説明

半導体チップの位置決め治具及び半導体装置の製造方法

【課題】減圧半田接合工程時に発生する溶融半田飛沫の飛散を防止し、前記飛沫による半導体チップの汚染や不良発生を抑制することのできる半導体チップの位置決め治具及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁回路基板の一面に載置される金属薄板に半導体チップを半田付けする際に用いられる半導体チップの位置決め治具3であって、位置決め治具3は、前記半導体チップを嵌め合わせる貫通孔2を有していて、貫通孔2の下端部に前記半導体チップに面して切り込まれた空間13を有する半導体チップの位置決め治具とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に金属薄板が接合されている絶縁回路基板の表面側の所定の位置に一以上の半導体チップを半田接合させて半導体モジュールとする半導体装置の製造方法および半導体チップを絶縁回路基板上の所定の位置にずれなく搭載し良好に半田接合させるために用いられる半導体チップの位置決め治具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
大電流・高電圧環境下でも動作可能なパワー半導体モジュールが様々な分野で用いられるようになっている。このようなパワー半導体モジュールの一例を図4の断面模式図に示す。図中の符号については、括弧内の符号を用いる。パワー半導体モジュール200には、主に、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:以下、IGBTという。)やフリーホイーリングダイオード(Free Wheeling Diode:以下、FWDという。)等の複数のパワー半導体チップ101が組み込まれる。これらの複数のパワー半導体チップ101は絶縁回路基板100上の所定の位置に設けられる半田接合可能な金属薄板(図示せず)上に搭載され、絶縁回路基板100はさらに金属放熱板106上に搭載され半田接合される。絶縁回路基板100上に半田接合された半導体チップ101は、その表面の金属電極(図示せず)と外部端子108とを導電接続させるためにアルミワイヤ105などにより所要の配線接続処理が施され、半導体モジュール200として組み立てられ、樹脂封止されて完成する。
【0003】
図5、図6に、そのような従来の半導体モジュールの製造方法に係る半田接合工程に用いられる半導体チップの位置決めに用いられるカーボン治具およびこのカーボン治具を用いて絶縁回路基板上に半田板と半導体チップをセットした半田接合組み立てセットを示す。詳細には図5(a)はカーボン治具103の平面図、同(b)は同(a)のA−A’線断面図である。図6は、絶縁回路基板100上に、カーボン治具103を載せて固定し、このカーボン治具103の貫通孔102に半田板104と半導体チップ101を入れた半田接合組み立てセットの平面図(a)と、この図(a)のB−B’線断面図(b)である。斜線ハッチングはカーボン治具103を示す。なお、前記図4では、搭載されている複数の半導体チップのうち、一個の半導体チップだけを示しているが、実際には図示しない複数の半導体チップが搭載されている。
【0004】
このような半導体モジュールを製造するための半導体チップの半田接合技術に関して、絶縁回路基板上に半導体チップのサイズに対応する貫通孔を有する位置決め用カーボン治具を載置して半導体チップの位置ズレを防止することが記載されている文献がある(特許文献1)。また、半田接合時にガスが発生し、ボイドができること、このガスの放散通路を確保してボイドの形成を抑制する方法などが知られている(特許文献2)。ダイボンディング時に溶剤の放散をよくするために、気泡の逃げ道を形成するとよいという公開文献がある(特許文献3)。ノンフラックス系ハンダ材を還元雰囲気中で使用するようにして、飛散するフラックスによる半導体素子の汚染を防止して歩留りの低下を防ぐ方法も公知になっている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−40881号公報(段落0013)
【特許文献2】特開2009−164203号公報(段落0007)
【特許文献3】特開平06−314718号公報(要約)
【特許文献4】特開平05−283452号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のように、半導体モジュールの組み立てセットを半田板104の溶融温度以上に設定された減圧加熱炉に入れて半導体チップ101を絶縁回路基板100上に半田接合させる際、図7に示すように溶融半田に巻き込まれた空気がボイド109となって混ざり、減圧とともにボイド109が溶融半田から飛び出し、その際に溶融した半田が半田飛沫107となって飛散することが問題となる。すなわち、このように半田板104に巻き込まれたボイド109とともに溶融半田から飛び出した半田飛沫107がカーボン治具103と半導体チップ101との間隙110から飛散すると、飛散した半田飛沫107が半導体チップ101の表面に落下し付着することがある。半導体チップ101上に落下付着した半田飛沫107に起因して半導体チップ101が特性不良となる場合があって問題となる。
【0007】
本発明は、以上説明した課題を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、減圧半田接合工程時に発生する溶融半田飛沫の飛散を防止し、半導体チップの汚染や不良発生を抑制することのできる半導体装置の製造方法および半導体チップの位置決め治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解消して本発明の目的を達成するために、絶縁回路基板に設置された金属薄板上に半導体チップ半田付けする際に用いられる半導体チップの位置決め治具であって、前記位置決め治具は、前記半導体チップを嵌め合わせる貫通孔を有していて、前記貫通孔の下端部に前記半導体チップに面して切り込まれた空間を有する半導体チップの位置決め治具とする。
【0009】
本発明においては、前記切り込み部が貫通孔の全周に設けられていることが好ましい。また、前記貫通孔の下端部に設けられる切り込み部の高さが、溶融半田の厚さ以上、半導体チップの上面以下であることも好ましい。前記位置決め治具の主面に沿った方向の前記切り込み部の距離が、前記切り込み部の高さと同程度であることもより好ましい。前記切り込み部が前記貫通孔の下端部の面取り加工により形成されていることが望ましい。前記半導体チップの位置決め治具がカーボンを主材料としていることが好適である。前記半導体チップの位置決め治具の厚さが半田板と半導体チップの厚さの合計よりも厚いことがより望ましい。
【0010】
さらに、金属放熱板上に、金属放熱板上に、その一方の面に半田板を挟んで絶縁回路基板を載せ、該絶縁回路基板のもう一方の面に半導体チップの位置決め治具を載置し固定し、前記位置決め治具の貫通孔であってその貫通孔の下端部に前記半導体チップに面して切り込まれた空間を有する貫通孔に半田板と半導体チップをセットし、減圧下で前記半田板の溶融温度以上に加熱して、前記金属放熱板上に絶縁回路基板と半導体チップとを半田接合する工程を有する半導体装置の製造方法とすることにより、前記発明の目的が達成される。前記半導体チップが絶縁ゲート型バイポーラトランジスタチップおよびダイオードチップとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、減圧半田接合工程時に発生する溶融半田飛沫の飛散を防止し、半導体チップの汚染や不良発生を抑制することのできる半導体装置の製造方法および半導体チップの位置決め治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明のカーボン治具の平面図である。(b)は(a)のC−C’線断面図である。(c)は(b)の破線○部の拡大断面図である。
【図2】本発明の半田接合工程を示す半田組み立てセットの要部断面図(その1)である。
【図3】本発明の半田接合工程を示す半田組み立てセットの要部断面図(その2)である。
【図4】一般的な半導体モジュールの断面模式図である。
【図5】(a)は従来のカーボン治具の平面図、(b)は(a)のA−A’線断面図である。
【図6】(a)は従来の絶縁回路基板とカーボン治具と半田板と半導体チップの半田接合組み立てセットの平面図、(b)は(a)のB−B’線断面図(b)である。
【図7】従来の半田接合工程を示す半田組み立てセットの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法および半導体チップの位置決め治具の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下説明する実施例のみに限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る半導体チップの位置決め治具を示す平面図(a)とこの平面図(a)のC−C'線断面図(b)と図(b)の破線円の拡大断面図(c)である。図2は、絶縁回路基板5上に、本発明の位置決め用のカーボン治具3、3a、3bをそれぞれ載せて固定し、これらのカーボン治具3、3a、3bの貫通孔2内に半田板4と半導体チップ1を落とし入れて減圧加熱炉(図示せず)で半田板4を溶融させるという本発明にかかる半田接合工程を説明するための半田組み立てセットの要部断面図である。図2の(a)、(b)、(c)はそれぞれ異なる形状の本発明の位置決め用カーボン治具を有することを示す半田組み立てセットの要部断面図である。
【0015】
従来の半田接合では前記図7でも説明したように、絶縁回路基板100とカーボン治具103と半田板104と半導体チップ101などからなる半田組み立てセットを半田板104の溶融温度以上、例えば300℃程度の減圧加熱炉(図示せず)に入れて半導体チップ101を絶縁回路基板100の所定の位置に半田接合させる。絶縁回路基板100上の金属薄板(図示せず)と半導体チップ101との間に挟まれる半田板104が溶融する際に、巻き込まれた空気がボイド109となって溶融半田とともに半田飛沫107となって飛び出して飛散することがある。従来は、このような状態で溶融半田から飛散した半田飛沫107がカーボン治具103と半導体チップ101との間隙110から飛散し易く、飛散した半田飛沫107が半導体チップ101の表面に落下し付着して特性不良となることが問題であった。
【0016】
この問題は、間隙110を狭くすることでは解消されない。間隙110を狭くすると、半導体チップ101を貫通孔102へ落とし入れる作業性が悪くなるとともに、却って、間隙110から飛び出す圧力が高くなり、飛び出し距離が長くなる傾向があるからである。間隙を広くすれば、飛び出し距離は短くなるが、半導体チップ101の位置ズレが大きくなるので、採用することが困難である。
【0017】
ここで、発明者らは、図2に示すように、本発明のカーボン治具3、3a、3bなどの実施例を用いて絶縁回路基板5上へ半導体チップ1を位置決めして半田接合すると、カーボン治具と半導体チップとの間隙を広くしなくても、前述のような半田飛沫の飛散を抑制することができることを見出した。その結果、半導体チップの位置ズレがなく、特性不良も抑制されるメリットが得られる。以下、その理由について説明する。
【0018】
本発明にかかるカーボン治具3は、従来と同様に、半田接合材の溶融温度に対する充分な耐熱性を有し、溶融半田に濡れることのないグラファイトなどのカーボンの薄板を必要な形状に削りだして作成される。図1にそのようなカーボン治具3の一例を平面図、断面図で示す。従来のカーボン治具である図5に示すカーボン治具103との違いは、本発明のカーボン治具3には、例えば、図1(b)およびその破線円の拡大断面図(c)に示すように、貫通孔2の絶縁回路基板5に接触する側の下端部10に面取りが施され、面取りで形成される切り込み面9による空間13が設けられていることである。この貫通孔2は、従来と同様に絶縁回路基板5上の所定の位置に載置固定された後、半田板4と半導体チップ1が落とし入れられて、半導体チップ1を絶縁回路基板5上の決められた位置にズレなく半田接合させる機能を備えている。貫通孔2は半導体チップ1と相似形でやや大きい形状、例えば、貫通孔2に半導体チップ1を入れた時のカーボン治具3との間の一辺の間隙は0.3mm±0.1mm程度とすることが好ましい。これより間隙8が大きいと半田の溶融後に位置ズレがおき易くなるし、狭いと、半導体チップ1を入れる作業効率が悪くなるだけでなく、本発明にかかるカーボン治具3を用いても半田板4に巻き込まれた空気などのボイド6が突沸状に溶融半田から飛び出し、半田飛沫7となって飛散することがあるので、好ましくない。
【0019】
しかし、本発明のカーボン治具3では、図2に示すように貫通孔2の下端部10の全周に前述のような前記半導体チップに面して切り込まれた空間となる切り込み部9、9a、9bが施されているので、溶融半田から飛び出してきた半田飛沫7があっても、多くは切り込み部9、9a、9bにより形成されたカーボン治具3の貫通孔2下端部の空間13に留まり、半導体チップ1より外方に飛散することが抑制される。前記面取り部を含む切り取り部9、9a、9bの目的は貫通孔2の下端部10に空間13を形成することにある。従って、空間13が形成されるならば、いわゆる面取りという方法だけでなく、例えば、図2(b)に示すように、断面が円弧状の切り込み部9aでもよいし、図2(c)に示すように、断面矩形状の切り込み部9bでもよい。さらに、図2以外の切り込み部であってもよい。また、切り込み部9、9a、9bの目的は、前述のように、貫通孔2の下端部10に空間13を形成することにあるので、切り込み部9、9a、9bは必ずしも貫通孔2の下端部10の全周に亘って完全に形成されていなくてもよい。一部、部分的に切り込み部が無い部分があっても構わない。
【0020】
一方、切り込み部9、9a、9bのカーボン治具の下端部10からの高さ12は少なくとも、溶融半田の厚さ(または半導体チップの下面)よりは高く、半導体チップ1の上面よりは低くすることが望ましい。切り込み部9、9a、9bの高さ12が溶融半田の厚さより低いと、溶融半田から飛散する半田飛沫7を切り込み部9、9a、9bの空間13に留める機能が不充分になる惧れが生じる。また、切り込み部9、9a、9bの高さ12が半導体チップ1の上面より高いと、一旦、切り込み部9、9a、9bの空間13に取り込まれた半田飛沫7が半導体チップ1表面の方向に沿って飛散する惧れが大きくなるからである。また、カーボン治具3、3a、3bの上面は半田板4もしくは溶融半田と半導体チップ1の合計厚さより厚いことがカーボン治具3、3a、3bの強度の点からも望ましい。
【0021】
絶縁回路基板5の基板面に沿った方向の切り込み部9a、9bの距離14を切り込み部の高さ12に対して相対的に長くすると、カーボン治具3a、3bの下端面の、絶縁回路基板5との接触端部11a、11bは貫通孔2から外方に離れるので、切り込み部9a,9bによる空間13は大きく形成されるので好ましいが、絶縁回路基板5と半導体チップ1との間の溶融半田の広がりが大きくなり過ぎる場合が生じる。溶融半田が広がりすぎると溶融半田の厚さが想定よりも薄くなり過ぎて、応力緩衝機能が弱くなり、接合強度の信頼性が低下する惧れが生じるので、好ましくない。従って、切り込み部9a、9bの高さ12と同程度の水平方向の距離14とすることが好ましい。いわゆる面取りは通常、高さと水平距離とが同程度に切り取られる切り込み部9となるので好ましい。しかし、この高さに対してこの水平距離が大きくてもこの発明の効果はある。
【0022】
図3は、本発明の異なる半田接合工程を示す要部断面図であって、前記図2に示すカーボン治具3、3a、3bとは異なり、絶縁回路基板5が半導体チップの搭載側で凹状に沿っている場合に適したカーボン治具3cとした例である。すなわち、カーボン治具の下端面を絶縁回路基板5の凹状の反りに合わせた曲面の加工が施された形状を有している。この曲面加工により、絶縁回路基板5が沿っていてもカーボン治具3cが絶縁回路基板5から浮き上がることなく下端面を面で接触させることができるので、半導体チップ1を絶縁回路基板5上の所定の位置に精度よく、半田接合させることができる。
【0023】
絶縁回路基板5に前述のような反りがでる原因は、図4に示すように、絶縁回路基板5とその両面に接合される金属薄板(図示せず)と半田と絶縁回路基板5の下側に半田接合される厚い金属放熱板15などとの間の線膨張係数の差である。金属の線膨張係数は17〜23×10-6(1/℃)に対して絶縁回路基板5の主材料であるセラミックの線膨張係数は3.0〜7.0×10-6(1/℃)のように、線膨張係数の差が大きいことが、絶縁回路基板5と金属放熱板を半田接合した際に、反りが生じる原因である(バイメタル効果)。本発明にかかる、図3に示すカーボン治具3cは、このような反りを含む構成の半導体モジュールの半田接合に適した構造である。
【0024】
次に、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。以下の説明では、半導体装置として、半導体モジュールを採りあげて説明する。図4は、そのような本発明の半導体モジュールの製造方法を説明するために参照する一般的な半導体モジュールの断面模式図である。図中の符号は、上段の符号を用いて説明する、前記絶縁回路基板5は、窒化アルミニウムやアルミナなどの絶縁性のセラミック基板を主材料とし、両面には銅板などの半田接合の良好な金属薄板が接合されたものである。特に表面側の金属薄板は、複数の半導体チップ1がそれぞれ必要に応じて独立して半田接合可能なように、それぞれ所要の区画されたパターンで基板表面に接合形成されている。この絶縁回路基板5の裏面には、ほぼ全面に銅などの金属薄板が接合され、さらに半導体モジュール200のパッケージのベース基板となり機械的強度およびヒートシンク機能も有する厚い金属放熱板15が半田板4により接合固着される。この絶縁回路基板5の表面に前述の所要の区画パターンに加工され接合されている金属薄板上に、必要な半導体チップ1が半田板4により接合固着される。さらに半導体チップ1の表面上の半導体機能の外部取り出し用金属電極(コレクタ電極、エミッタ電極、ゲート電極など)と外部引き出し端子18とは直接にまたは必要に応じて前記絶縁回路基板5内の中継位置を経てボンディング接続される。前記樹脂枠17で囲まれたところへ保護用の樹脂を封入し、図示しない樹脂蓋を樹脂枠17に接着させて半導体モジュール200とする。
【0025】
前述の半導体モジュール200内の半導体チップ1の半田接合工程について、図4を参照して詳しく説明する。先ず、外周に外部端子18が組み込まれた樹脂枠17を固着させた厚い金属放熱板15上に、半田板4を介して、前記絶縁回路基板5を図示しない基板用カーボン治具で位置決めして載せる。この絶縁回路基板5上に、前記図1に示す本発明にかかるカーボン治具3を用いて、IGBTやFWDなどの半導体チップ1を半田板4とともに所定の位置の貫通孔2にセットし位置決めして配置する。カーボン治具3には、半導体チップ1とほぼ同形状で少し大きい貫通孔2が形成されており、この貫通孔2に半田板4と半導体チップ1を落とし込むと、絶縁回路基板5上の所定の位置に半導体チップ1を位置ズレなく半田接合させることができるように構成されている。これらの金属放熱板15、絶縁回路基板5、カーボン治具3、半田板4、半導体チップ1などの組み立てセットを半田板4の溶融温度以上、例えば、300℃の減圧加熱炉(図示せず)に入れて半導体チップ1を絶縁回路基板5の所定の位置に半田接合させる。
【0026】
以上説明した実施例1に記載の半導体装置の製造方法および半導体チップの位置決め治具によれば、減圧半田接合工程時に発生する溶融半田飛沫の飛散を防止し、半導体チップの不良発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 半導体チップ
2 貫通孔
3、3a、3b、3c カーボン治具
4 半田板
5 絶縁回路基板
6 ボイド
7 半田飛沫
8 間隙
9、9a、9b 切り込み部
10 下端部
11 接触端部
12 切り込み部の高さ
13 空間
14 距離
15 金属放熱板
16 アルミワイヤ
17 樹脂枠
18 外部引き出し端子



【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁回路基板に設置された金属薄板上に半導体チップ半田付けする際に用いられる半導体チップの位置決め治具であって、
前記位置決め治具は、前記半導体チップを嵌め合わせる貫通孔を有していて、前記貫通孔の下端部に前記半導体チップに面して切り込まれた空間である切込み部を有することを特徴とする半導体チップの位置決め治具。
【請求項2】
前記貫通孔の下端部に設けられる切り込み部の高さが、溶融半田の厚さ以上、半導体チップの上面以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体チップの位置決め治具。
【請求項3】
前記位置決め治具の主面に沿った方向の前記切り込み部の距離が、前記切り込み部の高さと同程度であることを特徴とする請求項1乃至2記載の半導体チップの位置決め治具。
【請求項4】
前記切り込み部が貫通孔の全周に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3記載の半導体チップの位置決め治具。
【請求項5】
前記切り込み部が前記貫通孔の下端部の面取り加工により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載の半導体チップの位置決め治具。
【請求項6】
前記半導体チップの位置決め治具の厚さが半田板と半導体チップの厚さの合計よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至5記載の半導体チップの位置決め治具。
【請求項7】
前記半導体チップの位置決め治具がカーボンを主材料としていることを特徴とする請求項1乃至6記載の半導体チップの位置決め治具。
【請求項8】
金属放熱板上に、その一方の面に半田板を挟んで絶縁回路基板を載せ、該絶縁回路基板のもう一方の面に半導体チップの位置決め治具を載置し固定し、前記位置決め治具の貫通孔であってその貫通孔の下端部に前記半導体チップに面して切り込まれた空間を有する貫通孔に半田板と半導体チップをセットし、減圧下で前記半田板の熔融温度以上に加熱して、前記金属放熱板、絶縁回路基板及び半導体チップとをそれぞれ半田接合する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体チップが絶縁ゲート型バイポーラトランジスタチップおよびダイオードチップであることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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