半導体光検出デバイスを作成する方法
【課題】 汚染物質に対する表面電界領域の露出を最少にし、キャップ領域に対する金属の位置合せを確実にして上部のメタライズされたコンタクト領域により遮られる入射光を最少にするように、太陽電池及び光検出器などの半導体光検出デバイスを作成する方法、並びにその方法によって作成される製品を提供すること。
【解決手段】 キャップエッチングステップ及び反射防止コーティングステップが単一の自己整合リソグラフィモジュールにおいて実施される、半導体光検出デバイス製造技術が提供される。
【解決手段】 キャップエッチングステップ及び反射防止コーティングステップが単一の自己整合リソグラフィモジュールにおいて実施される、半導体光検出デバイス製造技術が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び光検出器などの半導体光検出デバイスを作成する方法並びにその方法によって作成される製品に関する。本発明は、高出力太陽電池及び光検出器に対して特に有用である。より具体的には、本発明は、太陽電池、特に多接合太陽電池の上の反射防止コーティングをパターン付けして、最小損失でエピタキシャルコンタクト領域を収容する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出デバイスは、光(例えば太陽)エネルギーから電気エネルギーへの変換効率を低下させる構造部を有する。例えば、吸収された光(太陽)エネルギーの一部分は電極で電気エネルギーとして収集することができず、熱として放散されることになる。高出力デバイスの場合、放散熱はかなりの温度上昇をもたらすのでデバイスの性能をさらに低下させる可能性がある。半導体光検出デバイス、及び特に太陽電池デバイスの効率を改善することが望まれる。
【0003】
従来の多接合太陽電池は、地上及び宇宙用途に広く用いられている。多接合太陽電池は、通常、高出力太陽電池として考えられ、半導体基板上に薄いエピタキシ領域を積層状に成長させることによって実現される直列接続の複数のダイオード(別名、接合)を備える。積層内の各接合は、太陽スペクトルの異なる部分を吸収するように最適化され、それにより太陽エネルギーの変換効率が向上する。
【0004】
最先端の多接合太陽電池加工における典型的な製造ステップは、D.Danzilio他による非特許文献1に記載されており、以下のように要約される。以下のリストは基本的ステップのみを与えるものであり、付加的なプロセスステップを用いることができることに留意されたい。
1. エピタキシャル成長
2. メサのリソグラフィ及びエッチング
3. 金属グリッドのリソグラフィ堆積及びリフトオフ
4. キャップのリソグラフィ及びエッチング
5. 反射防止コーティング、堆積、パターン付け及びエッチング
6. 裏面金属堆積及びアニール
7. ダイシング
【0005】
従来技術では、上記のステップにおいて従来の半導体加工技術が用いられる。エピタキシャル成長とダイシングとの間のプロセスステップ(ステップ2からステップ6まで)は、従来的には、特定の順序に従う必要はない。従来技術のキャップのリソグラフィ及びエッチング並びに反射防止コーティングのステップが本発明に関連するものであり、背景技術の目的で、ここで検討する。
【0006】
キャップのエッチング
通常、エピタキシャル積層体内の上部領域(普通、キャップ領域又はキャップ層と呼ばれる)は、接触抵抗が低い良好な金属−半導体電気接触を助長するように高濃度ドープされた半導体領域である。キャップ領域は、複数の異種エピタキシャル領域を含むことができる。太陽電池製造において、キャップ領域はラインのグリッド(キャップグリッド)にパターン付けされ、それにより、後のメタライゼーションステップにおいて、対応する金属グリッドがキャップグリッドの上に堆積されるようになっている。パターン付け及びその後のキャップエッチングは、従来の半導体加工技術によって達成される。
【0007】
図1Aは、多接合太陽電池100によって代表される、典型的な(従来技術の)半導体ベースの光検出デバイスの略断面図を示す。デバイス全体が描かれているが、本発明による方法は、上部のみに実施され、半導体基板5の上に成長させた多接合エピタキシの上部領域であるキャップ領域3及び表面電界(FSF)領域4にのみ影響を及ぼす。図1Aに示す太陽電池100は、トンネル接合167及び178を通して接続された3つのサブセル(接合)106−108からなる。図1Aは、典型的な多接合太陽電池の単なる一例であること、及びそのような太陽電池は任意の数のサブセルを備えることができることを理解されたい。図1Bは、典型的な(従来技術の)多接合太陽電池の、本特許に関連する上部エピタキシャル領域のみを示す単純化された略図である。
【0008】
図1Aを参照すると、FSF領域4は、キャップエッチング後に太陽に面する窓領域となる。FSF領域4の下に、ダイオードを形成する上部p−n接合106のエミッタ領域102が存在する。同様の接合107及び108が上部p−n接合の下に配置され、このようにして多接合太陽電池が形成される。FSF領域4は、デバイスの性能に関する重要な機能を有する。例えば、多接合太陽電池は少数キャリア型デバイスであるので、上部接合106のエミッタ領域102内で光吸収により生成された少数キャリアは、ベース104で収集されるためには空乏領域103内に拡散しなければならない。エミッタ領域102内における表面再結合速度を低くすると、空乏領域103に達する少数キャリアの数が増加する。FSF領域4の機能は、それゆえに、表面領域102上のパシベーションの品質を向上させて、空乏領域103から離れる方向に拡散する少数キャリアを跳ね戻すことによって表面結合速度を低くすることである。
【0009】
FSF領域4は薄い(通常10nm乃至50nm)エピタキシャル領域である。エミッタ領域102内で生成されたキャリアの収集を向上させることに加えて、FSF領域4は通常、吸収領域である。FSF領域4内の光生成された少数キャリアは、エミッタ領域102を通して拡散し、収集されることになる上部接合106の空乏領域103に達する。従って、FSF4の上面14の保護が、FSF4内での少数キャリアの収集を向上させるために重要である。
【0010】
従来技術による製造中に、FSF領域4は、キャップエッチングステップの後のプロセスフローにおいて様々な条件に曝される。これらの条件は、それらに限定されないが、以下の条件を含み得る。
・ プロセス中に生じ得る様々な温度条件下での、FSF領域表面14の酸化を生じ得る、空気又は水に対する露出。
・ FSF領域表面14に侵入する金属粒子に対する露出。
・ FSF領域表面14における、残留物を残し表面を損傷する可能性のある、種々の化学薬品及びフォトレジストとの接触。
・ キャップエッチング後のプロセスステップにおいて種々の化学薬品を使用することによる、FSF領域4の部分的又は完全なエッチング。
【0011】
このような悪条件は、太陽電池の性能を実質的に低下させる。例えば、FSA領域4が露出している間に金属グリッド2が堆積されるプロセスフローにおいて、残留した銀又は他の金属がFSF領域4に衝突し、汚染し、浸透する可能性があり、内部のエピタキシャル領域45に伝搬して太陽電池の効率を低下させ、性能に影響を及ぼす可能性がある。従って、高出力半導体光検出構造体においては、ひとたび露出したときにFSF領域表面14を保護する強い必要性がある。
【0012】
後のフォトリソグラフィステップから生じる欠陥及び残留物に加えて、FSF領域4と直接に接触するグリッド金属によって問題が生じる。例えば、FSF4の露出中に金属グリッド2が堆積されるプロセスフローにおいて、銀/金属粒子が、露出したFSFに達し、FSFの下のp−n接合領域に伝搬して太陽電池を役に立たないものにする可能性がある。さらに、図2に示すように、リソグラフィの不正確さによるキャップグリッドパターン3に対する金属グリッドパターン2の位置合せ不良が、金属2とFSF4との間の直接接触を生じさせる可能性がある。FSF4上の金属の部分6が、高温プロセスステップ中に接合内部に至る金属突起を生じ、動作不能デバイスをもたらす可能性がある。このような金属関連の問題は、典型的には短絡電流−電圧(IV)特性として観測される。図3(従来技術)は、2つの異なる太陽電池のIV特性の比較を示す。IV曲線9は、位置合せ問題がない高性能太陽電池によるものであり、IV曲線8は、金属グリッドの位置合せ不良から生じた短絡電流−電圧特性を示す。従来技術においては、金属グリッドがFSFと接触することを防止するために、キャップグリッドの幅は典型的には、リソグラフィ位置合せ不良の許容差に合わせて、金属グリッドの幅よりも大きくなるように選択される。広いキャップ幅は遮蔽損失を増大させて引き出し得る電流を減らすことにより、太陽電池の性能に悪影響を及ぼす。従って、遮蔽損失を増大させずに、FSF表面と金属との接触を無くす必要性がある。
【0013】
反射防止コーティング
従来技術の多接合太陽電池の製造において、セルは、太陽光の反射を減らすために反射防止コーティング(ARC)1(図1)でコーティングされる。ARC1は、普通、誘電体薄膜の積層体であり、その屈折率は、太陽光の反射を所望の波長範囲にわたって最小にするように選択される。集合的ARC1領域は、太陽に面する、即ち、FSFを含む半導体の全表面を覆う必要がある。以前は、ARC堆積中に、通常、グリッド線もまた覆われた。しかし、母線上のARCは、ワイアボンディングを可能にするために開口する必要がある。このプロセスステップは、コンタクト開口と呼ばれ、通常、別個の付加的なフォトリソグラフィステップを用いて達成される。従来技術において、ARC堆積及びパターン付けは、異なる段階で実施することができるので、プロセスフロー内でこのステップを特定の順序で実施することの明確な要件はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】D.Danzilio他著「Overview of EMCORE’s Multi−junction Solar Cell Technology and High Volume Manufacturing Capabilities」、CS MANTECH Conference、米国テキサス州オースチン、2007年5月14日−17日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術の課題の要約と性能改善の可能性
従来技術のキャップエッチング及び反射防止コーティングのステップに関連する課題をここで要約する。高性能多接合太陽電池及び他の半導体光検出デバイスを作成するためには、ここで列挙する課題に対処することが必要である。
1. FSF表面を、後のプロセスステップの間に汚染及び酸化から保護すること。
2. FSFを金属グリッドから、高濃度ドープコンタクト領域を通じる以外には、電気的に分離すること。
3. 遮蔽による電流損失を最小にするための、グリッド線近傍の余分なキャップの排除。
4. プロセスを堅牢にし、費用効率を高くするようにリソグラフィのステップ数を最少にすること。
5. 位置合せ不良を許容するグリッドメタライゼーション。
6. ARC堆積に続くコンタクト開口ステップにおける精密なリソグラフィ位置合せによって、コンタクトパッド領域からARCを除去できるようにすること。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明により、半導体光検出デバイスを作成するための、キャップエッチングステップ及び反射防止コーティングステップが単一の自己整合リソグラフィモジュールを用いて実施される方法が提供される。具体的には、これらのステップは、汚染物質に対する表面電界領域の露出を最少にし、キャップ領域に対する金属の位置合せを確実にして上部のメタライズされたコンタクト領域により遮られる入射光を最少にするように実施される。半導体光検出デバイスのエピタキシを組み込んだ準備された基板上のキャップのエッチングパターンで、フォトレジストがパターン付けされる。次に、キャップ領域がエッチングされ、フォトレジストを除去せずに反射防止コーティング(ARC)が堆積される。最後にフォトレジストが除去され、それにより、画定されたキャップ領域の上のARCがリフトオフされる。本発明は、特に、高効率太陽電池などの高出力光検出デバイスの製造に適用可能である。
【0017】
以下の説明において、本明細書の一部分を構成する添付の図面を参照するが、それら図面には、全体を通じて、類似の要素が類似の数字で示され、本発明を実施することができる特定の実施形態が例証として示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明を用いることができる多接合太陽電池の断面図である。
【図1B】図1Aを簡略化した図である。
【図2】キャップと金属が位置合せ不良である従来技術の太陽電池の一部分の断面図である。
【図3】理想的な太陽電池と比較した従来技術の太陽電池の性能のグラフである。
【図4A】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4B】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4C】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4D】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4E】本発明によるプロセスステップを示す。
【図5】本発明により作成される構造体の代替的実施形態の図である。
【図6A】本発明による、FSF領域保護を有する完全に位置合せされた太陽電池を示す断面図である。
【図6B】本発明による、FSF領域保護を有する不完全に位置合せされた太陽電池を示す断面図である。
【図7A】本発明による、キャップ上の過大の金属を示す断面図である。
【図7B】本発明による、キャップ上の過大の金属を示す断面図である。
【図8】本発明により作成されるデバイスの代替的実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による主要なプロセスステップは、図4Aから図4Eにわたって示される。
1. 図4A:上部分がキャップ領域13となり、その下が保護された汚染されていない窓(FSF)領域4となるように、エピタキシャル領域45を備えた半導体基板を準備する。
2. 図4B:従来のフォトリソグラフィ技術を適用して、フォトレジスト内にキャップのグリッド構造パターン7を生じさせる。
3. 図4C:FSF4が露出されるとエッチングが停止するようにキャップをエッチングして、FSF4の上に、パターン付けされたキャップ3の構造体を生じさせる。
4. 図4D:フォトレジスト7を除去せずに、ステップ3における前のエッチングの望ましくは直後に、反射防止コーティング11及び21を堆積させる。
5. 図4E:フォトレジスト7を除去する。レジストの上部の反射防止コーティング21が除去されることになり、結果として得られる構造体は、FSF表面14を完全に覆い且つパターン付けされたキャップ3を覆わない、パターン付けされた反射防止コーティング11となる。
【0020】
本発明においては、上に列記したプロセスステップの順序が重要である。しかし、残りのプロセスステップは、様々な方式で設計して実行することができる。換言すれば、本発明は、必要に応じて他のプロセスフローに挿入することができるプロセスステップの「プロセスモジュール」である。モジュールの前又はモジュールの後に介在するステップは、従来の半導体加工ステップとすることができる。以下のリストにおいて、エピタキシャル成長ステップとダイシングステップとの間のステップ順序は必要に応じて変更することができ、他のステップをフローに加えることができる。
エピタキシャル成長
本発明のプロセスモジュール
金属グリッドのリソグラフィ堆積及びリフトオフ
メサのリソグラフィ及びエッチング
裏面金属堆積及びアニール
ダイシング
【0021】
このプロセスにおいて、太陽電池を形成するサブセル(接合)は、エピタキシを通じて直列に接合され、金属グリッドが、上部接合に対する上部コンタクトを形成し、底部接合が、基板を通して裏面金属52に接続される。本発明は、より一般的に、基板の表面から光検出デバイスへのコンタクトを作成するときはいつでも適用することができ、これには多接合太陽電池内の接合に個々に接触して多端子太陽電池デバイスが作成される場合が含まれる。そのようなデバイスのためのプロセスフローは、一般により複雑でより多くのステップを含む。しかし、本発明によって説明するプロセスモジュールは上部コンタクトを形成するために用いることができる。
【0022】
本発明は、背景技術の節で説明した従来技術の重要な課題を解決する。
1. キャップエッチング及び反射防止コーティングの後、FSF領域への、フォトリソグラフィ又はエッチングなどの化学的接触がない。窓領域は、化学薬品、汚染物質、空気、又は水に対する曝露から保護される。多接合太陽電池製造中に生じ得る熱サイクルの間、FSF領域の酸化が防止される。
2. 加工中のFSF領域の機械的破損の可能性が減る。
3. 反射防止コーティングに使用される普通の材料は、一般に良い電気絶縁体でもある。例えば、幾つかの製品においては、二酸化シリコンが上部領域として好ましい。これらの酸化物は、高品質絶縁体として半導体産業で長年使用されている。
4. 位置合せ不良の場合、金属は高品質誘電体材料の上に位置することになる。それゆえに、FSF領域は、金属グリッドから保護され、キャップ領域を通じる以外には電気的に分離される。この誘電体材料は、位置合せ不良の場合に、金属がデバイス層内へ突出することを防ぐ。
5. キャップエッチング後に露出する窓領域は、中間にいずれかのプロセスステップが介在することなく、反射防止コーティングで密封されて保護される。次のステップでメタライゼーションが行われるときに、金属粒子がFSFに達して、その後内部のデバイス領域に移動する可能性はない。
6. このプロセスの結果として、ARCは金属を覆わない。従って、個別のコンタクト開口リソグラフィステップに対して、母線上のARCを除去する必要がない。コンタクト開口は、パターン付けされたレジストのリフトオフ中に容易に達成される。
【0023】
本発明のバリエーション
キャップエッチングステップ及び次の反射防止コーティングステップは、全プロセスフロー内の所望の箇所に挿入することができる。好ましい実施形態において、キャップエッチングステップ及び次の反射防止コーティングステップは、半導体加工において、接合のエピタキシャル成長後の最初のステップである。その後、リフトオフを使用して金属グリッドがパターン付けされる。メタライゼーションに続いて、メサ分離エッチングが行われる。プロセスは、裏面メタライゼーション及びダイシングによって完了する。
【0024】
本発明の自己整合的性質は、キャップ及び金属グリッドの幅の多重構成を可能にする。
【0025】
一実施形態において、図5に示すように、キャップ3の幅は、金属グリッド2の幅よりも広くなるように選択される。そのような場合、グリッドによる遮蔽は、金属の幅ではなくキャップの幅によって決定される。この広いキャップによっても許容することができない位置合せ不良の場合には、反射防止コーティング11が、キャップ3の外側にはみ出た金属とFSF4との間の電気絶縁障壁として機能する。
【0026】
別の実施形態において、図6Aに示すように、キャップ3の幅は、金属グリッド2の幅と同じになるように選択される。この実施形態において、遮蔽損失は金属グリッドの幅(及び位置合せ不良)によって決定され、光検出デバイスは、最適性能を反映するように設計することができる。位置合せ不良の場合には、図6Bに示すように、反射防止コーティング41が絶縁キャップとして機能することになり、グリッド線2と窓領域4との間に電気伝導は生じない。
【0027】
別の実施形態において、図7Aに示すように、キャップ3の幅は、金属グリッド2の幅よりも狭くなるように選択される。この場合、反射防止コーティング41がFSFと金属との間の絶縁障壁として機能する。総遮蔽損失は、金属グリッドの幅によって決定される。この実施形態の利点は、図7Bに示すような位置合せ不良の場合にも、やはり全遮蔽損失が金属グリッド2の幅によって決定されることである。
【0028】
図8は、最適には及ばないプロセス条件の結果としてグリッド線12近傍に逸脱(stray)金属塊22の堆積が生じた、別の実施形態を示す。自己整合型反射防止コーティング31は、電気的絶縁を提供し、さらに、これらの粒子とFSF4との間の物理的障壁として機能する。
【0029】
本発明の範囲から逸脱せずに、他の実施形態を用いることができ、また構造的又は論理的変更を行うことができることを理解されたい。従って、前述の説明は限定の意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等のものによって定められる。
【符号の説明】
【0030】
1、11、21、31、41:反射防止コーティング(ARC)
2、12:金属グリッド(金属コンタクト)
3、13:キャップ領域
4:表面電界(FSF)領域(窓領域)
5:半導体基板
7:フォトレジスト
8:位置合わせ不良がある場合のIV曲線
9:位置合わせ不良がない場合のIV曲線
14:FSF領域の上面
22:逸脱金属塊
45:エピタキシャル領域
52:裏面金属
100:多接合太陽電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び光検出器などの半導体光検出デバイスを作成する方法並びにその方法によって作成される製品に関する。本発明は、高出力太陽電池及び光検出器に対して特に有用である。より具体的には、本発明は、太陽電池、特に多接合太陽電池の上の反射防止コーティングをパターン付けして、最小損失でエピタキシャルコンタクト領域を収容する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出デバイスは、光(例えば太陽)エネルギーから電気エネルギーへの変換効率を低下させる構造部を有する。例えば、吸収された光(太陽)エネルギーの一部分は電極で電気エネルギーとして収集することができず、熱として放散されることになる。高出力デバイスの場合、放散熱はかなりの温度上昇をもたらすのでデバイスの性能をさらに低下させる可能性がある。半導体光検出デバイス、及び特に太陽電池デバイスの効率を改善することが望まれる。
【0003】
従来の多接合太陽電池は、地上及び宇宙用途に広く用いられている。多接合太陽電池は、通常、高出力太陽電池として考えられ、半導体基板上に薄いエピタキシ領域を積層状に成長させることによって実現される直列接続の複数のダイオード(別名、接合)を備える。積層内の各接合は、太陽スペクトルの異なる部分を吸収するように最適化され、それにより太陽エネルギーの変換効率が向上する。
【0004】
最先端の多接合太陽電池加工における典型的な製造ステップは、D.Danzilio他による非特許文献1に記載されており、以下のように要約される。以下のリストは基本的ステップのみを与えるものであり、付加的なプロセスステップを用いることができることに留意されたい。
1. エピタキシャル成長
2. メサのリソグラフィ及びエッチング
3. 金属グリッドのリソグラフィ堆積及びリフトオフ
4. キャップのリソグラフィ及びエッチング
5. 反射防止コーティング、堆積、パターン付け及びエッチング
6. 裏面金属堆積及びアニール
7. ダイシング
【0005】
従来技術では、上記のステップにおいて従来の半導体加工技術が用いられる。エピタキシャル成長とダイシングとの間のプロセスステップ(ステップ2からステップ6まで)は、従来的には、特定の順序に従う必要はない。従来技術のキャップのリソグラフィ及びエッチング並びに反射防止コーティングのステップが本発明に関連するものであり、背景技術の目的で、ここで検討する。
【0006】
キャップのエッチング
通常、エピタキシャル積層体内の上部領域(普通、キャップ領域又はキャップ層と呼ばれる)は、接触抵抗が低い良好な金属−半導体電気接触を助長するように高濃度ドープされた半導体領域である。キャップ領域は、複数の異種エピタキシャル領域を含むことができる。太陽電池製造において、キャップ領域はラインのグリッド(キャップグリッド)にパターン付けされ、それにより、後のメタライゼーションステップにおいて、対応する金属グリッドがキャップグリッドの上に堆積されるようになっている。パターン付け及びその後のキャップエッチングは、従来の半導体加工技術によって達成される。
【0007】
図1Aは、多接合太陽電池100によって代表される、典型的な(従来技術の)半導体ベースの光検出デバイスの略断面図を示す。デバイス全体が描かれているが、本発明による方法は、上部のみに実施され、半導体基板5の上に成長させた多接合エピタキシの上部領域であるキャップ領域3及び表面電界(FSF)領域4にのみ影響を及ぼす。図1Aに示す太陽電池100は、トンネル接合167及び178を通して接続された3つのサブセル(接合)106−108からなる。図1Aは、典型的な多接合太陽電池の単なる一例であること、及びそのような太陽電池は任意の数のサブセルを備えることができることを理解されたい。図1Bは、典型的な(従来技術の)多接合太陽電池の、本特許に関連する上部エピタキシャル領域のみを示す単純化された略図である。
【0008】
図1Aを参照すると、FSF領域4は、キャップエッチング後に太陽に面する窓領域となる。FSF領域4の下に、ダイオードを形成する上部p−n接合106のエミッタ領域102が存在する。同様の接合107及び108が上部p−n接合の下に配置され、このようにして多接合太陽電池が形成される。FSF領域4は、デバイスの性能に関する重要な機能を有する。例えば、多接合太陽電池は少数キャリア型デバイスであるので、上部接合106のエミッタ領域102内で光吸収により生成された少数キャリアは、ベース104で収集されるためには空乏領域103内に拡散しなければならない。エミッタ領域102内における表面再結合速度を低くすると、空乏領域103に達する少数キャリアの数が増加する。FSF領域4の機能は、それゆえに、表面領域102上のパシベーションの品質を向上させて、空乏領域103から離れる方向に拡散する少数キャリアを跳ね戻すことによって表面結合速度を低くすることである。
【0009】
FSF領域4は薄い(通常10nm乃至50nm)エピタキシャル領域である。エミッタ領域102内で生成されたキャリアの収集を向上させることに加えて、FSF領域4は通常、吸収領域である。FSF領域4内の光生成された少数キャリアは、エミッタ領域102を通して拡散し、収集されることになる上部接合106の空乏領域103に達する。従って、FSF4の上面14の保護が、FSF4内での少数キャリアの収集を向上させるために重要である。
【0010】
従来技術による製造中に、FSF領域4は、キャップエッチングステップの後のプロセスフローにおいて様々な条件に曝される。これらの条件は、それらに限定されないが、以下の条件を含み得る。
・ プロセス中に生じ得る様々な温度条件下での、FSF領域表面14の酸化を生じ得る、空気又は水に対する露出。
・ FSF領域表面14に侵入する金属粒子に対する露出。
・ FSF領域表面14における、残留物を残し表面を損傷する可能性のある、種々の化学薬品及びフォトレジストとの接触。
・ キャップエッチング後のプロセスステップにおいて種々の化学薬品を使用することによる、FSF領域4の部分的又は完全なエッチング。
【0011】
このような悪条件は、太陽電池の性能を実質的に低下させる。例えば、FSA領域4が露出している間に金属グリッド2が堆積されるプロセスフローにおいて、残留した銀又は他の金属がFSF領域4に衝突し、汚染し、浸透する可能性があり、内部のエピタキシャル領域45に伝搬して太陽電池の効率を低下させ、性能に影響を及ぼす可能性がある。従って、高出力半導体光検出構造体においては、ひとたび露出したときにFSF領域表面14を保護する強い必要性がある。
【0012】
後のフォトリソグラフィステップから生じる欠陥及び残留物に加えて、FSF領域4と直接に接触するグリッド金属によって問題が生じる。例えば、FSF4の露出中に金属グリッド2が堆積されるプロセスフローにおいて、銀/金属粒子が、露出したFSFに達し、FSFの下のp−n接合領域に伝搬して太陽電池を役に立たないものにする可能性がある。さらに、図2に示すように、リソグラフィの不正確さによるキャップグリッドパターン3に対する金属グリッドパターン2の位置合せ不良が、金属2とFSF4との間の直接接触を生じさせる可能性がある。FSF4上の金属の部分6が、高温プロセスステップ中に接合内部に至る金属突起を生じ、動作不能デバイスをもたらす可能性がある。このような金属関連の問題は、典型的には短絡電流−電圧(IV)特性として観測される。図3(従来技術)は、2つの異なる太陽電池のIV特性の比較を示す。IV曲線9は、位置合せ問題がない高性能太陽電池によるものであり、IV曲線8は、金属グリッドの位置合せ不良から生じた短絡電流−電圧特性を示す。従来技術においては、金属グリッドがFSFと接触することを防止するために、キャップグリッドの幅は典型的には、リソグラフィ位置合せ不良の許容差に合わせて、金属グリッドの幅よりも大きくなるように選択される。広いキャップ幅は遮蔽損失を増大させて引き出し得る電流を減らすことにより、太陽電池の性能に悪影響を及ぼす。従って、遮蔽損失を増大させずに、FSF表面と金属との接触を無くす必要性がある。
【0013】
反射防止コーティング
従来技術の多接合太陽電池の製造において、セルは、太陽光の反射を減らすために反射防止コーティング(ARC)1(図1)でコーティングされる。ARC1は、普通、誘電体薄膜の積層体であり、その屈折率は、太陽光の反射を所望の波長範囲にわたって最小にするように選択される。集合的ARC1領域は、太陽に面する、即ち、FSFを含む半導体の全表面を覆う必要がある。以前は、ARC堆積中に、通常、グリッド線もまた覆われた。しかし、母線上のARCは、ワイアボンディングを可能にするために開口する必要がある。このプロセスステップは、コンタクト開口と呼ばれ、通常、別個の付加的なフォトリソグラフィステップを用いて達成される。従来技術において、ARC堆積及びパターン付けは、異なる段階で実施することができるので、プロセスフロー内でこのステップを特定の順序で実施することの明確な要件はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】D.Danzilio他著「Overview of EMCORE’s Multi−junction Solar Cell Technology and High Volume Manufacturing Capabilities」、CS MANTECH Conference、米国テキサス州オースチン、2007年5月14日−17日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術の課題の要約と性能改善の可能性
従来技術のキャップエッチング及び反射防止コーティングのステップに関連する課題をここで要約する。高性能多接合太陽電池及び他の半導体光検出デバイスを作成するためには、ここで列挙する課題に対処することが必要である。
1. FSF表面を、後のプロセスステップの間に汚染及び酸化から保護すること。
2. FSFを金属グリッドから、高濃度ドープコンタクト領域を通じる以外には、電気的に分離すること。
3. 遮蔽による電流損失を最小にするための、グリッド線近傍の余分なキャップの排除。
4. プロセスを堅牢にし、費用効率を高くするようにリソグラフィのステップ数を最少にすること。
5. 位置合せ不良を許容するグリッドメタライゼーション。
6. ARC堆積に続くコンタクト開口ステップにおける精密なリソグラフィ位置合せによって、コンタクトパッド領域からARCを除去できるようにすること。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明により、半導体光検出デバイスを作成するための、キャップエッチングステップ及び反射防止コーティングステップが単一の自己整合リソグラフィモジュールを用いて実施される方法が提供される。具体的には、これらのステップは、汚染物質に対する表面電界領域の露出を最少にし、キャップ領域に対する金属の位置合せを確実にして上部のメタライズされたコンタクト領域により遮られる入射光を最少にするように実施される。半導体光検出デバイスのエピタキシを組み込んだ準備された基板上のキャップのエッチングパターンで、フォトレジストがパターン付けされる。次に、キャップ領域がエッチングされ、フォトレジストを除去せずに反射防止コーティング(ARC)が堆積される。最後にフォトレジストが除去され、それにより、画定されたキャップ領域の上のARCがリフトオフされる。本発明は、特に、高効率太陽電池などの高出力光検出デバイスの製造に適用可能である。
【0017】
以下の説明において、本明細書の一部分を構成する添付の図面を参照するが、それら図面には、全体を通じて、類似の要素が類似の数字で示され、本発明を実施することができる特定の実施形態が例証として示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明を用いることができる多接合太陽電池の断面図である。
【図1B】図1Aを簡略化した図である。
【図2】キャップと金属が位置合せ不良である従来技術の太陽電池の一部分の断面図である。
【図3】理想的な太陽電池と比較した従来技術の太陽電池の性能のグラフである。
【図4A】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4B】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4C】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4D】本発明によるプロセスステップを示す。
【図4E】本発明によるプロセスステップを示す。
【図5】本発明により作成される構造体の代替的実施形態の図である。
【図6A】本発明による、FSF領域保護を有する完全に位置合せされた太陽電池を示す断面図である。
【図6B】本発明による、FSF領域保護を有する不完全に位置合せされた太陽電池を示す断面図である。
【図7A】本発明による、キャップ上の過大の金属を示す断面図である。
【図7B】本発明による、キャップ上の過大の金属を示す断面図である。
【図8】本発明により作成されるデバイスの代替的実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による主要なプロセスステップは、図4Aから図4Eにわたって示される。
1. 図4A:上部分がキャップ領域13となり、その下が保護された汚染されていない窓(FSF)領域4となるように、エピタキシャル領域45を備えた半導体基板を準備する。
2. 図4B:従来のフォトリソグラフィ技術を適用して、フォトレジスト内にキャップのグリッド構造パターン7を生じさせる。
3. 図4C:FSF4が露出されるとエッチングが停止するようにキャップをエッチングして、FSF4の上に、パターン付けされたキャップ3の構造体を生じさせる。
4. 図4D:フォトレジスト7を除去せずに、ステップ3における前のエッチングの望ましくは直後に、反射防止コーティング11及び21を堆積させる。
5. 図4E:フォトレジスト7を除去する。レジストの上部の反射防止コーティング21が除去されることになり、結果として得られる構造体は、FSF表面14を完全に覆い且つパターン付けされたキャップ3を覆わない、パターン付けされた反射防止コーティング11となる。
【0020】
本発明においては、上に列記したプロセスステップの順序が重要である。しかし、残りのプロセスステップは、様々な方式で設計して実行することができる。換言すれば、本発明は、必要に応じて他のプロセスフローに挿入することができるプロセスステップの「プロセスモジュール」である。モジュールの前又はモジュールの後に介在するステップは、従来の半導体加工ステップとすることができる。以下のリストにおいて、エピタキシャル成長ステップとダイシングステップとの間のステップ順序は必要に応じて変更することができ、他のステップをフローに加えることができる。
エピタキシャル成長
本発明のプロセスモジュール
金属グリッドのリソグラフィ堆積及びリフトオフ
メサのリソグラフィ及びエッチング
裏面金属堆積及びアニール
ダイシング
【0021】
このプロセスにおいて、太陽電池を形成するサブセル(接合)は、エピタキシを通じて直列に接合され、金属グリッドが、上部接合に対する上部コンタクトを形成し、底部接合が、基板を通して裏面金属52に接続される。本発明は、より一般的に、基板の表面から光検出デバイスへのコンタクトを作成するときはいつでも適用することができ、これには多接合太陽電池内の接合に個々に接触して多端子太陽電池デバイスが作成される場合が含まれる。そのようなデバイスのためのプロセスフローは、一般により複雑でより多くのステップを含む。しかし、本発明によって説明するプロセスモジュールは上部コンタクトを形成するために用いることができる。
【0022】
本発明は、背景技術の節で説明した従来技術の重要な課題を解決する。
1. キャップエッチング及び反射防止コーティングの後、FSF領域への、フォトリソグラフィ又はエッチングなどの化学的接触がない。窓領域は、化学薬品、汚染物質、空気、又は水に対する曝露から保護される。多接合太陽電池製造中に生じ得る熱サイクルの間、FSF領域の酸化が防止される。
2. 加工中のFSF領域の機械的破損の可能性が減る。
3. 反射防止コーティングに使用される普通の材料は、一般に良い電気絶縁体でもある。例えば、幾つかの製品においては、二酸化シリコンが上部領域として好ましい。これらの酸化物は、高品質絶縁体として半導体産業で長年使用されている。
4. 位置合せ不良の場合、金属は高品質誘電体材料の上に位置することになる。それゆえに、FSF領域は、金属グリッドから保護され、キャップ領域を通じる以外には電気的に分離される。この誘電体材料は、位置合せ不良の場合に、金属がデバイス層内へ突出することを防ぐ。
5. キャップエッチング後に露出する窓領域は、中間にいずれかのプロセスステップが介在することなく、反射防止コーティングで密封されて保護される。次のステップでメタライゼーションが行われるときに、金属粒子がFSFに達して、その後内部のデバイス領域に移動する可能性はない。
6. このプロセスの結果として、ARCは金属を覆わない。従って、個別のコンタクト開口リソグラフィステップに対して、母線上のARCを除去する必要がない。コンタクト開口は、パターン付けされたレジストのリフトオフ中に容易に達成される。
【0023】
本発明のバリエーション
キャップエッチングステップ及び次の反射防止コーティングステップは、全プロセスフロー内の所望の箇所に挿入することができる。好ましい実施形態において、キャップエッチングステップ及び次の反射防止コーティングステップは、半導体加工において、接合のエピタキシャル成長後の最初のステップである。その後、リフトオフを使用して金属グリッドがパターン付けされる。メタライゼーションに続いて、メサ分離エッチングが行われる。プロセスは、裏面メタライゼーション及びダイシングによって完了する。
【0024】
本発明の自己整合的性質は、キャップ及び金属グリッドの幅の多重構成を可能にする。
【0025】
一実施形態において、図5に示すように、キャップ3の幅は、金属グリッド2の幅よりも広くなるように選択される。そのような場合、グリッドによる遮蔽は、金属の幅ではなくキャップの幅によって決定される。この広いキャップによっても許容することができない位置合せ不良の場合には、反射防止コーティング11が、キャップ3の外側にはみ出た金属とFSF4との間の電気絶縁障壁として機能する。
【0026】
別の実施形態において、図6Aに示すように、キャップ3の幅は、金属グリッド2の幅と同じになるように選択される。この実施形態において、遮蔽損失は金属グリッドの幅(及び位置合せ不良)によって決定され、光検出デバイスは、最適性能を反映するように設計することができる。位置合せ不良の場合には、図6Bに示すように、反射防止コーティング41が絶縁キャップとして機能することになり、グリッド線2と窓領域4との間に電気伝導は生じない。
【0027】
別の実施形態において、図7Aに示すように、キャップ3の幅は、金属グリッド2の幅よりも狭くなるように選択される。この場合、反射防止コーティング41がFSFと金属との間の絶縁障壁として機能する。総遮蔽損失は、金属グリッドの幅によって決定される。この実施形態の利点は、図7Bに示すような位置合せ不良の場合にも、やはり全遮蔽損失が金属グリッド2の幅によって決定されることである。
【0028】
図8は、最適には及ばないプロセス条件の結果としてグリッド線12近傍に逸脱(stray)金属塊22の堆積が生じた、別の実施形態を示す。自己整合型反射防止コーティング31は、電気的絶縁を提供し、さらに、これらの粒子とFSF4との間の物理的障壁として機能する。
【0029】
本発明の範囲から逸脱せずに、他の実施形態を用いることができ、また構造的又は論理的変更を行うことができることを理解されたい。従って、前述の説明は限定の意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等のものによって定められる。
【符号の説明】
【0030】
1、11、21、31、41:反射防止コーティング(ARC)
2、12:金属グリッド(金属コンタクト)
3、13:キャップ領域
4:表面電界(FSF)領域(窓領域)
5:半導体基板
7:フォトレジスト
8:位置合わせ不良がある場合のIV曲線
9:位置合わせ不良がない場合のIV曲線
14:FSF領域の上面
22:逸脱金属塊
45:エピタキシャル領域
52:裏面金属
100:多接合太陽電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体光検出デバイスを作成する方法であって、
成長させた半導体光検出デバイスのエピタキシを上に有し、前記エピタキシ内の上部領域がキャップ領域である基板を備えた、ウェハを準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、コンタクト領域を画定するキャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、
前記キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチング除去するステップと、
前記ウェハ上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに反射防止コーティングを施すステップと、
前記キャップ領域のパターンと前記反射防止コーティングとを位置合せするために、コンタクト領域を露出させて前記コンタクト領域上の前記反射防止コーティングのみをリフトオフするように、リフトオフ手順を用いて前記キャップエッチングフォトレジストを除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の全ステップが介在ステップなしに行われ、その結果、前記ウェハをパターン付けするステップが前記ウェハを準備するステップの直後に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェハを準備するステップと前記ウェハをパターン付けするステップとの間に介在ステップが行われ得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも広いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも狭いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャップエッチングパターン内のキャップは、次に施される上層の金属のパターンに合致することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
半導体光検出デバイスを作成する方法であって、
エピタキシャル領域(45)、キャップ領域(3)及び表面電界領域(4)を有し、前記キャップ領域は前記エピタキシャル領域の上にあり、前記表面電界領域は前記キャップ領域と前記エピタキシャル領域(45)との間にある基板を備えた、ウェハ(5)を準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、自己整合キャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、その後に、
前記自己整合キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチングして前記表面電界領域を露出させるステップと、
前記表面電界領域の前記露出した領域の上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに、反射防止コーティングを施すステップと、
前記反射防止コーティングをリフトオフすることにより、前記表面電界領域を反射防止コーティングで完全に覆い、かつ、前記パターン付けされた反射防止コーティングに自己整合した露出コンタクト領域を生成するように、リフトオフ手順に従って前記自己整合キャップエッチングフォトレジストを除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ウェハをパターン付けするステップが前記ウェハを準備するステップの直後に行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェハを準備するステップと前記ウェハをパターン付けするステップとの間に介在ステップが行われ得ることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも広いことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも狭いことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記キャップエッチングパターン内のキャップは、次に施される上層の金属のパターンに合致することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
半導体光検出デバイスであって、
成長させた半導体光検出デバイスのエピタキシを上に有し、前記エピタキシ内の上部領域がキャップ領域である基板を備えた、ウェハを準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、コンタクト領域を画定するキャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、
前記キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチング除去するステップと、
前記ウェハ上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに反射防止コーティングを施すステップと、
前記キャップ領域のパターンと前記反射防止コーティングとを位置合せするために、コンタクト領域を露出させて前記コンタクト領域上の前記反射防止コーティングのみをリフトオフするように、リフトオフ手順を用いて前記キャップエッチングフォトレジストを除去するステップであって、前記反射防止コーティングは、前記キャップエッチングステップの後に露出した窓領域のみを覆い、前記キャップも金属グリッドも覆わない、ステップと、
によって製造されることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
不注意に堆積された逸脱金属塊は、前記キャップ領域上及び前記反射防止コーティング上のみに存在し、前記窓領域には前記逸脱金属塊は存在しないことを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記キャップ領域と接触しない部分を有し、下層の領域と接触せずに前記反射防止コーティングの上部に存在する、金属グリッドが設けられることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
不注意に堆積された逸脱金属塊は、前記キャップ領域上及び前記反射防止コーティング上のみに存在し、前記窓領域には前記逸脱金属塊は存在しないことを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
半導体光検出デバイスであって、
エピタキシャル領域(45)、キャップ領域(3)及び表面電界領域(4)を有し、前記キャップ領域は前記エピタリシャル領域の上部にあり、前記表面電界領域は前記キャップ領域と前記エピタリシャル領域(45)との間にある基板を備えた、ウェハ(5)を準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、自己整合キャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、その後に、
前記自己整合キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチングして前記表面電界領域を露出させるステップと、その後に、
前記表面電界領域の前記露出した領域の上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに、反射防止コーティングを施すステップと、その後に、
前記反射防止コーティングをリフトオフすることにより、前記表面電界領域を前記反射防止コーティングで完全に覆い、かつ、前記パターン付けされた反射防止コーティングに自己整合した露出コンタクト領域を生成するように、リフトオフ手順に従って前記自己整合キャップエッチングフォトレジストを除去するステップと、
電気的コンタクトを設けるように、前記ウェハをメタライゼーションステップによってメタライズするステップと、
によって製造されることを特徴とするデバイス。
【請求項1】
半導体光検出デバイスを作成する方法であって、
成長させた半導体光検出デバイスのエピタキシを上に有し、前記エピタキシ内の上部領域がキャップ領域である基板を備えた、ウェハを準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、コンタクト領域を画定するキャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、
前記キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチング除去するステップと、
前記ウェハ上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに反射防止コーティングを施すステップと、
前記キャップ領域のパターンと前記反射防止コーティングとを位置合せするために、コンタクト領域を露出させて前記コンタクト領域上の前記反射防止コーティングのみをリフトオフするように、リフトオフ手順を用いて前記キャップエッチングフォトレジストを除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の全ステップが介在ステップなしに行われ、その結果、前記ウェハをパターン付けするステップが前記ウェハを準備するステップの直後に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウェハを準備するステップと前記ウェハをパターン付けするステップとの間に介在ステップが行われ得ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも広いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも狭いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キャップエッチングパターン内のキャップは、次に施される上層の金属のパターンに合致することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
半導体光検出デバイスを作成する方法であって、
エピタキシャル領域(45)、キャップ領域(3)及び表面電界領域(4)を有し、前記キャップ領域は前記エピタキシャル領域の上にあり、前記表面電界領域は前記キャップ領域と前記エピタキシャル領域(45)との間にある基板を備えた、ウェハ(5)を準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、自己整合キャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、その後に、
前記自己整合キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチングして前記表面電界領域を露出させるステップと、
前記表面電界領域の前記露出した領域の上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに、反射防止コーティングを施すステップと、
前記反射防止コーティングをリフトオフすることにより、前記表面電界領域を反射防止コーティングで完全に覆い、かつ、前記パターン付けされた反射防止コーティングに自己整合した露出コンタクト領域を生成するように、リフトオフ手順に従って前記自己整合キャップエッチングフォトレジストを除去するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ウェハをパターン付けするステップが前記ウェハを準備するステップの直後に行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェハを準備するステップと前記ウェハをパターン付けするステップとの間に介在ステップが行われ得ることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも広いことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記キャップエッチングパターン幅内のキャップの幅は、次に施される上層の金属の幅よりも狭いことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記キャップエッチングパターン内のキャップは、次に施される上層の金属のパターンに合致することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
半導体光検出デバイスであって、
成長させた半導体光検出デバイスのエピタキシを上に有し、前記エピタキシ内の上部領域がキャップ領域である基板を備えた、ウェハを準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、コンタクト領域を画定するキャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、
前記キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチング除去するステップと、
前記ウェハ上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに反射防止コーティングを施すステップと、
前記キャップ領域のパターンと前記反射防止コーティングとを位置合せするために、コンタクト領域を露出させて前記コンタクト領域上の前記反射防止コーティングのみをリフトオフするように、リフトオフ手順を用いて前記キャップエッチングフォトレジストを除去するステップであって、前記反射防止コーティングは、前記キャップエッチングステップの後に露出した窓領域のみを覆い、前記キャップも金属グリッドも覆わない、ステップと、
によって製造されることを特徴とするデバイス。
【請求項14】
不注意に堆積された逸脱金属塊は、前記キャップ領域上及び前記反射防止コーティング上のみに存在し、前記窓領域には前記逸脱金属塊は存在しないことを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記キャップ領域と接触しない部分を有し、下層の領域と接触せずに前記反射防止コーティングの上部に存在する、金属グリッドが設けられることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【請求項16】
不注意に堆積された逸脱金属塊は、前記キャップ領域上及び前記反射防止コーティング上のみに存在し、前記窓領域には前記逸脱金属塊は存在しないことを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
半導体光検出デバイスであって、
エピタキシャル領域(45)、キャップ領域(3)及び表面電界領域(4)を有し、前記キャップ領域は前記エピタリシャル領域の上部にあり、前記表面電界領域は前記キャップ領域と前記エピタリシャル領域(45)との間にある基板を備えた、ウェハ(5)を準備するステップと、
前記ウェハを、フォトリソグラフィを用いて、キャップエッチングフォトレジストにより、自己整合キャップエッチングパターンにパターン付けするステップと、その後に、
前記自己整合キャップエッチングパターンに従って、露出領域内の前記キャップ領域をエッチングして前記表面電界領域を露出させるステップと、その後に、
前記表面電界領域の前記露出した領域の上に、前記キャップエッチングフォトレジストを除去せずに、反射防止コーティングを施すステップと、その後に、
前記反射防止コーティングをリフトオフすることにより、前記表面電界領域を前記反射防止コーティングで完全に覆い、かつ、前記パターン付けされた反射防止コーティングに自己整合した露出コンタクト領域を生成するように、リフトオフ手順に従って前記自己整合キャップエッチングフォトレジストを除去するステップと、
電気的コンタクトを設けるように、前記ウェハをメタライゼーションステップによってメタライズするステップと、
によって製造されることを特徴とするデバイス。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公開番号】特開2013−98564(P2013−98564A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−237501(P2012−237501)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(511314290)ソーラー・ジャンクション・コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237501(P2012−237501)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(511314290)ソーラー・ジャンクション・コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】
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