説明

半導体デバイスパッケージング用のパッシベーション層

【課題】本発明の目的は、半導体デバイスにおける銅表面との電気的接続の信頼性を向上させることである。
【解決手段】本発明は、半導体デバイス上の銅層又は銅ボンディングパッドの表面を酸化に対して保護する方法を提供する。層又はボンディングパッドの表面が、プラズマで酸化層を除去することによって洗浄される。プラズマ強化堆積プロセスを用いて層の洗浄された表面上にポリマー層が形成され、酸化ガスへの曝露に対し層の洗浄された表面が保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には半導体デバイスの製造に関し、特に、半導体チップ、パッケージキャリア及び/又ははんだバンプの表面から酸化物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「IC」又はマイクロチップとしても知られる集積回路は、今日構築される実質的に全ての電子デバイスで使用される小型化電子回路である。ICは、通常シリコンから製造されるウェハーに対して描画プロセス、堆積プロセス及び/又はエッチングプロセスによりさまざまな材料(導体及び絶縁体)を積層することによって構築される。ICの素子はフロントエンドオブライン(front−end−of−line)処理によって形成され、バックエンドオブライン(back−end−of−line)処理を用いて、相互接続レベル及び相互接続レベルにおける受動素子が形成される。
【0003】
ウェハーから切断されたダイは、一般にパッケージキャリア(基板、回路基板又はリードフレーム等)の上に実装され、パッケージキャリアは、ダイからパッケージキャリアの外部への電気的接続を提供する。フリップチップ実装と呼ばれるこうしたパッケージング構成の1つでは、ダイは、はんだボール又ははんだバンプによってパッケージキャリア等の基板上のボンドパッドの対応するアレイに電気的に接続することができる、ボンディングパッドとして知られる導電接点のアレイを含む。通常、はんだバンプは、ダイ及び/又は基板上のボンドパッドに位置合せされ、リフロープロセスを適用することにより、ダイと基板との間にはんだ接合の形態での電気的接続が形成される。フリップチップ実装のプロセスにより、ダイと基板との間に空間又は間隙がもたらされる。
【0004】
これらの従来のプロセスの多くでは、ボンドパッドを形成するためにアルミニウム又は金が使用されてきた。しかしながら、現在、銅の方が普及しており、それは金に関連したコストが高いため、かつ銅がアルミニウムより優れた導体であるためである。そうは言っても、銅は標準温度及び標準圧力で容易に酸化するため、その使用には困難が伴わなかった訳ではない。酸化した銅の領域は、電流の流れを妨害することにより電気的接続の信頼性を大幅に低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、半導体デバイスの銅表面との電気的接続の信頼性を向上させる製造方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的な実施の形態では、半導体デバイスの銅層を保護する方法が提供される。前記層の表面は、酸化層をプラズマで除去することにより洗浄される。ポリマー層が、プラズマ強化堆積(Plasma−enhanced deposition)プロセスを用いて前記層の前記洗浄された表面上に形成され、酸化ガスへの曝露に対して該層の該洗浄された表面を保護する。
【0007】
本発明の別の代表的な実施の形態では、ボンディングパッドを有する半導体デバイスを処理する方法であって、前記ボンディングパッドは銅で構成される表面を有する、方法が提供される。前記ボンディングパッドの表面が、酸化層をプラズマで除去することにより洗浄される。ポリマー層が、プラズマ強化堆積プロセスを用いて前記ボンディングパッドの前記洗浄された表面上に形成され、酸化ガスへの曝露に対して該ボンディングパッドの該洗浄された表面を保護する。前記ボンディングパッドの前記洗浄された表面との電気的接続が、形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の原理により半導体デバイスをプラズマ処理するプラズマ処理システムの概略図である。
【図2A】本発明の一実施形態により半導体デバイスをプラズマ処理する手順プロセスフローを示す概略図である。
【図2B】本発明の一実施形態により半導体デバイスをプラズマ処理する手順プロセスフローを示す概略図である。
【図2C】本発明の一実施形態により半導体デバイスをプラズマ処理する手順プロセスフローを示す概略図である。
【図3A】本発明の一実施形態による半導体デバイスのプラズマ処理及びプラズマ処理された半導体デバイスとの電気的接続の確立を示すフローチャートである。
【図4】湿潤剤層が堆積されている図2Cのプラズマ処理された半導体デバイスの概略図である。
【図5A】リフロープロセスが施されている半導体デバイスの概略図である。
【図5B】リフロープロセスが施されている半導体デバイスの概略図である。
【図5C】本発明の一実施形態により銅ベースのはんだバンプにパッシベーション膜が形成された、図5Bのリフロープロセスの後の半導体デバイスの概略図である。
【図6A】本発明の一実施形態により洗浄されパッシベーション膜が形成された異なるタイプの銅層を備えた半導体デバイスを示す、図2Aに類似する概略図である。
【図6B】本発明の一実施形態により洗浄されパッシベーション膜が形成された異なるタイプの銅層を備えた半導体デバイスを示す、図2Bに類似する概略図である。
【図6C】本発明の一実施形態により洗浄されパッシベーション膜が形成された異なるタイプの銅層を備えた半導体デバイスを示す、図2Cに類似する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に組み込まれるとともに本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明のさまざまな実施形態を例示し、上述した本発明の概略的な説明及び後述する実施形態の詳細な説明とともに、本発明の実施形態を説明する役割を果たす。
【0010】
図面、特に図1を参照すると、プラズマ処理システム10が示されており、該プラズマ処理システム10は、処理空間14を囲む壁によって構成された処理チャンバー12を有している。プラズマプロセス中、処理チャンバー12は、包囲している周囲環境から流体密封封止され、適切な部分真空になるように排気され、処理チャンバー12には、意図されたプラズマ処理に適切な少なくとも1種のプロセスガスが供給される。真空ポンプ16を用いて、バルブ付き真空ポート18を介して処理チャンバー12の処理空間14が排気される。真空ポンプ16は、真空技術の分野における当業者によって理解されるように、排気速度が制御可能な1つ又は複数の真空排気装置を備えることができる。
【0011】
1種又は複数種のプロセスガスが、プロセスガス源20から注入口ガスポート22を通って処理空間14に、調節された流量で注入される。プロセスガス源20から処理空間14へのプロセスガスの流れは、通常、マスフローコントローラー(図示せず)によって計測される。プロセスガス源20からのガス流量及び真空ポンプ16のポンプ流量は、必要に応じて、プラズマ発生及び意図された処理プロセスに対して適したプラズマ処理圧力を生成するように調整される。このように、新鮮なプロセスガスが、プラズマが存在するときに処理空間14に連続的に供給され、基板支持体26上の基板24から取り除かれるいかなる使用済みプロセスガス及び/又は揮発性種も除去される。
【0012】
電源28が、チャンバー12の内部にある電極(本明細書では「アンテナ」30と呼ぶ)に電気的に結合され、かつそれに電力を移送する。電源28からアンテナ30に移送される電力は、処理空間14内に閉じ込められたプロセスガスからプラズマ32を形成するために有効である。電源28はまた、基板支持体26に関連する電極(本明細書では「バイアス電極」34と呼ぶ)に通電することも可能である。電源28からバイアス電極34に移送される電力は、プラズマ32に対して基板24に電気的にバイアスを印加し、基板24のプラズマ処理を促進するために有効である。電源28は、直流(DC)バイアス印加を制御する1つ若しくは複数の電源、及び/又は高周波(RF)電源とすることができ、該高周波(RF)電源は約40kHzと約13.56MHzとの間の周波数で動作し、40kHzでは約4000ワットと約8000ワットとの間の電力レベル範囲、又は13.56MHzでは300ワットから2500ワットとの間の電力レベル範囲で動作する。他の適切な周波数及び電力範囲を使用することも可能である。当業者は、異なる処理チャンバー設計が異なるバイアス電力を可能にするか又は必要とする可能性があることを理解するであろう。プラズマプロセスの制御を容易にするために、プラズマ処理システム10のさまざまな構成要素にコントローラー(図示せず)が結合されている。
【0013】
プラズマ処理システム10は、当業者によって理解される種々の構成を前提とすることができ、したがって、本明細書に記載される例示的な構成に限定されない。例えば、プラズマ32を、処理チャンバー12から遠くで発生させ、処理空間14に送り出すことができる。プラズマ処理システム10は、図1に示さず、かつ、処理空間14と真空ポンプ16との間に配置されたゲートバルブ等、システム10の動作に必要である可能性のある構成要素を含むことが更に理解される。
【0014】
図2Aは、代表的なボンディングパッド42a、42b等の1つ又は複数のボンディングパッドを有する、シリコンダイ等の基板40で構成される半導体デバイス38を示す。ボンディングパッド42a、42b又はボンディングパッド42a、42bの最上層は、酸素に曝露されると容易に酸化する銅等の材料の層で構成される。ボンディングパッド42a、42bのそれぞれの表面43a、43bは、集積回路及び半導体デバイス38の他の素子との電気的接続を確立するために露出している。ボンディングパッド42a、42bの表面43a、43bを、パッシベーション層44で部分的に覆うことができる。パッシベーション層44は、ポリイミド等の電気的絶縁体で構成することができる。
【0015】
電気的接続を確立するために用いられるボンディングパッド42a、42bの表面43a、43bは、パッシベーション後に部分的に露出したままであるため、半導体デバイス38が、層44を形成するために用いられる環境(特に示さないが、図1のプラズマ処理システム10に類似している場合がある)から取り出され、大気条件に晒されると、ボンディングパッド42a、42bのそれぞれの表面43a、43bは、露出することで酸化する可能性がある。酸化物46は、ボンディングパッド42a、42bの上の層として形成され、除去されない場合、ワイヤーボンディング処理又はリフロー処理を妨げる可能性があり、デバイスの信頼性を低下させるように作用する可能性もある。酸化物46は、酸化した銅の領域を含む場合もあり、その領域は、除去されない場合、電流の流れを妨げることによりボンディングパッド42a、42bとの電気的接続の信頼性を低下させる。
【0016】
ここで図1及び図2A〜図2Cを参照すると、本発明の一実施形態によれば、半導体デバイス38は、ボンディングパッド42a、42bから酸化物46を除去し、ボンディングパッド42a、42bの洗浄された表面43a、43bの再酸化を防止するように処理される。このプロセスを用いて、半導体デバイス38の他のタイプの銅層を洗浄し保護することができる。
【0017】
図3Aは、半導体デバイス38をプラズマ処理するプロセスフローを示すフローチャート48である。半導体デバイス38を処理チャンバー14の基板支持体26上に設置することにより、半導体デバイス38をプラズマ処理システム10内に装填する(ブロック50)。半導体デバイス38のボンディングパッド42a、42bは、図2Aに示すように酸化物46で覆われている銅層を構成している。半導体デバイス38が装填されると、真空ポンプ16がチャンバー12を排気し、プロセスガス源20からプロセスガスが処理空間14内に導入され、その間、コントローラーが、所望の処理圧力を維持するために真空ポンプ16の動作及びガス導入を調整する。約0.02W/cmから約0.65W/cmの範囲のRF電力が電源28からアンテナ30に供給され、それにより、処理空間14内のプロセスガスが励起されてプラズマ32になる。
【0018】
プラズマ32が着火している間、電源28は、バイアス電極34にもDC電力を供給して、プラズマ32からのイオンの1つ又は複数の種に対し、その時点でバイアスが印可されている半導体デバイス38に向かうようにバイアスを印加する。プラズマ32は、酸化物46を除去することにより、ボンディングパッド42a、42bの表面43a、43bを洗浄する(ブロック58)。一実施形態では、プロセスガスを、アルゴン(Ar)及び水素(H)の混合物とすることができ、そこでは、Arは、スパッタリングによって表面43a、43b上の酸化物46を物理的にエッチングし、Hは、表面43a、43b上の酸化物46を化学的に還元する。ボンディングパッド42a、42bの洗浄された表面43a、43b、及び酸化層46がないことを、図2Bに示す。
【0019】
デバイス10がチャンバー12内部にある間、チャンバー12の酸素欠乏環境が、洗浄された表面43a、43bを再酸化から保護する。デバイス10がチャンバー12から取り出され、酸素を含む周囲雰囲気環境に曝露されたとき、再酸化に対する保護として、ボンディングパッド42a、42bの洗浄された表面43a、43b上にポリマー層61(図4)を形成する(ブロック62)。ポリマー層61は、パッシベーション層44の上にも形成される。
【0020】
そのために、プラズマに対するプロセスガス流を調整しかつ/又は変更する。例えば、Hガスの導入を停止することができ、ポリマー層61を形成するのに適しているプロセスガスを導入することができる。プロセスガスを、シロキサン、又は一実施形態ではテトラメチルジシロキサン(「TMDSO」)等のモノマーガスとすることができる。TMDSOを、処理空間14に流体結合されている別個の蒸発チャンバー(特に示さないが、ガス源20内に含まれる)に液体TMDSOを供給することによって導入することができる。TMDSOの蒸気圧は20℃で112.5mTorrであるため、チャンバー12内部で適切なプロセス圧力が確立されると、TMDSOは、容易に気化し、約1sccmから約1000sccmの範囲の流量で処理空間14に入る。代替実施形態では、当業者には既知であるようにモノマー蒸気を処理空間14に搬送するためにキャリアガスを用いることができ、それは、本発明の実施形態と一致しているものと考えられる。チャンバー12内のプロセス圧力を、TMDSOが導入される際に約20mTorrから約200mTorrの範囲で維持することができる。
【0021】
プラズマ32におけるTMDSOは、半導体デバイス38の表面43a、43b上にポリマー層61を形成する。ポリマー層61の堆積が完了すると(約10nmから約500nmの範囲の膜厚)、プロセスガスの導入を停止し、プラズマ処理が終了し、半導体デバイス38をプラズマ処理システム10から取り出す(ブロック64)。ポリマー層61を構成する材料の厚さ及び/又は組成は、周囲雰囲気環境からの酸素等の酸化ガスの洗浄された表面43a、43bへの拡散を低減するように、かつ好ましくは防止するバリアとして機能するように選択される。ボンディングパッド42a、42bのそれぞれの露出した表面43a、43bが、この時点で汚染されておらず酸化銅がなく、かつポリマー層61によってパッシベーション膜が形成されているため、洗浄された表面43a、43bが再酸化に対して保護されているならば、酸化した銅による妨害なしにボンディングを行うことができる。ボンディングパッド42a、42bの洗浄された表面43a、43bを覆っているポリマー層61は図2Cで明らかである。
【0022】
ここで図4を参照するとともに依然として図3Aを参照すると、別の処理ステップに備えてポリマー層61の表面上に湿潤剤70を堆積させることができる(ブロック66)。しかしながら、ポリマー層61の表面の接触角が、特定の湿潤剤層の半導体デバイス38上への均一な堆積をもたらすのには大きすぎる場合がある。したがって、フラックス等の湿潤剤が望まれる場合(ブロック66の「はい」分岐)、ポリマー層61の表面を、接触角を(約80°〜約90°の範囲まで)低減し、湿潤剤70に対して表面を準備するように改質することができる。特に示さないが、この改質を、ポリマー層の表面が酸化するプラズマ強化プロセスによって行うことができる。一実施形態によれば、プロセスガス流を再度調整しかつ/又は変更する。特に、プロセスガス流の調整又は変更は、TMDSOモノマーの導入を停止させることと、ポリマー層61を除去するか又は表面43a、43bを露出させることなく、少なくとも部分的にポリマー層61の露出した表面を酸化させ接触角度を低減するプラズマを発生させる目的で、酸素(O)を導入することとを含むことができる。そして、ポリマー層61の表面上に湿潤剤70を堆積させることができる(ブロック68)。湿潤剤70を、参照により開示内容が全て本明細書に援用される、2008年10月28日に発行され「Rechargeable Dispensing Head」と題する米国特許第7,441,568号に記載されているもののような液体分配装置によって堆積させることができる。湿潤剤70が必要とされないか又は望まれない場合、プロセスは堆積ステップなしに続行することができる(ブロック66の「いいえ」分岐)。
【0023】
次いで、半導体デバイス38は、要求に応じて、ポリマー層61を通って洗浄された表面43a、43bまで延在する電気的接続を提供する取付プロセスの用意ができている。したがって、取付プロセスのタイプを決定する(図3Aのブロック72)。単に例示の目的で、図5A及び図5Bに関連して、フリップチップタイプの取付プロセスについて説明しかつ図示する(図3Aのブロック72の「A」分岐)。フリップチップ取付プロセスは、限定されないが、熱圧着接合プロセス又は熱接合プロセスを含む。いずれの場合も、図示するように、はんだバンプ76a、76bを支持しているモールドトレイ(図示せず)が、ボンディングパッド42a、42bそれぞれに位置合せされる。はんだバンプ76a、76bは、ボンディングパッド42a、42bと位置合せされ、図5Aに示すように半導体デバイス38上に送られる。湿潤剤組成によって決まるが、通常約200℃から約300℃の範囲である、十分な圧力及び温度により、図5Bに示すように、湿潤剤70は、ボンディングパッド42a、42bの領域において消散し、ポリマー層61は分解し、はんだバンプ76a、76bは、リフローしてそれぞれのボンディングパッド42a、42bと接触する(ブロック74)。層がないため、はんだバンプ76a、76bとボンディングパッド42a、42bとの間の電気的接続の信頼性が大幅に向上する。
【0024】
代替的に、はんだバンプ76a、76bの使用に依存しないワイヤボンディングプロセスに進むことができる(図3Aのブロック72の「B」分岐)。特に図示しないが、ボンディングパッド42a、42b上へのワイヤのボンディングを、一般に当業者に既知である方法で、かつ上記説明に一致する方法で行うことができる(図3Aのブロック80)。特に、はんだ付けプロセス又は溶接プロセスに関連する熱及び圧力により、ポリマー層61は、接点形成領域において分解する。
【0025】
いくつかの実施形態では、はんだバンプ76a、76bを、銅又は銅合金から構成することができる。したがって、はんだバンプ76a、76bの露出した表面77a、77bが、上述したボンディングパッド42a、42b(図2A)の酸化と同様に酸化する可能性がある。したがって、図5Bの半導体デバイス38を、本発明の1つ又は複数の実施形態に一致する方法で、酸化物を除去しポリマー層を施すようにプラズマ処理することができる。例えば、半導体デバイス38を、プラズマ処理システム10(図1)内に装填し、図5Cに示すように、酸化物を除去しはんだバンプ76a、76bの表面77a、77bを洗浄し、はんだバンプ76a、76bの表面77a、77b上に第2のポリマー層82を堆積させるように、プラズマ処理することができる。第2のポリマー層82は、プラズマ処理システム10からの取り除いた後のはんだバンプ76a、76bのそれぞれの表面77a、77bの再酸化を防止し、更なる処理が望まれるまではんだバンプ76a、76bの完全性を維持する。
【0026】
代表的な実施形態は、半導体デバイス38としてフロントエンドオブライン処理及びバックエンドオブライン処理後のダイに関するが、ボンディングパッド42a、42bとは異なる構成の銅層又は銅ボンディングパッドを洗浄しそれにパッシベーション膜を形成するか、又は図2A〜図2Cに示す半導体デバイス38とは異なるタイプの半導体デバイス上の銅層又は銅ボンディングパッドを洗浄しそれにパッシベージョン膜を形成する、洗浄及びパッシベーションプロセスを用いることができる。
【0027】
半導体デバイス38を構成するダイは、通常、リードフレーム又はボールグリッドアレイ(BGA)等の基板に接合され、それもまた、ダイのボンディングパッド42a、42bと相補的なボンディングパッドの上に銅層を有する可能性がある。デバイス38に対して上述した洗浄及びパッシベーションプロセスを用いて、その基板上の銅層又は銅ボンディングパッドを洗浄しそれにパッシベーション膜を形成することも可能である。代替的に、デバイス38に対して上述したように、基板上の銅層又は銅ボンディングパッドのみを洗浄しそれにパッシベージョン膜を形成することができる。
【0028】
はんだバンプ76a、76bを、ダイ上の銅層又はボンディングパッドのみに、基板上の銅層又はボンディングパッドのみに、又はダイ上の銅層又はボンディングパッドと基板上の銅層又はボンディングパッドとの両方に施すことができる。各場合において、本明細書に記載したように、はんだバンプ76a、76bを、ダイ及び/又は基板へ施した後に洗浄しそれらに対しパッシベーション膜を形成することができる。
【0029】
構成の変形の一例として、かつ図6Aを参照して、ボンディングパッド42a、42bを、本明細書に記載したように洗浄される表面43a、43bを有するピラーとして成形することができる。ボンディングパッド42a、42bとしての役割を果たす洗浄されたピラーを、これも本明細書に記載したように、ポリマー層61によって被覆することができる。洗浄されパッシベーション膜が形成されたボンディングパッド42a、42bを使用することにより、相補的な半導体デバイス(例えばリードフレーム)がはんだバンプを支持する組立体を形成することができる。代替的に、図6Bに示すように、はんだバンプ76a、76bを洗浄されパッシベーション膜が形成されたボンディングパッド42a、42bに施すことができる。はんだバンプ76a、76bの表面77a、77bも、本明細書に記載したようにかつ図6Cに示すように洗浄しそれらにパッシベーション膜を形成することができる。
【0030】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のものであり、本発明を限定するようには意図されていない。本明細書で用いる数を特定しない表記("a","an" and "the")は、文脈が明らかに示さない限り、複数も同様に含むように意図されている。用語「具備する、備える(comprises)」及び/又は「具備している、備えている(comprising)」は、本明細書で用いられる場合、述べられている特徴、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ若しくは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を排除するものではないことが更に理解されよう。更に、詳細な説明又は特許請求の範囲のいずれかにおいて用語「含む(include)」、「有している(having)」、「有する(has)」、「備える(with)」、「から構成される(composed of)」又はそれらの変形が使用される限りでは、こうした用語は、「具備している、備えている(comprising)」と同様に包括的であることが意図されている。
【0031】
要素が、別の要素に「接続され」ているか又は別の要素と「結合され」ていると述べられている場合、その要素を、他方の要素に直接接続又は結合することができ、又は、代りに、1つ又は複数の介在する要素が存在する可能性があることが理解されよう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続され」ているか又は「直接結合され」ていると述べられている場合、介在する要素は存在しない。要素が別の要素に「間接的に接続され」ているか又は「間接的に結合され」ていると述べられている場合、少なくとも1つの介在する要素が存在する。
【0032】
本明細書における「垂直の」、「水平の」等という用語は、例として言及するものであり、限定としてではなく、準拠枠を確立するために言及している。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさまざまな他の準拠枠を採用することができることが理解される。
【0033】
本発明をさまざまな実施形態の説明によって例示し、これらの実施形態をかなり詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲をこうした詳細に制限し又は多少なりとも限定することは本出願人の意図するところではない。当業者には、追加の利点及び変更が容易に明らかとなろう。したがって、本発明は、そのより広い態様において、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに図示し説明した例示的な例に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの銅層を保護する方法であって、
前記層の表面を、酸化層をプラズマで除去することにより洗浄することと、
プラズマ強化堆積プロセスを用いて前記層の前記洗浄された表面上にポリマー層を形成することであって、酸化ガスへの曝露に対して該層の該洗浄された表面を保護する、形成することと、
を含む、半導体デバイスの銅層を保護する方法。
【請求項2】
前記表面が洗浄された後であって、前記ポリマー層が形成される前に、前記洗浄された表面の酸化を防止するように、該洗浄された表面を酸素欠乏環境で維持すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー層は、前記プラズマ強化堆積プロセスにおいてシロキサンモノマーを用いて形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シロキサンモノマーはテトラメチルジシロキサンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記シロキサンモノマーは、約1sccmから約1000sccmの範囲の流量で供給され、前記プラズマ強化堆積用のプロセス圧力は、約20mTorrから約200mTorrの範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ボンディングパッドを有する半導体デバイスを処理する方法であって、前記ボンディングパッドは銅で構成される表面を有し、
前記ボンディングパッドの表面を、酸化層をプラズマで除去することにより洗浄することと、
プラズマ強化堆積プロセスを用いて前記ボンディングパッドの前記洗浄された表面上にポリマー層を形成することであって、酸化ガスへの曝露に対して該ボンディングパッドの該洗浄された表面を保護する、形成することと、
前記ボンディングパッドの前記洗浄された表面との電気的接続を形成することと、
を含む、ボンディングパッドを有する半導体デバイスを処理する方法。
【請求項7】
前記ボンディングパッドの前記表面が洗浄された後であって、前記ポリマー層が形成される前に、前記ボンディングパッドの前記洗浄された表面の酸化を防止するように、該洗浄された表面を酸素欠乏環境で維持すること、
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー層は、前記プラズマ強化堆積プロセスにおいてシロキサンモノマーを用いて形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シロキサンモノマーはテトラメチルジシロキサンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シロキサンモノマーは、約1sccmから約1000sccmの範囲の流量で供給され、前記プラズマ強化堆積用のプロセス圧力は、約20mTorrから約200mTorrの範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記銅含有ボンディングパッドとの前記電気的接続を形成することは、
前記ボンディングパッドに銅を含むはんだバンプを付着させることと、
前記はんだバンプの外面を、酸化層をプラズマで除去することにより洗浄することと、
プラズマ強化堆積プロセスを用いて前記はんだバンプの洗浄された外面上にポリマー層を形成することであって、酸化ガスへの曝露に対して前記はんだバンプの前記洗浄された外面を保護する、形成することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記はんだバンプの前記外面が洗浄された後であって、前記はんだバンプの前記洗浄された外面上に前記ポリマー層が形成される前に、該はんだバンプの該洗浄された外面の酸化を防止するように、該洗浄された外面を酸素欠乏環境で維持すること、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー層は、前記プラズマ強化堆積プロセスにおいて前記はんだバンプの前記洗浄された外面上にシロキサンモノマーを用いて形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記シロキサンモノマーはテトラメチルジシロキサンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シロキサンモノマーは、約1sccmから約1000sccmの範囲の流量で供給され、前記プラズマ強化堆積用のプロセス圧力は、約20mTorrから約200mTorrの範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記電気的接続は、前記ポリマー層を通って前記ボンディングパッドの前記洗浄された表面まで延在する、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2012−169623(P2012−169623A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−27013(P2012−27013)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】