説明

半導体レーザ素子の移載装置、これを備える接合装置および移載装置を用いる半導体レーザ素子の移載方法

【課題】 高い位置決め精度を必要とせず、安定して半導体レーザ素子を吸着保持できる半導体レーザ素子の移載装置、接合装置、および移載方法を提供することである。
【解決手段】 半導体レーザ素子の移載装置10は、初期位置載置台16と、吸着部17と、変位駆動部18とを含んで構成される。吸着部17は、初期位置載置台16に臨んで初期位置載置台16に近接および離反可能に設けられる。吸着部17には、吸着面21が形成される。吸着面21の形状および大きさは、被吸着面22の形状および大きさを含む形状および大きさに設定される。被吸着面22は、初期位置載置面19上に載置された半導体レーザ素子15の面である。吸着面21には、貫通孔26が形成される。変位駆動部18は、吸着部17を目的位置にまで変位駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ素子を初期位置から目的位置に移載する移載装置、これを備える半導体レーザ素子の接合装置、および半導体レーザ素子の移載装置を用いる半導体レーザ素子の移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13は、従来技術に係る接合装置の吸着コレット1の側面図および底面図である。従来技術に係る吸着コレット1は、コレットホルダに保持される基部から半導体レーザ素子に接触する先端部に向かうにつれて、先細状の形状に形成され、先端部に開口する貫通孔2によって、半導体レーザ素子を吸着保持する(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−101142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に係る接合装置では、半導体レーザ素子の重心に対して予め定める位置に、吸着コレット1の先端を接触させなければ、半導体レーザ素子を吸着できないという問題点がある。したがって、吸着コレット1の先端の位置決めに、高い位置決め精度が必要となるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、高い位置決め精度を必要とせず、安定して半導体レーザ素子を吸着保持できる半導体レーザ素子の移載装置、これを備える半導体レーザ素子の接合装置、および半導体レーザ素子の移載装置を用いる半導体レーザ素子の移載方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従えば、半導体レーザ素子の移載装置は、初期位置設置台と、吸着部と、変位駆動部とを含んで構成される。初期位置設置台には、半導体レーザ素子を載置するための初期位置載置面が形成される。吸着部は、初期位置載置面に臨んで初期位置載置面に近接および離反可能に設けられる。吸着部には、吸着面が形成される。吸着面は、初期位置載置面に載置される予め定められる半導体レーザ素子に接触するための面である。吸着面の形状および大きさは、被吸着面の形状および大きさを含む形状および大きさに設定される。被吸着面は、初期位置載置面上に載置された半導体レーザ素子の、初期位置載置面に臨む表面とは反対側の面である。吸着面には、接触領域に開口して貫通孔が形成される。接触領域は、初期位置載置面上に載置された半導体レーザ素子の被吸着面に対応する吸着面内の領域である。吸着部は、真空ポンプに接続される。真空ポンプは、貫通孔内の流体を吸引する。変位駆動部は、吸着部を初期位置載置面に近接および離反させるとともに、吸着部を目的位置にまで変位駆動する。
【0007】
また本発明に従えば、半導体レーザ素子の被吸着面と、吸着部の吸着面とは、いずれも平面状に形成される。
【0008】
また本発明に従えば、吸着部は、タングステン−炭素−コバルト系合金で形成される。
また本発明に従えば、貫通孔は、複数形成される。
【0009】
また本発明に従えば、接触領域において開口する貫通孔の開口面積は、接触領域の面積の20%以上40%以下の範囲内に設定される。
【0010】
また本発明に従えば、被吸着面は長手方向を有する長手形状に形成される。半導体レーザ素子の外形は、長手方向に延びる直線を含む仮想一平面に関して面対称に形成される。接触領域は、接触領域に含まれる仮想直線に関して対称な形状に、かつ仮想直線の方向に長い形状に形成される。貫通孔の開口は、仮想直線に関して対称に形成される。
【0011】
また本発明に従えば、吸着部は、直方体の形状に形成される。
また本発明に従えば、半導体レーザ素子移載装置は、接続管をさらに備える。接続管には、管路が形成され、吸着部と真空ポンプとを接続する。管路は、真空ポンプによって吸引される流体が移動する。吸着部は、四角錐の形状に形成され、吸着部の内部には、内部空間が形成される。内部空間は、接続管の管路に連通される。貫通孔は、吸着部の内部空間と外部空間とを連通する。
【0012】
また本発明に従えば、半導体レーザ素子の移載装置は、接続管をさらに備える。接続管は、吸着部と真空ポンプとを接続し、接続管には、管路が形成される。真空ポンプによって吸引される流体は、管路を移動する。貫通孔は、接続管に形成される管路に向けて直線的に形成される。
【0013】
また本発明に従えば、吸着面の外形を成す周縁と、接触領域の外形を成す周縁との間の距離は、いずれの部分においても25μm以上に設定される。
【0014】
また本発明に従えば、半導体レーザ素子の接合装置は、前記半導体レーザ素子の移載装置を備え、さらに終点位置載置台と、加熱部とを備える。終点位置載置台には、サブマウントが載置され、サブマウントは、目的位置に到達した半導体レーザ素子と接合される。加熱部は、終点位置載置台に載置されたサブマウントを加熱することによって、サブマウントの温度を上昇させる。
【0015】
また本発明に従えば、半導体レーザ素子の移載方法は、前記半導体レーザ素子の移載装置を用いて行われる。すなわち、吸着面の形状および大きさは、被吸着面の形状および大きさを含む形状および大きさに設定される。吸着面には、接触領域に開口して貫通孔が形成される。吸着部は、真空ポンプに接続され、真空ポンプは、貫通孔内の流体を吸引する。変位駆動部は、吸着部を初期位置載置面に近接および離反させるとともに、吸着部を目的位置にまで変位駆動する。
【0016】
半導体レーザ素子の移載方法は、接触工程と、吸引工程と、変位駆動工程と、吸引解除工程とを含んで構成される。接触工程では、変位駆動部の駆動によって、初期位置載置面に載置された半導体レーザ素子の被吸着面に接触領域を接触させる。吸引工程では、真空ポンプによって、貫通孔内の流体を吸引する。変位駆動工程では、変位駆動部の駆動によって吸着部を目的位置に変位駆動する。吸引解除工程では、真空ポンプによる貫通孔内の流体の吸引を解除する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吸着面の形状および大きさは、被吸着面の形状および大きさを含む形状および大きさに設定される。これによって、吸着部は、貫通孔周囲の接触領域によって、従来技術に係る装置よりも広い領域で半導体レーザ素子に接触し、吸引吸着することができる。したがって、吸着部は、面接触した状態で半導体レーザ素子を吸着保持することができる。これによって、吸着部に半導体レーザ素子が吸着保持された状態で、半導体レーザ素子が吸着部に対して角変位して傾くことを防止することができる。したがって、吸着部の位置、半導体レーザ素子の重心の位置とにずれが生じても、被吸着面と接触領域との間を流体が移動することを阻止することができる。したがって、高い位置決め精度を必要とせず、ずれ量を許容することができる。
【0018】
また吸着面の形状および大きさが被吸着面の形状および大きさを含まない場合に比べて、接触領域と被吸着面との間に生じる圧力を広い範囲に分散することができ、吸着部と半導体レーザ素子との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部からの押圧力によって半導体レーザ素子に破損が生じることを防止することができる。
【0019】
また本発明によれば、半導体レーザ素子の被吸着面と、吸着部の吸着面とは、いずれも平面状に形成される。これによって、位置決めを高い精度で行うことなく、吸着面と被吸着面とを面接触させることができる。
【0020】
また本発明によれば、吸着部は、タングステン−炭素−コバルト系合金で形成される。これによって、半導体レーザ素子の搬送が繰返されても、吸着部が磨耗することを防止すすることができる。
【0021】
また本発明によれば、貫通孔は、複数形成される。これによって、半導体レーザ素子を複数の位置で吸引吸着することができるので、形成される貫通孔が1つである場合に比べて、半導体レーザ素子に対する吸着部の位置決め精度が低くても、半導体レーザ素子を吸着保持することができる。したがって、半導体レーザ素子をバランスよく吸着保持することができる。したがって、搬送の途中で半導体レーザ素子の吸着が解除されることを防止することができ、半導体レーザ素子が搬送が落下することを防止することができる。また半導体レーザ素子の吸着保持に必要な陰圧を、複数の吸着孔に分散することができるので、陰圧が半導体レーザ素子に局所的に作用することを防止することができる。これによって、半導体レーザ素子が吸引吸着のための陰圧によって破損することを防止することができる。
【0022】
また本発明によれば、接触領域において開口する貫通孔の開口面積は、接触領域の面積の20%以上40%以下の範囲内に設定される。これによって、安定に半導体レーザ素子を搬送することができる。開口面積は接触領域の面積の20%以上であるので、20%以下である場合に比べて、搬送の途中で半導体レーザ素子の吸着が解除されることを防止することができる。また開口面積は接触領域の面積の40%以下であるので、40%以上である場合に比べて、半導体レーザ素子が吸着保持のための陰圧によって破損することを防止することができる。
【0023】
また本発明によれば、被吸着面は長手方向を有する長手形状に形成される。半導体レーザ素子の外形は、長手方向に延びる直線を含む仮想一平面に関して面対称に形成される。接触領域は、接触領域に含まれる仮想直線に関して対称な形状に、かつ仮想直線の方向に長い形状に形成される。貫通孔の開口は、仮想直線に関して対称に形成される。
【0024】
これによって、仮想一平面よりも一方側の被吸着面に、仮想直線よりも一方側の接触領域を接触させ、仮想一平面よりも他方側の被吸着面に、仮想直線よりも他方側の接触領域を接触させて、半導体レーザ素子を吸着保持することができる。また仮想一平面よりも一方側の被吸着面に対する吸引力と、仮想一平面よりも他方側の被吸着面に対する吸引力とを、等しくすることができる。
【0025】
吸着部に吸着保持された状態における半導体レーザ素子に対して、被吸着面の長手方向の外力が付与される場合と、被吸着面に平行かつ被吸着面の長手方向に対して垂直な幅方向の外力が付与される場合とを比較すると、幅方向の外力が付与される場合の方が、被吸着面と接触領域とを離す向きの分力が大きくなるので、幅方向のバランスを保つことの方が、長手方向のバランスを保つことよりも重要となる。したがって、仮想一平面よりも一方側の被吸着面に対する吸引力と、仮想一平面よりも他方側の被吸着面に対する吸引力とを等しくすることで、半導体レーザ素子をバランスよく吸着保持することができる。
【0026】
また本発明によれば、吸着部は、直方体の形状に形成される。これによって、吸着部が球形や三角形など、直方体以外の形状に形成される場合に比べて、吸着部の形成を容易にすることができる。
【0027】
また本発明によれば、吸着部は、四角錐の形状に形成される。これによって、吸着部の内部に内部空間が形成されるときには、吸着部が直方体に形成される場合に比べて、デッドボリュームを小さくすることができる。吸着部を直方体の形状に形成するよりも四角錐の形状に形成する方が、デッドボリュームを小さくすることができるので、デッドボリュームが大きい場合に比べて、真空ポンプによる流体の吸引および吸引の解除に対して、半導体レーザ素子の吸引吸着および吸着の解除の応答速度を速くすることができる。
【0028】
また本発明によれば、半導体レーザ素子の移載装置は、接続管をさらに備える。接続管は、吸着部と真空ポンプとを接続し、接続管には、管路が形成される。真空ポンプによって吸引される流体は、管路を移動する。貫通孔は、接続管に形成される管路に向けて直線的に形成される。これによって、貫通孔の流路断面積を予め定める場合、貫通孔内の体積を可及的に小さくすることができる。したがって、デッドボリュームを可及的に小さくすることができる。またこれによって、貫通孔による圧力損失を可及的に小さくすることができる。したがって、真空ポンプの吸引力が被吸着面にまで伝達される速さを、速くすることができる。
【0029】
また本発明によれば、吸着面の外形を成す周縁と、接触領域の外形を成す周縁との間の距離は、いずれの部分においても25μm以上に設定される。これによって、吸着面の外形を成す周縁と、接触領域の外形を成す周縁との間の距離が、25μm未満に設定される部分が形成される場合に比べて、搬送の途中で半導体レーザ素子の吸着が解除されることを防止することができる。また吸着部と半導体レーザ素子との位置決めに伴うずれ量が25μmよりも小さく程度に位置決め精度を高くすることは、難しいので、いずれの部分においても、吸着面の外形を成す周縁と接触領域の外形を成す周縁との間の距離を25μm以上に設定することによって、位置決め精度を高くすることなく、半導体レーザ素子を吸着保持することができる。これによって、半導体レーザ素子が落下することを防止することができる。
【0030】
また本発明によれば、半導体レーザ素子の接合装置は、前記半導体レーザ素子の移載装置を備え、さらに終点位置載置台と、加熱部とを備える。終点位置載置台には、サブマウントが載置され、サブマウントは、目的位置に到達した半導体レーザ素子と接合される。加熱部は、終点位置載置台に載置されたサブマウントを加熱することによって、サブマウントの温度を上昇させる。
【0031】
これによって、半導体レーザ素子をサブマウントに接合するときに、吸着部は、貫通孔周囲の接触領域によって半導体レーザ素子を吸引吸着した状態で、半導体レーザ素子をサブマウントに押付けることができる。したがって、従来技術に係る手法よりも、吸着部と半導体レーザ素子との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部からの押圧力によって半導体レーザ素子およびサブマウントに破損が生じることを防止することができる。
【0032】
また本発明によれば、接触工程では、変位駆動部の駆動によって、初期位置載置面に載置された半導体レーザ素子の被吸着面に接触領域を接触させる。吸引工程では、真空ポンプによって、貫通孔内の流体を吸引する。変位駆動工程では、変位駆動部の駆動によって吸着部を目的位置に変位駆動する。吸引解除工程では、真空ポンプによる貫通孔内の流体の吸引を解除する。
【0033】
これによって、吸着部は、貫通孔周囲の接触領域によって、従来技術に係る装置を用いる手法よりも広い領域で半導体レーザ素子に接触し、吸引吸着することができる。したがって、吸着部は、面接触した状態で半導体レーザ素子を吸着保持することができる。これによって、吸着部に半導体レーザ素子が吸着保持された状態で、半導体レーザ素子が吸着部に対して角変位して傾くことを防止することができる。したがって、吸着部の位置、半導体レーザ素子の重心の位置とにずれが生じても、被吸着面と接触領域との間を流体が移動することを阻止することができる。したがって、高い位置決め精度を必要とせず、ずれ量を許容することができる。
【0034】
また吸着面の形状および大きさが被吸着面の形状および大きさを含まない場合に比べて、接触領域と被吸着面との間に生じる圧力を広い範囲に分散することができ、吸着部と半導体レーザ素子との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部からの押圧力によって半導体レーザ素子に破損が生じることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0036】
またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。以下の説明は、半導体レーザ素子の移載装置10、これを備える接合装置11および移載装置10を用いる半導体レーザ素子の移載方法についての説明をも含む。半導体レーザ素子の移載装置10を、単に「移載装置」10と称し、半導体レーザ素子の接合装置11を、単に「接合装置」11と称することがある。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における半導体レーザ素子の移載装置10の側面図である。半導体レーザ素子の接合装置11は、半導体レーザ素子15を、サブマウント12に接合する装置であり、半導体レーザ素子の移載装置10と、終点位置載置台13と、加熱部14とを含んで構成される。半導体レーザ素子の移載装置10は、半導体レーザ素子15を初期位置から目的位置に移載する。サブマウント12は、目的位置に到達した半導体レーザ素子15と接合されることによって、半導体レーザ素子15と固着される。終点位置載置台13は、半導体レーザ素子15に接合されるサブマウント12が載置される台である。加熱部14は、終点位置載置台13に載置されたサブマウント12を加熱することによって、サブマウント12の温度を上昇させる。
【0038】
半導体レーザ素子の移載装置10は、初期位置載置台16と、吸着部17と、変位駆動部18とを含んで構成される。初期位置載置台16には、半導体レーザ素子15を載置するための初期位置載置面19が形成される。吸着部17は、初期位置載置面19に臨んで初期位置載置面19に近接および離反可能に設けられる。吸着部17には、吸着面21が形成される。吸着面21は、初期位置載置面19に載置される予め定められる半導体レーザ素子15に接触するための面である。吸着面21の形状および大きさは、被吸着面22の形状および大きさを含む形状および大きさに設定される。被吸着面22は、初期位置載置面19上に載置された半導体レーザ素子15の、初期位置載置面19に臨む表面とは反対側の面である。
【0039】
吸着面21には、接触領域24に開口して貫通孔26が形成される。接触領域24は、初期位置載置面19上に載置された半導体レーザ素子15の被吸着面22に対応する吸着面21内の領域である。吸着部17は、真空ポンプに接続される。真空ポンプは、貫通孔26内の流体を吸引する。変位駆動部18は、吸着部17を初期位置載置面19に近接および離反させるとともに、吸着部17を目的位置にまで変位駆動する。本実施形態において流体は、気体である。
【0040】
図2は、本発明の第1実施形態における吸着部17の底面図である。半導体レーザ素子15の被吸着面22と、吸着部17の吸着面21とは、いずれも平面状に形成される。吸着部17は、タングステン−炭素−コバルト系合金で形成される。貫通孔26は、複数形成される。接触領域24において開口する貫通孔26の開口面積は、接触領域24の面積の20%以上40%以下の範囲内に設定される。接触領域24の面積は、開口して形成される貫通孔26の開口面積を含むものとする。被吸着面22は長手方向を有する長手形状に形成される。半導体レーザ素子15の外形は、長手方向に延びる直線を含む仮想一平面に関して面対称に形成される。接触領域24は、接触領域24に含まれる仮想直線28に関して対称な形状に、かつ仮想直線28の方向に長い形状に形成される。
【0041】
貫通孔26の開口は、仮想直線28に関して対称に形成される。吸着面21は、長方形の形状に形成され、吸着面21の外形を成す周縁と、接触領域24の外形を成す周縁との間の距離は、いずれの部分においても25μm以上に設定される。半導体レーザ素子の移載装置10は、接続管32をさらに備える。接続管32には、管路が形成され、吸着部17と真空ポンプとを接続する。管路は、真空ポンプによって吸引される流体が移動する。吸着部17は、直方体の形状に形成され、吸着部17の内部には、内部空間33が形成される。内部空間33は、接続管32の管路に連通される。貫通孔26は、吸着部17の内部空間33と外部空間とを連通する。
【0042】
半導体レーザ装置は、ステムと呼ばれる基台と、基台に取付けられるサブマウント12と、サブマウント12に取付けられる半導体レーザ素子15とを含んで構成される。半導体レーザ素子15とサブマウント12とは、導電性の材料によって互いに接合される。導電性の材料としては、たとえば、インジウム(化学記号「In」)、金スズ(化学記号「AuSn」)合金、銀(化学記号「Ag」)などの金属から成るペースト状の材料が用いられる。導電性の材料としてAuSnを用いて半導体レーザ素子15をサブマウント12に接合すると、半導体レーザ素子15から発せられる熱を、サブマウント12に伝達することができ、半導体レーザ素子15の温度上昇を抑制することができる。
【0043】
サブマウント12は、たとえばシリコンカーバイト(化学記号「SiC」)、窒化アルミニウム(化学記号「AlN」)、シリコン(化学記号「Si」)のいずれかからなる部材を用いて形成される。たとえばサブマウント12をSiから形成した場合には、Siから成る表面部にチタン(化学記号「Ti」)、白金(化学記号「Pt」)および金(化学記号「Au」)を、この順番で積層し、ダイボンド表面部34を形成する。終点位置に到達した半導体レーザ素子15は、サブマウント12のダイボンド表面部34と接合される。
【0044】
半導体レーザ素子15は、直方体の形状に形成され、この最も長い辺の長さはおよそ2mmに設定される。半導体レーザ素子15の表面のうち、被吸着面22とは反対側の表面を「接合表面」36と称すると、接合表面36は、直方体の最も長い辺を含む長方形の表面部として設定される。半導体レーザ素子15が初期位置および目的位置に位置したとき、すなわち、初期位置載置台16およびサブマウント12のいずれかの上に位置したときには、接合表面36は初期位置載置台16またはサブマウント12に臨み、かつ初期位置載置台16またはサブマウント12に接触する。
【0045】
半導体レーザ素子15の接合表面36を成す長方形のうち短辺が伸びる方向を「幅方向」と称すると、半導体レーザ素子15の幅方向の幅寸法は、110μm〜170μmに設定される。第1実施形態において半導体レーザ素子15の幅寸法は、110μmに設定される。半導体レーザ素子15に関して、幅方向中央に位置し、幅方向に垂直な仮想一平面を想定する。
【0046】
第1実施形態において取扱われる半導体レーザ素子15は、少なくともその外形および大きさが予め定められ、吸着部17の接触領域24は、取扱われる半導体レーザ素子15の形状および大きさに対応して、予め定められる。具体的には半導体レーザ素子15の被吸着面22は、接合表面36と同じ形状および大きさの長方形に形成される。半導体レーザ素子15に関して、被吸着面22と接合表面36とに垂直な方向を「垂直方向」Zとすると、半導体レーザ素子15の垂直方向Zの高さ寸法は、85μmに設定される。
【0047】
吸着部17の吸着面21は、被吸着面22よりも大きい長方形に形成され、吸着面21内の中央に、接触領域24が形成される。接触領域24は、被吸着面22と同様に、2mm×110μmの長方形に形成される。吸着面21は、その長辺方向においても短辺方向においても、接触領域24よりも50μm以上大きい寸法に設定される。接触領域24は、吸着面21内で中央に位置するので、接触領域24の周囲には、吸着面21のうち、少なくとも25μmの幅の領域が形成される。
【0048】
初期位置載置台16上に半導体レーザ素子15を載置し、半導体レーザ素子15に吸着部17を接触させることを、複数回繰返すときに、半導体レーザ素子15が接触する吸着面21上の接触位置を、高い精度で位置決めすることは、高い精度が求められれば求められるほど、技術的に実現が困難になる。特に、半導体レーザ素子15が接触する吸着面21上の接触位置を、30μm以下に抑制することは、技術的に難しい。したがって、半導体レーザ素子15が接触する可能性のある吸着面21上の領域の寸法は、長辺方向にも短辺方向にも、接触領域24よりも30μm以上大きくなる。本実施形態において吸着面21の寸法は、接触領域24よりも、長辺方向にも短辺方向にも50μm以上大きく設定されるので、半導体レーザ素子15が接触する可能性のある領域よりもさらに10μm以上大きく設定される。
【0049】
吸着面21に接触する半導体レーザ素子15の位置は、吸着面21の面方向に15μmまではずれる可能性があることを考慮し、複数の貫通孔26の開口は、予め定める接触領域24の周縁から、面方向のいずれの方向にも15μm以上内側に形成されることが好ましい。これによって、吸着面21の接触領域24に形成される複数の貫通孔26は、半導体レーザ素子15の接触する位置が、予め定められる接触領域24から吸着面21の面方向のいずれの方向にずれても、そのずれ量が15μ以下であれば複数の貫通孔26が全て塞がれる位置に形成される。
【0050】
これによって、半導体レーザ素子15と吸着部17との位置決め精度を、技術的に困難な程、高い精度にすることなく、吸着面21内に半導体レーザ素子15の被接触面を接触させることができる。吸着部17の長辺方向の寸法と、半導体レーザ素子15の長い辺の長さとの差、および吸着部17の短辺方向の寸法と半導体レーザ素子15の幅寸法との差はあまり大きいとコレット重量増を招くことから、移載装置10の大形化を防ぐためには、前記寸法の差は、いずれも100μm以下に設定されることが好ましい。吸着面21に関して、吸着面21内の短辺方向中央に位置し、短辺方向に垂直かつ吸着面21に平行な仮想直線28を想定する。
【0051】
吸着部17は、タングステン−炭素−コバルト(略号「WC−Co」)系合金で形成されており、移載装置10によって半導体レーザ素子15の移載を繰返し行っても、吸着部17が磨耗することを防止し、吸着部17から粉塵が生じることを防止する。また吸着部17が温度変化に伴って変形することを防止し、接触領域24と被吸着面22との間で圧力が局在化することを防止する。
【0052】
吸着部17は、中空の形状に形成され、吸着部17には、およそ直方体の内部空間33が形成される。吸着部17は、吸着面21とは反対側において接続管32に接続され、吸着部17の内部空間33と接続管32の管路とは、1つの孔によって連通される。吸着部17の接触領域24には、複数の貫通孔26が形成されており、複数の貫通孔26は、吸着部17の外部空間と内部空間33とを連通する。
【0053】
接触領域24の中央を通り、接触領域24に垂直な仮想的な直線を「中心線」38と称すると、吸着部17に接続される接続管32の端部は、吸着部17の中心線38上に配置される。中心線38は、吸着面21の長辺方向および短辺方向に対して垂直である。吸着面21の形状は、仮想直線28を境に、対称に形成される。図2には、複数の貫通孔26が、吸着面21の短辺方向に2つ並び、長辺方向には3つ以上並んで形成される場合の吸着部17を図示する。吸着部17は、吸着部17の仮想直線28が、半導体レーザ素子15に関する仮想一平面内に位置する位置で半導体レーザ素子15を吸引吸着する。
【0054】
図3は、吸着部17に吸着保持された半導体レーザ素子15に外力F1が付与されたときの、外力F1の分力を表す側面図である。図3(a)には、半導体レーザ素子15に対して、被吸着面22の長辺の方向に平行に外力F1が付与された場合を図示しており、図3(b)には、半導体レーザ素子15に対して、幅方向に平行に外力F1が付与された場合を図示している。図3(a)および(b)には、半導体レーザ素子15および吸着部17を、外力に垂直かつ被吸着面22に平行な向きに見て図示しており、外力F1が押圧力として作用するとき、この外力の作用点39と、この作用点39から最も遠い位置の被吸着面22の端とを結ぶ線を、補助線40として記載している。
【0055】
半導体レーザ素子15に付与された外力F1は、補助線40に沿って半導体レーザ素子15を吸着部17に押し上げる第1分力F2と、補助線40に垂直な向きに、半導体レーザ素子15を押し下げる第2分力F3とに分けられる。吸着部17は半導体レーザ素子15を、吸着保持しているので、被吸着面22と接触領域24との間には摩擦力が生じ、第1分力はこの摩擦力によって反力を受けるので、半導体レーザ素子15が吸着部17に対して、吸着面21に平行な向きにずれることは、阻止される。これによって、作用点39から最も遠い位置の被吸着面22の端は、第2分力F3が作用するときの支点42となる。第2分力F3は、支点42を中心として半導体レーザ素子15を角変位させる力として作用する。
【0056】
被吸着面22の長辺に平行な外力F1が付与される図3(a)の場合と、被吸着面22の幅方向に平行な外力F1が付与される図3(b)の場合とを、付与された外力F1の大きさを同じとして比較すると、図3(b)に示す場合の方が、半導体レーザ素子15に対して大きな第2分力F3が作用することが分かる。したがって、被吸着面22が長方形として形成され、吸着部17に被吸着面22で吸着された半導体レーザ素子15は、長辺の方向に付与される外力F1には、比較的安定であり、幅方向に付与される外力F1には、比較的不安定である。
【0057】
たとえば変位駆動部18が吸着部17および半導体レーザ素子15を変位駆動するときに、半導体レーザ素子15に加速度が生じると、半導体レーザ素子15には、その慣性力によって力が付与される。そのような場合に、半導体レーザ素子15を幅方向に安定化することは、長辺の方向に安定化することよりも、さらに重要となる。したがって、本実施形態では、吸着部17の仮想直線28および半導体レーザ素子15の仮想一平面に関して、複数の貫通孔26および半導体レーザ素子15の外形を対称に形成することによって、半導体レーザ素子15を幅方向に安定化させる。
【0058】
吸着部17に形成される貫通孔26の、吸着面21上における開口面積は、接触領域24の面積に対して予め定められる。開口面積の、接触領域24の面積に対する割合は、大きければ大きいほど、半導体レーザ素子15を強く安定して吸引吸着することができるけれども、接触領域24のうち、貫通孔26を除く残余の領域の面積が減少し、接触領域24から半導体レーザ素子15の被吸着面22に付与される圧力が局在化する。
【0059】
図4は、接触領域24の面積に対する開口面積の割合を変更したときの、吸着保持の失敗確率を表す図である。図4において横軸は、接触領域24の面積に対する開口面積の割合を百分率で示しており、縦軸は、吸着ミスが発生して吸着保持が安定に行われない場合の確率を、百分率で示している。開口面積の、接触領域24の面積に対する割合は、小さければ小さいほど、接触領域24のうち、貫通孔26を除く残余の領域の面積が確保され、前記残余の領域から半導体レーザ素子15の被吸着面22に付与される圧力を分散することができるけれども、半導体レーザ素子15を吸引吸着する力が小さくなり、吸着保持した状態における半導体レーザ素子15を安定化することができない。これらのことから、接触領域24の面積に対する貫通孔26の開口面積の割合は、20%以上40%以下とすることが好ましい。
【0060】
これによって、半導体レーザ素子15を安定して吸着保持することと、接触領域24のうちの貫通孔26を除く領域を広く確保し、吸着部17の接触領域24と半導体レーザ素子15の被吸着面22との間に生じる圧力を抑制することとの両方を実現することができる。図4にも示すように、開口面積の割合を20%以上とすると、吸着部17による半導体レーザ素子15の吸着が、移載の途中で解除されてしまう失敗の可能性を、ほとんど排除することができる。
【0061】
移載装置10は、さらに吸着部17の位置または変位量を検出する変位検出部と、変位検出部からの出力に基づいて変位駆動部18を制御する変位制御部とを含んで構成される。変位駆動部18は、たとえば駆動源としてステッピングモータを有し、変位検出部は、たとえばエンコーダによって実現される。初期位置および目的位置に半導体レーザ素子15を位置させるための位置決めも、変位制御部、および変位制御部によって制御される変位駆動部18によって行われる。
【0062】
図5は、本発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の移載方法における工程を表すフローチャートである。図6は、本発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の移載方法の各工程を表す側面図である。半導体レーザ素子の移載方法は、前記半導体レーザ素子の移載装置10を用いて行われ、接触工程と、吸引工程と、変位駆動工程と、吸引解除工程とを含んで構成される。
【0063】
接触工程では、変位駆動部18の駆動によって、初期位置載置面19に載置された半導体レーザ素子15の被吸着面22に接触領域24を接触させる。吸引工程では、真空ポンプによって、貫通孔26内の流体を吸引する。変位駆動工程では、変位駆動部18の駆動によって吸着部17を目的位置に変位駆動する。吸引解除工程では、真空ポンプによる貫通孔26内の流体の吸引を解除する。
【0064】
本処理開始後、ステップa1の半導体素子載置工程に移行し、半導体レーザ素子15を、初期位置載置台16の初期位置載置面19上に載置する。これは、図示外の、半導体レーザ素子15を供給する供給部によって行われ、初期位置載置面19上において、半導体レーザ素子15の位置は、予め定める位置に位置決めされた状態で載置される。この位置が、半導体レーザ素子15の初期位置である。次にステップa2の接触工程に移行し、吸着部17の接触領域24を被吸着面22に接触させる。具体的には、接触領域24のうち、貫通孔26が開口している領域を除く残余の領域を、被吸着面22に接触させる。これは、変位駆動部18が接続管32および吸着部17を変位駆動することによって行われる。図6(a)には、接触工程の途中段階における吸着部17、半導体レーザ素子15および初期位置載置台16の側面図を示している。
【0065】
次にステップa3の吸引工程に移行し、真空ポンプからの陰圧を、吸着部17の貫通孔26に伝達し、吸着部17の吸着面21の接触領域24で半導体レーザ素子15を吸引吸着する。次にステップa4の変位駆動工程に移行し、変位駆動部18によって、接続管32および吸着部17を変位駆動させる。これによって、半導体レーザ素子15は、吸着部17に吸着保持された状態で搬送され、目的位置にまで変位駆動される。図6(b)には、変位駆動工程が開始された直後の吸着部17、半導体レーザ素子15および初期位置載置台16の側面図を示している。図6(c)には、変位駆動工程が終了する直前の吸着部17、半導体レーザ素子15および初期位置載置台16の側面図を示している。
【0066】
次にステップa5の停止工程に移行し、変位駆動部18は、半導体レーザ素子15が目的位置に到着した状態で、接続管32および吸着部17を停止し、これによって半導体レーザ素子15は停止する。このときの半導体レーザ素子15の位置は、予め定める位置に位置決めされた状態で停止される。図6(d)には、停止工程終了後の吸着部17、半導体レーザ素子15および初期位置載置台16の側面図を示している。
【0067】
次にステップa6の吸引解除工程に移行し、真空ポンプから貫通孔26への陰圧の伝達を遮断し、貫通孔26内に大気圧またはそれ以上の圧力の気体を供給することによって、吸着部17による半導体レーザ素子15の吸着保持を解除する。この工程における陰圧の伝達の遮断および気体の供給の切換えは、たとえば電磁弁などを用いて行うことができる。その後、本処理は終了する。図6(e)には、本処理が終了した後の吸着部17、半導体レーザ素子15および初期位置載置台16の側面図を示している。
【0068】
半導体レーザ素子15をサブマウント12に対して接合するときには、移載装置10を備え、さらに終点位置載置台13と、加熱部14とを備える接合装置11を用いる。終点位置載置台13には、サブマウント12が載置される。サブマウント12は、終点位置載置台13に載置された状態で、目的位置に到達した半導体レーザ素子15と接合される。加熱部14は、終点位置載置台13に載置されたサブマウント12を加熱することによって、サブマウント12の温度を上昇させる。
【0069】
接合装置11は、さらに温度検出部と温度制御部とを含んで構成される。温度検出部は、サブマウント12の温度を検出し、温度制御部は、温度検出部からの出力に基づいて、加熱部14を制御する。温度制御部は、たとえば中央演算処理装置(central processing unit, 略称「CPU」)などによって実現され、前述した変位制御部と同一のハードウェアによって実現することも可能である。温度検出部は、サブマウント12の温度を検出するのではなく、終点位置載置台13の温度を検出することによって、サブマウント12の温度を予測する構成とすることも可能である。
【0070】
半導体レーザ素子の接合方法は、半導体レーザ素子の移載方法に類似し、さらにサブマウント載置工程と、加熱工程とを含む。サブマウント載置工程および加熱工程は、図5のフローチャートにおけるステップa5の停止工程よりも前までに行われるならば、足りる。サブマウント載置工程では、図示外のサブマウント12を供給するサブマウント供給部によって終点位置載置台13にサブマウント12を載置する。加熱工程では、サブマウント12を加熱することによって、サブマウント12の温度を予め定める温度にする。サブマウント12の予め定める温度は、サブマウント12のダイボンド表面部34が融解する温度に設定され、本実施形態では、摂氏300度に設定される。
【0071】
ステップa5の停止工程では、ダイボンド表面部34が融解した状態で、吸着部17は、半導体レーザ素子15をダイボンド表面部34に押付ける。その後、加熱部14によるサブマウント12の加熱を停止し、サブマウント12の温度を予め定める温度よりも下げる。具体的には、ダイボンド表面部34が融解する温度よりも低くする。サブマウント12が置かれる環境温度は、ダイボンド表面部34が融解する温度よりも低く、加熱部14によるサブマウント12の加熱を停止することによって、サブマウント12の温度は、下降し始める。
【0072】
半導体レーザ素子15がダイボンド表面部34に押付けられる時間は、たとえば数百ミリ秒である。第1実施形態において半導体レーザ素子の接合方法は、停止工程の後、さらに冷却工程を有し、冷却工程において、サブマウント12の温度を低下させる。冷却工程では、吸着部17の貫通孔26を介して気体を半導体レーザ素子15に吹付けることによって、半導体レーザ素子15およびサブマウント12の温度を下げる。加熱部14によるサブマウント12の加熱を停止し、サブマウント12の温度を下降させる冷却工程は、図5におけるステップa6の吸引解除工程の直後に行う。その後、本処理は終了する。
【0073】
図7は、本発明の第1実施形態における吸着部17の移動範囲45と、サブマウント12用の移載装置10の移動範囲46とを表す図である。図8は、本発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の接合方法を含む処理全体の工程を表すフローチャートである。本処理開始からステップb6吸引解除工程までは、図5のフローチャートに示したステップa6の吸引解除工程までと同じである。その後、ステップb7の、冷却工程に移行し、前述したように半導体レーザ素子15およびサブマウント12の冷却が行われる。
【0074】
次に、ステップb8の接合体搬出工程に移行し、半導体レーザ素子15とサブマウント12を接合することによって形成した接合体41を、搬出する。これは、サブマウント12を吸引吸着するサブマウント用コレット44で、接合体41を吸着保持し、サブマウント用コレット44を変位駆動することによって、接合体41を搬出する。次に、ステップb9の後処理工程に移行する。後処理工程では、サブマウント12と接合されるステムと呼ばれる部材に、接合体41を接合する段階などを含み、半導体レーザ素子15のマウントおよび実装が行われる。
【0075】
図7に示すように、吸着部17が変位駆動部18によって駆動される範囲45と、サブマウント用コレット44が変位駆動される範囲46とは、終点位置載置台13において重なる。サブマウント用コレット44による吸着保持およびサブマウント用コレット44の変位駆動によって、終点位置で接合が行われた接合体41を、終点位置からさらに移動させる。これによって、前述したように接合体搬出工程が行われ、その後、後処理工程が行われる。
【0076】
図9は、本発明の第1実施形態において接合された半導体レーザ素子15のエージング試験の結果を表す図である。図10は、比較例において接合された半導体レーザ素子15のエージング試験の結果を表す図である。図9および図10に結果が示されるエージング試験では、パルス幅を30nsとし、試験のための駆動の全体時間中におけるオン状態の時間的割合であるデューティー比率を33%とし、パルスに応じて出射される光の光強度を300mWとして試験を行った。
【0077】
図9および図10における横軸は、エージング時間を、時間(hour)を単位として表している。縦軸は、パルスに応じて出射される光の光強度を300mWに調整して維持するときに必要であった駆動電流(Iop)を表している。図9および図10に結果として示される複数の曲線は、接合されてエージング試験が行われた、互いに独立した複数の標本の結果を表している。
【0078】
第1実施形態における図9に示される結果と、比較例における図10に示される結果とを比較すると、第1実施形態において接合された半導体レーザ素子15では、比較例において接合された半導体レーザ素子に比べて、出射される光強度を一定に維持するときの駆動電流の変動が小さいことが分かる。このように、本実施形態における接合装置を用いる移載方法および接合方法によって、安定して稼動させることのできる半導体レーザ素子を作製することができる。
【0079】
第1実施形態によれば、吸着面21の形状および大きさは、被吸着面22の形状および大きさを含む形状および大きさに設定される。これによって、吸着部17は、貫通孔26周囲の接触領域24によって、従来技術に係る装置よりも広い領域で半導体レーザ素子15に接触し、吸引吸着することができる。したがって、吸着部17は、面接触した状態で半導体レーザ素子15を吸着保持することができる。これによって、吸着部17に半導体レーザ素子15が吸着保持された状態で、半導体レーザ素子15が吸着部17に対して角変位して傾くことを防止することができる。したがって、吸着部17の位置、半導体レーザ素子15の重心の位置とにずれが生じても、被吸着面22と接触領域24との間を流体が移動することを阻止することができる。したがって、高い位置決め精度を必要とせず、ずれ量を許容することができる。
【0080】
また吸着面21の形状および大きさが被吸着面22の形状および大きさを含まない場合に比べて、接触領域24と被吸着面22との間に生じる圧力を広い範囲に分散することができ、吸着部17と半導体レーザ素子15との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部17からの押圧力によって半導体レーザ素子15に破損が生じることを防止することができる。
【0081】
また第1実施形態によれば、半導体レーザ素子15の被吸着面22と、吸着部17の吸着面21とは、いずれも平面状に形成される。これによって、位置決めを高い精度で行うことなく、吸着面21と被吸着面22とを面接触させることができる。
【0082】
また第1実施形態によれば、吸着部17は、タングステン−炭素−コバルト系合金で形成される。これによって、半導体レーザ素子15の搬送が繰返されても、吸着部17が磨耗することを防止すすることができる。
【0083】
また第1実施形態によれば、貫通孔26は、複数形成される。これによって、半導体レーザ素子15を複数の位置で吸引吸着することができるので、形成される貫通孔26が1つである場合に比べて、半導体レーザ素子15に対する吸着部17の位置決め精度が低くても、半導体レーザ素子15を吸着保持することができる。したがって、半導体レーザ素子15をバランスよく吸着保持することができる。したがって、搬送の途中で半導体レーザ素子15の吸着が解除されることを防止することができ、半導体レーザ素子15が搬送が落下することを防止することができる。また半導体レーザ素子15の吸着保持に必要な陰圧を、複数の吸着孔に分散することができるので、陰圧が半導体レーザ素子15に局所的に作用することを防止することができる。これによって、半導体レーザ素子15が吸引吸着のための陰圧によって破損することを防止することができる。
【0084】
また第1実施形態によれば、接触領域24において開口する貫通孔26の開口面積は、接触領域24の面積の20%以上40%以下の範囲内に設定される。これによって、安定に半導体レーザ素子15を搬送することができる。開口面積は接触領域24の面積の20%以上であるので、20%以下である場合に比べて、搬送の途中で半導体レーザ素子15の吸着が解除されることを防止することができる。また開口面積は接触領域24の面積の40%以下であるので、40%以上である場合に比べて、半導体レーザ素子15が吸着保持のための陰圧によって破損することを防止することができる。
【0085】
また第1実施形態によれば、被吸着面22は長手方向を有する長手形状に形成される。半導体レーザ素子15の外形は、長手方向に延びる直線を含む仮想一平面に関して面対称に形成される。接触領域24は、接触領域24に含まれる仮想直線28に関して対称な形状に、かつ仮想直線28の方向に長い形状に形成される。貫通孔26の開口は、仮想直線28に関して対称に形成される。
【0086】
これによって、仮想一平面よりも一方側の被吸着面22に、仮想直線28よりも一方側の接触領域24を接触させ、仮想一平面よりも他方側の被吸着面22に、仮想直線28よりも他方側の接触領域24を接触させて、半導体レーザ素子15を吸着保持することができる。また仮想一平面よりも一方側の被吸着面22に対する吸引力と、仮想一平面よりも他方側の被吸着面22に対する吸引力とを、等しくすることができる。
【0087】
吸着部17に吸着保持された状態における半導体レーザ素子15に対して、被吸着面22の長手方向の外力が付与される場合と、被吸着面22に平行かつ被吸着面22の長手方向に対して垂直な幅方向の外力が付与される場合とを比較すると、幅方向の外力が付与される場合の方が、被吸着面22と接触領域24とを離す向きの分力が大きくなるので、幅方向のバランスを保つことの方が、長手方向のバランスを保つことよりも重要となる。したがって、仮想一平面よりも一方側の被吸着面22に対する吸引力と、仮想一平面よりも他方側の被吸着面22に対する吸引力とを等しくすることで、半導体レーザ素子15をバランスよく吸着保持することができる。
【0088】
また第1実施形態によれば、吸着部17は、直方体の形状に形成される。これによって、吸着部17が球形や三角形など、直方体以外の形状に形成される場合に比べて、吸着部17の形成を容易にすることができる。
【0089】
また第1実施形態によれば、吸着面21の外形を成す周縁と、接触領域24の外形を成す周縁との間の距離は、いずれの部分においても25μm以上に設定される。これによって、吸着面21の外形を成す周縁と、接触領域24の外形を成す周縁との間の距離が、25μm未満に設定される部分が形成される場合に比べて、搬送の途中で半導体レーザ素子15の吸着が解除されることを防止することができる。また吸着部17と半導体レーザ素子15との位置決めに伴うずれ量が25μmよりも小さく程度に位置決め精度を高くすることは、難しいので、いずれの部分においても、吸着面21の外形を成す周縁と接触領域24の外形を成す周縁との間の距離を25μm以上に設定することによって、位置決め精度を高くすることなく、半導体レーザ素子15を吸着保持することができる。これによって、半導体レーザ素子15が落下することを防止することができる。
【0090】
また第1実施形態によれば、半導体レーザ素子の接合装置11は、半導体レーザ素子の移載装置10を備え、さらに終点位置載置台13と、加熱部14とを備える。終点位置載置台13には、サブマウント12が載置され、サブマウント12は、目的位置に到達した半導体レーザ素子15と接合される。加熱部14は、終点位置載置台13に載置されたサブマウント12を加熱することによって、サブマウント12の温度を上昇させる。
【0091】
これによって、半導体レーザ素子15をサブマウント12に接合するときに、吸着部17は、貫通孔26周囲の接触領域24によって半導体レーザ素子15を吸引吸着した状態で、半導体レーザ素子15をサブマウント12に押付けることができる。したがって、従来技術に係る手法よりも、吸着部17と半導体レーザ素子15との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部17からの押圧力によって半導体レーザ素子15およびサブマウント12に破損が生じることを防止することができる。
【0092】
また第1実施形態に係る半導体レーザ素子の移載方法によれば、接触工程では、変位駆動部18の駆動によって、初期位置載置面19に載置された半導体レーザ素子15の被吸着面22に接触領域24を接触させる。吸引工程では、真空ポンプによって、貫通孔26内の流体を吸引する。変位駆動工程では、変位駆動部18の駆動によって吸着部17を目的位置に変位駆動する。吸引解除工程では、真空ポンプによる貫通孔26内の流体の吸引を解除する。
【0093】
これによって、吸着部17は、貫通孔26周囲の接触領域24によって、従来技術に係る装置を用いる手法よりも広い領域で半導体レーザ素子15に接触し、吸引吸着することができる。したがって、吸着部17は、面接触した状態で半導体レーザ素子15を吸着保持することができる。これによって、吸着部17に半導体レーザ素子15が吸着保持された状態で、半導体レーザ素子15が吸着部17に対して角変位して傾くことを防止することができる。したがって、吸着部17の位置、半導体レーザ素子15の重心の位置とにずれが生じても、被吸着面22と接触領域24との間を流体が移動することを阻止することができる。したがって、高い位置決め精度を必要とせず、ずれ量を許容することができる。
【0094】
また吸着面21の形状および大きさが被吸着面22の形状および大きさを含まない場合に比べて、接触領域24と被吸着面22との間に生じる圧力を広い範囲に分散することができ、吸着部17と半導体レーザ素子15との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部17からの押圧力によって半導体レーザ素子15に破損が生じることを防止することができる。
【0095】
また第1実施形態に係る半導体レーザ素子の接合方法によれば、半導体レーザ素子15をサブマウント12に接合するときに、吸着部17は、貫通孔26周囲の接触領域24によって半導体レーザ素子15を吸引吸着した状態で、半導体レーザ素子15をサブマウント12に押付けることができる。したがって、従来技術に係る手法よりも、吸着部17と半導体レーザ素子15との間で局所的に圧力が生じることを防止することができる。これによって、吸着部17からの押圧力によって半導体レーザ素子15およびサブマウント12に破損が生じることを防止しながら、半導体レーザ素子15をサブマウント12に接合することができる。
【0096】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態における吸着部17の側面図および底面図である。第2実施形態に係る移載装置10および接合装置11は、第1実施形態に係る移載装置10および接合装置11に類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。第2実施形態において、吸着部17は、四角錐の形状に形成され、吸着部17の内部には、内部空間33が形成される。内部空間33は、接続管32の管路に連通される。貫通孔26は、吸着部17の内部空間33と外部空間とを連通する。
【0097】
第2実施形態に係る半導体レーザ素子の移載装置10は、接続管32を備える。接続管32には、管路が形成され、吸着部17と真空ポンプとを接続する。管路は、真空ポンプによって吸引される流体が移動する。内部空間33が形成される吸着部17には、吸着面21の接触領域24に形成される複数の貫通孔26と、接続管32の管路に連通する連通孔47とが形成され、連通孔47は、1つ形成される。貫通孔26および連通孔47を除く残余の部分は、気密に形成されるので、貫通孔26がいずれも塞がれた状態で、連通孔47を介して吸着部17内の内部空間33の流体が吸引されれば、内部空間33内の圧力は低下する。本実施形態において内部空間33および管路内の流体は、気体である。
【0098】
真空ポンプからの陰圧が吸着部17の内部空間33に伝えられるときには、内部空間33内の気体が真空ポンプ側に移動することによって、内部空間33内の圧力が低下する。したがって、吸着部17内の内部空間33は、真空ポンプからの陰圧が伝えられる領域内において、デッドボリュームの一部を形成する。内部空間33の体積、すなわち吸着部17の容積は、小さければ小さいほど、内部空間33から真空ポンプ側に移動する流体が少なくても、内部空間33内の圧力は、速く低下する。吸着部17の吸着面21は、予め定められる半導体レーザ素子15の被吸着面22の大きさに応じて設定され、四角の形状に形成される。吸着部17のうち連通孔47が位置する位置は、吸着面21に垂直な中心線38を含む位置に配置される。
【0099】
第2実施形態における吸着部17は、たとえば第1実施形態における吸着部17のような直方体には形成されず、大略的に四角錐の形状に形成される。これによって、直方体の形状に形成される場合に比べて、同じ吸着面21の大きさで、かつ吸着部17の容積を低減することが可能となる。
【0100】
第2実施形態によれば、吸着部17は、四角錐の形状に形成される。これによって、吸着部17の内部に内部空間33が形成されるときには、吸着部17が直方体に形成される場合に比べて、デッドボリュームを小さくすることができる。吸着部17を直方体の形状に形成するよりも四角錐の形状に形成する方が、デッドボリュームを小さくすることができるので、デッドボリュームが大きい場合に比べて、真空ポンプによる流体の吸引および吸引の解除に対して、半導体レーザ素子15の吸引吸着および吸着の解除の応答速度を速くすることができる。
【0101】
(第3実施形態)
図12は、本発明の第3実施形態における吸着部17の側面図である。第3実施形態に係る移載装置10および接合装置11は、第2実施形態に係る移載装置10および接合装置11に類似しており、以下、第2実施形態に対する第3実施形態の相違点を中心に説明する。第3実施形態において、吸着部17の貫通孔48は、接続管32に形成される管路に向けて直線的に形成される。第3実施形態において吸着部17には、内部空間33は形成されず、吸着面21の接触領域24に開口する複数の貫通孔48が、接続管32の管路にそれぞれ直接接続される。これによって、吸着部17内に内部空間33を形成する場合よりもさらにデッドボリュームを小さくすることができる。
【0102】
第3実施形態によれば、貫通孔48は、接続管32に形成される管路に向けて直線的に形成される。これによって、貫通孔48の流路断面積を予め定める場合、貫通孔48内の体積を可及的に小さくすることができる。したがって、デッドボリュームを可及的に小さくすることができる。またこれによって、貫通孔48による圧力損失を可及的に小さくすることができる。したがって、真空ポンプの吸引力が被吸着面22にまで伝達される速さを、速くすることができる。
【0103】
(変形例)
第1実施形態において吸着部17は、大略的に直方体の形状に形成され、第2および第3実施形態において吸着部17は、大略的に四角錐の形状に形成されるものとしたけれども、これらの形状に限定するものではない。他の実施形態において吸着部は、吸着面に垂直な垂直方向Zに見て、たとえば楕円の形状に形成されてもよい。
【0104】
第1〜第3実施形態において吸着面21および接触領域24は、長方形の形状に形成されるものとしたけれども、吸着面21および接触領域24の形状は、これらの形状に限定するものではない。他の実施形態において吸着面の形状は、たとえば円形であってもよく、楕円の形状に形成されてもよい。また接触領域24の形状は、予め定める半導体レーザ素子の被吸着面の形状に応じて設定されれば、足りる。たとえば半導体レーザ素子の被吸着面の形状が、長方形の一部が切欠かれた形状に形成されるならば、接触領域24の形状は、被吸着面の形状に応じて設定される。
【0105】
第1〜第3実施形態において吸着部17は、WC−Co系合金で形成されるものとしたけれども、吸着部17は、耐摩耗性を有して形成されれば、足りる。他の実施形態において吸着部は、たとえばWC−Co系合金以外の金属から形成されていてもよい。
【0106】
第3実施形態において貫通孔48は、接続管32に形成される管路に向けて直線的に形成されるものとした。他の実施形態において貫通孔は、たとえば吸着部に形成され接続管の管路に接続される1つの連通孔に向けて直線的に形成することも可能である。または途中で屈曲した形状に、貫通孔を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態における半導体レーザ素子の移載装置10の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における吸着部17の底面図である。
【図3】吸着部17に吸着保持された半導体レーザ素子15に外力F1が付与されたときの、外力F1の分力を表す側面図である。
【図4】接触領域24の面積に対する開口面積の割合を変更したときの、吸着保持の失敗確率を表すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の移載方法における工程を表すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の移載方法の各工程を表す側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態における半導体レーザ素子の移載装置10の移動範囲45と、サブマウント12用の移載装置10の移動範囲46とを表す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る半導体レーザ素子の接合方法を含む処理全体の工程を表すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態において接合された半導体レーザ素子15のエージング試験の結果を表すグラフである。
【図10】比較例において接合された半導体レーザ素子15のエージング試験の結果を表すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態における吸着部17の側面図および底面図である。
【図12】本発明の第3実施形態における吸着部17の側面図である。
【図13】従来技術に係る接合装置の吸着コレットの側面図および底面図である。
【符号の説明】
【0108】
10 半導体レーザ素子の移載装置
11 半導体レーザ素子の接合装置
12 サブマウント
13 終点位置載置台
14 加熱部
15 半導体レーザ素子
16 初期位置載置台
17 吸着部
18 変位駆動部
19 初期位置載置面
21 吸着面
22 被吸着面
24 接触領域
26,48 貫通孔
28 仮想直線
32 接続管
33 内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ素子を載置するための初期位置載置面が形成される初期位置載置台と、
前記初期位置載置面に臨んで前記初期位置載置面に近接および離反可能に設けられる吸着部であって、
前記初期位置載置面に載置される予め定められる半導体レーザ素子に接触するための吸着面が形成され、
前記吸着面の形状および大きさが、前記初期位置載置面上に載置された半導体レーザ素子の、前記初期位置載置面に臨む表面とは反対側の被吸着面の形状および大きさを含む形状および大きさに設定され、
前記初期位置載置面上に載置された前記半導体レーザ素子の前記被吸着面に対応する、前記吸着面内の接触領域に、開口して貫通孔が形成され、
前記貫通孔内の流体を吸引する真空ポンプに接続される吸着部と、
前記吸着部を前記初期位置載置面に近接および離反させるとともに、前記吸着部を目的位置にまで変位駆動する変位駆動部とを含むことを特徴とする半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項2】
前記半導体レーザ素子の前記被吸着面と、前記吸着部の前記吸着面とは、いずれも平面状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項3】
前記吸着部、タングステン−炭素−コバルト系合金で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項4】
前記貫通孔は、複数形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項5】
前記接触領域において開口する前記貫通孔の開口面積は、前記接触領域の面積の20%以上40%以下の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項6】
前記被吸着面は、長手方向を有する長手形状に形成され、
前記半導体レーザ素子の外形は、前記長手方向に延びる直線を含む仮想一平面に関して面対称に形成され、
前記接触領域は、前記接触領域に含まれる仮想直線に関して対称な形状に、かつ前記仮想直線の方向に長い形状に形成され、
前記貫通孔の前記開口は、前記仮想直線に関して対称に形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項7】
前記吸着部は、直方体の形状に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項8】
前記真空ポンプによって吸引される流体が移動する管路が形成され、前記吸着部と前記真空ポンプとを接続する接続管をさらに備え、
前記吸着部は、四角錐の形状に形成され、
前記吸着部の内部には、前記接続管の前記管路に連通される内部空間が形成され、
前記貫通孔は、前記内部空間と前記吸着部の外部空間とを連通することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項9】
前記真空ポンプによって吸引される流体が移動する管路が形成され、前記吸着部と前記真空ポンプとを接続する接続管をさらに備え、
各貫通孔は、前記接続管に形成される管路に向けて直線的に形成されることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項10】
前記吸着面の外形を成す周縁と、前記接触領域の外形を成す周縁との間の距離は、いずれの部分においても25μm以上に設定されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置を備え、
前記目的位置に到達した前記半導体レーザ素子と接合されるサブマウントが載置される終点位置載置台と、
前記終点位置載置台に載置されたサブマウントを加熱することによって、前記サブマウントの温度を上昇させる加熱部とをさらに備えることを特徴とする半導体レーザ素子の接合装置。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の半導体レーザ素子の移載装置を用い、
前記変位駆動部の駆動によって、前記初期位置載置面に載置された前記半導体レーザ素子の前記被吸着面に前記接触領域を接触させる接触工程と、
前記真空ポンプによって、前記貫通孔内の流体を吸引する吸引工程と、
前記変位駆動部の駆動によって前記吸着部を目的位置に変位駆動する変位駆動工程と、
前記真空ポンプによる前記貫通孔内の流体の吸引を解除する吸引解除工程とを含むことを特徴とする半導体レーザ素子の移載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−98269(P2010−98269A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270339(P2008−270339)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】