説明

半導体層の製造方法、光電変換装置の製造方法および半導体層形成用液

【課題】 I−II−IV−VI族化合物を含む半導体層を簡易な方法で製造すること。
【解決手段】 半導体層の製造方法は、構造式(1)で表される第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む半導体層形成用液を用いて皮膜を形成する工程と、皮膜を加熱してI−II−IV−VI族化合物を含む半導体層にする工程とを具備する。
【化17】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、I−II−IV−VI族化合物を含む半導体層の製造方法、およびそれを用いた光電変換素子の製造方法、ならびに半導体層の形成に用いる半導体層形成用液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の光吸収層として、シリコンや化合物半導体が採用されている。化合物半導体としては、GaAs等のIII−V族化合物、CdSやCdTe等のII−VI族化合物、CuInGaSe(CIGS)等のI−III−VI族化合物、およびCuZnSnS(CZTS)等のI−II−IV−VI族化合物がある。
【0003】
このうちカルコゲナイド系の化合物は光吸収係数が大きいために、光吸収層の薄膜化が可能であり、また高い変換効率が得られていることから、従来のシリコンに代わる次世代太陽電池として注目されている。中でも、I−II−IV−VI族化合物はインジウムおよびガリウム等の希少元素を含まないことから、特に注目度が高い。
【0004】
このようなI−II−IV−VI族化合物の製造方法として、例えば、非特許文献1では、電子ビーム蒸着法を用いてSLG(ソーダライムガラス)上にSn/Cu/ZnS積層前駆体を形成し、前駆体を5%HS+N雰囲気下で硫化させるCZTSの製造方法が開示されている。
【0005】
また、非特許文献2では、金属カルコゲナイドをヒドラジンに溶解した溶液を用いたCZTSの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Takeshi Kobayashi et al., "Investigation of Cu2ZnSnS4-Based Thin Film Solar Cells Using Abundant Materials", Japanese Journal of Applied Physics, vol.44, No.1B, 2005, pp.783-787
【非特許文献2】T. K. Todorov, et al., Advanced Energy Materials 22, E-156-E159(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1の製造方法では、真空プロセスを使用するために、製造コストが高くなるという問題があった。また、非特許文献2の製造方法では、溶媒として用いられるヒドラジンは、人体にとって極めて有毒であることや金属カルコゲナイドを溶解させる際にアンモニアなどの有害なガスが発生するおそれがあることから、製造工程に特殊な装置を設ける等の対策が必要となり、量産化が困難であるという問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、I−II−IV−VI族化合物を含む半導体層を簡易な方法で製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る半導体層の製造方法は、構造式(1)で表される第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む半導体層形成用液を用いて皮膜を形成する工程と、該皮膜を加熱してI−II−IV−VI族化合物を含む半導体層にする工程とを具備する。
【0010】
【化7】

【0011】
なお、構造式(1)中、MはI−B族元素を表す。また、MはII−B族元素を表す。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R〜Rのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X〜Xはそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、L〜Lはそれぞれ独立に配位子を表す。また、L〜Lのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法は、上記半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程とを具備する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る半導体層形成用液は、構造式(1)で表される第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む。
【0014】
【化8】

【0015】
なお、構造式(1)中、MはI−B族元素を表す。また、MはII−B族元素を表す。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R〜Rのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X〜Xはそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、L〜Lはそれぞれ独立に配位子を表す。また、L
〜Lのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体層を容易に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の光電変換装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。光電変換装置11は、基板1と、第1の電極層2と、第1の半導体層3と、第2の半導体層4と、第2の電極層5とを含んで構成される。本実施例においては、第1の半導体層3が光吸収層であり、第2の半導体層4が第1の半導体層3に接合されたバッファ層である例を示すがこれに限定されず、第2の半導体層4が光吸収層であってもよい。
【0019】
図1、図2において、光電変換装置11は、複数の光電変換セル10が並べて形成されている。そして、光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。図1、図2においては、この第3の電極層6は、隣接する光電変換セル10の第1の電極層2が延伸されたものである。この構成により、隣接する光電変換セル10同士が直列接続されている。なお、1つの光電変換セル10内において、接続導体7は第1の半導体層3および第2の半導体層4を貫通するように設けられており、第1の電極層2と第2の電極層5とで挟まれた第1の半導体層3と第2の半導体層4とで光電変換が行なわれる。
【0020】
基板1は、光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。
【0021】
第1の電極層2および第3の電極層6は、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体が用いられ、基板1上にスパッタリング法または蒸着法等で形成される。
【0022】
第1の半導体層3はI−II−IV−VI族化合物を主に含む半導体層である。I−II−IV−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とII−B族元素(12族元素ともいう)とIV−B族元素(14族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物半導体である。I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、CuZnSnS(CZTSともいう)、CuZnSnS4−xSe(CZTSSeともいう。なお、xは0より大きく4より小さい数である。)、およびCuZnSnSe(CZTSeともいう)が挙げられる。このようなI−II−IV−VI族化合物は光吸収係数が大きいため、10μm以下の薄層として用いても有効な起電力を得ることができる。
【0023】
このような第1の半導体層3は、次のようにして作製される。先ず、第1の半導体層3を形成するための半導体層形成用液を作製する。この半導体層形成用液は、構造式(1)で表される第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む。
【0024】
【化9】

【0025】
なお、構造式(1)中、MはI−B族元素を表す。また、MはII−B族元素を表す。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R〜Rのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X〜Xはそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。カルコゲン元素とは、VI−B族元素のうちのS、Se、Teをいう。また、L〜Lはそれぞれ独立に配位子を表す。また、L〜Lのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
【0026】
また、半導体層形成用液に用いられる溶媒としては、上記第1錯体化合物を溶解可能なものが用いられ、例えば、トルエン、ピリジン、キシレン、アセトン等が挙げられる。このように半導体層形成用液は溶媒として、ヒドラジンのような特殊な溶媒でなく、汎用の有機溶媒が採用され得るため、半導体層の製造工程に溶媒を処理するための特殊な設備が不要となり、製造工程が簡略化可能となる。
【0027】
また、IV−B族元素は、有機錯体等の種々の化合物の状態で半導体層形成用液に含まれている。このような第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む半導体層形成用液は、第1の電極2を有する基板1の表面に、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレーまたはダイコータなどを用いて塗布され、乾燥されて皮膜となる。乾燥は、還元雰囲気下で行うことが望ましい。乾燥時の温度は、例えば、50〜300℃で行う。
【0028】
そして、上記皮膜が熱処理されて、1.0〜2.5μmの厚みの第1の半導体層3が作製される。熱処理は、酸化を防止して良好な半導体層とするために、非酸化性ガス雰囲気下で行なわれても良い。熱処理における非酸化性ガス雰囲気としては、窒素雰囲気、フォーミングガス雰囲気および水素雰囲気等がある。熱処理温度は、例えば、400℃〜600℃とされる。
【0029】
以上のような半導体層の作製方法により、第1の半導体層3が良好に作製される。つまり、上記半導体層形成用溶を用いて作製された皮膜は、I−B族元素、II−B族元素およびVI−B族元素が第1錯体化合物として互いに接近して存在しているため、反応性が高くなる。そのため、I−II−IV−VI族化合物が良好に生成する。
【0030】
なお、上記皮膜は、第1錯体化合物に含まれたVI−B族元素(カルコゲン元素)を原料として反応し、カルコゲン元素を含む第1の半導体層3を形成可能であるが、半導体層形成用液に別途、カルコゲン元素が溶解されていてもよい。また、皮膜の熱処理時の雰囲気にカルコゲン元素が含まれていても良い。このような方法により蒸発等により不足しやす
いカルコゲン元素が十分に供給され所望の組成を有する第1の半導体層3が形成され得る。
【0031】
また、第1錯体化合物との反応性が高く、I−II−IV−VI族化合物をさらに良好に形成するという観点からは、IV−B族元素は、半導体層形成用液中に、構造式(2)で表される第2錯体化合物として含まれていてもよい。
【0032】
【化10】

【0033】
なお、構造式(2)中、MはIV−B族元素を表す。また、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R11〜R13のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X11〜X13はそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、Y1は1価の陽イオンを表す。
【0034】
このような第2錯体化合物は、IV−B族元素とVI−B族元素が1つの分子内で接近して存在するとともに、第1錯体化合物と互いに高い親和力で結合する。そのため、第2錯体化合物内におけるIV−B族元素とVI−B族元素の反応性が高いだけでなく、第1錯体化合物と第2錯体化合物との間におけるI−B族元素、II−B族元素、IV−B族元素およびVI−B族元素の反応性が高くなる。その結果、I−II−IV−VI族化合物がさらに良好に生成しやすくなる。
【0035】
また、I−B族元素と、II−B族元素と、IV−B族元素と、VI−B族元素とのモル比を容易に制御するという観点から、半導体層形成用液は、構造式(3)で表される第3錯体化合物をさらに含んでいてもよい。
【0036】
【化11】

【0037】
なお、構造式(3)中、MはII−B族元素を表す。また、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R21〜R24のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X21〜X24はそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、Yは1価の陽イオンを表す。
【0038】
このような第3錯体化合物は、II−B族元素とVI−B族元素が1つの分子内で接近して存在するとともに、第1錯体化合物と互いに高い親和力で結合する。そのため、第3錯体化合物内におけるII−B族元素とVI−B族元素との反応性が高いだけでなく、第1錯体化合物と第2錯体化合物との間におけるI−B族元素、II−B族元素、IV−B族元素およびVI−B族元素の反応性が高くなる。その結果、I−II−IV−VI族化合物を良好に形成できるとともにII−B族元素を第3錯体化合物の状態で添加することによって組成調整が容易となる。
【0039】
特に、半導体層形成用液が、上記の第1錯体化合物、第2錯体化合物および第3錯体化合物を含む場合、I−B族元素と、II−B族元素と、IV−B族元素と、VI−B族元素(カルコゲン元素)とのモル比を任意に制御することができ、所望とする組成の第1の半導体層3を良好に作製することができる。また、このような半導体層形成用液は、第1錯体化合物と、第2錯体化合物および第3錯体化合物が半導体層形成用液中で互いに高い親和力で結合した状態となる。よって、この半導体層形成用液を用いて皮膜を形成する際に相分離することなく、各原料元素が均一に分散し、かつ、互いに接近した状態の皮膜を形成することができる。その結果、この皮膜を熱処理した際、各原料元素同士が良好に反応し、I−II−IV−VI族化合物半導体層を良好に形成することが可能となる。
【0040】
以上のような第1錯体化合物、第2錯体化合物および第3錯体化合物の作製工程について、以下に説明する。
【0041】
<<第1錯体化合物の作製工程>>
第1錯体化合物は、以下に示すように、先ず、錯体Aおよび錯体Bが作製される。そして、この錯体Aおよび錯体Bを用いて、第1錯体化合物が作製される。
【0042】
<錯体Aの作製>
錯体Aは、I−B族元素に任意の配位子が配位した金属錯体の一部の配位子を、この配位子よりも配位力の強いルイス塩基で置換したものである。例えば、I−B族元素をM
とし、任意の配位子をQとし、任意の陰イオンをZとし、ルイス塩基をLとしたときに、錯体Aは[Lと表わすことができる。
【0043】
このようなルイス塩基としては、複素環式化合物、ホスフィン化合物、アミン化合物を用いることができる。
【0044】
上記の複素環式化合物としては、置換基を有していてもよいピリジン、キノリン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、トリアジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、フラン、トリアゾール、トリアジン、アクリジン等が挙げられる。錯体Bとの反応性を高めるという観点から、複素環式化合物として、ピリジン、キノリン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、またはトリアジンを用いても良い。
【0045】
上記のホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、プロピルジフェニルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、1−ブチルジフェニルホスフィン、1−ヘキシルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(3−フリル)ホスフィン、トリ(2−ピリジル)ホスフィン、トリ(3−ピリジル)ホスフィン、トリ(4−ピリジル)ホスフィン、2−フリルジフェニルホスフィン、3−フリルジフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、3−ピリジルジフェニルホスフィン、4−ピリジルジフェニルホスフィン等が挙げられる。錯体Bとの反応性を高めるという観点から、ホスフィン化合物として、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(3−フリル)ホスフィン、トリ(2−ピリジル)ホスフィン、トリ(3−ピリジル)ホスフィン、トリ(4−ピリジル)ホスフィン、2−フリルジフェニルホスフィン、3−フリルジフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、3−ピリジルジフェニルホスフィン、4−ピリジルジフェニルホスフィンを用いても良い。特にトリフェニルホスフィンは取扱性も良好である。なお、ここに例示したホスフィン化合物のフェニル基、シクロヘキシル基、フリル基及びピリジル基は置換基を有していてもよい。
【0046】
上記のアミン化合物としては、トリフェニルアミン、ジフェニルアミン、プロピルジフェニルアミン、tert−ブチルジフェニルアミン、n−ブチルジフェニルアミン、n−ヘキシルジフェニルアミン、シクロヘキシルジフェニルアミン、ジシクロヘキシルフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン等が挙げられる。錯体Bとの反応性を高めるという観点から、アミン化合物として、トリフェニルアミン、ジフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミンを用いても良い。なお、ここに例示したアミン化合物のフェニル基及びシクロヘキシル基は置換基を有していてもよい。
【0047】
錯体Aは例えば反応式(11)のようにして作製される。I−B族元素をMとし、任意の配位子をQとし、Zを任意の陰イオンとしたときにI−B族錯体[M]が、例えば、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の溶媒に溶解される。そして、この溶液にルイス塩基Lが溶解され、I−B族錯体の配位子の一部がルイス塩基に置換されて、錯体Aとして[Lが生成する。
【0048】
【化12】

【0049】
錯体Aの作製の具体例を以下に示す。I−B族錯体としてCu(CHCN)・PF等の金属錯体がアセトニトリル等の溶媒に溶解される。そして、この溶液にルイス塩基LとしてP(Cが溶解されることにより、錯体Aが{P(CCu(CHCN)・PFとして生成する。
【0050】
<錯体Bの作製>
錯体BはII−B族元素にカルコゲン元素含有有機化合物が配位した錯体化合物である。カルコゲン元素含有有機化合物とは、カルコゲン元素(S、SeまたはTe)を有する有機化合物である。カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、アクリル、アリール、アルキル、ビニル、パーフルオロ、カルバメート等の有機化合物にカルコゲン元素が結合した、チオール、セレノール、テルロール等が挙げられる。錯体Bは、例えば、II−B族元素をMとし、カルコゲン元素含有有機化合物をRX(Rは有機化合物であり、Xはカルコゲン元素である)とし、任意の陽イオンをYとしたときに、錯体Bは(Y[M(XR)2−と表わすことができる。
【0051】
錯体Bは例えば反応式(12)のようにして作製される。II−B族元素Mの塩M(例えば、ZnO等の金属酸化物やZnCl等の金属塩化物を含む)、およびカルコゲン元素含有有機化合物の塩Y(XR)(例えば、Na(SeC)等を含む)が、メタノール、エタノール、プロパノール等の溶媒中で反応することにより、錯体Bとして(Y[M(XR)2−が生成する。
【0052】
【化13】

【0053】
錯体Bの作製の具体例を以下に示す。II−B族元素Mの塩としてZnCl、およびカルコゲン元素含有有機化合物の塩としてNa(SeC)がメタノール等の溶媒に溶解されることにより、これらが反応して、錯体BとしてNa[Zn(SeC2−が生成する。
【0054】
<錯体Aと錯体Bとを用いた第1錯体化合物の作製>
上記のようにして作製した錯体Aの溶液と錯体Bの溶液とを混合することにより、錯体Aと錯体Bとが反応し、I−B族元素、II−B族元素、およびカルコゲン元素を含有する、構造式(4)で示される第1錯体化合物を含む沈殿物が生じる。錯体Aと錯体Bとを反応させる時の温度は例えば0〜30℃であり、反応時間は例えば1〜5時間である。第1錯体化合物を含む沈殿物は、NaやClなどの不純物を取り除くために、遠心分離もしくは濾過などの手法を用いて洗浄されても良い。
【0055】
【化14】

【0056】
<<第2錯体化合物の作製工程>>
第2錯体化合物は例えば以下に示すようにして作製される。先ず、カルコゲン元素含有有機化合物とルイス塩基とが溶媒に溶解される。そして、この溶液に、IV−B族元素が単体あるいは合金の状態で直接溶解されることによって第2錯体化合物が生成する。この生成した第2錯体化合物は、石油エーテル、ヘキサン、トルエンなどの非極性有機溶媒が上記の溶液に滴下されることによって、沈殿として単離されても良い。
【0057】
第2錯体化合物に用いられるカルコゲン元素含有有機化合物は、第1錯体化合物に用いられるカルコゲン元素含有有機化合物で示されるような化合物が用いられる。なお、第1錯体化合物で用いられるカルコゲン元素含有有機化合物と第2錯体化合物で用いられるカルコゲン元素含有有機化合物とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0058】
第2錯体化合物の作製に用いられるルイス塩基は、カルコゲン元素含有有機化合物の配位力を高めるためのものである。このようなルイス塩基としては、複素環式化合物、ホスフィン化合物、アミン化合物等が用いられ得る。
【0059】
第2錯体化合物を作製する際のカルコゲン元素含有有機化合物とルイス塩基との混合比は、例えば、カルコゲン元素含有有機化合物がモル比でルイス塩基の0.01〜2.5倍とすればよい。
【0060】
第2錯体化合物の作製の具体例を以下に示す。まず、カルコゲン元素含有有機化合物としてフェニルセレノールと、ルイス塩基としてアニリンとが混合される。そして、この混合液にIV−B族元素としてのスズが単体金属あるいは合金の状態で添加され溶解された後、ヘキサン等の非極性溶媒が添加されることにより、構造式(5)で示される第2錯体化合物が沈殿物として得られる。
【0061】
【化15】

【0062】
<<第3錯体化合物の作製工程>>
第3錯体化合物は、第2錯体化合物の作製におけるIV−B族元素をII−B族元素とすること以外は、同様にして作製される。
【0063】
第3錯体化合物の作製の具体例を以下に示す。まず、カルコゲン元素含有有機化合物としてフェニルセレノールと、ルイス塩基としてアニリンとが混合される。そして、この混合液溶媒にII−B族元素としての亜鉛が単体金属あるいは合金の状態で添加され溶解された後、ヘキサン等の非極性溶媒が添加されることにより、構造式(6)で示される第3錯体化合物が沈殿物として得られる。
【0064】
【化16】

【0065】
光電変換セル10は、第1の半導体層3上に第1の半導体層3とは異なる導電型の第2の半導体層4が、例えば10〜200nmの厚みで形成される。第1の半導体層3および第2の半導体層4は、一方がn型で他方がp型の異なる導電型を有しており、これらがpn接合している。第1の半導体層3がp型であり第2の半導体層4がn型であってもよく、逆の関係であってもよい。なお、第1の半導体層3および第2の半導体層4によるpn接合は第1の半導体層3と第2の半導体層4とが直接接合しているものに限らない。例えば、これらの間に第1の半導体層3と同じ導電型の他の半導体層かまたは第2の半導体層4と同じ導電型の他の半導体層をさらに有していてもよい。また、第1の半導体層3と第2の半導体層4との間に、i型の半導体層を有するpin接合であってもよい。
【0066】
第1の半導体層3と第2の半導体層4とはホモ接合であってもよく、ヘテロ接合であってもよい。ヘテロ接合である場合、第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられ、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で10〜200nmの厚みで形成される。なお、In(OH,S)とは、InとOHとSとから主に構成された化合物をいう。(Zn,In)(Se,OH)は、ZnとInとSeとOHとから主に構成された化合物をいう。(Zn,Mg)Oは、ZnとMgとOとから主に構成された化合物をいう。
【0067】
第2の電極層5は、ITO、ZnO等の0.05〜3.0μmの透明導電膜である。第2の電極層5は、スパッタリング法、蒸着法または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。第2の電極層5は、第2の半導体層4よりも抵抗率の低い層であり、第1の半導体層3で生じた電荷を取り出すためのものである。電荷を良好に取り出すという観点からは、第2の電極層5の抵抗率が1Ω・cm未満でシート抵抗が50Ω/□以下であってもよい。
【0068】
光電変換装置11は、複数個の光電変換セル10が並べられてこれらが電気的に接続されて成る。隣接する光電変換セル10同士を容易に直列接続するために、図1、図2に示すように、光電変換セル10は、第1の半導体層3の基板1側に第1の電極層2と離間して設けられた第3の電極層6を具備している。そして、第1の半導体層3に設けられた接続導体7によって、第2の電極層5と第3の電極層6とが電気的に接続されている。
【0069】
図1において、接続導体7は、第1の半導体層3、第2の半導体層4および第2の電極層5を貫通する溝内に、導電性ペースト等の導体が充填されて形成されている。接続導体7はこれに限定されず、第2の電極層5が延長されて形成されていてもよい。
【0070】
また、図1、図2のように、第2の電極層5上に集電電極8が設けられていてもよい。集電電極8は、第2の電極層5の電気抵抗を小さくするためのものである。第2の電極層5上に集電電極8が設けられることにより、第2の電極層5の厚さを薄くして光透過性を高めるとともに第1の半導体層3で発生した電流が効率よく取り出される。その結果、光電変換装置11の発電効率が高められる。
【0071】
集電電極8は、例えば、図1に示すように、光電変換セル10の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、第1の半導体層3の光電変換により生じた電荷が第2の電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル10に良好に伝達される。
【0072】
集電電極8の幅は、第1の半導体層3への光を遮るのを低減するとともに良好な導電性を有するという観点からは、50〜400μmとされ得る。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
【0073】
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
【0074】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【実施例】
【0075】
<第1錯体化合物の合成>
第1錯体化合物として構造式(4)に示す(Ph3P)2Cu(SePh)2Zn(SePh)2Cu(PPh3)2の合成を行なった。
【0076】
以下の操作はすべて乾燥窒素にて十分に置換されたグローブボックス内で行った。まず、300mlのマイヤーフラスコを用意して、これにI−B族元素の金属錯体として10mmolのテトラキスアセトニトリル銅(I)テトラフルオロホウ酸塩と、ルイス塩基として30mmolのトリフェニルホスフィンとを秤量し、さらに100mlの脱水メタノールを加えて、マグネチックスターラーにて室温で3時間攪拌した(この溶液を反応溶液1という)。
【0077】
1000mlのマイヤーフラスコを用意して、これに20mmolのナトリウムメトキシドを秤量し、500mlの脱水メタノールを加えて、完全に溶解するまでマグネチックスターラーで撹拌した。この溶液に、20mmolのフェニルセレノールを加え、15分撹拌したのち、5mmolの塩化亜鉛(無水)を加えて、さらに1時間撹拌した(この溶液を反応溶液2という)。
【0078】
反応溶液1を反応溶液2の入ったマイヤーフラスコに滴下し、さらに2時間撹拌を行っ
た。生成した黄色の沈殿をろ取し、脱水メタノールで洗浄したのち、減圧乾燥を行い、目的物を得た。収率は90%であった。
【0079】
<第2錯体化合物の合成>
第2錯体化合物として構造式(5)に示すNH4Sn(SePh)の合成を行なった。
【0080】
以下の操作はすべて乾燥窒素にて十分に置換されたグローブボックス内で行った。還流冷却器を装着した30mlのマイヤーフラスコを用意して、ルイス塩基として50mmolのアニリンと、カルコゲン元素含有有機化合物として60mmolのフェニルセレノールとを混合した混合液を作製し、マグネチックスターラーにて室温で1時間撹拌した。この混合液に10mmolのスズを加えて、70℃で12時間撹拌した。室温まで放冷したのち、反応溶液を150mlのn−ヘキサンを入れた300mlのマイヤーフラスコに、ゆっくり滴下した。得られた沈殿物をろ取し、n−ヘキサンで洗浄したのち、減圧乾燥を行い、目的物を得た。収率は65%であった。
【0081】
<第3錯体化合物の合成>
第3錯体化合物として構造式(6)に示す(NH4)2Zn(SePh)4の合成を行なった。
【0082】
以下の操作はすべて乾燥窒素にて十分に置換されたグローブボックス内で行った。還流冷却器を装着した30mlのマイヤーフラスコを用意して、ルイス塩基として50mmolのアニリンと、カルコゲン元素含有有機化合物として60mmolのフェニルセレノールとを混合した混合液を作製し、マグネチックスターラーにて室温で1時間撹拌した。この混合液に10mmolの亜鉛を加えて、70℃で12時間撹拌した。室温まで放冷したのち、反応溶液を150mlのn−ヘキサンを入れた300mlのマイヤーフラスコに、ゆっくり滴下した。得られた沈殿物をろ取し、n−ヘキサンで洗浄したのち、減圧乾燥を行い、目的物を得た。収率は70%であった。
【0083】
<半導体層形成用液の作製>
以下の操作はすべて乾燥窒素にて十分に置換されたグローブボックス内で行った。(Ph3P)2Cu(SePh)2Zn(SePh)2Cu(PPh3)2を7.46g、(NH4)2Zn(SePh)4を1.05g、およびNH4Sn(SePh)を2.75gそれぞれ秤量し、市販の脱水ピリジン(含水量<50ppm)16.9gに溶解させた。
【0084】
<光電変換装置の作製>
上記の半導体層形成用液をドクターブレード法にて、ソーダライムガラス基板1のMoからなる第1の電極層2上に塗布膜を形成した。塗布膜は、グローブボックス内で、キャリアガスとして窒素ガスを用いて半導体層形成用液を第1の電極層2へ塗布することにより形成した。塗布の後、上記試料をホットプレートで110℃に加熱しながら、5分間乾燥させることにより皮膜を形成させた。
【0085】
皮膜形成後、水素ガス雰囲気下で熱処理を実施した。熱処理条件は、525℃まで5分間で急速昇温し、525℃で1時間保持することで行い、その後、自然冷却して、厚み1.5μmの化合物半導体薄膜からなる第1の半導体層3を作製した。
【0086】
この第1の半導体層3のX線回折結果から、得られた第1の半導体層3はCuZnSnSeであることがわかった。
【0087】
この後、酢酸カドミウム、チオ尿素をアンモニア水に溶解し、これに上記試料を浸漬し、第1の半導体層3上に厚み0.05μmのCdSからなる第2の半導体層4を形成した。さらに、第2の半導体層4の上に、スパッタリング法にてAlドープ酸化亜鉛膜(第2
の電極層5)を形成した。最後に蒸着にてアルミ電極(取出電極)を形成して、光電変換装置11を作製した。
【0088】
この光電変換装置11に光を照射したところ、光電変換により光エネルギーが電気エネルギーに変換されることを確認できた。
【0089】
以上より、本発明によれば、真空プロセスや有毒なヒドラジンを用いることなく、I−II−IV−VI族化合物を含む半導体層を簡易な方法で製造することができることがわかった。
【符号の説明】
【0090】
1:基板
2:第1の電極層
3:第1の半導体層(I−II−IV−VI族化合物を含む半導体層)
4:第2の半導体層
5:第2の電極層
6:第3の電極層
7:接続導体
8:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(1)で表される第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む半導体層形成用液を用いて皮膜を形成する工程と、
該皮膜を加熱してI−II−IV−VI族化合物を含む半導体層にする工程と
を具備することを特徴とする半導体層の製造方法。
【化1】

(式中、MはI−B族元素を表す。また、MはII−B族元素を表す。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R〜Rのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X〜Xはそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、L〜Lはそれぞれ独立に配位子を表す。また、L〜Lのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。)
【請求項2】
前記半導体層形成用液は、前記IV−B族元素を構造式(2)で表される第2錯体化合物として含んでいる請求項1に記載の半導体層の製造方法。
【化2】

(式中、MはIV−B族元素を表す。また、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R11〜R13のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X11〜X13はそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、Y1は1価の陽イオンを表す。)
【請求項3】
前記半導体層形成用液は、構造式(3)で表される第3錯体化合物をさらに含んでいる
請求項1または2に記載の半導体層の製造方法。
【化3】

(式中、MはII−B族元素を表す。また、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R21〜R24のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X21〜X24はそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、Yは1価の陽イオンを表す。)
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、
該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程と
を具備することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
構造式(1)で表される第1錯体化合物およびIV−B族元素を含む半導体層形成用液。
【化4】

(式中、MはI−B族元素を表す。また、MはII−B族元素を表す。また、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R〜Rのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X〜Xはそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、L〜Lはそれぞれ独立に配位子を表す。また、L〜Lのうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。)
【請求項6】
前記IV−B族元素を構造式(2)で表される第2錯体化合物として含んでいる請求項5に記載の半導体層形成用液。
【化5】

(式中、MはIV−B族元素を表す。また、R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R11〜R13のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X11〜X13はそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、Y1は1価の陽イオンを表す。)
【請求項7】
構造式(3)で表される第3錯体化合物をさらに含んでいる請求項5または6に記載の半導体層形成用液。
【化6】

(式中、MはII−B族元素を表す。また、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアリールアミノ基、置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、置換もしくは無置換のシリル基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。また、R21〜R24のうち2つ以上が連結して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。また、X21〜X24はそれぞれ独立にカルコゲン元素を表す。また、Yは1価の陽イオンを表す。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−26541(P2013−26541A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161774(P2011−161774)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】