説明

半導体ポリマーブレンドからの白色エレクトロホスホレッセンス

白色発光性エレクトロホスホレッセンスポリマー発光ダイオード(PLED)が、有機金属発光体とブレンドされた半導体ポリマーを、共通領域における発光材料として使用することにより、実証される。これらの物質は、溶液からキャストし得る。この白色発光のCIE座標、色温度、および演色評価数は、輝度、印加電圧および印加電流密度に対して非感受性である。半導体ポリマーとしては、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)、およびポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−フルオレン)が、有機金属発光体としては、トリス(2,5−ビス−2’−9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーエレクトロホスホレッセンス(electronphosphorescence)発光ダイオード(PLED)に関する、より具体的には、本発明は、2つまたは3つまたはそれより多くの共通にホストされた発光体を含む半導体有機ポリマーブレンドからの白色エレクトロホスホレッセンスに関する。白色発光は、単一の発光領域におけるポリマーブレンドから達成される。本発明において開発された戦略は、発光性ポリマー材料を溶液からスピンキャストすることによる、白色エレクトロホスホレッセンスPLEDの製作を可能にする。本発明の白色発光性ポリマー材料はまた、高い輝度、高い効率、適切な色温度、高い演色評価数、および安定なCIE(Commission Internationale d’Eclairage)座標を有するイルミネーション品質の白色光を発するエレクトロホスホレッセンスPLEDの比較的簡便な製作を可能にする。本発明の白色エレクトロホスホレッセンス発光は、固体状態照明のために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
白色光を発するポリマー発光ダイオード(PLED)は、興味深い。なぜなら、それらは、(カラーフィルターとともに)高効率の能動マトリクスディスプレイにおいて使用するための有望性を提供するからであり、そしてそれらが、究極的には、固体状態照明のために使用され得るからである(非特許文献1および非特許文献2;非特許文献3)。有機金属発光体がドープされた半導体ポリマーを用いて製作される白色光エレクトロホスホレッセンスPLEDは、「プラスチック」電極のさらなる有望性を提供する。白色光エレクトロホスホレッセンスPLEDは、溶液からポリマーブレンドをキャストすることにより製作され得、それにより相対的に簡単で低コストの製作プロセスが可能となる(非特許文献4)。
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)およびPLEDから白色光を発生させるために、いくつかのアプローチが使用されてきた。多層OLED構造体が、低分子の高真空堆積により製作された(非特許文献5;非特許文献6)。これらのデバイスにおいて、異なる層は、異なる色の可視光を発し、それらは組合わさって白色光を与える。白色光はまた、エキシマー発光またはエキシプレックス発光を利用することにより、OLEDおよびPLEDから実証されている。(非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9)。単層のポリマーベースの構造体または混成体の無機/共役ポリマー構造体は、有利である。なぜなら、それらは、室温での溶液プロセシングにより製作され得るからである(非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13)。発光材料を溶液からキャスティングすることにより製作される白色光PLEDは、より簡単な、そしてそれ故にそれほど高価でない製作プロセスをもたらす。
【0004】
白色光は、以下の3つの量により特徴付けられる:CIE(Commission Internationale d’Eclairage)座標、色温度(CT)、および演色評価数(CRI)。「純粋な」白色光は、(0.333,0.333)のCIE座標を有し、それは採用される色の発光をバランスさせることにより得られる。イルミネーション用途に対しては、上記CTは、黒体源の色温度、すなわち3000Kと7500Kとの間と等価である必要がある。平均的な昼の光は、CT=6500Kを有し、そして蛍光放電灯(暖か味のある白色)は、CT=3000Kを有する(非特許文献14)。上記CRIは、その光源を用いて見た場合に、色がどれほど「真実に」見えるかについての数値尺度である。CRI値は、0〜100の範囲にあり、100が真の色再生を表す。蛍光放電灯は、60と99との間の範囲のCRI等級を有する。
【非特許文献1】A.J.Heeger,Solid State Commu.,1998.107,673
【非特許文献2】A.J.Heeger,Rev.Modern Phys.,2001,73,681
【非特許文献3】R.H.Friend,R.W.Gymer,A.B.Holmes, J.H.Burroughes,R.N.Marks,C.Taliani,D.D.C.Bradley,D.A.Dos Santos,J.L.Bre’das,M.Loegdlund,およびW.R.Salaneck,Nature,1999,397,121
【非特許文献4】G.D.Mueller,A.Falcou,N.Reckefuss,M.Roijhn,V.Wiederhirn,P.Rudati,H.Frohne,O.Nuyken,H.Becker,K.Meerholz,Nature,2003,421,829
【非特許文献5】M.Strukelj,R.H.Jordan,A.Dodabalapur,J.Am.Chem.Soc.1996,118,1213
【非特許文献6】Z.Shen,P.E.Burrows,V.Bulvic’,S.R.Forrest,およびM.E.Thompson,Science,1997,276,2009
【非特許文献7】Y.Hamada,T.Sano,H.Fujii,Y.Nishio,Jpn.J.App1.Phys.,1996,35,1339
【非特許文献8】C.L.Chao,S.A.Chen,Appl.Phys.Lett.,1998,73,426
【非特許文献9】Y.Z.Wang,R.G.Sun,F.Meghdadi,G.Leising,A.J.Epstein,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3613
【非特許文献10】J.Kido,H.Shionoya,K.Nagai,Appl.Phys.Lett.1995,67,2281
【非特許文献11】J.Kido,H.Hongawa,K.OkuyamaおよびK.Nagai,Appl.Phys,Lett.1994,64,815
【非特許文献12】F.Hide,P.Kozodoy,S.P.DenBaars,A.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.,1997,70,2664
【非特許文献13】C.Zhang A.J.Heeger,J.Appl.Phys.1998,84,1579
【非特許文献14】R.W.G.Hunt,Measuring Color,第2版,Ellis Horwood,199l
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくとも70のCRI値は、特定の用途に対しては受け入れられるが、好ましい白色光源は、約80またはそれより高いCRI値を有する。高い輝度、高い効率、適切なCT、高いCRI、および安定なCIE座標を有するイルミネーション品質の白色光を発するPLEDの実証は、固体状態照明の未来にとって重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、効率よいポリマーエレクトロホスホレッセンス発光デバイス(PLED)に関する。より具体的には、本発明は、効率よい白色エレクトロホスホレッセンスPLEDに関する。本発明のデバイスは、少なくとも2つ、そして最も代表的には2つまたは3つのルミネッセンス発光体を、(観察者により平均化された場合に白色に見える、異なる領域における赤色発光、緑色発光および青色発光ではなく)単一の発光領域中に採用する。本記載において、2つの発光体を有するデバイスは、「I型」デバイスと称され、そして3つ以上の発光体を有するデバイスは、「II型」デバイスと称される。このルミネッセンス発光体は、(一重項状態からの)蛍光と(三重項状態からの)りん光との組合せを介して白色光を発する。白色光は、単一発光領域中の2つもしくは3つまたはそれより多くのルミネッセンス発光体から、少なくとも1種の発光性半導体有機ポリマーおよびこの有機ポリマー相中に混合された少なくとも1種の有機金属発光体からの合わされた発光を介して、獲得される。2つ以上の発光中心から構成されるこの単一の発光層は、溶液プロセシングによる白色エレクトロホスホレッセンスPLEDの製作を可能にする。この戦略はまた、高い演色評価数、適切な色温度およびCIE座標を示す、明るく効率よい白色エレクトロホスホレッセンスPLEDの比較的簡単な製作を可能にする。さらに、上記半導体ポリマー相は、上記複数の発光中心に対する共通のホストを提供するので、これらの白色エレクトロホスホレッセンスPLEDからの演色評価数、色温度およびCIE座標は、輝度、印加電圧、および印加電流密度に非感受性である。
【0007】
本発明の目的は、固体照明における用途のため、および液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトとしての用途のための高い発光効率、外部量子効率および輝度を示す、白色エレクトロホスホレッセンスPLEDを製造するための方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、高い演色評価数、適切な色温度、適切なCIE座標を有する白色光を示す白色エレクトロホスホレッセンスPLEDを製造することである。
【0009】
本発明の第3の目的は、安定な演色評価数、安定な色温度、安定なCIE座標を有し、これらのすべてが輝度、印加電圧および印加電流密度に非感受性である白色エレクトロホスホレッセンスPLEDを製造することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、純粋な白色光のCIE座標(0.333,0.333)に近いCIE x、y色度座標を有する白色発光を生成する、白色光エレクトロホスホレッセンスPLEDを製造することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、平均的な昼の光の6500Kおよび太陽高度20°での太陽光の4700Kに非常に近いかまたはそれに等しい色温度を有する白色発光を生成する、白色光エレクトロホスホレッセンスPLEDを製造することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(好ましい実施形態の説明)
本発明は、1種以上の半導体有機ポリマーまたはコポリマー(例えば、共役ポリマーおよび共役コポリマー)からの蛍光ならびに上記1種以上のポリマーに分散された1種以上の有機金属発光体からのリン光を組み込むことにより、安定なCIE座標、高い色温度および高い演色評価数を有する白色光が提供されるという発見に基づく。このようなブレンドは、固体照明における用途のための白色光およびLCDのバックライトとしての使用ための白色光を発する。
【0013】
(デバイスの構成)
図9に示されるように、上記エレクトロホスホレッセンスPLEDは、電子注入(カソード)接触12、例えば、半導体発光性ポリマーフィルム14の一方の側と接触している1つの電極としての相対的に低い仕事関数の材料(Ca、Baなど)を備える。フィルム14は、単層として、1種以上の有機金属りん光発光体と混合された1種以上の蛍光有機ポリマーから構成される。フィルム14の他方の側は、正孔を注入する第2電極と接触している。これは、高い仕事関数を有する材料の簡単な透明層であり得るが、好ましい実施形態においては、この正孔注入電極は、第2(アノード)電極として役立つための高い仕事関数(高いイオン化ポテンシャル)を有する透明導電性材料の層16上にコーティングされた正孔注入層15を備える。すなわち、周知の構成である。(D.BraunおよびA.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.,1991,58,1982)。代表的な正孔注入薄層15は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン);ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)またはポリ(ビス(テトラフェニルジアミノ)ビフェニル−ペルフルオロシクロブタン)(ポリ(BTPD−Si−PFCB))のようなポリマーから構成され(X.Gong,D.Moses,A.J.Heeger,S.LiuおよびA.K.−Y.Jen,Appl.Phys.Lett.,2003,83,183)、これらのポリマーは、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)層16上に堆積され得、正孔注入する2層電極(アノード)を与える。層17は、透明な支持体または基体であり、それを通って光が発っせられる。所望の場合には、この構成は逆にされ、上記低仕事関数電極が支持体上にあるようにされ得る。この場合、発光は、上記高仕事関数アノードを通してであり得る。
【0014】
(高仕事関数電極(16))
高仕事関数正孔注入電極は、代表的には、20Ω/平方以下の抵抗率および550nmでの89%以上の透過率を有する酸化インジウムスズ(ITO)のような透明な導電性金属−金属酸化物または金属硫化物材料である。金および銀の透明な薄層のような他の材料は、利用可能である。本文脈における「高仕事関数」は、一般に、約4.5eV以上の仕事関数であると考えられる。この電極は、一般に、熱気相成長、電子線蒸発、RFおよびマグネトロンスパッタリング、化学的堆積などにより、固体支持体上に堆積される。これらの同じプロセスは、同様に、低仕事関数の電極を堆積するために使用され得る。この高仕事関数電極の主な要件は、適切な仕事関数、低抵抗率および高い透明性の組合せである。
【0015】
(低仕事関数電極(12))
低仕事関数電極12は、電子注入接触として役立つ。それは、代表的には、電極16とは反対の能動発光ポリマー層14の表面上に配置された低仕事関数金属または合金から作製される。本発明の文脈における低仕事関数の金属としては、約4.3eV以下の仕事関数を有する物質が挙げられ、そしてそれらとしては、例えば、Ba、Ca、Mg、In、およびTbが挙げられることが当該分野で周知である。それらは、多くの場合、Ag、Au、Alなどのような安定な金属の層を伴う。これは、Ba、CaおよびTbのような反応性材料の上の保護層として役立つ。他の低仕事関数(低イオン化ポテンシャル)の導電性材料は、電子注入接触として、従来の金属の代わりに使用され得る。この電子注入電極被膜の厚みは、重要ではなく、所望の表面抵抗を達成するよう調整され得(表面抵抗またはシート抵抗は、抵抗率をその厚みで割ることによって定義される)、そして有意に100Å未満〜2000Åの範囲で変動し得る。これらの材料は、一般に、電極16の説明において提示された技術を用いて、薄膜として置かれる。
【0016】
(正孔注入層(15))
正孔注入層15は、多くの場合、発光層14と正孔注入電極16との間に存在する。層15は、代表的には、導電性ポリマーの20〜30nm厚の層である。このポリマーは、溶液としてキャストされ、この溶液は、エバポレートされて所望の層15を与える。適切なポリマーの例としては、ポリ(BTPD−Si−PFCB)の水溶液または前駆体からキャストされるPEDOT:PSSが挙げられる(S.Liu,X.Z.Jiang,H.Ma,M.S.Liu,A.K.−Y.jen,Macro.,2000,33,3514; X. Gong, D. Moses,A.J.Heeger,S.LiuおよびA.K.−Y.Jen,Appl.Phys.Lett.,2003,83,183)。PEDOT:PSSが好ましい。他方、ポリ(BTPD−Si−PFCB)を正孔注入層として使用することにより、PEDOT:PSSの使用によって引き起こされる多くのプロセシングの問題(例えば、発光性ポリマーの望ましくないエッチング、ITOの望ましくないエッチング、および微小短絡の形成)は、回避され得る(G.Greczynski,Th.KuglerおよびW.R.Salaneck,Thin Solid Films,1999,354,129;M.P.de Jong,L.J.van Ijzendoorn,M.J.A.de Voigt,Appl.Phys.Lett.2000,77,2255)。
【0017】
(発光層(14))
図9に示される発光層14は、1種以上の有機金属発光体と1種以上の発光性半導体ポリマーとのブレンド(混合物)を含む。通常、これらのポリマーは、共役している。好ましい例としては、有機金属発光体、トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)(「Ir(HFP)」)とポリマー、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(「PFO」)とから作製されるI型(2発光体)デバイスにおいて使用される発光層が挙げられる。II型(3発光体)デバイスは、例えば、ポリマーPFOと、1%のフルオレノンを含むポリマー、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−フルオレノン)(PFO−F(1%))と有機金属発光体Ir(HFP)とのブレンドから作製され得る。図8は、PFO、PFO−F(1%)およびIr(HFP)の分子構造を示す。PFOは、市販されている。Ir(HFP)の合成は、科学文献に報告されている(J.C.Ostrowski,M.R.Robinson,A.J.HeegerおよびG.C.Bazan,Chem.Commun.,2002,7,784)。PFO−F(1%)の合成もまた、報告されている(X.Gong,D.MosesおよびA.J.Heeger,Synth.Met.2003)。
【0018】
代表的な有機金属発光体は、Ir、Pr、Os、Ru、またはAuなどを中心金属として有する錯体および化合物である。
【0019】
(支持体(17))
種々の活性層14〜16は、通常、固体基体17により支持される。この固体基体17は、プラスチック、ガラス、シリコン、セラミックなどのような剛性の材料、または、同様に可撓性プラスチックのような可撓性材料であり得る。この支持体は、(図9に示される支持体のように)透明であってもよく、この場合は、光は、この支持体を通り、そして透明電極16を通って発せられ得る。あるいは、この支持体は、不透明であってもよく、この場合は、透明電極16(これを通して光が発せられる)は、この支持体から離れて発光層の表面上にある。
【0020】
(製作方法)
上記白色PLEDは、溶液キャスティング、スクリーン印刷、接触印刷、前駆体ポリマープロセッシング、溶融プロセッシングなどのような当該分野で公知の技術を使用して製作され、発光性ポリマーブレンド層14および正孔注入層15が置かれる。スパッタリング、エバポレーションなどは、上記電極材料を置くために使用される。
【0021】
本発明は、溶液プロセッシングにより効率よい白色エレクトロホスホレッセンスPLEDを得るための方法を提供する。この溶液は、上記発光層を形成する共役ポリマーおよび有機金属発光体を含む。好ましい実施形態において、有機金属発光体とブレンドされた共役ポリマーの溶液は、特に比較的非極性の炭化水素などの有機溶媒のような適切な溶媒中で形成される。次いで半透明の薄膜が、支持体上の任意の2層電極(例えば、ガラス上のITO上に堆積された正孔注入層)または支持体上の半透明金属のような基体上の電極の上にキャストされる。上記PLEDは、上記のように、連続層を有して作り上げられる。
【0022】
溶媒から発光層を加工することにより、発っせられた光は、その濃度を調整することにより調節され得る。従って、溶液から加工することにより、安定なCIE座標、高いCRI値および安定な色温度を有する白色光が、エレクトロホスホレッセンスPLEDから獲得され得る。従って、本発明は、溶液プロセッシングから白色光エレクトロホスホレッセンスPLEDを得るための好ましい方法を開示する。さらに、本発明は、高い輝度、純粋な白色光のCIE座標(0.333,0.333)により近い安定なCIE座標、高いCRI値および安定な色温度を有する白色エレクトロホスホレッセンスPLEDを得るための方法を開示する。そしてより重要なことは、本発明は、そのCIE座標、CRI値および色温度が輝度、印加電圧、および印加電流密度に非感受性である白色エレクトロホスホレッセンスPLEDを得るための方法を開示する。
【0023】
(機構)
Ir(HFP):PFOブレンドのような上記有機金属発光体−有機ポリマー発光体(I型)エレクトロホスホレッセンスPLEDから白色光を獲得するための機構には、Ir(HFP)上での正孔トラッピングおよび引き続くIr(HFP)カチオン上での電子トラッピングが関与する(X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.2002,81,3711)。白色エレクトロホスホレッセンスPLEDにおいては、(ITO/PEDET:PSSまたはポリ(BTPD−Si−PDCB)から)注入された正孔および(電子注入電極から注入された)電子は、PFOの主鎖上で再結合して青色発光および緑色発光を生成するか(X.Gong,P.Iyer,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,Adv.Func.Mater.,2003,13,325)、またはIr(HFP)によりトラップされ、引き続いてIr(HFP)の三重項から赤色光が発せられるかのいずれかであり得る。これは、所望の白色光を提供する(X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,M.S.Liu,A.K−Y.Jen,Adv.Mat.2003,15,45;X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,J.Poly.Sci.Poly.Phys.2003;X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.2002,81,3711)。
【0024】
Ir(HFP):PFO−F(1%):PFOのような3つの発光体ブレンドから作製されるII型エレクトロホスホレッセンスPLEDにおいては、注入される正孔および電子は、2つのプロセスにより再結合する;フルオレノン単位上およびIr(HFP)上での電子トラッピングおよび正孔トラッピングと平行して青色発光および緑色発光を生成する主鎖(PFO)上での直接再結合と、それに引き続く、PFO−F(1%)からの緑色光およびIr(HFP)の三重項励起状態からの赤色光を伴う放射的再結合(X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,M.S.Liu,A.K−Y.Jen,Adv.Mat.2003,15,45;X.Gong,J.C.Ostrowski,M.R.Robinson,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Adv.Mat.2002,14,581;X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.2002,81,3711)。
【0025】
以下の一般的な方法および特定の実施例は、単に本発明を例証するために提示され、そしてその限定として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0026】
(実施例1)
50mgのPFO、20mgのPFO−F(1%)および5mgのIr(HFP)を、それぞれ1mlのトルエン中に溶解させることにより、以下の3つのストック溶液を調製した:共役ポリマーPFOを含むストック溶液、共役ポリマーPFO−F(1%)を含むストック溶液、および有機金属発光体Ir(HFP)を含むストック溶液(これらの物質の構造については、図8を参照のこと)。0.5重量%のIr(HFP)溶液を希釈することにより、0.05重量%のIr(HFP)溶液を得た。この混合物を、65℃で一晩攪拌し、次いで室温まで冷却した。
【0027】
この実施例は、本発明の実施において使用されるこれら3つの代表的な発光材料が共通の有機溶媒に可溶であることを実証する。
【0028】
(実施例2)
I型溶液の調製:2.4μlの0.05重量%のIr(HFP)のトルエン溶液および400μlの5重量%のPFOのトルエン溶液を、197.6μlの純粋トルエンに添加した。
【0029】
II型溶液の調製:19.2μlの0.05重量%のIr(HFP)のトルエン溶液および400μlの5重量%のPFOのトルエン溶液を、180.8μlの純粋トルエンに添加した。II型デバイスを製造するとき、種々の量の実施例1で調製したPFO−F溶液を、これらの実施例において記載されるような使用の前に添加した。
【0030】
この実施例は、発光材料の混合溶液が、共役ポリマーの溶液と有機金属発光体の溶液とをブレンドすることにより、所望の濃度で作製され得ることを実証する。
【0031】
(実施例3)
実施例2に従って作製したI型溶液およびII型溶液を、窒素雰囲気中、2000rpmで、PEDOT:PSS層15(それ自体は、固体支持体上のITO電極上に置かれている)上にスピンキャストし、そしてその後、窒素雰囲気中で1時間、65℃で焼いた。
【0032】
(電子注入のための)Ba電極12を、約100Åの厚みでその上に形成し、そしてAl保護用上塗り層を、10−6Torrでの気相成長により、約2000Åの厚みで堆積させた。(X.Gong,J.C.Ostrowski,M.R.Robinson,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Adv.Mat.2002,14,581;X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,M.S.Liu,A.K−Y.Jen,Adv.Mat.2003,15,45)。
【0033】
この実施例は、エレクトロホスホレッセンスPLEDが溶液プロセッシングにより製作され得ることを実証する。
【0034】
(実施例4)
図1は、純粋なPFO、PFO−F(1%)およびPFO中に(Ir(HFP):/PFO=1重量%の濃度で)ドープされたIr(HFP)から作製されたデバイスから得たエレクトロホスホレッセンススペクトルを示す。「青色発光」のPFOからの強い緑色の発光は、デバイスの製作/作動の間に発生したフロレノン欠陥から生じる(X.Gong,P.Iyer,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,Adv.Func.Mater.,2003,13,325)。PFO−F(1%)からの幅広い緑色発光は、PFO多数成分からフルオレノン少数成分への、上記コポリマー中の励起エネルギー移動から生じる(X.Gong,D.MosesおよびA.J.Heeger,Synth.Met.2003)。600nmに最大および620での肩を有する赤色発光は、Ir(HFP)の三重項発光である(X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,M.S.Liu,A.K−Y.Jen,Adv.Mat.2003,15,45;J.C.Ostrowski,M.R.Robinson,A.J.HeegerおよびG.C.Bazan,Chem.Commun.,2002,7,784)。
【0035】
(実施例5)
図2は、I型デバイスおよびII型デバイスから得られたエレクトロホスホレッセンススペクトルを示す。I型デバイスについて、白色光は、2つの成分、PFOおよびIr(HFP)から生成された;PFOからの青色および緑色の両方(X.Gong,P.Iyer,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,Adv.Func.Mater.,2003,13,325)およびIr(HFP)からの赤色。II型デバイスについて、PFO−F(1%)を、PFO:Ir(HFP)ブレンドへ添加して、色分布を微調整する。それ故に、白色光は、II型デバイスにより、3つの成分、PFO、PFO−F(1%)およびIr(HFP)から生成される:PFOからの青色および緑色、PFO−F(1%)からの緑色(X.Gong,D.MosesおよびA.J.Heeger,Synthe.Met.2003)およびIr(HFP)からの赤色。
【0036】
(実施例6)
図3は、I型エレクトロホスホレッセンスPLEDおよびII型エレクトロホスホレッセンスPLEDからの目の暗所視のスペクトル感度を示す。図3は、II型エレクトロホスホレッセンスPLEDは、ヒトの目のスペクトル感度によく適合していることを実証する。
【0037】
(実施例7)
PFO/Ir(HFP)の重量%を制御することによりもたらされる波長可変性をよりよく理解するために、10−3重量%未満〜8重量%の範囲の異なる濃度のIr(HFP)でドープしたPFOからデバイスを製作した。10−3重量%より低いIr(HFP)濃度について、図2に示すスペクトル組成とともに白色発光を得た。0.1重量%より高いIr(HFP)濃度について、発せられた光は赤色であった。図4は、異なる濃度のIr(HFP)でドープしたPFOから製作したデバイスから得られたELスペクトルを示す。PFOからのEL発光の非存在は、エレクトロホスホレッセンスPLEDにおける支配的な機構としての(エネルギー移動よりは)Ir(HFP)上での電荷トラッピングと整合する(X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,M.S.Liu,A.K−Y.Jen,Adv.Mat.2003,15,45;X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,A.J.Heeger,J.Poly.Sci.Poly.Phys.2003;X.Gong,J.C.Ostrowski,M.R.Robinson,D,Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Adv.Mat.2002,14,581;X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.2002,81,3711)。
【0038】
(実施例8)
CIE座標、CTおよびCRIを、エレクトロルミネセンス(EL)スペクトルから定量的に評価した(G.WyszelkiおよびW.S.Stiles,Color Sience,第2版,(wiley,New York)1982;D.B.JuddおよびG.WyszeckI,Color in Business,Science and Industry,第3版(John Wiley & Sons)1975)。
【0039】
(実施例9)
図5は、1931 CIE色度図を示し、座標は、エレクトロホスホレッセンスPLEDからの発光に対応する:データ点は、異なる電流密度でバイアスをかけたI型デバイス(白四角)およびII型デバイス(白丸)の両方について示されている。I型デバイスおよびII型デバイスは、それぞれ、0.70mA/cmの電流密度(J)でCIE座標(0.329,0.321)を、J=1mA/cmで(0.352,0.388)を有し、これらの座標の両方は、純粋な白色光についての座標(0.333,0.333)に非常に近い。これらのCIE座標は、異なる電流密度におけるわずかに過ぎないシフトを示す。I型デバイスについて、CIE:J=0.25mA/cm〜J=27mA/cmの範囲で、Δx=±0.017、Δy=±0.021;II型デバイスについて、CIE:J=0.70mA/cm〜J=133mA/cmの範囲で、Δx=±0.010、Δy=±0.008。このことは、上記エレクトロホスホレッセンスPLEDから得た白色光が安定なCIE座標を有することを実証する。輝度の関数としてのCIE座標の安定性は、PLED/OLEDについて以前に報告されたものよりもはるかに良好である(J.Kido,H.Shionoya,K.Nagai,Appl.Phys.Lett.1995,67,2281;J.Kido,H.Hongawa,K.OkuyamaおよびK.Nagai,Appl.Phys.Lett.1994,64,815;Y.Z.Wang,R.G.Sun,F.Meghdadi,G.Leising,A.J.Epstein,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3613)。
【0040】
(実施例10)
I型デバイスは、約6400KのCTを有し(図5を参照のこと)、これは平均的な昼の光のCT(6500K)に非常に近く(R.W.G.Hunt,Measuring Color,第2版,Ellis Horwood,1991)、そして、CRI=92である。II型デバイスは、約4600KのCTを有し(図5を参照のこと)、これは太陽高度20°の太陽光のCT(4700K)に非常に近く(R.W.G.Hunt,Measuring Color,第2版,Ellis Horwood,1991)、そして、CRI=86である(すべての値は、Jに対して非感受性である)。I型デバイスおよびII型デバイスにおいて使用した特定の濃度は、例えばとして選択しただけである。上記ブレンドの組成を変更することにより、CIE座標を、連続的に変更し得る。図5において、点線は、異なる色温度を示し;点線の卵形は、ヒトの目が色を白色として知覚する近似的領域を示す。
【0041】
(実施例11)
図6は、I型デバイスについての照度(L)対電圧(V)、および電流密度(J)対電圧(V)の特性を示す。図6中の挿入図は、5Vで点灯したデバイスの発光効率(LE)を、J.Both型の関数として示す。I型デバイスは、21Vにおいて約1.2×10cd/mのLmaxを与えた。Lambertの法則に従う強度プロフィールを仮定し、発光効率を、J=5.2mA/cmにおいてLE(cd/A)=4.3cd/Aと計算した。これらのデバイスにおいて、電荷輸送体を均衡させていないので、代替の正孔注入層を使用することにより、このLEを高め得る。
【0042】
(実施例12)
図7は、II型デバイスについての照度(L)対電圧(V)、および電流密度(J)対電圧(V)の特徴を示す。図7中の挿入図は、5Vで点灯したデバイスの発光効率(LE)を、J.Both型の関数として示す。II型デバイスは、22Vにおいて約6100cd/mのLmaxを与えた。Lambertの法則に従う強度プロフィールを仮定し、II型デバイスについて、発光効率を、J=8.5mA/cmにおいてLE(cd/A)=3cd/Aと計算した。これらのデバイスにおいて、電荷輸送体を均衡させていないので、代替の正孔注入層を使用することにより、このLEを高め得る(X.Gong,J.C.Ostrowski,D.Moses,G.C.Bazan,およびA.J.Heeger,Appl.Phys.Lett.2002,81,3711)。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、純粋なPFO、PFO−F(1%)およびPFOにドープされたIr(HFP)(Ir(HFP):PFO=1重量%)から作製された本発明のデバイスのエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。これらの物質は、図8に記載される。
【図2】図2は、本発明のI型エレクトロホスホレッセンスPLEDおよびII型エレクトロホスホレッセンスPLEDから得られたエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。
【図3】図3は、I型エレクトロホスホレッセンスPLEDおよびII型エレクトロホスホレッセンスPLEDからの目の暗所視のスペクトル感度を示す。
【図4】図4は、異なる濃度のIr(HFP)でドープされたPFOから作製された本発明のデバイスのエレクトロルミネッセンススペクトルを示す。
【図5】図5は、CIE(1931)色度図を示し、座標は、異なる電流密度でバイアスをかけたI型デバイス(白四角)およびII型デバイス(白丸)の発光に対応する。純粋な白色光(0.333,0.333)に対する等エネルギー点E(黒丸)、および4000°K(黒四角)、5000°K(上向き黒三角)、および6500°K(下向き黒三角)の色温度に対応する座標もまた示される。点線は、異なる色温度を示し;点線の卵形は、ヒトの目が色を白色として知覚する近似的領域を示す。
【図6】図6は、I型デバイスについての照度(実線)対印加電圧、および電流密度(点線)対印加電圧を示す。挿入図は、I型デバイスおよびII型デバイスの、発光効率(黒丸)対電流密度を示す。
【図7】図7は、I型デバイスについての照度(実線)対印加電圧、および電流密度(点線)対印加電圧を示す。挿入図は、I型デバイスおよびII型デバイスの、発光効率(黒丸)対電流密度を示す。
【図8】図8は、代表的な導電性ポリマーである、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PFO)および1%のフルオレノンを含むポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−フルオレノン)(PFO−F(1%))ならびに代表的な有機金属発光体である、トリス(2,5−ビス−2’−(9,9−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)(Ir(HFP))の分子構造を示す。
【図9】図9は、本発明の代表的なデバイスの概略的な断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリマーベースの発光デバイスであって、
電子注入層;
発光層の反対側にある正孔注入層、
を備え、該発光層は、
蛍光を発し得る少なくとも1種の半導体ポリマーであって、りん光を発し得る少なくとも1つの混合りん光発光体に対するホストとして役立つ、少なくとも1種の半導体ポリマー、
を含み、該半導体ポリマーからの蛍光発光および該少なくとも1つの混合りん光発光体からのりん光発光が、単一の発光領域中で起こる、有機ポリマーベースの発光デバイス。
【請求項2】
前記蛍光発光が、前記りん光発光よりも、光子エネルギーが高い、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記半導体ポリマーが、共役ポリマーを含む、請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記半導体ポリマーが、非共役ポリマーを含む、請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記半導体ポリマーが、蛍光を発し得る単一のポリマーまたはコポリマーである、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記りん光発光体が、単一のりん光発光体である、請求項5に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記半導体ポリマーが、前記りん光発光体のホストとして役立つ、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
2つ以上のりん光発光体が存在し、そして前記半導体ポリマーが、該2つ以上のりん光発光体に対する共通のホストとして役立つ、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記半導体ポリマーが、りん光を発し得る2種以上のポリマーまたはコポリマーのブレンドである、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記りん光発光体が、単一の発光体であり、前記2種以上のポリマーのブレンドが、該りん光発光体に対するホストとして役立つ、請求項9に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記りん光発光体が、少なくとも2つの発光体であり、前記2種以上のポリマーのブレンドが、共通のホストとして役立つ、請求項9記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記りん光発光体が、有機金属である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項13】
有機ポリマーの発光デバイスであって、該発光デバイスは有機ポリマーの発光層を備え、該発光層は、
a)少なくとも1つの有機ポリマーの蛍光発光体;および
b)単一発光領域として緻密に混合された少なくとも1つのりん光発光体、
を備え、該少なくとも1つの蛍光発光体からの発光が、該少なくとも1つのりん光発光体からの発光よりも、光子エネルギーが高く、該少なくとも1つの蛍光発光体および該少なくとも1つのりん光発光体の合わさった発光が、白色発光を与えるに十分、可視スペクトルに及んでいる、有機ポリマーの発光デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの有機ポリマーの蛍光発光体が、前記少なくとも1つのりん光発光体に対する共通のホストとして役立ち、前記白色発光の色座標、色温度および演色評価数が、輝度、印加電圧および印加電流密度に感受性でない、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの有機ポリマーの発光体が、単一の共役ポリマーを含む、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの有機ポリマーの発光体が、2種の共役ポリマーを含む、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの蛍光発光体が、ポリフルオレンおよびポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−co−フルオレノン)より選択される、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つのりん光発光体が、有機金属発光体である、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの有機金属発光体が、トリス(2,5−ビス−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)、Ir(HFP)である、請求項18に記載の発光デバイス。
【請求項20】
前記合わさった発光が、可視スペクトルを網羅している、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項21】
前記合わさった発光が、0.329±0.017のCIE x座標および0.321±0.021のCIE y座標を有する、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項22】
前記合わさった発光が、平均的な昼の光の温度(約6500K)に非常に近い約6400Kの色温度、または太陽高度20°での太陽光の色温度(約4700K)に非常に近い約4600Kの色温度を有する、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項23】
前記合わさった発光が、少なくとも92および86の演色評価数を有する、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項24】
前記CIE座標、色温度、および演色評価数が、輝度に非感受性である、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項25】
前記CIE座標、色温度、および演色評価数が、印加電圧に非感受性である、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項26】
前記CIE座標、色温度、および演色評価数が、電流密度に非感受性である、請求項13に記載の発光デバイス。
【請求項27】
ポリマー発光デバイスであって、該ポリマー発光デバイスは、層の接触順に
a)アノード;
b)正孔注入層;
c)発光層;および
d)カソード、
を備え、該発光層は、単一の発光領域として、少なくとも1種の蛍光半導体ポリマーと少なくとも1種のりん光発光体との混合物を含む、ポリマー発光デバイス。
【請求項28】
前記正孔注入層が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):
ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)およびポリ(ビス(テトラフェニルジアミノ)ビフェニル−ペルフルオロシクロブタン)(ポリ(BTPD−Si−PFCB))より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項27に記載の発光デバイス。
【請求項29】
有機発光デバイスであって、アノードとカソードとの間に発光層を備え、該発光層は、蛍光化合物およびりん光化合物から構成され、該りん光化合物は、該蛍光化合物よりも長い発光の最大ピークを有し、そして該光発光が、単一の発光領域からの該蛍光化合物の発光および該りん光化合物の発光の両方を包含する、有機発光デバイス。
【請求項30】
前記蛍光化合物が、前記発光層のホストであり、そして前記りん光化合物がドーパントである、請求項29に記載の有機発光デバイス。
【請求項31】
前記蛍光化合物が共役ポリマーである、請求項29に記載の有機発光デバイス。
【請求項32】
前記蛍光化合物がポリフルオレンである、請求項31に記載の有機発光デバイス。
【請求項33】
前記蛍光化合物が非共役ポリマーである、請求項29に記載の有機発光デバイス。
【請求項34】
前記蛍光化合物がポリビニルカルバゾールである、請求項33に記載の有機発光デバイス。
【請求項35】
前記蛍光化合物が低分子量化合物またはオリゴマーである、請求項30に記載の有機発光デバイス。
【請求項36】
前記蛍光化合物が、2つより多いカルバゾリル基を有する低分子量化合物またはオリゴマーである、請求項35に記載の有機発光デバイス。
【請求項37】
前記りん光化合物が、Ir、Pt、Os、RuまたはAuを中心金属として有する有機金属錯体である、請求項29または30に記載の有機発光デバイス。
【請求項38】
前記発光の外部結合の側で一組の色フィルターと合わされて、白色色相の発光を生成する、請求項29または30に記載の有機発光デバイス。
【請求項39】
有機発光デバイスを調製するための方法であって、該デバイスにおいて、発光層は、アノードとカソードとの間に形成されており、
該発光層を、共通の溶媒中に少なくとも1種の蛍光共役ポリマーおよび少なくとも1種のりん光発光体を含有する溶液をキャストすることにより、形成する工程;ならびに
溶媒を除去し、それにより該少なくとも1種の共役ポリマーが、該少なくとも1種のりん光発光体に対するホストとして役立つ発光層を形成する工程、
によって改良された、方法。
【請求項40】
前記キャストする工程が、スピンキャスティグである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記発光層が、前記カソードの上にキャストされる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記発光層が、前記アノードの上にキャストされる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記アノードの上に正孔注入層をキャストする工程をさらに包含し、その後に前記発光層をキャストする工程が該正孔注入層の上で実施される、請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−508696(P2007−508696A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534255(P2006−534255)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/032756
【国際公開番号】WO2005/038944
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】