説明

医薬組成物

【課題】BCAA以外の栄養素をも取り入れ総合的な疲労回復や全身状態の向上を目指す医薬組成物を提供することである。
【解決手段】分岐鎖アミノ酸、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸及び亜鉛を含有することを特徴とする輸液剤、経口剤、経腸剤、飲料剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤などの医薬組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率の良い体内エネルギー産生と筋タンパクの崩壊抑制及び合成促進をもたらす医薬組成物に関する。より詳しくは、分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid、略称BCAA)、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸及び亜鉛を含む医薬組成物であり、特に手術や化学療法、放射線療法などのがん治療、外傷や感染症ならびに各種臓器障害に伴う生体侵襲からの早期回復やがん終末期の症状・病態改善、リハビリテーション中の患者(高齢者や嚥下障害者を含む)の早期回復、入院期間の短縮化に寄与する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの体内で合成されない9種類の必須アミノ酸の中で、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種はいずれも分岐鎖を持つ構造の類似性から分岐鎖アミノ酸と総称されている。他のアミノ酸が主として肝臓で代謝されるのと異なり、BCAAは筋肉で代謝される。そして、筋肉のエネルギー源となる唯一の必須アミノ酸であることから、近年、サプリメント食品や飲料への応用が検討されている。
【0003】
例えば、バリン、ロイシン、イソロイシンから選ばれる1種以上を30%以上、アルギニンを10%以上及びタンパク質を30%以上含有する食品組成物が、スポーツや肉体労働において筋肉運動の機能増強に有用であると提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、D−リボースとマグネシウム塩及び/又は分岐鎖アミノ酸とを含有する肉体疲労改善剤が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、パンテチン類および分岐鎖アミノ酸を含有する組成物が運動負荷後における血中乳酸値を著しく低下させることから、疲労・倦怠感等に有用な抗疲労組成物が提案されている(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平3-68665号公報
【特許文献2】特開2005-336176号公報
【特許文献3】特開2006-16358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のBCAA含有組成物は、運動による疲労感を軽減できるので健常者、特にスポーツ選手にとっては意義がある。
【0008】
しかしながら、手術、化学療法、放射線療法をはじめとする生体侵襲を伴う医学的な各種治療法を受ける者や、悪性腫瘍、外傷および感染症などの生体侵襲を伴う各種疾患に罹患した患者、ならびに全身の栄養状態が良好でない虚弱者や病気療養者、例えば、体力の衰えた高齢者、特に手術や骨折等により入院治療を受け、社会復帰に向けてリハビリテーション中の高齢者に関しては、生体侵襲からの組織の早期回復やリハビリに伴う運動疲労軽減だけを対象としたのでは早期疲労回復には不十分であり、ストレス等の他の疲労要因を考慮に入れた全身状態の向上が早期回復・早期退院を促すのに極めて重要であるとの認識が高まりつつある。
【0009】
これは、最近、例えば疲労原因として乳酸以外にリン酸が注目されているように、疲労は様々の要因で起きる複雑な現象であると理解されるようになったためであると考えられる。
【0010】
そこで、医療関係者を中心に、BCAA以外の栄養素をも取り入れ総合的な疲労回復や組織の機能回復と改善、全身状態の向上を目指す医薬組成物、さらに高齢者や病気療養者の嚥下障害も考慮して摂取しやすい形態の新たな医薬組成物、あるいは同様の組成で効果を有する輸液剤、飲料剤などの様々な形態の医薬組成物の提供が強く要望されていた。
【0011】
ところで、癌は、日本において死因の第1位であり、厚生労働省研究班の推計によれば、一生涯で癌に罹る可能性は男性の2人に1人、女性の3人に1人とされている。近年、癌に対する様々な療法が研究され診療に使用され治療成績は着実に向上しているが、癌の発見の遅延、転移、再発等により終末期癌に進行する患者もいるのが現状である。このような終末期癌は、疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠等の肉体的な苦痛を与える症状を伴うため、これらの症状を改善し、終末期癌患者のQOL(Quality of Life)の向上を目的とした治療に重点が置かれている。そこで、終末期癌に伴う症状の改善に有効な医薬組成物の提供についても強く要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、BCAA以外に、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸及び亜鉛を含有する医薬組成物が上記課題を解決することを見出した。即ち、BCAA、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸及び亜鉛を一体として組み合わせて配合した医薬組成物によれば、身体機能の回復促進効果が格段顕著に奏され、各種疾患に罹患した患者や病気療養者等の早期回復を実現できることを見出した。また、当該医薬組成物には、抗腫瘍効果があり、更には疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠等の終末期癌に伴う症状の改善効果もあることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0013】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 分岐鎖アミノ酸、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸、及び亜鉛を含有することを特徴とする医薬組成物。
項2. ゲル状形態である、項1に記載の医薬組成物。
項3. 医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を0.71〜7.14質量%、コエンザイムQ10を0.007〜0.086質量%、L−カルニチンを0.0035〜0.72質量%、クエン酸を0.071〜2.144質量%、及び亜鉛を0.0005〜0.016質量%含有する項1記載の医薬組成物。
項4. 医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を0.8〜5.0質量%、コエンザイムQ10を0.01〜0.07質量%、L−カルニチンを0.005〜0.3質量%、クエン酸を0.08〜1.8質量%、及び亜鉛を0.0008〜0.008質量%含有する、項1記載の医薬組成物。
項5. 医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を1.0〜3.0質量%、コエンザイムQ10を0.015〜0.05質量%、L−カルニチンを0.01〜0.07質量%、クエン酸を0.1〜1.5質量%、及び亜鉛を0.001〜0.0035質量%含有する、項1記載の医薬組成物。
項6. 医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を1.5〜2.5質量%、コエンザイムQ10を0.018〜0.03質量%、L−カルニチンを0.03〜0.05質量%、クエン酸を0.6〜1.0質量%、及び亜鉛を0.002〜0.0028質量%含有する、項1記載の医薬組成物。
項7. 分岐鎖アミノ酸を構成するバリン、ロイシン及びイソロイシンの重量比が1:0.8〜2.5:0.7〜2.2である項1〜6記載のいずれか1項に記載の医薬組成物。
項8. 更に、亜鉛100重量部当たり、8〜12重量部の銅を含む、項1〜7記載のいずれか1項に記載の医薬組成物。
項9. 医薬組成物の全量を基準として、水を60〜90質量%及びゲル化剤を0.5〜1.5質量%含有しゲル状である項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
項10. 500〜20,000mPa・s(25℃)の粘度を有する項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
項11. 癌の改善又は治療用である、項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
項12. 癌が終末期癌である、項11記載の医薬組成物。
項13. 終末期癌に伴う症状の改善用である、項10又は11に記載の医薬組成物。
項14. 終末期癌に伴う症状が、疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、及び便秘よりなる群から選択される少なくとも1種である、項13に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医薬組成物は、効率的なエネルギー産生とタンパク同化促進による筋力増強、及び酸化ストレスの低減、疲労物質(乳酸等)の消去による速やかな筋肉疲労の回復をもたらすので、健常者の仕事やスポーツ後の疲労回復はもちろんのこと、虚弱者、病気療養者、特に高齢者やリハビリテーション患者が早期離床のための筋肉トレーニング時に使用する医薬として有用である。
【0015】
すなわち高齢者や虚弱者等に、本発明の医薬組成物を投与または摂取させた場合、必要な栄養とエネルギーを供給して短期間で栄養状態を改善することができる。
【0016】
また、本発明の医薬組成物をゲル化剤によってゲル状の剤型とすることにより、脳卒中患者や飲食品の摂取・嚥下障害を有する者が安全に効率よく摂取可能となる点で優れている。
【0017】
本発明の医薬組成物は、各成分の相互的な働きにより、効率的なエネルギー産生並びにエネルギーの代謝回転を上げることにより、身体の疲弊を取り除くことができる。また、筋タンパクのエネルギー化による消費を抑え筋力低下を抑制して身体機能を維持する。さらに原疾患や治療に伴う生体侵襲を受けた健常組織の早期回復や機能的改善をもたらし、TCA回路を非常に効率よく回転させることができるという特徴を有する。このことから、がん患者の低タンパクエネルギー状態(PEM)や悪液質、癌治療を代表とする医学的な生体侵襲、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪液質、外傷や感染などの消耗性疾患に対しても効果が期待できる。
【0018】
このように、本発明の医薬組成物は、身体機能の回復促進効果を奏することができ、様々な疾患の治療や症状の緩和に有用である。とりわけ、本発明の医薬組成物は、優れた抗腫瘍効果を奏するので、癌の改善又は治療剤として有用である。そして更に、本発明の医薬組成物は、疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠等の終末期癌に伴う症状の改善効果に優れており、終末期癌患者の苦痛を緩和してQOLを向上させるのにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】試験例4における臨床症状加算式総合評価を、図7に示す表に基づき評価したグラフである。図中の投与前とは、入院時のことである(他の図も同様である)。
【図2】試験例4において、図7に示す特定症状である疼痛を評価したグラフである。
【図3】試験例4において、図7に示す特定症状である倦怠感を評価したグラフである。
【図4】試験例4において、図7に示す特定症状である呼吸困難を評価したグラフである。
【図5】試験例4において、図7に示す特定症状である不眠を評価したグラフである。
【図6】試験例4において、図7に示す特定症状である便秘を評価したグラフである。
【図7】試験例4で用いた臨床症状加算式総合評価表を示す。
【図8】試験例4において、血中リンパ球濃度を評価したグラフである。
【図9】試験例4において、血中総蛋白濃度を評価したグラフである。
【図10】試験例4において、血中アルブミン濃度を評価したグラフである。
【図11】試験例4において、血清乳酸値を評価したグラフである。
【図12】試験例4において、血中CRP濃度を評価したグラフである。
【図13】試験例5で用いた臨床症状加算式総合評価表を示す。
【図14】試験例5における臨床症状加算式総合評価を、図13に示す表に基づき評価したグラフである。
【図15】試験例5において、図13に示す特定症状である疼痛を評価したグラフである。
【図16】試験例5において、図13に示す特定症状である倦怠感を評価したグラフである。
【図17】試験例5において、図13に示す特定症状である呼吸困難感を評価したグラフである。
【図18】試験例5において、図13に示す特定症状である気分の落ち込みを評価したグラフである。
【図19】試験例5において、図13に示す特定症状である食欲不振を評価したグラフである。
【図20】試験例5において、図13に示す特定症状である不眠を評価したグラフである。
【図21】試験例5において、図13に示す特定症状である吐気を評価したグラフである。
【図22】試験例5において、図13に示す特定症状である便秘を評価したグラフである。
【図23】試験例5において、図13に示す特定症状である口渇を評価したグラフである。
【図24】試験例5において、血中リンパ球濃度を評価したグラフである。
【図25】試験例5において、血中アルブミン濃度を評価したグラフである。
【図26】試験例5において、血中総蛋白濃度を評価したグラフである。
【図27】試験例5において、血清乳酸値を評価したグラフである。
【図28】試験例5において、血中CRP濃度を評価したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
〔A〕医薬組成物を構成する成分
本発明の医薬組成物は、BCAA、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸及び亜鉛を必須成分として含有する組成物である。
(1)BCAA
前述のとおり、BCAAは分岐鎖アミノ酸を意味し、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種のアミノ酸は下記の構造式で表される。
【0021】
【化1】

【0022】
本医薬組成物において、BCAAの栄養素としての作用は、以下のとおりである。
【0023】
(ア)筋肉を構成しているタンパク質のうち、約20%がBCAAで筋タンパク質に含まれる必須アミノ酸の約30〜40%に相当する。BCAAは筋肉を構成する主要なアミノ酸として筋肉を形成する材料となる。
(イ)BCAAは筋肉で代謝され、筋肉の重要なエネルギー源として利用される。
(ウ)運動時には筋肉中のBCAAが燃焼しエネルギーを発生するが、同時に筋肉の分解と損傷が起る。運動前・運動時に補給されたBCAAは効率的にエネルギーとして利用され筋肉の分解、損傷を抑制する。特にロイシンは筋タンパク質の合成を促進する。
(エ)激しい運動を続けるとエネルギー代謝産物として乳酸が増え筋肉のpHが中性から酸性に傾き、その結果、収縮エネルギーであるATP活性が低下し筋肉の収縮がスムーズに行われなくなり運動の継続が困難となる。BCAAは筋肉疲労に対して原因物質の一つである乳酸の発生を抑制する作用を有する。
(オ)中枢性疲労に対してBCAAは、トリプトファンの脳内流入を抑制することにより、疲労感の原因物質である神経伝達物質セロトニンの脳内での増加を防止する作用を有する。
(カ)さらに、脂肪が代謝されたアセチル−CoAがクエン酸に変化するときにBCAAが作用すると言われており、脂肪がエネルギー源としてクエン酸回路に入る際に重要な働きをするので、クエン酸回路をスムーズに回し体内エネルギーの産生にも寄与する。
【0024】
本発明において、BCAAは、バリン、ロイシン及びイソロイシンの中から1種を単独で使用してもよく、またこれらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用されるBCAAは、バリン、ロイシン及びイソロイシンの3種を組合せて使用することが好ましい。
【0025】
日常摂取している魚、卵、牛乳等の食品及び母乳に含まれるバリン、ロイシン及びイソロイシンの比は約1:2:1である。
【0026】
しかしながら、本発明において、バリン、ロイシン及びイソロイシンの重量比は1:0.8〜2.5:0.7〜2.2であることが好ましく、特に1:1〜2.2:1〜1.9が好ましい。
【0027】
また、本発明の医薬組成物におけるBCAAの配合量は、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.65〜7質量%、特に好ましくは1.2〜5質量%が挙げられる。また、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、BCAAの配合量として、0.71〜7.14質量%、好ましくは0.71〜3.57質量%、更に好ましくは1.42〜2.86質量%が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合のBCAAの配合量の好適な一例として、0.8〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%、特に好ましくは1.5〜2.5質量%が例示される。
(2)コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は、次の構造式(I):
【0028】
【化2】

【0029】
を有し、一般名ユビデカレノン(分子式C59904、分子量863.36)であり、水に殆ど溶けないがエーテルなどでは高い溶解性を示し、光により分解してヒドロキノン体やユビクロメノールなどを生成する物質として知られている。CoQ10は、補酵素として生物活性(エネルギーの素であるATPの合成の95%に関与)を持つだけでなく、酸素利用効率を改善させる作用を有するビタミン様作用物質として知られている。また、代謝性強心薬であり、軽度及び中程度のうっ血性心不全症状改善などの薬理効果が認められている。
【0030】
また、CoQ10はその摂取によって、エネルギー産生促進作用とともに運動時間が長くなり、持久力が向上すること、さらに運動後の疲労回復にも有効であることが確認されている。
【0031】
CoQ10は加齢により欠乏しやすく、また高齢者に多い心疾患、例えば虚血性心疾患等の予防または症状の軽減などのためにも栄養素としてCoQ10を補給することが望ましい。しかし、CoQ10は一般的に魚類、肉類や海草に含まれていることが知られているが、天然食品素材でCoQ10含量の高いものはごくわずかである。故に、通常の食事において天然食品素材からの不足を補う量のCoQ10を補給するのは難しい。
【0032】
CoQ10は融点の低い親油性固体であり、水に難溶性のために経口投与における吸収性が低いことが知られている。栄養素としてCoQ10を供給しようとする場合、その吸収性の向上を図り、且つ結晶化、凝集沈殿など起こさないようにすることが求められる。また、経口的に摂取することを考慮して、安全性が高いことも重要である。
【0033】
CoQ10は水に難溶性であるため、通常は植物性油、動物性油等の非親水性有機溶媒に溶解するか、または乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤等を用いて水性溶液中に分散・乳化させて用いられる。
【0034】
しかし、本発明の医薬組成物では、水溶化したCoQ10を用いることにより、当該医薬組成物中におけるCoQ10は分散性に優れ、容易に凝集・沈降することがない。特に水溶化されたCoQ10を用いることにより生体内吸収性にも優れている。水溶化したCoQ10の製法は公知であり、例えば、特開2004-196781号公報、特開2003-55203号公報、特開2003-238396号公報等に記載されている。また、水溶化されたCoQ10は、商品名「アクアQ10L10」(日清ファルマ製)としても市販されている。
【0035】
本発明の医薬組成物において、CoQ10の配合比率は、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、0.1〜12重量部、好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは1〜1.4重量部となるように設定される。
【0036】
また、本発明の医薬組成物におけるCoQ10の配合量は、上記CoQ10の配合比率、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.005〜0.5質量%、特に好ましくは0.01〜0.05質量%が挙げられる。また、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、CoQ10の配合量として、好ましくは0.007〜0.085質量%、更に好ましくは0.007〜0.043質量%、特に好ましくは0.014〜0.029質量%の範囲が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合のCoQ10の配合量の好適な一例として、0.01〜0.007質量%、より好ましくは0.015〜0.05質量%、特に好ましくは0.018〜0.03質量%が例示される。本発明の医薬組成物は、CoQ10の配合量が従来公知の製品に比べて高い割合に設定されており、このような高配合量のCoQ10を他の必須成分と組み合わせることによって、前述する効果を有効に獲得できるようになっている。
(3)L−カルニチン
L−カルニチン(C715NO3;分子量161.20)は必須アミノ酸のメチオニンとリジンを原料として肝臓、腎臓で作られ以下の構造を有する。
【0037】
【化3】

【0038】
L−カルニチンは脂肪酸を燃焼してエネルギーを作り出す過程において必要とされる。すなわち、細胞内で脂肪酸はミトコンドリアで代謝されるが、ミトコンドリア内への脂肪酸運搬の役目をしているのがカルニチンである。
【0039】
このようにL−カルニチンは体内エネルギー産生に重要であるが、筋肉疲労の回復にも貢献すると言われている。
【0040】
L−カルニチンは体内で合成されるものの、加齢により合成能力が低下するので体外から補給することの意義は大きい。
【0041】
本発明の医薬組成物において、L−カルニチンの配合比率は、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、1〜50重量部、好ましくは1.5〜20重量部、更に好ましくは1.8〜5重量部となるように設定される。本発明の医薬組成物において、BCAAに対するL−カルニチンの配合比率は重要であり、上記範囲を下回る場合には、前述する本発明の効果が損なわれてしまう傾向がみられる。
【0042】
また、本発明の医薬組成物におけるL−カルニチンの配合量は、上記L−カルニチンの配合比率、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.003〜0.7質量%、更に好ましくは0.003〜0.4質量%、特に好ましくは0.008〜0.15質量%が挙げられる。また、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、L−カルニチンの配合量として、0.0035〜0.72質量%、好ましくは0.0035〜0.36質量%、更に好ましくは0.009〜0.143質量%、特に好ましくは0.01〜0.1質量%が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合のL−カルニチンの配合量の好適な一例として、0.005〜0.3質量%、より好ましくは0.01〜0.07質量%、特に好ましくは0.03〜0.05質量%が例示される。
(4)クエン酸
クエン酸は以下の構造を有し、遊離状態或いは塩の形態で植物中に広く存在し、特にレモンやグレープフルーツ等の柑橘類の酸味の主成分として知られている。
【0043】
【化4】

【0044】
クエン酸は糖代謝(クエン酸回路)の中間体としてエネルギー代謝において中心的な役割を果たしている。
【0045】
筋肉が疲労すると酸素不足となって乳酸が蓄積され、乳酸には血流を悪化させる作用があるために、さらに血流を悪くし、その悪循環に至ることが知られている。
【0046】
クエン酸はカルシウムイオンとキレート結合し、血小板の凝集抑制、赤血球の変形能向上及び白血球の粘着力抑制によって血流を改善し、結果として疲労の改善と予防に役立つとされている。
【0047】
本発明において、クエン酸は、遊離状態で使用してもよく、また塩の形態で使用してもよい。クエン酸塩としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が例示される。
【0048】
本発明の医薬組成物において、クエン酸の配合比率は、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、20〜150重量部、好ましくは30〜50重量部となるように設定される。本発明の医薬組成物において、BCAAに対するクエン酸の配合比率は重要であり、上記範囲を上回る場合には、前述する本発明の効果が損なわれてしまう傾向がみられる。
【0049】
また、本発明の医薬組成物におけるクエン酸の配合量は、上記クエン酸の配合比率、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.06〜2.4質量%、特に好ましくは0.3〜2質量%が挙げられる。また、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、クエン酸の配合量として、0.071〜2.144質量%、好ましくは0.071〜1.072質量%、更に好ましくは0.35〜0.86質量%が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合のクエン酸の配合量の好適な一例として、0.08〜1.8質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.6〜1.0質量%が例示される。
【0050】
なお、上記クエン酸の配合比率及び配合量は、遊離状態のクエン酸量を基準として算出される値である。
(5)亜鉛
亜鉛は各種酵素、例えば、タンパク合成や分解等の代謝に係わる酵素の中心金属となりうるものであり、本発明の上記効果に寄与するものと考えられる。本発明において、亜鉛は、有機酸塩、無機酸塩又は無機塩の形態で配合される。
【0051】
本発明の医薬組成物において、亜鉛の配合比率は、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、0.012〜1.2重量部、好ましくは0.065〜0.25重量部となるように設定される。
【0052】
また、本発明の医薬組成物における亜鉛の配合量は、上記亜鉛の配合比率、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.0002〜1.2質量%、特に好ましくは0.0005〜0.25質量%が挙げられる。また、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、亜鉛の配合量として、0.0005〜0.016質量%が好ましく、0.0005〜0.008質量%が更に好ましく、0.001〜0.004質量%が特に好ましい。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合の亜鉛の配合量の好適な一例として、0.0008〜0.008質量%、より好ましくは0.001〜0.0035質量%、特に好ましくは0.002〜0.0028質量%が例示される。
(6)ミネラル
本発明の医薬組成物は、上記(1)〜(5)の必須成分に加えて、必要に応じて亜鉛以外のミネラルを配合することができる。ミネラルの配合は、身体機能の回復促進効果、とりわけ抗腫瘍効果や不眠等の終末期癌に伴う症状の改善効果を一層有効に奏させる上で有効である。
【0053】
添加しうるミネラルは、食品衛生上に許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、銅、カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム等が挙げられ、これらのミネラルの1種のみまたは2種以上の組み合わせを用いてもよい。これらの中でも、銅はヘモグロビンの構成成分であるため配合することが好ましい。これらのミネラルは、有機酸塩、無機酸塩又は無機塩の形態で配合される。
【0054】
特に、抗腫瘍効果や不眠等の終末期癌に伴う症状の改善効果を顕著ならしめるとの観点からは、ミネラルとして、亜鉛と共に、銅を組み合わせて含むことが更に好ましい。亜鉛と共に、銅を配合する場合、これらの比率(重量比)については特に制限されるものではないが、亜鉛100重量部当たり、銅が8〜120重量部、好ましくは10重量部が例示される。
(7)水及びゲル化剤
本発明の医薬組成物を液状、ゲル状、又は半固形状の形態にする場合、上記成分に加えて、水が配合される。本発明の医薬組成物に配合される水は、薬学的に許容されるものであればよく、例えば、精製水が例示される。医薬組成物全体を基準として水の含有量は60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。
【0055】
本発明の医薬組成物を液状又はゲル状の形態にする場合、上記成分に加えて、水が配合される。本発明の医薬組成物に配合される水は、薬学的に許容されるものであればよく、例えば、精製水が例示される。
【0056】
本発明の医薬組成物が液状又はゲル状の形態である場合、水の配合量としては、例えば、該医薬組成物の総量当たり、60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%が挙げられる。
【0057】
本発明の医薬組成物をゲル状(いわゆるゼリー状)の形態にする場合は、ゲル化剤が配合される。当該ゲル化剤として、薬学的に許容されるものであれば特に限定されないが、例えば、ジェランガム、ペクチン、カードラン、プルラン、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、寒天、ゼラチン、アラビアゴム、トラガント等の増粘多糖類が挙げられる。
【0058】
本発明の医薬組成物がゲル状の形態である場合、ゲル化剤の配合量としては、使用するゲル化剤の種類などによって適宜設定されるが、例えば、該医薬組成物の総量当たり、0.05〜1.5質量%、好ましくは0.1〜0.4質量%が挙げられる。
(8)その他の成分
本発明の医薬組成物には上記成分以外に、必要に応じて、タンパク質、糖質、脂質、植物繊維、ビタミンおよび呈味成分等の各成分を配合することができ、それらの組成および量は、医薬組成物自体のエネルギー量、所望される各栄養素の量、配合するCoQ10の量等を考慮して適宜決定することができる。
【0059】
本発明の医薬組成物に用いうるタンパク質には、例えばカゼイン、カゼインナトリウムもしくはカゼインカルシウム等のカゼイン塩、鶏卵タンパク質、乳タンパク質、肉タンパク質などの動物性タンパク質;大豆タンパク質もしくは大豆ペプチド等の植物性タンパク質;酵母由来のタンパク質が含まれ、これらのタンパク質のうち1種のみまたは2種以上の組み合わせを用いてもよい。また、これらのタンパク質の分解物やアミノ酸を使用することができる。
【0060】
本発明の医薬組成物にタンパク質を配合する場合、該タンパク質の配合比率については、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、0.05〜12.8重量部、好ましくは0.1〜10重量部となるように設定される。
【0061】
本発明の医薬組成物に用いうる糖質の例には、砂糖、マルトデキストリン、デキストリン、粉飴、さらにブドウ糖、果糖等の単糖類、マルトース、乳糖等の二糖類、グラニュー糖、オリゴ糖が含まれ、これらの糖質のうち1種のみまたは2種以上の組み合わせを用いてもよい。
【0062】
本発明の医薬組成物に糖質を配合する場合、該糖質の配合比率については、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、12.4〜1240重量部、好ましくは60〜250重量部となるように設定される。また、本発明の医薬組成物における糖質の配合量は、上記糖質の配合比率、該医薬組成物の形態などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは3〜80質量%、特に好ましくは6〜60質量%が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、糖質の配合量として、6〜75質量%、好ましくは12〜50質量%が挙げられる。
【0063】
使用しうる食物繊維の例には、セルロース、リグニン、レジスタントスターチ、ポリデキストロース、オリゴ糖、グアガム酵素分解物などの難消化性の多糖類等が含まれる。これらの食物繊維のうち1種のみまたは2種以上の組み合わせを用いてもよい。
【0064】
本発明の医薬組成物に食物繊維を配合する場合、該食物繊維の配合比率については、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、3〜10重量部、好ましくは1〜20重量部となるように設定される。また、本発明の医薬組成物における食物繊維の配合量は、上記食物繊維の配合比率、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.3〜5質量%、特に好ましくは0.5〜2質量%が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、糖質の配合量として0.70〜2.85質量%、好ましくは0.70〜1.50質量%が挙げられる。
【0065】
添加しうるビタミンの例には、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、ナイアシン、葉酸、パントテン酸などの脂溶性または水溶性のビタミンが含まれ、これらのビタミンを1種のみまたは2種以上の組み合わせを用いてもよい。
【0066】
上記のうち、ビタミンEは抗酸化作用に優れ、ビタミンB群は疲労回復、エネルギー産生に寄与するので好適である。特に、本発明の医薬組成物は、上記(1)〜(5)の必須成分に加えて、ビタミンB群を含むことが望ましい。
【0067】
本発明の医薬組成物にビタミンを配合する場合、該ビタミンの配合比率については、通常、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、0.1〜2重量部、好ましくは0.3〜1重量部となるように設定される。また、ビタミンB群のみを配合する場合には、該医薬組成物に含まれるBCAA100重量部当たり、0.1〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部となるように設定することが望ましい。
【0068】
また、本発明の医薬組成物におけるビタミンの配合量は、上記ビタミンの配合比率、配合するビタミンの種類、該医薬組成物の形態や用途などによって異なるが、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.001〜0.1質量%、特に好ましくは0.002〜0.04質量%が挙げられる。また、ビタミンB群のみを配合する場合には、該医薬組成物の総量当たり、好ましくは0.001〜0.1質量%、特に好ましくは0.002〜0.01質量%が挙げられる。特に、本発明の医薬組成物がゲル状である場合には、ビタミンの配合量として、0.001〜0.05質量%、好ましくは0.008〜0.02質量%が挙げられる。
【0069】
さらに、例えば塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、果汁などの呈味成分、パイナップル風味、レモン風味、オレンジ風味、コーヒー風味、抹茶風味、ミルク風味などのフレーバーなどを適宜配合することができる。
【0070】
そしてさらに、本発明の医薬組成物は、上記成分以外に、その形態や用途等に応じて、他の薬理活性成分、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、賦形剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料等を任意に配合してもよい。
〔B〕医薬組成物の形態および用途
本発明の医薬組成物は、ゲル状剤、液剤、半固形剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等の形態をとることができる。特に、ゲル状剤の形態であれば、脳卒中患者や飲食品の摂取・嚥下障害を有する者が安全に効率よく摂取可能となる点で優れている。
【0071】
本発明の医薬組成物をゲル状の形態にする場合、その粘度は25℃で500〜20,000mPa・s、好ましくは25℃で2,000〜20,000mPa・s(37℃で7,000〜11,000mPa・s)、更に好ましくは25℃で10,000〜15,000mPa・sであることが望ましい。このような粘度は、一般のゼリー状食品に比べて相当高く設定されており、飲食品の摂取・嚥下障害を伴うことが多い高齢者や患者に経口投与しても誤飲や気管・肺に流入し誤嚥性肺炎などの恐れがなく安全性に優れている。また、経皮内視鏡的胃瘻増設術(PEG)によって胃瘻を設けた患者がチューブを使って、本発明の医薬組成物を投与する場合、上記粘度を備えることにより、逆流などの支障がなくスムーズに注入することができる。なお、ここで、粘度は、B型回転粘度計(RB-80L、東機産業株式会社)で、ローターM3を用い、回転数6rpm、測定温度25℃の条件下にて測定される値である。
【0072】
本発明の医薬組成物は、疲労回復;虚弱者や病気療養者(特に高齢者やリハビリテーション患者)の全身状態の向上;癌患者の低タンパクエネルギー状態(PEM)や悪液質の改善;癌治療を代表とする医学的な生体侵襲や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の悪液質の改善;外傷や感染などの消耗性疾患の治療又は改善;癌の治療又は改善;終末期癌に伴う症状の改善などの用途に使用される。なお、上記終末期癌に伴う症状には、疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、便秘の中の1種又は2種以上が含まれる。これらの医薬用途の中でも、本発明の医薬組成物は、とりわけ、優れた抗腫瘍効果を有しており抗ガン剤として有用であり、更に終末期癌に伴う症状の改善効果の点でも卓越しており、終末期癌患者の苦痛を緩和してQOLを向上させるのにも有用である。
【0073】
本発明の医薬組成物は、内服投与、経腸投与、経静脈投与などの投与形態で投与されるので、内服剤、経腸、輸液剤、注射剤等の製剤形態に調製される。
【0074】
本発明の医薬組成物の投与量については、対象となる症状又は疾患の種類、対象者の年齢などに応じて適宜設定されるが、例えば、成人1日当たり、BCAAが1250〜5000mgに相当する量の医薬組成物を1回又は2〜5回に別けて投与すればよい。
〔C〕医薬組成物の製造
本発明の医薬組成物は、その形態に応じて、常法の製造方法により調製することができる。
【0075】
例えば、本発明の医薬組成物を液状、ゲル状、又は半固形状の形態とする場合の調製は常法に従って行うことができ、具体的には、秤量した各成分を水又は温水に投入して、十分に混合した後、乳化させ、レトルト・パウチ内に充填密封し、殺菌処理を行うことによって製造することができる。
【0076】
また、本発明の医薬組成物をゲル状すなわちゼリー状の形態で提供する場合の製造は、一般的なゲル状医薬製剤に適用される常法に従って行うことができる。例えば、秤量したゲル化剤を含む各成分を水又は温水に投入して溶解又は分散させ、ゲル化が生じる温度を超える温度で、十分に混合した後、冷却してゲル化させることによって製造する。
【実施例】
【0077】
下記の実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1〕
表1に示す処方に従って各成分を秤量した。次に、1000Lの高速攪拌タンクに85℃の温水500Lを投入し、表1に示す成分を随時投入・攪拌を繰り返し、混合した。その際の液温は70℃以上を維持した。また、溶解性の観点からゲル化剤を投入する前にマルトデキストリンを投入した。
【0078】
その後、容器に充填し40℃以下に冷却してゲル状として、本発明の医薬組成物を得た。
【0079】
なお、本医薬組成物はゼリー食品あるいは流動食で投与する際には適度な粘度を有しており、また同一組成を有する飲料であっても物性からみて経口および経腸に使用することができる。
【0080】
【表1】

【0081】
医薬組成物の物性・性状は表2のとおりであった。
【0082】
【表2】

【0083】
〔試験例1〕
健常成人男女を対象に、実施例1で調製したゲル状医薬組成物の投与(経口による)が運動時にどのような効果をもたらすのか試験した。
(1)試験方法
対象は本試験の趣旨を理解し、同意を得られた健常成人男女20名(男性10名、女性10名)を男女5名ずつ、医薬組成物投与群(以下「投与群」という)10名と投与しない対照群10名の2群に無作為に振り分けて設定した。平均年齢は投与群が27.4±3.8歳、対照群が31±5.2歳で、両群間に有意の差はなかった。
【0084】
方法は、両群共に4週間(週3回)の運動プログラムを行い、その間に運動ポログラム開始前、運動ポログラム開始2週後、運動ポログラム開始4週後の計3回、身体計測値・運動能力・疲労感や乳酸値などを測定した。なお、運動プログラム実施期間中は、投与群には実施例1で調製したゲル状医薬組成物140gを1日1回又は2回摂取させた。
(2)試験結果
(a)6分間歩行テスト
【0085】
【表3】

【0086】
6分間歩行テストでの歩行距離は、投与群が前618±68.3m、2週後 676.6±82.4m、4週後 736.9±120.6mであった。一方、対照群が前608.2±71.4m、2週後 638.8±79.7m、4週後 708.6±119.5mであり、両群間に有意差は認められなかった。
(b)乳酸値
【0087】
【表4】

【0088】
乳酸値は、投与群が前12.7±6.4mmol/L、2週後 7.8±5.3mmol/L、4週後 7.2±4.0mmol/Lであった。一方、対照群が前7.4±3.2mmol/L、2週後 7.2±1.6mmol/L、4週後 7.9±3.2mmol/Lとなっており、2週後の変化、4週後の変化ともに投与群が有意 (p<0.05) に低下していた。
(c)疲労感
疲労感の変化はVAS法で評価した。VAS法(visual analog scale)は10cmの直線に目盛りを付け「無痛あるいは疲労感無し」を0とし、「最高の痛み若しくは疲労感」を10として評価するものである。
【0089】
【表5】

【0090】
疲労感(VAS)は、投与群が前52.3±18.7、2週後 51.8±18.4、4週後 51.2±21.5であった。一方、対照群が前57.5±14.0、2週後 67.9±13.2、4週後 67.1±16.4となっており、2週後の結果では投与群が有意 (p<0.05) に低い値を示していた。
(3)考察及び結論
両群ともに4週間の運動プログラムにより、運動機能の向上を認めた。
【0091】
しかし、乳酸値は投与群で大きく減少を認めていた。また、疲労感については対照群では歩行距離の増加に従い増強していたのに対し、投与群はほぼ変化が見られなかった。
【0092】
これらより、運動を行う際の本発明の医薬組成物の投与は、乳酸産生の抑制や疲労感の軽減に有効であることが明らかとなった。
〔試験例2〕
健常高齢女性を対象に、実施例1で調製した医薬組成物投与(経口による)が運動時にどのような効果をもたらすか試験した。
(1)試験方法
対象は、本研究の趣旨を理解し、同意を得られた健常高齢女性10名(平均年齢68.8±3.8歳)とした。これらを医薬組成物投与群(投与群)5名と医薬組成物非投与群(対照群)5名に無作為に振り分けた。両群ともに週3回の頻度で4週間の筋力トレーニングと歩行の運動を施行した。測定項目は、身体計測、6分間歩行テストとした。6分間歩行テストについてはテスト後に乳酸値を測定した。なお、試験期間中は、医薬組成物投与群には実施例1で調製したゲル状医薬組成物140gを1日1回又は2回摂取させた。
(2)試験結果
(a)6分間歩行テスト
【0093】
【表6】

【0094】
6分間歩行テストでの歩行距離は、投与群が開始時464±88.5m、4週後548±93.4mであった。一方、対照群が開始時460±38.1m、4週後526±42.2mであり、投与群で歩行距離の延長が認められたが有意の差はなかった。
(b)乳酸値の変化
【0095】
【表7】

【0096】
乳酸値は、投与群では開始時7.6±1.3mmol/L、4週後 3.2±1.8mmol/Lと対照群の開始時5.7±1.6mmol/L、4週後3.6±1.0mmol/Lに比べて明らかに乳酸値の低下が認められた。
(c)疲労感の変化
【0097】
【表8】

【0098】
VAS法による疲労感の評価は、投与群が開始時75.8±5.7、4週後53.8±10.5であった。一方、対照群では開始時80.4±2.6、4週後70.8±6.7で両群共に開始時に比べて有意に低下していた。また両群間の比較では投与群の有意の低下を認めた。
(3)考察及び結論
4週間の運動プログラムにより、投与群では歩行距離の延長と乳酸値の低下が認められたが、特に疲労感では投与群で著しい改善が得られ、有意の低下が認められた。運動時における本発明の医薬組成物投与は、高齢者といえども運動機能の改善と疲労回復の促進に有用であることが明らかとなった。
〔試験例3〕
モーターバイクの8時間耐久ロードレースに参加した選手に、実施例1で調製した医薬組成物140gをレース前及び各インターバル間に飲用させ、疲労物質である乳酸値の上昇について測定した。
【0099】
選手は平均時速280kmで走行しており、その際の空気抵抗(風圧)により相当な筋肉疲弊が生じる。その際に生じる乳酸値の上昇は通常4mmol/L以上であり、如何に4mmol/L以下に抑えることがレースでの課題となっている。
【0100】
今回のレースにて、各インターバル間で測定した結果を次の表に示す。
【0101】
【表9】

【0102】
結果として、乳酸値が3mmol/Lを超える選手はいなかった。このことから、過酷な運動下においてもエネルギー代謝が円滑に行われ、乳酸のエネルギー化が効率良く行われたことを示した。
【0103】
以上の試験例1〜3の結果を総合的に考慮すれば、本発明の医薬組成物は、(a)リハビリテーション中の患者(脳卒中患者、摂食・嚥下障害者)、(b)高齢者の早期離床、(c)手術、化学療法、放射線治療などのがん治療中の患者、(d)がん治療等による生体侵襲からの回復期患者、(e)がんの進行に伴う悪液質患者、(f)運動時疲労、および(g)スポーツ選手(アスリート)等を対象として、身体機能の回復促進に汎用性があることは明らかである。
【0104】
しかも、本発明の医薬組成物の組成からみて、これら成分の特徴を有する各種形状の医薬組成物、すなわち飲料剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤など、また輸液剤であっても同様の効果が期待できる。
【0105】
そして、本発明の医薬組成物を粘度の高いゲル状(ゼリー状)とすることによって、疾病や老化で飲食物の自然の飲み込みが困難な場合であっても経口摂取が可能であり、また、胃瘻を経由してチューブで注入する際に逆流防止が図られる点で、本医薬組成物は健康な者および病気療養中の患者に対して幅広く適用可能である。
〔試験例4〕
実施例1で調製した医薬組成物が、終末期がん患者(16名)に対してどのような症状改善、栄養改善、抗がん効果があるか、以下の方法で調べた。なお、終末期がん患者とは、外科手術が不能であり、かつ抗がん剤治療効果が認められなかったがん患者である。
【0106】
がん患者16名は、がんの原発部位が以下の患者を8名づつCOBL群(本医薬組成物投与群)とコントロ−ル群とした。
【0107】
COBL群:肺(3名)、乳子宮(2名)、消化器(3名)
コントロール群:脳神経系(2名)、乳子宮(2名)、消化器(3名)、腎・泌尿器(1名)
(試験方法)
濃厚流動食(ライフロンQL(日清キョーリン製薬(株)製)、アルジネイト(ノバルティスファーマ(株)製)又はハイネ((株)大塚製薬工場製)を朝8〜10時、昼13:00〜15:00、夜17:00〜19:00の間に1〜4個をCOBL群とコントロ−ル群に与えた。
【0108】
更に、COBL群では、実施例1で調製された医薬組成物を朝と昼に各患者に1本(140g)づつ与え、1日1本は必ず摂取させる様にした。
【0109】
夜は、更に病院食と輸液(ビ−フリード、(株)大塚製薬工場製)でCOBL群とコントロ−ル群に1人当り1日に必要なカロリーを与えた。
【0110】
上記投与を毎日4週間続けた。
【0111】
また、後述の検査項目である疼痛は、上記投与を続けながら、COBL群4名、コントロ−ル群3名が激しく痛みを訴えた時点で種々の麻薬を投与した。投与量は、モルヒネ換算でCOBL群は、345±643mg、コントロ−ル群は、203±503mgであった。また、痛みを有するが、激しく痛みを訴えなかったCOBL群4名、コントロ−ル群5名には、麻薬は投与しなかった。このような条件下で、本発明の医薬組成物がどの程度、疼痛を抑制するのかを後述の評価法により評価した。
(検査項目)
1)臨床症状
図7に示す評価基準(Face Scale)に従って、疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、及び便秘について、それらの程度を評点化することにより評価した。各症状の評点を加算した総合評価を図1に示し、症状毎(疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、及び便秘)の評点について、図2〜6に示す。なお、図2〜7の縦軸は、各症状における評点をCOBL群またはコントロ−ル群の各患者の評点を和して8で除した平均値であり、図1の縦軸は、前記各症状における評点の平均値を合算した値である。
2)血液、生化学的検査
各患者から早朝空腹時に採血を行い、血中リンパ球濃度、血中総蛋白濃度、血清乳酸値の測定を行った。各測定結果について、図8〜11に示す。なお、血清乳酸値のコントロ−ル群は1名である。
3)抗がん効果
各患者から早朝空腹時に採血を行い、CRP(C反応性蛋白)の測定を行った。CRPは、癌によって組織が崩壊する時に分泌されるマーカーとして知られている。測定結果を図12に示す。
(結果)
図1〜12により、本発明の医薬組成物は、がん患者に対してその症状、生化学的状態が改善されることが分かる。また、図12から、COBL群は、CRPがコントロール群に比べて激減していることから、本発明の医薬組成物は抗がん剤となり得ることも理解される。
【0112】
以上の試験例1の結果を考慮すれば、本発明の医薬組成物は、がん患者に対して効率の良い体内エネルギー産生と筋蛋白の崩壊抑制及び合成促進をもたらすがん患者用の医薬組成物であって、抗腫瘍効果を有することが明らかである。とりわけ、本発明の医薬組成物は、終末期癌に伴う症状(疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、及び便秘)の改善効果に優れており、終末期癌患者の苦痛の緩和にも有効であることが明らかである。
【0113】
しかも、本発明の医薬組成物の組成からみて、これら成分の特徴を有する各種形状の医薬組成物、すなわち飲料剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤など、また輸液剤であっても同様の効果が期待できる。
【0114】
そして、粘度の高いゲル状(ゼリー状)の医薬組成物とすることによって、疾病や老化で飲食物の自然の飲み込みが困難な場合であっても経口摂取が可能であり、また、胃瘻を経由してチューブで注入する際に逆流防止が図られる利点がある。
〔試験例5〕
16名の終末期がん患者を追加して、上記試験例4と同様の試験を行った。追加した16名の終末期がん患者については、がんの原発部位が以下の患者を8名づつCOBL群(本医薬組成物投与群)とコントロ−ル群とした。
【0115】
COBL群:肺(1名)、乳子宮(2名)、消化器(3名)、腎・泌尿器(1名)、その他(1名)
コントロール群:肺(1名)、消化器(4名)、その他(3名)
(試験方法)
上記試験例4と同様である。
(検査項目と結果)
以下に示す検査結果は、上記試験例4で対象になった16名の終末期患者と本試験例5で追加した16名の終末期癌患者の検査結果を纏めたもの(計36名の終末期癌患者の結果)である。
1)臨床症状
図13に示す評価基準(Face Scale)に従って、疼痛、倦怠感、呼吸困難感、気分の落ち込み、食欲不振、不眠、吐気、便秘、及び口渇について、それらの程度を評点化することにより評価した。各症状の評点を加算した総合評価を図14に示し、症状毎の評点について、図15〜23に示す。なお、図15〜23の縦軸は、各症状における評点をCOBL群またはコントロ−ル群の各患者の評点を和して16で除した平均値であり、図14の縦軸は、前記各症状における評点の平均値を合算した値である。
2)血液、生化学的検査
各患者から早朝空腹時に採血を行い、血中リンパ球濃度、血中アルブミン濃度、血中総蛋白濃度、及び血清乳酸値の測定を行った。各測定結果について、図24〜27に示す。
3)抗がん効果
各患者から早朝空腹時に採血を行い、CRP(C反応性蛋白)の測定を行った。CRPは、癌によって組織が崩壊する時に分泌されるマーカーとして知られている。測定結果を図28に示す。
(結果)
図24〜28から分かるように、終末期癌患者の数を増やした本試験例5の結果は、上記試験例4の結果と同様であった。即ち、本試験結果からも、本発明の医薬組成物が、抗ガン効果及び終末期癌患者の苦痛の緩和にも有効であることが裏付けられた。
〔試験例5〕
表10に示す組成のゲル状の医薬組成物(実施例2−4)を実施例1と同様の方法で調製した。
【0116】
【表10】

【0117】
上記試験例4と同様の方法で、上記ゲル状の医薬組成物(実施例2)の終末期がん患者に対する症状改善、栄養改善、抗ガン効果を評価した。なお、本試験では、下記の終末期がん患者を5名づつCOBL群(本医薬組成物群)とコントロ−ル群に分けて実施した。
【0118】
COBL群:肺(3名)、消化器(2名)
コントロール群:肺(2名)、消化器(2名)、腎・泌尿器(1名)

この結果、上記試験例4と同様に、COBL群(本医薬組成物投与群)では、コントロール群に比して、終末期癌に伴う症状(疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、及び便秘)が顕著に改善された。また、COBL群(本医薬組成物投与群)では、コントロール群に比して、生化学的状態(血液、生化学的検査の結果)が改善され、更にはCRPが激減していることも確認された。
【0119】
また、実施例3と実施例4の医薬組成物についても、それぞれ終末期癌患者(1名)に上記試験例4と同様の方法で投与したところ、上記結果と同様に、終末期癌に伴う症状の改善傾向、生化学状態の改善傾向、CPRの減少傾向が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐鎖アミノ酸、コエンザイムQ10、L−カルニチン、クエン酸、及び亜鉛を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
ゲル状形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を0.71〜7.14質量%、コエンザイムQ10を0.007〜0.086質量%、L−カルニチンを0.0035〜0.72質量%、クエン酸を0.071〜2.144質量%、及び亜鉛を0.0005〜0.016質量%含有する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を0.8〜5.0質量%、コエンザイムQ10を0.01〜0.07質量%、L−カルニチンを0.005〜0.3質量%、クエン酸を0.08〜1.8質量%、及び亜鉛を0.0008〜0.008質量%含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を1.0〜3.0質量%、コエンザイムQ10を0.015〜0.05質量%、L−カルニチンを0.01〜0.07質量%、クエン酸を0.1〜1.5質量%、及び亜鉛を0.001〜0.0035質量%含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物がゲル状形態であり、医薬組成物の全量を基準として、分岐鎖アミノ酸を1.5〜2.5質量%、コエンザイムQ10を0.018〜0.03質量%、L−カルニチンを0.03〜0.05質量%、クエン酸を0.6〜1.0質量%、及び亜鉛を0.002〜0.0028質量%含有する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
分岐鎖アミノ酸を構成するバリン、ロイシン及びイソロイシンの重量比が1:0.8〜2.5:0.7〜2.2である請求項1〜6記載のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
更に、亜鉛100重量部当たり、8〜12重量部の銅を含む、請求項1〜7記載のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
医薬組成物の全量を基準として、水を60〜90質量%及びゲル化剤を0.5〜1.5質量%含有しゲル状である請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
500〜20,000mPa・s(25℃)の粘度を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
癌の改善又は治療用である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
癌が終末期癌である、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
終末期癌に伴う症状の改善用である、請求項10又は11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
終末期癌に伴う症状が、疼痛、倦怠感、呼吸困難、不眠、及び便秘よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項13に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−116387(P2010−116387A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37215(P2009−37215)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(506245833)株式会社アーネストメディスン (4)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】