説明

半導体チップ及びその製造方法

【課題】 レーザ光を用いたダイシング工程により割断する工程を含んだ製造方法により製造される半導体チップであって、半導体チップの割断面から改質領域の微小片が剥離することを防止可能な半導体チップ及びその製造方法を実現する。
【解決手段】 ウェハ21を割断した後のエッチング工程では、まず、半導体チップ22に割断した後の半導体基板21をシート41に貼り付けた状態で、等方性ドライエッチングを行うチャンバー内に配置する。続いて、反応性ガスであるXeFを導入し、所定の条件に保持してエッチングする。これにより、割断面21dにおいて等方性エッチングが行われ、改質領域Kが除去されるため、改質領域Kが微小片として飛散することを防止することができる。また、ドライプロセスであるため、液体の表面張力によりMEMS23の可動部にスティッキングが生じるおそれもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板をその厚さ方向に割断して製造される半導体チップ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を形成したシリコンウェハ(以下、ウェハという)を各々の半導体チップに分離するダイシング工程では、レーザ光を用いたダイシング工程(レーザダイシング)の検討や研究が進められており、例えば、下記特許文献1にレーザによるウェハの加工技術が開示されている。図6は、レーザ光を用いたダイシング工程を示す説明図である。図6(A)はレーザ光の照射による改質領域形成工程の説明図であり、図6(B)は割断工程の説明図である。
図6(A)に示すように、レーザ光Lを照射するレーザヘッドHは、レーザ光Lを集光する集光レンズCVを備えており、レーザ光Lを所定の焦点距離で集光させることができる。改質領域形成工程では、レーザ光Lの集光点PがウェハWの基板面から深さdの箇所に形成されるように設定したレーザ光照射条件で、ウェハWを割断する割断予定ラインDL上に沿って(図中手前方向)レーザヘッドHを移動させ、レーザ光LをウェハWの基板面から照射する。これにより、レーザ光Lの集光点Pが走査された深さdの経路には、多光子吸収による改質領域Kが形成される。
ここで、多光子吸収とは、物質が複数個の同種もしくは異種の光子を吸収することをいう。その多光子吸収により、半導体基板Wの集光点Pおよびその近傍では、光学的損傷という現象が発生する。光学的損傷により、一旦溶融した後に凝固して非晶質構造または多結晶構造に変化した領域である改質領域Kが形成される。
レーザ光Lがパルス波の場合、レーザ光Lの強度は、集光点Pのピークパワー密度(W/cm)で決まり、例えばピークパワー密度が1×10(W/cm)以上でパルス幅が1μs以下の条件で多光子吸収が発生する。レーザ光Lとしては、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザによるレーザ光を用いる。そのレーザ光Lの波長は、例えば1064nmの赤外光領域の波長である。
続いて、図6(B)に示すように、半導体基板Wの面内方向(図中矢印F2、F3で示す方向)に応力を負荷することにより、改質領域Kを起点にして、基板厚さ方向にクラックCを進展させて、半導体基板Wを割断予定ラインDLに沿って割断する。
【特許文献1】特許第3408805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、改質領域Kは強度が低下しているため、半導体基板Wの割断時や後の工程において、割断面に露出している改質領域Kの一部が剥離して微小片として飛散するおそれがある。この微小片がチップ上に形成された素子に付着すると、半導体装置の動作不良を招くことから、ウェハから割断分離された半導体チップの歩留まりや品質が低下するという問題があった。
特に、MEMS技術を利用して作製された各種センサ素子(圧電素子や静電容量素子から成る圧力センサ、加速度センサ、超音波センサなど)やマイクロマシンが形成されている場合には、センサ素子やマイクロマシンを構成する可動部に微小片が付着すると、その微小片により可動部の動きが妨げられるため、センサ素子やマイクロマシンの歩留まり低下や品質低下を招くおそれがある。
【0004】
そこで、この発明は、レーザ光を用いたダイシング工程(レーザダイシング)により割断する工程を含んだ製造方法により製造される半導体チップであって、半導体チップの割断面から改質領域の微小片が剥離することを防止可能な半導体チップ及びその製造方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、半導体チップの製造方法において、基板面に素子が形成された半導体基板をその厚さ方向に割断するための割断予定ラインに沿って、レーザ光を照射するレーザヘッドを前記半導体基板に対して相対移動させながら、前記半導体基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記集光点に多光子吸収による改質領域を形成する改質領域形成工程と、この改質領域形成工程を経た前記半導体基板を、前記改質領域を起点にして、前記割断予定ラインに沿って厚さ方向に割断して半導体チップを得る割断工程と、前記割断工程により前記半導体チップに形成された割断面に露出する改質領域を、等方性のドライエッチング法によりエッチングするエッチング工程と、を備えた、という技術的手段を用いる。
なお、上記集光点とは、レーザ光が集光した箇所のことである。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、エッチング工程により割断面において等方性エッチングが行われ、改質領域が除去されるため、半導体チップの割断面から剥離した改質領域が微小片として飛散することを防止することができる。これにより、半導体チップに微小片が付着することがないため、微小片の飛散による製品の歩留まり低下や品質低下を防止することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の半導体チップの製造方法において、前記ドライエッチング法は、反応性ガスエッチング法である、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明のように、ドライエッチング法として反応性ガスエッチング法を用いることができる。これによれば、チャンバーと加熱装置とを備えた簡便な装置構成によりエッチングを行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の半導体チップの製造方法において、前記ドライエッチング法は、プラズマエッチング法である、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項3に記載の発明のように、ドライエッチング法としてプラズマエッチング法を用いることができる。これによれば、半導体基板の温度が上昇しないため、半導体チップに熱応力による歪みなどの悪影響が生じるおそれがない。更に、エッチング速度が速いため、処理時間を短くすることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の半導体チップの製造方法において、前記ドライエッチング法は、ケミカルドライエッチング法である、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明のように、ドライエッチング法としてケミカルドライエッチング法を用いることができる。ケミカルドライエッチング法は、エッチング部とプラズマ発生部が分離したダメージフリーエッチングであるため、エッチングが半導体チップに与える損傷を防止することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法において、前記割断工程における前記半導体基板の割断とともに、前記エッチング工程を行う、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、割断工程における半導体基板の割断とともに、エッチング工程を行うため、割断直後に改質領域をエッチングすることができるので、微小片の剥離をより効率的に防止することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法において、前記エッチング工程を行う前に、前記基板面に形成された素子の表面に、当該半導体素子を前記ドライエッチング法によるエッチングから保護する保護膜を形成する保護膜形成工程を更に備えた、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、エッチング工程を行う前に、基板面に形成された素子の表面に、当該半導体素子をドライエッチング法によるエッチングから保護する保護膜を形成する保護膜形成工程を更に備えているため、素子表面に保護膜が形成されているので、エッチングから素子を保護することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法において、前記基板面に形成された素子は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により形成された可動部を有する素子である、という技術的手段を用いる。
【0018】
請求項7に記載の発明のように、基板面に形成された素子が、MEMS技術により形成された可動部を有する素子である場合には、可動部に微小片が挟まることにより可動部の動きが妨げられるおそれがないため、素子の性能低下を防止することができるので、本発明を好適に用いることができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法によって作製された半導体チップであって、前記割断面から前記改質領域が除去されている、という技術的手段を用いる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法によって作製された半導体チップであって、割断面から改質領域が除去されているため、改質領域から微小片が剥離して飛散することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
この発明に係る半導体チップ及びその製造方法の第1実施形態について、図を参照して説明する。図1は、この発明の製造方法により割断するウェハの構成例を示す模式図である。図1(A)は、ウェハの表面の平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)の1B−1B矢視断面拡大図である。図2は、半導体基板にレーザ光の照射を行う割断装置の説明図である。図3は、割断工程によりウェハを割断して形成された半導体チップの断面説明図である。図4は、エッチング工程によりエッチングされた半導体チップの断面説明図である。図5は、保護膜が形成された半導体チップの断面説明図である。
なお、いずれの図においても、説明のために一部を拡大して誇張して示している。
【0022】
まず、図1(A)に示すようなウェハ20を用意する。ウェハ20には、シリコンからなる薄板円盤形状の半導体基板21が備えられており、その外周の一部には、結晶方位を示すオリエンテーションフラットが形成されている。この半導体基板21の基板面21aには、拡散工程等を経て形成された素子、ここでは、例えば櫛歯状に形成された可動部を有するセンサ素子を構成するMEMS23が碁盤の目のように整列配置されている。
ウェハ20はダイシング工程により割断予定ラインDLに沿ってそれぞれ割断されて半導体チップ22となり、半導体チップ22はマウント工程、ボンディング工程、封入工程等といった各工程を経ることによってパッケージされたICやLSIとして完成する。なお、本実施形態では、半導体基板21は、半導体チップ22の支持基板となるシリコン層を形成し得るものである。
半導体基板21は、裏面21bが延伸性を有する樹脂製のシート41に接着され、シート41が張った状態でシート41の外周部が円環状のフレーム42により保持される。
例えば、図1(B)に示すように、1B−1Bライン上には、6つの半導体チップ22a〜22fが形成されている。半導体基板21の厚さ方向には7本の割断予定ラインDL1〜DL7が設定されており、後述する方法により割断の起点となる改質領域が形成される。
【0023】
図2に示すように、半導体基板21の割断装置1には、レーザ光Lを照射するレーザヘッド31が設けられている。レーザヘッド31は、レーザ光Lを集光する集光レンズ32を備えており、レーザ光Lを所定の焦点距離で集光させることができる。ここでは、レーザ光Lの集光点Pが半導体基板21の基板面21aから深さdの箇所に形成されるように設定されている。
【0024】
まず、改質領域形成工程を行う。半導体基板21内部に改質領域Kを形成するためには、まず、図1(A)に示す割断予定ラインDLの1つを、ウェハ検出用のレーザ光で走査し、図1(B)に示す外周端部21cを検出し、レーザ光Lの走査範囲を設定する。
続いて、図2に示すように、レーザヘッド31を割断予定ラインDLに沿って走査し(図中矢印F4方向)、レーザ光Lを基板面21aから照射することにより、レーザ光Lの集光点Pが走査された深さdの経路に、多光子吸収による改質領域Kが適正に形成される。レーザ光Lの集光点Pの深さdを調整することにより、半導体基板21の厚さの範囲内で任意の深さに任意の層数の改質領域Kを形成することができる。例えば、厚さが比較的厚い場合は、その厚さ方向へ集光点Pを移動させて改質領域Kを厚さ方向に連続状、または複数箇所に形成することにより、半導体基板21の割断を容易にすることができる。
ここで、多光子吸収とは、物質が複数個の同種もしくは異種の光子を吸収することをいう。その多光子吸収により、半導体基板Wの集光点Pおよびその近傍では、光学的損傷という現象が発生し、一旦溶融した後に凝固して、多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンに変化した数μm程度の大きさの領域である改質領域Kが形成される。
【0025】
続いて、割断工程を行う。割断工程では、図3に示すように、公知の方法によりシート41を拡張(図中F方向)して半導体基板21の面内方向に応力を負荷することにより、改質領域Kを起点にして、基板厚さ方向にクラックを進展させる。これにより、半導体基板21を割断予定ラインDLに沿って容易に割断することができる。割断されて形成された割断面21dには、改質領域Kが露出している。この改質領域Kは、結晶相の変化やマイクロクラックの導入により強度が低下している。
【0026】
続いて、エッチング工程を行う。エッチング工程では、等方性のドライエッチング法により割断面21dのエッチングを行い、改質領域Kを除去する。本実施形態では、XeF(二フッ化キセノン)ガスによる反応性ガスエッチング法を採用した。反応性ガスエッチング法はチャンバーと加熱装置という簡単な装置構成でエッチングを行うことができる。
【0027】
エッチングは、以下の工程で行われる。図4に示すように、まず、半導体チップ22に割断した後の半導体基板21をシート41に貼り付けた状態で、エッチングを行うチャンバー内に配置する。続いて、XeFを導入し、所定の温度、例えば70℃に昇温した後に、所定の時間、例えば1時間保持してエッチングする。
これにより、割断面21dにおいてXeFガスによる等方性エッチングが行われ、改質領域Kが除去されるため、改質領域Kが微小片として飛散することを防止することができる。
また、反応性ガスエッチング法は、液体を用いないドライプロセスであるため、液体の表面張力によりMEMS23の可動部にスティッキングが生じるおそれもない。
【0028】
反応性ガスとして、例えばCF、SF、NF、SiF、BF、ClF、SiClなどのフッ素系ガスまたは塩素系ガスを用いることもできる。
特に、単結晶シリコンよりも多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンのエッチングレートが早いガスを用いると、改質領域Kを選択的にエッチングすることができるので、単結晶シリコンで形成される領域、例えばMEMS23の可動部などに対するエッチングの影響を小さくすることができる。
【0029】
(変更例)
MEMS23の表面にXeFに対するマスク材となりうる、例えばSiOやSiNなどの保護膜を形成してもよい。
また、図5に示すように、レーザ照射前のウェハ20表面、例えばMEMS23の表面に保護膜24を形成しておいてもよい。これによれば、XeFによりMEMS23の可動部などがXeFによりエッチングされることを防ぐことができる。
【0030】
[第1実施形態の効果]
エッチング工程により、割断面21dにおいて反応性ガスであるXeFガスによる等方性エッチングが行われ、改質領域Kが除去されるため、改質領域Kが微小片として飛散することを防止することができる。
また、反応性ガスエッチング法は、液体を用いないドライプロセスであるため、液体の表面張力によりMEMS23の可動部にスティッキングが生じるおそれもない。
これにより、半導体チップ22に微小片が付着することがないため、微小片の飛散による製品の歩留まり低下や品質低下を防止することができる。
【0031】
[第2実施形態]
第2実施形態の半導体チップ及びその製造方法は、エッチング工程において、反応性ガスに高周波電力を印加してプラズマを発生させるプラズマエッチング法を採用する点において第1実施形態と異なっている。ここで、プラズマエッチング法は、バレル型、平行平板型のいずれの方式でもよい。
エッチングは、以下の工程で行われる。第1実施形態同様に、図4に示すように、まず、半導体チップ22に割断した後の半導体基板21をシート41に貼り付けた状態で、エッチングを行うチャンバー内に配置する。続いて、処理ガスであるCFをガス圧が1torrとなるように導入し、高周波電力を印加してプラズマを発生させてラジカル反応によりエッチングを行う。
これにより、割断面21dにおいて等方性エッチングが行われ、改質領域Kが除去されるため、改質領域Kが微小片として飛散することを防止することができる。
【0032】
プラズマエッチング法は、液体を用いないドライプロセスであるため、液体の表面張力によりMEMS23の可動部にスティッキングが生じるおそれもない。
また、半導体基板の温度が上昇しないため、MEMS23に熱応力による歪みなどの悪影響が生じるおそれがない。
更に、エッチング速度が速いため、処理時間を短くすることができる。
【0033】
処理ガスとして、例えばSF6、NF3、SiF4、BF3、ClF3、SiCl4などのフッ素系ガスまたは塩素系ガスを用いることもできる。
また、第1実施形態同様に、MEMS23可動部などにプラズマに対するマスク材となりうる保護膜24を形成してもよい。
【0034】
(変更例)
プラズマエッチング法として、ケミカルドライエッチング法を採用することができる。例えば、CFとOとの混合ガスを用い、マイクロ波放電により得られるF原子によりエッチングすることができる。ここで、ケミカルドライエッチング法は、エッチング部とプラズマ発生部が分離したダメージフリーエッチングであるため、MEMS23に与える損傷を防止することができる。
ケミカルドライエッチング法では、処理ガスとして、SFとOとの混合ガスやCF、N2、Cl2及びO2の混合ガスなどを用いることができる。
【0035】
[第2実施形態の効果]
(1)第2実施形態の半導体チップ及びその製造方法によれば、第1実施形態の半導体チップ及びその製造方法と同様の効果を奏することができるとともに、半導体基板の温度が上昇しないため、MEMS23に熱応力による歪みなどの悪影響が生じるおそれがない。
また、エッチング速度が速いため、処理時間を短くすることができる。
【0036】
(2)プラズマエッチング法として、ケミカルドライエッチング法を採用する構成では、エッチング部とプラズマ発生部が分離したダメージフリーエッチングであるため、MEMS23に与える損傷を防止することができる。
【0037】
[その他の実施形態]
(1)割断工程を行う前に、ウェハ20をエッチングを行うチャンバーに配置し、エッチング工程を行いながら割断してもよい。この構成を用いると、割断直後に改質領域Kをエッチングすることができるので、微小片の剥離をより効率的に防止することができる。
【0038】
(2)半導体基板21には、シリコンのみで構成された半導体基板を用いたが、本発明の適用はこれに限られることはなく、例えば、酸化シリコンからなる酸化膜を半導体基板21の基板面21aに形成したものやSOI(Silicon On Insulator)のウェハについて適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の製造方法により割断するウェハの構成例を示す模式図である。図1(A)は、ウェハの表面の平面説明図であり、図1(B)は、図1(A)の1B−1B矢視断面拡大図である。
【図2】半導体基板にレーザ光の照射を行う割断装置の説明図である。
【図3】割断工程によりウェハを割断して形成された半導体チップの断面説明図である。
【図4】エッチング工程によりエッチングされた半導体チップの断面説明図である。
【図5】保護膜が形成された半導体チップの断面説明図である。
【図6】レーザ光を用いたダイシング工程を示す説明図である。図6(A)はレーザ光の照射による改質領域形成工程の説明図であり、図6(B)は割断工程の説明図である。
【符号の説明】
【0040】
20 ウェハ
21 半導体基板
21a 基板面
21b 裏面
21c 外周端部
21d 割断面
22 半導体チップ
23 MEMS(素子)
24 保護膜
41 シート
42 フレーム
K 改質領域
L レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面に素子が形成された半導体基板をその厚さ方向に割断するための割断予定ラインに沿って、レーザ光を照射するレーザヘッドを前記半導体基板に対して相対移動させながら、前記半導体基板の内部に集光点を合わせてレーザ光を照射し、前記集光点に多光子吸収による改質領域を形成する改質領域形成工程と、
この改質領域形成工程を経た前記半導体基板を、前記改質領域を起点にして、前記割断予定ラインに沿って厚さ方向に割断して半導体チップを得る割断工程と、
前記割断工程により前記半導体チップに形成された割断面に露出する改質領域を、等方性のドライエッチング法によりエッチングするエッチング工程と、
を備えたことを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項2】
前記ドライエッチング法は、反応性ガスエッチング法であることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項3】
前記ドライエッチング法は、プラズマエッチング法であることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項4】
前記ドライエッチング法は、ケミカルドライエッチング法であることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項5】
前記割断工程における前記半導体基板の割断とともに、前記エッチング工程を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法。
【請求項6】
前記エッチング工程を行う前に、前記基板面に形成された素子の表面に、当該半導体素子を前記ドライエッチング法によるエッチングから保護する保護膜を形成する保護膜形成工程を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法。
【請求項7】
前記基板面に形成された素子は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により形成された可動部を有する素子であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載の半導体チップの製造方法によって作製された半導体チップであって、前記割断面から前記改質領域が除去されていることを特徴とする半導体チップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate