説明

医薬

本発明は、化合物[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−([2S,3S]−2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン、その薬学的に許容される塩または溶媒和物及び前記化合物を含有する医薬組成物の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療または予防用医薬を製造するための使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療または予防における化合物[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−([2S,3S]−2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物及び前記化合物を含有する医薬組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開第95/08549号は新規なピペリジン誘導体を記載している。ここに記載されている化合物の1つは、[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミンであり、以下の化学構造(I):
【化1】

【0003】
を有する。
【0004】
当業者は認識しているように、式(I)の化合物は2個のキラル中心(式(I)中にとして示す)を含み、よって2対の光学異性体(すなわち、エナンチオマー)及びラセミ混合物を含めたその混合物の形態で存在する。
【0005】
例えば、式(I)の化合物は、図(a)及び(b)で表すシス異性体、図(c)及び(d)で表すトランス異性体、またはその混合物であり得る。
【0006】
図(a)〜(d)で表す式(I)の化合物の異性体のすべて及びラセミ混合物を含めたその混合物が本発明の範囲に包含される。
【化2】

【0007】
式(I)の化合物はシス異性体(すなわち、図(a)及び(b)で表す)の形態、例えば2S,3S異性体、[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−([2S,3S]−2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン(すなわち、図(b)で表す)の形態であり得る。
【発明の開示】
【0008】
本明細書中で使用する場合、用語「溶媒和物」は、溶質(本発明では、式(I)の化合物またはその塩)と溶媒により形成される異なる化学量論の複合体を指す。本発明の目的の溶媒は溶質の生物学的活性を妨害しないものであり得る。適当な溶媒の例にはメタノール、エタノール、酢酸及び水が含まれる。溶媒が水のとき、溶媒和物は水和物とも称され得る。
【0009】
薬剤中に使用するためには式(I)の塩は製薬上許容されなければならないと理解される。適当な薬学的に許容される塩は当業者に自明であり、例えば薬学的に許容される有機酸または無機酸を用いて形成される酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、アルキル−またはアリールスルホン酸塩(例:メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩)、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩及びマレイン酸塩が含まれる。
【0010】
酸付加塩の更なる例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸)及び有機酸(例えば、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、酢酸、フマル酸、グルタミン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸)と形成される塩である。塩の例には塩酸塩、マレイン酸塩、トシル酸塩またはメシル酸塩、またはその薬学的に許容される誘導体が含まれる。他の生理学的に許容されない塩(例えば、シュウ酸塩)は、例えば式(I)の化合物を単離する際に使用され得、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲には、式(I)の化合物の溶媒和物及び水和物も包含される。本発明に従って使用するための式(I)の化合物の薬学的に許容される塩の1つが二塩酸塩である。
【0011】
式(I)の化合物は1当量以上の酸と酸付加塩を形成し得る。本発明はその範囲内にすべての可能な化学量論量形態及び非化学量論量形態を包含する。
【0012】
式(I)の化合物のある塩は立体異性体の形態で存在し得る(例えば、1個以上の不斉炭素原子を含有し得る)。各立体異性体(エナンチオマー及びジアステレオマー)及びこれらの混合物が本発明の範囲に包含される。本発明は、1個以上のキラル中心が反対の異性体との混合物として式(I)で表される化合物の塩の各異性体をも包含する。また、式(I)の化合物の塩は式に示した以外の互変異性体で存在し得、これらも本発明の範囲に包含されると理解される。
【0013】
本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容される誘導体」は哺乳動物(例えば、ヒト)に投与したとき(直接または間接的に)前記化合物またはその活性代謝物を与えることができる本発明の化合物の薬学的に許容される誘導体、例えばエステルを指す。前記誘導体は、過度の実験なしに、参照により本明細書に組み入れられるBurger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery,第5版,第1巻:Principles And Practiceの教示を参照して当業者には明白である。
【0014】
式(I)の化合物、並びにその塩及び溶媒和物は、国際特許出願公開第95/08549号に強力で特異的なNK受容体アンタゴニストとして記載されている。式(I)の化合物は最初嘔吐の治療及び予防での使用について評価されていた。
【0015】
本発明は更に、(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療における使用にも関する。
【0016】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、しばしば衰弱しており、不可抗力の心の傷となる出来事に出会った結果として生ずる一般的な慢性的不安症である。PTSDの発生における神経生物学的基因として視床下部−下垂体−副腎皮質(HPA)軸、ノルアドレナリン作動性、セロトニン作動性系の破壊が提案されているが、PTSDの神経生物学の正確な土台は十分に解明されていないままである。PTSDは選択的セロトニン再取り込みインヒビターによる治療に応答するが、応答率はまれにしか60%を超えず、緩解として特徴づけられ得る改善を経験している患者は少数(20〜30%)のことさえある。よって、PTSDに対する新規且つ改善された治療薬の開発があきらかに必要である。
【0017】
本発明の範囲内で、用語「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」は、アメリカ精神医学会が発行しているDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版(DSM−IV),No.309.81に分類されている急性、慢性及び遅発症PTSDを含めた各種病的状態または特定状態を含む。本明細書中に挙げられている各種形態の疾患は本発明の一部と解される。
【0018】
本発明者らは、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物がPTSDの治療において有用であることを知見した。
【0019】
第1の態様で、本発明は、PTSDの治療用医薬を製造するための式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0020】
更なる態様で、本発明は、PTSDを治療するための式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用を提供する。
【0021】
更なる態様で、本発明は、治療を要するヒトに対して有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含むPTSDの治療方法を提供する。
【0022】
更なる態様で、本発明は、PTSDを治療または予防するための式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明に従って使用するための医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤を用いて慣用の方法で製剤化され得る。
【0024】
治療への言及は予防及び定着した症状の緩和を含むと意図されると認められる。
【0025】
よって、式(I)の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、経口、口腔内、非経口、局所(経眼または経鼻を含む)、デポまたは直腸内投与のために、または(口または鼻を介した)吸入または通気による投与に適した形態に製剤化され得る。
【0026】
経口投与の場合、医薬組成物は薬学的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えば、α化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて慣用の手段により調製される錠剤またはカプセル剤のような形態を取り得る。錠剤は当業界で公知の方法によりコーティングされていてもよい。経口投与用液体製剤は、例えば溶液剤、シロップ剤または懸濁液剤の形態を取り得、または使用前に水または他の適当なビヒクルを用いて構成される乾燥製品として提供され得る。液体製剤は、製薬上許容され得る添加剤、例えば懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画化植物油);及び保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸)を用いて慣用の手段により調製され得る。前記製剤が適当に緩衝塩、着香料、着色料及び甘味料を含んでいてもよい。
【0027】
経口投与用製剤は、活性成分が徐放されるように適当に製剤化され得る。
【0028】
口腔内投与の場合、組成物は錠剤の形態を取り得、または慣用の方法で製剤化され得る。
【0029】
本発明の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、大量注射または連続注入により非経口投与するために製剤化され得る。注射用製剤は、保存剤を添加したアンプルまたはバイアルびんのような単位量剤形で提供され得る。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンの形態を取り得、懸濁剤、安定化剤及び/または分散剤のような製剤化剤を含んでいてもよい。或いは、活性成分は使用前に適当なビヒクル(例えば、発熱物質非含有の滅菌水)を用いて構成される粉末形態であり得る。
【0030】
本発明の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、ペッサリー剤、エアゾール剤または滴剤(例えば、点眼剤、点耳剤または点鼻剤)の形態で局所投与するために製剤化され得る。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば適当な増粘剤及び/またはゲル化剤を添加して、水性または油性基剤を用いて製剤化され得る。目に投与するための軟膏剤は滅菌した成分を用いて滅菌方法で製造され得る。
【0031】
ローション剤は、水性または油性基剤を用いて製剤化され得、通常1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤をも含有する。滴剤は、1つ以上の分散剤、安定化剤、可溶化剤または懸濁剤をも含有する水性または非水性基剤を用いて製剤化され得る。滴剤は保存剤を含有していてもよい。
【0032】
本発明の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、例えば一般的な座薬基剤(例えば、カカオ脂または他のグリセリド)を含有する座剤または浣腸剤のような直腸投与用組成物の形態で製剤化され得る。
【0033】
本発明の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、デポ製剤としても製剤化され得る。長時間作用型製剤は、(例えば、皮下または筋肉内に)移植または筋肉内注射により投与され得る。例えば、本発明の化合物は適当な高分子または疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体として(例えば、難溶性塩として)製剤化され得る。
【0034】
鼻腔内投与の場合、本発明の化合物、並びにその薬学的に許容される塩及び溶媒和物は、適当な計量または1回投与デバイスを用いて投与するための溶液剤として、または適当なデリバリーデバイスを用いて投与するのに適した担体との粉末ミックスとして製剤化され得る。
【0035】
本発明の化合物の提案用量は1〜約1000mg/日である。患者の年齢及び状態に応じて用量をルーチンに変更する必要があり得ることは認められており、正確な用量は最終的には担当医または獣医師の裁量である。用量は投与ルート及び選択した特定化合物にも依存する。
【0036】
例えば、非経口投与の場合、1日用量は通常1〜約100mg(例えば、1〜80mg)の範囲である。経口投与の場合、1日用量は通常1〜100mg(例えば、10〜50mg)の範囲である。
【0037】
式(I)の化合物、並びにその医薬塩及び溶媒和物は、参照により本明細書に組み入れる国際特許出願公開第95/08549号に記載されている方法により製造され得る。
【0038】
当業者は認識しているように、本発明の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、有利には1つ以上の他の治療薬、例えば5−HT再取り込みインヒビター(例えば、エスシタロプラム、エスシタロプラムオキサレート、サートラリン、フルオキセチンまたはパロキセチン)、混合5HT及びNE再取り込みインヒビター(例えば、ベンラファキシンまたはデュロキセチン)、NE再取り込みインヒビター(例えば、レボキセチン)、GABA受容体アゴニスト(例えば、トピラメート)、5−HT2Aアンタゴニスト(例えば、リスペリドン)、ドーパミン再取り込みインヒビター(例えば、ブプロピオン)、GABA取り込みインヒビター(例えば、チアガビン)、α2アドレナリン受容体アンタゴニスト(例えば、ミルタザピン)、COX−2インヒビター(例えば、セロコキシブまたはロフェコキシブ)及び非定型抗精神薬(例えば、アリピプラゾール)と一緒に使用され得る。
【実施例】
【0039】
薬理学的活性
本発明は適当な患者研究により例示され得る。下記する適当な患者研究の例は例示の目的にすぎず、あるゆる点で本発明の範囲を限定するものと意図されない。この研究では、DSM−IVに従ってPTSDの基準を満たし且つStructured Clinical Interview for the Diagnostic Manual of Mental Disorders,第4版,患者バージョン(SCIP−P)(Firstら)により確認された約52名の患者において[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン二塩酸塩の効果を8週にわたる無作為二重盲検プラセボ対照平行試験で研究した。全PTSD総体症状の改善におけるNK1アンタゴニスト[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン二塩酸塩(GR205171)の急性効果は、ベースラインスコアから8週の治療終了時点でのスコアまでの臨床診断面接PTSD尺度(CAPS)全スコアの平均変化により調べられる。
【0040】
(研究フェーズ)
患者が同意した後、患者は幾つかの手続を受ける。これには、1)研究精神医による精神医学面接;2)構造化面接(SCID);3)臨床診断面接PTSD尺度(CAPS);4)日常の医学検査のための血液サンプルの採取、甲状腺機能検査及び尿サンプル[尿検査及び中毒スクリーニング];6)神経学的及び身体的検査;が含まれる。SCID及び評点スケールは研究精神医、マスターレベルの研究ソーシャルワーカー、心理学の臨床大学院生または診断評価について特別のトレーニングを受けた研究R.N.により実施する。
【0041】
計画は14日間の薬物ウオッシュアウトフェーズ及び2つの研究フェーズからなる。
【0042】
薬物ウオッシュアウトフェーズ(−28日から−14日):被験者は7〜14日間(通常5.5有効期間に相当;6週以内にフルオキセチンは排除される)かけて向精神薬の服用を次第に減らす。鎮静剤/睡眠薬は研究中与えられない。
【0043】
研究フェーズI(−14日から−1日):ウオッシュアウトフェーズが終了したら、訪問1と2の間のCAPSの改善が25%以上の被験者を排除するために無作為化の前14日間被験者は単純盲検プラセボ導入部を受ける。この間に、被験者は潜在的代用薬マーカー検査である神経イメージング検査、精神生理学的検査及び神経内分泌検査を受ける(−7日から−1日)。
【0044】
研究フェーズII(0日から56日):これは8週の二重盲検治療期間である。患者は訪問2から訪問10まで毎週評価される。被験者はNKアンタゴニスト[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン二塩酸塩GR205171またはプラセボのいずれかを服用するように1:1比で無作為化される。治療は5mg/日のNK1アンタゴニストまたは対応プラセボで始める。研究フェーズIIの間は他の向精神薬を与えなかった。この期間の終わりに、神経イメージング検査及び神経内分泌検査を繰り返す。患者はこの研究中通院している。代用薬マーカー検査は49日から56日の間繰り返される。
【0045】
(評価尺度)
この研究の主目的は、PTSD被験者の不安症総体症状の治療におけるNK−1アンタゴニスとプラセボの効果を比較することである。これは、8週間の二重盲検治療期間後のCAPS全スコアについてベースラインスコアから治療開始前のオリジナルスコアまでの低下を比較することにより調べられる。治療効果を調べるために、連続尺度に対して研究群を比較するために無作為効果回帰を使用する。割合を分析するためにピアソンのカイ二乗またはフィッシャーの正確確率検定を用いる。すべての仮説を0.05の両側αレベルで検査する。(各治療群の被験者が少なくとも10人であるならば)起源、性別、年齢、投与レベル及び特定の病気特性について追加の分析を実施する。すべての部分群の分析は二次分析と見なされる。
【0046】
臨床診断面接PTSD尺度(CAPS)
CAPSは、DSM−IVにより規定されているPTSDの本質的要件を評価すべく設計された構造的臨床面接である。CAPSは、診断状態のカテゴリー評価及び症状の重症度の定量指数を与えるために使用され得る。頻度スコア及び強度スコアは個々の症状について求める。頻度評価は5点スケールで行う(0=なし,4=毎日または常時)。症状強度の評価は5点スケールで行う(0=症状なしまたは症状に問題なし,4=限界、耐えられない)。CAPS総重症度スコアは、現在のPTSD症状の頻度及び強度を評価する17項目に対する被験者の応答に基づいている。総重症度スコアは0〜136の範囲である。スコアが高ければ、症状の重症度が高い。
【0047】
CAPSのサブスケールが特定の症状クラスターを評価するために利用される。CAPSのサブスケールは特定症状クラスターの頻度及び強度(項目6〜12の合計)、過覚醒(項目13〜17の合計)及び解離性(項目28〜30の合計)を評価する。
【0048】
DSM−IV−TR軸I疾患患者バージョンの構造的臨床面談(SCID I/P)
SCID I/P(Firstら,2001)は半構造化面接である。精神病を診断するために臨床医が面接する。診断を助けるために臨床医はプローブ質問及びフォローアップ質問を尋ねる。人口統計、仕事、主訴、現在の病気の病歴、過去の病歴、治療履歴及び現在の機能についての情報を得るための概観を含む。SCIDの主体は、全部で51個の精神病を診断するように設計されている9モジュールを含む。研究バージョンのモジュールは調査の必要性、目的及びゴ―ルに適合させ得る。現在または過去の精神病に関するセクションを含む。
【0049】
本明細書中で引用されている刊行物(この中には特許明細書及び特許出願明細書が含まれるが、これらに限定されない)はすべて、詳しく記載されているように各刊行物が具体的に、個別に参照により本明細書に組み入れると示されているように参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療用医薬を製造するための式(I):
【化1】

の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用。
【請求項2】
治療を要するヒトに対して有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与することを含む心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療方法。
【請求項3】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療するための式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物の使用。
【請求項4】
化合物が[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−([2S,3S]−2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項5】
化合物が[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−([2S,3S]−2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である請求項2に記載の治療方法。
【請求項6】
化合物が[2−メトキシ−5−(5−トリフルオロメチル−テトラゾル−1−イル−ベンジル)]−([2S,3S]−2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物である請求項3に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
薬学的に許容される塩がジクロリドである請求項1または4に記載の式(I)の化合物
の使用。
【請求項8】
薬学的に許容される塩がジクロリドである請求項2または5に記載の治療方法。
【請求項9】
薬学的に許容される塩がジクロリドである請求項3または6に記載の医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2007−533699(P2007−533699A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508864(P2007−508864)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004401
【国際公開番号】WO2005/102336
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】