説明

半導体ユニット、及び、半導体ユニットの製造方法

【課題】半導体装置で生じる熱をより効率的に放熱することができる半導体ユニットを提供する。
【解決手段】半導体ユニット10は、第1、第2金属プレートと、第1中間金属プレートと、第1、第2半導体装置と、第1、第2セラミック体を有する。第1半導体装置は、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に配置されている。第2半導体装置は、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間であって、積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重ならない位置に配置されている。第1セラミック体は、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間であって、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に配置されている。第2セラミック体は、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間であって、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、複数の半導体装置を備える半導体ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、複数の半導体装置を備える半導体ユニットが開示されている。この半導体ユニットは、上部金属プレートと、下部金属プレートと、上部金属プレートと下部金属プレートの間に配置されている中間金属プレートを有する。上部金属プレートと中間金属プレートの間には、第1半導体装置が接続されている。中間金属プレートと下部金属プレートの間には、第2半導体装置が接続されている。第2半導体装置は、上部金属プレートと中間金属プレートと下部金属プレートの積層方向に沿って見たときに、第1半導体装置と重ならない位置に配置されている。各半導体装置と各金属プレートの周囲は、樹脂に覆われている。上部金属プレートと中間金属プレートと下部金属プレートは、配線として機能するとともに、各半導体装置で生じる熱を放熱するための放熱部材としても機能する。この半導体ユニットでは、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置が第1半導体装置と重ならない位置に配置されていることによって、各半導体装置で生じる熱を効率的に放熱することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−066895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、半導体ユニットの電流容量の増大が求められており、これに伴って、半導体ユニット内の各半導体装置で生じる熱をより効率的に放熱することが必要とされている。したがって、本明細書では、半導体装置で生じる熱をより効率的に放熱することができる半導体ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した特許文献1の半導体ユニットでは、各金属プレートの間の空間が樹脂によって埋められている。この樹脂層によって、各半導体装置からの放熱が阻害されている。したがって、本明細書が開示する半導体ユニットは、以下の構成を有する。
【0006】
本明細書が開示する半導体ユニットは、第1金属プレートと、第2金属プレートと、第1中間金属プレートと、第1半導体装置と、第2半導体装置と、第1セラミック体と、第2セラミック体を有する。第1中間金属プレートは、第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置されている。第1半導体装置は、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に配置されており、第1金属プレート及び第1中間金属プレートに接続されている。第2半導体装置は、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、第1金属プレートと第1中間金属プレートと第2金属プレートの積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重ならない位置に配置されており、第1中間金属プレート及び第2金属プレートに接続されている。第1セラミック体は、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に配置されており、第1金属プレート及び第1中間金属プレートに接触しており、絶縁体である。第2セラミック体は、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に配置されており、第1中間金属プレート及び第2金属プレートに接触しており、絶縁体である。
【0007】
なお、上記の「接続」は、電気的な接続を意味する。したがって、半導体装置と金属プレートとが、他の導電部材によって電気的に接続されていてもよい。
【0008】
この半導体ユニットでは、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間であって、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に、第1セラミック体が配置されている。第1セラミック体は、セラミック材料により構成されているので、樹脂に比べて熱伝導率が高い。したがって、第2半導体装置で発生した熱が、熱伝導率が高い第1中間金属プレート及び第1セラミック体を通って、第1金属プレートに伝わることができる。このように、従来の半導体ユニットに比べて第2半導体装置の放熱経路が増えるので、この半導体ユニットでは、第2半導体装置の温度が上昇し難くなる。また、この半導体ユニットでは、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間であって、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に、第2セラミック体が配置されている。したがって、第1半導体装置で発生した熱が、熱伝導率が高い第1中間金属プレート及び第2セラミック体を通って、第2金属プレートに伝わることができる。したがって、第1半導体装置の温度も上昇し難くなる。このように、この半導体ユニットによれば、第1半導体装置及び第2半導体装置の温度上昇を抑制することができる。
【0009】
上述した半導体ユニットは、第1セラミック体が前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有しており、第1半導体装置が第1セラミック体の貫通孔内に配置されており、第2セラミック体が前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有しており、第2半導体装置が第2セラミック体の貫通孔内に配置されていることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、半導体ユニットの組立時に、第1セラミック体と第1半導体装置の位置合わせが容易となり、第2セラミック体と第2半導体装置の位置合わせが容易となる。また、このような構成によれば、第1半導体装置から第1セラミック体に熱が伝わり易くなり、第1半導体装置の温度上昇をさらに抑制することができる。同様に、このような構成によれば、第2半導体装置から第2セラミック体に熱が伝わり易くなり、第2半導体装置の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0011】
上述した半導体ユニットは、第2中間金属プレートと、第3半導体装置と、第4半導体装置と、第3セラミック体と、第4セラミック体をさらに有していることが好ましい。第2中間金属プレートは、第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置されていることが好ましい。第3半導体装置は、第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に配置されており、第1金属プレート及び第2中間金属プレートに接続されていることが好ましい。第4半導体装置は、第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第3半導体装置と重ならない位置に配置されており、第2中間金属プレート及び第2金属プレートに接続されていることが好ましい。第3セラミック体は、第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第4半導体装置と重なる位置に配置されており、第1金属プレート及び第2中間金属プレートに接触しており、絶縁体であることが好ましい。第4セラミック体は、第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第3半導体装置と重なる位置に配置されており、第2中間金属プレート及び第2金属プレートに接触しており、絶縁体であることが好ましい。第3セラミック体が、前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有していることが好ましい。第3半導体装置が、第3セラミック体の貫通孔内に配置されていることが好ましい。第4セラミック体が、前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有していることが好ましい。第4半導体装置が、第4セラミック体の貫通孔内に配置されていることが好ましい。第1セラミック体が第3セラミック体と接触しており、第2セラミック体が第4セラミック体と接触していることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、第1セラミック体と第3セラミック体の間、及び、第2セラミック体と第4セラミック体の間での熱伝導が生じやすくなる。このため、各半導体装置で生じた熱がより放熱されやすく、各半導体装置の温度上昇をさらに抑制することができる。
【0013】
セラミック体が半導体装置と強く接触すると、半導体装置にストレスが加わる。したがって、セラミック体と半導体装置の間には、間隔を設けることが好ましい。一方で、セラミック体と半導体装置の間に隙間が存在していると、半導体装置が熱応力により変形し易くなり、半導体装置の信頼性が低下してしまう。
【0014】
したがって、上述した半導体ユニットは、第1半導体装置と第1セラミック体との間に樹脂層が形成されており、第2半導体装置と第2セラミック体との間に樹脂層が形成されていることが好ましい。
【0015】
このように、半導体装置とセラミック体との間に樹脂層を設けることで、半導体装置の変形を抑制し、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、本明細書は、半導体ユニットの製造方法を提供する。この製造方法は、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に第1半導体装置を接続する第1接続工程と、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に第2半導体装置を接続する第2接続工程と、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に第1絶縁ブロックを固定する第1絶縁ブロック固定工程と、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に第2絶縁ブロックを固定する第2絶縁ブロック固定工程を有している。そして、前記各工程の実施後に、以下の状態、すなわち、第1中間金属プレートが、第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置され、第2半導体装置が、第1金属プレートと第1中間金属プレートと第2金属プレートの積層方向に沿って見たときに、第1半導体装置と重ならない位置に配置され、第1絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に配置され、第1金属プレート及び第1中間金属プレートに接触し、第2絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に配置され、第1中間金属プレート及び第2金属プレートに接触するという状態が得られる。
【0017】
なお、第1接続工程、第2接続工程、第1絶縁ブロック固定工程、第2絶縁ブロック固定工程は、どのような順序で行ってもよい。また、これらの工程のうちのいくつか、または、全てを同時に行ってもよい。
【0018】
この製造方法によれば、第1金属プレートと第1中間金属プレートの間であって、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に、第1絶縁ブロックが固定されており、第1中間金属プレートと第2金属プレートの間であって、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に、第2絶縁ブロックが固定されている半導体ユニットを製造することができる。絶縁ブロックは、製造段階においてブロック状の部材である。したがって、絶縁ブロックには、例えばセラミック等のように、熱伝導率が高い絶縁体を用いることができる。したがって、この製造方法によれば、第1半導体装置及び第2半導体装置の温度が上昇し難い半導体ユニットを製造することができる。
【0019】
上述した製造方法においては、第1絶縁ブロックに貫通孔が形成されており、第2絶縁ブロックに貫通孔が形成されていることが好ましい。そして、前記各工程の実施後に、以下の状態、すなわち、第1絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、第1半導体装置が、第1絶縁ブロックの貫通孔内に配置され、第2絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、第2半導体装置が、第2絶縁ブロックの貫通孔内に配置されるという状態が得られることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、第1絶縁ブロックと第1半導体装置の位置合わせが容易となり、第2絶縁ブロックと第2半導体装置の位置合わせが容易となる。また、第1半導体装置から第1絶縁ブロックに熱が伝わり易く、第2半導体装置から第2絶縁ブロックに熱が伝わり易い半導体ユニットを製造することができる。
【0021】
上述した製造方法は、第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に第3半導体装置を接続する第3接続工程と、第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に第4半導体装置を接続する第4接続工程と、第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に、貫通孔が形成されている第3絶縁ブロックを固定する第3絶縁ブロック固定工程と、第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に、貫通孔が形成されている第4絶縁ブロックを固定する第4絶縁ブロック固定工程を有することが好ましい。そして、前記各工程の実施後に、以下の状態、すなわち、第2中間金属プレートが、第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置され、第4半導体装置が、前記積層方向に沿って見たときに、第3半導体装置と重ならない位置に配置され、第3絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第4半導体装置と重なる位置に配置され、第1金属プレート及び第2中間金属プレートに接触し、第4絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第3半導体装置と重なる位置に配置され、第2中間金属プレート及び第2金属プレートに接触し、第3絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、第3半導体装置が、第3絶縁ブロックの貫通孔内に配置され、第4絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、第4半導体装置が、第4絶縁ブロックの貫通孔内に配置され、第1絶縁ブロックが第3絶縁ブロックと接触し、第2絶縁ブロックが第4絶縁ブロックと接触するという状態が得られることが好ましい。なお、上記の各工程は、どのような順序で行ってもよい。また、これらのいくつか、または、全てを同時に行ってもよい。
【0022】
このような構成によれば、第1絶縁ブロックと第3絶縁ブロックの間、及び、第2絶縁ブロックと第4絶縁ブロックの間で熱伝導が生じやすい半導体ユニットを製造することができる。
【0023】
上述した製造方法は、第1半導体装置と第1絶縁ブロックとの間に樹脂を充填する工程と、第2半導体装置と第2絶縁ブロックとの間に樹脂を充填する工程をさらに有することが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、より信頼性が高い半導体ユニットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】半導体ユニット10の斜視図。
【図2】セラミックブロックの斜視図
【図3】図1のIII−III線における半導体ユニット10のXZ平面における断面図。
【図4】セラミックブロック30bの貫通孔40近傍の拡大断面図。
【図5】半導体ユニット10の回路図。
【図6】冷却器70、74に接続された半導体ユニット10の図3に対応する断面図。
【図7】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図8】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図9】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図10】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図11】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図12】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図13】半導体ユニット10の製造過程を示す断面図。
【図14】変形例の半導体ユニットの図3に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、実施例の半導体ユニット10の斜視図を示している。半導体ユニット10は、直流を交流に変換するインバータ回路を構成しており、6個のスイッチング素子を内蔵している。図1に示すように、半導体ユニット10は、上部金属プレート12、下部金属プレート14、3個の中間金属プレート16〜20、及び、6個のセラミックブロック30a〜30fを有している。上部金属プレート12は、一方向に長く伸びる金属板である。以下では、上部金属プレート12の長手方向をX方向という。下部金属プレート14は、上部金属プレートと同様にX方向に長く伸びる金属板である。下部金属プレート14は、上部金属プレート12と略平行に配置されている。上部金属プレート12と下部金属プレート14の間に、3個の中間金属プレート16〜20、及び、6個のセラミックブロック30a〜30fが挟まれている。セラミックブロック30aは、上部金属プレート12と中間金属プレート16の間に挟まれている。セラミックブロック30bは、上部金属プレート12と中間金属プレート18の間に挟まれている。セラミックブロック30cは、上部金属プレート12と中間金属プレート20の間に挟まれている。セラミックブロック30dは、下部金属プレート14と中間金属プレート16の間に挟まれている。セラミックブロック30eは、下部金属プレート14と中間金属プレート18の間に挟まれている。セラミックブロック30fは、下部金属プレート14と中間金属プレート20の間に挟まれている。以下では、下部金属プレート14、セラミックブロック30d、中間金属プレート16、セラミックブロック30a、及び、上部金属プレート12が積層されている方向をZ方向という。各セラミックブロック30a〜30fは、図2に示すように略直方体のブロックである。セラミックブロック30a〜30fは、絶縁体であり、一般的な樹脂に比べて熱伝導率が高いセラミックにより構成されている。各セラミックブロックには、その上面から下面に貫通する貫通孔40が形成されている。図3に示すように、セラミックブロック30a〜30fは、貫通孔40がZ方向に伸びるように配置されている。また、図2に示すように、セラミックブロックの上面には、セラミックブロックの端面から貫通孔40まで伸びる溝40cが4個形成されている。図1、3に示すように、各セラミックブロック30a〜30fは、隣のセラミックブロックと接触している。図1に示すように、中間金属プレート16〜20は、セラミックブロックと接している位置から、Y方向(X方向及びZ方向に対して直交する方向)に沿って引き出されている。なお、図1では省略されているが、金属プレート12〜20とセラミックブロック30a〜30fの積層部分の側面は、樹脂層(図3に示す樹脂層60)に覆われている。
【0027】
図3に示すように、各貫通孔40内には、半導体装置50a〜50fが設置されている。半導体装置50a〜50fは、スイッチング素子であり、通電時に発熱する。図4は、セラミックブロック30bの貫通孔40の拡大断面図を示している。図示するように、貫通孔40は、断面積が広い部分40aと、断面積が狭い部分40bを有している。断面積が狭い部分40bが、上面側に位置している。図2に示すように部分40bの断面形状は、矩形である。図示していないが、部分40aの断面形状も、矩形である。図4に示すように、部分40b内に半導体装置50bが設置されている。半導体装置50bは、半導体基板46と、半導体基板46の上面に形成されている上部電極48と、半導体基板46の下面に形成されている下部電極44を有している。下部電極44は、はんだ層42によって中間金属プレート18に接続されている。上部電極48上には、銅により構成されている金属ブロック54が設置されている。上部電極48は、はんだ層52によって金属ブロック54に接続されている。金属ブロック54は、はんだ層56によって、上部金属プレート12に接続されている。半導体装置50bとセラミックブロック30bの間の隙間には、樹脂層58が形成されている。
【0028】
図3に示すように、セラミックブロック30b以外のセラミックブロックの貫通孔40内にも、セラミックブロック30bの貫通孔40内と同様の構造が形成されている。なお、半導体装置50aは、上部金属プレート12及び中間金属プレート16に接続されている。半導体装置50cは、上部金属プレート12及び中間金属プレート20に接続されている。半導体装置50dは、下部金属プレート14及び中間金属プレート16に接続されている。半導体装置50eは、下部金属プレート14及び中間金属プレート18に接続されている。半導体装置50fは、下部金属プレート14及び中間金属プレート20に接続されている。各半導体装置50a〜50fは、Z方向に沿って見たときに、他の半導体装置と重ならないように配置されている。すなわち、中間金属プレート16〜20の下側であって、Z方向に沿って見たときに上側の半導体装置50a〜50cと重なる位置には、セラミックブロック30d〜30fが存在している。また、中間金属プレート16〜20の上側であって、Z方向に沿って見たときに下側の半導体装置50d〜50fと重なる位置には、セラミックブロック30a〜30cが存在している。また、図3に示すように、半導体ユニット10の積層部分の側面には、樹脂層60が形成されている。
【0029】
半導体ユニット10は、図5に示すインバータ回路を構成している。各半導体装置50a〜50fは、IGBTとダイオードを有している。上部金属プレート12と下部金属プレート14の間には、直流電圧が印加される。中間金属プレート16〜20は、モータ80に接続される。各半導体装置50a〜50fのIGBTがスイッチングすることで、上部金属プレート12と下部金属プレート14の間の直流電圧が三相交流電圧に変換され、中間金属プレート16、18、20に出力される。なお、図1、3、4では示されていないが、半導体装置50a〜50fはゲート電極を有している。ゲート電極は、図示しない位置において図5に示すゲート配線62に接続されている。
【0030】
半導体ユニット10を使用する際には、図6に示すように、半導体ユニット10が冷却器70、74に接続される。冷却器70、74は、液循環式の冷却器である。上部金属プレート12は、絶縁膜72を介して冷却器70に固定される。下部金属プレート14は、絶縁膜76を介して冷却器74に固定される。半導体ユニット10を動作させると、各半導体装置50a〜50fが発熱する。通電時における半導体装置50bの放熱経路について説明する。半導体装置50bで生じた熱は、図6の矢印100に示すように、金属ブロック54と上部金属プレート12を介して冷却器70に伝わることができる。また、中間金属プレート18の下側であって半導体装置50bと重なる位置には、熱伝導率が高いセラミックブロック30eが配置されている。このため、半導体装置50bで生じた熱は、図6の矢印102に示すように、中間金属プレート18、セラミックブロック30e、及び、下部金属プレート14を介して冷却器74に伝わることができる。また、熱伝導率が高いセラミックブロック30bによって半導体装置50bの周囲が囲まれているので、半導体装置50bで発生した熱は、セラミックブロック30bにも伝わることができる。特に、半導体装置50bとセラミックブロック30bの間の隙間に樹脂層58が形成されているので、半導体装置50bで発生した熱はセラミックブロック30bに伝わり易い。このため、半導体装置50bで発生した熱は、図6の矢印104に示すように、セラミックブロック30bと上部金属プレート12を介して冷却器70に伝わることができる。さらに、セラミックブロック30bは隣のセラミックブロック30aと接触しているので、半導体装置50bで発生した熱は、図6の矢印106に示すように、セラミックブロック30b、セラミックブロック30a、及び、上部金属プレート12を介して冷却器70に伝わることができる。このように、半導体装置50bで発生した熱は、多数の放熱経路によって放熱される。このため、半導体装置50bの昇温を効果的に抑制することができる。半導体装置50b以外の他の半導体装置に対しても、半導体装置50bと略同様に放熱経路が設けられているので、これらの半導体装置の昇温も効果的に抑制される。
【0031】
以上に説明したように、この半導体ユニット10では、半導体装置50a〜50fの周囲に、樹脂等に比べて熱伝導率が高いセラミックブロックが配置されているため、半導体装置50a〜50fで生じた熱が放熱されやすい。このため、半導体ユニット10は、電流容量が大きく、また、信頼性が高い。
【0032】
また、上述したように、半導体装置50bとセラミックブロック30bの間の隙間には、樹脂層58が形成されている。この樹脂層58によって、発熱による半導体装置50bの歪み(熱膨張等)が抑制され、半導体装置50bの信頼性が向上されている。半導体装置50b以外の他の半導体装置も、半導体装置50bと同様に、樹脂層58によって信頼性が向上されている。
【0033】
次に、半導体ユニット10の製造方法について説明する。最初に、図7に示すように、3つの半導体装置50d〜50fの下部電極を下部金属プレート14にはんだ接合する。これによって、下部金属プレート14上に3つの半導体装置50d〜50fを固定する。
【0034】
次に、図8に示すように、下部金属プレート14上にセラミックブロック30d〜30fを載置する。このとき、貫通孔40内に半導体装置50d〜50fを収容させる。このように、貫通孔40内に半導体装置50d〜50fを収容させることで、セラミックブロック30d〜30fを簡単かつ正確に位置決めすることができる。また、このとき、セラミックブロック30d〜30fを、隣接するセラミックブロックに対して接触させる。
【0035】
次に、図9に示すように、半導体装置50d〜50fの上部電極に、金属ブロック54をはんだ接合する。このとき、貫通孔40の断面積が小さい部分40bがガイドになるため、金属ブロック54を容易に位置決めすることができる。
【0036】
次に、図10に示すように、中間金属プレート16がセラミックブロック30dの上面に接触し、中間金属プレート18がセラミックブロック30eの上面に接触し、中間金属プレート20がセラミックブロック30fの上面に接触するようにして、中間金属プレート16〜20をその下部の金属ブロック54にはんだ接合する。
【0037】
次に、図11に示すように、半導体装置50a〜50cの下部電極を、中間金属プレート16〜20にはんだ接合する。これによって、中間金属プレート16〜20上に、半導体装置50a〜50cを固定する。ここでは、Z方向に沿って見たときに、下側の半導体装置50d〜50fに対して、上側の半導体装置50a〜50cが重ならない位置に、半導体装置50a〜50cを固定する。すなわち、Z方向に沿って見たときに、半導体装置50a〜50cの全体がセラミックブロック30d〜30fと重なるように、半導体装置50a〜50cを固定する。
【0038】
次に、図12に示すように、各中間金属プレート16〜20上にセラミックブロック30a〜30cを載置する。このとき、貫通孔40内に半導体装置50a〜50cを収容させる。このように、貫通孔40内に半導体装置50a〜50cを収容させることで、セラミックブロック30a〜30cを簡単かつ正確に位置決めすることができる。このとき、Z方向に沿って見たときに下側の半導体装置50d〜50fの全体がセラミックブロック30a〜30cと重なるように、セラミックブロック30a〜30cが位置決めされる。また、このとき、セラミックブロック30a〜30cを、隣接するセラミックブロックに対して接触させる。
【0039】
次に、半導体装置50a〜50cの上部電極に、金属ブロック54をはんだ接合する。次に、図13に示すように、上部金属プレート12がセラミックブロック30a〜30cの上面と接触するように、上部金属プレート12をその下部の3つの金属ブロック54にはんだ接合する。
【0040】
次に、図13に示す半製品を成形型内に配置して樹脂成形することで、図2に示す樹脂層60を形成する。なお樹脂成形する際には、各セラミックブロック30a〜30fの上面に形成されている溝40c(図2参照)を通って、樹脂が貫通孔40内に流入する。これによって、各半導体装置50a〜50fと各セラミックブロック30a〜30fの間の隙間に樹脂が充填され、図3、4に示す樹脂層58が形成される。以上の工程によって、図1、3、4に示す半導体ユニット10を製造することができる。
【0041】
この製造方法によれば、半導体ユニット10の厚みが各金属プレートの厚みとセラミックブロックの厚みによって決まる。はんだ層の厚みが半導体ユニット10の厚みにほとんど影響しない。したがって、この製造方法によって半導体ユニット10を量産した場合には、半導体ユニット10の厚みのばらつきを抑制することができる。
【0042】
なお、上述した実施例の半導体ユニット10は、中間金属プレート16〜20上に3つのセラミックブロック30a〜30cを有していた。しかしながら、これらのセラミックブロックが一体化して、図14に示すように単一のセラミックブロック120が中間金属プレート16〜20上に設置されていてもよい。同様に、中間金属プレート16〜20の下の3つのセラミックブロック30d〜30fが一体化して、図14に示すように単一のセラミックブロック122が中間金属プレート16〜20の下に設置されていてもよい。
【0043】
また、セラミックブロックを構成するセラミックとして種々の材料を採用することが可能であるが、例えば、酸化アルミニウム(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化ケイ素(Si)等を採用することができる。
【0044】
また、上述した製造方法のように、絶縁性のブロックを金属プレートの間に配置して半導体ユニットを製造する場合においては、絶縁性のブロックは必ずしもセラミック製である必要はない。樹脂等のその他の材質であって、熱伝導率が高いブロックを、絶縁性のブロックに用いることができる。絶縁性のブロックに使用可能な材料は樹脂成形に使用可能な材料に限定されないので、絶縁性のブロックとして熱伝導率が高い種々の材料を採用することができる。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
10:半導体ユニット
12:上部金属プレート
14:下部金属プレート
16〜20:中間金属プレート
30a〜30f:セラミックブロック
40:貫通孔
50a〜50f:半導体装置
54:金属ブロック
58:樹脂層
60:樹脂層
70:冷却器
74:冷却器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ユニットであって、
第1金属プレートと、
第2金属プレートと、
第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置されている第1中間金属プレートと、
第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に配置されており、第1金属プレート及び第1中間金属プレートに接続されている第1半導体装置と、
第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、第1金属プレートと第1中間金属プレートと第2金属プレートの積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重ならない位置に配置されており、第1中間金属プレート及び第2金属プレートに接続されている第2半導体装置と、
第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に配置されており、第1金属プレート及び第1中間金属プレートに接触しており、絶縁体である第1セラミック体と、
第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に配置されており、第1中間金属プレート及び第2金属プレートに接触しており、絶縁体である第2セラミック体、
を有する半導体ユニット。
【請求項2】
第1セラミック体が、前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有しており、
第1半導体装置が、第1セラミック体の貫通孔内に配置されており、
第2セラミック体が、前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有しており、
第2半導体装置が、第2セラミック体の貫通孔内に配置されている、
請求項1に記載の半導体ユニット。
【請求項3】
第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置されている第2中間金属プレートと、
第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に配置されており、第1金属プレート及び第2中間金属プレートに接続されている第3半導体装置と、
第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第3半導体装置と重ならない位置に配置されており、第2中間金属プレート及び第2金属プレートに接続されている第4半導体装置と、
第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第4半導体装置と重なる位置に配置されており、第1金属プレート及び第2中間金属プレートに接触しており、絶縁体である第3セラミック体と、
第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に配置されており、前記積層方向に沿って見たときに第3半導体装置と重なる位置に配置されており、第2中間金属プレート及び第2金属プレートに接触しており、絶縁体である第4セラミック体、
をさらに有しており、
第3セラミック体が、前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有しており、
第3半導体装置が、第3セラミック体の貫通孔内に配置されており、
第4セラミック体が、前記積層方向に沿って伸びる貫通孔を有しており、
第4半導体装置が、第4セラミック体の貫通孔内に配置されており、
第1セラミック体が第3セラミック体と接触しており、
第2セラミック体が第4セラミック体と接触している、
請求項2に記載の半導体ユニット。
【請求項4】
第1半導体装置と第1セラミック体との間に樹脂層が形成されており、
第2半導体装置と第2セラミック体との間に樹脂層が形成されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体ユニット。
【請求項5】
半導体ユニットを製造する方法であって、
第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に第1半導体装置を接続する第1接続工程と、
第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に第2半導体装置を接続する第2接続工程と、
第1金属プレートと第1中間金属プレートの間に第1絶縁ブロックを固定する第1絶縁ブロック固定工程と、
第1中間金属プレートと第2金属プレートの間に第2絶縁ブロックを固定する第2絶縁ブロック固定工程、
を有しており、
前記各工程の実施後に、以下の状態、すなわち、
第1中間金属プレートが、第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置され、
第2半導体装置が、第1金属プレートと第1中間金属プレートと第2金属プレートの積層方向に沿って見たときに、第1半導体装置と重ならない位置に配置され、
第1絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第2半導体装置と重なる位置に配置され、第1金属プレート及び第1中間金属プレートに接触し、
第2絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第1半導体装置と重なる位置に配置され、第1中間金属プレート及び第2金属プレートに接触する、
という状態が得られる製造方法。
【請求項6】
第1絶縁ブロックに、貫通孔が形成されており、
第2絶縁ブロックに、貫通孔が形成されており、
前記各工程の実施後に、以下の状態、すなわち、
第1絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、
第1半導体装置が、第1絶縁ブロックの貫通孔内に配置され、
第2絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、
第2半導体装置が、第2絶縁ブロックの貫通孔内に配置される、
という状態が得られる請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に第3半導体装置を接続する第3接続工程と、
第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に第4半導体装置を接続する第4接続工程と、
第1金属プレートと第2中間金属プレートの間に、貫通孔が形成されている第3絶縁ブロックを固定する第3絶縁ブロック固定工程と、
第2中間金属プレートと第2金属プレートの間に、貫通孔が形成されている第4絶縁ブロックを固定する第4絶縁ブロック固定工程、
をさらに有しており、
前記各工程の実施後に、以下の状態、すなわち、
第2中間金属プレートが、第1金属プレートと第2金属プレートの間に配置され、
第4半導体装置が、前記積層方向に沿って見たときに、第3半導体装置と重ならない位置に配置され、
第3絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第4半導体装置と重なる位置に配置され、第1金属プレート及び第2中間金属プレートに接触し、
第4絶縁ブロックが、前記積層方向に沿って見たときに第3半導体装置と重なる位置に配置され、第2中間金属プレート及び第2金属プレートに接触し、
第3絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、
第3半導体装置が、第3絶縁ブロックの貫通孔内に配置され、
第4絶縁ブロックの貫通孔が、前記積層方向に沿って伸び、
第4半導体装置が、第4絶縁ブロックの貫通孔内に配置され、
第1絶縁ブロックが第3絶縁ブロックと接触し、
第2絶縁ブロックが第4絶縁ブロックと接触する、
という状態が得られる請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
第1半導体装置と第1絶縁ブロックとの間に樹脂を充填する工程と、
第2半導体装置と第2絶縁ブロックとの間に樹脂を充填する工程、
をさらに有する請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−110190(P2013−110190A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252417(P2011−252417)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】