ESI+)498.2(MH+)。
【0117】
44:1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピロリジン−3−オールを、3−ピロリジノールから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.59(m,1H),2.00(m,1H),2.45(m,1H),2.50(m,1H),2.69(m,1H),2.84(m,1H),3.80(m,4H),3.96(m,6H),4.24(s,1H),4.74(br s,1H),6.85(m,1H),7.26(t,1H,J=7.9Hz),7.34(s,1H),7.83(br s,2H),9.45(s,1H);MS(ESI+)413.1(MH+)。
【0118】
45:(R,S)−3−[6−(2−ジメチルアミノメチル−ピロリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、標準的方法(J. Med. Chem. 2002, 45, 721)によって調製した、(R,S)−ジメチル−(1−メチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミンから調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.64−1.78(m,3H),2.01(m,1H),2.28(s,6H,& m,1H),2.34(dd,1H,J=12.3Hz,7.3Hz),2.53(dd,1H,J=12.3Hz,4.7Hz),3.10(m,1H),2.70(m,1H),3.71(d,1H,J=14.6Hz),3.88(t,4H,J=4.8Hz),4.03(t,4H,J=4.8Hz),4.42(d,1H,J=14.7),6.92(dd,1H,J=7.7Hz,2.3Hz),7.26(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.91(t,1H,J=1.9Hz),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)454.4(MH+)。
【0119】
46:(R,S)−3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、以下のように調製した(R,S)−メチル−(1−メチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミンから調製した:1−メチル−2−ピロールカルボキシアルデヒド(1.0g、9.16mmol)を、メタノール中のメチルアミンの溶液(10mL中2.31g)に添加し、混合物を室温で3時間半攪拌した。溶液を氷水中で冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(2.0当量、18.3mmol、693mg)を添加して、その後室温で17時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)とジクロロメタン(3×30mL)に分配した。混合有機層をブラインで洗い、分離して、乾燥した(MgSO4)。酸化白金で水素化して(Chem. Pharm. Bull, 1990, 38, 930-935)、所望化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.59−1.76(m,3H),1.97(m,1H),2.17(dd,1H,J=17.4Hz,9.5Hz),2.23(s,3H),2.34−2.40(m,2H),2.40(s,3H),2.65(dd,1H,J=11.5Hz,4.1Hz),3.05(t,1H,J=7.5Hz),7.85(d,1H,J=7.9Hz),3.72−3.77(m,6H),3.89(t,4H,J=4.8Hz),6.79(dt,1H,J=6.2Hz,1.2Hz),7.22(m,2H),7.79(t,1H,J=1.9Hz);MS(ESI+)454.4(MH+)。
【0120】
47:1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−カルボン酸アミドを、イソニペコトアミドから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.55−1.71(m,4H),2.03−2.10(m,3H),2.91−2.94(m,2H),3.79−3.83(m,6H),3.96−3.99(m,4H),6.73(br s,1H),6.85(d,1H),7.23−7.28(m,2H),7.36(s,1H),7.83−7.85(m,2H),9.48(s,1H);MS(ESI+)454.1(MH+)。
【0121】
48:2−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−l−yl}−N,N−ジメチルアセトアミドを、N,N−ジメチル−2−ピペラジン−1−イル−アセトアミドジハイドロクロライドから調製した。これは、順次、ジクロロメタン中の2−クロロ−N,N−ジメチルアセトアミドとN−BOC−ピペラジンの反応、次にジクロロメタン中のHCl(2M)を用いたBOC保護基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.61(br s,8H,4xCH2),2.94(s,3H,CH3),3.07(s,3H,CH3),3.19(s,2H,CH2),3.81(s,2H,CH2),3.86−3.88(m,4H,2xCH2),4.02−4.04(m,4H,2xCH2),5.61(br s,H,OH),6.92(d,H,ArH,J=7.56Hz),7.28(s,H,ArH),7.31(t,H,ArH,J=6.9Hz),7.9(s,H,ArH),7.98(d,H,ArH,J=7.82Hz);MS(ESI+)497.1(MH+)。
【0122】
49:3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピロリジン−3−イル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールを、N,N’−ジメチル−3−アミノピロリジンから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.72(m,1H),1.94(m,1H),2.19(s,3H),2.25(s,3H),2.42(m,1H),2.58(m,2H),3.18(m,2H),3.79(m,4H),3.86(s,2H),3.96(m,4H),6.85(dd,1H,J=6.9Hz),7.26(t,1H,J=7.7Hz),7.35(s,1H),7.82(s,1H),7.84(s,1H),9.46(s,1H);MS(ESI+)440.1(MH+)。
【0123】
50:2−ジメチルアミノ−l−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−l−イル}−エタノンを、2−ジメチルアミノ−1−ピペラジン−1−イル−エタノンから調製した。これは、順次、ジクロロメタン中の1−BOC−ピペラジンおよび臭化ブロモアセチル、次に塩酸ジメチルアミンとの反応およびその後のジクロロメタン中のHCl(エーテル中2M溶液)を用いたBOC基の脱保護によって調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.28(s,6H),2.53−2.55(m,4H),3.12(s,2H),3.65−3.67(4H,br m),3.83(2H,s),3.87−3.90(4H,m),4.04−4.06(4H,m),6.92(1H,m),7.31(1H,s),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.93(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz); MS(ESI+)497.1(MH+)。
【0124】
51:3−[6−((3R,5S)−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、2,6−ジメチルピペラジンから調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)0.97(s,6H),1.74(br m,2H),2.80−2.82(br m,2H),2.90(br m,2H),3.79−3.81(m,4H),3.83(s,2H),3.95−3.97(m,4H),6.84−6.88(m,1H),7.26(t,1H,J=8.0Hz),7.37(s,1H),7.82−7.85(m,2H),9.46(br s,1H);MS(ESI+)440.1(MH+)。
【0125】
54:3−{6−[4−(3−ジメチルアミノ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノールを、ジメチル−[3−(ピペラジン−1−スルホニル)−プロピル]−アミンから調製した。これは以下のように調製した:無水DCM中のN−BOC−ピペラジン(1.55g、8.32mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.28mL、9.18mmol、1.1当量)、次いで3−クロロプロパンスルホニルクロライド(1.1mL、9.05mmol、1.09当量)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌し、その後CH2Cl2で希釈して、水(3×40mL)で抽出洗浄した。CH2Cl2を乾燥し(Na2SO4)、次にフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、4%MeOH/CH2Cl2)によって精製して、4−(3−クロロ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た(2.68g、98%)。
【0126】
アセトニトリル(10mL)中の4−(3−クロロ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(152.6mg、0.47mmol)、塩酸ジメチルアミン(403.5mg、4.95mmol、10.6当量)、炭酸カリウム(72.7mg、0.53mmol、1.13当量)およびトリエチルアミン(690μL、4.95mmol、10.6当量)の混合物プラス触媒量のヨウ化カリウムを、密封した試験管内で一晩80℃に加熱した。その後溶媒を真空中で除去した。残留物を水で希釈し、CH2Cl2で抽出した(3×20mL)。混合分画を乾燥し(Na2SO4)、4−(3−ジメチルアミノ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを橙色固体として得た(176mg)。
【0127】
無水CH2Cl2(8mL)中の4−(3−ジメチルアミノ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(167mg、0.5mmol) の溶液に、エーテル中の2M HCl(8mL、16mmol、32当量)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。その後溶媒を真空中で除去し、残留物を直接使用した(163.5mg,100%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.96−2.02(m,2H,2xCH2),2.26(s,6H,2xCH3),2.43(t,2H,CH2,J=6.8Hz),2.54−2.56(m,4H,2xCH2),2.95−2.99(m,2H,CH2),3.26−3.28(m,4H,2xCH2),3.74(s,2H,CH2),3.80−.88(m,4H,2xCH2),4.01−4.03(m,4H,2xCH2),6.88(d,H,ArH,J=7.74Hz),7.24(s,H,ArH),7.30(t,H,ArH,J=7.88Hz),7.92(m,H,ArH),7.96(d,H,ArH,J=7.82Hz);MS(ESI+)561.1(MH+)。
【0128】
55:3−[6−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールを、4−メトキシピペリジンから調製した。これは、順次、ヨウ化メチルとtert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレートの反応、次に標準条件を用いたBOC基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.47(m,2H),1.83(m,2H),2.25(m,2H),2.72(m,2H),3.21(s,3H),3.81(m,6H),3.97(m,4H),6.85(m,1H),7.26(t,1H,J=8.1Hz),7.35(s,1H),7.83(m,2H),9.46(s,1H);MS(ESI+)441.1(MH+)。
【0129】
58:3−{4−モルホリン−4−イル−6−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノールを、4−[3−(ピペラジン−1−スルホニル)−プロピル]−モルホリンから調製した。これは、アミンとしてモルホリンを用いてジメチル−[3−(ピペラジン−1−スルホニル)−プロピル]−アミンと同様に調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.98−2.04(m,2H,CH2),2.44−2.47(m,6H,3xCH2),2.63−2.65(m,4H,2xCH2),2.98−3.02(m,2H,CH2),3.33−3.35(m,4H,2xCH2),3.68−3.71(m,4H,2xCH2),3.85(s,2H,CH2),3.87−3.90(m,4H,2xCH2),4.03−4.06(m,4H,2xCH2),5.29(br s,H,OH),6.91−6.93(m,H,ArH),7.31−7.35(m,2H,2xArH),7.91−7.92(m,H,ArH),7.99−8.01(m,H,ArH);MS(ESI+)603.2(MH+)。
【0130】
57:{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−モルホリン−4−イル−メタノンを、モルホリン−4−イル−ピペラジン−1−イル−メタノンから調製した。これは、順次、アセトニトリル中の4−モルホリノカルボニルクロライドとN−BOC−ピペラジンの反応、次いでジクロロメタン中のHCl(2M)を用いたBOC保護基の切断によって調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.54−2.56(m,4H,2xCH2),3.25−3.27(m,4H,2xCH2),3.32−3.34(m,4H,2xCH2)3.66−3.68(m,4H,2xCH2),3.83(s,2H,CH2),3.87−3.89(m,4H,2xCH2),4.03−4.05(m,4H,2xCH2),5.33(br s,H,OH),6.91−6.93(m,H,ArH),7.30−7.34(m,2H,2xArH),7.91−7.92(m,H,ArH),7.99−(d,H,ArH,J=7.82Hz);MS(ESI+)525.1(MH+)。
【0131】
56:4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミドを、ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミドから調製した。これは以下のように調製した:
【0132】
ジクロロメタン(5mL)およびトリエチルアミン(l.l当量、410μL)中の1−BOC−ピペラジン(500mg、2.68mmol)に、4−ニトロフェニルクロロホルメート(l当量、541mg)を添加した。室温で1時間攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄して、乾燥し(MgSO4)、ろ過して、真空中で蒸発させ、ピペラジン−1,4−ジカルボン酸tert−ブチルエステル4−ニトロ−フェニルエステルを明黄色固体として得た(940mg、100%)。
【0133】
無水THF(5mL)中のピペラジン−1,4−ジカルボン酸tert−ブチルエステル4−ニトロ−フェニルエステル(500mg、1.42mmol)に、N−(2−メトキシ−エチル)メチルアミン(2当量、254mg)を添加した。反応混合物を一晩還流し、その後真空中で蒸発させて、クロマトグラフィーによって精製し、4−[(2−メトキシエチル)−メチル−カルバモイル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを透明な油として得た(304mg、71%)。ジクロロメタン(3mL)中の4−[(2−メトキシエチル)−メチル−カルバモイル]ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(304mg、1.01mmol)にHCl(エーテル中2M溶液)を添加し、反応混合物を室温で一晩攪拌して、その後真空中で蒸発させ、ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミドをHCl塩として得た(330mg)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.55−2.57(m,4H),2.90(s,3H),3.29−3.31(m,4H),3.34(s,3H),3.38(t,2H,J=5.5Hz),3.54(t,2H,J=5.5Hz),3.83(s,2H),3.88−3.90(m,4H),4.04−4.06(m,4H),5.37(br s,1H),6.93(dd,1H,J=7.8Hz,2.8Hz),7.26−7.35(m,2H),7.93(s,1H),8.01(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)527.3(MH+)。
【0134】
(実施例3)
3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール、トリフルオロ酢酸塩(18)
ジクロロメタン(10mL)中の4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(95mg)の溶液にトリフルオロ酢酸(2mL)を添加した。3時間後、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物にエーテルを添加し、その混合物を再び真空中で低減して、標題化合物を白色の泡として得た。
【0135】
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)2.70−2.75(m,4H),3.10−3.15(m,4H),3.82−3.86(m,4H),3.98−4.02(m,6H),6.91(d,1H),7.31−7.33(m,1H),7.48(s,1H),7.79−7.81(m,2H),8.75(br s,2H),9.60(br s,1H);MS(ESI+)412(MH+)。
【0136】
(実施例4)
1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−エタノン(37)
3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール、トリフルオロ酢酸塩(50mg、0.08mmol)、ジクロロメタン(1mL)、トリエチルアミン(45μL)およびメトキシアセチルクロライド(19μL、2.5当量)の混合物を室温で攪拌した。3時間後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄して、乾燥し(MgSO4)、溶媒を真空中で除去して青白い固体を得た。これをメタノールと炭酸ナトリウムの混合物中で1晩攪拌した。次に、この混合物をクロロホルムで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空中で溶媒を除去し、ゴムを得、それを、フラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、所望の標題化合物を得た(13mg)。
【0137】
1H NMR(400MHz,CDCl3)7.99(1H,d),7.90(1H,s),7.38−7.29(2H,m),6.90(1H,d),5.20(1H,br s),4.10(2H,s),4.02−3.99(4H,m),3.89−3.85(4H,m),3.79(2H,s),3.75−3.73(2H,m),3.51−3.49(2H,s),3.40(3H,s),2.52−2.48(4H,m);MS(ESI+)484(MH+)。
【0138】
(実施例5)
1−{(2R,6S)−4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−イル}−エタノン(53)
ジクロロメタン(5mL)中の2−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−6−((3R,5S)−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(80mg、0.14mmol)の溶液に、トリエチルアミン(40μL、2.0当量)、次いで塩化アセチル(15μL、1.5当量)を添加した。一晩攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して、乾燥し(MgSO4)、溶媒を真空中で除去して、1−((2R,6S)−4−{2−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル}−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−イル)−エタノン(80mg)を白色固体として得た。tert−ブチルジメチルシリル保護基の除去を上述したように実施して、標題化合物を得た。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO;373K)1.29(d,6H),1.99(s,3H),2.28(dd,2H),2.80(d,2H),3.82−3.85(m,4H),3.90(s,2H),3.99−4.01(m,4H),4.19−4.21(m,2H),6.90(d,1H),7.23−7.26(m,1H),7.35(s,1H),7.84−7.88(m,2H),9.10(br s,1H);MS(ESI+)482.1(MH+)。
【0139】
(実施例6)
3−[6−((3R,5S)−4−メタンスルホニル−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール(52)
標題化合物52を、メタンスルホニルクロライドを用いて、実施例5の工程と類似の工程で調製した。
1H NMR(400MHz,CDCl3/MeOD):1.48(s,6H),2.30(br m,2H),2.76(br m,2H),2.85(s,3H),3.81(s,2H),3.87(br m,4H),4.04(br m,6H),6.94(br m,1H),7.26−7.29(br m,2H),7.74(br s,1H),7.86(br m,1H);MS(ESI+)518.2(MH+)。
【0140】
(実施例7)
3−[6−(4−アミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール(32)
1,2−ジクロロエタン(7mL)中の(510mg、1.12mmol)、4−(N−BOC−アミノ)ピペリジン(1.3当量、292mg)、酢酸(1当量、65μL)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.5当量、357mg)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液、ブラインで洗浄して、分離し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物を真空中で蒸発させ、クロマトグラフィーによって精製して、(l−{2−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た(570mg、89%)。
【0141】
(l−{2−[3−(Tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル}−ピペリジン−4−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(250mg、0.39mmol)をTHF(4mL)に溶解し、これにTBAF(1.4当量、0.55mL)を添加した。30分後、反応混合物をシリカでクエンチングし、真空中で蒸発させて、クロマトグラフィーによって精製し、{l−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色固体として得た(179mg、88%)。
【0142】
{l−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(179mg,0.34mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、これにHCl(エーテル中2M溶液、1mL、過剰)を添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌し、その後真空中で蒸発させて、標題化合物をジ−HCl塩として得た(197mg)。
【0143】
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.98−2.04(br m,2H),2.11−2.18(br m,2H),3.04−3.13(br m,2H),3.25−3.28(br m,1H),3.50−3.54(br m,2H),3.83−3.87(br m,4H),4.05−4.07(br m,4H),4.70(br s,2H),6.96(d,1H),7.34(t,1H,J=7.8Hz),7.86(1H,s),7.88(d,1H),7.95(br s,1H),8.30(br s,3H),9.70(br s,1H),11.65(br s,1H);MS(ESI+)426.1(MH+)。
【0144】
(実施例8)
N−{l−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−メタンスルホンアミド(36)
DMF(1mL)中の3−[6−(4−アミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールジハイドロクロライド塩(60mg、0.12mmol)にトリエチルアミン(3当量、50μL)を添加し、反応混合物を30分間攪拌した。次に、メタンスルホン酸ベンゾトリアゾール−1−イルエステル(l.l当量、28mg)を添加し、混合物を室温で3時間攪拌した。メタンスルホン酸ベンゾトリアゾール−1−イルエステルは、Tetrahedron Lett., 1999, 40, 117- 120に述べられている手順に従って調製した。
【0145】
反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄して、分離し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物を真空中で蒸発させ、クロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を白色固体として得た(39mg、80%)。
【0146】
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)1.47−1.51(m,2H),1.81−1.85(m,2H),2.12−2.20(m,2H),2.83−2.87(m,2H),2.91(s,3H),3.12−3.15(m,1H),3.79−3.83(m,6H),4.04−4.06(m,4H),6.85(d,1H),7.04(d,1H),7.26(t,1H,J=8.1Hz),7.37(s,1H),7.82−7.84(m,2H),9.48(s,1H);MS(ESI+)504.1(MH+)。
【0147】
(実施例9)
N−{l−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−アセトアミド(38)
ジクロロメタン(1.5mL)およびトリエチルアミン(5当量、110μL)中の3−[6−(4−アミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノールジハイドロクロライド塩(80mg、0.16mmol)に、塩化アセチル(2.5当量、29μL)を添加した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄して、分離し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物を真空中で蒸発させ、メタノール(2mL)に再溶解して、これに炭酸ナトリウムを添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、真空中で蒸発させて、ジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗浄して、分離し、乾燥した(MgSO4)。残留物をクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を白色固体として得た(55mg)。
【0148】
1H NMR(400MHz,CDCl3)1.45−1.54(m,2H),1.94−1.97(m,2H),1.97(s,3H),2.22−2.27(m,2H),2.90−2.93(m,2H),3.79(s,2H),3.80−3.83(m,1H),3.85−3.90(m,4H),4.04−4.06(m,4H),5.31(d,1H),6.92−6.94(m,1H),7.31(s,1H),7.33(t,1H,J=7.9Hz),7.91(s,1H),8.00(d,1H,J=7.8Hz);MS(ESI+)468.1(MH+)。
【0149】
(参照実施例1)
2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(64)
【化40】

【0150】
メチル3−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート(13.48g、85.85mmol)と尿素(29.75g、5当量)の混合物を190℃で2時間加熱した。次に高温反応混合物を水酸化ナトリウム溶液に注ぎ、不溶性物質をろ過によって除去した。その後混合物を酸性化して(HCl、2N)、1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(63)を白色沈殿物として得、それをろ過によって収集して、空気乾燥した(9.49g、66%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)6.90(1H,d,J=5.2Hz),8.10(1H,d,J=5.2Hz),11.60−11.10(2H,br,s)。
【0151】
1H−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,4−ジオン(9.49g、56.49mmol)とオキシ塩化リン(150mL)の混合物を還流で6時間加熱した。次に反応混合物を冷却し、強く攪拌しながら氷/水に注ぎ入れ、沈殿物を得た。その後混合物をろ過して、2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(64)を白色固体として得た(8.68g、75%)。
1H NMR(400MHz,CDCl3)7.56(1H,d,J=5.5Hz),8.13(1H,d,J=5.5Hz)。
【0152】
(参照実施例2)
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(65)
【化41】

【0153】
2,4−ジクロロ−チエノ[3,2−d]ピリミジン(64)(8.68g、42.34mmol)、モルホリン(8.11mL、2.2当量)およびメタノール(150mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。次に反応混合物をろ過し、水とエタノールで洗浄して、標題化合物を白色固体として得た(11.04g、100%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)3.74(4H,t,J=4.9Hz),3.90(4H,t,J=4.9Hz),7.40(1H,d,J=5.6Hz),8.30(1H,d,J=5.6Hz)。
【0154】
(参照実施例3)
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(66)
【化42】

【0155】
−78℃の無水THF(40mL)中の2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(65)(1.75g、6.85mmol)の懸濁液に、ヘキサン中のnBuLiの2.5M溶液(3.3mL、1.2当量)を添加した。1時間攪拌した後、無水N,N−ジメチルホルムアミド(796μL、1.5当量)を添加した。反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、その後緩やかに室温に温めた。室温でさらに2時間後、反応混合物を氷/水に注ぎ入れ、黄色沈殿物を得た。これをろ過によって収集し、空気乾燥して、標題化合物を得た(1.50g、77%)。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)3.76(4H,t,J=4.9Hz),3.95(4H,t,J=4.9Hz),8.28(1H,s),10.20(1H,s)。
【0156】
(参照実施例4)
4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル−1H−インダゾール(70)
【化43】

【0157】
酢酸(60mL)中の2−メチル−3−ニトロアニリン(2.27g、14.91mmol)の溶液に、水(5mL)中の亜硝酸ナトリウム(1.13g、1.1当量)の溶液を添加した。2時間後、その深赤色溶液を氷/水に注ぎ入れ、沈殿物をろ過によって収集して、4−ニトロ−1H−インダゾール(67)を得た(1.98g81%)。
4−ニトロ−1H−インダゾール(760mg、4.68mmol)、活性炭担持パラジウム(10%、触媒量)およびエタノール(3mL)の混合物を水素バルーン下で4時間攪拌した。次に反応混合物をセライトでろ過し、溶媒を真空中で除去し1H−インダゾール−4−イルアミン(68)(631mg、100%)を得た。
【0158】
水(2mL)中の亜硝酸ナトリウム(337mg、4.89mmol)の水溶液を、0℃以下の6M塩酸(7.2mL)中の1H−インダゾール−4−イルアミン(631mg、4.74mmol)の懸濁液に滴下した。30分間攪拌した後、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(724mg)を添加した。反応混合物は非常に濃厚になり、これをろ過して、水で手早く洗い、1H−インダゾール−4−ジアゾニウム、テトラフルオロホウ酸塩(69)(218mg、20%)を深赤色固体として得た。
【0159】
無水メタノール(4mL)をアルゴンで5分間パージした。これに1H−インダゾール−4−ジアゾニウム、テトラフルオロホウ酸塩(218mg、0.94mmol)、ビス−ピナコラートジボロン(239mg、l.0当量)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)クロライド(20mg)を添加した。反応混合物を5時間攪拌し、その後セライトでろ過した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の標題化合物(70)を得た(117mg)。
【0160】
(参照実施例5)
2−(1H−インダゾール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(71)の調製
【化44】

【0161】
2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(66)(100mg、0.35mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル−1H−インダゾール(70)(95mg、0.39mmol)および炭酸ナトリウム(112mg)の混合物を、トルエン(2.5mL)、エタノール(1.5mL)および水(0.7mL)に懸濁した。これにビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(13.5mg)を添加し、反応容器にアルゴンを流した。反応混合物を120℃で1時間マイクロ波処理し、その後ジクロロメタンと水に分配して、有機層をブラインで洗い、硫酸マグネシウムで乾燥して、ろ過し、真空中で蒸発させた。生じた残留物を、フラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、標題化合物71を得た(97mg)。
【0162】
(参照実施例6)
2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(59)の調製
1,2−ジクロロエタン(2mL)中の2−(1H−インダゾール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(91mg、0.26mmol)、1−メチルピペラジン(34mg、0.36mmol)および酢酸(15μL)の混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(60mg、0.28mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、その後塩基性にして(NaHCO3、飽和)、ジクロロメタンで希釈し、ブラインで洗った。有機層を分離し、乾燥して(MgSO4)、ろ過し、真空中で蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、標題化合物を得た(33mg)。
【0163】
以下の化合物を、上述した手順と類似の手順で調製した。
【0164】
1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを用いて、2−{4−[2−(1H−インダゾール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノール。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO)2.40(br m,2H),2.42−2.52(b,8H,DMSOピーク下),3.48(q,2H,J=6.0Hz),3.82−3.86(m,6H),3.98−4.01(m,4H),4.34(br s,1H),7.44−7.48(m,2H),7.65(d,1H,J=8.3Hz),8.21(d,1H,J=6.8Hz),8.87(s,1H),13.15(br s,1H);MS(ESI+)480.1(MH+)。
【0165】
ピペラジン−1−スルホン酸ジメチルアミドを用いて、4−[2−(1H−インダゾール−4−イル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−スルホン酸ジメチルアミド。
1H NMR(400MHz,CDCl3)2.63−2.66(m,4H),2.84(s,6H),3.31−3.34(m,4H),3.89(s,2H),3.92−3.94(m,4H),4.08−4.11(m,4H),7.39(s,1H),7.51(t,1H,J=8.1Hz),7.60(d,1H,J=8.1Hz),8.28(d,1H,J=6.7Hz),9.02(s,1H),10.12(br s,1H);MS(ESI+)543.1(MH+)。
【0166】
(実施例6)
本発明のさらなる化合物
以下の化合物を、参照実施例6で述べた手順と類似の手順で調製した:
176:1−{3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェニル}−エタノール。
【0167】
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−ベンズアルデヒドをTHF/エーテル中の臭化メチルマグネシウムで処理して標題化合物を得たことを除き、59と同様。
1H NMR(400MHz,CDCl3):1.49(d,J=6.5,3H),2.10(d,J=I.7Hz,1H),2.25(s,3H),2.46(br s,4H),2.54(s,br,4H),3.74(s,2H),3.82(t,J=4.8Hz,4H),3.98(t,J=4.8,4H),4.94(q,J=6.4Hz,1H),7.23(s,1H),7.35−7.42(m,2H),8.27(m,1H),8.35(s,1H);MS(ESI+)454.27(MH+)。
【0168】
177:3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェニル}−メタノール。
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−ベンズアルデヒドを、室温でエタノール中の水素化ホウ素ナトリウムで処理して標題化合物を得たことを除き、59と同様。
1H NMR(400MHz,CDCl3):2.25(s,3H),2.47(s,4H),2.54(s,4H),3.75(s,2H),3.80(t,J=4.8Hz,4H),3.98(t,J=4.8Hz,4H),4.71(s,2H),7.23(m,1H),7.38(m,2H),8.28(m,1H),8.34(s,1H);MS(ESI+)440.23(MH+)。
【0169】
178:6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピラゾール−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン。
化合物59と同様。
1H NMR(400MHz,d6−DMSO):2.15(s,3H),2.41(m,8H),3.77(m,4H),3.85(s,2H),3.92(m,4H),7.26(s,1H),8.31(br s,1H),13.05(br s,1H);MS(ESI+)400.21(MH+)。
【0170】
(参照実施例7)
2−クロロ−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン(72)
【化45】

【0171】
1,2−ジクロロエタン(3mL)中の2−クロロ−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−カルボアルデヒド(66)(147mg,0.52mmol)、1−メチル−ピペラジン(1.5当量、87μL)および酢酸(1.05当量、32μL)の混合物にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.1当量、121mg)を添加し、その後室温で一晩攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液、ブラインで洗浄して、分離し、乾燥した(MgSO4)。粗生成物を真空中で蒸発させ、クロマトグラフィーによって精製して、標題化合物72をオフホワイト色の結晶性固体として得た(51mg,45%)。
【0172】
(実施例11)
生物学的試験
上記実施例で述べたように調製した本発明の化合物を以下の一連の生物学的アッセイに供した:
【0173】
(i)PI3Kの生化学的スクリーニング
PI3Kの化合物阻害を、1μMの濃度の精製組換え酵素およびATPを用いて放射アッセイで測定した。全ての化合物を100%DMSOで連続希釈した。キナーゼ反応物を室温で1時間インキュベートし、PBSを加えて反応を終了させた。その後S字形用量応答曲線適合(可変勾配)を用いてIC50値を決定した。例示した全ての化合物が、50μMまたはそれ以下のPI3Kに対するIC50を有していた。
【0174】
(ii)細胞増殖阻害
細胞を最適密度で96穴プレートに接種し、試験化合物の存在下で4日間インキュベートした。その後Alamar Blue(商標)をアッセイ培地に添加し、細胞を6時間インキュベートした後、励起波長544nm、放出波長590nmで読み取った。S字形用量応答曲線適合を用いてEC50値を算定した。試験した全ての化合物が、用いた細胞系の範囲内で50μMまたはそれ以下のEC50を有していた。
【0175】
(iii)Caco−2透過性
Caco−2細胞を1×105細胞/cm2でミリポアマルチスクリーンプレートに接種し、20日間培養した。その後化合物透過性の評価を実施した。化合物を細胞単層の上表面(A)に適用し、基底外側(B)画分への化合物透過を測定した。能動輸送を検討するためにこれを逆方向(B−A)で実施した。膜を横切る化合物の透過速度の測定値である、各々の化合物についての透過係数、Pappを算定した。化合物を、確立されたヒト吸収率を有する対照化合物との比較に基づき、低(Papp</=1.0×106cm/秒)または高(Papp>/=1.0×106cm/秒)吸収ポテンシャルに分類した。
【0176】
能動流出を受ける化合物の能力の評価のために、AからBへの移動と比較した基底外側(B)から上方(A)への輸送の割合を測定した。B−A/A−B>/=1.0の数値は、能動細胞流出の発生を示した。Caco−2透過性スクリーニングを通して試験した化合物全てが、Papp値>/=1.0×106cm/秒を有していた。二方向アッセイを通して評価した1つの化合物、PI540は、1.0未満のB−A/A−B非対称指数を有しており、この化合物が能動細胞流出を受けないことを示した。
【0177】
(iv)肝細胞クリアランス
凍結保存ヒト肝細胞の懸濁液を使用した。0.5×106生細胞/mLの細胞密度、1mMまたは3μMの化合物濃度でインキュベーションを実施した。インキュベーションにおける最終DMSO濃度は0.25%であった。何らかの非酵素的分解を明らかにするため、細胞の不在下での対照インキュベーションも実施した。2つの試料(50μL)を、0、5、10、20、40および60分目に(60分目は対照試料のみ)インキュベーション混合物から取り出し、内部標準を含むメタノール(100μL)に添加して反応を終了させた。トルブタミド、7−ヒドロキシクマリンおよびテストステロンを対照化合物として使用した。試料を遠心分離し、LC−MSMSによる分析のために各時点で上清をプールした。時間に対する1nピーク面積比(親化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)のプロットから、内因性クリアランス(CLint)を以下のように算定した:CLint(μl/分/百万細胞)=V×κ[κは、時間に対してプロットした1n濃度の勾配から得た、排出速度定数であり;Vはインキュベーション容量から導かれる容量項であり、μL/106細胞-1として表わされる]。
【0178】
化合物を低(CL</=4.6μL/分/106細胞)、中(CL>/=4.6;</=25.2μl/分/106細胞)および高(>/=25.2μl/分/106細胞)クリアランスに分類した。本発明の試験化合物の大半は、低い肝細胞クリアランスを有すると測定された。
【0179】
(v)シトクロムP450の阻害
本発明の化合物を、100μMを最高濃度として使用して、各々2つずつ10種類の濃度の5つのCYP45標的(1A2、2C9、2C19、2D6、3A4)に対してスクリーニングした。標準阻害剤(フラフィリン、スルファフェナゾール、トラニルシプロミン、キニジン、ケトコナゾール)を対照として使用した。蛍光モードでBMG LabTechnologies PolarStarを使用してプレートを読み取った。このアッセイで評価した試験化合物の大部分は、CYP450の全てのアイソフォームに対して弱い活性(IC50>/=5μM)を示した。
【0180】
(vi)シトクロムP450の誘導
1名のドナーから単離した生のヒト肝細胞を48時間培養した後、3つの濃度の試験化合物を添加し、72時間インキュベートした。CYP3A4およびCYP1A2についてのプローブ基質をインキュベーションの終了前に30分間および1時間添加した。72時間目に、細胞と培地を取り出し、各々のプローブ基質の代謝の程度をLC−MS/MSによって定量した。各々3重に、1つの濃度でインキュベートした個々のP450の誘導物質を用いることによって実験を制御した。このアッセイで評価した本発明の化合物は、シトクロムP450酵素の誘導に関して無視し得る程度の作用しか示さなかった。
【0181】
(vii)血漿タンパク質結合
試験化合物の溶液(5μm、0.5%最終DMSO濃度)を、緩衝液および10%血漿(緩衝液中v/v)中で調製した。96穴HT透析プレートを、各々のウエルを半透性セルロース膜によって2つに分けるように構築した。緩衝液溶液を膜の一方の側に添加し、血漿溶液を他方の側に添加した;次に、各々3重に37℃で2時間以上インキュベーションを実施した。その後細胞を取り出し、各バッチの化合物についての溶液を2つの群(血漿不含と血漿含有)に併合し、血漿不含(6つの点)および血漿含有溶液(7つの点)についての2組の検定標準を用いてLC−MSMSによって分析した。各々の化合物についての分画非結合値を算定した:高いタンパク質結合化合物(>/=90%結合)は、Fu</=0.1を有していた。このアッセイで評価した本発明の化合物は、Fu値>/=0.1を有していた。
【0182】
(viii)hERGチャネル遮断
本発明の化合物を、確立されたフラックス法を用いて、hERGカリウムチャネルを安定に発現するHEK−294細胞からのルビジウム流出を調節するそれらの能力に関して評価した。流出試験の手始めとして、RbClを含む培地で細胞を調製し、96穴プレートに接種して、単層を形成するために一晩増殖させた。室温で培地を吸引し、各々のウエルをプレインキュベーション緩衝液(低[K+]を含む)3×100μLで洗った。最後の吸引後、作業ストック(working stock)(2x)化合物50μLを各々のウエルに添加し、室温で10分間インキュベートした。次に刺激緩衝液(高[K+]を含む)を各々のウエルに添加して、最終試験化合物濃度にした。その後細胞プレートを室温でさらに10分間インキュベートした。各々のウエルからの上清80μLを96穴プレートの等価ウエルに移し、原子発光分光法によって分析した。化合物を、100μMの最高濃度から、10ptの2重のIC50曲線、n=2としてスクリーニングした。
【0183】
(実施例12)
錠剤組成物
各々0.15gの重量で、本発明の化合物25mgを含有する錠剤を以下のように製造した:
【0184】
10,000錠のための組成物
活性化合物(250g)
ラクトース(800g)
トウモロコシデンプン(415g)
タルク粉末(30g)
ステアリン酸マグネシウム(5g)
【0185】
活性化合物、ラクトースおよび半量のトウモロコシデンプンを混合した。次にこの混合物を0.5mmのメッシュサイズのふるいに通した。トウモロコシデンプン(10g)を温水(90ml)に懸濁した。生じたペーストを使用して粉末を粒状化した。粒子を乾燥し、1.4mmメッシュサイズのふるいで小さな断片に粉砕した。残りの量のデンプン、タルクおよびマグネシウムを添加し、慎重に混合して、錠剤に加工した。
【0186】
(実施例13)
注射用製剤
製剤A
活性化合物 200mg
0.1M塩酸溶液または0.1M水酸化ナトリウム溶液 pH4.0〜7.0にするために十分な量
滅菌水 10mlにするために十分な量
【0187】
本発明の化合物はほとんどの水(35°−40℃)に溶解し、pHを適宜に塩酸または水酸化ナトリウムで4.0−7.0に調整した。次にバッチを水で所定容量にして、滅菌ミクロ孔フィルターで滅菌10mlアンバーガラスバイアル(1型)中にろ過して、滅菌栓とオーバーシールで密封した。
【0188】
製剤B
活性化合物 125mg
滅菌、発熱物質不含のpH7リン酸緩衝液 25mlにするために十分な量
活性化合物 200mg
ベンジルアルコール 0.10g
グリコフロール75 1.45g
注射用水 3.00mlにするために十分な量
【0189】
活性化合物をグリコフロールに溶解した。次にベンジルアルコールを添加して溶解し、3mlになるように水を加えた。その後混合物を滅菌ミクロ孔フィルターでろ過し、滅菌3mlガラスバイアル(1型)中に密封した。
【0190】
(実施例17)
シロップ製剤
活性化合物 250mg
ソルビトール溶液 1.50g
グリセロール 2.00g
ナトリウムベンゾエート 0.005g
香味料 0.0125ml
精製水 5.00mlにするために十分な量
【0191】
本発明の化合物を、グリセロールと精製水の大部分との混合物に溶解した。次にナトリウムベンゾエート水溶液を前記溶液に添加し、次にソルビトール溶液、最後に香味料を添加した。精製水で所定容量にし、十分に混合した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Aは、チオフェンまたはフラン環を表わし;
nは1または2であり;
1は、式:
【化2】

[式中、
mは0または1であり;
30は、HまたはC1−C6アルキルであり;
4およびR5は、それらが結合しているN原子と共に、ベンゼン環に縮合していてもよく、N、SおよびOから選択される0または1個の付加的なヘテロ原子を含み、および非置換であるかまたは置換されている、5員または6員の飽和N含有複素環式基を形成するか;またはR4およびR5の一方がアルキルであり、他方が、上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基であるかまたは上記で定義した5員または6員の飽和N含有複素環式基によって置換されたアルキル基である]
の基であり;
2は、
(a)
【化3】

[式中、R6およびR7は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるかまたは置換されているモルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピペラジン、オキサゼパンまたはチアゼパン基を形成する];および
(b)
【化4】

[式中、Yは、鎖の構成炭素原子の間におよび/または鎖の一方または両方の末端に、O、NおよびSから選択される1または2個のへテロ原子を含み、非置換であるかまたは置換されている、C2−C4アルキレン鎖である]
から選択され;および
3は、
(a)以下の式:
【化5】

[式中、Bは、非置換であるかまたは置換されているフェニル環であり、およびZは、H、−OR、−SR、CH2OR、−CO2R、CF2OH、CH(CF3)OH、C(CF32OH、−(CH2qOR、−(CH2qNR2、−C(O)N(R)2、−NR2、−NRC(O)R、−S(O)mN(R)2、−OC(O)R、OC(O)N(R)2、−NRS(O)mR、−NRC(O)N(R)2、CN、ハロゲンおよび−NO2から選択され、各々のRは、H、C1−C6アルキル、C3−C10シクロアルキルおよび非置換であるかまたは置換されている5−12員アリールまたはヘテロアリール基から独立して選択され、mは1または2であり、およびqは0、1または2である]
の基;
(b)1、2、3または4個の環窒素原子およびOおよびSから選択される0、1または2個の付加的なヘテロ原子を含み、単環式または二環式であり、非置換であるかまたは置換されているヘテロアリール基;および
(c)非置換であるかまたは置換されており、上記で定義したヘテロアリール基に縮合しているベンゼン環を含む基
から選択され;
但し、R3は、非置換であるかまたは置換されているインドール基またはインダゾール基ではないことを条件とする]
の縮合ピリミジンである化合物または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
縮合ピリミジンが、式(Ia):
【化6】

[式中、XはOまたはSであり、およびR1、R2、R3およびnは請求項1で定義したとおりである]
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
縮合ピリミジンが、式(Ib):
【化7】

[式中、XはOまたはSであり、およびR1、R2、R3およびnは請求項1で定義したとおりである]
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3−(4−モルホリン−4−イル−6−モルホリン−4−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピロリジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−(6−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルメチル−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[4−モルホリン−4−イル−6−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(4−シクロヘキシルメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル;
3−(4−モルホリン−4−イル−6−ピペラジン−1−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノールトリフルオロ酢酸塩;
3−{6−[4−(2−メトキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
3−[6−(4−メチル−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−酢酸エチルエステル;
1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
3−{6−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
3−(4−モルホリン−4−イル−6−チオモルホリン−4−イルメチル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[6−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
3−[6−(4−ジメチルアミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−2−オン;
3−[6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−アセトニトリル;
3−[4−モルホリン−4−イル−6−(4−モルホリン−4−イル−ピペリジン−1−イルメチル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(4−アミノ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−4−モルホリン−4−イルメチル−ピペリジン−4−オール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルアミド;
N−{1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−メタンスルホンアミド;
1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−2−メトキシ−エタノン;
N−{1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−イル}−アセトアミド;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸ジメチルアミド;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−オール;
3−[6−(1,1−ジオキソ−1λ**−チオモルホリン−4−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−スルホン酸ジメチルアミド;
3−(6−{4−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピペリジン−1−イルメチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピロリジン−3−オール;
(R,S)−3−[6−(2−ジメチルアミノメチル−ピロリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
(R,S)−3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピロリジン−2−イルメチル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
1−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペリジン−4−カルボン酸アミド;
2−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−N,N−ジメチル−アセトアミド;
3−(6−{[メチル−(1−メチル−ピロリジン−3−イル)−アミノ]−メチル}−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)−フェノール;
2−ジメチルアミノ−1−{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
3−[6−((3R,5S)−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−[6−((3R,5S)−4−メタンスルホニル−3,5−ジメチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
1−{(2R,6S)−4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−2,6−ジメチル−ピペラジン−1−イル}−エタノン;
3−{6−[4−(3−ジメチルアミノ−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
3−[6−(4−メトキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
3−{4−モルホリン−4−イル−6−[4−(3−モルホリン−4−イル−プロパン−1−スルホニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル}−フェノール;
{4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−イル}−モルホリン−4−イル−メタノン;
4−[2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−6−イルメチル]−ピペラジン−1−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミド;
1−{3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェニル}−エタノール;
3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェニル}−メタノール;
2−クロロ−5−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
2,3−ジフルオロ−5−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
4−フルオロ−3−[6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;
2−(1H−インダゾール−6−イル)−6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル]−フェノール;および
6−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−2−(1H−ピラゾール−4−イル)−チエノ[3,2−d]ピリミジン、および
上記遊離化合物の医薬的に許容される塩、
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
(a)式(II):
【化8】

[式中、AおよびR2は請求項1で定義したとおりである]
の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上記で定義したとおりであり、および各々のR15はHまたはC1−C6アルキルであるかまたは2個の基OR15が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステルを形成する]のそのエステルで処理すること;
および生じた式(III):
【化9】

[式中、A、R2およびR3は上記で定義したとおりである]
の化合物を、適切な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は請求項1で定義したとおりである]のアミンで処理すること;または
(b)上記で定義した式(II)の化合物を、適切な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は上記で定義したとおりである]のアミンで処理すること;および生じた式(IV):
【化10】

[式中、A、R2、R4およびR5は上記で定義したとおりである]
の化合物を、Pd触媒の存在下で、ボロン酸または式R3B(OR152[式中、R3は上記で定義したとおりであり、および各々のR15はHまたはC1−C6アルキルであるかまたは2個のOR15基が、それらが結合しているホウ素原子と共に、ピナコラートボロネートエステル基を形成する]のそのエステルで処理すること
を含む、mが1である、請求項1で定義した化合物を作製するための方法。
【請求項6】
(a)式(V):
【化11】

[式中、OR’は、それが結合しているフェニル環の3または4位で結合しており、R’はヒドロキシ保護基であり、およびR2は請求項1で定義したとおりである]
の化合物を、適切な還元剤の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は請求項1で定義したとおりである]のアミンで処理すること;および
(b)ヒドロキシ保護基を除去すること
を含む、mが1であり、およびR3が3−または4−ヒドロキシフェニル基である、請求項1で定義した式(I)の化合物を作製するための方法。
【請求項7】
式(XIV):
【化12】

[式中、A、R2およびR3は請求項1で定義したとおりであり、およびWは、BrおよびIから選択されるハロ基である]
の化合物を、パラジウム触媒の存在下で、式NHR45[式中、R4およびR5は請求項1で定義したとおりである]のアミンで処理することを含む、mが0である、請求項1で定義した化合物を作製するための方法。
【請求項8】
生じた式(I)の化合物を医薬的に許容されるその塩に変換することをさらに含む、請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
医薬的に許容される担体または希釈剤および、有効成分として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項10】
治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法における使用のための、請求項1で定義した化合物。
【請求項11】
PI3キナーゼに関連する細胞増殖、機能または挙動の異常から生じる疾患または障害を治療するための薬剤の製造における、請求項1で定義した化合物の使用。
【請求項12】
疾患または障害が、癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害および神経障害から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
その必要のある患者に請求項1で定義した化合物を投与することを含む、PI3キナーゼに関連する細胞増殖、機能または挙動の異常から生じる疾患または障害を治療する方法。
【請求項14】
疾患または障害が、癌、免疫障害、心臓血管疾患、ウイルス感染、炎症、代謝/内分泌障害および神経障害からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2008−517894(P2008−517894A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537401(P2007−537401)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004146
【国際公開番号】WO2006/046040
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507136017)パイレームド リミテッド (3)
【Fターム(参考)】