説明

半導体パッケージ及び基板上の電子素子を放電する方法

【課題】
ワイヤボンディングする際に、チップが電子素子の放電により生成される電流により破損されることを回避できる電子素子の放電方法を提供する。
【解決手段】
本発明は、ワイヤボンダーの金属ピンを電子素子と電気的に接続された基板上の特定のボンディングエリアに電気的に接続させる。これにより、電子素子に蓄積された電荷をボンディングエリア及び金属ピンを介しワイヤボンダーへ流して放電させる。また、ワイヤボンダーのキャピラリーから突き出た金属ワイヤを金属ボールに形成し、キャピラリーを移動してこの金属ボールをボンディングエリアに電気的に接続させる。これにより、電子素子に蓄積された電荷をワイヤボンダーへ流して放電させる。さらに、本発明は半導体パッケージを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子素子を放電する方法に関し、特に、基板上の電子素子を放電する方法に関する。さらに、本発明は半導体パッケージに関する。
【0002】
本願発明は、ここに引用して本明細書に組み込む出願日2007年6月8日の台湾出願第096120685号における全開示内容に係り優先権主張するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の半導体のパッケージ工程では、チップを基板に電気的に取り付けるため、一般に、ワイヤボンダーがチップと基板をワイヤで接続するのに使用される。
【0004】
一般に、ワイヤボンディング作業をより簡単にするために、まず、ワイヤの一端がチップのパッドの一つにボンディングされ、次に、ワイヤの他端が基板上そのパッドと対応するボンディングエリアにボンディングされる。しかし、電子素子によっては、例えば基板に取り付けられたコンデンサなどでは、ワイヤボンディング作業を行う前に既に十分チャージされている場合もある。仮に、チップとボンディングエリア間を電気的に接続するため、まず、ワイヤの一端がチップに接続され、次にワイヤの他端が対応するボンディングエリアに接続されると、このチャージ済みコンデンサが対応するボンディングエリアと電気的に接続されている場合には、コンデンサに蓄えられた電荷がワイヤを介してチップに流出する可能性がある。この結果、この電荷により生ずる電流がチップの破損を生じる可能性がある。
【0005】
従って、上述した問題を解消するために、基板上の電子素子を放電する方法を提出する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ワイヤボンディング(wire bonding)する前に、基板上の電子素子に蓄積された電荷を放電させ、ワイヤボンディングする際に、チップが電子素子の放電により生成する電流にて破損されることを回避できる電子素子の放電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の実施形態において、本発明に係る基板上の電子素子を放電する方法は、電気的に接続する金属ピンを有するワイヤボンダーを設ける工程を備える。基板上の電子素子、例えばコンデンサなどを放電させるために、この金属ピンを基板上の特定のボンディングエリアに電気的に接続させる。この特定のボンディングエリアは、基板上の電子素子と電気的に接続されているため、電子素子に蓄積された電荷がボンディングエリアと金属ピンを介してワイヤボンダーへ流れる。これによって、電子素子に蓄積された電荷がリリースされる。
【0008】
他の実施形態において、本発明に係る基板上の電子素子を放電する方法は、ワイヤボンダーのキャピラリーから突き出た金属ワイヤを金属ボールに形成した後、キャピラリーを移動させ、この金属ボールをボンディングエリアの第一部位に電気的に接続させる。これにより電子素子に蓄積された電荷を金属ボール及びワイヤを介してワイヤボンダーへ流して放電させる。
【0009】
さらに、本発明は半導体パッケージを提供するものである。金属ボールをボンディングエリアの第一部位に形成した後、金属ワイヤを介しチップとボンディングエリアの第二部位とを電気的に接続させる。最後に、チップと、金属ボールと、金属ワイヤと、電子素子とを封止する封止材を基板上に形成させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ワイヤボンディングする際に、チップが電子素子の放電により生成される電流によって破損されることを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の前述及びその他の目的、特徴および利点は、添付図面を参照して行う以下の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0012】
図1を参照すると、本発明の第一の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法は、電気的に接続した金属ピン112を有するワイヤボンダー110を設ける工程を有する。基板120上の例えばコンデンサなどの電子素子130を放電しようとする場合、金属ピン112を基板120上にある特定のボンディングエリア122に電気的に接続させると、この特定のボンディングエリア122が電子素子130と電気的に接続しているため、電子素子130に蓄積された電荷がこの特定のボンディングエリア122から金属ピン120を介し、ワイヤボンダー110に流れる。これによって、電子素子130に蓄積された電荷がリリースされる。
【0013】
上述した基板上の電子素子を放電する方法は、チップ140が基板120に取り付けられる前でも後でも実行できるが、ワイヤボンディング (wire bonding)する前に実行することが必要である。これによって、ワイヤボンディング作業において、ワイヤを介してチップ140と特定のボンディングエリア122とを電気的に接続する際に、電子素子の放電により生成する電流がチップを破損することを回避できる。
【0014】
図2a及び図2bを参照すると、本発明の第二の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法は、ワイヤボンダー210のキャピラリー(capillary)212から突き出た金属ワイヤ214を金属ボール216に形成させた後、このキャピラリー212を移動させ、金属ボール216をボンディングエリア122にある部位、例えば第一部位122a、に電気的に接続させる。これによって、電子素子130に蓄積された電荷が金属ボール216及びワイヤ214を介しワイヤボンダー210へ流れてリリースされる。
【0015】
電子素子130に蓄積された電荷がリリースされた後、チップ140からボンディングエリア122にワイヤボンディングするのに、このワイヤボンダー210及びキャピラリー212を交換する必要はなく、同じワイヤボンダー210及びキャピラリー212が利用できる。このため、これらワイヤボンディング部材を交換する時間を省くことができる。また、図2cを参照すると、キャピラリー212をボンディングエリア122から離した後、金属ボール216をボンディングエリア122に固定し、金属ボール124を形成する。この段階では、チップ140からボンディングエリア122へのワイヤボンディングを続けるのに、ボンディングエリア122から金属ボール124を取り除く必要はない。ただ、チップ140とボンディングエリア122とを接続するワイヤを、第一部位122aと異なるボンディングエリア122の他の部位、例えば第二部位122bにボンディングすればよい。なお、本発明の第二の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法では、キャピラリー212から突き出た金属ワイヤ214を金属ボール216に形成せず、ワイヤ214をそのままボンディングエリア122に電気的に接続させても放電の目的を達成できる。
【0016】
図3を参照すると、本発明はさらに半導体パッケージ300を提供するものである。基板120上のボンディングエリア122の第一部位122aに金属ボール124を形成した後、金属ワイヤ310を介してチップ140とボンディングエリア122の第二部位122bとを電気的に接続する。最後に、基板120にチップ140と、金属ボール124と、ワイヤ310と、ボンディングエリア122と、電子素子130とを封止する封止材320を形成する。上述した半導体パッケージ300は一般の半導体パッケージと同様の構造である。すなわち基板120には、封止材320の外部に露出され他の電子素子と電気的に接続するための出力端子(図示せず)が設けられている。この出力端子は、ゴールドフィンガー(gold finger)、リーダー(leader)、或いはソルダボール(solder ball)等とすることができる。これらの出力端子は当該技術分野において既知のものであるため、ここではこれらの詳細な説明は省略する。
【0017】
以上説明のため、本発明の好ましい実施形態を示したが、添付した特許請求の範囲に開示した本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者であれば為し得る様々な修正、付加、代替を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法を示す説明図である。
【図2a】本発明の第二の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法を示す説明図である。
【図2b】本発明の第二の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法を示す説明図である。
【図2c】本発明の第二の実施形態における基板上の電子素子を放電する方法が行われた後、金属ボールがボンディングエリアに残っていることを示す説明図である。
【図3】本発明に係る半導体パッケージを示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
110 ワイヤボンダー
112 金属ピン
120 基板
122 ボンディングエリア
122a 第一部位
122b 第二部位
124 金属ボール
130 電子素子
140 チップ
210 ワイヤボンダー
212 キャピラリー
214 ワイヤ
216 金属ボール
310 ワイヤ
320 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子と電気的に接続するボンディングエリアが設けられている基板上の電子素子を放電させる方法であって、
電気的に接続する金属ピンを有するワイヤボンダーを設ける工程と、
前記金属ピンを前記基板上のボンディングエリアに電気的に接続させ、前記電子素子に蓄積された電荷を前記ボンディングエリアと前記金属ピンを介して前記ワイヤボンダーへ流して放電させる工程と、
を備える基板上の電子素子を放電させる方法。
【請求項2】
前記電子素子がコンデンサであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
電子素子と電気的に接続するボンディングエリアが設けられている基板上の電子素子を放電する方法であって、
キャピラリー及び該キャピラリーから突き出た金属ワイヤを有するワイヤボンダーを設ける工程と、
前記キャピラリーから突き出た金属ワイヤを前記ボンディングエリアに電気的に接続させ、前記電子素子に蓄積された電荷を前記ボンディングエリアと前記金属ワイヤを介して前記ワイヤボンダーへ流して放電させる工程と、
を備える基板上の電子素子を放電させる方法。
【請求項4】
前記金属ワイヤを前記ボンディングエリアに電気的に接続させる工程において、
前記キャピラリーから突き出た金属ワイヤを金属ボールに形成させ、該金属ボールを前記ボンディングエリアに電気的に接続させる工程、を備えることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記電子素子がコンデンサであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記電子素子がコンデンサであることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
基板と、
該基板に設けられているチップと、
前記基板に設けられている電子素子と、
前記基板に設けられ、かつ前記電子素子と電気的に接続され、第一部位及び第二部位を有するボンディングエリアと、
該ボンディングエリアの第一部位に形成されている金属ボールと、
前記チップと前記ボンディングエリアの第二部位とを電気的に接続するワイヤと、
前記基板に設けられ、前記チップと、ワイヤと、金属ボールと、ボンディングエリアと、電子素子とを封止する封止材と、
を備える半導体パッケージ。
【請求項8】
前記金属ボールが、前記ワイヤボンダーのキャピラリーから突き出た金属ワイヤを金属ボールに形成させ、該金属ボールを前記ボンディングエリアに接続させ、最後に前記ワイヤボンダーのワイヤを前記ボンディングエリアにある前記金属ボールから分離させることによって形成されることを特徴とする請求項7記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
前記電子素子がコンデンサであることを特徴とする請求項7記載の半導体パッケージ。
【請求項10】
前記電子素子がコンデンサであることを特徴とする請求項8記載の半導体パッケージ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−306158(P2008−306158A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302419(P2007−302419)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(505178365)オリエント セミコンダクター エレクトロニクス, リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Orient Semiconductor Electronics, Limited
【住所又は居所原語表記】No. 9, Chung 3rd Rd., Nantze Export Processing Zone, Kaohsiung, Taiwan, R.O.C.
【Fターム(参考)】