説明

半導体冷却器

【課題】冷却性能を調整することができる半導体冷却器を提供すること。
【解決手段】半導体冷却器2の冷媒流路26a〜26cは、隣り合う放熱フィン25の隙間と冷却板23と側壁部241と対向壁部242とによって形成される。また、放熱フィン25の立設方向における冷媒流路26a〜26cの流路高さが異なるように形成される。ここで、冷媒流路26a〜26cの流路高さを調整することによって、冷媒流路26a〜26cに導入される冷却媒体の導入量を調整することができる。よって、半導体冷却器2に形成される複数の冷媒流路26a〜26cの冷却性能を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を内蔵する半導体モジュールを冷却する半導体冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と電気モータの両方を駆動源として有するハイブリッド車両や、電気モータを駆動源として備えた電気自動車等には、電池から供給される直流電流と電気モータへ出力する交流電流との間で双方向変換する電力変換装置が備えられている。ハイブリッド車両や電気自動車等に用いられる電力変換装置は、電気モータから大きな駆動トルクを出力する必要があるため大電流が流れるように構成されている。そのため、電力変換装置の一部を構成し半導体素子を内蔵する半導体モジュールからの発熱量が大きくなるという問題がある。
【0003】
上記問題に対して特許文献1において、少なくとも一端部が開放端を有する中空管状の管状部材は、その長手方向に沿って形成されたスリット状開口部を備えており、スリット状開口部を冷媒が流通する冷媒室の少なくとも一端部に沿って配置させるという構成を採用している。この構成により、冷媒を管状部材の一端部からスリット状開口部を介して冷媒室に導入させることができる。このとき、スリット状開口部は冷媒の流れを規制する絞り部として機能することになるため、管状部材の一端部から導入した冷媒は管状部材の中で略全体に均等に分配され、スリット状開口部の全領域から冷媒室へ向けて流通する。よって、管状部材から冷媒室内へ流通する冷媒を略均一とすることができるため、良好な冷却性能を得ることができると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−206271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電力変換装置の一部を構成する半導体モジュールは、1つの電力変換装置内であっても、インバータ機能やコンバータ機能を構成するものが存在する。そのため、半導体モジュールの各発熱量は、その半導体モジュールが発揮する機能によって異なってくる。さらには、2種類の電気モータを駆動する電力変換装置も知られており、インバータ機能を構成するものであっても半導体モジュールがいずれの電気モータを駆動するものであるかによって発熱量が異なる。そのため、各半導体モジュールに必要とされる冷却性能は異なる場合がある。
【0006】
しかし、特許文献1は、冷媒室を流通する冷媒を略均一とするため、発熱量が異なる半導体モジュールに対して略同一の冷却性能を与えることになる。そのため、冷却性能は複数配置される半導体モジュールの中で最大発熱量を有する半導体モジュールを基準として決定され、最大発熱量を有する半導体モジュール以外の半導体モジュールに対して過剰な冷却性能を与えることになるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、発熱量が異なる複数の半導体モジュールに対して冷却性能を調整することができる半導体冷却器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、半導体素子を内蔵し、発熱量が異なる複数の半導体モジュールと、前記半導体モジュールが配置された冷却板と、前記冷却板と対向して配置される筐体部と、冷却媒体が導入される冷媒導入部と冷却媒体が排出される冷媒排出部とを備えた半導体冷却器であって、前記冷却板には、前記半導体モジュールが配置された面と反対側の面に複数の放熱フィンが立設され、前記筐体部は前記放熱フィンの立設方向と直交する方向を覆う側壁部と、前記放熱フィンと対向し前記放熱フィンの立設方向を覆う対向壁部とを備えており、隣り合う前記放熱フィンの隙間と前記冷却板と前記側壁部と前記対向壁部とによって冷却媒体が流通する冷媒流路が形成され、前記放熱フィンの立設方向における前記冷媒流路の流路高さが、発熱量が異なる前記半導体モジュールと対向する前記冷媒流路によって異なることを特徴とする。
【0009】
このように構成すれば、半導体冷却器の冷媒流路は、隣り合う放熱フィンの隙間と冷却板と側壁部と対向壁部とによって形成される。また、放熱フィンの立設方向における冷媒流路の流路高さが異なるように形成される。ここで、冷媒流路の流路高さを調整することによって、冷媒流路に導入される冷却媒体の導入量を調整することができる。よって、本発明によれば、半導体冷却器に形成される複数の冷媒流路の冷却性能を調整することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体冷却器であって、前記半導体モジュールは、発熱量が異なる前記半導体モジュール毎のモジュール区域を構成し、前記冷媒流路は、発熱量が異なる前記モジュール区域に対向する複数のモジュール冷却領域を構成し、発熱量が大きい前記モジュール区域と対向する位置の前記モジュール冷却領域における前記冷媒流路の流路高さが、発熱量が小さい前記モジュール区域と対向する位置の前記モジュール冷却領域における前記冷媒流路の流路高さより高いことを特徴とする。
【0011】
このように構成すれば、発熱量が小さいモジュール区域と対向する位置のモジュール冷却領域に導入される冷却媒体の導入量と比較して、発熱量が大きいモジュール区域と対向する位置のモジュール冷却領域に導入される冷却媒体の導入量を多くすることができる。よって、本発明によれば、発熱量が小さいモジュール区域と対向する位置のモジュール冷却領域の冷却性能と比較して、発熱量が大きいモジュール区域と対向する位置のモジュール冷却領域の冷却性能を大きくすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器であって、前記放熱フィンの立設方向におけるフィン高さは同じに形成され、流路高さの低い前記冷媒流路においては、前記放熱フィンの先端部が前記対向壁部に埋設されることにより、前記冷媒流路の流路高さが異なっていることを特徴とする。
【0013】
このように構成すれば、冷却板に立設される放熱フィンのフィン高さは同じに形成される。流路高さの低い冷媒流路においては、放熱フィンの先端部が対向壁部に埋設されている。よって、本発明によれば、冷却板に立設する放熱フィンのフィン高さを変化させずに、冷媒流路の流路高さを調整することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器であって、前記放熱フィンの立設方向におけるフィン高さが異なるように形成され、前記流路高さの低い前記冷媒流路においては、フィン高さが高い前記放熱フィンの先端部が前記対向壁部に埋設されることにより、前記冷媒流路の流路高さが異なっていることを特徴とする。
【0015】
このように構成すれば、冷却板に立設される放熱フィンのフィン高さが異なるように形成される。流路高さの低い冷媒流路においては、フィン高さの高い放熱フィンの先端部が対向壁部に埋設される。よって、本発明によれば、放熱フィンの立設方向におけるフィン高さを同じに形成した場合と比較して、対向壁部に埋設する放熱フィンの数を減らすことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器であって、前記対向壁部に、前記対向壁部の法線方向に対する高さが異なる複数のリブが配置され、隣り合う前記リブ間に溝部が形成され、前記放熱フィンの先端部が前記溝部に押し込まれることにより、前記冷媒流路の流路高さが異なっていることを特徴とする。
【0017】
このように構成すれば、放熱フィンの先端部は隣り合うリブ間に形成された溝部に押し込まれる。よって、本発明によれば、対向壁部に放熱フィンの先端部を埋設する構造を形成する構成と比較して、対向壁部に間隔をあけて複数のリブを配置するだけで容易に放熱フィンの先端部を押し込む構造を形成することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器であって、前記放熱フィンの立設方向におけるフィン高さが異なるように形成され、前記対向壁部に、前記対向壁部の法線方向に対する高さが異なる階段状の段差部が配置され、前記放熱フィンのうち、前記段差部と対向する位置に形成される放熱フィンの先端部が前記段差部に当接され、前記対向壁部と対向する位置に形成される前記放熱フィンの先端部が前記対向壁部に当接されることにより、前記冷媒流路の流路高さが異なっていることを特徴とする。
【0019】
このように構成すれば、段差部と対向する位置に形成される放熱フィンの先端部が段差部に当接され、対向壁部と対向する位置に形成される放熱フィンの先端部が対向壁部に当接される。よって、本発明によれば、対向壁部に放熱フィンの先端部を埋設する構造を形成する構成と比較して、対向壁部に段差部を配置するだけで冷却板と筐体部を組み合わせることができるため、対向壁部に対する加工の工数を削減することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器であって、前記放熱フィンのフィン高さは、発熱量が異なる前記モジュール区域と対向する位置で異なって形成され、前記冷却板と前記対向壁部間の距離及び前記放熱フィンのフィン高さを異ならせることにより、前記冷媒流路の流路高さが異なっていることを特徴とする。
【0021】
このように構成すれば、冷却板に立設される放熱フィンのフィン高さは、発熱量が異なるモジュール区域と対向する位置で異なって形成される。そして、冷却板と対向壁部間の距離及び放熱フィンのフィン高さを異ならせることにより、冷媒流路の流路高さが異なるように形成される。よって、本発明によれば、放熱フィンの先端部を対向壁部に埋設させる構造と比較して、放熱フィンの先端部を対向壁部に埋設する必要がないため、公差により放熱フィンの立設位置がずれても冷却板部と筐体部とを容易に組み合わせることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の半導体冷却器であって、前記側壁部は、前記対向壁部よりも反冷却板側に延出して形成され、前記筐体部は、前記側壁部の反冷却板側の端部に前記対向壁部と対向する端壁部と、前記対向壁部と前記端壁部との間に形成された空間を区画する区画壁部とを備え、前記端壁部と前記側壁部の一部と前記対向壁部と前記区画壁部とによって、冷却媒体が流通する導入流通路及び排出流通路が形成され、前記導入流通路は、前記冷媒導入部を構成するとともに、前記冷媒流路の流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させるように形成され、前記排出流通路は、前記冷媒排出部を構成するとともに、前記冷媒流路の流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させるように形成され、前記導入流通路と前記冷媒流路とは導入側連通孔を介して連通され、前記排出流通路と前記冷媒流路とは排出側連通孔を介して連通されていることを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、側壁部は対向壁部よりも反冷却器側に延出して形成される。筐体部は、側壁部の反冷却器側の端部に対向壁部と対向する端壁部と、対向壁部と端壁部との間に形成された空間を区画する区画壁部とを備える。そして、端壁部と側壁部の一部と対向壁部と区画壁部とによって、冷却媒体が流通する導入流通路及び排出流通路が形成される。そのため、筐体部の内部に形成された導入流通路及び排出流通路によって冷媒流路の流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させることができる。よって、本発明によれば、筐体部の外部に冷媒流路の流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させる流通路を形成する場合と比較して、半導体冷却器の体格を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施例における電力変換装置を示す回路図。
【図2】実施例1における半導体冷却器の平面図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】実施例1における冷却板の斜視図。
【図5】実施例1における筐体部の斜視図。
【図6】実施例1における冷媒導入部の斜視図。
【図7】実施例2における冷却板の断面図。
【図8】実施例2における筐体部の断面図。
【図9】実施例3における筐体部の断面図。
【図10】実施例4における冷却板の断面図。
【図11】実施例4における筐体部の断面図。
【図12】実施例5における半導体冷却器の断面図。
【図13】実施例6における半導体冷却器の平面図。
【図14】図13のA−A断面図。
【図15】図13のB−B断面図。
【図16】変形例における半導体冷却器の平面図。
【図17】変形例におけるの冷却板の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、図1以降の説明において同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
図1は、半導体冷却器2が適用される電力変換装置1の回路図を示す図である。図1に示す電力変換装置1は、昇圧コンバータ部(DC−DCコンバータ)10とインバータ部11とを有する自動車用インバータである。電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である交流モータ12に通電する駆動電流の生成に用いられる。
【0027】
昇圧コンバータ部10は外部電源13に接続され、昇圧コンバータ部10と外部電源13との間には、フィルタコンデンサ14が接続されている。フィルタコンデンサ14は、直流の外部電源13から昇圧コンバータ部10に入力される電源電流に含まれるリップル電流を吸収して、電源電流を安定化する。
【0028】
昇圧コンバータ部10は、リアクトルコイル15とIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子161A及びダイオード162Aを内蔵した2個の半導体モジュール16Aとを備え、入力電圧を昇圧する。リアクトルコイル15は、外部電源13側に接続されている。昇圧コンバータ部10のIGBT素子161Aはリアクトルコイル15の交流モータ12側に接続され、各IGBT素子161Aにダイオード162Aが一対として接続されている。IGBT素子161Aは、制御部(不図示)による制御によりスイッチング動作を行う。
【0029】
また、昇圧コンバータ部10のIGBT素子161Aとインバータ部11との間には、平滑コンデンサ17が接続されている。平滑コンデンサ17は、断続電流となる昇圧コンバータ部10の出力電流を平滑化して、安定した直流電流をインバータ部11に入力させる。
【0030】
インバータ部11は、IGBT素子161B及びダイオード162Bを内蔵した6個の半導体モジュール16Bとスナバコンデンサ18とを備えている。インバータ部11のIGBT素子161Bは平滑コンデンサ17に接続され、各IGBT素子161Bにダイオード162Bが一対となって接続されている。IGBT素子161Bは制御部(不図示)による制御によりスイッチング動作を行う。スナバコンデンサ18は、IGBT素子161Bに接続され、IGBT素子161Bの動作時に発生する電圧サージを抑制して、過電圧によるIGBT素子161Bの破損を防止している。
【0031】
また、インバータ部11には、三相の交流モータ12が接続されており、インバータ部11によって生成された駆動電流を交流モータ12に供給する。
【0032】
図2は、実施例1における半導体冷却器2の平面図、図3は図2のA−A断面図、図4は実施例1における冷却板23の斜視図、図5は実施例1における筐体部24の斜視図、図6は実施例1における冷媒導入部21の斜視図を示している。
【0033】
図2、図3に示すように半導体冷却器2は、半導体モジュール16A、16B、冷媒導入部21、冷媒排出部22、冷却板23、筐体部24及び放熱フィン25から構成されている。
【0034】
半導体冷却器2は、交流モータ12を駆動する電力変換装置1としてのインバータの一部を構成している。半導体モジュール16A、16Bは冷却板23の一方の面に配置されている。また、冷却板23には、半導体モジュール16A、16Bが配置された面と反対側の面に複数の放熱フィン25が立設されている。筐体部24は、冷却板23のうち放熱フィン25が立設された面と対向するように配置されている。また、筐体部24の短手方向の一端側には冷却媒体を導入するための冷媒導入部21が配置され、他端側には冷却媒体を排出するための冷媒排出部22が配置されている。
【0035】
冷却媒体としては、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC133a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等の冷媒等を用いることができる。
【0036】
半導体モジュール16Aは、半導体素子であるIGBT素子161A及びダイオード162Aを内蔵している。同様に、半導体モジュール16Bは、半導体素子であるIGBT素子161B及びダイオード162Bを内蔵している。そして、IGBT素子161A、161B及びダイオード162A、162Bは全体がモールドされている。そのため、半導体モジュール16A、16Bは2個の素子を1個のパッケージに収めた、いわゆる1in1型である。
【0037】
図2に示すように、冷却板23の長手方向に2列、短手方向に2列、合計4個の半導体モジュール16Aにより第1モジュール区域27aが構成されている。また、冷却板23の長手方向に2列、短手方向に3列、合計6個の半導体モジュール16Bを1組として第2モジュール区域27b及び第3モジュール区域27cが構成されている。そして、冷却板23の長手方向に対して第1〜第3モジュール区域27a〜27cが一方向に並ぶように配置されている。
【0038】
実施例1においては、第1モジュール区域27aが昇圧コンバータ部10として用いられている。また、第2モジュール区域27bが出力の異なる2つの交流モータのうち出力の小さい交流モータの駆動に用いられている。第3モジュール区域27cが出力の異なる2つの交流モータのうち出力の大きい交流モータの駆動に用いられている。以下、電力変換装置1が駆動した際の発熱量を、第3モジュール区域27c>第2モジュール区域27b>第1モジュール区域27aと仮定して記載する。
【0039】
図2〜図4に示すように冷却板23は、四角形状を備えている。半導体モジュール16A、16Bが配置された面と反対側の面に複数の放熱フィン25が立設されている。
【0040】
実施例1においては、放熱フィン25として冷却板23の長手方向に対して15列、短手方向に対して4列、合計60個の円柱状のピンフィンが平行に配置され、放熱フィン25の立設方向におけるフィン高さが全て同じとなるように形成されている。また、冷却板23と放熱フィン25は一体となるように形成されている。なお、冷却板23と放熱フィン25は、熱伝導率の高いアルミニウムによって形成されている。
【0041】
図5に示すように、筐体部24は四角形状の外形を備えている。筐体部24は、放熱フィン25の立設方向と直交する方向を覆う側壁部241と、放熱フィン25と対向し、放熱フィン25の立設方向を覆う対向壁部242とを備えている。側壁部241と対向壁部242によって囲まれた空間によって放熱フィン25を内部に収容する凹形状が形成されている。そのため、筐体部24は対向壁部242と180度反対側に開口を備えている。また、筐体部24は、熱伝導率が高いアルミニウムによって形成されている。
【0042】
実施例1においては、側壁部241のうち、筐体部24の長手側の両外周面には、筐体部24の長手方向に沿って四角状のスリット部243が形成されている。また、図3に示すように、第1モジュール区域27a及び第2モジュール区域27bと対向する位置における対向壁部242は、円柱状の放熱フィン25の先端部を埋設するためのフィン穴244を複数備えている。フィン穴244は、筐体部24の開口方向に対して形成されている。
【0043】
図6に示すように、冷媒導入部21は中空管状の外形を備えている。冷媒導入部21は長手方向に沿ってスリット状の開口部212が1箇所形成されている。冷媒導入部21は長手方向の一端に外部から冷却媒体が導入される冷媒導入口211を備えており、他端側は閉じられている。また、冷媒排出部22は冷媒導入部21と同一形状であり、長手方向の一端に外部へ冷却媒体が導入される冷媒導排出口221を備えており、他端側は閉じられている。
【0044】
実施例1においては、冷媒導入部21の開口部212と筐体部24のスリット部243とが連通するように、冷媒導入部21は筐体部24の短手方向の一端部に第1〜第3モジュール区域27a〜27cの並び方向に沿って延設されている。また、冷媒排出部22の開口部212と筐体部24のスリット部243とが連通するように、冷媒排出部22は筐体部24の短手方向の他端部に第1〜第3モジュール区域27a〜27cの並び方向に沿って延設されている。冷媒導入口211及び冷媒排出口221は筐体部24の長手方向における同一方向に配置されている。また、冷媒導入部21及び冷媒排出部22は、熱伝導率が高いアルミニウムによって形成されている。
【0045】
次に、本実施例の要部について説明する。
【0046】
実施例1において筐体部24は、半導体モジュール16A、16Bが配置された冷却板23の面と反対側の面と対向するように配置されている。筐体部24の側壁部241が、冷却板23のうち半導体モジュール16A、16Bが配置された面と反対側の面であって、放熱フィン25が立設されていない周縁部と当接し、液状シール等によってシールされている。そして、第1モジュール区域27a及び第2モジュール区域27bと対向する位置に立設された放熱フィン25が対向壁部242に形成されたフィン穴244に埋設され、冷却板23は筐体24の開口を塞ぐカバーの役割を果たしている。そして、隣り合う放熱フィン25の隙間と冷却板23と側壁部241と対向壁部242とによって複数の冷媒流路26a〜26cが形成されている。これにより、冷却媒体が外部に漏れないように冷媒流路26a〜26cが密閉されている。
【0047】
このように構成することにより、冷媒導入部21の冷媒導入口211から導入された冷却媒体を第1〜第3モジュール区域27a〜27cの並び方向に沿って流通させつつ、冷媒導入部21の開口部212及び筐体部24のスリット部243を介して冷媒流路26a〜26cに導入する。冷媒流路26a〜26cに導入された冷却媒体は、冷媒導入部21から冷媒排出部22の方向へ流通する。このとき、冷却媒体は、冷却板23に配置された半導体モジュール16A、16Bとの間で熱交換を行う。熱交換を行った後の冷却媒体は、冷媒排出部22の開口部212及び筐体部24のスリット部243を介して冷媒排出部22へ達し、冷媒排出部22の冷媒排出口221から半導体冷却器2の外部へ排出される。以下、第1モジュール区域27aに対向する複数の冷媒流路26aを第1モジュール冷却領域28a、第2モジュール区域27bに対向する複数の冷媒流路26bを第2モジュール冷却領域28b、第3モジュール区域27c対向する複数の冷媒流路26cを第3モジュール冷却領域28cという。
【0048】
実施例1においては、第1モジュール冷却領域28aを構成する複数の冷媒流路26aの流路高さは一定となるように形成されている。同様に、第2モジュール冷却領域28bを構成する複数の冷媒流路26bの流路高さは一定となるように形成されており、第3モジュール冷却領域28cを構成する複数の冷媒流路26cの流路高さは一定となるように形成されている。また、図3に示すように、隣り合う放熱フィン25間の距離(L)及び冷却板23の長手方向の両端部に立設された放熱フィン25と隣り合う筐体部24の側壁部242との距離(L)は同一となるように構成されているため、冷却板23の長手方向における冷媒流路26a〜26cの各流路幅は同一である。
【0049】
最も発熱量が小さい第1モジュール区域27aと対向する位置の第1モジュール冷却領域28aにおける冷媒流路26aの流路高さをH1、次いで発熱量が大きい第2モジュール区域27bと対向する位置の第2モジュール冷却領域28bにおける冷媒流路26bの流路高さをH2、発熱量が最も大きい第3モジュール区域27cと対向する位置の第3モジュール冷却領域28cにおける冷媒流路26cの流路高さをH3とした場合、H3>H2>H1となる関係を備えている。具体的には、第1モジュール区域27aと対向する位置における対向壁部242を基準として、対向壁部242から冷却板23までの長さが、冷媒導入部21の冷媒導入口211側から冷媒導入部21の下流側に順次長くなるように形成されている。そして、第1モジュール区域27a及び第2モジュール区域27bと対向する位置に立設された放熱フィン25の先端部が、対向する対向壁部242に形成されたフィン穴244に埋設されている。
【0050】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0051】
実施例1においては、半導体冷却器2の冷媒流路26a〜26cは、隣り合う放熱フィン25の隙間と冷却板23と側壁部241と対向壁部242とによって形成される。また、放熱フィン25の立設方向における冷媒流路26a〜26cの流路高さが異なるように形成される。そのため、冷媒流路26a〜26cの流路高さを調整することによって、冷媒流路26a〜26cに導入される冷却媒体の導入量を調整することができる。よって、半導体冷却器2に形成される複数の冷媒流路26a〜26cの冷却性能を調整することができる。
【0052】
また、最も発熱量が大きい第3モジュール区域27cと対向する位置の第3モジュール冷却領域28cにおける冷媒流路26cの流路高さH3が他の冷媒流路26a、26bの流路高さH1、H2より高く形成されているため、第1、第2モジュール冷却領域28a、28bに導入される冷却媒体の導入量と比較して、第3モジュール冷却領域28cに導入される冷却媒体の導入量を多くすることができる。よって、発熱量が小さい第1、第2モジュール区域27a、27bと対向する位置の第1、第2モジュール冷却領域28a、28bの冷却性能と比較して、発熱量が大きい第3モジュール区域27cと対向する位置の第3モジュール冷却領域28cの冷却性能を大きくすることができる。
【0053】
また、冷却板23に立設される放熱フィン25のフィン高さは全て同じに形成される。そして、第1モジュール区域27a及び第2モジュール区域27bと対向する位置に立設された放熱フィン25の先端部が、対向する対向壁部242に形成されたフィン穴244に埋設されている。よって、冷却板23に立設する放熱フィン25のフィン高さを変化させずに、冷媒流路26a〜26cの流路高さを調整することができる。
【0054】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。
【0055】
図7は実施例2における冷却板23の斜視図、図8は実施例2における筐体部24の斜視図を示している。
【0056】
図7に示すように実施例2においては、放熱フィン25の立設方向におけるフィン高さが異なるように形成されている。具体的には、冷却板23の短手方向の一端側から他端側の方向に対して偶数列目(以下、偶数列目と称す)に形成された放熱フィン25bのフィン高さが、冷却板23の短手方向の一端側から他端側の方向に対して奇数列目(以下、奇数列目と称す)に形成された放熱フィン25aのフィン高さより低く形成されている。
【0057】
図8に示すように、冷却板23と筐体部24とを組み合わせた際に第1、第2モジュール区域27a、27bと対向(以下、第1モジュール区域27aと対向、第2モジュール区域27bと対向と称す)し、かつ冷却板23の奇数列目に形成された放熱フィン25aと対向する位置における対向壁部242にフィン穴244が形成され、偶数列目に形成された放熱フィン25bと対向する位置における対向壁部242にフィン穴244は形成されていない。ここで、冷却板23の偶数列目に形成された放熱フィン25bのフィン高さは、第1モジュール区域27aが配置されている冷却板23から対向する対向壁部242間の距離に相当している。そのため、冷却板23と筐体部24とを組み合わせる際、第1モジュール区域27aと対向し、かつ冷却板23の偶数列目に形成された放熱フィン25bの先端部が対向する対向壁部242に当接され、第2、第3モジュール区域27b、27cと対向し、かつ冷却板23の偶数列目に形成された放熱フィン25bの先端部が対向する対向壁部と離間して位置する点が実施例1と異なる。
【0058】
なお、上記以外の構成は実施例1と同様である。
【0059】
次に、実施例2の作用効果について説明する。
【0060】
実施例2においては、冷却板23に立設される放熱フィン25a、25bのフィン高さが異なるように形成される。フィン高さの高い放熱フィン25aの先端部のみが対向壁部242に形成されたフィン穴244に埋設される。よって、放熱フィン25a、25bの立設方向におけるフィン高さを同じに形成した場合と比較して、対向壁部242に埋設する放熱フィン25a、25bの数を減らすことができる。
【0061】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。
【0062】
図9は実施例3における筐体部24の斜視図を示している。
【0063】
図9に示すように実施例3においては、対向壁部242に複数のリブ34を配置し、隣り合うリブ34間に溝部35を形成している。具体的には、図9に示すように、第1、第2モジュール区域27a、27bと対向する位置の対向壁部242に直方体のリブ34が複数配置されている。直方体のリブ34は、その長手方向が筐体部24の短手方向を向き、かつ隣り合うリブ34間が筐体部24の長手方向に対して一定間隔をあけて10個配置されている。実施例3において、隣り合うリブ34間の間隔は、図4に示す円柱状のピンフィンの直径より長く構成されている。また、対向壁部242から冷却板23方向におけるリブ34の高さは、第1モジュール区域27aと対向する位置に配置されたリブ34の高さより、第2モジュール区域27bと対向する位置に配置されたリブ34の高さが低くなっている。そのため、冷却板23と筐体部24とを組み合わせる際、第1、第2モジュール区域27a、27bに形成された放熱フィン25の先端部が、溝部35に押し込まれる点が実施例1と異なる。
【0064】
なお、上記以外の構成は実施例1と同様である。
【0065】
次に、実施例3の作用効果について説明する。
【0066】
実施例3においては、対向壁部242に配置された複数のリブ34における隣り合うリブ34間に溝部35が形成される。そして、形成された溝部35に放熱フィン25の先端部が押し込まれる。よって、対向壁部242に放熱フィン25の先端部を埋設する構造を形成する構成と比較して、対向壁部242に間隔をあけて複数のリブ34を配置するだけで容易に放熱フィン25の先端部を押し込む構造を形成することができる。
【0067】
(実施例4)
次に、実施例4について説明する。
【0068】
図10は実施例4における冷却板23の斜視図、図11は実施例4における筐体部24の斜視図を示している。
【0069】
図10に示すように実施例4においては、放熱フィン25の立設方向におけるフィン高さが異なるように形成されている。具体的には、第1、第2モジュール区域27a、27bと対向し、かつ冷却板23の偶数列目に形成された放熱フィン25bのフィン高さが冷却板23の奇数列目に形成された放熱フィン25aのフィン高さより低く形成されている。また、第1モジュール区域27aと対向する位置に形成される放熱フィン25bのフィン高さが、第2モジュール区域27bと対向する位置に形成される放熱フィン25bのフィン高さより低く形成されている。つまり、冷却板23の偶数列目に形成された放熱フィン25bのフィン高さは、第1モジュール区域27aと対向する側から第3モジュール区域27cと対向する側に順次高くなるように形成されている。
【0070】
また、図11に示すように、対向壁部242に対向壁部242の法線方向に対する高さが異なる階段状の段差部36が配置されている。具体的には、第1、第2モジュール区域27a、27bと対向する位置に段差部36が2個配置されている。段差部36は、その長手方向が対向壁部242の長手方向を向くように配置されている。第1モジュール区域27aと対向する位置に配置された段差部36の高さが、第2モジュール区域27bと対向する位置に配置された段差部36の高さより高く構成されている。つまり、段差部36は段差を1つ有する略L字形状を有している。
【0071】
そのため、冷却板23と筐体部24とを組み合わせる際、第1、第2モジュール区域27a、27bと対向し、かつ冷却板23の偶数列目に形成された放熱フィン25b、つまり、段差部36と対向する位置に形成される放熱フィン25bの先端部が段差部36に当接される。また、第1、第2モジュール区域27a、27bと対向し、かつ冷却板23の奇数列目に形成された放熱フィン25aの先端部が対向する対向壁部242と当接される点が実施例1と異なる。
【0072】
なお、上記以外の構成は実施例1と同様である。
【0073】
次に、実施例4の作用効果について説明する。
【0074】
実施例4においては、段差部36と対向する位置に形成される放熱25bの先端部が段差部36に当接され、対向壁部242と対向する位置に形成される放熱フィン25a、25bの先端部が対向壁部242に当接される。よって、対向壁部242に放熱フィン25a、25bの先端部を埋設する構造を形成する構成と比較して、対向壁部242に段差部36を配置するだけで冷却板23と筐体部24を組み合わせることができるため、対向壁部242に対する加工の工数を削減することができる。
【0075】
(実施例5)
次に、実施例5について説明する。
【0076】
図12は実施例5における半導体冷却器2の断面図を示している。
【0077】
図12に示すように実施例5においては、冷却板23に立設された放熱フィン25のフィン高さは、発熱量が異なる第1〜第3モジュール区域27a〜27cと対向する位置で異なるように形成されている。具体的には、第1モジュール冷却区域28aを構成する放熱フィン25の立設方向におけるフィン高さをH1、第2モジュール冷却区域28bを構成する放熱フィン25の立設方向におけるフィン高さをH2、第3モジュール冷却区域28cを構成する放熱フィン25の立設方向におけるフィン高さをH3とした場合、H3>H2>H1となる関係を備えている。そして、放熱フィン25の先端部が対向する対向壁部242と当接している。また、冷却板23に立設される放熱フィン25の高さが、冷媒導入部21の冷媒導入口211側から冷媒導入部21の下流側に順次高くなるように形成されている点が実施例1と異なる。
【0078】
なお、上記以外の構成は実施例1と同様である。
【0079】
次に、実施例5の作用効果について説明する。
【0080】
実施例5においては、冷却板23に立設される放熱フィン25のフィン高さは、発熱量が異なる第1〜第3モジュール区域27a〜27cと対向する位置で異なって形成されている。そして、冷却板23と対向壁部242間の距離及び放熱フィン25のフィン高さを異ならせることにより、冷媒流路26a〜26cの流路高さが異なるように形成されている。よって、放熱フィン25の先端部を対向壁部242に埋設させる構造と比較して、公差により放熱フィン25の立設位置がずれても冷却板23と筐体部24とを容易に組み合わせることができる。
【0081】
(実施例6)
次に、実施例6について説明する。
【0082】
図13は実施例6における半導体冷却器2の平面図、図14は図13のA−A断面図、図15は図13のB−B断面図を示している。
【0083】
実施例6においては図14、図15に示すように、側壁部241は対向壁部242より反冷却器側に延出して形成されている。筐体部24は、側壁部241の反冷却器側の端部に対向壁部242と対向する端壁部245を備えている。そのため、側壁部241と対向壁部242と端壁部245との間に空間部が形成されている。また、端壁部245から対向壁部242方向に対して、空間部を筐体部24の短手方向に区画する区画壁部246が立設されている。そして、端壁部245と側壁部241の一部と対向壁部242と区画壁部246とによって、冷却媒体が流通する導入流通路30及び排出流通路31が形成されている。導入流通路30は、冷媒導入部21を構成するとともに、冷媒流路26a〜26cの流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させるように形成されている。導入流通路30における冷媒流通方向の一端に冷媒導入口211が形成されている。また、排出流通路31は、冷媒排出部22を構成するとともに、冷媒流路26a〜26cの流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させるように形成されている。排出流通路31における冷媒流通方向の一端に冷媒排出口221が形成されている。
【0084】
導入流通路30と冷媒流路26a〜26cとは対向壁部242の短手方向における一方の端部に設けられた導入側連通孔32を介して連通されている。排出流通路31と冷媒流路冷媒流路26a〜26cとは対向壁部242の短手方向における他方の端部に設けられた排出側連通孔33を介して連通されている。
【0085】
このように構成することにより、冷媒導入口211から導入流通路30に導入された冷却媒体を第1〜第3モジュール区域27a〜27cの並び方向に沿って流通させつつ、導入側連通孔32を介して冷媒流路26a〜26cに導入する。冷媒流路26a〜26cに導入された冷却媒体は、導入側連通孔32側から排出側連通穴33の方向へ流通する。このとき、冷却媒体は、冷却板23に配置された半導体モジュール16A、16Bとの間で熱交換を行う。熱交換を行った後の冷却媒体は、排出側連通孔33を介して排出流通路31へ達し、冷媒排出口221から半導体冷却器2の外部へ排出される。
【0086】
なお、上記以外の構成は実施例1と同様である。
【0087】
次に、実施例6の作用効果について説明する。
【0088】
実施例6においては、端壁部245と側壁部241の一部と対向壁部242と区画壁部246とによって、冷却媒体が流通する導入流通路30及び排出流通路31が形成される。そのため、筐体部24の内部に形成された導入流通路30及び排出流通路31によって冷媒流路26a〜26cの流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させることができる。よって、筐体部24の外部に冷媒流路26a〜26cの流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させる流通路を形成する場合と比較して、半導体冷却器2の体格を小型化することができる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されることはなく、本発明の技術的範囲に存在する限り、以下のように変形させてもよい。
【0090】
・上記実施例において、冷却板23と放熱フィン25は一体となるように構成されているが、別体となるように構成してもよい。
【0091】
・上記実施例において、冷媒導入部21、冷媒排出部22、冷却板23、筐体部24及び放熱フィン25はアルミニウムによって形成されているが、鉄、銅等、熱伝導率が高い部材や樹脂等から構成してもよい。
【0092】
・上記実施例において、冷却板23と側壁部241とをシールするために液状シールを用いているが、Oリング、パッキン、ロウ付け、はんだ付け、接着剤等を用いてもよい。
【0093】
・上記実施例において、冷媒導入部21の冷媒導入口211及び冷媒排出部22の冷媒排出口221は筐体部24の長手方向における同方向に配置されているが、冷媒排出部22の冷媒排出口221を冷媒導入部21の下流側に配置してもよい。
【0094】
・上記実施例において、半導体素子16A、16BはIGBT素子161A、161Bを用いているが、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いてもよい。
【0095】
・上記実施例において、半導体モジュール16A、16Bは1in1型であったが、2個のスイッチング素子を1個のパッケージに収めた2in1型、3個のスイッチング素子を1個のパッケージに収めた3in1型、6個のスイッチング素子を1個のパッケージに収めた6in1型であってもよい。
【0096】
・上記実施例において、半導体冷却器2のうち半導体モジュール16A、16Bが配置されている面と反対側の面にコンデンサ等の電子部品を配置してもよい。
【0097】
・上記実施例において、冷却板23の長手方向における冷媒流路26a〜26cの各流路幅は同一となるように形成されているが、流路幅を異なるように形成してもよい。
【0098】
・上記実施例において、発熱量が最も高い第3モジュール区域27cを冷媒導入部21の冷媒導入口211側に配置してもよいし、冷媒導入部21の冷媒導入口211側から冷媒導入部21の下流側までの間に配置してもよい。
【0099】
・上記実施例において説明した各冷却板23と各筐体部24を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
・上記実施例においては、電力変換装置1が駆動した際の発熱量を、第3モジュール区域27c>第2モジュール区域27b>第1モジュール区域27aと仮定して記載したが、第1モジュール区域27aの発熱量が第2、第3モジュール区域27b、27cの発熱量より大きくてもよい。
【0101】
・上記実施例2、4、5においては、放熱フィン25a、25bの先端部が対向する対向壁部242と当接しているが、接着剤等により両者を接合してもよい。
【0102】
・上記実施例2、4において、放熱フィン25a、25bのフィン高さを偶数列目と奇数列目で入れ換えてもよい。
【0103】
・上記実施例4において、階段状の段差部36は1つの部材であるが、2以上の部材を組み合わせて構成してもよい。また、段差を2以上有する段差部36を3個以上用いてもよい。
【0104】
・上記実施例においては、1つの冷却板23に対して第1〜第3モジュール区域27a〜27cが配置されているが、第1〜第3冷却板23a〜23cを用意し、第1モジュール区域27aを第1冷却板23a、第2モジュール区域27bを第2冷却板23b、第3モジュール区域27cを第3冷却板23cに配置してもよい。
【0105】
具体的には、図16に示すように、筐体部24の対向壁部242から冷却板部23方向に対して第1、第2仕切り部29a、29bが形成されている。第1仕切り部29aは冷媒流路26aと冷媒流路26bとの間に形成され、第2仕切り部29bは冷媒流路26bと冷媒流路26cとの間に形成されている。そして、第1冷却板23aが側壁部241及び第1仕切り部29aと当接し、第2冷却板23bが側壁部242及び第1、第2仕切り部29a、29bと当接し、第3冷却板23cが側壁部242及び第2仕切り部29bと当接し液状シール等によってシールされる構成としてもよい。
【0106】
・上記実施例において、放熱フィン25は円柱状のピンフィンを用いているが、ストレートフィン25cや波形に形成されたコルゲートフィンを用いてもよい。また、放熱フィン25を冷却板23に対して千鳥状に配置してもよい。実施例3においては、図17に示すように、冷却板23に直方体のリブを複数立設して構成したストレートフィン25cを放熱フィン25として用いてもよい。具体的には、直方体のリブは、その長手方向が冷却板23の短手方向を向き、かつリブ間が冷却板23の長手方向に一定間隔をあけて15個配置され、ストレートフィン25cが形成されている。また、ストレートフィン25cの立設方向におけるフィン高さが全て同じとなるように形成されている。そして、冷却板23と筐体部24とを組み合わせる際、第1、第2モジュール区域27a、27bに形成されたストレートフィン25cの先端部が、溝部35に押し込まれる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 電力変換装置
16A、16B 半導体モジュール
2 半導体冷却器
21 冷媒導入部
211 冷媒導入口
22 冷媒排出部
221 冷媒排出口
23、23a、23b、23c 冷却板
24 筐体部
241 側壁部
242 対向壁部
245 端壁部
246 区画壁部
25、25a、25b、25c 放熱フィン
26a、26b、26c 冷媒流路
27a、27b、27c 第1〜第3モジュール区域
28a、28b、28c 第1〜第3モジュール冷却領域
30 導入流通路
31 排出流通路
32 導入側連通孔
33 排出側連通孔
34 リブ
35 溝部
36 段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵し、発熱量が異なる複数の半導体モジュール(16A、16B)と、
前記半導体モジュール(16A、16B)が配置された冷却板(23)と、
前記冷却板(23)と対向して配置される筐体部(24)と、
冷却媒体が導入される冷媒導入部(21)と冷却媒体が排出される冷媒排出部(22)とを備えた半導体冷却器(2)であって、
前記冷却板(23)には、前記半導体モジュール(16A、16B)が配置された面と反対側の面に複数の放熱フィン(25)が立設され、
前記筐体部(24)は前記放熱フィン(25)の立設方向と直交する方向を覆う側壁部(241)と、前記放熱フィン(25)と対向し前記放熱フィン(25)の立設方向を覆う対向壁部(242)とを備えており、
隣り合う前記放熱フィン(25)の隙間と前記冷却板(23)と前記側壁部(241)と前記対向壁部(242)とによって冷却媒体が流通する冷媒流路(26a、26b、26c)が形成され、
前記放熱フィン(25)の立設方向における前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが、発熱量が異なる前記半導体モジュールと対向する前記冷媒流路(26a、26b、26c)によって異なること、
を特徴とする半導体冷却器(2)。
【請求項2】
前記半導体モジュール(16A、16B)は、発熱量が異なる前記半導体モジュール(16A、16B)毎のモジュール区域(27a、27b、27c)を構成し、
前記冷媒流路(26a、26b、26c)は、発熱量が異なる前記モジュール区域(27a、27b、27c)に対向する複数のモジュール冷却領域(28a、28b、28c)を構成し、
発熱量が大きい前記モジュール区域(27a、27b、27c)と対向する位置の前記モジュール冷却領域(28a、28b、28c)における前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが、発熱量が小さい前記モジュール区域(27a、27b、27c)と対向する位置の前記モジュール冷却領域(28a、28b、28c)における前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さより高いこと、
を特徴とする請求項1に記載の半導体冷却器(2)。
【請求項3】
前記放熱フィン(25)の立設方向におけるフィン高さは同じに形成され、
流路高さの低い前記冷媒流路(26a、26b、26c)においては、前記放熱フィン(25)の先端部が前記対向壁部(242)に埋設されることにより、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが異なっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器(2)。
【請求項4】
前記放熱フィン(25)の立設方向におけるフィン高さが異なるように形成され、
前記流路高さの低い前記冷媒流路(26a、26b、26c)においては、フィン高さが高い前記放熱フィン(25)の先端部が前記対向壁部(242)に埋設されることにより、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが異なっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器(2)。
【請求項5】
前記対向壁部(242)に、前記対向壁部(242)の法線方向に対する高さが異なる複数のリブ(34)が配置され、
隣り合う前記リブ(34)間に溝部(35)が形成され、
前記放熱フィン(25)の先端部が前記溝部(35)に押し込まれることにより、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが異なっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器(2)。
【請求項6】
前記放熱フィン(25)の立設方向におけるフィン高さが異なるように形成され、
前記対向壁部(242)に、前記対向壁部(242)の法線方向に対する高さが異なる階段状の段差部(36)が配置され、
前記放熱フィン(25)のうち、前記段差部(36)と対向する位置に形成される放熱フィン(25)の先端部が前記段差部(36)に当接され、前記対向壁部(242)と対向する位置に形成される前記放熱フィン(25)の先端部が前記対向壁部(242)に当接されることにより、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが異なっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器(2)。
【請求項7】
前記放熱フィン(25)のフィン高さは、発熱量が異なる前記モジュール区域(27a、27b、27c)と対向する位置で異なって形成され、
前記冷却板(23)と前記対向壁部(242)間の距離及び前記放熱フィン(25)のフィン高さを異ならせることにより、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流路高さが異なっていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体冷却器(2)。
【請求項8】
前記側壁部(241)は、前記対向壁部(242)よりも反冷却板側に延出して形成され、
前記筐体部(24)は、前記側壁部(241)の反冷却板側の端部に前記対向壁部(242)と対向する端壁部(241)と、前記対向壁部(242)と前記端壁部との間に形成された空間を区画する区画壁部(246)とを備え、
前記端壁部(241)と前記側壁部(241)の一部と前記対向壁部(242)と前記区画壁部(246)とによって、冷却媒体が流通する導入流通路(30)及び排出流通路(31)が形成され、
前記導入流通路(30)は、前記冷媒導入部(21)を構成するとともに、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させるように形成され、
前記排出流通路(31)は、前記冷媒排出部(22)を構成するとともに、前記冷媒流路(26a、26b、26c)の流通方向と直交する方向に冷却媒体を流通させるように形成され、
前記導入流通路(30)と前記冷媒流路(26a、26b、26c)とは導入側連通孔(32)を介して連通され、前記排出流通路(31)と前記冷媒流路(26a、26b、26c)とは排出側連通孔(33)を介して連通されていること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体冷却器(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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