医薬組成物
本発明は、アリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物を提供する。本組成物は、治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んでいる。本発明の組成物は、本明細書に規定した1つ以上の放出プロフィールを示すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリピプラゾールを含む医薬製剤に関する。より特には、本発明は、アリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アリピプラゾールは、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル]ブトキシ]−3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オンであって、以下の構造、
【化1】
を有する。
【0003】
アリピプラゾールは、主としてD2受容体での部分的作動によってその抗精神病作用を媒介すると思われる。D2受容体での部分的作動は、ドーパミン活性が高いもしくは低い可能性がある領域、例えば統合失調症脳の中脳辺縁領域および中脳皮質領域各々においてドーパミン活性を調節することが証明されている。D2受容体での部分的アゴニスト活性に加えて、アリピプラゾールはさらにまた5−HT1A受容体での部分的アゴニストでもあり、他の非定型抗精神病薬と同様に、アリピプラゾールは5−HT2A受容体でアンタゴニストプロフィールを提示する。アリピプラゾールは、ヒスタミンおよびαアドレナリン受容体に対する中等度の親和性を有するが、コリン作動性ムスカリン受容体に対する感知できる親和性は有していない。アリピプラゾールは、現在は双極性I型障害に関連する統合失調症および急性躁病/混合エピソードを治療するために使用されている。
【0004】
臨床活性は、主として親薬物であるアリピプラゾールに、そしてこれより程度は少ないが、その主要代謝産物であって、D2受容体に対して親薬物に類似する親和性を有することが証明されていて血漿中の親薬物曝露の40%を表すデヒドロ−アリピプラゾールに起因すると考えられている(例えばABILIFY(登録商標)(アリピプラゾール)の処方情報、非特許文献1を参照されたい)。平均排出半減期は、アリピプラゾールおよびデヒドロ−アリピプラゾールについて各々約75時間および94時間である。定常状態濃度は、両方の活性成分について初期投与から14日間以内に達成される。アリピプラゾールの蓄積は、単回投与薬物動態から予測できる。定常状態では、アリピプラゾールの薬物動態は用量に比例している。アリピプラゾールの排出は、主として2種のシトクロムP450アイソザイムであるCYP2D6およびCYP3A4が関与する肝代謝を通して行われる(非特許文献2)。
【0005】
アリピプラゾールは、即時放出型(IR)錠剤の投与後に良好に吸収され、ピーク血漿中濃度は投与から3〜5時間以内に発生する;IR錠製剤の絶対的経口バイオアベイラビリティは87%である。標準高脂肪食を伴うアリピプラゾールIR錠15mgの投与は、アリピプラゾールもしくはその活性代謝産物であるデヒドロ−アリピプラゾールのCmaxもしくはAUCには有意な影響を及ぼさないが、Tmaxをアリピプラゾールについては3時間、デヒドロ−アリピプラゾールについては12時間遅延させる。アリピプラゾールは、液剤として経口投与された場合にも良好に吸収される。同等用量では、液剤からのアリピプラゾールの血漿中濃度はIR錠製剤からの血漿中濃度より高かった。
【0006】
健常被験者においてアリピプラゾールの経口液剤30mgとアリピプラゾールIR錠30mgの薬物動態を比較した相対的バイオアベイラビリティ試験では、幾何平均CmaxおよびAUC値の液剤対錠剤比は、各々122%および114%であった。静脈内投与後のアリピプラゾールの定常状態分布量は高く(404Lもしくは4.9L/kg)、これは広汎な血管外分布を示している。治療濃度では、アリピプラゾールおよびその主要代謝産物は、血清タンパク質、主としてアルブミンへ99%超が結合する。14日間にわたり0.5〜30mg/日の用量で投与された健常なヒト任意志願者では、ヒトにおけるアリピプラゾールの脳浸透を示す用量依存性のD2受容体占有が見られた(非特許文献3)。
【0007】
アリピプラゾールは、主として3種の生体内変化経路:脱水素化、水酸化、およびN−脱アルキル化によって代謝される。インビトロ試験に基づくと、CYP3A4およびCYP2D6酵素はアリピプラゾールの脱水素化および水酸化の原因であり、N−脱アルキル化はCYP3A4によって触媒される。アリピプラゾールは、循環血液中の主要な薬物成分である。定常状態では、活性代謝産物であるデヒドロ−アリピプラゾールは、血漿中のアリピプラゾールAUCの約40%を表している。
【0008】
白人のおよそ8%はCYP2D6基質を代謝する能力が欠如しており、不良代謝者(PM)と分類されているが、残りは広汎代謝者(EM)である。PMはEMSに比較して、アリピプラゾール曝露における約80%の増加および活性代謝産物曝露における約30%の減少を有しており、結果としてEMSに比較して所与用量のアリピプラゾール由来の全活性成分への約60%以上高い曝露を生じさせる。平均排出半減期は、EMおよびPMにおいてアリピプラゾールについて各々約75時間および146時間である。アリピプラゾールは、CYP2D6経路を阻害もしなければ誘導もしない。
【0009】
[14C]−標識アリピプラゾールの単回経口投与後には、投与された放射能のおよそ25%および55%は各々、尿および便中で回収された。1%未満の未変化アリピプラゾールは尿中に排泄され、経口用量のおよそ18%は便中で未変化で回収された。
【0010】
統合失調症におけるアリピプラゾールの推奨開始時用量および標的用量は、食事とは関係なく1日1回のスケジュールで投与する10〜15mg/日である。用量の増加が必要な場合は、定常状態に達するために必要とされる期間である2週間より前には行わないように推奨されている。双極性疾患では、開始時用量は1日1回30mgである。しかし第III相臨床試験では、およそ15%の患者において忍容性の評価に基づいて用量が15mgに減量された(非特許文献4)。
【0011】
本明細書での以前に公表された文書の列挙または考察は、必ずしもその文書が先行技術の一部である、または一般的共通知識であるという確認であると見なすべきではない。
【0012】
統合失調症、双極性疾患およびその他のCNS状態を治療するための上述したアリピプラゾールのための投与法に関しては多数の利点がある。市場調査は、患者が、できる限り低頻度で摂取できて良好に忍容される経口医薬品の方を高度に好むことを示唆している。1日1回の経口投与法は、多数の患者にとって過度に高頻度であると見なされる可能性がある。さらに、アリピプラゾールについての標的集団の有意なサブセットは、高齢である上に物忘れしやすい患者である確率が高い。そのような患者は、時間を消費して高額の費用がかかる監視下投与を必要とすることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Otsuka Pharmaceutical Co.,Ltd,Tokyo,101−8535,June 2006
【非特許文献2】Kubo Mら、Influence of itraconazole co−administration and CYP2D6 genotype on the pharmacokinetics of the new antipsychotic ARIPIPRAZOLE.Drug Metab Pharmacokinet.2005 Feb;20(1):55−64
【非特許文献3】Swainston Harrison T and Perry CM.Aripiprazole:a review of its use in schizophrenia and schizoaffective disorder.Drugs.2004;64(15):1715−36
【非特許文献4】Drugs at FDA;Ability(NDA#021436 Tablet Oral)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、アリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物の提供によって上述した欠点の1つ以上に対応することを目指している。本組成物は、治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んでいる。これらの組成物(以下では、他に特に規定しない限り「本発明の組成物」を意味する)は、統合失調症、双極性疾患および本明細書の下記で記載する多数の他の医学的適応を治療するために使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の組成物は、例えば以下の利点の1つ以上など(であるがそれらに限定されない)利点を有すると考えられる。
【0016】
典型的には、本発明の組成物は、アリピプラゾール用量の放出を制御する(例えば遅延させる、延長させる、もしくは持続させる)ので、投与後には、有害事象プロフィールが現行投与法に比較して減少させられる、または少なくとも有意には増加させられない。
【0017】
言い換えれば、本発明の組成物は、現行の1日1回の従来型IR投与法に比較して、有害事象を有意に増加させることなく1回の投与でより大量のアリピプラゾールを投与することを許容する。投与頻度のあらゆる減少は、患者の便宜性およびコンプライアンスにおける実質的な改善をもたらすと考えられる。
【0018】
投与頻度の減少は、薬物療法の間接的な人的コストを減少させる(例えば監視下薬物投与のために必要とされる開業医の時間を減少させる)ことによって、現行の投与法に比して有意な薬物動態学的利点を提供する。
【0019】
本発明の組成物は、アリピプラゾールの放出が制御される1日1回の投与法をさらに提供する。これは、現在利用可能な1日1回投与法に比較して、有害事象プロフィールを減少させることができる、および/またはより効率的な1日1回投与法を提供できると考えられる。
【0020】
本明細書で他に特に規定しない限り、用語「アリピプラゾール」は、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル]ブトキシ]−3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オン、その医薬上許容される塩、およびそれらの混合物を意味する。「医薬上許容される塩」は、アリピプラゾールの誘導体を含んでおり、このときアリピプラゾールは、その非毒性酸塩もしくは塩基塩を作製することによって修飾され、さらにそのような塩の医薬上許容される溶媒和物(水和物を含む)をさらに意味している。医薬上許容される塩の例には、アリピプラゾールのアミン官能基の鉱酸塩もしくは有機酸塩が含まれるがそれらに限定されない。医薬上許容される塩には、例えば、有機酸および無機酸から形成される、アリピプラゾールの非毒性塩および第4級アンモニウム塩が含まれる。そのような塩には、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩などの金属塩、例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩ならびに上記の組み合わせが含まれる。医薬上許容される有機塩には、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HO2C−(CH2)n−CO2H(式中、n=0〜4)などの有機酸から調製される塩ならびに例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などのアミノ酸から調製される塩が含まれる。好ましい医薬上許容される有機塩には、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HO2C−(CH2)n−CO2H(式中、n=0〜4)などの有機酸から調製される塩ならびに例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などのアミノ酸から調製される塩が含まれる。用語「医薬上許容される塩」には、上記のアリピプラゾールの誘導体のいずれかの混合物をさらに含んでいる。
【0021】
用語「経口送達可能な」には、本発明者らは、経口および口腔内(例えば舌下もしくは経口腔)投与を含む、経口のために適切であるという意味を含んでいる。好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口、即ち嚥下すること(例えば食べる、もしくは飲むこと)によって投与するために設計されている。
【0022】
用語「制御放出」には、本発明者らは、投与後に、アリピプラゾールの放出が制御され、アリピプラゾールを現行投与法より低頻度、例えば1日1回より低頻度で投与できる(しかし、この関連で1日1回投与のための改良された放出プロフィールもまた含まれている)投与法を提供できるという意味を含んでいる。これは、アリピプラゾールの放出を遅延および/または延長および/または持続させることを含むことができるので、アリピプラゾールの投与間の時間を増加させることができる。そのような遅延性/延長性/持続性放出は、現在使用されている1日1回のIR製剤と比較して本発明の組成物でのより高い単回用量のアリピプラゾールに付随する可能性がある。
【0023】
本発明の組成物は、制御放出型の1日1回(OD)投与法、およびODより低頻度での投与法のために適切である。ODより低頻度での投与法には、本発明者らは、2、3、4、5もしくは6日毎に1回、週3回、週2回(TW)、週1回(OW)およびそれらの組み合わせを含んでいる。好ましい投与法の群は、OD、2日毎に1回(即ち、1日おき)、TWおよびOW、例えば2日毎に1回、TWおよびOWである。
【0024】
本発明の組成物の制御放出の特性は、以下でより詳細に記載するように、それらのインビトロもしくはインビボ放出プロフィールまたはCmax、TmaxおよびAUCなどの関連値に関連付けて規定することができる。
【0025】
例えば、本発明の組成物は、平均して約60%以下、好ましくは約50%以下、より好ましくは約40%以下のアリピプラゾールが標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0026】
他に規定しない限り、用語「標準溶解試験」は、米国薬局方に記載されたように37℃で1〜7の生理学的pH範囲内の900mLの水性溶解媒質中において、または例えば、0.1M塩酸およびpH4.0のリン酸バッファなどのそれと実質的に同等の他の試験条件において100rpmでの「パドル法(Paddle Method)」にしたがって実施される試験を意味する。
【0027】
上述したように、本発明は、現行の1日1回投与法より低頻度での投与法または1日量の制御放出いずれかを伴う投与法を提供することに関する。上記に規定されたインビトロ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする薬物含有組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0028】
疑いを回避するために、本明細書に記載した制御放出特性(例えばインビトロ放出プロフィール)を有する本発明の組成物に関連して本明細書で使用する語句「ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法」には、本発明者らは、2、3、4、5もしくは6日毎に1回、週3回、週2回(TW)、週1回(OW)およびそれらの組み合わせを含んでいる。
【0029】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には平均して約10〜約50%、例えば約15〜約45%、例えば約15〜約30%のアリピプラゾールは標準溶解試験において配置されてから3時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0030】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、アリピプラゾールの平均して約2〜約40%(例えば約2〜約30もしくは35%)、例えば約5〜約25%、例えば約10〜約20%が標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0031】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、アリピプラゾールの平均して約25〜約100%、例えば約30〜約100%、例えば約40〜約100%または約50〜約100%が標準溶解試験において配置されてから8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0032】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、アリピプラゾールの平均して約70%以下、好ましくは約60%以下、より好ましくは約50%以下、例えば約40%以下が標準溶解試験に配置されてから8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。典型的には、そのような組成物は、アリピプラゾールの平均して約10〜約65%、例えば約15〜約55%、例えば約20〜約45%が標準溶解試験に配置されてから8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示す。
【0033】
本発明の組成物は、標準溶解試験に配置された後に、
アリピプラゾールの約2〜約50%が2時間後に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約80%が4時間後に放出される;
アリピプラゾールの25%以上が8時間後に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上が12時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには左右されない。
【0034】
上記に規定されたインビトロ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0035】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、標準溶解試験に配置された後に、
アリピプラゾールの約5〜約40%(例えば10〜30%)が2時間後に放出される;
アリピプラゾールの約15〜約70%(例えば20〜50%)が4時間後に放出される;および
アリピプラゾールの50%以上(例えば60%以上)が8時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには左右されない。
【0036】
ODより一層低頻度での投与を必要とする薬物を含有する組成物の投与法のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、標準溶解試験に配置された後に、
アリピプラゾールの約2〜約35%、例えば約2〜約25%(例えば5〜15%)が2時間後に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約50%(例えば10〜40)が4時間後に放出される;
アリピプラゾールの約25〜約80%(例えば30〜60)が8時間後に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上(例えば50%以上)が12時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには左右されない。
【0037】
本発明の組成物は、単回経口投与後に、アリピプラゾールの50%が(ヒトもしくは動物患者の)血漿中に吸収される時間が少なくとも2時間、好ましくは少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも4時間(例えば少なくとも約5もしくは6時間)であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示すことができる。
【0038】
語句「アリピプラゾールの血漿吸収プロフィール」は、ヒトもしくは動物患者への投与後の経時的なアリピプラゾールの血漿中濃度を意味することが意図されている。当業者には公知であるように、血漿吸収プロフィールは、持続的放出薬物動態対即時放出参照値の逆重畳積分によって測定できる。
【0039】
上記に規定されたインビボ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0040】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、単回経口投与後に、アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収される時間が約2〜約12時間、例えば約3〜約10時間、例えば約4〜約9時間もしくは約5〜約7時間(例えば約6時間)であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示す可能性がある。
【0041】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、単回経口投与後に、アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収される時間が約6〜約24時間、例えば約7〜約20時間、例えば約8〜約18時間もしくは約10〜約16時間であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示す可能性がある。
【0042】
本発明の組成物は、経口投与後の規定期間においてインビボにおいて組成物から放出されるアリピプラゾールの量に関して規定することもできる。例えば、本発明の組成物は、典型的には、
アリピプラゾールの約2〜約50%が投与後2時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約80%が投与後4時間以内に放出される;
アリピプラゾールの25%以上が投与後8時間以内に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上が投与後12時間以内に放出される、放出プロフィールを示すことができる。
【0043】
上記に規定されたインビボ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0044】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、
アリピプラゾールの約5〜約40%(例えば10〜30%)が投与後2時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約15〜約70%(例えば20〜50%)が投与後4時間以内に放出される;および
アリピプラゾールの50%以上(例えば60%以上)が投与後8時間以内に放出される、アリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示すことができる。
【0045】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、
アリピプラゾールの約2〜約35%、例えば約2〜約25%(例えば5〜15%)が投与後2時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約50重量%(例えば10〜40%)が投与後4時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約25〜約80%(例えば30〜60%)が投与後8時間以内に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上(例えば50%以上)が投与後12時間以内に放出される、アリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示す。
【0046】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物の制御放出特性は、ヒトもしくは動物患者に投与される場合の、アリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)値と関連付けて規定できる。例えば、OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、経口投与後に、約10〜約99%のアリピプラゾールCmax値、例えば同一用量で経口投与される場合の従来型即時放出型(IR)剤形のアリピプラゾールを用いて達成される約20〜約80%、例えば約25〜約70%(例えば約30〜約60%)のCmax値を示す。
【0047】
語句「従来型即時放出型(IR)剤形のアリピプラゾール」は、その中に含有されているアリピプラゾールの実質的に全部を即時に、例えば投与の30分間以内に放出するという意味を含んでいる。言い換えると、そのようなIR剤形は、典型的にはアリピプラゾールの放出を遅延および/または延長および/または持続させるために作用する成分を実質的に全く有していない。この定義は、現在は典型的には統合失調症および双極性疾患を治療するために使用されている本明細書の緒言のページに記載されているアリピプラゾールの組成物を含むことが意図されている。
【0048】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物の制御放出特性は、ヒトもしくは動物患者へ投与された時点および任意のそれ以後の用量の投与の前に、投与24時間後のアリピプラゾールの血漿中濃度(C24)に対するアリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)の比率によって規定できる。本発明の組成物は、典型的には好ましくは定常状態条件下で、約3:1未満、好ましくは約2:1未満、より好ましくは約1.5:1未満、例えば約1.1:1〜約1.5:1(例えば約1:1)のCmax対C24比を示す。
【0049】
本発明の組成物は、上記に規定した1つ以上の制御放出プロフィールを示すことができる。
【0050】
本発明の組成物は、治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んでいる。上記に規定した1つ以上の制御放出プロフィールを達成するために、治療有効量のアリピプラゾールは、拡散制御型製剤(例えばワックスマトリックスもしくはペレット剤)、溶解制御型製剤(例えば圧縮コーティング製剤)、溶解/拡散制御型製剤、容易に投与可能な製剤(例えばチュワブル(咀嚼可能)、速溶性、スプリンクル(振りかけ)もしくは味覚マスキング製剤)、腸溶性製剤、浸透圧ポンプ法製剤、不正加工防止(tamper resistant)製剤、浸食制御型製剤、イオン交換樹脂および上記の組み合わせを含むがそれらに限定されない多数の様々な方法で調製できる。以下では上記の製剤についてより詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の組成物のために本明細書に記載した製剤は、主として経口投与のために設計されている。適切な経口剤形には、上記の製剤のカプセル剤、錠剤、液剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、マトリックス剤、ミクロスフェア剤、シード剤、ペレット剤および/またはビーズ剤が含まれるがそれらに限定されない。これらの剤形の組み合わせもまた、本発明において使用できる。例えば、アリピプラゾールを含有する経口剤形は、カプセル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルもしくはゼラチンカプセルの内側に封入されたマイクロ錠剤の形状にあってよい。任意の適切なゼラチンカプセル、例えばCAPSUGELとして公知である硬質ゼラチンカプセルを使用できる。
【0052】
上述した経口固形剤形は、典型的には、100nmより大きい、好ましくは500nm、1,000nmもしくは2,000nmより大きい(例えば2,500nmより大きい)平均粒径を有する可能性がある薬剤物質を利用できる。
【0053】
本発明の組成物は、拡散制御型製剤であってよい。用語「拡散制御型製剤」では、本発明者らは、本製剤からの溶解したアリピプラゾールの拡散がその製剤からのアリピプラゾールの制御放出の速度において有意な役割を有する製剤を含んでいる。しかし、溶解プロセスもまた含まれることがある。典型的な拡散制御型製剤は、アリピプラゾールのコアがポリマー(典型的には非水溶性ポリマー)でコーティングされているいわゆる「リザーバー系」、および任意でコーティングされてよいアリピプラゾールがマトリックス(例えば膨潤性マトリックス)全体に分散するいわゆる「マトリックス系」を含んでいる。いずれの系でも、溶解した薬物の流動および退出は、上記に規定した放出プロフィールの1つ以上を達成できるように制御される。
【0054】
本発明の組成物は、マトリックス技術に基づいてよい。この技術では、アリピプラゾールは、マトリックスと呼ばれる非崩壊性コアを作成する賦形剤中に包埋される。(溶解した)アリピプラゾールの拡散は、コアを通して発生する。
【0055】
好ましくは、本発明の制御放出型組成物は、アリピプラゾールの有意な血漿中濃度が達成される前に少なくとも一部の時間遅延が存在するように調製される。言い換えると、本発明の組成物は、遅延および/または持続および/または延長放出成分を有することができる。そのような組成物は、アリピプラゾールの初期バーストを回避できる、もしくは消化管(例えば胃)の特定部分におけるアリピプラゾールの放出が遅延させられるように調製できる。これはアリピプラゾールに関連する有害事象プロフィールを最小限に抑えるために有用な可能性がある。
【0056】
アリピプラゾールの何らかの刺激作用から胃を保護できる腸溶コーティング製剤もまた望ましい。そのような製剤は、非毒性であり、主として腸液中では可溶性であるが胃液中では実質的に不溶性である医薬上許容される腸溶ポリマーを含む組成物でコーティングすることができる。
【0057】
典型的には、本発明の組成物は、アリピプラゾール放出を、公知の即時放出型剤形中でのアリピプラゾール放出と比較して、例えば数時間延長する。
【0058】
本発明の組成物は、放出遅延材料を含むことができる。放出遅延材料は、例えば、マトリックスもしくはコーティングの形状にあってよい。本発明の組成物は、例えば、放出遅延材料と結合されているアリピプラゾールの粒子を含んでいてよい。放出遅延材料は、典型的には、水性媒体中での持続速度でアリピプラゾールの放出を許容する物質である。放出遅延材料は、他の規定した特性と組み合わせて、所望の放出速度を達成できるように選択的に選ぶことができる。
【0059】
放出遅延材料は、親水性および/または疎水性のポリマーおよび/または材料であってよい。適切な放出遅延材料には、アクリルポリマー、アルキルセルロース、シェラック、ゼイン、硬化植物油、水素化ヒマシ油、および上記の材料の1つ以上を含む組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。本発明の組成物は、典型的には、約1〜約80(重量)%の放出遅延材料を含有していてよい。
【0060】
適切なアクリルポリマーとしては、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸塩、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、および上記のポリマーの1つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0061】
適切なアルキルセルロースには、例えば、エチルセルロースが含まれる。当業者は、他のアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーをエチルセルロースの一部または全部と置換できることを理解する。
【0062】
他の適切な疎水性材料は、典型的には非水溶性であり、約30℃〜約200℃、好ましくは約45℃〜約90℃の融点を有していてよい。疎水性材料には、中性もしくは合成ワックス、脂肪アルコール(例えばラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチルもしくは好ましくはセトステアリルアルコール)、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ−、ジ−、およびトリグリセリドを含む)を含む脂肪酸、水素化脂肪、炭化水素、硬化油もしくは脂肪(例えば硬化菜種油、ヒマシ油、牛脂、ヤシ油、大豆油)、ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、炭化水素主鎖を有する疎水性および親水性材料、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせを含むことができる。
【0063】
適切なワックスには、蜜ろう、グリコワックス、キャスターワックス、カルナバワックスおよびワックス状物質、例えば室温では通常は固体であるが約30℃〜約100℃の融点を有する物質ならびに上記のワックスの1つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0064】
放出遅延材料は、さらにまた消化可能な長鎖(例えばC8−C50、好ましくはC12−C40)の、置換もしくは未置換炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油および植物油、ワックス、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせも含むことができる。約25℃〜約90℃の融点を有する炭化水素を使用できる。本発明の組成物は、約60重量%までの少なくとも1つの消化可能な長鎖炭化水素および/または60重量%までの少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含有していてよい。
【0065】
放出遅延材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸とグリコール酸のコポリマーをさらに含むことができる。放出遅延材料は、任意で他の添加物、例えば浸食促進剤(例えばデンプンおよびガム)および/または半透性ポリマーを含んでいる。
【0066】
本組成物の放出特性に影響を及ぼす放出修飾剤は、任意で本発明の組成物において使用できる。放出修飾剤は、例えば孔形成剤として機能できる。典型的には、孔形成剤は、薬物放出を容易にする(例えば促進する)チャネルを作製する。孔形成剤は、有機もしくは無機であってよく、そして使用環境においてコーティングから溶解する、引き出される、または浸出することのできる材料を含むことができる。孔形成剤は、1つ以上の親水性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、金属ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウムなどのアルカリ金属ステアリン酸塩)、ポリカーボネート(炭酸塩基がポリマー鎖内で再発生する炭酸の線状ポリエステル)、および2つ以上の上記の放出修飾剤を含む組み合わせを含むことができる。
【0067】
放出遅延材料は、少なくとも1つの通路、開口部などを含む出口手段をさらに含むことができる。通路は、任意の形状、例えば円形、三角形、四角形もしくは楕円形を有していてよい。そのような出口手段は、本明細書でより詳細に記載される浸透圧ポンプ製剤において使用できる。
【0068】
上記の成分に加えて、本発明の組成物は、適切な量の他の材料、例えば、製薬分野において従来型である希釈剤、潤滑剤、結合剤、顆粒化助剤、着色料、着香料および流動促進剤をさらに含有していてよい。
【0069】
適切な潤滑剤の例には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、タルク、鉱油(PEG中)が含まれる。適切な結合剤の例には、水溶性ポリマー、例えば改質デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが含まれる。適切な充填剤の例には、ラクトース、微結晶性セルロースが含まれる。流動促進剤の例は、二酸化ケイ素である。
【0070】
本発明の組成物は、アリピプラゾールを含む1つ以上の物質を含むことができる。そのような基質は、放出遅延材料を含む持続性および/または遅延性および/または延長性放出コーティング剤でコーティングすることができる。そのような組成物は、多微粒子系、例えばビーズ、イオン交換樹脂ビーズ、スフェロイド(回転楕円体)、ミクロスフェア、シード、ペレット、マトリックス、顆粒、およびアリピプラゾールの所望の制御放出を得るための他の多微粒子系において使用できる。多微粒子系は、カプセル剤もしくはその他の適切な単位剤形、例えば錠剤もしくはサシェ剤で提示されてよい。
【0071】
所定の場合には、各々が例えば放出のpH依存性、様々な媒体(例えば酸性、塩基性人工腸液)中で放出させるための時間、インビボでの放出、サイズおよび組成などの相違する特性を示す、2つ以上の多微粒子系を使用することができる。
【0072】
一部の場合には、スフェロイドを形成するためには有効成分と一緒に球形化を促進するための賦形剤を使用できる。微結晶性セルロースおよび水和微細ラクトースは、そのような球形化剤の例である。さらに(または代りに)、スフェロイドは非水溶性ポリマー、好ましくはアクリルポリマー、アクリルコポリマー、例えばメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、またはエチルセルロースを含有することができる。そのような製剤では、存在する任意の持続性放出コーティングは、非水溶性材料、例えば単独または脂肪アルコールとの混合物のいずれかでのワックス、またはシェラックもしくはゼインなどを含むことができる。
【0073】
有効成分でコーティングされたスフェロイドもしくはビーズは、例えばアリピプラゾールを水中に溶解させ、次にこの溶液を糖球体などの基質上にスプレーする工程によって調製することができる。任意で、追加の成分は、有効成分の基質への結合を支援するため、および/またはこの溶液を着色するために、ビーズをコーティングする工程などの前に添加することができる。結果として生じる基質−活性材料には、アリピプラゾールを次の材料のコーティング、例えば放出遅延材料から隔離するために、バリア材料をオーバーコートすることができる。バリア材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む材料であってよい。しかし、当分野において公知である任意の塗膜形成剤を使用できる。好ましくは、バリア材料は、最終生成物の溶出速度に影響を及ぼさずに、加工処理中の安定性および/または保管寿命を増加させる。
【0074】
所望の放出特性を達成するために、アリピプラゾールは約1〜約80%(例えば約2〜約40%)の増量レベルを達成するために十分な量の放出遅延材料でコーティングすることができるが、例えば所望の放出速度に依存して、多少の放出遅延材料を使用することができる。さらに、コーティングに使用される2つ以上の放出遅延材料、ならびに様々な他の医薬上賦形剤が存在していてよい。
【0075】
放出遅延材料は、疎水性ポリマーの分散液を含むフィルムコーティングの形状にあってよい。放出遅延コーティングを塗布するために典型的に使用される溶媒には、医薬上許容される溶媒、例えば水、アルコール(例えばメタノールもしくはエタノール)、塩化メチレン、ならびに1つ以上の上記の溶媒を含む組み合わせが含まれる。
【0076】
本発明の組成物のインビボおよび/またはインビトロ放出プロフィールは、2つ以上の放出遅延材料を使用することによって、放出遅延材料の厚さを変化させることによって、使用する特定放出遅延材料を変化させることによって、相対量の放出遅延材料を変化させることによって、存在する任意の可塑剤が加えられる方法を変化させることによって、遅延剤に対する可塑剤の量を変化させることによって、追加の成分もしくは賦形剤を包含することによって、製造方法を変化させることによって、または上記の組み合わせによって変化させる、例えば最適化させることができる。
【0077】
マトリックス中に存在することに加えて、またはその代りに、放出遅延剤は、コーティングの形状にあってよい。任意で、コアはコーティングすることができる、またはゼラチンカプセルはさらにまた本明細書に記載したコーティングなどの持続性および/または遅延性および/または延長性放出コーティングでさらにコーティングすることができる。コーティングは、約1〜約80%(例えば約2〜約40%)へ剤形の重量増加を達成するために十分な量の疎水性材料を含むことができるが、コーティングは、剤形の重量を特に所望の放出速度に依存して大きな比率まで増加させることができる。
【0078】
本発明の組成物は、好ましくは、例えば消化されて胃液に、そして次に腸液に曝露させられると、アリピプラゾールを緩徐に放出する。本製剤の制御放出プロフィールは、例えば、放出遅延剤、例えば疎水性材料の量を変化させることによって、疎水性材料に比較して存在する任意の可塑剤の量を変化させることによって、追加の成分もしくは賦形剤を包含することによって、製造方法を変化させることによって、または上記の組み合わせによって変化させることができる。
【0079】
本発明の組成物は、実質的に全部のアリピプラゾールが非晶質系で存在するような方法で調製することができる。用語「非晶質」は、識別可能な結晶格子を有していない分子の不規則配列からなることを意味することが意図されている。非晶質アリピプラゾールを含む組成物を形成するための典型的なプロセスは、アリピプラゾールを水および医薬上許容されるポリマー担体と混合させる工程と非晶質アリピプラゾールおよびポリマー担体を含む組成物を形成するためにその混合物を乾燥させる工程とを含んでいる。
【0080】
適切な医薬上許容されるポリマー担体には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、キトサン、乳酸/グリコリドコポリマー、ポリオルトエステル、ポリ無水物H、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、レクチン、カルボポル、シリコーンエラストマー、ポリアクリルポリマー、マルトデキストリン、ラクトース、フルクトース、イノシトール、トレハロース、マルトース、ラフィノース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、そしてα−、β−、およびγ−シクロデキストリン、ならびに上記の担体の組み合わせが含まれる。
【0081】
好ましいポリマー担体は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、およびポリエチレングリコールのうちの1つ以上である。ポリビニルピロリドン(PVP)は、典型的には、約2,500〜約3,000,000、例えば約10,000〜約450,000の平均分子量を有する。
【0082】
ポリマー担体は、好ましくは(i)アリピプラゾール遊離塩基およびその医薬上許容される塩(特には塩酸塩)の両方と混和性である、(ii)蒸発によって水が除去された後に均質な非結晶性固体状態分散剤中で塩を維持できる、(iii)アリピプラゾールに関して化学的に不活性である、および(iv)少なくとも部分的に水溶性である、ならびにより好ましくは十分に水溶性である。
【0083】
アリピプラゾール、ポリマー担体および水は、任意の順序で結合されてよい。典型的には、それらは、アリピプラゾールおよびポリマー担体の溶液を形成できるような方法で組み合わされる。ポリマー担体および水の溶液を形成する際に、この溶液を加熱する工程は低濃度では一般に必要とされないが、温度が任意の材料の分解もしくは劣化を生じさせないことを前提に、高濃度では好ましい。ポリマー担体を水中に溶解させた後に、透明溶液を形成するためには、適切には約25〜約100℃で、例えば約45℃〜約80℃でアリピプラゾールを加えるのが好ましい。
【0084】
アリピプラゾール対ポリマー担体の比率は、例えば、必要とされる正確な放出プロフィールに依存して変動させることができる。ポリマー担体対アリピプラゾールの典型的な重量比は、約100:1〜約0.5:1、好ましくは約50:1〜約1:1、例えば約20:1〜約2:1(例えば約5:1)の範囲に及ぶ。
【0085】
(好ましくは透明な)溶液が形成されると、本プロセスは、ポリマー担体中でアリピプラゾールの固体状態分散液を形成するために水を回収する工程によって進行する。均質な固体状態分散液を提供する水を除去する任意の方法を使用できるが、適切な方法は真空下での蒸発またはスプレー乾燥を含んでいる。真空下での蒸発方法には、回転蒸発、静的真空乾燥およびそれらの組み合わせが含まれる。医薬製剤の分野の当業者は、材料の劣化もしくは分解を惹起しないように高くないことを前提にして、水を除去できる合理的温度を容易に決定することができる。典型的には、蒸発は、約25℃〜約100℃で発生する。水の蒸発は、均質かつ実質的に水を含んでいない固体状態分散液を提供するはずである。「実質的に含まない」とは、固体状態分散液が含有する残留水が、典型的には20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満であることを意味する。
【0086】
任意の適切な医薬上許容される賦形剤を本発明の組成物に加えることができる。医薬上許容される賦形剤の例には、希釈剤、アリピプラゾールビヒクル、結合剤、錠剤崩壊剤、流動促進剤、甘味料、圧縮助剤、着色剤、フレーバー剤、懸濁化剤、分散剤、塗膜形成剤、印刷インク、潤滑剤および/または保存料が含まれる。これらの賦形剤は、従来型方法で、そして単独もしくは任意の組み合わせで使用できる。
【0087】
本医薬組成物は、従来型の混合方法、例えば混合する、充填する、造粒する、および圧縮する工程などによって調製することができる。直接圧縮および湿性造粒は、本発明の組成物を調製するために使用できる方法の2つの例である。以下ではこれらやその他の方法をより詳細に記載および/または例示する。
【0088】
賦形剤は、多数の理由のため、例えば製造を促進する、安定性を強化する、放出を制御する、生成物の特性を強化する、バイオアベイラビリティを強化する、患者の受容性を強化する、およびそれらの組み合わせのために加えることができる。
【0089】
剤形を一緒に保持するために役立つように使用できる代表的結合剤には、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、糖、およびそれらの組み合わせが含まれる。錠剤崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウム)は、錠剤が粉々になることを湿潤が引き起こすと膨張する。潤滑剤は、典型的には粉末状材料の加工処理に役立つ。代表的な潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、植物油、ステアリン酸亜鉛、およびそれらの組み合わせが含まれる。流動促進剤の例は、二酸化ケイ素である。
【0090】
本明細書に記載した製剤は、充填剤、例えば非水溶性もしくは水溶性充填剤、またはそれらの組み合わせを含有していてよい。典型的な非水溶性充填剤には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、微結晶性セルロース、およびそれらの組み合わせが含まれる。典型的な水溶性充填剤には、水溶性糖および糖アルコール、好ましくはラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、デキストロース、ガラクトース、対応する糖アルコールおよびその他の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0091】
アリピプラゾールおよび任意の追加の添加物は、サブユニットとして、または例えば融解ペレット化法によるペレットとして調製することができる。この方法では、微細分割形のアリピプラゾールは結合剤および他の任意の不活性成分と結合され、その後この混合物は、例えばペレットを形成するために高剪断ミキサー内で混合物を機械的に作業する工程によってペレット化される。用語「ペレット」には、本発明者らはペレット、顆粒、スフェアおよびビーズを含んでいる。その後、ペレットは、ふるいにかけると必須サイズのペレットを得ることができる。
【0092】
結合剤材料は、さらにまた微粒子形にあってよく、典型的には約40℃を超える融点を有する。適切な結合剤物質には、水素化ヒマシ油、水素化植物油、他の水素化脂肪、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0093】
経口剤形は、多微粒子もしくはカプセル内のマルチペレットの形状にあるアリピプラゾールおよび任意で他の活性剤を含有する有効量のサブユニットを含むように調製できる。例えば、複数の多微粒子は、上記に規定したような放出プロフィールを提供するために十分な量でゼラチンカプセル内に配置できる。
【0094】
サブユニット(例えば多微粒子の形状にある)は、標準方法を用いて従来型錠剤化装置を用いて経口錠剤に圧縮することができる。錠剤製剤は、賦形剤、例えば、不活性希釈剤(例えばラクトース)、造粒および錠剤崩壊剤(例えばコーンスターチ)、結合剤(例えばデンプン)および潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を含むことができる。
【0095】
または、アリピプラゾールを含有し、そして任意で追加の活性物質を含有するサブユニットは押出プロセスにかけることができ、結果として生じる押出物は次に当分野において公知の方法によって錠剤に成形することができる。押出装置の開口部もしくは出口ポートの径を変化させると、抽出ストランドの厚さを調整することができる。さらに、押出機の出口部分は、任意の適切な形状、例えば円形、楕円形もしくは長方形を有していてよい。出てくるストランドは、例えば熱線カッターもしくは裁断機を用いる任意の適切な方法を用いて粒子へ粉砕することができる。
【0096】
溶融押出多微粒子系は、押出機の出口開口部に依存して、例えば、顆粒、スフェロイド、ペレットなどの形状にあってよい。用語「溶融押出多微粒子」および「溶融押出多微粒子系」および「溶融押出微粒子」は、本明細書では互換的に使用され、典型的には、好ましくは類似のサイズおよび/または形状の複数のサブユニットを含んでいる。溶融押出多微粒子は、典型的には長さが約0.1〜約12mmおよび径が約0.1〜約5mmである。さらに、溶融押出多微粒子は、このサイズ範囲内の任意の幾何学的形状であってよい。または、押出物は、ペレット化する工程の必要を伴わずに単純に所望の長さに切断して、単位用量のアリピプラゾールに分割してもよい。
【0097】
本明細書に記載した経口剤形の多くは、粒子の形状にあるアリピプラゾールおよび任意で追加の活性物質を含有している。そのような微粒子は、味覚マスキング剤形などのコーティング剤形、圧縮コーティング剤形、または腸溶コーティング剤形のコアエレメント内に存在する錠剤に圧縮することができる、またはカプセル剤、浸透圧ポンプ剤形、または他の剤形中に含有されてよい。
【0098】
コーティング剤形のコアエレメント内に存在する微粒子(例えば粉末微粒子)については、微粒子は約1μm〜約250μm、好ましくは約25μm〜約200μm、より好ましくは約35μm〜約150μmの粒径を有していてよい。コアエレメントは、典型的には、約100μmのメジアン値を含む微粒子サイズ分布を有する。
【0099】
考慮すべきまた別のパラメーターは、微粒子および/または任意のコアエレメントの形状である。例えば、微粒子/コア形状は、使用できる任意のコーティングの被覆範囲および安定性に影響を及ぼすことができる。アリピプラゾールの結晶化度および微粒子のアスペクト比は、どちらも微粒子/コアの形状に関連している。コーティング剤形のアリピプラゾールが結晶形態を有する場合、結晶上の鋭角はコーティング内の脆弱性(例えば応力点)を引き起こし、これがその剤形からのアリピプラゾールの早期放出を生じさせる。さらに、薄膜コーティングの領域は破損およびクラッキングに対して感受性であるので、そこで持続性放出および味覚マスキングのためには効果が弱い。この潜在的問題は、相対的に低いアスペクト比を有する微粒子/コアによってある程度相殺される可能性がある。アスペクト比は、長さ対幅の尺度である。例えば、約1の低アスペクト比は、四角形もしくは球形である。高アスペクト比を備える結晶は、針状結晶を備えて先がより尖っている。高アスペクト比を備える結晶は、結晶ニードルチップでの相対的に薄いコーティングを生じさせ、これはアリピプラゾールの好ましい速度より高速の放出速度をもたらす。コーティングの溶解度および製剤中に含有されるアリピプラゾール全部が放出される機会を増加させるためのどちらにとっても、低アスペクト比の球形の微粒子が有益である。このため、アスペクト比が約3未満、より好ましくは約2未満、および最も好ましくは実質的に円形を提供するおよそ1であることが最も好ましい。これは、例えば球形化によって達成できる。
【0100】
サイズおよび形状の不一致は、一貫性のないコーティングを導くことがある。アリピプラゾールを含有する微粒子のサイズおよび形状が様々である場所では、エチルセルロースなどのポリマーコーティング材料は各微粒子上に様々に沈着する可能性がある。このため、コーティング剤形については、コーティングプロセスをより良好に制御および維持できるように、その剤形の全部ではなくとも大多数の微粒子が実質的に同一のサイズおよび形状を有していることが好ましい。
【0101】
本明細書に記載した組成物は、コーティング材料でコーティングすることができる。コーティングは、典型的には約0〜約90重量%の組成物を含んでいる。コーティング材料には、典型的にはポリマー、好ましくは塗膜形成ポリマー、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、高もしくは低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルピロリドン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0102】
コーティング材料は、水溶性または非水溶性であってよい。味覚マスキングなどの所定の用途のためには、非水溶性ポリマーを使用するのが好ましい。適切な非水溶性ポリマーには、エチルセルロースもしくはエチルセルロースの分散液、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルポリマー、酢酸セルロース、低含量の第4級アンモニウムを有するアクリル酸塩もしくはメタクリル酸塩の酪酸塩もしくはプロピオン酸塩またはコポリマー、ならびに上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0103】
本発明の組成物において使用するために好ましい疎水性もしくは非水溶性ポリマーには、例えば、メタクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール−マレイン酸無水物コポリマー、β−ピペンポリマー、木材樹脂のグリセリルエステル、および上記の組み合わせが含まれる。
【0104】
コーティングは、1つ以上のモノマー材料、例えば糖(例えばラクトース、スクロース、フルクトースおよびマンニトール)、塩(例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)ならびに有機酸(例えばフマル酸、コハク酸、酒石酸および乳酸)をさらにまた含むことができる。コーティングは、本明細書で先に記載したような充填剤をさらに含むことができる。
【0105】
コーティング組成物は、コーティング塗膜の物理的特性を向上させる添加物を含むことができる。例えば、コーティング組成物は、可塑剤を含むことができる。例えば、エチルセルロースは相対的に高いガラス転移温度を有していて通常のコーティング条件下では柔軟性塗膜を形成しないので、エチルセルロースにはコーティング材料として使用する前に可塑剤を添加するのが有益なことがある。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、典型的にはコーティング組成物の0〜約50重量%の範囲に及ぶポリマーの濃度に基づいている。可塑剤の適切な濃度は、ルーチンの実験によって決定できる。
【0106】
エチルセルロースおよびその他のセルロースのための可塑剤の例には、例えばセバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせなどの可塑剤が含まれる。
【0107】
アクリルポリマーのための可塑剤の例には、例えばクエン酸トリエチル21、クエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジブチル、1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0108】
典型的なコーティングは、(a)水難透過性成分、例えばアルキルセルロース(例えばエチルセルロース)、例えばAQUACOAT(30%溶液)もしくはSURELEASE(25%溶液)、および(b)水溶性成分、例えば可溶性成分の水和もしくは溶解後に水難透過性成分を通るチャネルを形成できる物質とを含んでいる。
【0109】
好ましくは、水溶性成分(b)は、低分子量のポリマー材料、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキル(アルキルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの塩である。これらの水溶性ポリマー材料の特定の例には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMETHOCEL)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。水溶性成分(b)は、好ましくは相対的に低分子量、好ましくは約25,000未満、好ましくは約21,000未満である。
【0110】
コーティングにおいては、水溶性成分(b)対水難透過性成分(a)の重量比は、典型的には約1:4〜約2:1、例えば約1:2〜約1:1、例えば約2:3である。コーティングは、典型的には全組成物の約1〜約90重量%、例えば約2〜約50重量%、例えば約5〜約30重量%を構成する。
【0111】
好ましくは、コーティングは、実質的に連続性コーティングであり、実質的に穴を有していない可能性がある。これは、例えばコーティングが味覚マスキングを提供する場合に特に有益である。語句「実質的に連続性コーティング」は、倍率が1,000倍の走査型電子顕微鏡下で平滑かつ連続性の外観を保持しており、コーティングに穴も破れもないことが明白であるコーティングを含むことを意味する。典型的には、コーティングは、厚さ約0.005〜約25μm、好ましくは約0.05〜約5μmである。
【0112】
本発明の組成物においては、本明細書に記載した1つ以上のコーティングを使用できる。2つ以上のコーティングが存在する場合、各コーティングのために使用されるコーティング材料は、同一であっても相違していてもよい。
【0113】
コーティングを塗布するためには、任意の適切な方法を使用できる。使用できるプロセスには、単純もしくは複雑なコアセルベーション、界面重合、液体乾燥、熱および/またはイオンゲル化、スプレー乾燥、スプレー冷却、流動床コーティング、パン・コーティングおよび静電沈着法が含まれる。実質的に連続性のコーティングは、例えば、低露点を有する乾燥ガス中において溶媒中にポリマーを含むコーティング組成物の溶液中のアリピプラゾールの懸濁液もしくは分散液からのスプレー乾燥によって達成することができる。
【0114】
コーティングを塗布するために溶媒を使用する場合は、溶媒は、好ましくはコーティング材料のための良好な溶媒であり、アリピプラゾールのための不良な溶媒である有機溶媒である。アリピプラゾールが部分的に溶媒中に溶解する間に、有効成分はコーティング材料より急速にスプレー乾燥プロセス中に溶媒から沈降することが好ましい。溶媒は、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール、ジクロロメタン(塩化メチレン)などのハロゲン化炭化水素、シクロヘキサンなどの炭化水素、およびそれらの組み合わせから選択できる。
【0115】
溶媒中のポリマー濃度は、通常は約75重量%未満、典型的には約10〜約30重量%である。コーティング後、コーティングされた剤形は、典型的には約50℃〜約60℃の温度で約1〜約2時間にわたり硬化させられる。
【0116】
剤形(例えば錠剤)は、薬物製剤の化学の当業者には容易に明白である様々な従来型の混合、粉砕および作製技術によって調製できる。そのような技術の例は、直接圧縮法(適切なロータリー式錠剤機に適合させたパンチおよびダイスを用いる)、圧縮装置に適合させた適切な金型を使用する射出成形法もしくは圧縮成形法、造粒後に行う圧縮法、および金型内もしくは押出物に抽出した後に適切な長さに切断する方法である。
【0117】
粒子もしくは錠剤が直接圧縮法によって作製される場合は、粒子/錠剤へ潤滑剤を添加することが役立つ場合があり、時には粉末の流動を促進するため、そして圧力が緩和された時点の粒子のキャッピング(粒子の一部分の破損)を防止するために重要である。本明細書の上記の任意の潤滑剤を使用できる。好ましい潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはフマル酸ステアリルナトリウム(典型的には粉末ミックスの約0.1〜約10重量%、例えば約0.25〜約3重量%)が含まれ、そして水素化植物油、例えばステアリン酸およびパルミチン酸の水素化および精錬トリグリセリドは粉末ミックスの約1〜約5重量%で使用できる。粉末流動性を強化して付着性を低下させるために追加の賦形剤を加えることができる。本発明の組成物は、直接圧縮法によって作製されるが、以下の実施例においてより詳細に記載する。
【0118】
経口剤形は、カプセル内の多微粒子の形状にある有効量の溶融押出サブユニットを含めることによって調製できる。例えば、複数の溶融押出多微粒子は、経口投与した場合に所望の放出プロフィールを提供するために十分な量でゼラチンカプセル内に配置できる。または、本組成物は、ゼラチンカプセル内に封入されたマイクロ錠剤の形状にあってよい。典型的にはマイクロ錠剤は、それらの最大寸法において0.5〜7mm、例えば1〜6mm、例えば3〜4mmなどのサイズを有する。
【0119】
以下では、好ましい成分を有する多数の製剤について記載する。1つのタイプの製剤中に使用されると記載された成分のいずれも、そのような成分が他の製剤において使用されると列挙されていなくても、他のタイプの製剤中に使用できることを理解されたい。さらに、以下に記載する製剤は、上記の賦形剤のいずれか、または実際に当分野において公知の賦形剤のいずれかをさらに含むことができる。
【0120】
本発明の組成物は、ワックス製剤の形状にあってよい。ワックス製剤は、ワックス状マトリックス内にアリピプラゾールを含む固形剤形である。
【0121】
本発明の組成物において使用されるワックス材料は、例えば、非晶質ワックス、アニオン性ワックス、アニオン性乳化ワックス、漂白ワックス、カルナバワックス、セチルエステルワックス、蜜ろう、キャスターワックス、例えばカチオン性乳化ワックス、セトリミド乳化ワックスもしくは非イオン性乳化ワックスなどの乳化ワックス、ベヘン酸グリセロール、微結晶性ワックス、非イオン性ワックス、パラフィン、石油ワックス、鯨ろう、白ろう、および上記のワックスの1つ以上の組み合わせであってよい。
【0122】
本発明において使用するために適切なセチルエステルワックスは、典型的には約470〜約490の分子量を有しており、主として飽和脂肪アルコールおよび飽和脂肪酸のエステルを含有する混合物である。本発明の組成物において使用するために適切なワックスマトリックスは、カルナバワックスを含有しており、他のワックス材料を含有していない。また別の適切なワックスマトリックスは、カルナバワックスおよびベヘン酸グリセロールを含んでいる。本発明において使用するために適切なワックスマトリックスは、コーティングを伴って、または伴わずに使用できる。
【0123】
ワックス材料は、ワックス材料の総重量で約30〜約95重量%、好ましくは約40〜約85重量%、より好ましくは約45〜約80重量%、最も好ましくは約50〜約75重量%の範囲内で使用できる。マトリックス材料の残りは、典型的にはアリピプラゾールであるが、他の任意の成分(例えば脂肪酸石けん、下記を参照)もまた存在していてよい。ワックスの組み合わせが使用される場合は、ワックスの成分は任意の適切な比率で使用できる。例えば、カルナバワックスとベヘン酸グリセロールの組み合わせが使用される場合、各ワックスの相対量は、典型的には約99〜60部のカルナバワックス(例えば99〜約85部)および約1〜約40部のベヘン酸グリセロール(例えば1〜約15部)である。カルナバワックスとキャスターワックスの組み合わせを有する製剤では、各ワックスの相対量は、典型的には約99〜60部のカルナバワックス(例えば99〜約85部)および約1〜約40部のキャスターワックス(例えば1〜約15部)である。カルナバワックス、ベヘン酸グリセロール、およびキャスターワックスが存在する場合は、カルナバワックスは典型的には存在するワックス材料の少なくとも約85%を含み、ベヘン酸グリセロールとキャスターワックスの組み合わせの平衡が保たれる。
【0124】
ワックス剤形中には、脂肪酸および脂肪酸石けんが存在してよい。一部の場合には、脂肪酸および/または脂肪酸石けんがワックス材料の一部分に取って代わることができる。これらの任意の脂肪酸および脂肪酸石けんは、錠剤化潤滑剤として製薬工業において一般に使用されるものであってよい。そのような脂肪酸および脂肪酸石けんは、固形脂肪酸(例えば約16〜約22個の炭素原子を有する脂肪酸)、それらのアルカリ土類金属塩(特にはマグネシウムおよびカルシウム塩)ならびに上記の組み合わせが含まれる。例えば、脂肪酸はステアリン酸であってよい。任意の脂肪酸および脂肪酸石けんは、存在する場合は、典型的にはマトリックス材料の総重量の約10%まで、例えば約1〜約9%、例えば約2〜約8%または約3〜約6%の量で使用される。
【0125】
ワックス製剤を調製するためには、1つまたは複数のワックスを溶融させ、溶融造粒法を用いてアリピプラゾールを造粒するために使用できる。顆粒は、冷却させ、次に適切なサイズに粉砕することができる。有益には、顆粒は、約75ミクロン〜約850ミクロン、好ましくは約150ミクロン〜約425ミクロンの平均粒径に粉砕される。粉砕された顆粒は、任意の加工処理助剤と混合することができる。加工処理助剤には、例えば、疎水性コロイド状二酸化ケイ素が含まれる。疎水性二酸化ケイ素は、典型的にはマトリックス材料の約0.5重量%以下の量で使用できるが、個々の製剤は必要に応じて変化させることができる。ワックス状顆粒およびもしあれば加工処理助剤の混合物は、圧縮して任意でコーティングすることができる。
【0126】
ワックス製剤は、任意の適切な剤形に調製することができ、例えばコーティング(例えば機能的コーティング組成物もしくは非機能的コーティング組成物を用いる)もしくは非コーティング錠剤、カプセル剤に含有される圧縮ペレット、または粉末散剤もしくは粉末充填カプセル剤に調製することができる。
【0127】
コーティング組成物が機能的コーティング組成物である場合は、典型的には非水溶性成分および水溶性成分を含んでいる。コーティング組成物が非機能的コーティング組成物である場合は、典型的には好ましくは非水溶性成分の非存在下で、水溶性成分を含んでいる。コーティング組成物は、医薬上許容される色素、顔料、またはそれらの混合物を含んでいてよい。
【0128】
上述したように、本発明の組成物は、アリピプラゾールに加えて1つ以上の活性物質を含むことができる。このため、ワックス製剤は、マトリックス内にアリピプラゾールに加えて活性物質をさらに含むことができる。
【0129】
本明細書に記載したワックス製剤は、溶融物を形成するためにワックス材料をホットメルト加工し、そして顆粒を形成するために溶融物を用いてアリピプラゾールを造粒する工程によって作製できる。顆粒は、典型的にはマトリックスを形成するためにその後粉砕されて圧縮される。本方法は、マトリックスを形成するために顆粒を圧縮する前に顆粒と加工処理助剤とを混合する工程をさらに含むことができる。本方法は、マトリックスを機能的および/または非機能的コーティングでコーティングする工程をさらに含むことができる。
【0130】
本発明の組成物は、圧縮コーティング製剤の形状にあってよい。そのような製剤は、コア上に圧縮コーティングされたコーティング組成物を備える、アリピプラゾールを含有するコア組成物を含んでいる。コア組成物は、典型的には、アリピプラゾールを含有するワックス状材料を含んでいる。コーティング組成物は、典型的には親水性ポリマーおよび任意でアリピプラゾールを含んでいる。
【0131】
コア組成物のワックス状材料は、典型的にはアリピプラゾールの制御放出を提供することのできる疎水性ワックス状材料である。そのようなワックス状材料は、例えば、カルナバワックス、トリベヘニン、脂肪アルコール(特には12〜24個の炭素原子を有する、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコールなど)、脂肪酸(特には12〜24個の炭素原子を有する、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸など)、ポリエチレン、キャスターワックス、C16−30脂肪酸トリグリセリド、蜜ろう、および上記のワックスの1つ以上の組み合わせであってよい。
【0132】
コーティング組成物の親水性ポリマーは、典型的には、アリピプラゾールの制御放出を補助できるように選択される。そのような親水性ポリマーの例は、塗膜形成ポリマー、例えば親水性セルロースポリマー、特にはヒドロキシアルキルセルロースポリマーである。そのようなヒドロキシアルキルセルロースポリマーの例には、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース(HPPC)、ヒドロキシプロピルブチルセルロース(HPBC)、および上記のポリマーの1つ以上の組み合わせが含まれる。
【0133】
コア組成物およびコーティング組成物の両方は、独立して、充填剤、例えば水溶性もしくは非水溶性充填剤、またはそれらの混合物を含むことができる。非水溶性充填剤の例には、タルクおよびカルシウム塩、例えばリン酸カルシウム、例えばリン酸二カルシウムが含まれる。コーティング組成物中に充填剤が存在する場合は、もしあればコア組成物中の充填剤と同一であっても相違していてもよい。例えば、コア組成物は、水溶性充填剤を含むことができるが、コーティング組成物は非水溶性充填剤を含むことができる。
【0134】
コア組成物および/またはコーティング組成物中には、任意の賦形剤もまた存在していてよい。そのような賦形剤には、潤滑剤(例えばタルクおよびステアリン酸マグネシウム)、流動促進剤(例えば溶融シリカもしくはコロイド状シリカ)、pH修飾剤(例えば酸、塩基およびバッファ系)、医薬上有用な加工処理助剤、ならびに上記の賦形剤の1つ以上の組み合わせが含まれる。組成物中の賦形剤は、コア組成物中の賦形剤と同一であっても相違していてもよい。
【0135】
圧縮コーティング製剤を形成するためには、コア組成物成分(アリピプラゾール、ワックス状材料、および任意の賦形剤)は、典型的には一緒に混合されて適切なコアに圧縮される。混合する工程は、適切な添加順序で行うことができる。コアは、最少量の成分から開始して、連続してより大量の成分を加えることによって混合できる。また別のプロセスは、ワックスを溶融させ、アリピプラゾールおよび任意の賦形剤を溶融したワックス内に混合する方法である。または、アリピプラゾール、ワックスおよび任意の賦形剤を一緒に混合し、次にワックスが溶融する温度下に置くこともできる。冷却したら、固化した塊を顆粒に粉砕してコア内に圧密化することができる。
【0136】
典型的には、コア組成物は、錠剤を形成するためにコーティング組成物を用いて圧縮コーティングされる。錠剤は、任意の追加のコーティングでさらにコーティングすることができる。追加のコーティングは、pH依存性もしくはpH非依存性であっても、審美的もしくは機能的であってもよく、そしてアリピプラゾールまたは相違する活性物質を含有していてよい。
【0137】
コーティング組成物中にアリピプラゾールが存在する場合は、コア組成物中のアリピプラゾール対コーティング組成物中のアリピプラゾールのモル比は、約500:1〜約1:10、例えば約100:1〜約1:5、例えば約10:1〜約1:1である。
【0138】
好ましい圧縮コーティング製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むコーティング組成物でコーティングされたアリピプラゾールを含むコア組成物を含んでいる。コア組成物は、任意で1つ以上のワックス状材料、例えばカルナバワックスを含んでおり、そしてコーティング組成物は任意でアリピプラゾールを含んでいる。そのような圧縮コーティング製剤は、コーティング組成物をコア組成物の上に圧縮コーティングすることによって調製できる。
【0139】
本発明の組成物は、浸透圧ポンプ法を用いて調製できる。浸透圧ポンプ法は、浸透圧を使用して制御された速度でアリピプラゾールを送達する。浸透圧ポンプ投与製剤は、典型的には、1つの成分はアリピプラゾールを含み、もう1つの成分は浸透圧プッシュ層(浸透圧的に能動的な膨張性駆動部材)、例えば浸透圧的能動ポリマーを含む少なくとも2つの成分を含有するコアを取り囲む半透膜を含んでいる。剤形が嚥下された後、水は主として膜の性質によって決定される速度で膜に進入する。これは、浸透圧的に能動的な駆動部材の作用によってプッシュ層が膨潤し、通路もしくは開口部(例えばレーザー穿孔穴)を含む出口手段を通って制御された速度でアリピプラゾールを放出することを引き起こす。
【0140】
浸透圧ポンプ製剤は、典型的には半透膜、例えばカプセル剤もしくは錠剤、または選択的半透性材料を含む外壁を典型的に有する他の剤形を含んでいる。選択的透過性材料は、好ましくは以下の(i)宿主もしくは動物に有害な影響を及ぼさない、(ii)アリピプラゾールの通過に対しては本質的に不透過性を維持しながら水もしくは生体液などの外部水溶液の通過には透過性である、(iii)実質的に体液には不溶性である、(iv)非毒性である、および(v)それが曝される環境において非浸食性であるという特性を有する。
【0141】
選択的半透膜を形成するための代表的材料には、半透性ホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。適切な材料には、例えば、セルロースエステル、セルロースモノエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、およびそれらの組み合わせが含まれる。これらのセルロースポリマーは、それらのアンヒドログルコース単位上で0超〜約3の置換度(DS)を有する。「置換度」は、置換基によって置換されている、または別の基に変換されているアンヒドログルコース単位上に最初に存在していたヒドロキシル基の平均数である。アンヒドログルコース単位は、半透性ポリマー形成基、例えばアシル、アルカノイル、アロイル、アルケニル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネートおよびアルキルスルファネートで部分的もしくは完全に置換することができる。
【0142】
その他の選択的透過性材料には、例えば、アシル酸セルロース、ジアシル酸セルロース、トリアシル酸セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、モノ−、ジ−およびトリ−セルロースアルカニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アルケニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アロイレート、ならびに上記の材料の組み合わせが含まれる。代表的なポリマーには、1.8〜2.3のDSおよび約32〜約40%のアセチル含量を有する酢酸セルロース、1〜2のDSおよび約21〜約35%のアセチル含量を有する二作酸セルロース、2〜3のDSおよび約34〜約45%のアセチル含量を有する三酢酸セルロースが含まれる。セルロースポリマーのその他の例には、1.8のDSおよび約38.5%のプロピオニル含量を有するプロピオン酸セルロース、約1.5〜約7%のアセチル含量および約39〜約42%のプロピオニル含量を有する酢酸プロピオン酸セルロース、約2.5〜約3%のアセチル含量、約39〜約45%の平均プロピオニル含量および約2.8〜約5.4%のヒドロキシル含量を有する酢酸プロピオン酸セルロースを有するプロピオン酸セルロースが含まれる。さらにまた別の代表的なセルロースポリマーには、1.8のDS、約13〜約15%のアセチル含量および約34〜約39%のブチリル含量を有する酢酸酪酸セルロース、約2〜約29.5%のアセチル含量、約17〜約53%のブチリル含量、および約0.5〜約4.7%のヒドロキシル含量を有する酢酸酪酸セルロースが含まれる。適切なセルロースポリマーのさらにまた別の例には、2.9〜3のDSを有する例えば三吉相酸セルロース、三ラウリン酸セルロース、三パルミチン酸セルロース、三オクタン酸セルロース、および三プロピオン酸セルロース、2.2〜2.6のDSを有するセルロースジエステル、例えば二コハク酸セルロース、二パルミチン酸セルロース、二オクタン酸セルロース、cellulose dicarpylate、混合セルロースエステル、例えば酢酸吉相酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉相酸パルミチン酸セルロース、酢酸ヘプタン酸セルロース、および上記のセルロースポリマーポリマーの組み合わせが含まれる。
【0143】
その他の潜在的に適切な半透性ポリマーには、例えば、酢酸ジメチルセルロースアセトアルデヒド、酢酸エチルカルバミン酸セルロース、酢酸メチルカルバミン酸セルロース、ジメチルアミノ酢酸セルロース、半透性ポリアミド、半透性ポリウレタン、半透性ポリスルファン、半透性スルホン化ポリスチレン、ポリアニオンとポリカチオンの共沈によって形成される架橋結合選択的半透性ポリマー、半透性シリコーンガム、半透性ポリスチレン誘導体、半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチル)塩化アンモニウムポリマー、ならびに先行段落に列挙した選択的透過性材料の1つ以上との組み合わせを含む、上記のポリマーを含む組み合わせが含まれる。
【0144】
浸透圧ポンプ剤形の浸透圧的膨張性駆動部材(もしくは浸透圧プッシュ層)は、典型的には膨潤性および膨張性内層である。浸透圧プッシュ層を形成するために適切な材料には、それらのどちらも典型的には水、生体液と相互作用する、液体を吸収する、そして溶解せずに液体の存在下で平衡状態へ膨潤もしくは膨張するポリマー材料および/または浸透圧剤と混合されたポリマー材料が含まれる。好ましくは、ポリマーはポリマー分子構造内で吸収された流体の有意な分画を保持する能力を示すはずである。そのようなポリマーは、例えば約2〜約50倍の容量増加を示すような、極めて高度に膨潤もしくは膨張できるゲルポリマーであってよい。
【0145】
浸透圧ポリマーとして公知である適切な膨潤性親水性ポリマーは、非架橋結合もしくは軽度の架橋結合であってよい。架橋結合は、ポリマーとの共有結合もしくはイオン結合であってよい。ポリマーは、植物、動物もしくは合成起源であってよい。本目的のために有用なポリマー材料には、約5,000〜約5,000,000の分子量を有するポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、約10,000〜約360,000の分子量を有するポリ(ビニルピロリドン)、アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル、ポリ(電解質)複合体、低酢酸塩残留物を有するポリ(ビニルアルコール)、寒天およびカルボキシメチルセルロースの膨潤性混合物、難溶性架橋結合寒天と混合したメチルセルロースを含む膨潤性組成物、マレイン酸無水物とスチレン、エチレン、プロピレン、もしくはイソブチレンとの微粉末コポリマーの分散によって生成された水膨潤性コポリマー、N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー、および上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0146】
浸透圧プッシュ層を形成するために有用なポリマーを吸収かつ維持するためのその他のゲル化可能な流体には、約30,000〜約300,000の範囲に及ぶ分子量を有するペクチン、例えば寒天、アカシア、カラヤ、トラガント、アルギンおよびグアールなどの多糖類、ポリ(カルボン酸)およびそれらの塩誘導体、ポリアクリルアミド、水膨潤性マレイン酸インデン無水物ポリマー、約80,000〜約200,000の分子量を有するポリアクリル酸、約100,000〜約5,000,000(しかしそれ以上もある)の分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、デンプングラフトコポリマー、ポリアニオンおよびポリカチオン交換ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリルコポリマー、それらの元の重量の約100〜約600倍の吸水性を備えるアクリル酸塩ポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールおよびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)の混合物、ゼイン(プロラミンとして入手可能)、約4,000〜約100,000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)、および上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0147】
浸透圧ポンプ剤形の浸透圧的膨張性駆動層は、そのままで使用できる、または上記で考察した膨潤性ポリマーと均質もしくは不均質に混合することのできる浸透圧的に有効な化合物(浸透剤)をさらに含有することができる。そのような浸透剤は、典型的には、膨潤性ポリマー内に吸収された流体中で可溶性であり、外部流体に対して半透膜を越える浸透圧勾配を示す浸透圧的に有効な溶質である。
【0148】
適切な浸透剤には、例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、尿素、sorbital、イノシトール、スクロース、グルコース、およびそれらの組み合わせなどの固形化合物が含まれる。浸透剤の浸透圧は、典型的には約0〜約500atmであるが、それより高くてもよい。
【0149】
浸透圧的膨張性駆動層の膨潤性膨張性ポリマーは、剤形からアリピプラゾールを送達するための駆動源を提供することに加えて、浸透圧的に有効な化合物(もしくは浸透剤)のための支持マトリックスとしてさらに機能することができる。浸透圧化合物は、所望の膨張性壁もしくは膨張性ポケットを産生するためにポリマーと均質もしくは不均質に混合されてよい。典型的な浸透圧ポンプ剤形は、製剤の総重量に基づいて、約20〜約90重量%のポリマーおよび約80〜約10重量%の浸透圧化合物、好ましくは約35〜約75重量%のポリマーおよび約65〜約25重量%の浸透圧化合物を含んでいてよい。
【0150】
浸透圧ポンプ剤形中のアリピプラゾールは、例えば、アリピプラゾールが熱応答性組成物中に分散している熱応答性製剤として、任意の適切な方法で調製することができる。または、浸透圧ポンプ剤形は、浸透圧プッシュ層とアリピプラゾール組成物との界面で熱応答性組成物を含む熱応答性素子を含有していてよい。代表的な熱応答性組成物(それらの融点は括弧内に含む)は、カカオ脂(32℃〜34℃)、カカオ脂および2%蜜ろう(35℃〜37℃)、プロピレングリコールモノステアレートおよびジステアレート(32℃〜35℃)、水素化油、例えば水素化植物油(36℃〜37.5℃)、80%水素化植物油および20%ソルビタンモノパルミテート(39℃〜39.5℃)、80%水素化植物油および20%ポリソルベート60(36℃〜37℃)、77.5%水素化植物油、20%ソルビタントリオレエート、2.5%蜜ろうおよび5.0%蒸留水(37℃〜38℃)、飽和酸および不飽和酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびアラキドン酸を含む8〜22個の炭素原子を有する酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリド;モノ−およびジグリセリドを含む飽和脂肪酸のトリグリセリド(34℃〜35.5℃)、プロピレングリコールモノ−およびジステアレート(33℃〜34℃)、部分水素化綿実油(35℃〜39℃)、ポリオキシアルキレンとプロピレングリコールのブロックコポリマー、1,2−ブチレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、硬化脂肪アルコールおよび脂肪(33℃〜36℃)、ヘキサジエノールおよび加水ラノリントリエタノールアミングリセリルモノステアレート(38℃)、モノ−、ジ−およびトリグリセリドの共晶混合物(35℃〜39℃)、WITEPSOL#15、モノグリセリドを備える飽和植物性脂肪酸のトリグリセリド(33.5℃〜35.5℃)、ヒドロキシル基を含まないWITEPSOL H32(31℃〜33℃)、225〜240の鹸化値を有するWITEPSOL W25(33.5℃〜35.5℃)、220〜230の鹸化値を有するWITEPSOL E75(37℃〜39℃)、例えばエチレンオキシドの線状ポリマーであるポリエチレングリコール1000(38℃〜41℃)、ポリエチレングリコール1500(38℃〜41℃)、ポリエチレングリコールモノステアレート(39℃〜42.5℃)、33%ポリエチレングリコール1500、47%ポリエチレングリコール6000および20%蒸留水(39℃〜41℃)、30%ポリエチレングリコール1500、40%ポリエチレングリコール4000および30%ポリエチレングリコール400(33℃〜38℃)などのポリアルキレングリコール、11〜17個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のモノ−およびジ−およびトリグリセリドの混合物(33℃〜35℃)、ならびに上記の混合物である。
【0151】
熱応答性担体を含む熱応答性組成物は、約20℃〜約33℃の温度で固形組成物中にアリピプラゾールを貯蔵するため、膨潤性組成物界面で非混和性境界を維持するため、および約33℃より高い、そして好ましくは約33℃〜約40℃の温度で流動性組成物中に本物質を分配させるために有用であると考えられる。
【0152】
上述した熱応答性製剤を含有するアリピプラゾールが使用された場合は、そのような浸透圧ポンプ剤形中にもまた存在する半透膜の完全性は、好ましくは熱応答性製剤の存在によって弱化(例えば溶融もしくは浸食)されない。
【0153】
浸透圧ポンプ剤形中のアリピプラゾールは、例えば、以下でより詳細に記載する湿性造粒または流動床造粒によるように、当分野において公知の適切な技術により調製できる。
【0154】
第1に、アリピプラゾールおよびアリピプラゾール層を含む成分は、例えばイソプロピルアルコール−二塩化エチレン(80:20v/v(容量:容量))などの有機溶媒を造粒液として用いて混合される。その他の例えば変性アルコール100%などの造粒液をこのために使用できる。アリピプラゾール層を形成する成分は、40メッシュスクリーンなどのスクリーンへ個別に通過させられ、次にミキサー内で完全に混合される。次に、アリピプラゾール層を含む他の成分は、一部分の造粒液中に溶解させられる。次に、後者の調製された湿性混合物は、ブレンダー内で連続的に混合しながらアリピプラゾール混合物へ緩徐に加えられる。造粒液は、湿性混合物が生成されるまで加えられ、その湿性塊は次に例えば20メッシュのスクリーンなどのスクリーンに通してオーブントレイ上に進行させられる。混合物は、約30℃〜約50℃で約18〜約24時間にわたり乾燥させられる。乾燥顆粒は、次に例えば20メッシュのスクリーンなどのスクリーンを用いてサイジングされる。次に、潤滑剤が80メッシュのスクリーンなどのスクリーンを通過させられ、乾燥顆粒混合物に加えられる。混合物は、製粉ジャー内に入れられ、約1〜約15分間にわたりジャーミル上で混合される。プッシュ層もまた同一の湿性造粒法により作製できる。これらの組成物は、KILIAN圧縮層圧縮機においてそれらの個別層に圧縮される。
【0155】
アリピプラゾール層および浸透圧的膨張性駆動層を提供するために使用できるまた別の製造プロセスは、流動床造粒機において各層のための粉末状成分を個別に混合する工程を含んでいる。粉末状成分が造粒機内で乾式混合された後、造粒液(例えば水中のポリ(ビニルピロリドン)、変性アルコール、95:5のエチルアルコール/水、またはエタノールと水の混合物)が粉末上にスプレーされる。任意で、これらの成分は、造粒液中に溶解もしくは懸濁させることができる。次にコーティングされた粉末は、典型的には造粒機内で乾燥させられる。このプロセスは、造粒液を加えながら、その中に存在する成分を造粒する。顆粒が乾燥させられた後、ステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が造粒機に加えられる。次に各個別層のための顆粒は、湿式造粒法について上述した方法で圧縮できる。
【0156】
浸透圧プッシュアリピプラゾール製剤および浸透圧プッシュ剤形の浸透圧プッシュ層は、アリピプラゾールを組成物形成成分と混合し、その組成物を固体薄層に圧縮する工程によって製造することもできる。また別の製造方法では、アリピプラゾール、任意の他の組成物形成成分および溶媒は、ボールミル粉砕法、カレンダー法、攪拌もしくはロール粉砕法などの方法によって典型的には固体、もしくは半固体に混合され、そして次に事前に選択した層形成形状に圧縮される。次に、浸透圧ポリマーおよび任意で浸透剤を含む組成物の層は、典型的にはアリピプラゾールを含む層と接触させて配置される。アリピプラゾールを含む第1層ならびに浸透圧ポリマーおよび任意の浸透剤組成物を含む第2層の層形成は、従来型層圧縮法を用いる工程によって遂行できる。
【0157】
半透壁は、圧縮された二重層の形状を壁形成材料に成形する、スプレーする、もしくは浸漬する工程によって適用できる。壁形成組成物が層を取り囲むまで空気流内で2つの層を懸濁かつ回転させる工程を含む空気懸濁液コーティング法もまた、浸透圧製剤の半透壁を形成するために使用できる。
【0158】
浸透圧ポンプ剤形のディスペンサは、例えば硬質もしくは軟質カプセルの形状にあってよい。カプセルもまた、浸透圧性であってよい。
【0159】
硬質カプセルは、典型的には本体(一般にはキャップより大きい)にアリピプラゾールが充填された後に組み合わせられるキャップと本体の2つの部分から構成されてよい。硬質カプセルは、キャップセクションを本体セクションの上方にスリップさせる、またははめ込むことよって組み合わせることができるので、アリピプラゾールは完全に取り囲まれて封入される。
【0160】
浸透圧ポンプ剤形の軟質カプセルは、ワンピース軟質カプセルであってよい。典型的には、軟質カプセルは、アリピプラゾールを封入している密閉構造を含んでいる。カプセルは、様々なプロセス、例えばプレートプロセス、ロータリーダイプロセス、往復ダイプロセス、および連続プロセスなどによって作製できる。
【0161】
浸透圧ポンプ剤形のカプセルを形成するために有用な材料は、ゼラチン(典型的には約5〜約30ミリポアズの粘度および約150gまでのブルーム強度を有する、または約150〜約250のブルーム値を有するゼラチン)、ゼラチン、グリセリン、水および二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、エリスロシン、酸化鉄および二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、ソルビン酸カリウムおよび二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、アカシア、グリセリン、および水を含む組成物、ならびにそれらの組み合わせを含む市販で入手できる材料であってよい。市販で入手できるゼラチンカプセル(例えばCAPSUGEL)もまた使用できる。
【0162】
半透壁形成組成物は、アリピプラゾール含有成分および/または層状配列にあるカプセルの外面に、成形する工程、形成する工程、空気乾燥法、浸漬もしくはブラッシングによって適用することができる。半透壁を適用するために使用できるまた別の方法には、空気懸濁法およびパン・コーティング法が含まれる。例えば、空気懸濁法は、壁がカプセルを取り囲んでコーティングするまで空気および半透壁形成組成物の流動内でカプセル配置を懸濁かつ回転させる工程を含んでいる。本方法は、半透性積層壁を形成するために様々な半透壁形成組成物を用いて繰り返すことができる。
【0163】
半透壁を製造するために適切な代表的な溶媒には、浸透圧ポンプ剤形において使用される材料、例えばカプセル壁、アリピプラゾール、熱応答性組成物、発泡性部材、または最終ディスペンサを有害に傷つけない不活性の無機および有機溶媒が含まれる。そのような溶媒には、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、水素化溶媒、脂環式、芳香族、複素環式溶媒、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の溶媒には、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、n−ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、四塩化炭素、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、水、ならびに例えばアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、二塩化メチレンおよびメタノール、および二塩化エチレン、メタノールなどのそれらの混合物、そして上記の組み合わせが含まれる。
【0164】
浸透圧ポンプ剤形におけるアリピプラゾールを放出するための出口手段もしくは穴は、製造中または使用時に作製できる。例えば、出口手段もしくは穴は、機械的もしくはレーザー穿孔する工程によって、または例えばゼラチンプラグなどの壁内の浸食性素子を浸食させる工程によって形成できる。開口部は、半透壁内に挿入されるポリマーであってよく、そのポリマーは、典型的には少なくとも1つの(マイクロ)ポアを有する(マイクロ)ポーラスポリマーである。
【0165】
胃および消化管内でアリピプラゾールを制御放出するための製剤の例は、アリピプラゾールが単に親水性だけではなく水膨潤性であるポリマーマトリックス内に分散させられる製剤である。そのような水膨潤性マトリックスは、典型的には実質的にはそれらの膨潤速度より緩徐な浸食速度を有しており、そして主として拡散によってアリピプラゾールを放出する。
【0166】
マトリックスからのアリピプラゾールの拡散速度は、製剤の数多くの特性を変化させることによって修飾できる。例えば、アリピプラゾールの拡散速度は、アリピプラゾールの粒径を増加させることによって、マトリックス中に使用されるポリマーの選択によって、および/またはポリマーの分子量の選択によって緩徐化することができる。マトリックスは、典型的には、消化されると少なくともその未膨潤容量の2倍であり、さらに胃貯留を促進できるサイズへ膨潤する相対的に高分子量のポリマーである。膨潤すると、マトリックスは長期間(例えば約1〜約48時間、例えば、約2〜約24時間もしくは約3〜約12時間)にわたってガラス状もしくは結晶性ポリマーからこのガムと一致するポリマーへ変換することができる。
【0167】
典型的には、浸透する流体は、溶液分散のプロセスによる段階的かつ長期的方法でのアリピプラゾールの放出、即ち浸透する流体内へのアリピプラゾールの溶解およびマトリックスからの溶解した薬物の引出しを引き起こす。
【0168】
典型的には、マトリックス自体は投与前には固体であり、投与されると、アリピプラゾールの大半が溶液分散による制御された方法(上述した放出プロフィールによって規定される)で放出されることを許容するために十分な時間にわたって胃液中に未溶解で(即ち、浸食されずに)残留している。このため、アリピプラゾールの放出における速度限定因子は、マトリックスの浸食、溶解もしくは化学的分解以外のマトリックスからのアリピプラゾールの制御された拡散であると考えられている。
【0169】
マトリックスを形成する水膨潤性ポリマーは、非毒性であり、水(および/または他の流体)を吸収すると位置関係的に制限されない方法で膨潤する、そして組み込まれたアリピプラゾールの持続性放出を提供するポリマーである。適切なポリマーの例には、例えば、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および微結晶性セルロース)、多糖類およびそれらの誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、多糖ガム、マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプンおよびデンプンをベースとするポリマー、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタンヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸およびそれらの誘導体、ブロックコポリマーおよびグラフトポリマー(例えばポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーであるPLURONICおよびTECTONIC)を含む上記のポリマーのコポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0170】
本明細書で使用するように、他に特に規定しない限り、用語「セルロース」および「セルロースの」は、アンヒドログルコースの線状ポリマーを意味する。適切なセルロースポリマーには、例えば、予想可能な遅延方法で最終的には消化管(GI)内で溶解するアルキル置換セルロースポリマーが含まれる。特定の例は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースである。適切なアルキル置換セルロースポリマーの粘度は、典型的には20℃での2%水溶液として約100〜約110,000センチポアズ、または20℃での1%水溶液として約1,000〜約4,000センチポアズである。代表的なアルキル置換セルロースは、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシエチルセルロースの特定の例は、NATRASOL 250HX NFである。
【0171】
適切なポリアルキレンオキシドは、アルキル置換セルロースポリマーについて上述した特性を有するポリアルキレンオキシドである。ポリアルキレンオキシドの例は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)であるが、この用語は本明細書では未置換エチレンオキシドの線状ポリマーを意味するために使用する。適切なPEOポリマーは、典型的には約4,000,000を超える、好ましくは約4,500,000〜約10,000,000、より好ましくは約5,000,000〜約8,000,000の分子量を有する。好ましいポリエチレンオキシドは、約1X105〜約1X107、好ましくは約9X105〜約8X106の範囲内の重量平均分子量を備えるポリエチレンオキシドである。適切なPEOは、典型的には20℃での2%水溶液として約50〜約2,000,000センチポアズの粘度を有する。PEOの2つの特別な例は、グレードWSR Coagulant、分子量5,000,000、およびグレードWSR 303、分子量7,000,000のPOLYOX NFである。
【0172】
適切な多糖ガムの例は、天然および改質(半合成)多糖ガム、例えばデキストラン、キサンタンガム、ゲランガム、ウェランガム(welan gum)およびラムザンガム(rhamsan gum)である。
【0173】
適切な架橋ポリアクリル酸には、それらの特性がアルキル置換セルロースポリマーおよびポリアルキレンオキシドポリマーについて上述した特性と同一または類似である架橋ポリアクリル酸が含まれる。典型的には、そのような架橋ポリアクリル酸は、25℃で1%水溶液として約4,000〜約40,000センチポアズの粘度を有する。3つの特別な例は、グレード971P、974Pおよび934PのCARBOPOL NFである。その他の例には、デンプン/アクリル酸塩/アクリルアミドコポリマーであるWATER LOCKとして知られるポリマーが含まれる。
【0174】
上述したように、上記で考察したポリマーの親水性および水膨潤性は、水および/またはその他の流体の進入に起因してアリピプラゾール含有マトリックスが胃腔内のサイズに膨潤することを引き起こす。この膨潤は、摂食期中にマトリックスが胃内に残留することを促進する。親水性および水膨潤性はさらにマトリックスが滑りやすくなることを引き起こし、これは蠕動に対する抵抗性を提供し、さらに胃内の残留を促進する。
【0175】
マトリックスからのアリピプラゾールの放出速度は、主として吸水速度およびアリピプラゾールが溶解して膨潤ポリマーから拡散する速度に依存するが、これは順にアリピプラゾールの溶解度および溶解速度、アリピプラゾールの粒径ならびにマトリックス内のアリピプラゾールの濃度に関連している。さらに、これらのマトリックス形成ポリマーは典型的には胃液中では極めて緩徐に溶解するので、マトリックスは少なくとも実質的期間にわたり、典型的には投与期間の少なくとも70もしくは80%、そして多くの場合には投与期間の少なくとも90%および100%以上さえにわたってその物理的完全性を維持する。一般に、粒子はその後、緩徐に溶解もしくは分解する。完全な溶解もしくは分解は投与後24時間以上が経過するまで発生しないが、多くの場合には、完全な溶解もしくは分解は投与期間の10〜24時間以内に発生する。
【0176】
膨潤性マトリックス剤形は、胃液内へのアリピプラゾールの放出速度をさらに遅延させるために、わずかな疎水性の性質を付与する添加物を含むことができる。そのような放出速度遅延剤の例は、グリセリルモノステアレート、脂肪酸および脂肪酸の塩(例えばミリスチン酸ナトリウム)である。典型的には、添加物対アリピプラゾールの重量比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:5〜約5:1の範囲内にある。
【0177】
アリピプラゾールに対するポリマーの量は、所望の放出プロフィールの正確な性質、その分子量、および製剤中に存在していてよい賦形剤に依存して変動してよい。しかし、ポリマーの量は、全部のアリピプラゾールが放出されるまでポリマーマトリックスが実質的に無傷のままでいるために十分である。本明細書で使用する用語「実質的に無傷」は、ポリマー部分が、胃液中に溶解され始めること、または断片もしくは小さな微粒子に破壊されることに起因する劣化を伴わずに実質的にそのサイズおよび形状を保持していることを意味する。
【0178】
水膨潤性ポリマーは、個別に、または組み合わせて使用できる。所定の組み合わせは、それらの成分が個別に使用された場合よりもアリピプラゾールのより制御された放出を提供することが多い。そのような組み合わせには、セルロースをベースとするポリマー(例えばヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース)またはガム(例えばキサンタンガム)と組み合わせたポリ(エチレンオキシド)が含まれる。
【0179】
膨潤性マトリックス剤形の利点は、典型的には広範囲のアリピプラゾール装填量、例えば約0.001:1〜約10:1のアリピプラゾール対ポリマーの重量比にわたって達成される。典型的な装填量(結合されたアリピプラゾールおよびポリマーに対するアリピプラゾールの重量%によって表示する)は、約0.001〜約50%、好ましくは約0.01〜約40%、例えば約0.1〜約30%、例えば約1〜約20%である。
【0180】
膨潤性マトリックス製剤は、さらにまた消化状態(食後もしくは「摂食」モードにあるとも言われる)にある被験者に投与される場合の有意な有用性が見いだされている。食後モードは空腹時(もしくは「絶食」)モードとは、胃内容物の胃内貯留または胃通過時間を決定する胃十二指腸運動活動の特徴的パターンによって識別可能である。
【0181】
したがって、消化状態中の本製剤の投与は胃内でのアリピプラゾール放出の局在性を生じさせ、小腸は実質的な結腸分解、不活性化、またはバイオアベイラビリティの消失を減少および/または防止する。
【0182】
青少年および高齢患者は、例えば投与後の息詰まりのリスクを減少させるため、および/または患者コンプライアンスを改善するために容易に嚥下できる剤形を必要とすることが多い。本発明の組成物は、それらを患者コンプライアンスのためにより適合させるために、容易に投与可能な剤形の形状にあってよい。そのような容易に投与可能な製剤には、例えば、スプリンクル剤形、味覚マスキング液体剤形、速溶性剤形およびチュワブル剤形が含まれる。
【0183】
以下に記載する容易に投与可能な剤形はいずれも、本発明によるアリピプラゾールの所望の放出プロフィールを有する組成物を提供するために、上記のいずれかの製剤を含んでよいことを理解されたい。
【0184】
チュワブル剤形の例は、アリピプラゾール含有チュワブル錠剤である。そのようなチュワブル錠剤は、チュワブルベースおよび任意で甘味料を含んでいる。チュワブルベースは、典型的には賦形剤、例えばマンニトール、ソルビトール、ラクトース、またはそれらの組み合わせを含んでいる。チュワブル剤形に使用される任意の甘味料は、例えば、スクロース、液体グルコース、ソルビトール、デキストロース、イソマルト、液体マルチトール、アスパルテーム、ラクトース、またはそれらの組み合わせであってよい。所定の場合には、チュワブルベースおよび甘味料は、同一成分であってよい。チュワブルベースおよび任意の甘味料は、典型的にはチュワブル剤形の総重量の約50〜約90重量%を含んでいる。
【0185】
チュワブル剤形は、追加して、保存料、口腔への粘着および糖の結晶化を遅延および/または防止する物質、フレーバー剤、酸味料、着色料、ならびに上記の1つ以上の組み合わせを含有していてよい。グリセリン、レシチン、水素化ヤシ油またはグリセリルモノステアレートは、典型的には成分の総重量の約0.01〜約2重量%の量で糖の結晶化の保護剤として使用できる。そのような保護剤は、口腔への粘着を防止して、本剤形の軟質特性もしくは咀嚼性を改善するために役立つ。追加して、もしくはそれに代えて、チュワブル剤形の咀嚼特性を増強するためにイソマルトもしくは液体マルチトールを使用できる。
【0186】
上述したアリピプラゾールを含むチュワブル剤形を作成するための方法は、柔らかい菓子を作製するために使用される方法と類似である。そのような方法は、典型的にはそれにフラッペ混合物が添加される沸騰させた糖−コーンシロップ混合物の形成を含んでいる。沸騰させた糖−コーンシロップ混合物は、90:10〜10:90の重量部比で混合された糖およびコーンシロップから調製できる。この混合物は、水を除去して溶融塊を形成するために120℃を超える温度へ加熱できる。フラッペ混合物は、ゼラチン、卵白、カゼインなどの乳タンパク質、および大豆タンパク質などの植物タンパク質などから調製することができ、これらはゼラチン溶液に加えられて空気を含むスポンジ状塊を形成するために周囲温度で迅速に混合される。次にフラッペ混合物は溶融キャンディベースに加えられ、均質になるまで、典型的には60℃〜約120℃の温度で混合される。次にアリピプラゾールを含有するマトリックス、錠剤または他の製剤は、約60℃〜約90℃の温度でこの混合物へ加えられ、さらに例えばフレーバー剤、着色料、および保存料などの追加の成分を加えることができる。次に本製剤は、典型的には冷却され、所望の寸法の1片へ成形される。
【0187】
速溶性剤形は、本剤形が適正な味覚マスキングを提供しながら口腔内で迅速に分解することを可能にする、マイクロ粒子および1つ以上の発泡剤を含んでいてよい。または、速溶性剤形は、活性物質ならびに間接圧縮充填剤および潤滑剤を含むマトリックスを含有していてよい。米国特許第5,178,878号明細書および米国特許第6,221,392号明細書は、速溶性剤形に関する教示を提供している。
【0188】
本発明において使用するために典型的な速溶性剤形には、水および/または唾液によって活性化される発泡剤、錠剤崩壊剤、およびマイクロ粒子を組み込んでいる混合物が含まれる。マイクロ粒子は、典型的にはアリピプラゾールを実質的に取り囲んでいる保護材料と一緒にアリピプラゾールを組み込んでいる。用語「実質的に取り囲んでいる」は、保護材料はアリピプラゾールがマイクロ粒子の外の環境と接触することを実質的に遮蔽するという意味を含んでいる。したがって、各マイクロ粒子は、保護材料のコーティングによって被覆されたアリピプラゾールの別個の塊を組み込む場合があり、その場合には微粒子は「マイクロカプセル」もしくは「マイクロ錠剤」と呼ぶことができる。その代りに、もしくは追加して、各マイクロ粒子は、任意で本明細書に記載したコーティング組成物によってコーティングされた、保護材料のマトリックス内に分散もしくは溶解したアリピプラゾールを有していてよい。
【0189】
マイクロ粒子および発泡剤を含む混合物は、典型的には患者への直接的経口投与のために適するサイズおよび形状の錠剤として存在する。錠剤は、水および/または唾液に曝露されると実質的に完全に分解可能である。発泡性錠剤崩壊剤は、錠剤の崩壊を補助するため、そして錠剤が患者の口腔内に置かれたときに発泡の明確な感覚を提供するために有効な量で存在する。
【0190】
発泡感覚は、典型的には患者にとって心地よいだけではなく唾液産生を刺激する傾向があり、それによってその後の発泡作用を助けるための追加の水分を提供する。したがって、錠剤が患者の口腔内に置かれると、錠剤は一般に患者が任意の自主的活動を行わなくても迅速かつ実質的に完全に崩壊する。したがって、患者が錠剤をかまない場合でさえ、崩壊は迅速に進行するはずである。錠剤が崩壊すると、マイクロ粒子が放出され、マイクロ粒子のスラリーもしくは懸濁液として嚥下することができる。そこでマイクロ粒子は消化管内の溶解およびアリピプラゾールの全身性分布のために患者の胃へ運ばれる。
【0191】
用語「発泡剤」および「錠剤崩壊剤」は、気体を発生する化合物を含んでいる。そのような物質は、それらが口腔内で水および/または唾液に曝露されると発生する化学反応によって気体を発生することができる。起泡もしくは気体生成反応は、最も頻回には可溶性酸起源と(アルカリ金属)炭酸塩起源の反応の結果である。これら2つの化合物の一般的クラスの化合物の反応は、唾液中の水分と接触すると二酸化炭素ガスを生成する。
【0192】
そのような唾液/水分活性化材料は、水分への曝露は錠剤を時期尚早に崩壊させるので、吸収された水分をほとんどもしくは全く伴わない一般的無水状態に、または安定性水和状態に維持しなければならない。例えば、本剤形は、投与前には実質的に気密性パッケージング内に保管されてよい。
【0193】
酸起源は、ヒトが消費するために安全である任意の酸起源であってよく、一般に食用の酸、酸無水物および酸塩を含むことができる。食用酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、およびコハク酸などが含まれる。これらの酸は直接的に摂取されるので、それらの水への全溶解度は、製剤がコップ内の水に溶解されることが意図される場合ほど重要ではない。上述した酸の酸無水物および酸塩もまた使用できる。酸塩には、リン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、クエン酸塩および亜硫酸水素ナトリウムを含むことができる。
【0194】
炭酸塩起源には、無水固形炭酸塩および重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび炭酸カリウム、炭酸マグネシウムおよびセスキ炭酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、L−リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0195】
発泡性錠剤崩壊剤は典型的には反応すると二酸化炭素を形成する発泡性錠剤崩壊剤であるが、これは必須ではない。ヒト患者にとって安全である酸素もしくは他の気体を発生する発泡性錠剤崩壊剤もまた使用できる。
【0196】
発泡剤が例えば酸起源および炭酸塩起源などの2つの相互反応性成分を含んでいる場合は、どちらの成分も実質的に完全に反応するのが好ましい。このため、等モル比の酸および炭酸塩起源が好ましい。例えば、使用される酸が二陽子である場合には、完全中和を実現するためには2倍のモル量の単一反応性炭酸塩、または等モル量の二反応性塩基のいずれかを使用しなければならない。しかし、酸もしくは炭酸塩起源の量は、他の成分の量を超えてよい。これは、過剰ないずれかの成分を含有する錠剤の味覚および/または性能を強化するために有用なことがある。そのような場合には、追加量のいずれかの成分が未反応で残留していることも許容できる。
【0197】
速溶性剤形(例えば錠剤)は、典型的には、経口投与される場合の錠剤の迅速かつ完全な崩壊を補助するために有効な量の発泡性錠剤崩壊剤を含有している。「迅速」は、錠剤が10分間未満、例えば約15秒間〜約7分間、例えば約30秒間〜約5分間で患者の口腔内で崩壊しなければならないと理解されたい。口腔内の崩壊時間は、約37℃の水中での錠剤の崩壊時間を観察することによって測定できる。錠剤は、強制的攪拌を行わずに水中に浸漬させられる。崩壊時間は、目視観察によって決定される錠剤の実質的に完全な分散のための浸漬からの時間である。本明細書で使用する用語の錠剤の「完全な崩壊」は、マイクロカプセルもしくは他の別個の封入物の分解もしくは崩壊を必要としない。
【0198】
そのような崩壊を達成するためには、速溶性剤形において典型的に使用される発泡剤もしくは錠剤崩壊剤の量は、最終組成物の約5〜約50重量%、好ましくは約15〜約40重量%、より好ましくは約20〜約30重量%である。
【0199】
上述した錠剤は、周知の錠剤化方法によって製造できる。
【0200】
上述したように、各マイクロ粒子は、典型的にはアリピプラゾールを保護材料と結び付けて組み込んでいる。マイクロ粒子は、マイクロカプセル、マイクロ錠剤またはマトリックスタイプの微粒子として提供されてよい。マイクロカプセルは、別個の、個別に観察可能な保護材料のコーティングによって取り囲まれた別個のアリピプラゾールの塊を組み込むことができる。これとは逆に、マトリックスタイプの粒子では、アリピプラゾールは、保護材料全体に溶解、懸濁またはさもなければ分散させられる。所定のマイクロ粒子は、マイクロカプセルおよびマトリックスタイプの粒子の両方の性質を含むことができる。例えば、マイクロ粒子は、第1保護材料中のアリピプラゾールの分散液を組み込んでいるコアと、コアを取り囲んでいる第1保護材料と同一であっても相違していてもよい第2保護材料のコーティングを組み込んでいてよい。または、マイクロ粒子は本質的にアリピプラゾールからなるコアと、コーティング自体がその中に分散した一部のアリピプラゾールを有する保護材料を組み込んでいるコーティングを組み込んでいてよい。マイクロ粒子は、典型的には約75〜約600ミクロン、好ましくは約150〜約500ミクロン、例えば約200〜約450ミクロンの平均径を有する。マイクロ粒子は、約200〜約30メッシュ(米国標準サイズ)、例えば約100〜約35メッシュであってよい。
【0201】
上記の速溶性剤形において使用するために適切な保護材料には、典型的には、例えばマトリックスタイプのマイクロ粒子、マイクロ錠剤およびマイクロカプセルなどのマイクロ粒子の形成において従来より利用されるポリマーが含まれる。特にこれらは、天然型セルロース、合成セルロース誘導体、アクリルポリマーおよびビニルポリマーなどのセルロース材料である。例えばタンパク性材料(例えばゼラチン、ポリペプチド)ならびに天然および合成シェラックおよびワックスなどを含む他の単純ポリマーもまた使用できる。保護ポリマーは、さらにまたエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびアクリル樹脂材料もまた含むことができる。
【0202】
上記の速溶性剤形においてコーティングが使用される場合は、典型的には結果として生じる粒子の総重量に基づいて少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%を含んでいる。使用される保護コーティング材料の上限は、一般に臨界的ではない。所定の実施形態では、相対的に厚いコーティングを提供する、コアの100重量%を超えるコーティングを使用することが可能である。しかし、コーティング材料の量は、剤形の排便前に治療有効量のアリピプラゾールの放出を妨害するほど大きくてはならない。
【0203】
速溶性剤形の例は、直接経口投与のために適する、硬質圧縮速溶性剤形である。そのような剤形は、典型的には、しばしば保護粒子の形状にあるアリピプラゾール、およびマトリックスを含んでいる。マトリックスは、典型的には充填剤および潤滑剤を含んでいるが、他の追加の成分を含んでいてよい。本剤形は、患者の口腔内で迅速に溶解させるために適切であるが、それでもUSPにしたがって試験した場合に約2%以下の破砕性を有する。一般に、本剤形はさらに少なくとも約1.5または2.0kPの硬さを有している。本剤形は迅速に溶解するだけではなく、患者へ明瞭な官能的感覚を提供する方法で溶解する。詳細には、本剤形は、剤形の官能的感覚と極めて調和せずに触知できる、不快なつぶを最少に抑えて溶解する。
【0204】
充填剤は、典型的には間接圧縮充填剤を含んでいる。代表的な充填剤には、例えば、無方向性圧縮糖および糖アルコールが含まれる。そのような糖および糖アルコールには、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、およびスクロースが含まれる。デキストロースは、例えば、直接圧縮糖、即ちその圧縮性を増加させるために修飾されている糖、または間接圧縮糖のいずれかとして存在していてよい。充填剤のパーセンテージは、典型的にはマイクロ粒子の約25〜約98重量%、好ましくは約50〜約95重量%、例えば約60〜約90重量%の範囲内にある。
【0205】
上記で考察した速溶性剤形では、相対的に高比率の潤滑剤が典型的に使用される。潤滑剤、および詳細にはステアリン酸マグネシウムなどの疎水性潤滑剤は、製剤の約0.25〜約5重量%、好ましくは約1〜約3重量%、例えば約1.5〜約2重量%の量で使用できる。この相対的に高い重量%の潤滑剤の使用にもかかわらず、本製剤は、典型的には優れた圧縮性、硬さ、および口腔内での迅速な溶解を示す。
【0206】
疎水性潤滑剤には、例えば、アルカリ土類金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、鉱油および植物油、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。親水性潤滑剤もまた使用できる。
【0207】
硬質圧縮速溶性剤形は、典型的には少なくとも約1.5kPの硬さを有しており、患者の口腔内では自然にかつ迅速に約90秒間未満で溶解し、それによって粒子を遊離させるように設計されている。好ましくは、本剤形は、約60秒間未満、および一層より好ましくは約30〜約45秒間で溶解する。この硬さの尺度は、直径が約0.25インチ未満の小さな錠剤の使用に基づいている。大きな錠剤のためには、少なくとも約2.9kPの硬さが好ましい。これらの錠剤を形成するためには、直接圧縮法が好ましい。
【0208】
スプリンクル剤形は、本発明の組成物において使用できる容易に投与される製剤のまた別の形状である。スプリンクル剤形は、典型的には、任意で機能的もしくは非機能的コーティングを有する、ペレット剤、顆粒剤、マイクロ錠剤もしくはマイクロカプセル剤の形状にあるアリピプラゾールを含んでいる。使用時には、患者もしくは介護者は、微粒子/ペレット化された1回分を飲料上もしくは軟質食品上に振りかけることができる。スプリンクル剤形は、それらの主要寸法において約10〜約100Tm、例えば約50〜約70Tmの平均径を有する粒子を含むことができる。
【0209】
スプリンクル剤形の例は、複数のアリピプラゾール含有マイクロペレットを封入している容易に開封できるカプセルである。マイクロペレット各々は、典型的にはアリピプラゾールおよびポリビニルピロリドンの第1コーティング混合物および非親水性ポリマー(例えばエチルセルロース)の混合物の約90〜約70重量%および親水性ポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)の混合物の約10〜約30重量%の第2コーティング混合物でコーティングされたシードを含んでいる。例えば、第2コーティング混合物は、約3部のエチルセルロース対約1部のヒドロキシプロピルセルロースを含んでいてよい。第2コーティング混合物の重量は、第2コーティングが塗布される前にマイクロペレットの重量の約5〜10%である。任意で、第2コーティングは、アリピプラゾールを含有している。
【0210】
第1コーティングに使用されるポリビニルピロリドンは、典型的に約30,000〜約50,000、例えば約40,000の分子量を有する。スプリンクル剤形のシードは、糖シードであってよく、60/80のメッシュサイズを有する。
【0211】
味覚マスキング剤形は、本発明の組成物において使用できる容易に投与される製剤のまた別の形状である。味覚マスキング剤形は、液状もしくは固形であってよい。
【0212】
固形味覚マスキング剤形は、典型的にはアリピプラゾールを含むコアエレメントおよびコアエレメントを取り囲んでいるコーティング材料を含んでいる。アリピプラゾールを含むコアエレメントは、典型的には(マイクロ)粒子、(マイクロ)錠剤、(マイクロ)カプセル、非晶質固体、ペレット、顆粒、粉末もしくはマトリックスの形状にある。コアエレメントは、アリピプラゾールに加えて、担体もしくは賦形剤、充填剤、フレーバー剤、分解防止剤および/または着色料を含むことができる。
【0213】
味覚マスキング剤形は、典型的には、剤形の総重量に基づいて、約50〜約99重量%、好ましくは約65〜約95重量%、例えば約80〜約90重量%のアリピプラゾール含有コアエレメントを含んでいる。味覚マスキング剤形は、典型的には、剤形の総重量に基づいて、約1〜約50重量%、好ましくは約5〜約35重量%、例えば約10〜約20重量%のコアエレメントを取り囲んでいるコーティング材料を含んでいる。
【0214】
コアエレメントは、典型的には、ワックス、非水溶性ポリマー、腸溶ポリマー、および部分的に難水溶性ポリマー、その他の適切な医薬賦形剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される、約20〜約90重量%の補助成分を含んでいる。
【0215】
コアエレメントは、任意に、担体もしくは賦形剤、充填剤、フレーバー剤、分解防止剤、着色料、およびそれらの組み合わせを含んでいる。適切な充填剤には、例えば、不溶性材料、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、および微結晶性セルロース、ならびに1つ以上の上記の充填剤を含む組み合わせが含まれる。可溶性充填剤には、例えば、マンニトール、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、ならびに上記の充填剤の1つ以上を含む組み合わせが含まれる。充填剤は、剤形の総重量に基づいて約75重量%までの量で存在していてよい。
【0216】
コアエレメントは、例えば、約35Tm〜約125Tmの粒径範囲を有する粉末の形状にあってよい。そのような小さな粒径は、口腔内での実質的にザラザラしない感触を促進する。小さな粒径は、例えば歯によって、口腔内での粒子の破砕も最小限に抑える。粉末の形状にある場合は、味覚マスキング剤形は口腔内に直接的に投与できる、または例えば水などの担体、もしくは例えばシロップ、ヨーグルトなどの半液体組成物と混合することができる。しかし、味覚マスキングされたアリピプラゾールは、任意の適切な単位剤形で提供されてよい。
【0217】
味覚マスキング製剤のコーティング材料は、実質的に連続的なコーティングを提供し、味覚マスキングを提供する形状を取ることができる。コーティングは、アリピプラゾールの制御放出をさらに提供することができる。味覚マスキング剤形コーティングに使用されるポリマーは、例えばエチルセルロースなどの非水溶性ポリマーであってよい。味覚マスキング剤形のコーティング材料は、可塑剤をさらに含むことができる。
【0218】
粉末状製剤などの味覚マスキング医薬製剤を調製する方法は、典型的には希釈剤中でコアエレメントおよびコーティング材料を混合する工程と、味覚マスキング製剤を形成するためにその混合物をスプレー乾燥する工程とを含んでいる。溶媒中の医薬上有効成分およびポリマーをスプレー乾燥する工程は、典型的には任意で乾燥チャンバ内で空気流を噴霧懸濁液中へスプレーし、結果としてポリマーコーティング材料でコーティングされたアリピプラゾールを残して溶媒が蒸発させられる工程を含んでいる。
【0219】
例えば塩化メチレンなどの溶媒については、乾燥チャンバ内の溶媒濃度は、典型的には1,000,000の有機溶媒当たり約40,000〜約100,000部で維持される。そのような溶媒のためのスプレー乾燥プロセスは、約5℃〜約35℃のプロセス温度で実施できる。本剤形のスプレー乾燥は、並流もしくは混合流スプレー乾燥機のいずれかまたはそれらの変形に配置された回転式、空気圧式もしくは加圧式いずれかの噴霧器を利用して実施されてよい。乾燥ガスは、乾燥速度を制御するために加熱または冷却されてよい。溶媒の沸点未満の温度を使用できる。入口温度は約40〜約120℃であってよく、出口温度は約5〜約35℃であってよい。
【0220】
コーティング製剤は、材料もしくは塗布の必要を満たすために最適化できる。例えば温度、溶媒濃度、スプレー乾燥機容量、噴霧空気圧、液滴サイズ、粘度、システム内の全空気圧および溶媒系などのプロセスパラメータを制御することは、密で連続性かつ非多孔性のコーティングからより多孔性のマイクロカプセル/ポリマーマトリックスまでに及ぶ範囲のコーティングの形成を可能にする。
【0221】
任意の残留溶媒を除去するためには後処理工程を使用できる。後処理は、トレイ上および/または過剰な溶媒を除去するがアリピプラゾールを分解させないために十分な床温度で最終生成物を乾燥させる工程を含む後乾燥工程を含むことができる。好ましくは、乾燥温度は、約35℃〜約40℃の範囲内にある。完了すると、生成物は、例えばソックフィルターによる収集またはサイクロン収集などの適切な方法によって収集できる。
【0222】
代表的なチュワブルの味覚マスキング剤形は、アリピプラゾールを含むコアを有する径が約10Tm〜約1.5mmのマイクロカプセルおよび咀嚼に抵抗するために十分な弾力性を有するポリマー混合物コーティングを含んでいる。ポリマー混合物コーティングは、典型的には少なくとも約30℃の温度でポリマーフィルムを形成する約30〜約70重量%のポリマー(例えばエチルセルロース)および約25℃未満の温度でポリマーフィルムを形成する約30〜約70重量%のコポリマーを含んでいる。ポリマー混合物コーティングは、本剤形が本明細書の上記で考察した放出プロフィールを示すように適応している。
【0223】
約25℃未満の温度でポリマーフィルムを形成するコポリマーは、典型的にはメタクリル酸エステルコポリマー(例えば約800,000の重量平均分子量を有する)またはアクリル酸スチレンコポリマーである。
【0224】
上述したアリピプラゾールの味覚マスキング剤形のコアは、希釈剤および/または可塑剤を含んでいてよい。適切な可塑剤には、ポリエチレングリコール、トリアセチン、ビニルピロリドン、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸エステル、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。
【0225】
固形味覚マスキング剤形(例えばポリマーコーティングされたアリピプラゾール粉末)は、使用前に水などの液体ビヒクル中の懸濁液として再構成することができる。これは、再構成可能な固形味覚マスキング剤形が典型的には多数の液体味覚マスキング剤形より長い保管寿命を有している、そしていったん再構成された懸濁液は適正な味覚マスキングを有するという利点を有している。
【0226】
アリピプラゾールは、脳内の数種のドーパミン経路におけるシナプス後ドーパミン受容体にその部分的アゴニスト特性を介して臨床活性を付与すると考えられている。現在は、あらゆる形態の統合失調症の陽性および陰性両方の症状を治療するために使用されており、急性そう病、または双極性障害と関連するそう症状の短期治療法として使用するための適応を有する。本発明は、本明細書に記載した経口送達可能な医薬組成物を提供することによる統合失調症および双極性障害を治療するための公知のアリピプラゾール含有製剤の欠点に対処することを目指している。しかし、これらの組成物は、以下でより詳細に記載するように、統合失調症および双極性障害に加えて、多数の他の医学的適応の治療において使用できる。
【0227】
部分的作動性は、独特の作用機序ではあるが、脳内での神経伝達物質活性の神経修飾に関するアリピプラゾールに固有ではない。アリピプラゾールは、主として哺乳動物脳内でのドーパミン経路上で、シナプス後受容体と競合して結合する。部分的作動性の結果として生じる作用は、ニューロン経路(ニューロンが十分には刺激されず、部分的アゴニストがアゴニスト(「興奮剤」)として作用する経路)における極度の活性化を「抑制すること(dampening down)」である;過剰活性化がある経路では、部分的アゴニストはアンタゴニスト(「阻害剤」)として作用する。アリピプラゾールは、主として脳内のドーパミン経路、特には報酬機序に含まれるドーパミン経路に作用する。アリピプラゾールは、その平衡作用に起因する統合失調症の陽性および陰性両方の症状に作用し、現在までに双極性I型障害の一部としての急性そう病を制御するための適応もまた達成している。逸話的証拠は統合失調症および双極性I型障害両方のうつ症状を治療する際の有用性に存在しており、これはその作用様式から予想可能である。臨床試験は進行中であり、双極性障害における気分安定剤として、および抗うつ薬としての長期使用に対するまた別の適応を生じさせると予想されている。
【0228】
本発明は、神経学的および/または精神医学的状態を治療するための要求に規定されたような経口送達可能な医薬組成物の使用を提供する。
【0229】
用語「神経学的および/または精神医学的状態」には、本発明者らは神経系の病変に由来するあらゆる状態を含んでいる。以下ではそのような状態の特定の例についてより詳細に記載する。
【0230】
語句「神経学的および/または精神医学的状態の治療」は、神経学的、神経精神医学的、精神医学的および神経変性疾患の急性期、慢性期および/または予防的治療のための使用を含むことが意図されている。
【0231】
したがって、本発明の組成物を投与する、または使用することによって治療できる多数の状態がある。本発明は、脳内のドーパミン経路の2つの極度の活性化に関係するすべての状態に特に適切である。これらには、すべての双極性障害、統合失調感情障害、全般性不安障害、強迫障害、外傷後ストレス障害、人格障害、および境界性人格障害、あらゆるタイプの認識機能障害(例えば高齢者の軽度認識障害);脳卒中の精神医学的合併症(出血性および虚血性および後遺症を含む)、てんかん、一過性脳虚血発作、外傷性脳傷害、パーキンソン(Parkinsons)病、ハンチントン(Huntington)病、筋萎縮性側索硬化症;神経痛、特発性疼痛、すべての精神病(例えば退行性統合失調症および緊張病)、すべての嗜癖(例えばアルコール、ニコチンおよびアヘン剤への嗜癖)、過食症および拒食症を含むすべての摂食障害、ADHD(注意欠陥多動障害)を含む情動障害、すべての抑うつ障害、人格障害(境界性人格障害を含む)、睡眠障害(時差ぼけおよび不眠症を含む)、ダウン(Down)症候群、髄膜炎、中枢神経系脈管炎、白質ジストロフィーおよび副腎脳白質ジストロフィー(アレキサンダー(Alexander)病、カナヴァン(Canavan)病、脳腱黄色腫症、クラッベ(Krabbe)および異染色性LD)、疲労、低血糖症、脳症(例えば肝性および敗血症性脳症)、脳および脊髄の腫瘍(グリア細胞、ニューロン細胞、シュワン細胞、松果体細胞、髄膜腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫の原発腫瘍、および転移する多発性全身性悪性腫瘍を含む)、小脳変性症および失調症(例えばフリードリッヒ(Friedrich)失調症、小脳皮質失調症、例えばオリーブ橋小脳変性、脊髄小脳性疾患、室頂核脳幹変性および常染色体優性失調症を含む複雑性小脳性運動失調症)、めまい、前庭系損傷、例えば耳鳴り、眼振などを含む蝸牛障害、末梢性神経障害(例えば多発性ニューロパシー、多発神経根障害、運動ニューロン疾患、感覚ニューロン障害、多発性単ニューロパシーおよび神経叢症)、代謝性骨疾患、骨粗鬆症、肺障害(例えば肺水腫、神経原性肺水腫、気管支喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびアポトーシスもしくはネクローシスによる肺細胞死)、肥満症およびその合併症、糖尿病および前糖尿病、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0232】
本発明の組成物は、アリピプラゾールに加えて、1つ以上の活性物質を含むことができる。
【0233】
例えば、本発明の組成物は、また別の非定型の抗精神病薬(例えばオランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アミスルプリド、クロゼピン(clozepine)、クロルプロマジン、もしくはデカン酸ハロペリドール)、抗パーキンソン薬(例えばL−DOPA、ドーパミンアゴニスト)、鎮静剤(例えばベンゾジアゼピン系鎮静剤もしくは非バルビツール酸塩系鎮静剤)、抗不安薬(例えばロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、およびアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピン系)、抗うつ薬、および気分安定剤(例えばラモトリジン、リチウム、バルプロ酸塩、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)を含むことができる。
【0234】
抗パーキンソン病薬は、神経弛緩薬の使用に関連する遅発性ジスキネジーを治療するために使用できる。さらにいわゆる「副作用医薬品」である抗パーキンソン病薬は、非定型の抗精神病薬の筋副作用が患者を不快にさせる場合に適応である。抗パーキンソン病薬は、典型的には抗コリン作用薬であり、その例にはベンズトロピンメシレート、トリヘキシフェニジル、プロシクリジン、およびアマンタジンが含まれる。
【0235】
適切な抗うつ薬には、三環系抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、およびクロミプラミン)、モノアミンオキシダーゼAもしくはB阻害剤(例えばフェネルジンアントラニルシクロプロミン)、四環系抗うつ薬(例えばマプロチリン)、およびセロトニン再取り込み阻害剤、例えばフルオキセチン、シプラミル、S−シプラミル、パロキセチン、および塩酸セルトラリン、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えばベンラファキシンおよびデュロキセチン、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えばレボキセチンおよびビロキサジンならびにすべてのその他のクラスの抗うつ薬が含まれる。
【0236】
アリピプラゾールに加えて上記に列挙した化合物の1つ以上を含む本発明の組成物は、特に、例えば統合失調症に苦しんでいる所定の患者、例えば統合失調症の重症もしくは非応答性症状に苦しんでいる患者を治療するために適切である。
【0237】
当然ながら、本明細書に記載したアリピプラゾール製剤は、統合失調症に加えて多数の他の状態を治療するために使用できる。そのような状態は、統合失調症の治療に関連して上述した活性物質以外の(アリピプラゾールに加えて)様々な追加の活性物質による治療を必要とすることがある。
【0238】
以下では、本発明を下記の非限定的な実施例によって具体的に説明する。
【実施例1】
【0239】
アリピプラゾール組成物
30mgの直接圧縮(DC)および湿性顆粒(WG)制御放出錠は、以下に記載するように製造した。
【0240】
直接圧縮錠
以下の表1に記載した成分を5分間にわたり遊星形ミキサー内で一緒に混合した。混合物は、7.0mm径の円形n/cパンチを用いて、回転式錠剤機上で圧縮した。錠剤の破壊強度は、2.5kp〜3.5kpであった。
【0241】
【表1】
【0242】
湿性顆粒錠剤
フマル酸ステアリルナトリウム以外は表2に規定した成分を精製水を用いた湿性造粒の前の5分間にわたり遊星形ミキサー内で一緒に混合した。湿性粉末は、15分間にわたり70℃の入口温度で流動床乾燥器内で乾燥させた。乾燥顆粒は、2.5w/w%の乾燥減量を有していた。顆粒は850μmのスクリーンに通してふるいにかけ、フマル酸ステアリルナトリウムとともに1分間にわたり混合した。混合物は、7.0mm径の円形n/cパンチを用いて、回転式錠剤機上で150mgで圧縮した。錠剤の破壊強度は、5.0kp〜6.0kpであった。
【0243】
【表2】
【0244】
上記の錠剤では、アリピプラゾールは、LGM Pharmaceuticals(米国)から入手した。methocel K4M((ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(ヒプロメロース))は、Colorcon Limit(英国)から入手した。Avicel PH 200(微結晶性セルロース)は、FMC BioPolymer社(アイルランド国)から入手した。PVPK30(ポリビニルピロリドン)は、Shanghai WellTone Material社(中国)から入手した。商標PRUVであるフマル酸ステアリルナトリウムは、JRS Pharma GMBH(ドイツ国)から入手した。
【実施例2】
【0245】
インビトロ放出実験
実施例1に記載したDCおよびWG錠剤からのアリピプラゾールの放出プロフィールは、以下でより詳細に記載するように、pH4.0のリン酸バッファおよび0.1M HCl中で試験した。
【0246】
溶解系
【表3】
【0247】
7リットルの0.05Mリン酸バッファ(pH4.0)は、6.75リットルの水中に47.8gのリン酸カリウムを溶解させ、次に4.0(±0.05)のpHを得るために60%のオルトリン酸溶液を少しずつ加えた。この溶液を水で7リットルにし、pHは必要に応じて水酸化ナトリウムもしくはリン酸を用いて調整した。
【0248】
0.1M HClは、3.5リットルの0.2M塩酸を精製水で7リットルに希釈することによって調製した。
【0249】
溶解方法
アリコートは、規定(例えば1時間毎)時間間隔で各溶解容器から取り出した。215nmでの各アリコートのUV吸光度は、0.05Mリン酸バッファのブランク液に対して測定し、3つの参照標準液に対して較正した(0.03、0.0012および0.0006mg/mL(アリピプラゾール))。アリピプラゾールの溶解率(%)は、参照標準液から作製した検量線を用いて計算する。
p=(w/w)%としての参照標準液の純度(参照標準液として薬物のインプットバッチを使用した場合には必要とされない)
X=mg/mLでグラフから得た数値
溶解率(%)=Xx900xpx100%
ラベルの表示(mg)X100
【0250】
以下の表3は、pH4.0のリン酸バッファ中の実施例1に記載のDC錠からの23時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図1に示した。
【0251】
【表4】
【0252】
以下の表4は、0.1M HCl中での実施例1に記載の直接圧縮錠からの20時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図2に示した。
【0253】
【表5】
【0254】
以下の表5は、0.1M HCl中での実施例1に記載のWG錠からの23時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図3に示した。
【0255】
【表6】
【0256】
以下の表6は、pH4.0のリン酸バッファ中での実施例1に記載のWG錠からの15時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図4に示した。
【0257】
【表7】
【実施例3】
【0258】
薬物動態モデリング
多重指数関数は、公表された5、10、15および20mgの1日1回の反復経口投与後の即時放出型(IR)アリピプラゾールの血漿中濃度−時間プロフィール(Mallikaarjun S,Salazar D,Braner S,“Pharmacokinetics,tolerability and safety of aripiprazole following multiple oral dosing in normal healthy volunteers”,J.Clin.Pharmacol.,2004;44:179−187)に当てはめた。
【0259】
関数(二成分動態を備える一次吸収を表す)は、式、
C(t)=A.e−α(t)+B.e―β(t)+C.e―k01(t)
(式中、A、B、α、βおよびk01は定数であり、C=−(A+B)およびC(t)は、時間tでの血漿中濃度である)であった。
【0260】
公表されたモデル(Mallikaarjunら、上記参照)を使用して、IR製剤の様々な投与法後のアリピプラゾールの血漿中濃度をシミュレーションした。さらに、放出が例えば10時間〜18時間の範囲についてはゼロ次であると仮定して、持続放出型(SR)製剤の様々な投与法をシミュレーションした。新規SR製剤からのアリピプラゾールのシミュレーションした血漿プロフィールを現在利用されているIRレジメンのモデリングと比較した。
【0261】
反復投与後のアリピプラゾールの血漿中濃度プロフィールは、WinNonLin Pro Version 5.2(Pharsight Corporation Inc.,Mountain View,CA,USA,2006)による規定モデルを使用してシミュレーションした。アリピプラゾール15mgが最も一般的に使用される用量であった(Molden E,Lunde H,Lunder N,Refsum H,“Pharmacokinetic variability of aripiprazole and the active metabolite dehydroaripiprazole in physchiatric patients”,Ther.Drug Monit.,2006;28:744−749)。このため、15mg IRデータに適合させた多重指数関数を比較IR用量として選択した。この分析については、観察された用量比例動態と一致して、線形動態が推定された(Mallikaarjunら)。SR製剤は、5mg IRデータに適合させた多重指数関数によって、そして10もしくは14時間についてはゼロ次インプット(吸収)を想定して表示した。
【0262】
5、10、15および20mgのIR製剤の1日1回経口投与後のアリピプラゾールの血漿中濃度に当てはめた規定平均関数(Mallikaarjunら)は、表7に表示した。
【0263】
【表8】
【0264】
シミュレーションしたアリピプラゾールの濃度は図5に示した。シミュレーションしたプロフィールは公表されたプロフィール(Mallikaarjunら)と類似である。
【0265】
図6において、1日おきに30mg IRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0266】
図7において、1日おきに15mg IRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0267】
図8において、1日おきに30mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0268】
図9において、週1回60mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0269】
図10において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)30mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0270】
図11において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)45mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0271】
図12において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)60mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0272】
図13において、1日おきに30mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0273】
図14において、1日おきに30mg 18−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0274】
図15において、週1回60mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0275】
図16において、週1回60mg 18−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0276】
図17において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)45mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0277】
図18において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)45mg 18−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0278】
図19において、1日1回15mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0279】
図20において、1日1回15mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0280】
図6の結果は、2日毎に投与された30mg IRはODの15mg IRレジメンに比較して有意に多い有害事象の機会(高Cmaxに起因する)を有することを示唆している。他方、図7は、1日おきの15mg IRレジメンのアリピプラゾール血漿中濃度がODの15mg IRレジメンより低いことを示している。
【0281】
図8、13および14に示した結果は、2日毎に投与された30mg SR製剤が1日1回投与の15mg IRと比較して極めて類似するピーク対トラフ特性を有することを示している。これは、匹敵する有効性を備えるが改良された投与スケジュールを備える可能性を示唆している。
【0282】
週2回投与される45mg SR製剤(図11、17および18を参照されたい)は1日1回投与される15mg IRと比較して類似するピーク対トラフ特性を有しており、これは血漿曝露と薬物作用との関係について現在は十分に把握されていないことを前提に(Drugs at FDA;Ability(NDA#021436 Tablet Oral))、匹敵する有効性を備えながら改良された投与スケジュールを提供する可能性を示唆している。同様に、週1回投与される60mg SR製剤についてのアリピプラゾールの血漿中濃度(図9、15および16を参照)は、忍容および有効レベル内に含まれると考えられる。
【0283】
図19および20に示した結果もまた、1日1回15mg SR製剤が類似の15mg IRレジメンと比較して有意に減少した有害事象の機会(低Cmaxに起因する)を有することを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0284】
【図1】図1は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図2】図2は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図3】図3は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図4】図4は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図5】図5は、シミュレーションしたアリピプラゾールの濃度である。
【図6】図6は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図7】図7は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図8】図8は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図9】図9は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図10】図10は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図11】図11は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図12】図12は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図13】図13は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図14】図14は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図15】図15は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図16】図16は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図17】図17は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図18】図18は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図19】図19は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図20】図20は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリピプラゾールを含む医薬製剤に関する。より特には、本発明は、アリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アリピプラゾールは、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル]ブトキシ]−3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オンであって、以下の構造、
【化1】
を有する。
【0003】
アリピプラゾールは、主としてD2受容体での部分的作動によってその抗精神病作用を媒介すると思われる。D2受容体での部分的作動は、ドーパミン活性が高いもしくは低い可能性がある領域、例えば統合失調症脳の中脳辺縁領域および中脳皮質領域各々においてドーパミン活性を調節することが証明されている。D2受容体での部分的アゴニスト活性に加えて、アリピプラゾールはさらにまた5−HT1A受容体での部分的アゴニストでもあり、他の非定型抗精神病薬と同様に、アリピプラゾールは5−HT2A受容体でアンタゴニストプロフィールを提示する。アリピプラゾールは、ヒスタミンおよびαアドレナリン受容体に対する中等度の親和性を有するが、コリン作動性ムスカリン受容体に対する感知できる親和性は有していない。アリピプラゾールは、現在は双極性I型障害に関連する統合失調症および急性躁病/混合エピソードを治療するために使用されている。
【0004】
臨床活性は、主として親薬物であるアリピプラゾールに、そしてこれより程度は少ないが、その主要代謝産物であって、D2受容体に対して親薬物に類似する親和性を有することが証明されていて血漿中の親薬物曝露の40%を表すデヒドロ−アリピプラゾールに起因すると考えられている(例えばABILIFY(登録商標)(アリピプラゾール)の処方情報、非特許文献1を参照されたい)。平均排出半減期は、アリピプラゾールおよびデヒドロ−アリピプラゾールについて各々約75時間および94時間である。定常状態濃度は、両方の活性成分について初期投与から14日間以内に達成される。アリピプラゾールの蓄積は、単回投与薬物動態から予測できる。定常状態では、アリピプラゾールの薬物動態は用量に比例している。アリピプラゾールの排出は、主として2種のシトクロムP450アイソザイムであるCYP2D6およびCYP3A4が関与する肝代謝を通して行われる(非特許文献2)。
【0005】
アリピプラゾールは、即時放出型(IR)錠剤の投与後に良好に吸収され、ピーク血漿中濃度は投与から3〜5時間以内に発生する;IR錠製剤の絶対的経口バイオアベイラビリティは87%である。標準高脂肪食を伴うアリピプラゾールIR錠15mgの投与は、アリピプラゾールもしくはその活性代謝産物であるデヒドロ−アリピプラゾールのCmaxもしくはAUCには有意な影響を及ぼさないが、Tmaxをアリピプラゾールについては3時間、デヒドロ−アリピプラゾールについては12時間遅延させる。アリピプラゾールは、液剤として経口投与された場合にも良好に吸収される。同等用量では、液剤からのアリピプラゾールの血漿中濃度はIR錠製剤からの血漿中濃度より高かった。
【0006】
健常被験者においてアリピプラゾールの経口液剤30mgとアリピプラゾールIR錠30mgの薬物動態を比較した相対的バイオアベイラビリティ試験では、幾何平均CmaxおよびAUC値の液剤対錠剤比は、各々122%および114%であった。静脈内投与後のアリピプラゾールの定常状態分布量は高く(404Lもしくは4.9L/kg)、これは広汎な血管外分布を示している。治療濃度では、アリピプラゾールおよびその主要代謝産物は、血清タンパク質、主としてアルブミンへ99%超が結合する。14日間にわたり0.5〜30mg/日の用量で投与された健常なヒト任意志願者では、ヒトにおけるアリピプラゾールの脳浸透を示す用量依存性のD2受容体占有が見られた(非特許文献3)。
【0007】
アリピプラゾールは、主として3種の生体内変化経路:脱水素化、水酸化、およびN−脱アルキル化によって代謝される。インビトロ試験に基づくと、CYP3A4およびCYP2D6酵素はアリピプラゾールの脱水素化および水酸化の原因であり、N−脱アルキル化はCYP3A4によって触媒される。アリピプラゾールは、循環血液中の主要な薬物成分である。定常状態では、活性代謝産物であるデヒドロ−アリピプラゾールは、血漿中のアリピプラゾールAUCの約40%を表している。
【0008】
白人のおよそ8%はCYP2D6基質を代謝する能力が欠如しており、不良代謝者(PM)と分類されているが、残りは広汎代謝者(EM)である。PMはEMSに比較して、アリピプラゾール曝露における約80%の増加および活性代謝産物曝露における約30%の減少を有しており、結果としてEMSに比較して所与用量のアリピプラゾール由来の全活性成分への約60%以上高い曝露を生じさせる。平均排出半減期は、EMおよびPMにおいてアリピプラゾールについて各々約75時間および146時間である。アリピプラゾールは、CYP2D6経路を阻害もしなければ誘導もしない。
【0009】
[14C]−標識アリピプラゾールの単回経口投与後には、投与された放射能のおよそ25%および55%は各々、尿および便中で回収された。1%未満の未変化アリピプラゾールは尿中に排泄され、経口用量のおよそ18%は便中で未変化で回収された。
【0010】
統合失調症におけるアリピプラゾールの推奨開始時用量および標的用量は、食事とは関係なく1日1回のスケジュールで投与する10〜15mg/日である。用量の増加が必要な場合は、定常状態に達するために必要とされる期間である2週間より前には行わないように推奨されている。双極性疾患では、開始時用量は1日1回30mgである。しかし第III相臨床試験では、およそ15%の患者において忍容性の評価に基づいて用量が15mgに減量された(非特許文献4)。
【0011】
本明細書での以前に公表された文書の列挙または考察は、必ずしもその文書が先行技術の一部である、または一般的共通知識であるという確認であると見なすべきではない。
【0012】
統合失調症、双極性疾患およびその他のCNS状態を治療するための上述したアリピプラゾールのための投与法に関しては多数の利点がある。市場調査は、患者が、できる限り低頻度で摂取できて良好に忍容される経口医薬品の方を高度に好むことを示唆している。1日1回の経口投与法は、多数の患者にとって過度に高頻度であると見なされる可能性がある。さらに、アリピプラゾールについての標的集団の有意なサブセットは、高齢である上に物忘れしやすい患者である確率が高い。そのような患者は、時間を消費して高額の費用がかかる監視下投与を必要とすることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Otsuka Pharmaceutical Co.,Ltd,Tokyo,101−8535,June 2006
【非特許文献2】Kubo Mら、Influence of itraconazole co−administration and CYP2D6 genotype on the pharmacokinetics of the new antipsychotic ARIPIPRAZOLE.Drug Metab Pharmacokinet.2005 Feb;20(1):55−64
【非特許文献3】Swainston Harrison T and Perry CM.Aripiprazole:a review of its use in schizophrenia and schizoaffective disorder.Drugs.2004;64(15):1715−36
【非特許文献4】Drugs at FDA;Ability(NDA#021436 Tablet Oral)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、アリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物の提供によって上述した欠点の1つ以上に対応することを目指している。本組成物は、治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んでいる。これらの組成物(以下では、他に特に規定しない限り「本発明の組成物」を意味する)は、統合失調症、双極性疾患および本明細書の下記で記載する多数の他の医学的適応を治療するために使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の組成物は、例えば以下の利点の1つ以上など(であるがそれらに限定されない)利点を有すると考えられる。
【0016】
典型的には、本発明の組成物は、アリピプラゾール用量の放出を制御する(例えば遅延させる、延長させる、もしくは持続させる)ので、投与後には、有害事象プロフィールが現行投与法に比較して減少させられる、または少なくとも有意には増加させられない。
【0017】
言い換えれば、本発明の組成物は、現行の1日1回の従来型IR投与法に比較して、有害事象を有意に増加させることなく1回の投与でより大量のアリピプラゾールを投与することを許容する。投与頻度のあらゆる減少は、患者の便宜性およびコンプライアンスにおける実質的な改善をもたらすと考えられる。
【0018】
投与頻度の減少は、薬物療法の間接的な人的コストを減少させる(例えば監視下薬物投与のために必要とされる開業医の時間を減少させる)ことによって、現行の投与法に比して有意な薬物動態学的利点を提供する。
【0019】
本発明の組成物は、アリピプラゾールの放出が制御される1日1回の投与法をさらに提供する。これは、現在利用可能な1日1回投与法に比較して、有害事象プロフィールを減少させることができる、および/またはより効率的な1日1回投与法を提供できると考えられる。
【0020】
本明細書で他に特に規定しない限り、用語「アリピプラゾール」は、7−[4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)ピペラジン−1−イル]ブトキシ]−3,4−ジヒドロ−1H−キノリン−2−オン、その医薬上許容される塩、およびそれらの混合物を意味する。「医薬上許容される塩」は、アリピプラゾールの誘導体を含んでおり、このときアリピプラゾールは、その非毒性酸塩もしくは塩基塩を作製することによって修飾され、さらにそのような塩の医薬上許容される溶媒和物(水和物を含む)をさらに意味している。医薬上許容される塩の例には、アリピプラゾールのアミン官能基の鉱酸塩もしくは有機酸塩が含まれるがそれらに限定されない。医薬上許容される塩には、例えば、有機酸および無機酸から形成される、アリピプラゾールの非毒性塩および第4級アンモニウム塩が含まれる。そのような塩には、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩などの金属塩、例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩ならびに上記の組み合わせが含まれる。医薬上許容される有機塩には、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HO2C−(CH2)n−CO2H(式中、n=0〜4)などの有機酸から調製される塩ならびに例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などのアミノ酸から調製される塩が含まれる。好ましい医薬上許容される有機塩には、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HO2C−(CH2)n−CO2H(式中、n=0〜4)などの有機酸から調製される塩ならびに例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などのアミノ酸から調製される塩が含まれる。用語「医薬上許容される塩」には、上記のアリピプラゾールの誘導体のいずれかの混合物をさらに含んでいる。
【0021】
用語「経口送達可能な」には、本発明者らは、経口および口腔内(例えば舌下もしくは経口腔)投与を含む、経口のために適切であるという意味を含んでいる。好ましくは、本発明の組成物は、患者に経口、即ち嚥下すること(例えば食べる、もしくは飲むこと)によって投与するために設計されている。
【0022】
用語「制御放出」には、本発明者らは、投与後に、アリピプラゾールの放出が制御され、アリピプラゾールを現行投与法より低頻度、例えば1日1回より低頻度で投与できる(しかし、この関連で1日1回投与のための改良された放出プロフィールもまた含まれている)投与法を提供できるという意味を含んでいる。これは、アリピプラゾールの放出を遅延および/または延長および/または持続させることを含むことができるので、アリピプラゾールの投与間の時間を増加させることができる。そのような遅延性/延長性/持続性放出は、現在使用されている1日1回のIR製剤と比較して本発明の組成物でのより高い単回用量のアリピプラゾールに付随する可能性がある。
【0023】
本発明の組成物は、制御放出型の1日1回(OD)投与法、およびODより低頻度での投与法のために適切である。ODより低頻度での投与法には、本発明者らは、2、3、4、5もしくは6日毎に1回、週3回、週2回(TW)、週1回(OW)およびそれらの組み合わせを含んでいる。好ましい投与法の群は、OD、2日毎に1回(即ち、1日おき)、TWおよびOW、例えば2日毎に1回、TWおよびOWである。
【0024】
本発明の組成物の制御放出の特性は、以下でより詳細に記載するように、それらのインビトロもしくはインビボ放出プロフィールまたはCmax、TmaxおよびAUCなどの関連値に関連付けて規定することができる。
【0025】
例えば、本発明の組成物は、平均して約60%以下、好ましくは約50%以下、より好ましくは約40%以下のアリピプラゾールが標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0026】
他に規定しない限り、用語「標準溶解試験」は、米国薬局方に記載されたように37℃で1〜7の生理学的pH範囲内の900mLの水性溶解媒質中において、または例えば、0.1M塩酸およびpH4.0のリン酸バッファなどのそれと実質的に同等の他の試験条件において100rpmでの「パドル法(Paddle Method)」にしたがって実施される試験を意味する。
【0027】
上述したように、本発明は、現行の1日1回投与法より低頻度での投与法または1日量の制御放出いずれかを伴う投与法を提供することに関する。上記に規定されたインビトロ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする薬物含有組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0028】
疑いを回避するために、本明細書に記載した制御放出特性(例えばインビトロ放出プロフィール)を有する本発明の組成物に関連して本明細書で使用する語句「ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法」には、本発明者らは、2、3、4、5もしくは6日毎に1回、週3回、週2回(TW)、週1回(OW)およびそれらの組み合わせを含んでいる。
【0029】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には平均して約10〜約50%、例えば約15〜約45%、例えば約15〜約30%のアリピプラゾールは標準溶解試験において配置されてから3時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0030】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、アリピプラゾールの平均して約2〜約40%(例えば約2〜約30もしくは35%)、例えば約5〜約25%、例えば約10〜約20%が標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0031】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、アリピプラゾールの平均して約25〜約100%、例えば約30〜約100%、例えば約40〜約100%または約50〜約100%が標準溶解試験において配置されてから8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。
【0032】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、アリピプラゾールの平均して約70%以下、好ましくは約60%以下、より好ましくは約50%以下、例えば約40%以下が標準溶解試験に配置されてから8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示すことができる。典型的には、そのような組成物は、アリピプラゾールの平均して約10〜約65%、例えば約15〜約55%、例えば約20〜約45%が標準溶解試験に配置されてから8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロフィールを示す。
【0033】
本発明の組成物は、標準溶解試験に配置された後に、
アリピプラゾールの約2〜約50%が2時間後に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約80%が4時間後に放出される;
アリピプラゾールの25%以上が8時間後に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上が12時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには左右されない。
【0034】
上記に規定されたインビトロ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0035】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、標準溶解試験に配置された後に、
アリピプラゾールの約5〜約40%(例えば10〜30%)が2時間後に放出される;
アリピプラゾールの約15〜約70%(例えば20〜50%)が4時間後に放出される;および
アリピプラゾールの50%以上(例えば60%以上)が8時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには左右されない。
【0036】
ODより一層低頻度での投与を必要とする薬物を含有する組成物の投与法のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、標準溶解試験に配置された後に、
アリピプラゾールの約2〜約35%、例えば約2〜約25%(例えば5〜15%)が2時間後に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約50%(例えば10〜40)が4時間後に放出される;
アリピプラゾールの約25〜約80%(例えば30〜60)が8時間後に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上(例えば50%以上)が12時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには左右されない。
【0037】
本発明の組成物は、単回経口投与後に、アリピプラゾールの50%が(ヒトもしくは動物患者の)血漿中に吸収される時間が少なくとも2時間、好ましくは少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも4時間(例えば少なくとも約5もしくは6時間)であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示すことができる。
【0038】
語句「アリピプラゾールの血漿吸収プロフィール」は、ヒトもしくは動物患者への投与後の経時的なアリピプラゾールの血漿中濃度を意味することが意図されている。当業者には公知であるように、血漿吸収プロフィールは、持続的放出薬物動態対即時放出参照値の逆重畳積分によって測定できる。
【0039】
上記に規定されたインビボ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0040】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、単回経口投与後に、アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収される時間が約2〜約12時間、例えば約3〜約10時間、例えば約4〜約9時間もしくは約5〜約7時間(例えば約6時間)であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示す可能性がある。
【0041】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、単回経口投与後に、アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収される時間が約6〜約24時間、例えば約7〜約20時間、例えば約8〜約18時間もしくは約10〜約16時間であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示す可能性がある。
【0042】
本発明の組成物は、経口投与後の規定期間においてインビボにおいて組成物から放出されるアリピプラゾールの量に関して規定することもできる。例えば、本発明の組成物は、典型的には、
アリピプラゾールの約2〜約50%が投与後2時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約80%が投与後4時間以内に放出される;
アリピプラゾールの25%以上が投与後8時間以内に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上が投与後12時間以内に放出される、放出プロフィールを示すことができる。
【0043】
上記に規定されたインビボ放出プロフィールを有する組成物は、以下でより詳細に説明するように、OD投与およびODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法の両方に適切な可能性がある。
【0044】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、
アリピプラゾールの約5〜約40%(例えば10〜30%)が投与後2時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約15〜約70%(例えば20〜50%)が投与後4時間以内に放出される;および
アリピプラゾールの50%以上(例えば60%以上)が投与後8時間以内に放出される、アリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示すことができる。
【0045】
ODより一層低頻度での投与を必要とする本薬物を含有する組成物の投与法に適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、
アリピプラゾールの約2〜約35%、例えば約2〜約25%(例えば5〜15%)が投与後2時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約5〜約50重量%(例えば10〜40%)が投与後4時間以内に放出される;
アリピプラゾールの約25〜約80%(例えば30〜60%)が投与後8時間以内に放出される;および
アリピプラゾールの40%以上(例えば50%以上)が投与後12時間以内に放出される、アリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示す。
【0046】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物の制御放出特性は、ヒトもしくは動物患者に投与される場合の、アリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)値と関連付けて規定できる。例えば、OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物は、典型的には、経口投与後に、約10〜約99%のアリピプラゾールCmax値、例えば同一用量で経口投与される場合の従来型即時放出型(IR)剤形のアリピプラゾールを用いて達成される約20〜約80%、例えば約25〜約70%(例えば約30〜約60%)のCmax値を示す。
【0047】
語句「従来型即時放出型(IR)剤形のアリピプラゾール」は、その中に含有されているアリピプラゾールの実質的に全部を即時に、例えば投与の30分間以内に放出するという意味を含んでいる。言い換えると、そのようなIR剤形は、典型的にはアリピプラゾールの放出を遅延および/または延長および/または持続させるために作用する成分を実質的に全く有していない。この定義は、現在は典型的には統合失調症および双極性疾患を治療するために使用されている本明細書の緒言のページに記載されているアリピプラゾールの組成物を含むことが意図されている。
【0048】
OD投与のために適切な可能性がある本発明の組成物の制御放出特性は、ヒトもしくは動物患者へ投与された時点および任意のそれ以後の用量の投与の前に、投与24時間後のアリピプラゾールの血漿中濃度(C24)に対するアリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)の比率によって規定できる。本発明の組成物は、典型的には好ましくは定常状態条件下で、約3:1未満、好ましくは約2:1未満、より好ましくは約1.5:1未満、例えば約1.1:1〜約1.5:1(例えば約1:1)のCmax対C24比を示す。
【0049】
本発明の組成物は、上記に規定した1つ以上の制御放出プロフィールを示すことができる。
【0050】
本発明の組成物は、治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んでいる。上記に規定した1つ以上の制御放出プロフィールを達成するために、治療有効量のアリピプラゾールは、拡散制御型製剤(例えばワックスマトリックスもしくはペレット剤)、溶解制御型製剤(例えば圧縮コーティング製剤)、溶解/拡散制御型製剤、容易に投与可能な製剤(例えばチュワブル(咀嚼可能)、速溶性、スプリンクル(振りかけ)もしくは味覚マスキング製剤)、腸溶性製剤、浸透圧ポンプ法製剤、不正加工防止(tamper resistant)製剤、浸食制御型製剤、イオン交換樹脂および上記の組み合わせを含むがそれらに限定されない多数の様々な方法で調製できる。以下では上記の製剤についてより詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の組成物のために本明細書に記載した製剤は、主として経口投与のために設計されている。適切な経口剤形には、上記の製剤のカプセル剤、錠剤、液剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、マトリックス剤、ミクロスフェア剤、シード剤、ペレット剤および/またはビーズ剤が含まれるがそれらに限定されない。これらの剤形の組み合わせもまた、本発明において使用できる。例えば、アリピプラゾールを含有する経口剤形は、カプセル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルもしくはゼラチンカプセルの内側に封入されたマイクロ錠剤の形状にあってよい。任意の適切なゼラチンカプセル、例えばCAPSUGELとして公知である硬質ゼラチンカプセルを使用できる。
【0052】
上述した経口固形剤形は、典型的には、100nmより大きい、好ましくは500nm、1,000nmもしくは2,000nmより大きい(例えば2,500nmより大きい)平均粒径を有する可能性がある薬剤物質を利用できる。
【0053】
本発明の組成物は、拡散制御型製剤であってよい。用語「拡散制御型製剤」では、本発明者らは、本製剤からの溶解したアリピプラゾールの拡散がその製剤からのアリピプラゾールの制御放出の速度において有意な役割を有する製剤を含んでいる。しかし、溶解プロセスもまた含まれることがある。典型的な拡散制御型製剤は、アリピプラゾールのコアがポリマー(典型的には非水溶性ポリマー)でコーティングされているいわゆる「リザーバー系」、および任意でコーティングされてよいアリピプラゾールがマトリックス(例えば膨潤性マトリックス)全体に分散するいわゆる「マトリックス系」を含んでいる。いずれの系でも、溶解した薬物の流動および退出は、上記に規定した放出プロフィールの1つ以上を達成できるように制御される。
【0054】
本発明の組成物は、マトリックス技術に基づいてよい。この技術では、アリピプラゾールは、マトリックスと呼ばれる非崩壊性コアを作成する賦形剤中に包埋される。(溶解した)アリピプラゾールの拡散は、コアを通して発生する。
【0055】
好ましくは、本発明の制御放出型組成物は、アリピプラゾールの有意な血漿中濃度が達成される前に少なくとも一部の時間遅延が存在するように調製される。言い換えると、本発明の組成物は、遅延および/または持続および/または延長放出成分を有することができる。そのような組成物は、アリピプラゾールの初期バーストを回避できる、もしくは消化管(例えば胃)の特定部分におけるアリピプラゾールの放出が遅延させられるように調製できる。これはアリピプラゾールに関連する有害事象プロフィールを最小限に抑えるために有用な可能性がある。
【0056】
アリピプラゾールの何らかの刺激作用から胃を保護できる腸溶コーティング製剤もまた望ましい。そのような製剤は、非毒性であり、主として腸液中では可溶性であるが胃液中では実質的に不溶性である医薬上許容される腸溶ポリマーを含む組成物でコーティングすることができる。
【0057】
典型的には、本発明の組成物は、アリピプラゾール放出を、公知の即時放出型剤形中でのアリピプラゾール放出と比較して、例えば数時間延長する。
【0058】
本発明の組成物は、放出遅延材料を含むことができる。放出遅延材料は、例えば、マトリックスもしくはコーティングの形状にあってよい。本発明の組成物は、例えば、放出遅延材料と結合されているアリピプラゾールの粒子を含んでいてよい。放出遅延材料は、典型的には、水性媒体中での持続速度でアリピプラゾールの放出を許容する物質である。放出遅延材料は、他の規定した特性と組み合わせて、所望の放出速度を達成できるように選択的に選ぶことができる。
【0059】
放出遅延材料は、親水性および/または疎水性のポリマーおよび/または材料であってよい。適切な放出遅延材料には、アクリルポリマー、アルキルセルロース、シェラック、ゼイン、硬化植物油、水素化ヒマシ油、および上記の材料の1つ以上を含む組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。本発明の組成物は、典型的には、約1〜約80(重量)%の放出遅延材料を含有していてよい。
【0060】
適切なアクリルポリマーとしては、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸塩、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、および上記のポリマーの1つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0061】
適切なアルキルセルロースには、例えば、エチルセルロースが含まれる。当業者は、他のアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーをエチルセルロースの一部または全部と置換できることを理解する。
【0062】
他の適切な疎水性材料は、典型的には非水溶性であり、約30℃〜約200℃、好ましくは約45℃〜約90℃の融点を有していてよい。疎水性材料には、中性もしくは合成ワックス、脂肪アルコール(例えばラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチルもしくは好ましくはセトステアリルアルコール)、例えば脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ−、ジ−、およびトリグリセリドを含む)を含む脂肪酸、水素化脂肪、炭化水素、硬化油もしくは脂肪(例えば硬化菜種油、ヒマシ油、牛脂、ヤシ油、大豆油)、ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、炭化水素主鎖を有する疎水性および親水性材料、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせを含むことができる。
【0063】
適切なワックスには、蜜ろう、グリコワックス、キャスターワックス、カルナバワックスおよびワックス状物質、例えば室温では通常は固体であるが約30℃〜約100℃の融点を有する物質ならびに上記のワックスの1つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0064】
放出遅延材料は、さらにまた消化可能な長鎖(例えばC8−C50、好ましくはC12−C40)の、置換もしくは未置換炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油および植物油、ワックス、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせも含むことができる。約25℃〜約90℃の融点を有する炭化水素を使用できる。本発明の組成物は、約60重量%までの少なくとも1つの消化可能な長鎖炭化水素および/または60重量%までの少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含有していてよい。
【0065】
放出遅延材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸とグリコール酸のコポリマーをさらに含むことができる。放出遅延材料は、任意で他の添加物、例えば浸食促進剤(例えばデンプンおよびガム)および/または半透性ポリマーを含んでいる。
【0066】
本組成物の放出特性に影響を及ぼす放出修飾剤は、任意で本発明の組成物において使用できる。放出修飾剤は、例えば孔形成剤として機能できる。典型的には、孔形成剤は、薬物放出を容易にする(例えば促進する)チャネルを作製する。孔形成剤は、有機もしくは無機であってよく、そして使用環境においてコーティングから溶解する、引き出される、または浸出することのできる材料を含むことができる。孔形成剤は、1つ以上の親水性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、金属ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウムなどのアルカリ金属ステアリン酸塩)、ポリカーボネート(炭酸塩基がポリマー鎖内で再発生する炭酸の線状ポリエステル)、および2つ以上の上記の放出修飾剤を含む組み合わせを含むことができる。
【0067】
放出遅延材料は、少なくとも1つの通路、開口部などを含む出口手段をさらに含むことができる。通路は、任意の形状、例えば円形、三角形、四角形もしくは楕円形を有していてよい。そのような出口手段は、本明細書でより詳細に記載される浸透圧ポンプ製剤において使用できる。
【0068】
上記の成分に加えて、本発明の組成物は、適切な量の他の材料、例えば、製薬分野において従来型である希釈剤、潤滑剤、結合剤、顆粒化助剤、着色料、着香料および流動促進剤をさらに含有していてよい。
【0069】
適切な潤滑剤の例には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、タルク、鉱油(PEG中)が含まれる。適切な結合剤の例には、水溶性ポリマー、例えば改質デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが含まれる。適切な充填剤の例には、ラクトース、微結晶性セルロースが含まれる。流動促進剤の例は、二酸化ケイ素である。
【0070】
本発明の組成物は、アリピプラゾールを含む1つ以上の物質を含むことができる。そのような基質は、放出遅延材料を含む持続性および/または遅延性および/または延長性放出コーティング剤でコーティングすることができる。そのような組成物は、多微粒子系、例えばビーズ、イオン交換樹脂ビーズ、スフェロイド(回転楕円体)、ミクロスフェア、シード、ペレット、マトリックス、顆粒、およびアリピプラゾールの所望の制御放出を得るための他の多微粒子系において使用できる。多微粒子系は、カプセル剤もしくはその他の適切な単位剤形、例えば錠剤もしくはサシェ剤で提示されてよい。
【0071】
所定の場合には、各々が例えば放出のpH依存性、様々な媒体(例えば酸性、塩基性人工腸液)中で放出させるための時間、インビボでの放出、サイズおよび組成などの相違する特性を示す、2つ以上の多微粒子系を使用することができる。
【0072】
一部の場合には、スフェロイドを形成するためには有効成分と一緒に球形化を促進するための賦形剤を使用できる。微結晶性セルロースおよび水和微細ラクトースは、そのような球形化剤の例である。さらに(または代りに)、スフェロイドは非水溶性ポリマー、好ましくはアクリルポリマー、アクリルコポリマー、例えばメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、またはエチルセルロースを含有することができる。そのような製剤では、存在する任意の持続性放出コーティングは、非水溶性材料、例えば単独または脂肪アルコールとの混合物のいずれかでのワックス、またはシェラックもしくはゼインなどを含むことができる。
【0073】
有効成分でコーティングされたスフェロイドもしくはビーズは、例えばアリピプラゾールを水中に溶解させ、次にこの溶液を糖球体などの基質上にスプレーする工程によって調製することができる。任意で、追加の成分は、有効成分の基質への結合を支援するため、および/またはこの溶液を着色するために、ビーズをコーティングする工程などの前に添加することができる。結果として生じる基質−活性材料には、アリピプラゾールを次の材料のコーティング、例えば放出遅延材料から隔離するために、バリア材料をオーバーコートすることができる。バリア材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む材料であってよい。しかし、当分野において公知である任意の塗膜形成剤を使用できる。好ましくは、バリア材料は、最終生成物の溶出速度に影響を及ぼさずに、加工処理中の安定性および/または保管寿命を増加させる。
【0074】
所望の放出特性を達成するために、アリピプラゾールは約1〜約80%(例えば約2〜約40%)の増量レベルを達成するために十分な量の放出遅延材料でコーティングすることができるが、例えば所望の放出速度に依存して、多少の放出遅延材料を使用することができる。さらに、コーティングに使用される2つ以上の放出遅延材料、ならびに様々な他の医薬上賦形剤が存在していてよい。
【0075】
放出遅延材料は、疎水性ポリマーの分散液を含むフィルムコーティングの形状にあってよい。放出遅延コーティングを塗布するために典型的に使用される溶媒には、医薬上許容される溶媒、例えば水、アルコール(例えばメタノールもしくはエタノール)、塩化メチレン、ならびに1つ以上の上記の溶媒を含む組み合わせが含まれる。
【0076】
本発明の組成物のインビボおよび/またはインビトロ放出プロフィールは、2つ以上の放出遅延材料を使用することによって、放出遅延材料の厚さを変化させることによって、使用する特定放出遅延材料を変化させることによって、相対量の放出遅延材料を変化させることによって、存在する任意の可塑剤が加えられる方法を変化させることによって、遅延剤に対する可塑剤の量を変化させることによって、追加の成分もしくは賦形剤を包含することによって、製造方法を変化させることによって、または上記の組み合わせによって変化させる、例えば最適化させることができる。
【0077】
マトリックス中に存在することに加えて、またはその代りに、放出遅延剤は、コーティングの形状にあってよい。任意で、コアはコーティングすることができる、またはゼラチンカプセルはさらにまた本明細書に記載したコーティングなどの持続性および/または遅延性および/または延長性放出コーティングでさらにコーティングすることができる。コーティングは、約1〜約80%(例えば約2〜約40%)へ剤形の重量増加を達成するために十分な量の疎水性材料を含むことができるが、コーティングは、剤形の重量を特に所望の放出速度に依存して大きな比率まで増加させることができる。
【0078】
本発明の組成物は、好ましくは、例えば消化されて胃液に、そして次に腸液に曝露させられると、アリピプラゾールを緩徐に放出する。本製剤の制御放出プロフィールは、例えば、放出遅延剤、例えば疎水性材料の量を変化させることによって、疎水性材料に比較して存在する任意の可塑剤の量を変化させることによって、追加の成分もしくは賦形剤を包含することによって、製造方法を変化させることによって、または上記の組み合わせによって変化させることができる。
【0079】
本発明の組成物は、実質的に全部のアリピプラゾールが非晶質系で存在するような方法で調製することができる。用語「非晶質」は、識別可能な結晶格子を有していない分子の不規則配列からなることを意味することが意図されている。非晶質アリピプラゾールを含む組成物を形成するための典型的なプロセスは、アリピプラゾールを水および医薬上許容されるポリマー担体と混合させる工程と非晶質アリピプラゾールおよびポリマー担体を含む組成物を形成するためにその混合物を乾燥させる工程とを含んでいる。
【0080】
適切な医薬上許容されるポリマー担体には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、キトサン、乳酸/グリコリドコポリマー、ポリオルトエステル、ポリ無水物H、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、レクチン、カルボポル、シリコーンエラストマー、ポリアクリルポリマー、マルトデキストリン、ラクトース、フルクトース、イノシトール、トレハロース、マルトース、ラフィノース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、そしてα−、β−、およびγ−シクロデキストリン、ならびに上記の担体の組み合わせが含まれる。
【0081】
好ましいポリマー担体は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、およびポリエチレングリコールのうちの1つ以上である。ポリビニルピロリドン(PVP)は、典型的には、約2,500〜約3,000,000、例えば約10,000〜約450,000の平均分子量を有する。
【0082】
ポリマー担体は、好ましくは(i)アリピプラゾール遊離塩基およびその医薬上許容される塩(特には塩酸塩)の両方と混和性である、(ii)蒸発によって水が除去された後に均質な非結晶性固体状態分散剤中で塩を維持できる、(iii)アリピプラゾールに関して化学的に不活性である、および(iv)少なくとも部分的に水溶性である、ならびにより好ましくは十分に水溶性である。
【0083】
アリピプラゾール、ポリマー担体および水は、任意の順序で結合されてよい。典型的には、それらは、アリピプラゾールおよびポリマー担体の溶液を形成できるような方法で組み合わされる。ポリマー担体および水の溶液を形成する際に、この溶液を加熱する工程は低濃度では一般に必要とされないが、温度が任意の材料の分解もしくは劣化を生じさせないことを前提に、高濃度では好ましい。ポリマー担体を水中に溶解させた後に、透明溶液を形成するためには、適切には約25〜約100℃で、例えば約45℃〜約80℃でアリピプラゾールを加えるのが好ましい。
【0084】
アリピプラゾール対ポリマー担体の比率は、例えば、必要とされる正確な放出プロフィールに依存して変動させることができる。ポリマー担体対アリピプラゾールの典型的な重量比は、約100:1〜約0.5:1、好ましくは約50:1〜約1:1、例えば約20:1〜約2:1(例えば約5:1)の範囲に及ぶ。
【0085】
(好ましくは透明な)溶液が形成されると、本プロセスは、ポリマー担体中でアリピプラゾールの固体状態分散液を形成するために水を回収する工程によって進行する。均質な固体状態分散液を提供する水を除去する任意の方法を使用できるが、適切な方法は真空下での蒸発またはスプレー乾燥を含んでいる。真空下での蒸発方法には、回転蒸発、静的真空乾燥およびそれらの組み合わせが含まれる。医薬製剤の分野の当業者は、材料の劣化もしくは分解を惹起しないように高くないことを前提にして、水を除去できる合理的温度を容易に決定することができる。典型的には、蒸発は、約25℃〜約100℃で発生する。水の蒸発は、均質かつ実質的に水を含んでいない固体状態分散液を提供するはずである。「実質的に含まない」とは、固体状態分散液が含有する残留水が、典型的には20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満であることを意味する。
【0086】
任意の適切な医薬上許容される賦形剤を本発明の組成物に加えることができる。医薬上許容される賦形剤の例には、希釈剤、アリピプラゾールビヒクル、結合剤、錠剤崩壊剤、流動促進剤、甘味料、圧縮助剤、着色剤、フレーバー剤、懸濁化剤、分散剤、塗膜形成剤、印刷インク、潤滑剤および/または保存料が含まれる。これらの賦形剤は、従来型方法で、そして単独もしくは任意の組み合わせで使用できる。
【0087】
本医薬組成物は、従来型の混合方法、例えば混合する、充填する、造粒する、および圧縮する工程などによって調製することができる。直接圧縮および湿性造粒は、本発明の組成物を調製するために使用できる方法の2つの例である。以下ではこれらやその他の方法をより詳細に記載および/または例示する。
【0088】
賦形剤は、多数の理由のため、例えば製造を促進する、安定性を強化する、放出を制御する、生成物の特性を強化する、バイオアベイラビリティを強化する、患者の受容性を強化する、およびそれらの組み合わせのために加えることができる。
【0089】
剤形を一緒に保持するために役立つように使用できる代表的結合剤には、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、糖、およびそれらの組み合わせが含まれる。錠剤崩壊剤(例えばクロスカルメロースナトリウム)は、錠剤が粉々になることを湿潤が引き起こすと膨張する。潤滑剤は、典型的には粉末状材料の加工処理に役立つ。代表的な潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、植物油、ステアリン酸亜鉛、およびそれらの組み合わせが含まれる。流動促進剤の例は、二酸化ケイ素である。
【0090】
本明細書に記載した製剤は、充填剤、例えば非水溶性もしくは水溶性充填剤、またはそれらの組み合わせを含有していてよい。典型的な非水溶性充填剤には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、微結晶性セルロース、およびそれらの組み合わせが含まれる。典型的な水溶性充填剤には、水溶性糖および糖アルコール、好ましくはラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、デキストロース、ガラクトース、対応する糖アルコールおよびその他の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0091】
アリピプラゾールおよび任意の追加の添加物は、サブユニットとして、または例えば融解ペレット化法によるペレットとして調製することができる。この方法では、微細分割形のアリピプラゾールは結合剤および他の任意の不活性成分と結合され、その後この混合物は、例えばペレットを形成するために高剪断ミキサー内で混合物を機械的に作業する工程によってペレット化される。用語「ペレット」には、本発明者らはペレット、顆粒、スフェアおよびビーズを含んでいる。その後、ペレットは、ふるいにかけると必須サイズのペレットを得ることができる。
【0092】
結合剤材料は、さらにまた微粒子形にあってよく、典型的には約40℃を超える融点を有する。適切な結合剤物質には、水素化ヒマシ油、水素化植物油、他の水素化脂肪、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0093】
経口剤形は、多微粒子もしくはカプセル内のマルチペレットの形状にあるアリピプラゾールおよび任意で他の活性剤を含有する有効量のサブユニットを含むように調製できる。例えば、複数の多微粒子は、上記に規定したような放出プロフィールを提供するために十分な量でゼラチンカプセル内に配置できる。
【0094】
サブユニット(例えば多微粒子の形状にある)は、標準方法を用いて従来型錠剤化装置を用いて経口錠剤に圧縮することができる。錠剤製剤は、賦形剤、例えば、不活性希釈剤(例えばラクトース)、造粒および錠剤崩壊剤(例えばコーンスターチ)、結合剤(例えばデンプン)および潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を含むことができる。
【0095】
または、アリピプラゾールを含有し、そして任意で追加の活性物質を含有するサブユニットは押出プロセスにかけることができ、結果として生じる押出物は次に当分野において公知の方法によって錠剤に成形することができる。押出装置の開口部もしくは出口ポートの径を変化させると、抽出ストランドの厚さを調整することができる。さらに、押出機の出口部分は、任意の適切な形状、例えば円形、楕円形もしくは長方形を有していてよい。出てくるストランドは、例えば熱線カッターもしくは裁断機を用いる任意の適切な方法を用いて粒子へ粉砕することができる。
【0096】
溶融押出多微粒子系は、押出機の出口開口部に依存して、例えば、顆粒、スフェロイド、ペレットなどの形状にあってよい。用語「溶融押出多微粒子」および「溶融押出多微粒子系」および「溶融押出微粒子」は、本明細書では互換的に使用され、典型的には、好ましくは類似のサイズおよび/または形状の複数のサブユニットを含んでいる。溶融押出多微粒子は、典型的には長さが約0.1〜約12mmおよび径が約0.1〜約5mmである。さらに、溶融押出多微粒子は、このサイズ範囲内の任意の幾何学的形状であってよい。または、押出物は、ペレット化する工程の必要を伴わずに単純に所望の長さに切断して、単位用量のアリピプラゾールに分割してもよい。
【0097】
本明細書に記載した経口剤形の多くは、粒子の形状にあるアリピプラゾールおよび任意で追加の活性物質を含有している。そのような微粒子は、味覚マスキング剤形などのコーティング剤形、圧縮コーティング剤形、または腸溶コーティング剤形のコアエレメント内に存在する錠剤に圧縮することができる、またはカプセル剤、浸透圧ポンプ剤形、または他の剤形中に含有されてよい。
【0098】
コーティング剤形のコアエレメント内に存在する微粒子(例えば粉末微粒子)については、微粒子は約1μm〜約250μm、好ましくは約25μm〜約200μm、より好ましくは約35μm〜約150μmの粒径を有していてよい。コアエレメントは、典型的には、約100μmのメジアン値を含む微粒子サイズ分布を有する。
【0099】
考慮すべきまた別のパラメーターは、微粒子および/または任意のコアエレメントの形状である。例えば、微粒子/コア形状は、使用できる任意のコーティングの被覆範囲および安定性に影響を及ぼすことができる。アリピプラゾールの結晶化度および微粒子のアスペクト比は、どちらも微粒子/コアの形状に関連している。コーティング剤形のアリピプラゾールが結晶形態を有する場合、結晶上の鋭角はコーティング内の脆弱性(例えば応力点)を引き起こし、これがその剤形からのアリピプラゾールの早期放出を生じさせる。さらに、薄膜コーティングの領域は破損およびクラッキングに対して感受性であるので、そこで持続性放出および味覚マスキングのためには効果が弱い。この潜在的問題は、相対的に低いアスペクト比を有する微粒子/コアによってある程度相殺される可能性がある。アスペクト比は、長さ対幅の尺度である。例えば、約1の低アスペクト比は、四角形もしくは球形である。高アスペクト比を備える結晶は、針状結晶を備えて先がより尖っている。高アスペクト比を備える結晶は、結晶ニードルチップでの相対的に薄いコーティングを生じさせ、これはアリピプラゾールの好ましい速度より高速の放出速度をもたらす。コーティングの溶解度および製剤中に含有されるアリピプラゾール全部が放出される機会を増加させるためのどちらにとっても、低アスペクト比の球形の微粒子が有益である。このため、アスペクト比が約3未満、より好ましくは約2未満、および最も好ましくは実質的に円形を提供するおよそ1であることが最も好ましい。これは、例えば球形化によって達成できる。
【0100】
サイズおよび形状の不一致は、一貫性のないコーティングを導くことがある。アリピプラゾールを含有する微粒子のサイズおよび形状が様々である場所では、エチルセルロースなどのポリマーコーティング材料は各微粒子上に様々に沈着する可能性がある。このため、コーティング剤形については、コーティングプロセスをより良好に制御および維持できるように、その剤形の全部ではなくとも大多数の微粒子が実質的に同一のサイズおよび形状を有していることが好ましい。
【0101】
本明細書に記載した組成物は、コーティング材料でコーティングすることができる。コーティングは、典型的には約0〜約90重量%の組成物を含んでいる。コーティング材料には、典型的にはポリマー、好ましくは塗膜形成ポリマー、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、高もしくは低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルピロリドン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0102】
コーティング材料は、水溶性または非水溶性であってよい。味覚マスキングなどの所定の用途のためには、非水溶性ポリマーを使用するのが好ましい。適切な非水溶性ポリマーには、エチルセルロースもしくはエチルセルロースの分散液、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルポリマー、酢酸セルロース、低含量の第4級アンモニウムを有するアクリル酸塩もしくはメタクリル酸塩の酪酸塩もしくはプロピオン酸塩またはコポリマー、ならびに上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0103】
本発明の組成物において使用するために好ましい疎水性もしくは非水溶性ポリマーには、例えば、メタクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール−マレイン酸無水物コポリマー、β−ピペンポリマー、木材樹脂のグリセリルエステル、および上記の組み合わせが含まれる。
【0104】
コーティングは、1つ以上のモノマー材料、例えば糖(例えばラクトース、スクロース、フルクトースおよびマンニトール)、塩(例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)ならびに有機酸(例えばフマル酸、コハク酸、酒石酸および乳酸)をさらにまた含むことができる。コーティングは、本明細書で先に記載したような充填剤をさらに含むことができる。
【0105】
コーティング組成物は、コーティング塗膜の物理的特性を向上させる添加物を含むことができる。例えば、コーティング組成物は、可塑剤を含むことができる。例えば、エチルセルロースは相対的に高いガラス転移温度を有していて通常のコーティング条件下では柔軟性塗膜を形成しないので、エチルセルロースにはコーティング材料として使用する前に可塑剤を添加するのが有益なことがある。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、典型的にはコーティング組成物の0〜約50重量%の範囲に及ぶポリマーの濃度に基づいている。可塑剤の適切な濃度は、ルーチンの実験によって決定できる。
【0106】
エチルセルロースおよびその他のセルロースのための可塑剤の例には、例えばセバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせなどの可塑剤が含まれる。
【0107】
アクリルポリマーのための可塑剤の例には、例えばクエン酸トリエチル21、クエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジブチル、1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0108】
典型的なコーティングは、(a)水難透過性成分、例えばアルキルセルロース(例えばエチルセルロース)、例えばAQUACOAT(30%溶液)もしくはSURELEASE(25%溶液)、および(b)水溶性成分、例えば可溶性成分の水和もしくは溶解後に水難透過性成分を通るチャネルを形成できる物質とを含んでいる。
【0109】
好ましくは、水溶性成分(b)は、低分子量のポリマー材料、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキル(アルキルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの塩である。これらの水溶性ポリマー材料の特定の例には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMETHOCEL)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。水溶性成分(b)は、好ましくは相対的に低分子量、好ましくは約25,000未満、好ましくは約21,000未満である。
【0110】
コーティングにおいては、水溶性成分(b)対水難透過性成分(a)の重量比は、典型的には約1:4〜約2:1、例えば約1:2〜約1:1、例えば約2:3である。コーティングは、典型的には全組成物の約1〜約90重量%、例えば約2〜約50重量%、例えば約5〜約30重量%を構成する。
【0111】
好ましくは、コーティングは、実質的に連続性コーティングであり、実質的に穴を有していない可能性がある。これは、例えばコーティングが味覚マスキングを提供する場合に特に有益である。語句「実質的に連続性コーティング」は、倍率が1,000倍の走査型電子顕微鏡下で平滑かつ連続性の外観を保持しており、コーティングに穴も破れもないことが明白であるコーティングを含むことを意味する。典型的には、コーティングは、厚さ約0.005〜約25μm、好ましくは約0.05〜約5μmである。
【0112】
本発明の組成物においては、本明細書に記載した1つ以上のコーティングを使用できる。2つ以上のコーティングが存在する場合、各コーティングのために使用されるコーティング材料は、同一であっても相違していてもよい。
【0113】
コーティングを塗布するためには、任意の適切な方法を使用できる。使用できるプロセスには、単純もしくは複雑なコアセルベーション、界面重合、液体乾燥、熱および/またはイオンゲル化、スプレー乾燥、スプレー冷却、流動床コーティング、パン・コーティングおよび静電沈着法が含まれる。実質的に連続性のコーティングは、例えば、低露点を有する乾燥ガス中において溶媒中にポリマーを含むコーティング組成物の溶液中のアリピプラゾールの懸濁液もしくは分散液からのスプレー乾燥によって達成することができる。
【0114】
コーティングを塗布するために溶媒を使用する場合は、溶媒は、好ましくはコーティング材料のための良好な溶媒であり、アリピプラゾールのための不良な溶媒である有機溶媒である。アリピプラゾールが部分的に溶媒中に溶解する間に、有効成分はコーティング材料より急速にスプレー乾燥プロセス中に溶媒から沈降することが好ましい。溶媒は、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール、ジクロロメタン(塩化メチレン)などのハロゲン化炭化水素、シクロヘキサンなどの炭化水素、およびそれらの組み合わせから選択できる。
【0115】
溶媒中のポリマー濃度は、通常は約75重量%未満、典型的には約10〜約30重量%である。コーティング後、コーティングされた剤形は、典型的には約50℃〜約60℃の温度で約1〜約2時間にわたり硬化させられる。
【0116】
剤形(例えば錠剤)は、薬物製剤の化学の当業者には容易に明白である様々な従来型の混合、粉砕および作製技術によって調製できる。そのような技術の例は、直接圧縮法(適切なロータリー式錠剤機に適合させたパンチおよびダイスを用いる)、圧縮装置に適合させた適切な金型を使用する射出成形法もしくは圧縮成形法、造粒後に行う圧縮法、および金型内もしくは押出物に抽出した後に適切な長さに切断する方法である。
【0117】
粒子もしくは錠剤が直接圧縮法によって作製される場合は、粒子/錠剤へ潤滑剤を添加することが役立つ場合があり、時には粉末の流動を促進するため、そして圧力が緩和された時点の粒子のキャッピング(粒子の一部分の破損)を防止するために重要である。本明細書の上記の任意の潤滑剤を使用できる。好ましい潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウムおよび/またはフマル酸ステアリルナトリウム(典型的には粉末ミックスの約0.1〜約10重量%、例えば約0.25〜約3重量%)が含まれ、そして水素化植物油、例えばステアリン酸およびパルミチン酸の水素化および精錬トリグリセリドは粉末ミックスの約1〜約5重量%で使用できる。粉末流動性を強化して付着性を低下させるために追加の賦形剤を加えることができる。本発明の組成物は、直接圧縮法によって作製されるが、以下の実施例においてより詳細に記載する。
【0118】
経口剤形は、カプセル内の多微粒子の形状にある有効量の溶融押出サブユニットを含めることによって調製できる。例えば、複数の溶融押出多微粒子は、経口投与した場合に所望の放出プロフィールを提供するために十分な量でゼラチンカプセル内に配置できる。または、本組成物は、ゼラチンカプセル内に封入されたマイクロ錠剤の形状にあってよい。典型的にはマイクロ錠剤は、それらの最大寸法において0.5〜7mm、例えば1〜6mm、例えば3〜4mmなどのサイズを有する。
【0119】
以下では、好ましい成分を有する多数の製剤について記載する。1つのタイプの製剤中に使用されると記載された成分のいずれも、そのような成分が他の製剤において使用されると列挙されていなくても、他のタイプの製剤中に使用できることを理解されたい。さらに、以下に記載する製剤は、上記の賦形剤のいずれか、または実際に当分野において公知の賦形剤のいずれかをさらに含むことができる。
【0120】
本発明の組成物は、ワックス製剤の形状にあってよい。ワックス製剤は、ワックス状マトリックス内にアリピプラゾールを含む固形剤形である。
【0121】
本発明の組成物において使用されるワックス材料は、例えば、非晶質ワックス、アニオン性ワックス、アニオン性乳化ワックス、漂白ワックス、カルナバワックス、セチルエステルワックス、蜜ろう、キャスターワックス、例えばカチオン性乳化ワックス、セトリミド乳化ワックスもしくは非イオン性乳化ワックスなどの乳化ワックス、ベヘン酸グリセロール、微結晶性ワックス、非イオン性ワックス、パラフィン、石油ワックス、鯨ろう、白ろう、および上記のワックスの1つ以上の組み合わせであってよい。
【0122】
本発明において使用するために適切なセチルエステルワックスは、典型的には約470〜約490の分子量を有しており、主として飽和脂肪アルコールおよび飽和脂肪酸のエステルを含有する混合物である。本発明の組成物において使用するために適切なワックスマトリックスは、カルナバワックスを含有しており、他のワックス材料を含有していない。また別の適切なワックスマトリックスは、カルナバワックスおよびベヘン酸グリセロールを含んでいる。本発明において使用するために適切なワックスマトリックスは、コーティングを伴って、または伴わずに使用できる。
【0123】
ワックス材料は、ワックス材料の総重量で約30〜約95重量%、好ましくは約40〜約85重量%、より好ましくは約45〜約80重量%、最も好ましくは約50〜約75重量%の範囲内で使用できる。マトリックス材料の残りは、典型的にはアリピプラゾールであるが、他の任意の成分(例えば脂肪酸石けん、下記を参照)もまた存在していてよい。ワックスの組み合わせが使用される場合は、ワックスの成分は任意の適切な比率で使用できる。例えば、カルナバワックスとベヘン酸グリセロールの組み合わせが使用される場合、各ワックスの相対量は、典型的には約99〜60部のカルナバワックス(例えば99〜約85部)および約1〜約40部のベヘン酸グリセロール(例えば1〜約15部)である。カルナバワックスとキャスターワックスの組み合わせを有する製剤では、各ワックスの相対量は、典型的には約99〜60部のカルナバワックス(例えば99〜約85部)および約1〜約40部のキャスターワックス(例えば1〜約15部)である。カルナバワックス、ベヘン酸グリセロール、およびキャスターワックスが存在する場合は、カルナバワックスは典型的には存在するワックス材料の少なくとも約85%を含み、ベヘン酸グリセロールとキャスターワックスの組み合わせの平衡が保たれる。
【0124】
ワックス剤形中には、脂肪酸および脂肪酸石けんが存在してよい。一部の場合には、脂肪酸および/または脂肪酸石けんがワックス材料の一部分に取って代わることができる。これらの任意の脂肪酸および脂肪酸石けんは、錠剤化潤滑剤として製薬工業において一般に使用されるものであってよい。そのような脂肪酸および脂肪酸石けんは、固形脂肪酸(例えば約16〜約22個の炭素原子を有する脂肪酸)、それらのアルカリ土類金属塩(特にはマグネシウムおよびカルシウム塩)ならびに上記の組み合わせが含まれる。例えば、脂肪酸はステアリン酸であってよい。任意の脂肪酸および脂肪酸石けんは、存在する場合は、典型的にはマトリックス材料の総重量の約10%まで、例えば約1〜約9%、例えば約2〜約8%または約3〜約6%の量で使用される。
【0125】
ワックス製剤を調製するためには、1つまたは複数のワックスを溶融させ、溶融造粒法を用いてアリピプラゾールを造粒するために使用できる。顆粒は、冷却させ、次に適切なサイズに粉砕することができる。有益には、顆粒は、約75ミクロン〜約850ミクロン、好ましくは約150ミクロン〜約425ミクロンの平均粒径に粉砕される。粉砕された顆粒は、任意の加工処理助剤と混合することができる。加工処理助剤には、例えば、疎水性コロイド状二酸化ケイ素が含まれる。疎水性二酸化ケイ素は、典型的にはマトリックス材料の約0.5重量%以下の量で使用できるが、個々の製剤は必要に応じて変化させることができる。ワックス状顆粒およびもしあれば加工処理助剤の混合物は、圧縮して任意でコーティングすることができる。
【0126】
ワックス製剤は、任意の適切な剤形に調製することができ、例えばコーティング(例えば機能的コーティング組成物もしくは非機能的コーティング組成物を用いる)もしくは非コーティング錠剤、カプセル剤に含有される圧縮ペレット、または粉末散剤もしくは粉末充填カプセル剤に調製することができる。
【0127】
コーティング組成物が機能的コーティング組成物である場合は、典型的には非水溶性成分および水溶性成分を含んでいる。コーティング組成物が非機能的コーティング組成物である場合は、典型的には好ましくは非水溶性成分の非存在下で、水溶性成分を含んでいる。コーティング組成物は、医薬上許容される色素、顔料、またはそれらの混合物を含んでいてよい。
【0128】
上述したように、本発明の組成物は、アリピプラゾールに加えて1つ以上の活性物質を含むことができる。このため、ワックス製剤は、マトリックス内にアリピプラゾールに加えて活性物質をさらに含むことができる。
【0129】
本明細書に記載したワックス製剤は、溶融物を形成するためにワックス材料をホットメルト加工し、そして顆粒を形成するために溶融物を用いてアリピプラゾールを造粒する工程によって作製できる。顆粒は、典型的にはマトリックスを形成するためにその後粉砕されて圧縮される。本方法は、マトリックスを形成するために顆粒を圧縮する前に顆粒と加工処理助剤とを混合する工程をさらに含むことができる。本方法は、マトリックスを機能的および/または非機能的コーティングでコーティングする工程をさらに含むことができる。
【0130】
本発明の組成物は、圧縮コーティング製剤の形状にあってよい。そのような製剤は、コア上に圧縮コーティングされたコーティング組成物を備える、アリピプラゾールを含有するコア組成物を含んでいる。コア組成物は、典型的には、アリピプラゾールを含有するワックス状材料を含んでいる。コーティング組成物は、典型的には親水性ポリマーおよび任意でアリピプラゾールを含んでいる。
【0131】
コア組成物のワックス状材料は、典型的にはアリピプラゾールの制御放出を提供することのできる疎水性ワックス状材料である。そのようなワックス状材料は、例えば、カルナバワックス、トリベヘニン、脂肪アルコール(特には12〜24個の炭素原子を有する、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコールなど)、脂肪酸(特には12〜24個の炭素原子を有する、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸など)、ポリエチレン、キャスターワックス、C16−30脂肪酸トリグリセリド、蜜ろう、および上記のワックスの1つ以上の組み合わせであってよい。
【0132】
コーティング組成物の親水性ポリマーは、典型的には、アリピプラゾールの制御放出を補助できるように選択される。そのような親水性ポリマーの例は、塗膜形成ポリマー、例えば親水性セルロースポリマー、特にはヒドロキシアルキルセルロースポリマーである。そのようなヒドロキシアルキルセルロースポリマーの例には、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース(HPPC)、ヒドロキシプロピルブチルセルロース(HPBC)、および上記のポリマーの1つ以上の組み合わせが含まれる。
【0133】
コア組成物およびコーティング組成物の両方は、独立して、充填剤、例えば水溶性もしくは非水溶性充填剤、またはそれらの混合物を含むことができる。非水溶性充填剤の例には、タルクおよびカルシウム塩、例えばリン酸カルシウム、例えばリン酸二カルシウムが含まれる。コーティング組成物中に充填剤が存在する場合は、もしあればコア組成物中の充填剤と同一であっても相違していてもよい。例えば、コア組成物は、水溶性充填剤を含むことができるが、コーティング組成物は非水溶性充填剤を含むことができる。
【0134】
コア組成物および/またはコーティング組成物中には、任意の賦形剤もまた存在していてよい。そのような賦形剤には、潤滑剤(例えばタルクおよびステアリン酸マグネシウム)、流動促進剤(例えば溶融シリカもしくはコロイド状シリカ)、pH修飾剤(例えば酸、塩基およびバッファ系)、医薬上有用な加工処理助剤、ならびに上記の賦形剤の1つ以上の組み合わせが含まれる。組成物中の賦形剤は、コア組成物中の賦形剤と同一であっても相違していてもよい。
【0135】
圧縮コーティング製剤を形成するためには、コア組成物成分(アリピプラゾール、ワックス状材料、および任意の賦形剤)は、典型的には一緒に混合されて適切なコアに圧縮される。混合する工程は、適切な添加順序で行うことができる。コアは、最少量の成分から開始して、連続してより大量の成分を加えることによって混合できる。また別のプロセスは、ワックスを溶融させ、アリピプラゾールおよび任意の賦形剤を溶融したワックス内に混合する方法である。または、アリピプラゾール、ワックスおよび任意の賦形剤を一緒に混合し、次にワックスが溶融する温度下に置くこともできる。冷却したら、固化した塊を顆粒に粉砕してコア内に圧密化することができる。
【0136】
典型的には、コア組成物は、錠剤を形成するためにコーティング組成物を用いて圧縮コーティングされる。錠剤は、任意の追加のコーティングでさらにコーティングすることができる。追加のコーティングは、pH依存性もしくはpH非依存性であっても、審美的もしくは機能的であってもよく、そしてアリピプラゾールまたは相違する活性物質を含有していてよい。
【0137】
コーティング組成物中にアリピプラゾールが存在する場合は、コア組成物中のアリピプラゾール対コーティング組成物中のアリピプラゾールのモル比は、約500:1〜約1:10、例えば約100:1〜約1:5、例えば約10:1〜約1:1である。
【0138】
好ましい圧縮コーティング製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むコーティング組成物でコーティングされたアリピプラゾールを含むコア組成物を含んでいる。コア組成物は、任意で1つ以上のワックス状材料、例えばカルナバワックスを含んでおり、そしてコーティング組成物は任意でアリピプラゾールを含んでいる。そのような圧縮コーティング製剤は、コーティング組成物をコア組成物の上に圧縮コーティングすることによって調製できる。
【0139】
本発明の組成物は、浸透圧ポンプ法を用いて調製できる。浸透圧ポンプ法は、浸透圧を使用して制御された速度でアリピプラゾールを送達する。浸透圧ポンプ投与製剤は、典型的には、1つの成分はアリピプラゾールを含み、もう1つの成分は浸透圧プッシュ層(浸透圧的に能動的な膨張性駆動部材)、例えば浸透圧的能動ポリマーを含む少なくとも2つの成分を含有するコアを取り囲む半透膜を含んでいる。剤形が嚥下された後、水は主として膜の性質によって決定される速度で膜に進入する。これは、浸透圧的に能動的な駆動部材の作用によってプッシュ層が膨潤し、通路もしくは開口部(例えばレーザー穿孔穴)を含む出口手段を通って制御された速度でアリピプラゾールを放出することを引き起こす。
【0140】
浸透圧ポンプ製剤は、典型的には半透膜、例えばカプセル剤もしくは錠剤、または選択的半透性材料を含む外壁を典型的に有する他の剤形を含んでいる。選択的透過性材料は、好ましくは以下の(i)宿主もしくは動物に有害な影響を及ぼさない、(ii)アリピプラゾールの通過に対しては本質的に不透過性を維持しながら水もしくは生体液などの外部水溶液の通過には透過性である、(iii)実質的に体液には不溶性である、(iv)非毒性である、および(v)それが曝される環境において非浸食性であるという特性を有する。
【0141】
選択的半透膜を形成するための代表的材料には、半透性ホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。適切な材料には、例えば、セルロースエステル、セルロースモノエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、およびそれらの組み合わせが含まれる。これらのセルロースポリマーは、それらのアンヒドログルコース単位上で0超〜約3の置換度(DS)を有する。「置換度」は、置換基によって置換されている、または別の基に変換されているアンヒドログルコース単位上に最初に存在していたヒドロキシル基の平均数である。アンヒドログルコース単位は、半透性ポリマー形成基、例えばアシル、アルカノイル、アロイル、アルケニル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネートおよびアルキルスルファネートで部分的もしくは完全に置換することができる。
【0142】
その他の選択的透過性材料には、例えば、アシル酸セルロース、ジアシル酸セルロース、トリアシル酸セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、モノ−、ジ−およびトリ−セルロースアルカニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アルケニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アロイレート、ならびに上記の材料の組み合わせが含まれる。代表的なポリマーには、1.8〜2.3のDSおよび約32〜約40%のアセチル含量を有する酢酸セルロース、1〜2のDSおよび約21〜約35%のアセチル含量を有する二作酸セルロース、2〜3のDSおよび約34〜約45%のアセチル含量を有する三酢酸セルロースが含まれる。セルロースポリマーのその他の例には、1.8のDSおよび約38.5%のプロピオニル含量を有するプロピオン酸セルロース、約1.5〜約7%のアセチル含量および約39〜約42%のプロピオニル含量を有する酢酸プロピオン酸セルロース、約2.5〜約3%のアセチル含量、約39〜約45%の平均プロピオニル含量および約2.8〜約5.4%のヒドロキシル含量を有する酢酸プロピオン酸セルロースを有するプロピオン酸セルロースが含まれる。さらにまた別の代表的なセルロースポリマーには、1.8のDS、約13〜約15%のアセチル含量および約34〜約39%のブチリル含量を有する酢酸酪酸セルロース、約2〜約29.5%のアセチル含量、約17〜約53%のブチリル含量、および約0.5〜約4.7%のヒドロキシル含量を有する酢酸酪酸セルロースが含まれる。適切なセルロースポリマーのさらにまた別の例には、2.9〜3のDSを有する例えば三吉相酸セルロース、三ラウリン酸セルロース、三パルミチン酸セルロース、三オクタン酸セルロース、および三プロピオン酸セルロース、2.2〜2.6のDSを有するセルロースジエステル、例えば二コハク酸セルロース、二パルミチン酸セルロース、二オクタン酸セルロース、cellulose dicarpylate、混合セルロースエステル、例えば酢酸吉相酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉相酸パルミチン酸セルロース、酢酸ヘプタン酸セルロース、および上記のセルロースポリマーポリマーの組み合わせが含まれる。
【0143】
その他の潜在的に適切な半透性ポリマーには、例えば、酢酸ジメチルセルロースアセトアルデヒド、酢酸エチルカルバミン酸セルロース、酢酸メチルカルバミン酸セルロース、ジメチルアミノ酢酸セルロース、半透性ポリアミド、半透性ポリウレタン、半透性ポリスルファン、半透性スルホン化ポリスチレン、ポリアニオンとポリカチオンの共沈によって形成される架橋結合選択的半透性ポリマー、半透性シリコーンガム、半透性ポリスチレン誘導体、半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチル)塩化アンモニウムポリマー、ならびに先行段落に列挙した選択的透過性材料の1つ以上との組み合わせを含む、上記のポリマーを含む組み合わせが含まれる。
【0144】
浸透圧ポンプ剤形の浸透圧的膨張性駆動部材(もしくは浸透圧プッシュ層)は、典型的には膨潤性および膨張性内層である。浸透圧プッシュ層を形成するために適切な材料には、それらのどちらも典型的には水、生体液と相互作用する、液体を吸収する、そして溶解せずに液体の存在下で平衡状態へ膨潤もしくは膨張するポリマー材料および/または浸透圧剤と混合されたポリマー材料が含まれる。好ましくは、ポリマーはポリマー分子構造内で吸収された流体の有意な分画を保持する能力を示すはずである。そのようなポリマーは、例えば約2〜約50倍の容量増加を示すような、極めて高度に膨潤もしくは膨張できるゲルポリマーであってよい。
【0145】
浸透圧ポリマーとして公知である適切な膨潤性親水性ポリマーは、非架橋結合もしくは軽度の架橋結合であってよい。架橋結合は、ポリマーとの共有結合もしくはイオン結合であってよい。ポリマーは、植物、動物もしくは合成起源であってよい。本目的のために有用なポリマー材料には、約5,000〜約5,000,000の分子量を有するポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、約10,000〜約360,000の分子量を有するポリ(ビニルピロリドン)、アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル、ポリ(電解質)複合体、低酢酸塩残留物を有するポリ(ビニルアルコール)、寒天およびカルボキシメチルセルロースの膨潤性混合物、難溶性架橋結合寒天と混合したメチルセルロースを含む膨潤性組成物、マレイン酸無水物とスチレン、エチレン、プロピレン、もしくはイソブチレンとの微粉末コポリマーの分散によって生成された水膨潤性コポリマー、N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー、および上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0146】
浸透圧プッシュ層を形成するために有用なポリマーを吸収かつ維持するためのその他のゲル化可能な流体には、約30,000〜約300,000の範囲に及ぶ分子量を有するペクチン、例えば寒天、アカシア、カラヤ、トラガント、アルギンおよびグアールなどの多糖類、ポリ(カルボン酸)およびそれらの塩誘導体、ポリアクリルアミド、水膨潤性マレイン酸インデン無水物ポリマー、約80,000〜約200,000の分子量を有するポリアクリル酸、約100,000〜約5,000,000(しかしそれ以上もある)の分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、デンプングラフトコポリマー、ポリアニオンおよびポリカチオン交換ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリルコポリマー、それらの元の重量の約100〜約600倍の吸水性を備えるアクリル酸塩ポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールおよびポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)の混合物、ゼイン(プロラミンとして入手可能)、約4,000〜約100,000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)、および上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0147】
浸透圧ポンプ剤形の浸透圧的膨張性駆動層は、そのままで使用できる、または上記で考察した膨潤性ポリマーと均質もしくは不均質に混合することのできる浸透圧的に有効な化合物(浸透剤)をさらに含有することができる。そのような浸透剤は、典型的には、膨潤性ポリマー内に吸収された流体中で可溶性であり、外部流体に対して半透膜を越える浸透圧勾配を示す浸透圧的に有効な溶質である。
【0148】
適切な浸透剤には、例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、尿素、sorbital、イノシトール、スクロース、グルコース、およびそれらの組み合わせなどの固形化合物が含まれる。浸透剤の浸透圧は、典型的には約0〜約500atmであるが、それより高くてもよい。
【0149】
浸透圧的膨張性駆動層の膨潤性膨張性ポリマーは、剤形からアリピプラゾールを送達するための駆動源を提供することに加えて、浸透圧的に有効な化合物(もしくは浸透剤)のための支持マトリックスとしてさらに機能することができる。浸透圧化合物は、所望の膨張性壁もしくは膨張性ポケットを産生するためにポリマーと均質もしくは不均質に混合されてよい。典型的な浸透圧ポンプ剤形は、製剤の総重量に基づいて、約20〜約90重量%のポリマーおよび約80〜約10重量%の浸透圧化合物、好ましくは約35〜約75重量%のポリマーおよび約65〜約25重量%の浸透圧化合物を含んでいてよい。
【0150】
浸透圧ポンプ剤形中のアリピプラゾールは、例えば、アリピプラゾールが熱応答性組成物中に分散している熱応答性製剤として、任意の適切な方法で調製することができる。または、浸透圧ポンプ剤形は、浸透圧プッシュ層とアリピプラゾール組成物との界面で熱応答性組成物を含む熱応答性素子を含有していてよい。代表的な熱応答性組成物(それらの融点は括弧内に含む)は、カカオ脂(32℃〜34℃)、カカオ脂および2%蜜ろう(35℃〜37℃)、プロピレングリコールモノステアレートおよびジステアレート(32℃〜35℃)、水素化油、例えば水素化植物油(36℃〜37.5℃)、80%水素化植物油および20%ソルビタンモノパルミテート(39℃〜39.5℃)、80%水素化植物油および20%ポリソルベート60(36℃〜37℃)、77.5%水素化植物油、20%ソルビタントリオレエート、2.5%蜜ろうおよび5.0%蒸留水(37℃〜38℃)、飽和酸および不飽和酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびアラキドン酸を含む8〜22個の炭素原子を有する酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリド;モノ−およびジグリセリドを含む飽和脂肪酸のトリグリセリド(34℃〜35.5℃)、プロピレングリコールモノ−およびジステアレート(33℃〜34℃)、部分水素化綿実油(35℃〜39℃)、ポリオキシアルキレンとプロピレングリコールのブロックコポリマー、1,2−ブチレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、硬化脂肪アルコールおよび脂肪(33℃〜36℃)、ヘキサジエノールおよび加水ラノリントリエタノールアミングリセリルモノステアレート(38℃)、モノ−、ジ−およびトリグリセリドの共晶混合物(35℃〜39℃)、WITEPSOL#15、モノグリセリドを備える飽和植物性脂肪酸のトリグリセリド(33.5℃〜35.5℃)、ヒドロキシル基を含まないWITEPSOL H32(31℃〜33℃)、225〜240の鹸化値を有するWITEPSOL W25(33.5℃〜35.5℃)、220〜230の鹸化値を有するWITEPSOL E75(37℃〜39℃)、例えばエチレンオキシドの線状ポリマーであるポリエチレングリコール1000(38℃〜41℃)、ポリエチレングリコール1500(38℃〜41℃)、ポリエチレングリコールモノステアレート(39℃〜42.5℃)、33%ポリエチレングリコール1500、47%ポリエチレングリコール6000および20%蒸留水(39℃〜41℃)、30%ポリエチレングリコール1500、40%ポリエチレングリコール4000および30%ポリエチレングリコール400(33℃〜38℃)などのポリアルキレングリコール、11〜17個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のモノ−およびジ−およびトリグリセリドの混合物(33℃〜35℃)、ならびに上記の混合物である。
【0151】
熱応答性担体を含む熱応答性組成物は、約20℃〜約33℃の温度で固形組成物中にアリピプラゾールを貯蔵するため、膨潤性組成物界面で非混和性境界を維持するため、および約33℃より高い、そして好ましくは約33℃〜約40℃の温度で流動性組成物中に本物質を分配させるために有用であると考えられる。
【0152】
上述した熱応答性製剤を含有するアリピプラゾールが使用された場合は、そのような浸透圧ポンプ剤形中にもまた存在する半透膜の完全性は、好ましくは熱応答性製剤の存在によって弱化(例えば溶融もしくは浸食)されない。
【0153】
浸透圧ポンプ剤形中のアリピプラゾールは、例えば、以下でより詳細に記載する湿性造粒または流動床造粒によるように、当分野において公知の適切な技術により調製できる。
【0154】
第1に、アリピプラゾールおよびアリピプラゾール層を含む成分は、例えばイソプロピルアルコール−二塩化エチレン(80:20v/v(容量:容量))などの有機溶媒を造粒液として用いて混合される。その他の例えば変性アルコール100%などの造粒液をこのために使用できる。アリピプラゾール層を形成する成分は、40メッシュスクリーンなどのスクリーンへ個別に通過させられ、次にミキサー内で完全に混合される。次に、アリピプラゾール層を含む他の成分は、一部分の造粒液中に溶解させられる。次に、後者の調製された湿性混合物は、ブレンダー内で連続的に混合しながらアリピプラゾール混合物へ緩徐に加えられる。造粒液は、湿性混合物が生成されるまで加えられ、その湿性塊は次に例えば20メッシュのスクリーンなどのスクリーンに通してオーブントレイ上に進行させられる。混合物は、約30℃〜約50℃で約18〜約24時間にわたり乾燥させられる。乾燥顆粒は、次に例えば20メッシュのスクリーンなどのスクリーンを用いてサイジングされる。次に、潤滑剤が80メッシュのスクリーンなどのスクリーンを通過させられ、乾燥顆粒混合物に加えられる。混合物は、製粉ジャー内に入れられ、約1〜約15分間にわたりジャーミル上で混合される。プッシュ層もまた同一の湿性造粒法により作製できる。これらの組成物は、KILIAN圧縮層圧縮機においてそれらの個別層に圧縮される。
【0155】
アリピプラゾール層および浸透圧的膨張性駆動層を提供するために使用できるまた別の製造プロセスは、流動床造粒機において各層のための粉末状成分を個別に混合する工程を含んでいる。粉末状成分が造粒機内で乾式混合された後、造粒液(例えば水中のポリ(ビニルピロリドン)、変性アルコール、95:5のエチルアルコール/水、またはエタノールと水の混合物)が粉末上にスプレーされる。任意で、これらの成分は、造粒液中に溶解もしくは懸濁させることができる。次にコーティングされた粉末は、典型的には造粒機内で乾燥させられる。このプロセスは、造粒液を加えながら、その中に存在する成分を造粒する。顆粒が乾燥させられた後、ステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が造粒機に加えられる。次に各個別層のための顆粒は、湿式造粒法について上述した方法で圧縮できる。
【0156】
浸透圧プッシュアリピプラゾール製剤および浸透圧プッシュ剤形の浸透圧プッシュ層は、アリピプラゾールを組成物形成成分と混合し、その組成物を固体薄層に圧縮する工程によって製造することもできる。また別の製造方法では、アリピプラゾール、任意の他の組成物形成成分および溶媒は、ボールミル粉砕法、カレンダー法、攪拌もしくはロール粉砕法などの方法によって典型的には固体、もしくは半固体に混合され、そして次に事前に選択した層形成形状に圧縮される。次に、浸透圧ポリマーおよび任意で浸透剤を含む組成物の層は、典型的にはアリピプラゾールを含む層と接触させて配置される。アリピプラゾールを含む第1層ならびに浸透圧ポリマーおよび任意の浸透剤組成物を含む第2層の層形成は、従来型層圧縮法を用いる工程によって遂行できる。
【0157】
半透壁は、圧縮された二重層の形状を壁形成材料に成形する、スプレーする、もしくは浸漬する工程によって適用できる。壁形成組成物が層を取り囲むまで空気流内で2つの層を懸濁かつ回転させる工程を含む空気懸濁液コーティング法もまた、浸透圧製剤の半透壁を形成するために使用できる。
【0158】
浸透圧ポンプ剤形のディスペンサは、例えば硬質もしくは軟質カプセルの形状にあってよい。カプセルもまた、浸透圧性であってよい。
【0159】
硬質カプセルは、典型的には本体(一般にはキャップより大きい)にアリピプラゾールが充填された後に組み合わせられるキャップと本体の2つの部分から構成されてよい。硬質カプセルは、キャップセクションを本体セクションの上方にスリップさせる、またははめ込むことよって組み合わせることができるので、アリピプラゾールは完全に取り囲まれて封入される。
【0160】
浸透圧ポンプ剤形の軟質カプセルは、ワンピース軟質カプセルであってよい。典型的には、軟質カプセルは、アリピプラゾールを封入している密閉構造を含んでいる。カプセルは、様々なプロセス、例えばプレートプロセス、ロータリーダイプロセス、往復ダイプロセス、および連続プロセスなどによって作製できる。
【0161】
浸透圧ポンプ剤形のカプセルを形成するために有用な材料は、ゼラチン(典型的には約5〜約30ミリポアズの粘度および約150gまでのブルーム強度を有する、または約150〜約250のブルーム値を有するゼラチン)、ゼラチン、グリセリン、水および二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、エリスロシン、酸化鉄および二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、ソルビン酸カリウムおよび二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、アカシア、グリセリン、および水を含む組成物、ならびにそれらの組み合わせを含む市販で入手できる材料であってよい。市販で入手できるゼラチンカプセル(例えばCAPSUGEL)もまた使用できる。
【0162】
半透壁形成組成物は、アリピプラゾール含有成分および/または層状配列にあるカプセルの外面に、成形する工程、形成する工程、空気乾燥法、浸漬もしくはブラッシングによって適用することができる。半透壁を適用するために使用できるまた別の方法には、空気懸濁法およびパン・コーティング法が含まれる。例えば、空気懸濁法は、壁がカプセルを取り囲んでコーティングするまで空気および半透壁形成組成物の流動内でカプセル配置を懸濁かつ回転させる工程を含んでいる。本方法は、半透性積層壁を形成するために様々な半透壁形成組成物を用いて繰り返すことができる。
【0163】
半透壁を製造するために適切な代表的な溶媒には、浸透圧ポンプ剤形において使用される材料、例えばカプセル壁、アリピプラゾール、熱応答性組成物、発泡性部材、または最終ディスペンサを有害に傷つけない不活性の無機および有機溶媒が含まれる。そのような溶媒には、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、水素化溶媒、脂環式、芳香族、複素環式溶媒、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の溶媒には、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、n−ブチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、四塩化炭素、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、水、ならびに例えばアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、二塩化メチレンおよびメタノール、および二塩化エチレン、メタノールなどのそれらの混合物、そして上記の組み合わせが含まれる。
【0164】
浸透圧ポンプ剤形におけるアリピプラゾールを放出するための出口手段もしくは穴は、製造中または使用時に作製できる。例えば、出口手段もしくは穴は、機械的もしくはレーザー穿孔する工程によって、または例えばゼラチンプラグなどの壁内の浸食性素子を浸食させる工程によって形成できる。開口部は、半透壁内に挿入されるポリマーであってよく、そのポリマーは、典型的には少なくとも1つの(マイクロ)ポアを有する(マイクロ)ポーラスポリマーである。
【0165】
胃および消化管内でアリピプラゾールを制御放出するための製剤の例は、アリピプラゾールが単に親水性だけではなく水膨潤性であるポリマーマトリックス内に分散させられる製剤である。そのような水膨潤性マトリックスは、典型的には実質的にはそれらの膨潤速度より緩徐な浸食速度を有しており、そして主として拡散によってアリピプラゾールを放出する。
【0166】
マトリックスからのアリピプラゾールの拡散速度は、製剤の数多くの特性を変化させることによって修飾できる。例えば、アリピプラゾールの拡散速度は、アリピプラゾールの粒径を増加させることによって、マトリックス中に使用されるポリマーの選択によって、および/またはポリマーの分子量の選択によって緩徐化することができる。マトリックスは、典型的には、消化されると少なくともその未膨潤容量の2倍であり、さらに胃貯留を促進できるサイズへ膨潤する相対的に高分子量のポリマーである。膨潤すると、マトリックスは長期間(例えば約1〜約48時間、例えば、約2〜約24時間もしくは約3〜約12時間)にわたってガラス状もしくは結晶性ポリマーからこのガムと一致するポリマーへ変換することができる。
【0167】
典型的には、浸透する流体は、溶液分散のプロセスによる段階的かつ長期的方法でのアリピプラゾールの放出、即ち浸透する流体内へのアリピプラゾールの溶解およびマトリックスからの溶解した薬物の引出しを引き起こす。
【0168】
典型的には、マトリックス自体は投与前には固体であり、投与されると、アリピプラゾールの大半が溶液分散による制御された方法(上述した放出プロフィールによって規定される)で放出されることを許容するために十分な時間にわたって胃液中に未溶解で(即ち、浸食されずに)残留している。このため、アリピプラゾールの放出における速度限定因子は、マトリックスの浸食、溶解もしくは化学的分解以外のマトリックスからのアリピプラゾールの制御された拡散であると考えられている。
【0169】
マトリックスを形成する水膨潤性ポリマーは、非毒性であり、水(および/または他の流体)を吸収すると位置関係的に制限されない方法で膨潤する、そして組み込まれたアリピプラゾールの持続性放出を提供するポリマーである。適切なポリマーの例には、例えば、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および微結晶性セルロース)、多糖類およびそれらの誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、多糖ガム、マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプンおよびデンプンをベースとするポリマー、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタンヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸およびそれらの誘導体、ブロックコポリマーおよびグラフトポリマー(例えばポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーであるPLURONICおよびTECTONIC)を含む上記のポリマーのコポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0170】
本明細書で使用するように、他に特に規定しない限り、用語「セルロース」および「セルロースの」は、アンヒドログルコースの線状ポリマーを意味する。適切なセルロースポリマーには、例えば、予想可能な遅延方法で最終的には消化管(GI)内で溶解するアルキル置換セルロースポリマーが含まれる。特定の例は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースである。適切なアルキル置換セルロースポリマーの粘度は、典型的には20℃での2%水溶液として約100〜約110,000センチポアズ、または20℃での1%水溶液として約1,000〜約4,000センチポアズである。代表的なアルキル置換セルロースは、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシエチルセルロースの特定の例は、NATRASOL 250HX NFである。
【0171】
適切なポリアルキレンオキシドは、アルキル置換セルロースポリマーについて上述した特性を有するポリアルキレンオキシドである。ポリアルキレンオキシドの例は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)であるが、この用語は本明細書では未置換エチレンオキシドの線状ポリマーを意味するために使用する。適切なPEOポリマーは、典型的には約4,000,000を超える、好ましくは約4,500,000〜約10,000,000、より好ましくは約5,000,000〜約8,000,000の分子量を有する。好ましいポリエチレンオキシドは、約1X105〜約1X107、好ましくは約9X105〜約8X106の範囲内の重量平均分子量を備えるポリエチレンオキシドである。適切なPEOは、典型的には20℃での2%水溶液として約50〜約2,000,000センチポアズの粘度を有する。PEOの2つの特別な例は、グレードWSR Coagulant、分子量5,000,000、およびグレードWSR 303、分子量7,000,000のPOLYOX NFである。
【0172】
適切な多糖ガムの例は、天然および改質(半合成)多糖ガム、例えばデキストラン、キサンタンガム、ゲランガム、ウェランガム(welan gum)およびラムザンガム(rhamsan gum)である。
【0173】
適切な架橋ポリアクリル酸には、それらの特性がアルキル置換セルロースポリマーおよびポリアルキレンオキシドポリマーについて上述した特性と同一または類似である架橋ポリアクリル酸が含まれる。典型的には、そのような架橋ポリアクリル酸は、25℃で1%水溶液として約4,000〜約40,000センチポアズの粘度を有する。3つの特別な例は、グレード971P、974Pおよび934PのCARBOPOL NFである。その他の例には、デンプン/アクリル酸塩/アクリルアミドコポリマーであるWATER LOCKとして知られるポリマーが含まれる。
【0174】
上述したように、上記で考察したポリマーの親水性および水膨潤性は、水および/またはその他の流体の進入に起因してアリピプラゾール含有マトリックスが胃腔内のサイズに膨潤することを引き起こす。この膨潤は、摂食期中にマトリックスが胃内に残留することを促進する。親水性および水膨潤性はさらにマトリックスが滑りやすくなることを引き起こし、これは蠕動に対する抵抗性を提供し、さらに胃内の残留を促進する。
【0175】
マトリックスからのアリピプラゾールの放出速度は、主として吸水速度およびアリピプラゾールが溶解して膨潤ポリマーから拡散する速度に依存するが、これは順にアリピプラゾールの溶解度および溶解速度、アリピプラゾールの粒径ならびにマトリックス内のアリピプラゾールの濃度に関連している。さらに、これらのマトリックス形成ポリマーは典型的には胃液中では極めて緩徐に溶解するので、マトリックスは少なくとも実質的期間にわたり、典型的には投与期間の少なくとも70もしくは80%、そして多くの場合には投与期間の少なくとも90%および100%以上さえにわたってその物理的完全性を維持する。一般に、粒子はその後、緩徐に溶解もしくは分解する。完全な溶解もしくは分解は投与後24時間以上が経過するまで発生しないが、多くの場合には、完全な溶解もしくは分解は投与期間の10〜24時間以内に発生する。
【0176】
膨潤性マトリックス剤形は、胃液内へのアリピプラゾールの放出速度をさらに遅延させるために、わずかな疎水性の性質を付与する添加物を含むことができる。そのような放出速度遅延剤の例は、グリセリルモノステアレート、脂肪酸および脂肪酸の塩(例えばミリスチン酸ナトリウム)である。典型的には、添加物対アリピプラゾールの重量比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:5〜約5:1の範囲内にある。
【0177】
アリピプラゾールに対するポリマーの量は、所望の放出プロフィールの正確な性質、その分子量、および製剤中に存在していてよい賦形剤に依存して変動してよい。しかし、ポリマーの量は、全部のアリピプラゾールが放出されるまでポリマーマトリックスが実質的に無傷のままでいるために十分である。本明細書で使用する用語「実質的に無傷」は、ポリマー部分が、胃液中に溶解され始めること、または断片もしくは小さな微粒子に破壊されることに起因する劣化を伴わずに実質的にそのサイズおよび形状を保持していることを意味する。
【0178】
水膨潤性ポリマーは、個別に、または組み合わせて使用できる。所定の組み合わせは、それらの成分が個別に使用された場合よりもアリピプラゾールのより制御された放出を提供することが多い。そのような組み合わせには、セルロースをベースとするポリマー(例えばヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース)またはガム(例えばキサンタンガム)と組み合わせたポリ(エチレンオキシド)が含まれる。
【0179】
膨潤性マトリックス剤形の利点は、典型的には広範囲のアリピプラゾール装填量、例えば約0.001:1〜約10:1のアリピプラゾール対ポリマーの重量比にわたって達成される。典型的な装填量(結合されたアリピプラゾールおよびポリマーに対するアリピプラゾールの重量%によって表示する)は、約0.001〜約50%、好ましくは約0.01〜約40%、例えば約0.1〜約30%、例えば約1〜約20%である。
【0180】
膨潤性マトリックス製剤は、さらにまた消化状態(食後もしくは「摂食」モードにあるとも言われる)にある被験者に投与される場合の有意な有用性が見いだされている。食後モードは空腹時(もしくは「絶食」)モードとは、胃内容物の胃内貯留または胃通過時間を決定する胃十二指腸運動活動の特徴的パターンによって識別可能である。
【0181】
したがって、消化状態中の本製剤の投与は胃内でのアリピプラゾール放出の局在性を生じさせ、小腸は実質的な結腸分解、不活性化、またはバイオアベイラビリティの消失を減少および/または防止する。
【0182】
青少年および高齢患者は、例えば投与後の息詰まりのリスクを減少させるため、および/または患者コンプライアンスを改善するために容易に嚥下できる剤形を必要とすることが多い。本発明の組成物は、それらを患者コンプライアンスのためにより適合させるために、容易に投与可能な剤形の形状にあってよい。そのような容易に投与可能な製剤には、例えば、スプリンクル剤形、味覚マスキング液体剤形、速溶性剤形およびチュワブル剤形が含まれる。
【0183】
以下に記載する容易に投与可能な剤形はいずれも、本発明によるアリピプラゾールの所望の放出プロフィールを有する組成物を提供するために、上記のいずれかの製剤を含んでよいことを理解されたい。
【0184】
チュワブル剤形の例は、アリピプラゾール含有チュワブル錠剤である。そのようなチュワブル錠剤は、チュワブルベースおよび任意で甘味料を含んでいる。チュワブルベースは、典型的には賦形剤、例えばマンニトール、ソルビトール、ラクトース、またはそれらの組み合わせを含んでいる。チュワブル剤形に使用される任意の甘味料は、例えば、スクロース、液体グルコース、ソルビトール、デキストロース、イソマルト、液体マルチトール、アスパルテーム、ラクトース、またはそれらの組み合わせであってよい。所定の場合には、チュワブルベースおよび甘味料は、同一成分であってよい。チュワブルベースおよび任意の甘味料は、典型的にはチュワブル剤形の総重量の約50〜約90重量%を含んでいる。
【0185】
チュワブル剤形は、追加して、保存料、口腔への粘着および糖の結晶化を遅延および/または防止する物質、フレーバー剤、酸味料、着色料、ならびに上記の1つ以上の組み合わせを含有していてよい。グリセリン、レシチン、水素化ヤシ油またはグリセリルモノステアレートは、典型的には成分の総重量の約0.01〜約2重量%の量で糖の結晶化の保護剤として使用できる。そのような保護剤は、口腔への粘着を防止して、本剤形の軟質特性もしくは咀嚼性を改善するために役立つ。追加して、もしくはそれに代えて、チュワブル剤形の咀嚼特性を増強するためにイソマルトもしくは液体マルチトールを使用できる。
【0186】
上述したアリピプラゾールを含むチュワブル剤形を作成するための方法は、柔らかい菓子を作製するために使用される方法と類似である。そのような方法は、典型的にはそれにフラッペ混合物が添加される沸騰させた糖−コーンシロップ混合物の形成を含んでいる。沸騰させた糖−コーンシロップ混合物は、90:10〜10:90の重量部比で混合された糖およびコーンシロップから調製できる。この混合物は、水を除去して溶融塊を形成するために120℃を超える温度へ加熱できる。フラッペ混合物は、ゼラチン、卵白、カゼインなどの乳タンパク質、および大豆タンパク質などの植物タンパク質などから調製することができ、これらはゼラチン溶液に加えられて空気を含むスポンジ状塊を形成するために周囲温度で迅速に混合される。次にフラッペ混合物は溶融キャンディベースに加えられ、均質になるまで、典型的には60℃〜約120℃の温度で混合される。次にアリピプラゾールを含有するマトリックス、錠剤または他の製剤は、約60℃〜約90℃の温度でこの混合物へ加えられ、さらに例えばフレーバー剤、着色料、および保存料などの追加の成分を加えることができる。次に本製剤は、典型的には冷却され、所望の寸法の1片へ成形される。
【0187】
速溶性剤形は、本剤形が適正な味覚マスキングを提供しながら口腔内で迅速に分解することを可能にする、マイクロ粒子および1つ以上の発泡剤を含んでいてよい。または、速溶性剤形は、活性物質ならびに間接圧縮充填剤および潤滑剤を含むマトリックスを含有していてよい。米国特許第5,178,878号明細書および米国特許第6,221,392号明細書は、速溶性剤形に関する教示を提供している。
【0188】
本発明において使用するために典型的な速溶性剤形には、水および/または唾液によって活性化される発泡剤、錠剤崩壊剤、およびマイクロ粒子を組み込んでいる混合物が含まれる。マイクロ粒子は、典型的にはアリピプラゾールを実質的に取り囲んでいる保護材料と一緒にアリピプラゾールを組み込んでいる。用語「実質的に取り囲んでいる」は、保護材料はアリピプラゾールがマイクロ粒子の外の環境と接触することを実質的に遮蔽するという意味を含んでいる。したがって、各マイクロ粒子は、保護材料のコーティングによって被覆されたアリピプラゾールの別個の塊を組み込む場合があり、その場合には微粒子は「マイクロカプセル」もしくは「マイクロ錠剤」と呼ぶことができる。その代りに、もしくは追加して、各マイクロ粒子は、任意で本明細書に記載したコーティング組成物によってコーティングされた、保護材料のマトリックス内に分散もしくは溶解したアリピプラゾールを有していてよい。
【0189】
マイクロ粒子および発泡剤を含む混合物は、典型的には患者への直接的経口投与のために適するサイズおよび形状の錠剤として存在する。錠剤は、水および/または唾液に曝露されると実質的に完全に分解可能である。発泡性錠剤崩壊剤は、錠剤の崩壊を補助するため、そして錠剤が患者の口腔内に置かれたときに発泡の明確な感覚を提供するために有効な量で存在する。
【0190】
発泡感覚は、典型的には患者にとって心地よいだけではなく唾液産生を刺激する傾向があり、それによってその後の発泡作用を助けるための追加の水分を提供する。したがって、錠剤が患者の口腔内に置かれると、錠剤は一般に患者が任意の自主的活動を行わなくても迅速かつ実質的に完全に崩壊する。したがって、患者が錠剤をかまない場合でさえ、崩壊は迅速に進行するはずである。錠剤が崩壊すると、マイクロ粒子が放出され、マイクロ粒子のスラリーもしくは懸濁液として嚥下することができる。そこでマイクロ粒子は消化管内の溶解およびアリピプラゾールの全身性分布のために患者の胃へ運ばれる。
【0191】
用語「発泡剤」および「錠剤崩壊剤」は、気体を発生する化合物を含んでいる。そのような物質は、それらが口腔内で水および/または唾液に曝露されると発生する化学反応によって気体を発生することができる。起泡もしくは気体生成反応は、最も頻回には可溶性酸起源と(アルカリ金属)炭酸塩起源の反応の結果である。これら2つの化合物の一般的クラスの化合物の反応は、唾液中の水分と接触すると二酸化炭素ガスを生成する。
【0192】
そのような唾液/水分活性化材料は、水分への曝露は錠剤を時期尚早に崩壊させるので、吸収された水分をほとんどもしくは全く伴わない一般的無水状態に、または安定性水和状態に維持しなければならない。例えば、本剤形は、投与前には実質的に気密性パッケージング内に保管されてよい。
【0193】
酸起源は、ヒトが消費するために安全である任意の酸起源であってよく、一般に食用の酸、酸無水物および酸塩を含むことができる。食用酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、およびコハク酸などが含まれる。これらの酸は直接的に摂取されるので、それらの水への全溶解度は、製剤がコップ内の水に溶解されることが意図される場合ほど重要ではない。上述した酸の酸無水物および酸塩もまた使用できる。酸塩には、リン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、クエン酸塩および亜硫酸水素ナトリウムを含むことができる。
【0194】
炭酸塩起源には、無水固形炭酸塩および重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび炭酸カリウム、炭酸マグネシウムおよびセスキ炭酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、L−リシン炭酸塩、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0195】
発泡性錠剤崩壊剤は典型的には反応すると二酸化炭素を形成する発泡性錠剤崩壊剤であるが、これは必須ではない。ヒト患者にとって安全である酸素もしくは他の気体を発生する発泡性錠剤崩壊剤もまた使用できる。
【0196】
発泡剤が例えば酸起源および炭酸塩起源などの2つの相互反応性成分を含んでいる場合は、どちらの成分も実質的に完全に反応するのが好ましい。このため、等モル比の酸および炭酸塩起源が好ましい。例えば、使用される酸が二陽子である場合には、完全中和を実現するためには2倍のモル量の単一反応性炭酸塩、または等モル量の二反応性塩基のいずれかを使用しなければならない。しかし、酸もしくは炭酸塩起源の量は、他の成分の量を超えてよい。これは、過剰ないずれかの成分を含有する錠剤の味覚および/または性能を強化するために有用なことがある。そのような場合には、追加量のいずれかの成分が未反応で残留していることも許容できる。
【0197】
速溶性剤形(例えば錠剤)は、典型的には、経口投与される場合の錠剤の迅速かつ完全な崩壊を補助するために有効な量の発泡性錠剤崩壊剤を含有している。「迅速」は、錠剤が10分間未満、例えば約15秒間〜約7分間、例えば約30秒間〜約5分間で患者の口腔内で崩壊しなければならないと理解されたい。口腔内の崩壊時間は、約37℃の水中での錠剤の崩壊時間を観察することによって測定できる。錠剤は、強制的攪拌を行わずに水中に浸漬させられる。崩壊時間は、目視観察によって決定される錠剤の実質的に完全な分散のための浸漬からの時間である。本明細書で使用する用語の錠剤の「完全な崩壊」は、マイクロカプセルもしくは他の別個の封入物の分解もしくは崩壊を必要としない。
【0198】
そのような崩壊を達成するためには、速溶性剤形において典型的に使用される発泡剤もしくは錠剤崩壊剤の量は、最終組成物の約5〜約50重量%、好ましくは約15〜約40重量%、より好ましくは約20〜約30重量%である。
【0199】
上述した錠剤は、周知の錠剤化方法によって製造できる。
【0200】
上述したように、各マイクロ粒子は、典型的にはアリピプラゾールを保護材料と結び付けて組み込んでいる。マイクロ粒子は、マイクロカプセル、マイクロ錠剤またはマトリックスタイプの微粒子として提供されてよい。マイクロカプセルは、別個の、個別に観察可能な保護材料のコーティングによって取り囲まれた別個のアリピプラゾールの塊を組み込むことができる。これとは逆に、マトリックスタイプの粒子では、アリピプラゾールは、保護材料全体に溶解、懸濁またはさもなければ分散させられる。所定のマイクロ粒子は、マイクロカプセルおよびマトリックスタイプの粒子の両方の性質を含むことができる。例えば、マイクロ粒子は、第1保護材料中のアリピプラゾールの分散液を組み込んでいるコアと、コアを取り囲んでいる第1保護材料と同一であっても相違していてもよい第2保護材料のコーティングを組み込んでいてよい。または、マイクロ粒子は本質的にアリピプラゾールからなるコアと、コーティング自体がその中に分散した一部のアリピプラゾールを有する保護材料を組み込んでいるコーティングを組み込んでいてよい。マイクロ粒子は、典型的には約75〜約600ミクロン、好ましくは約150〜約500ミクロン、例えば約200〜約450ミクロンの平均径を有する。マイクロ粒子は、約200〜約30メッシュ(米国標準サイズ)、例えば約100〜約35メッシュであってよい。
【0201】
上記の速溶性剤形において使用するために適切な保護材料には、典型的には、例えばマトリックスタイプのマイクロ粒子、マイクロ錠剤およびマイクロカプセルなどのマイクロ粒子の形成において従来より利用されるポリマーが含まれる。特にこれらは、天然型セルロース、合成セルロース誘導体、アクリルポリマーおよびビニルポリマーなどのセルロース材料である。例えばタンパク性材料(例えばゼラチン、ポリペプチド)ならびに天然および合成シェラックおよびワックスなどを含む他の単純ポリマーもまた使用できる。保護ポリマーは、さらにまたエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびアクリル樹脂材料もまた含むことができる。
【0202】
上記の速溶性剤形においてコーティングが使用される場合は、典型的には結果として生じる粒子の総重量に基づいて少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%を含んでいる。使用される保護コーティング材料の上限は、一般に臨界的ではない。所定の実施形態では、相対的に厚いコーティングを提供する、コアの100重量%を超えるコーティングを使用することが可能である。しかし、コーティング材料の量は、剤形の排便前に治療有効量のアリピプラゾールの放出を妨害するほど大きくてはならない。
【0203】
速溶性剤形の例は、直接経口投与のために適する、硬質圧縮速溶性剤形である。そのような剤形は、典型的には、しばしば保護粒子の形状にあるアリピプラゾール、およびマトリックスを含んでいる。マトリックスは、典型的には充填剤および潤滑剤を含んでいるが、他の追加の成分を含んでいてよい。本剤形は、患者の口腔内で迅速に溶解させるために適切であるが、それでもUSPにしたがって試験した場合に約2%以下の破砕性を有する。一般に、本剤形はさらに少なくとも約1.5または2.0kPの硬さを有している。本剤形は迅速に溶解するだけではなく、患者へ明瞭な官能的感覚を提供する方法で溶解する。詳細には、本剤形は、剤形の官能的感覚と極めて調和せずに触知できる、不快なつぶを最少に抑えて溶解する。
【0204】
充填剤は、典型的には間接圧縮充填剤を含んでいる。代表的な充填剤には、例えば、無方向性圧縮糖および糖アルコールが含まれる。そのような糖および糖アルコールには、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、およびスクロースが含まれる。デキストロースは、例えば、直接圧縮糖、即ちその圧縮性を増加させるために修飾されている糖、または間接圧縮糖のいずれかとして存在していてよい。充填剤のパーセンテージは、典型的にはマイクロ粒子の約25〜約98重量%、好ましくは約50〜約95重量%、例えば約60〜約90重量%の範囲内にある。
【0205】
上記で考察した速溶性剤形では、相対的に高比率の潤滑剤が典型的に使用される。潤滑剤、および詳細にはステアリン酸マグネシウムなどの疎水性潤滑剤は、製剤の約0.25〜約5重量%、好ましくは約1〜約3重量%、例えば約1.5〜約2重量%の量で使用できる。この相対的に高い重量%の潤滑剤の使用にもかかわらず、本製剤は、典型的には優れた圧縮性、硬さ、および口腔内での迅速な溶解を示す。
【0206】
疎水性潤滑剤には、例えば、アルカリ土類金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、鉱油および植物油、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。親水性潤滑剤もまた使用できる。
【0207】
硬質圧縮速溶性剤形は、典型的には少なくとも約1.5kPの硬さを有しており、患者の口腔内では自然にかつ迅速に約90秒間未満で溶解し、それによって粒子を遊離させるように設計されている。好ましくは、本剤形は、約60秒間未満、および一層より好ましくは約30〜約45秒間で溶解する。この硬さの尺度は、直径が約0.25インチ未満の小さな錠剤の使用に基づいている。大きな錠剤のためには、少なくとも約2.9kPの硬さが好ましい。これらの錠剤を形成するためには、直接圧縮法が好ましい。
【0208】
スプリンクル剤形は、本発明の組成物において使用できる容易に投与される製剤のまた別の形状である。スプリンクル剤形は、典型的には、任意で機能的もしくは非機能的コーティングを有する、ペレット剤、顆粒剤、マイクロ錠剤もしくはマイクロカプセル剤の形状にあるアリピプラゾールを含んでいる。使用時には、患者もしくは介護者は、微粒子/ペレット化された1回分を飲料上もしくは軟質食品上に振りかけることができる。スプリンクル剤形は、それらの主要寸法において約10〜約100Tm、例えば約50〜約70Tmの平均径を有する粒子を含むことができる。
【0209】
スプリンクル剤形の例は、複数のアリピプラゾール含有マイクロペレットを封入している容易に開封できるカプセルである。マイクロペレット各々は、典型的にはアリピプラゾールおよびポリビニルピロリドンの第1コーティング混合物および非親水性ポリマー(例えばエチルセルロース)の混合物の約90〜約70重量%および親水性ポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)の混合物の約10〜約30重量%の第2コーティング混合物でコーティングされたシードを含んでいる。例えば、第2コーティング混合物は、約3部のエチルセルロース対約1部のヒドロキシプロピルセルロースを含んでいてよい。第2コーティング混合物の重量は、第2コーティングが塗布される前にマイクロペレットの重量の約5〜10%である。任意で、第2コーティングは、アリピプラゾールを含有している。
【0210】
第1コーティングに使用されるポリビニルピロリドンは、典型的に約30,000〜約50,000、例えば約40,000の分子量を有する。スプリンクル剤形のシードは、糖シードであってよく、60/80のメッシュサイズを有する。
【0211】
味覚マスキング剤形は、本発明の組成物において使用できる容易に投与される製剤のまた別の形状である。味覚マスキング剤形は、液状もしくは固形であってよい。
【0212】
固形味覚マスキング剤形は、典型的にはアリピプラゾールを含むコアエレメントおよびコアエレメントを取り囲んでいるコーティング材料を含んでいる。アリピプラゾールを含むコアエレメントは、典型的には(マイクロ)粒子、(マイクロ)錠剤、(マイクロ)カプセル、非晶質固体、ペレット、顆粒、粉末もしくはマトリックスの形状にある。コアエレメントは、アリピプラゾールに加えて、担体もしくは賦形剤、充填剤、フレーバー剤、分解防止剤および/または着色料を含むことができる。
【0213】
味覚マスキング剤形は、典型的には、剤形の総重量に基づいて、約50〜約99重量%、好ましくは約65〜約95重量%、例えば約80〜約90重量%のアリピプラゾール含有コアエレメントを含んでいる。味覚マスキング剤形は、典型的には、剤形の総重量に基づいて、約1〜約50重量%、好ましくは約5〜約35重量%、例えば約10〜約20重量%のコアエレメントを取り囲んでいるコーティング材料を含んでいる。
【0214】
コアエレメントは、典型的には、ワックス、非水溶性ポリマー、腸溶ポリマー、および部分的に難水溶性ポリマー、その他の適切な医薬賦形剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される、約20〜約90重量%の補助成分を含んでいる。
【0215】
コアエレメントは、任意に、担体もしくは賦形剤、充填剤、フレーバー剤、分解防止剤、着色料、およびそれらの組み合わせを含んでいる。適切な充填剤には、例えば、不溶性材料、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、および微結晶性セルロース、ならびに1つ以上の上記の充填剤を含む組み合わせが含まれる。可溶性充填剤には、例えば、マンニトール、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、ならびに上記の充填剤の1つ以上を含む組み合わせが含まれる。充填剤は、剤形の総重量に基づいて約75重量%までの量で存在していてよい。
【0216】
コアエレメントは、例えば、約35Tm〜約125Tmの粒径範囲を有する粉末の形状にあってよい。そのような小さな粒径は、口腔内での実質的にザラザラしない感触を促進する。小さな粒径は、例えば歯によって、口腔内での粒子の破砕も最小限に抑える。粉末の形状にある場合は、味覚マスキング剤形は口腔内に直接的に投与できる、または例えば水などの担体、もしくは例えばシロップ、ヨーグルトなどの半液体組成物と混合することができる。しかし、味覚マスキングされたアリピプラゾールは、任意の適切な単位剤形で提供されてよい。
【0217】
味覚マスキング製剤のコーティング材料は、実質的に連続的なコーティングを提供し、味覚マスキングを提供する形状を取ることができる。コーティングは、アリピプラゾールの制御放出をさらに提供することができる。味覚マスキング剤形コーティングに使用されるポリマーは、例えばエチルセルロースなどの非水溶性ポリマーであってよい。味覚マスキング剤形のコーティング材料は、可塑剤をさらに含むことができる。
【0218】
粉末状製剤などの味覚マスキング医薬製剤を調製する方法は、典型的には希釈剤中でコアエレメントおよびコーティング材料を混合する工程と、味覚マスキング製剤を形成するためにその混合物をスプレー乾燥する工程とを含んでいる。溶媒中の医薬上有効成分およびポリマーをスプレー乾燥する工程は、典型的には任意で乾燥チャンバ内で空気流を噴霧懸濁液中へスプレーし、結果としてポリマーコーティング材料でコーティングされたアリピプラゾールを残して溶媒が蒸発させられる工程を含んでいる。
【0219】
例えば塩化メチレンなどの溶媒については、乾燥チャンバ内の溶媒濃度は、典型的には1,000,000の有機溶媒当たり約40,000〜約100,000部で維持される。そのような溶媒のためのスプレー乾燥プロセスは、約5℃〜約35℃のプロセス温度で実施できる。本剤形のスプレー乾燥は、並流もしくは混合流スプレー乾燥機のいずれかまたはそれらの変形に配置された回転式、空気圧式もしくは加圧式いずれかの噴霧器を利用して実施されてよい。乾燥ガスは、乾燥速度を制御するために加熱または冷却されてよい。溶媒の沸点未満の温度を使用できる。入口温度は約40〜約120℃であってよく、出口温度は約5〜約35℃であってよい。
【0220】
コーティング製剤は、材料もしくは塗布の必要を満たすために最適化できる。例えば温度、溶媒濃度、スプレー乾燥機容量、噴霧空気圧、液滴サイズ、粘度、システム内の全空気圧および溶媒系などのプロセスパラメータを制御することは、密で連続性かつ非多孔性のコーティングからより多孔性のマイクロカプセル/ポリマーマトリックスまでに及ぶ範囲のコーティングの形成を可能にする。
【0221】
任意の残留溶媒を除去するためには後処理工程を使用できる。後処理は、トレイ上および/または過剰な溶媒を除去するがアリピプラゾールを分解させないために十分な床温度で最終生成物を乾燥させる工程を含む後乾燥工程を含むことができる。好ましくは、乾燥温度は、約35℃〜約40℃の範囲内にある。完了すると、生成物は、例えばソックフィルターによる収集またはサイクロン収集などの適切な方法によって収集できる。
【0222】
代表的なチュワブルの味覚マスキング剤形は、アリピプラゾールを含むコアを有する径が約10Tm〜約1.5mmのマイクロカプセルおよび咀嚼に抵抗するために十分な弾力性を有するポリマー混合物コーティングを含んでいる。ポリマー混合物コーティングは、典型的には少なくとも約30℃の温度でポリマーフィルムを形成する約30〜約70重量%のポリマー(例えばエチルセルロース)および約25℃未満の温度でポリマーフィルムを形成する約30〜約70重量%のコポリマーを含んでいる。ポリマー混合物コーティングは、本剤形が本明細書の上記で考察した放出プロフィールを示すように適応している。
【0223】
約25℃未満の温度でポリマーフィルムを形成するコポリマーは、典型的にはメタクリル酸エステルコポリマー(例えば約800,000の重量平均分子量を有する)またはアクリル酸スチレンコポリマーである。
【0224】
上述したアリピプラゾールの味覚マスキング剤形のコアは、希釈剤および/または可塑剤を含んでいてよい。適切な可塑剤には、ポリエチレングリコール、トリアセチン、ビニルピロリドン、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸エステル、およびそれらの組み合わせが含まれるがそれらに限定されない。
【0225】
固形味覚マスキング剤形(例えばポリマーコーティングされたアリピプラゾール粉末)は、使用前に水などの液体ビヒクル中の懸濁液として再構成することができる。これは、再構成可能な固形味覚マスキング剤形が典型的には多数の液体味覚マスキング剤形より長い保管寿命を有している、そしていったん再構成された懸濁液は適正な味覚マスキングを有するという利点を有している。
【0226】
アリピプラゾールは、脳内の数種のドーパミン経路におけるシナプス後ドーパミン受容体にその部分的アゴニスト特性を介して臨床活性を付与すると考えられている。現在は、あらゆる形態の統合失調症の陽性および陰性両方の症状を治療するために使用されており、急性そう病、または双極性障害と関連するそう症状の短期治療法として使用するための適応を有する。本発明は、本明細書に記載した経口送達可能な医薬組成物を提供することによる統合失調症および双極性障害を治療するための公知のアリピプラゾール含有製剤の欠点に対処することを目指している。しかし、これらの組成物は、以下でより詳細に記載するように、統合失調症および双極性障害に加えて、多数の他の医学的適応の治療において使用できる。
【0227】
部分的作動性は、独特の作用機序ではあるが、脳内での神経伝達物質活性の神経修飾に関するアリピプラゾールに固有ではない。アリピプラゾールは、主として哺乳動物脳内でのドーパミン経路上で、シナプス後受容体と競合して結合する。部分的作動性の結果として生じる作用は、ニューロン経路(ニューロンが十分には刺激されず、部分的アゴニストがアゴニスト(「興奮剤」)として作用する経路)における極度の活性化を「抑制すること(dampening down)」である;過剰活性化がある経路では、部分的アゴニストはアンタゴニスト(「阻害剤」)として作用する。アリピプラゾールは、主として脳内のドーパミン経路、特には報酬機序に含まれるドーパミン経路に作用する。アリピプラゾールは、その平衡作用に起因する統合失調症の陽性および陰性両方の症状に作用し、現在までに双極性I型障害の一部としての急性そう病を制御するための適応もまた達成している。逸話的証拠は統合失調症および双極性I型障害両方のうつ症状を治療する際の有用性に存在しており、これはその作用様式から予想可能である。臨床試験は進行中であり、双極性障害における気分安定剤として、および抗うつ薬としての長期使用に対するまた別の適応を生じさせると予想されている。
【0228】
本発明は、神経学的および/または精神医学的状態を治療するための要求に規定されたような経口送達可能な医薬組成物の使用を提供する。
【0229】
用語「神経学的および/または精神医学的状態」には、本発明者らは神経系の病変に由来するあらゆる状態を含んでいる。以下ではそのような状態の特定の例についてより詳細に記載する。
【0230】
語句「神経学的および/または精神医学的状態の治療」は、神経学的、神経精神医学的、精神医学的および神経変性疾患の急性期、慢性期および/または予防的治療のための使用を含むことが意図されている。
【0231】
したがって、本発明の組成物を投与する、または使用することによって治療できる多数の状態がある。本発明は、脳内のドーパミン経路の2つの極度の活性化に関係するすべての状態に特に適切である。これらには、すべての双極性障害、統合失調感情障害、全般性不安障害、強迫障害、外傷後ストレス障害、人格障害、および境界性人格障害、あらゆるタイプの認識機能障害(例えば高齢者の軽度認識障害);脳卒中の精神医学的合併症(出血性および虚血性および後遺症を含む)、てんかん、一過性脳虚血発作、外傷性脳傷害、パーキンソン(Parkinsons)病、ハンチントン(Huntington)病、筋萎縮性側索硬化症;神経痛、特発性疼痛、すべての精神病(例えば退行性統合失調症および緊張病)、すべての嗜癖(例えばアルコール、ニコチンおよびアヘン剤への嗜癖)、過食症および拒食症を含むすべての摂食障害、ADHD(注意欠陥多動障害)を含む情動障害、すべての抑うつ障害、人格障害(境界性人格障害を含む)、睡眠障害(時差ぼけおよび不眠症を含む)、ダウン(Down)症候群、髄膜炎、中枢神経系脈管炎、白質ジストロフィーおよび副腎脳白質ジストロフィー(アレキサンダー(Alexander)病、カナヴァン(Canavan)病、脳腱黄色腫症、クラッベ(Krabbe)および異染色性LD)、疲労、低血糖症、脳症(例えば肝性および敗血症性脳症)、脳および脊髄の腫瘍(グリア細胞、ニューロン細胞、シュワン細胞、松果体細胞、髄膜腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫の原発腫瘍、および転移する多発性全身性悪性腫瘍を含む)、小脳変性症および失調症(例えばフリードリッヒ(Friedrich)失調症、小脳皮質失調症、例えばオリーブ橋小脳変性、脊髄小脳性疾患、室頂核脳幹変性および常染色体優性失調症を含む複雑性小脳性運動失調症)、めまい、前庭系損傷、例えば耳鳴り、眼振などを含む蝸牛障害、末梢性神経障害(例えば多発性ニューロパシー、多発神経根障害、運動ニューロン疾患、感覚ニューロン障害、多発性単ニューロパシーおよび神経叢症)、代謝性骨疾患、骨粗鬆症、肺障害(例えば肺水腫、神経原性肺水腫、気管支喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびアポトーシスもしくはネクローシスによる肺細胞死)、肥満症およびその合併症、糖尿病および前糖尿病、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0232】
本発明の組成物は、アリピプラゾールに加えて、1つ以上の活性物質を含むことができる。
【0233】
例えば、本発明の組成物は、また別の非定型の抗精神病薬(例えばオランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アミスルプリド、クロゼピン(clozepine)、クロルプロマジン、もしくはデカン酸ハロペリドール)、抗パーキンソン薬(例えばL−DOPA、ドーパミンアゴニスト)、鎮静剤(例えばベンゾジアゼピン系鎮静剤もしくは非バルビツール酸塩系鎮静剤)、抗不安薬(例えばロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、およびアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピン系)、抗うつ薬、および気分安定剤(例えばラモトリジン、リチウム、バルプロ酸塩、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)を含むことができる。
【0234】
抗パーキンソン病薬は、神経弛緩薬の使用に関連する遅発性ジスキネジーを治療するために使用できる。さらにいわゆる「副作用医薬品」である抗パーキンソン病薬は、非定型の抗精神病薬の筋副作用が患者を不快にさせる場合に適応である。抗パーキンソン病薬は、典型的には抗コリン作用薬であり、その例にはベンズトロピンメシレート、トリヘキシフェニジル、プロシクリジン、およびアマンタジンが含まれる。
【0235】
適切な抗うつ薬には、三環系抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、およびクロミプラミン)、モノアミンオキシダーゼAもしくはB阻害剤(例えばフェネルジンアントラニルシクロプロミン)、四環系抗うつ薬(例えばマプロチリン)、およびセロトニン再取り込み阻害剤、例えばフルオキセチン、シプラミル、S−シプラミル、パロキセチン、および塩酸セルトラリン、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えばベンラファキシンおよびデュロキセチン、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えばレボキセチンおよびビロキサジンならびにすべてのその他のクラスの抗うつ薬が含まれる。
【0236】
アリピプラゾールに加えて上記に列挙した化合物の1つ以上を含む本発明の組成物は、特に、例えば統合失調症に苦しんでいる所定の患者、例えば統合失調症の重症もしくは非応答性症状に苦しんでいる患者を治療するために適切である。
【0237】
当然ながら、本明細書に記載したアリピプラゾール製剤は、統合失調症に加えて多数の他の状態を治療するために使用できる。そのような状態は、統合失調症の治療に関連して上述した活性物質以外の(アリピプラゾールに加えて)様々な追加の活性物質による治療を必要とすることがある。
【0238】
以下では、本発明を下記の非限定的な実施例によって具体的に説明する。
【実施例1】
【0239】
アリピプラゾール組成物
30mgの直接圧縮(DC)および湿性顆粒(WG)制御放出錠は、以下に記載するように製造した。
【0240】
直接圧縮錠
以下の表1に記載した成分を5分間にわたり遊星形ミキサー内で一緒に混合した。混合物は、7.0mm径の円形n/cパンチを用いて、回転式錠剤機上で圧縮した。錠剤の破壊強度は、2.5kp〜3.5kpであった。
【0241】
【表1】
【0242】
湿性顆粒錠剤
フマル酸ステアリルナトリウム以外は表2に規定した成分を精製水を用いた湿性造粒の前の5分間にわたり遊星形ミキサー内で一緒に混合した。湿性粉末は、15分間にわたり70℃の入口温度で流動床乾燥器内で乾燥させた。乾燥顆粒は、2.5w/w%の乾燥減量を有していた。顆粒は850μmのスクリーンに通してふるいにかけ、フマル酸ステアリルナトリウムとともに1分間にわたり混合した。混合物は、7.0mm径の円形n/cパンチを用いて、回転式錠剤機上で150mgで圧縮した。錠剤の破壊強度は、5.0kp〜6.0kpであった。
【0243】
【表2】
【0244】
上記の錠剤では、アリピプラゾールは、LGM Pharmaceuticals(米国)から入手した。methocel K4M((ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(ヒプロメロース))は、Colorcon Limit(英国)から入手した。Avicel PH 200(微結晶性セルロース)は、FMC BioPolymer社(アイルランド国)から入手した。PVPK30(ポリビニルピロリドン)は、Shanghai WellTone Material社(中国)から入手した。商標PRUVであるフマル酸ステアリルナトリウムは、JRS Pharma GMBH(ドイツ国)から入手した。
【実施例2】
【0245】
インビトロ放出実験
実施例1に記載したDCおよびWG錠剤からのアリピプラゾールの放出プロフィールは、以下でより詳細に記載するように、pH4.0のリン酸バッファおよび0.1M HCl中で試験した。
【0246】
溶解系
【表3】
【0247】
7リットルの0.05Mリン酸バッファ(pH4.0)は、6.75リットルの水中に47.8gのリン酸カリウムを溶解させ、次に4.0(±0.05)のpHを得るために60%のオルトリン酸溶液を少しずつ加えた。この溶液を水で7リットルにし、pHは必要に応じて水酸化ナトリウムもしくはリン酸を用いて調整した。
【0248】
0.1M HClは、3.5リットルの0.2M塩酸を精製水で7リットルに希釈することによって調製した。
【0249】
溶解方法
アリコートは、規定(例えば1時間毎)時間間隔で各溶解容器から取り出した。215nmでの各アリコートのUV吸光度は、0.05Mリン酸バッファのブランク液に対して測定し、3つの参照標準液に対して較正した(0.03、0.0012および0.0006mg/mL(アリピプラゾール))。アリピプラゾールの溶解率(%)は、参照標準液から作製した検量線を用いて計算する。
p=(w/w)%としての参照標準液の純度(参照標準液として薬物のインプットバッチを使用した場合には必要とされない)
X=mg/mLでグラフから得た数値
溶解率(%)=Xx900xpx100%
ラベルの表示(mg)X100
【0250】
以下の表3は、pH4.0のリン酸バッファ中の実施例1に記載のDC錠からの23時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図1に示した。
【0251】
【表4】
【0252】
以下の表4は、0.1M HCl中での実施例1に記載の直接圧縮錠からの20時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図2に示した。
【0253】
【表5】
【0254】
以下の表5は、0.1M HCl中での実施例1に記載のWG錠からの23時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図3に示した。
【0255】
【表6】
【0256】
以下の表6は、pH4.0のリン酸バッファ中での実施例1に記載のWG錠からの15時間にわたる1時間毎の平均アリピプラゾール放出率(%)を示している。時間に対するアリピプラゾール放出の対応するグラフは、図4に示した。
【0257】
【表7】
【実施例3】
【0258】
薬物動態モデリング
多重指数関数は、公表された5、10、15および20mgの1日1回の反復経口投与後の即時放出型(IR)アリピプラゾールの血漿中濃度−時間プロフィール(Mallikaarjun S,Salazar D,Braner S,“Pharmacokinetics,tolerability and safety of aripiprazole following multiple oral dosing in normal healthy volunteers”,J.Clin.Pharmacol.,2004;44:179−187)に当てはめた。
【0259】
関数(二成分動態を備える一次吸収を表す)は、式、
C(t)=A.e−α(t)+B.e―β(t)+C.e―k01(t)
(式中、A、B、α、βおよびk01は定数であり、C=−(A+B)およびC(t)は、時間tでの血漿中濃度である)であった。
【0260】
公表されたモデル(Mallikaarjunら、上記参照)を使用して、IR製剤の様々な投与法後のアリピプラゾールの血漿中濃度をシミュレーションした。さらに、放出が例えば10時間〜18時間の範囲についてはゼロ次であると仮定して、持続放出型(SR)製剤の様々な投与法をシミュレーションした。新規SR製剤からのアリピプラゾールのシミュレーションした血漿プロフィールを現在利用されているIRレジメンのモデリングと比較した。
【0261】
反復投与後のアリピプラゾールの血漿中濃度プロフィールは、WinNonLin Pro Version 5.2(Pharsight Corporation Inc.,Mountain View,CA,USA,2006)による規定モデルを使用してシミュレーションした。アリピプラゾール15mgが最も一般的に使用される用量であった(Molden E,Lunde H,Lunder N,Refsum H,“Pharmacokinetic variability of aripiprazole and the active metabolite dehydroaripiprazole in physchiatric patients”,Ther.Drug Monit.,2006;28:744−749)。このため、15mg IRデータに適合させた多重指数関数を比較IR用量として選択した。この分析については、観察された用量比例動態と一致して、線形動態が推定された(Mallikaarjunら)。SR製剤は、5mg IRデータに適合させた多重指数関数によって、そして10もしくは14時間についてはゼロ次インプット(吸収)を想定して表示した。
【0262】
5、10、15および20mgのIR製剤の1日1回経口投与後のアリピプラゾールの血漿中濃度に当てはめた規定平均関数(Mallikaarjunら)は、表7に表示した。
【0263】
【表8】
【0264】
シミュレーションしたアリピプラゾールの濃度は図5に示した。シミュレーションしたプロフィールは公表されたプロフィール(Mallikaarjunら)と類似である。
【0265】
図6において、1日おきに30mg IRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0266】
図7において、1日おきに15mg IRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0267】
図8において、1日おきに30mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0268】
図9において、週1回60mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0269】
図10において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)30mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0270】
図11において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)45mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0271】
図12において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)60mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0272】
図13において、1日おきに30mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0273】
図14において、1日おきに30mg 18−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0274】
図15において、週1回60mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0275】
図16において、週1回60mg 18−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0276】
図17において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)45mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0277】
図18において、週2回(例えば水曜日および日曜日毎に)45mg 18−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0278】
図19において、1日1回15mg 14−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0279】
図20において、1日1回15mg 10−h SRを投与した後のアリピプラゾールの定常状態シミュレーションを15mg IRの1日1回投与後のシミュレーションと比較した。
【0280】
図6の結果は、2日毎に投与された30mg IRはODの15mg IRレジメンに比較して有意に多い有害事象の機会(高Cmaxに起因する)を有することを示唆している。他方、図7は、1日おきの15mg IRレジメンのアリピプラゾール血漿中濃度がODの15mg IRレジメンより低いことを示している。
【0281】
図8、13および14に示した結果は、2日毎に投与された30mg SR製剤が1日1回投与の15mg IRと比較して極めて類似するピーク対トラフ特性を有することを示している。これは、匹敵する有効性を備えるが改良された投与スケジュールを備える可能性を示唆している。
【0282】
週2回投与される45mg SR製剤(図11、17および18を参照されたい)は1日1回投与される15mg IRと比較して類似するピーク対トラフ特性を有しており、これは血漿曝露と薬物作用との関係について現在は十分に把握されていないことを前提に(Drugs at FDA;Ability(NDA#021436 Tablet Oral))、匹敵する有効性を備えながら改良された投与スケジュールを提供する可能性を示唆している。同様に、週1回投与される60mg SR製剤についてのアリピプラゾールの血漿中濃度(図9、15および16を参照)は、忍容および有効レベル内に含まれると考えられる。
【0283】
図19および20に示した結果もまた、1日1回15mg SR製剤が類似の15mg IRレジメンと比較して有意に減少した有害事象の機会(低Cmaxに起因する)を有することを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0284】
【図1】図1は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図2】図2は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図3】図3は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図4】図4は、時間に対するアリピプラゾール放出のグラフである。
【図5】図5は、シミュレーションしたアリピプラゾールの濃度である。
【図6】図6は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図7】図7は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図8】図8は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図9】図9は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図10】図10は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図11】図11は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図12】図12は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図13】図13は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図14】図14は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図15】図15は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図16】図16は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図17】図17は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図18】図18は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図19】図19は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【図20】図20は、アリピプラゾールの定常状態シミュレーションである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、標準溶解試験において配置されてから3時間以内にアリピプラゾールの約60%以下が溶解させられるインビトロ放出プロフィールを示すことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記アリピプラゾールの約2〜約50%が前記標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アリピプラゾールの約10〜約50%が前記標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アリピプラゾールの約2〜約40%が前記標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、標準溶解試験において配置された後に、
前記アリピプラゾールの約2〜約50%が2時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約80%が4時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの25%以上が8時間後に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が12時間後に放出される、インビトロ放出速度を示すことを特徴とする組成物。
【請求項6】
前記アリピプラゾールの約5〜約40%が2時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約15〜約70%が4時間後に放出される;および
前記アリピプラゾールの50%以上が8時間後に放出される、インビトロ放出速度を有することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アリピプラゾールの約2〜約35%が2時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約50%が4時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約25〜約80%が8時間後に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が12時間後に放出されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、単回経口投与後に前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間が少なくとも2時間であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示すことを特徴とする組成物。
【請求項9】
前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間は約2〜約24時間であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間は約2〜約12時間であることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間は約6〜約24時間であることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項12】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、
前記アリピプラゾールの約2〜約50%が投与後2時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約80%が投与後4時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの25%以上が投与後8時間以内に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が投与後12時間以内に放出される、インビボ放出プロフィールを示すことを特徴とする組成物。
【請求項13】
前記アリピプラゾールの約5〜約40%が投与後2時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約15〜約70%が投与後4時間以内に放出される;および
前記アリピプラゾールの50%以上が投与後8時間以内に放出される、インビボ放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記アリピプラゾールの約2〜約35%が投与後2時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約50%が投与後4時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約25〜約80%が投与後8時間以内に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が投与後12時間以内に放出される、インビボ放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、経口投与後に同一用量で経口投与された場合のアリピプラゾールの従来型即時放出型(IR)剤形を用いて達成される数値の20〜80%のアリピプラゾールCmax値を示すことを特徴とする組成物。
【請求項16】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、約3:1未満のアリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)対経口投与24時間後のアリピプラゾール血漿中濃度(C24)比を提供することを特徴とする組成物。
【請求項17】
約1.5:1未満のアリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)対経口投与24時間後のアリピプラゾールの血漿中濃度比(C24)を提供することを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
拡散制御型製剤、溶解制御型製剤、容易に投与可能な製剤、腸溶コーティング製剤、浸透圧ポンプ法製剤、不正加工防止製剤、浸食制御型製剤、イオン交換樹脂または上記の組み合わせとして調製されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
拡散制御型製剤および/または溶解制御型製剤として調製されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
カプセル剤、錠剤、液剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、マトリックス、マイクロスフェア、シード、ペレット、ビーズまたはこれらの組み合わせの形状にあることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
マトリックスの形状にあることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
アリピプラゾールに加えて少なくとも1つの医薬上活性物質を含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの追加の医薬上活性物質は、非定型の抗精神病薬(例えばオランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アミスルプリド、クロゼピン、クロルプロマジン、もしくはデカン酸ハロペリドール)、抗パーキンソン薬(例えばL−DOPA、ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬)、鎮静剤(例えばベンゾジアゼピン系鎮静剤もしくは非バルビツール酸塩系鎮静剤)、抗不安薬(例えばロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、およびアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピン系)、抗うつ薬(例えば三環系抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、およびクロミプラミン)、モノアミンオキシダーゼAもしくはB阻害剤(例えばフェネルジンアンドトラニルシプロミン)、四環系抗うつ薬(例えばマプロチリン)、セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチン、シプラミル、S−シプラミル、パロキセチン、およびセルトラリン塩酸塩など)、およびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えばベンラファキシンおよびデュロキセチン)、もしくはアドレナリン再取り込み阻害剤(例えばレボキセチンおよびビロキサジン)、および気分安定剤(例えばラモトリジン、リチウム、バルプロ酸塩、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
神経学的および/または精神医学的状態の病人/患者を治療する方法であって、前記患者に請求項1〜23のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
神経学的および/または精神医学的状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする病人/患者に請求項1〜23のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
神経学的および/または精神医学的状態を予防および/または治療するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項27】
神経学的および/または精神医学的状態の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記治療は脳内の神経伝達物質経路に及ぼすアリピプラゾールの部分的アゴニスト特性に関連している、請求項24もしくは25に記載の方法、請求項26に記載の使用、または請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
神経学的および/または精神医学的状態はドーパミン受容体と関連している、請求項24、25もしくは28に記載の方法、請求項26もしくは28に記載の使用、または請求項27もしくは28に記載の組成物。
【請求項30】
神経学的および/または精神医学的状態は、すべての双極性障害、統合失調感情障害、全般性不安障害、強迫障害、外傷後ストレス障害、人格障害、および境界性人格障害、あらゆるタイプの認識機能障害(例えば高齢者の軽度認識障害);脳卒中の精神医学的合併症(出血性および虚血性および後遺症を含む)、てんかん、一過性脳虚血発作、外傷性脳傷害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症;神経痛、特発性疼痛、すべての精神病(例えば退行性統合失調症および緊張病)、すべての嗜癖(例えばアルコール、ニコチンおよびアヘン剤への嗜癖)、過食症および拒食症を含むすべての摂食障害、ADHD(注意欠陥多動障害)を含む情動障害、すべての抑うつ障害、人格障害(境界性人格障害を含む)、睡眠障害(時差ぼけおよび不眠症を含む)、ダウン症候群、髄膜炎、中枢神経系脈管炎、白質ジストロフィーおよび副腎脳白質ジストロフィー(アレキサンダー病、カナヴァン病、脳腱黄色腫症、クラッベおよび異染色性LD)、疲労、低血糖症、脳症(肝性および敗血症性脳症)、脳および脊髄の腫瘍(グリア細胞、ニューロン細胞、シュワン細胞、松果体細胞、髄膜腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫の原発腫瘍、および転移する多発性全身性悪性腫瘍を含む)、小脳変性症および失調症(例えばフリードリッヒ失調症、小脳皮質失調症、例えばオリーブ橋小脳変性、脊髄小脳性疾患、室頂核脳幹変性および常染色体優性失調症を含む複雑性小脳性運動失調症)、めまい、前庭系損傷、例えば耳鳴り、眼振などを含む蝸牛障害、末梢性神経障害(例えば多発性ニューロパシー、多発神経根障害、運動ニューロン疾患、感覚ニューロン障害、多発性単ニューロパシーおよび神経叢症)、代謝性骨疾患、骨粗鬆症、肺障害(例えば肺水腫、神経原性肺水腫、気管支喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびアポトーシスもしくはネクローシスによる肺細胞死)、肥満症およびその合併症、糖尿病および前糖尿病、ならびにこれらの組み合わせを含むすべての精神病および神経症から選択される、請求項24、25、28もしくは29のいずれかに記載の方法、請求項26、28もしくは29に記載の使用、または請求項27〜29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
神経変性状態を予防および/または治療するための医薬品の製造における、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項32】
神経変性状態を予防および/または治療する際に使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
アリピプラゾールを必要とする患者にアリピプラゾールの制御放出を提供するための経口投与のための医薬品の製造における、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項34】
アリピプラゾールを必要とする患者へのアリピプラゾールの制御放出を提供する際に使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
本明細書に一般に記載したアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物。
【請求項36】
一般に本明細書に記載した神経変性状態を備える病人/患者を治療する方法。
【請求項37】
一般に本明細書に記載した神経変性状態を予防および/または治療するための経口送達可能な医薬組成物の使用。
【請求項1】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、標準溶解試験において配置されてから3時間以内にアリピプラゾールの約60%以下が溶解させられるインビトロ放出プロフィールを示すことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記アリピプラゾールの約2〜約50%が前記標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アリピプラゾールの約10〜約50%が前記標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アリピプラゾールの約2〜約40%が前記標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、標準溶解試験において配置された後に、
前記アリピプラゾールの約2〜約50%が2時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約80%が4時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの25%以上が8時間後に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が12時間後に放出される、インビトロ放出速度を示すことを特徴とする組成物。
【請求項6】
前記アリピプラゾールの約5〜約40%が2時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約15〜約70%が4時間後に放出される;および
前記アリピプラゾールの50%以上が8時間後に放出される、インビトロ放出速度を有することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アリピプラゾールの約2〜約35%が2時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約50%が4時間後に放出される;
前記アリピプラゾールの約25〜約80%が8時間後に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が12時間後に放出されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、単回経口投与後に前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間が少なくとも2時間であるアリピプラゾールのインビボ血漿吸収プロフィールを示すことを特徴とする組成物。
【請求項9】
前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間は約2〜約24時間であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間は約2〜約12時間であることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
前記アリピプラゾールの50%が血漿中に吸収されるための時間は約6〜約24時間であることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項12】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、
前記アリピプラゾールの約2〜約50%が投与後2時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約80%が投与後4時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの25%以上が投与後8時間以内に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が投与後12時間以内に放出される、インビボ放出プロフィールを示すことを特徴とする組成物。
【請求項13】
前記アリピプラゾールの約5〜約40%が投与後2時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約15〜約70%が投与後4時間以内に放出される;および
前記アリピプラゾールの50%以上が投与後8時間以内に放出される、インビボ放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記アリピプラゾールの約2〜約35%が投与後2時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約5〜約50%が投与後4時間以内に放出される;
前記アリピプラゾールの約25〜約80%が投与後8時間以内に放出される;および
前記アリピプラゾールの40%以上が投与後12時間以内に放出される、インビボ放出プロフィールを有することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、経口投与後に同一用量で経口投与された場合のアリピプラゾールの従来型即時放出型(IR)剤形を用いて達成される数値の20〜80%のアリピプラゾールCmax値を示すことを特徴とする組成物。
【請求項16】
治療有効量のアリピプラゾールおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含むアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物であって、約3:1未満のアリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)対経口投与24時間後のアリピプラゾール血漿中濃度(C24)比を提供することを特徴とする組成物。
【請求項17】
約1.5:1未満のアリピプラゾールのピーク血漿中濃度(Cmax)対経口投与24時間後のアリピプラゾールの血漿中濃度比(C24)を提供することを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
拡散制御型製剤、溶解制御型製剤、容易に投与可能な製剤、腸溶コーティング製剤、浸透圧ポンプ法製剤、不正加工防止製剤、浸食制御型製剤、イオン交換樹脂または上記の組み合わせとして調製されることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
拡散制御型製剤および/または溶解制御型製剤として調製されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
カプセル剤、錠剤、液剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、マトリックス、マイクロスフェア、シード、ペレット、ビーズまたはこれらの組み合わせの形状にあることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
マトリックスの形状にあることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
アリピプラゾールに加えて少なくとも1つの医薬上活性物質を含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つの追加の医薬上活性物質は、非定型の抗精神病薬(例えばオランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アミスルプリド、クロゼピン、クロルプロマジン、もしくはデカン酸ハロペリドール)、抗パーキンソン薬(例えばL−DOPA、ドーパミンアゴニスト、抗コリン薬)、鎮静剤(例えばベンゾジアゼピン系鎮静剤もしくは非バルビツール酸塩系鎮静剤)、抗不安薬(例えばロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、およびアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピン系)、抗うつ薬(例えば三環系抗うつ薬(例えばアミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、およびクロミプラミン)、モノアミンオキシダーゼAもしくはB阻害剤(例えばフェネルジンアンドトラニルシプロミン)、四環系抗うつ薬(例えばマプロチリン)、セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチン、シプラミル、S−シプラミル、パロキセチン、およびセルトラリン塩酸塩など)、およびノルアドレナリン再取り込み阻害剤(例えばベンラファキシンおよびデュロキセチン)、もしくはアドレナリン再取り込み阻害剤(例えばレボキセチンおよびビロキサジン)、および気分安定剤(例えばラモトリジン、リチウム、バルプロ酸塩、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
神経学的および/または精神医学的状態の病人/患者を治療する方法であって、前記患者に請求項1〜23のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
神経学的および/または精神医学的状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする病人/患者に請求項1〜23のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
神経学的および/または精神医学的状態を予防および/または治療するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項27】
神経学的および/または精神医学的状態の予防および/または治療において使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記治療は脳内の神経伝達物質経路に及ぼすアリピプラゾールの部分的アゴニスト特性に関連している、請求項24もしくは25に記載の方法、請求項26に記載の使用、または請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
神経学的および/または精神医学的状態はドーパミン受容体と関連している、請求項24、25もしくは28に記載の方法、請求項26もしくは28に記載の使用、または請求項27もしくは28に記載の組成物。
【請求項30】
神経学的および/または精神医学的状態は、すべての双極性障害、統合失調感情障害、全般性不安障害、強迫障害、外傷後ストレス障害、人格障害、および境界性人格障害、あらゆるタイプの認識機能障害(例えば高齢者の軽度認識障害);脳卒中の精神医学的合併症(出血性および虚血性および後遺症を含む)、てんかん、一過性脳虚血発作、外傷性脳傷害、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症;神経痛、特発性疼痛、すべての精神病(例えば退行性統合失調症および緊張病)、すべての嗜癖(例えばアルコール、ニコチンおよびアヘン剤への嗜癖)、過食症および拒食症を含むすべての摂食障害、ADHD(注意欠陥多動障害)を含む情動障害、すべての抑うつ障害、人格障害(境界性人格障害を含む)、睡眠障害(時差ぼけおよび不眠症を含む)、ダウン症候群、髄膜炎、中枢神経系脈管炎、白質ジストロフィーおよび副腎脳白質ジストロフィー(アレキサンダー病、カナヴァン病、脳腱黄色腫症、クラッベおよび異染色性LD)、疲労、低血糖症、脳症(肝性および敗血症性脳症)、脳および脊髄の腫瘍(グリア細胞、ニューロン細胞、シュワン細胞、松果体細胞、髄膜腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫の原発腫瘍、および転移する多発性全身性悪性腫瘍を含む)、小脳変性症および失調症(例えばフリードリッヒ失調症、小脳皮質失調症、例えばオリーブ橋小脳変性、脊髄小脳性疾患、室頂核脳幹変性および常染色体優性失調症を含む複雑性小脳性運動失調症)、めまい、前庭系損傷、例えば耳鳴り、眼振などを含む蝸牛障害、末梢性神経障害(例えば多発性ニューロパシー、多発神経根障害、運動ニューロン疾患、感覚ニューロン障害、多発性単ニューロパシーおよび神経叢症)、代謝性骨疾患、骨粗鬆症、肺障害(例えば肺水腫、神経原性肺水腫、気管支喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびアポトーシスもしくはネクローシスによる肺細胞死)、肥満症およびその合併症、糖尿病および前糖尿病、ならびにこれらの組み合わせを含むすべての精神病および神経症から選択される、請求項24、25、28もしくは29のいずれかに記載の方法、請求項26、28もしくは29に記載の使用、または請求項27〜29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
神経変性状態を予防および/または治療するための医薬品の製造における、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項32】
神経変性状態を予防および/または治療する際に使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
アリピプラゾールを必要とする患者にアリピプラゾールの制御放出を提供するための経口投与のための医薬品の製造における、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項34】
アリピプラゾールを必要とする患者へのアリピプラゾールの制御放出を提供する際に使用するための、請求項1〜23のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
本明細書に一般に記載したアリピプラゾールを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物。
【請求項36】
一般に本明細書に記載した神経変性状態を備える病人/患者を治療する方法。
【請求項37】
一般に本明細書に記載した神経変性状態を予防および/または治療するための経口送達可能な医薬組成物の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2010−504950(P2010−504950A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529761(P2009−529761)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003677
【国際公開番号】WO2008/038003
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509084459)ザイスィス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003677
【国際公開番号】WO2008/038003
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509084459)ザイスィス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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