説明

半導体発光装置の製造方法

【課題】樹脂埋め込み型の半導体発光装置において、レーザリフトオフ法を用いて成長用基板を剥離する際の半導体膜へのダメージを防止し、更に樹脂材料のアブレーションに伴う半導体膜への異物の付着を防止することができる半導体発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】レーザを照射する工程は、分割溝によって分割された半導体膜の少なくとも1つの個片と樹脂30の少なくとも1つの個片に隣接する部分を含む範囲に樹脂が分解し且つ半導体膜が分解されないエネルギー密度でレーザ照射を行う第1レーザ照射ステップと、少なくとも1つの個片を含む範囲に半導体膜が分解し得るエネルギー密度でレーザ照射を行う第2レーザ照射ステップと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の半導体発光装置に関し、特に半導体膜の結晶成長に用いられる成長用基板をレーザリフトオフ法により除去する工程を含む半導体発光装置の製造方法に関する。
【従来技術】
【0002】
LED(発光ダイオード)等の発光素子は、近年の技術の進歩により高効率、高出力化されている。しかし、高出力化に伴って発光素子から発せられる熱量も増加し、これによる信頼性の低下が問題となっている。これを解決するために比較的熱伝導性の低い成長用基板を除去し、これに替えて比較的熱伝導性の高い金属等で半導体膜を支持する構成がとられている。かかる構造とすることにより、発光素子の放熱性が改善される他、成長用基板を除去することにより発光効率、特に光取り出し効率の向上も期待できる。すなわち、成長用基板を光が通過する際に起こる光吸収や半導体膜と成長用基板の屈折率差に起因してその界面で全反射される光の成分を減じることが可能となる。GaN系半導体膜から成長用基板を剥離する場合、レーザリフトオフ(LLO)法が用いられるのが一般的である。
【0003】
特許文献1には、レーザリフトオフの際に半導体膜に隣接する樹脂材料から発生するカーボン系の異物が半導体膜の剥離面に付着するため、これをレーザによって除去する手法が記載されている。
【0004】
特許文献2は、レーザリフトオフ法によらずに成長用基板を除去する方法として以下の手順を開示している。サファイア基板の表面に周期的なストライプ状又は島状の犠牲膜を形成する。サファイア基板の露出部より第1の窒化物半導体を横方向成長させて、犠牲膜を覆わない状態で成長を止める。エッチングにより犠牲膜を除去することにより第1の窒化物半導体の下部に空間を形成する。第1の窒化物半導体の上面および横方向成長部分である側面より第2の窒化物半導体を成長させる。これにより、窒化物半導体内部に空間が形成されて窒化物半導体はサファイア基板上に柱状構造によって支持される。窒化物半導体とサファイア基板との接合強度が低下するので振動や熱衝撃によってサファイア基板を除去することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−303994号公報
【特許文献2】特開2002−261032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、半導体膜の表面に支持基板としてCu膜を形成する場合、半導体膜に半導体発光装置の1区画を画定する素子分割ラインに沿って格子状の素子分割溝(ストリート)を形成しておき、この素子分割溝に樹脂を埋め込むことにより半導体膜の表面を平坦化する。平坦化された半導体膜上に電界めっき法等によりCu膜が形成され、その後、レーザリフトオフ法により成長用基板が除去される。このような樹脂埋め込み型の半導体発光装置において、レーザリフトオフ法により成長用基板を剥離すると以下のような問題が生じる。すなわち、レーザリフトオフ法においては、成長用基板の裏面側からレーザを照射し、成長用基板の上に形成されているGaN系半導体膜を金属GaとNガスに分解する。このとき、発生したNガスは外部に放出されにくく、半導体膜と成長用基板の界面付近に滞留し、Nガスの圧力による衝撃で半導体膜にクラックが生じる場合がある。また、レーザ照射によって半導体膜の分解・蒸発と樹脂の分解・蒸発が同時に起こるが、半導体膜に隣接する部分において樹脂が残り易く、半導体膜の周囲に樹脂が残っている状態で成長用基板を剥離すると半導体膜のエッジ部やコーナ部にクラックが生じる場合がある。更に、レーザ照射によって半導体膜の分解・蒸発と樹脂の分解・蒸発が同時に起こるため、レーザ照射によって樹脂材料から発生するカーボン系物質が、成長用基板を剥離することによって表出した半導体膜の表出面の下に導入され、半導体膜の表出面にカーボン系の異物が付着する。その後、半導体膜の表出面に電極等を形成したり、光取り出し効率を向上させるための加工を施す場合、特許文献1に記載されているように、半導体膜の表面に付着したカーボン系異物を除去するための工程が必要となっていた。
【0007】
また、特許文献2に記載の手法によれば、レーザリフトオフによらず半導体膜から成長用基板を剥離することが可能となるが、半導体膜の結晶成長は、犠牲膜のエッチング工程を挟んで2段階で行われることとなるため工程が煩雑になる。また、犠牲膜の除去方法としてエッチングを用いると半導体膜の表面に形成される電極や絶縁膜などにダメージが及ぶ場合ある。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、樹脂埋め込み型の半導体発光装置において、レーザリフトオフ法を用いて成長用基板を剥離する際の半導体膜へのダメージを防止し、更に樹脂材料のアブレーションに伴う半導体膜への異物の付着を防止することができる半導体発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体発光装置の製造方法は、成長用基板の上に半導体膜を形成する工程と、
前記半導体膜を素子分割ラインに沿ってエッチングして、前記半導体膜に前記成長用基板に達する分割溝を形成して前記半導体膜を分割する工程と、前記分割溝にレーザ吸収性を有する樹脂を充填する工程と、前記半導体膜上に前記半導体膜を支持する支持部材を形成する工程と、前記成長用基板の裏面側からレーザを照射して前記成長用基板との界面近傍における前記半導体膜および前記樹脂を分解して前記成長用基板を前記半導体膜から剥離する工程と、を含み、前記レーザを照射する工程は、前記分割溝によって分割された前記半導体膜の少なくとも1つの個片と前記樹脂の前記少なくとも1つの個片に隣接する部分を含む範囲に前記樹脂が分解し且つ前記半導体膜が分解されないエネルギー密度でレーザ照射を行う第1レーザ照射ステップと、前記少なくとも1つの個片を含む範囲に前記半導体膜が分解し得るエネルギー密度でレーザ照射を行う第2レーザ照射ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る半導体発光装置の製造方法によれば、第1レーザ照射ステップにおいて半導体膜に隣接する樹脂を分解することより半導体膜の周囲に空隙が形成されるので、第2レーザ照射ステップにおいて半導体膜から発生するNガスは上記空隙から放出される。これにより、半導体膜下にNガスは滞留せず高圧が発生しないため、半導体膜のクラックの発生は回避される。また、2段階でレーザ照射を行うことにより、半導体膜の周囲の樹脂を確実に除去できるので、サファイア基板を剥離する際に半導体膜のエッジ部やコーナ部にクラックが導入されることもない。更に、第2レーザ照射ステップにおいて、樹脂へのレーザ照射を極力抑えることにより、半導体膜の表出面へのカーボン系異物の付着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る半導体膜の層構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例である成長用基板の剥離工程におけるレーザ照射範囲を示す図である。
【図5】(a)は、本発明に係る2段階のレーザ照射により成長用基板を剥離したときの半導体膜の表面の状態を示す図である。(b)は、比較例であり、1段階のレーザ照射により成長用基板を剥離したときの半導体膜の表面の状態を示す図である。
【図6】(a)は、本発明に係る2段階のレーザ照射により成長用基板を剥離したときの半導体膜の表面の状態を示す図である。(b)は、比較例であり、1段階のレーザ照射により成長用基板を剥離したときの半導体膜の表面の状態を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例2に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例3に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例3に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。尚、以下に示す図において、実質的に同一又は等価な構成要素、部分には同一の参照符を付している。以下の説明では、一例としてAlxInyGazN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)からなる半導体膜を含むLEDの製造に本発明を適用した場合について説明する。
【0013】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例に係る半導体発光装置を構成する半導体膜11の層構造を示す断面図、図2および図3は、本発明の実施例1に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。実施例1に係る半導体発光装置は、成長用基板上に結晶成長させた半導体膜を電界めっき法により形成されたCu膜により支持する構成を有するものである。
【0014】
(半導体膜形成工程)
半導体膜の成長用基板として使用するサファイア基板10を用意する。サファイア基板10を水素雰囲気中で1000℃、10分間加熱してサファイア基板10のサーマルクリーニングを行う。次にMOCVD法(有機金属気相成長法)によりサファイア基板10上に低温バッファ層111、下地GaN層112、n−GaN層113、活性層114、p−AlGaNクラッド層115、p−GaN層116からなる半導体膜11を形成する。具体的には、基板温度を500℃とし、TMG(トリメチルガリウム)(流量10.4μmol/min)およびNH(流量3.3LM)を約3分間供給してGaNからなる低温バッファ層111をサファイア基板10上に形成する。その後、基板温度を1000℃まで昇温し、約30秒間保持することで低温バッファ層111を結晶化させる。続いて、基板温度を1000℃に保持したままTMG(流量45μmol/min)およびNH(流量4.4LM)を約20分間供給し、膜厚1μm程度の下地GaN層112を形成する。次に、基板温度1000℃にてTMG(流量45μmol/min)、NH(流量4.4LM)およびドーパントガスとしてSiH(流量2.7×10-9mol/min)を約100分間供給し、膜厚5μm程度のn−GaN層113を形成する。続いて、n−GaN層113の上に活性層114を形成する。本実施例では、活性層114としてInGaN/GaNからなる多重量子井戸構造を適用した。すなわち、InGaN/GaNを1周期として5周期の成長を行う。具体的には、基板温度を700℃とし、TMG(流量3.6μmol/min)、TMI(トリメチルインジウム)(流量10μmol/min)、NH(流量4.4LM)を約33秒間供給し、膜厚約2.2nmのInGaN井戸層を形成し、続いてTMG(流量3.6μmol/min)、NH(流量4.4LM)を約320秒間供給して膜厚約15nmのGaN障壁層を形成する。かかる処理を5周期分繰り返すことにより活性層114が形成される。次に、基板温度を870℃まで昇温し、TMG(流量8.1μmol/min)、TMA(トリメチルアルミニウム)(流量7.5μmol/min)、NH(流量4.4LM)およびドーパントとしてCpMg(bis-cyclopentadienyl Mg)(流量2.9×10-7μmol/min)を約5分間供給し、膜厚約40nmのp−AlGaNクラッド層115を形成する。続いて、基板温度を保持したまま、TMG(流量18μmol/min)、NH(流量4.4LM)およびドーパントとしてCpMg(流量2.9×10-7μmol/min)を約7分間供給し、膜厚約150nmのp−GaN層116を形成する。サファイア基板10上には、これらの各層によって構成される半導体膜11が形成される(図2(a))。
【0015】
(素子分割溝形成工程)
次に、半導体膜11に個々の半導体発光装置を区画する素子分割溝20を形成する。具体的には、半導体膜11の表面にレジスト材を塗布した後、露光・現像処理を経て形成すべき素子分割溝に対応した格子状パターンのレジストマスク(図示せず)を形成する。次に、ウエハをRIE(反応性イオンエッチング)装置に投入し、Clプラズマによるドライエッチングによりレジストマスクの開口部において露出した半導体膜11をエッチングする。半導体膜11には、サファイア基板10に達する格子状の素子分割溝20が形成される。素子分割溝20により、半導体膜11は例えば一辺が1000μmの個片(チップ)11aに分割される(図2(b))。
【0016】
(保護膜形成および電極形成工程)
次に、素子分割溝20を形成したことによって露出した半導体膜の個片11aの側面に例えばSiOからなる保護膜12を形成する。保護膜12は、半導体膜11の露出面に異物が付着して、リークやショートが発生するのを防止する役割を担う。保護膜12は、例えばCVD法やスパッタ法により半導体膜11上にSiO膜を堆積させ、エッチング法又はリフトオフ法等によりパターニングすることにより形成される。
【0017】
次に、半導体膜の個片11aの各々の表面にp電極13を形成する。半導体膜の個片11aの各々の表面にp電極13のパターンに対応したレジストマスクを形成しておき、電子ビーム蒸着法などによってPt(1nm)/Ag(150nm)/Ti(100nm)/Au(200nm)を順次堆積する。その後、レジストマスク上に堆積されたこれらの金属膜をリフトオフすることによりp電極13を形成する(図2(c))。
【0018】
(樹脂埋め込み工程)
次に、半導体膜11に形成された素子分割溝20にレーザ吸収性を有する樹脂30を充填する。樹脂30の材料として、例えばノボラック樹脂を含有するレジスト材を用いることができる。レジスト材をスピンコート法によりウエハ上に均一に塗布し、素子分割溝20にレジスト材を充填する。その後、150℃程度の熱処理を行ってレジスト材に含まれる溶液や水分を除去し、レジスト材を硬化させる。その後、素子分割溝20に埋め込まれた樹脂30の表面とp電極13の表面が同一平面となるように平坦化処理を行う(図2(d))。尚、樹脂30は、レジスト材以外にもポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
【0019】
(支持基板の形成工程)
次に、半導体膜11上に支持基板として機能するCu膜41を形成する。具体的には、p電極13および樹脂30が最表面に表出している構造体の表面に例えばスパッタ法によりCuからなるめっきシード層40を形成する。その後、シアン化銅若しくは硫酸銅ベースのめっき浴中にウエハを浸漬し、電界めっき法によりめっきシード層40の上にCu膜41を成長させて支持基板を形成する(図2(e))。
【0020】
(成長用基板剥離工程)
次に、レーザリフトオフ法により、サファイア基板10を剥離する。サファイア基板10は、照射するレーザのエネルギー密度を変えて2段階のレーザ照射を行うことにより剥離される。各段階において、レーザ光源として波長248nmのKrFエキシマレーザを用いた。エキシマレーザは、サファイア10に対しては透過性を有する一方、半導体膜11を構成するGaNに吸収されるという特性を有する。従って、本実施例においては、サファイア基板10との界面付近で、低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部 がGaとNガスに分解される。レーザ照射は、例えば素子分割溝20によって区画された個片(チップ)11a単位で行われる。
レーザ照射工程の第1段階(第1レーザ照射ステップ)では、サファイア基板10の裏面側から、素子分割溝20に充填された樹脂30のみが分解し、半導体膜11が分解されない比較的低いエネルギー密度(例えば200mJ/cm)でレーザ照射を行う。1ショットの照射範囲は、図4において破線100で示される。すなわち、破線100は、第1レーザ照射ステップにおけるビームスポットを示している。第1レーザ照射ステップでは、1ショットで半導体膜の個片11aの1つと樹脂30の当該個片11aの周囲を囲む部分を含む範囲にレーザが照射される。照射範囲は、素子分割溝20の幅方向の中間位置まで及んでいてもよい。より具体的には、ビームスポット100は、1辺が1000μmである半導体膜の個片11aのサイズよりも大きい、例えば一辺1120μmの正方形に成形され、ビームスポットの中心位置と半導体膜の個片11aの中心位置の位置合わせがなされてレーザ照射が行われる。かかる条件でレーザ照射を行うことにより、半導体膜の個片11aの周囲を囲む部分において樹脂30が分解・蒸発し、個片11aの外周に空隙31が形成される(図3(a))。
ビームスポット100は、順次走査され、個片11aごとにレーザ照射が行われる。そして、ウエハの全域に亘ってレーザ照射が行われる。図3(b)は、第1レーザ照射ステップが完了した後の状態を示している。第1レーザ照射ステップでは、レーザのエネルギー密度は低く抑えられているので、この段階で低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部は分解に至らず、サファイア基板10と半導体膜11は接合したままであるので、樹脂30の分解・蒸発に伴って発生するカーボン系物質が半導体膜11に付着することはない。
【0021】
レーザ照射工程の第2段階(第2レーザ照射ステップ)では、サファイア基板10の裏面側から、低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部を分解し得る比較的高いエネルギー密度(例えば850mJ/cm)でレーザ照射を行う。1ショットの照射範囲は、図4において破線110で示される。すなわち、破線110は、第2レーザ照射ステップにおけるビームスポットを示している。図4に示すように、第2レーザ照射ステップにおける照射範囲は、第1レーザ照射ステップにおける照射範囲よりも狭くなるようにビーム成形される。第2レーザ照射ステップにおいては、少なくとも半導体膜の個片11aを含み、且つできる限り当該半導体膜の個片11aの周囲を囲む部分の樹脂30を含まないようにレーザ照射することが好ましい。具体的には、ビームスポット110は、1辺が1000μmである半導体膜の個片11aのサイズよりも僅かに大きい、例えば一辺1040μmの正方形に成形され、ビームスポットの中心位置と半導体膜の個片11aの中心位置の位置合わせがなされてレーザ照射が行われる。かかる条件でレーザ照射を行うことにより、サファイア基板10との界面付近において、低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部は、GaとNガスに分解されて、レーザ照射部においてサファイア基板10は半導体膜11から剥離する(図3(c))。尚、レーザビームの成形は金属マスク等を用いることにより容易に行うことができる。
【0022】
先の第1レーザ照射ステップにおけるレーザ照射によって各個片11aの外周に形成された空隙31は、第2レーザ照射ステップにおけるレーザ照射によって半導体膜11から発生するNガスの放出経路として機能する。すなわち、発生したNガスは、半導体膜下に滞留することなく、空隙31を経由して外部に放出される。これにより、半導体膜11に作用するNガスの圧力は緩和され、クラックの発生を防止することが可能となる。また、第2レーザ照射ステップにおいてレーザの一部は、樹脂30にも照射されることとなるが、上記したようにビームスポット110を可能な限り小さく成形することにより、カーボン系物質の発生量を抑制することができ、半導体膜11の表出面へのカーボン系異物の付着量を大幅に低減することができる。また、半導体膜11の外周に形成された空隙31を経由してNガスが放出される際に、各個片11aの主面の外周に向かう方向に気流が生じるため、樹脂30から発生するカーボン系物質は、半導体膜11の下方には導入されにくくなり、半導体膜11の表出面への異物の付着を更に抑制することができる。
【0023】
ビームスポット110は、順次走査され、個片11aごとにレーザ照射が行われる。ウエハの全域に亘ってレーザ照射を行うことにより、サファイア基板10を半導体膜11から完全に剥離する(図3(d))。尚、本実施例では、レーザ光源としてKrFエキシマレーザを用いたが、波長193nmのArFエキシマレーザや、波長266nmのNd:YAGレーザも用いることができる。
【0024】
その後、サファイア基板10を剥離することによって表出した各個片11aの表出面にn電極(図示せず)を形成する。そして、レーザスクライブ法等により、素子分割溝20に沿って支持基板であるCu膜41をスクライビングすることによりチップ状に分割する。以上の工程を経ることにより半導体発光装置が完成する。
【0025】
図5(a)および図6(a)は、上記実施例で示した2段階のレーザ照射によりサファイア基板を剥離した後の半導体膜の表出面を撮影した金属顕微鏡写真である。図5(b)および図6(b)は、比較例として、1段階のレーザ照射のみによってサファイア基板を剥離した場合の半導体膜の表出面を示したものである。具体的には、素子分割溝によって区画された1辺1000μmの半導体膜の個片に対してビームスポットを1辺1120μmの正方形に成形し、エネルギー密度を半導体膜が分解し得る850mJ/cmとして1段階のレーザ照射でサファイア基板を剥離した。図5(a)および図6(a)に示すように、2段階のレーザ照射によりサファイア基板を剥離した場合、半導体膜11のエッジ部やコーナ部にクラックは確認されず、半導体膜11の表出面に異物はほとんど付着していなかった。一方、図5(b)に示すように、1段階のレーザ照射により一挙にサファイア基板を剥離した場合、半導体膜11のエッジ部にクラックが確認された。また、図6(b)に示すように、半導体膜11の表出面にカーボン系の異物が付着していることが確認された。
【0026】
このように、本実施例に係る半導体発光装置の製造方法では、第1レーザ照射ステップにおいて素子分割溝20に充填された樹脂30のみが分解し、半導体膜11に含まれるGaN層が分解されない比較的低いエネルギー密度でレーザ照射が行われ、第2レーザ照射ステップにおいてGaN層が分解し得る比較的高いエネルギー密度でレーザ照射が行われる。第2レーザ照射ステップのレーザ照射によって半導体膜11から発生するNガスは、第1レーザ照射ステップにおいて半導体膜11の周囲に形成された空隙31を経由して外部に放出されるので、半導体膜11の下にNガスは滞留せず高圧が発生しないため、半導体膜11のクラックの発生は回避される。また、2段階でレーザ照射を行うことにより、半導体膜11の周囲の樹脂を確実に除去できるので、サファイア基板10を剥離する際に半導体膜11のエッジ部やコーナ部にクラックが導入されることもない。
更に、第2レーザ照射ステップにおいて、樹脂30へのレーザ照射を極力抑えることにより、半導体膜11の表出面へのカーボン系異物の付着を防止することができる。従って、特許文献1に記載されているようなカーボン系異物を除去するための処理を省略することが可能となる。また、本発明に係る製法では、特許文献2に記載の製法のように半導体膜11の結晶成長を2段階で行うといった煩雑さもなく、また犠牲膜のエッチングといった処理も要しないので、半導体膜11に付随する電極や保護膜等にダメージを与えることはない。
【0027】
(実施例2)
図7および図8は、本発明の実施例2に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。実施例2に係る半導体発光装置は、成長用基板上に結晶成長させた半導体膜を別途用意されたSi基板により支持するタイプのものである。
【0028】
サファイア基板10の表面にMOCVD法によりサファイア基板10上にAlxInyGazNからなる半導体膜11を形成する。半導体膜11の構造および成長条件は、実施例1と同様である(図7(a))。
次に、半導体膜11に個々の半導体発光装置を区画する素子分割溝20を形成する。素子分割溝20は、実施例1の場合と同様、例えばClプラズマを用いたドライエッチングにより形成される。これにより、半導体膜11は例えば一辺が1000μmの個片(チップ)11aに分割される(図7(b))
次に、CVD法やスパッタ法などにより素子分割溝20を形成したことによって露出した半導体膜の個片11aの側面に例えばSiOからなる保護膜12を形成する。その後、半導体膜の個片11aの各々の表面に電子ビーム蒸着法などによってPt(1nm)/Ag(150nm)/Ti(100nm)/Au(200nm)を順次堆積し、リフトオフ法などによりパターニングしてp電極13を形成する(図7(c))。
【0029】
次に、半導体膜11に形成された素子分割溝20にレーザ吸収性を有する樹脂30を充填する。樹脂30は、後述する半導体膜と支持基板との貼り合わせ工程において行われる熱処理に耐え得る材料であるポリイミドなどを使用するのが好ましい。具体的には、ポリアミド酸の溶液をコーティング剤として用い、これをスピンコート法によりウエハ上に均一に塗布し、乾燥後、熱処理によってイミド化させる。その後、素子分割溝20に埋め込まれた樹脂30とp電極13の表面が面一となるように平坦化処理を行う(図7(d))。
【0030】
次に、支持基板として使用するシリコン単結晶等からなるシリコン基板50を用意する。シリコン基板50の一方の面には、Pt、Ti、Ni、Au、Pt、AuSuを蒸着法などにより順次堆積することにより共晶材を含む接合層51が形成される。次に、p電極層13と共晶材を含む接合層51とが対向した状態で半導体膜11とシリコン基板50とを密着させ、窒素雰囲気下で熱圧着する。接合層51に含まれる共晶材の溶融および固化によって半導体膜11とシリコン基板50とが接合される(図7(e))。
次に、レーザリフトオフ法により、サファイア基板10を剥離する。実施例1同様、サファイア基板10は、照射するレーザのエネルギー密度を変えて2段階のレーザ照射を行うことにより剥離される。レーザ光源として波長248nmのエキシマレーザを用いることができる。レーザ照射は、例えば素子分割溝20によって区画された個片11a単位で行われる。
【0031】
レーザ照射工程の第1段階(第1レーザ照射ステップ)では、サファイア基板10の裏面側から、素子分割溝20に充填された樹脂30のみが分解し、半導体膜11に含まれるGaN層が分解されない比較的低いエネルギー密度(例えば200mJ/cm)でレーザ照射を行う。1ショットの照射範囲は、図4において破線100で示される。すなわち、破線100は、第1レーザ照射ステップにおけるビームスポットを示している。第1レーザ照射ステップでは、1ショットで半導体膜の個片11aの1つと樹脂30の当該個片11aの周囲を囲む部分を含む範囲にレーザが照射される。照射範囲は、素子分割溝20の幅方向の中間位置まで及んでいてもよい。より具体的には、ビームスポット100は、1辺が1000μmである個片11aのサイズよりも大きい、例えば一辺1120μmの正方形に成形され、ビームスポットの中心位置と半導体膜の個片11aの中心位置の位置合わせがなされてレーザ照射が行われる。かかる条件でレーザ照射を行うことにより、半導体膜の個片11aの周囲を囲む部分において樹脂30が分解・蒸発し、個片11aの外周の全方向に空隙31が形成される(図8(a))。
【0032】
ビームスポット100は、順次走査され、個片11aごとにレーザ照射が行われる。そして、ウエハの全域に亘ってレーザ照射が行われる。図8(b)は、第1レーザ照射ステップが完了した後の状態を示している。第1レーザ照射ステップでは、レーザのエネルギー密度は低く抑えられているので、この段階で低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部は分解に至らず、サファイア基板10と半導体膜11は接合したままであるので、樹脂30の分解・蒸発に伴って発生するカーボン系物質が半導体膜11に付着することはない。
【0033】
レーザ照射工程の第2段階(第2レーザ照射ステップ)では、サファイア基板10の裏面側から、低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部を分解し得る比較的高いエネルギー密度(例えば850mJ/cm)でレーザ照射を行う。1ショットの照射範囲は、図4において破線110で示される。すなわち、破線110は、第2レーザ照射ステップにおけるビームスポットを示している。図4に示すように、第2レーザ照射ステップにおける照射範囲は、第1レーザ照射ステップにおける照射範囲よりも狭くなるようにビーム成形される。第2レーザ照射ステップにおいては、少なくとも半導体膜の個片11aを含み、且つできる限り当該半導体膜の個片11aの周囲を囲む部分の樹脂30を含まないようにレーザ照射することが好ましい。具体的には、ビームスポット110は、1辺が1000μmである個片11aのサイズよりも僅かに大きい、例えば一辺1040μmの正方形に成形され、ビームスポットの中心位置と半導体膜の個片11aの中心位置の位置合わせがなされてレーザ照射が行われる。かかる条件でレーザ照射を行うことにより、サファイア基板10との界面付近において、低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部は、GaとNガスに分解されて、レーザ照射部においてサファイア基板10は半導体膜11から剥離する(図8(c))。尚、レーザビームの成形は金属マスク等を用いることにより容易に行うことができる。
【0034】
先の第1レーザ照射ステップにおけるレーザ照射によって各個片11aの外周に形成された空隙31は、第2レーザ照射ステップにおけるレーザ照射によって発生するNガスの放出経路として機能する。すなわち、発生したNガスは、半導体膜11の下に滞留することなく、空隙31を経由して外部に放出される。これにより、半導体膜11に作用するNガスの圧力は緩和され、クラックの発生を防止することが可能となる。また、第2レーザ照射ステップにおいてレーザの一部は、樹脂30にも照射されることとなるが、上記したようにビームスポット110を可能な限り小さく成形することにより、カーボン系物質の発生量を抑制することができ、半導体膜11の表出面へのカーボン系異物の付着量を大幅に低減することができる。また、半導体膜11の外周に形成された空隙31を経由してNガスが放出される際に、各個片11aの主面の外側に向かう方向に気流が生じるため、樹脂30から発生するカーボン系物質は、半導体膜11の下方には導入されにくくなり、半導体膜11の表出面へのカーボン系異物の付着を更に抑制することができる。
【0035】
ビームスポット110は、順次走査され、個片11aごとにレーザ照射が行われる。ウエハの全域に亘ってレーザ照射を行うことにより、サファイア基板10を半導体膜11から完全に剥離する(図8(d))。
【0036】
その後、サファイア基板10を剥離することによって表出した各個片11aの表出面にn電極(図示せず)を形成する。そして、レーザスクライブ法等により、素子分割溝20に沿って支持基板であるシリコン基板50をスクライビングし、チップ状に分割する。以上の工程を経ることにより半導体発光装置が完成する。
【0037】
このように、本発明に係る製造方法は、半導体膜に接合されたシリコン基板が支持基板として機能する貼り合わせタイプの半導体発光装置にも適用することが可能であり、実施例1の場合と同様、半導体膜への異物付着およびクラックを防止することができる。
【0038】
(実施例3)
図9および図10は、本発明の実施例3に係る半導体発光装置の製造方法を示す断面図である。実施例3に係る半導体発光装置は、成長用基板上に結晶成長させた半導体膜11をサブマウント上にフリップチップ接続させたタイプのものである。
サファイア基板10の表面にMOCVD法により半導体膜を形成する。半導体膜の構造および成長条件は、実施例1と同様である。その後、所定のレジストマスクを介して半導体膜をエッチングすることによりn層を表出させる。次に、半導体膜に個々の半導体発光装置を区画する素子分割溝20を形成する。これにより、半導体膜は例えば一辺が1000μmの個片11aに分割される。次に、半導体膜の各個片11aの表面に、蒸着法などにより、p電極13およびn電極14を形成し、各個片11aの側面に、CVD法やスパッタ法などによりSiOからなる保護膜12を形成する(図9(a))。
【0039】
次に、例えば窒化アルミニウムや酸化アルミニウム等のセラミックからなるサブマウント60を用意する。サブマウント60の表面には、p電極13およびn電極14に対応した導体配線61が形成されている。半導体膜の各個片11aは、金バンプ70を介してサブマウント60上にフリップチップ接続される(図9(b))。
【0040】
次に、半導体膜の各個片11aとサブマウント60との間の空間および素子分割溝20にレーザ吸収性を有する樹脂30を充填する。樹脂30の充填により、絶縁性、耐湿性が確保され、半導体発光装置の信頼性を向上させることができる。樹脂材料としては、例えばポリイミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる(図9(c))。
【0041】
次に、レーザリフトオフ法により、サファイア基板10を剥離する。実施例1同様、サファイア基板10は、照射するレーザのエネルギー密度を変えて2段階のレーザ照射を行うことにより剥離される。レーザ光源として波長248nmのエキシマレーザを用いることができる。レーザ照射は、例えば素子分割溝20によって区画された半導体膜の個片11a単位で行われる。
【0042】
レーザ照射工程の第1段階(第1レーザ照射ステップ)では、サファイア基板10の裏面側から、樹脂30のみが分解し、半導体膜に含まれるGaN層が分解されない比較的低いエネルギー密度(例えば200mJ/cm)でレーザ照射を行う。1ショットの照射範囲は、図4において破線100で示される。すなわち、破線100は、第1レーザ照射ステップにおけるビームスポットを示している。第1レーザ照射ステップでは、1ショットで半導体膜の個片11aの1つと樹脂30の当該個片11aの周囲を囲む部分を含む範囲にレーザが照射される。照射範囲は、素子分割溝20の幅方向の中間位置まで及んでいてもよい。より具体的には、ビームスポット100は、1辺が1000μmである半導体膜の個片11aのサイズよりも大きい、例えば一辺1120μmの正方形に成形され、ビームスポットの中心位置と半導体膜の個片11aの中心位置の位置合わせがなされてレーザ照射が行われる。かかる条件でレーザ照射を行うことにより、樹脂30のうち半導体膜の外周を囲む部分が部分的に分解・蒸発し、半導体膜の外周に空隙31が形成される(図10(a))。
【0043】
ビームスポット100は、順次走査され、個片11aごとにレーザ照射が行われる。そして、ウエハの全域に亘ってレーザ照射が行われる。第1レーザ照射ステップでは、レーザのエネルギー密度は低く抑えられているので、この段階で低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部は分解に至らず、サファイア基板10と半導体膜11は接合したままであるので樹脂30の分解・蒸発に伴って発生するカーボン系物質が半導体膜に付着することはない。
【0044】
レーザ照射工程の第2段階(第2レーザ照射ステップ)では、サファイア基板10の裏面側から、低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部を分解し得る比較的高いエネルギー密度(例えば850mJ/cm)でレーザ照射を行う。1ショットの照射範囲は、図4において破線110で示される。すなわち、破線110は、第2レーザ照射ステップにおけるビームスポットを示している。図4に示すように、第2レーザ照射ステップにおける照射範囲は、第1レーザ照射ステップにおける照射範囲よりも狭くなるようにビーム成形される。第2レーザ照射ステップにおいては、少なくとも半導体膜の個片11aを含み、且つできる限り半導体膜の個片11aの周囲を囲む部分の樹脂30を含まないようにレーザ照射することが好ましい。具体的には、ビームスポット110は、1辺が1000μmである半導体膜の個片のサイズよりも僅かに大きい、例えば一辺1040μmの正方形に成形され、ビームスポットの中心位置と半導体膜11の個片の中心位置の位置合わせがなされてレーザ照射が行われる。かかる条件でレーザ照射を行うことにより、サファイア基板10との界面付近において低温バッファ層111又は下地GaN層112の一部は、GaとNガスに分解されて、レーザ照射部においてサファイア基板10は半導体膜11から剥離する(図10(b))。尚、レーザビームの成形は金属マスク等を用いることにより容易に行うことができる。
【0045】
先の第1レーザ照射ステップにおいて半導体膜の各個片11aの外周に形成された空隙31は、第2レーザ照射ステップにおけるレーザ照射によって発生するNガスの放出経路として機能する。すなわち、発生したNガスは、半導体膜下に滞留することなく、空隙31を経由して外部に放出される。これにより、半導体膜11に作用するNガスの圧力は緩和され、クラックの発生を防止することが可能となる。また、第2レーザ照射ステップにおいてレーザの一部は、樹脂30にも照射されることとなるが、上記したようにビームスポット110を可能な限り小さく成形することにより、カーボン系物質の発生量を抑制することができ、半導体膜11の表出面へのカーボン系異物の付着量を大幅に低減することができる。また、半導体膜11の外周に形成された空隙31を経由してNガスが放出される際に、半導体膜の各個片の主面の外周に向かう方向に気流が生じるため、樹脂30から発生するカーボン系物質は、半導体膜11の下方には導入されにくくなり、半導体膜11の表出面へのカーボン系異物の付着を更に抑制することができる。
【0046】
ビームスポット110は、順次走査され、個片11aごとにレーザ照射が行われる。ウエハの全域に亘ってレーザ照射を行うことにより、サファイア基板10を半導体膜11から完全に剥離する。
【0047】
その後、レーザスクライブ法等により、素子分割溝20に沿ってサブマウント60をダイシングすることによりチップ状に分割する。以上の工程を経ることにより半導体発光装置が完成する。
【0048】
このように、本発明に係る製法は、半導体膜をサブマウント上に搭載するタイプにも適用することが可能であり、実施例1の場合と同様、半導体膜への異物付着およびクラックを防止することができる。
【0049】
尚、実施例において半導体膜11の構造を例示的に示したが、かかる構造に限定されるものではなく、本発明はGaN系半導体発光装置に広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 サファイア基板
11 半導体膜
12 保護膜
13 p電極
20 素子分割溝
30 樹脂
41 Cu膜
50 シリコン基板
60 サブマウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長用基板の上に半導体膜を形成する工程と、
前記半導体膜を素子分割ラインに沿ってエッチングして、前記半導体膜に前記成長用基板に達する分割溝を形成して前記半導体膜を分割する工程と、
前記分割溝にレーザ吸収性を有する樹脂を充填する工程と、
前記半導体膜上に前記半導体膜を支持する支持部材を形成する工程と、
前記成長用基板の裏面側からレーザを照射して前記成長用基板との界面近傍における前記半導体膜および前記樹脂を分解して前記成長用基板を前記半導体膜から剥離する工程と、を含み、
前記レーザを照射する工程は、前記分割溝によって分割された前記半導体膜の少なくとも1つの個片と前記樹脂の前記少なくとも1つの個片に隣接する部分を含む範囲に前記樹脂が分解し且つ前記半導体膜が分解されないエネルギー密度でレーザ照射を行う第1レーザ照射ステップと、前記少なくとも1つの個片を含む範囲に前記半導体膜が分解し得るエネルギー密度でレーザ照射を行う第2レーザ照射ステップと、を含むことを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1レーザ照射ステップにおいて、前記少なくとも1つの個片の外周に空隙を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第2レーザ照射ステップにおけるレーザ照射範囲は、前記第1レーザ照射ステップにおけるレーザ照射範囲よりも狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1レーザ照射ステップにおけるレーザ照射範囲は、前記少なくとも1つの個片を囲む素子分割溝の幅方向の中間位置まで達していることを特徴とする請求項1乃至3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記支持部材を形成する工程は、前記半導体膜上にめっき膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記支持部材を形成する工程は、前記半導体膜の表面に接合層を介して支持基板を接合する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の半導体発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記支持部材を形成する工程は、前記半導体膜の個片の各々を支持基板上にフリップチップ接続形態で接合する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate