説明

半導体装置、ボンディング方法およびボンディングリボン

【課題】
ボンディングの接合強度を維持しつつ、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を小さくすることができ、半導体チップの破損を軽減することができる半導体装置を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る半導体装置は、半導体チップ30およびリードフレーム端子40を備え、半導体チップ30上に形成されたソースボンディングパッド31とリードフレーム端子40とがボンディングリボン20により接続されている。
また、ソースボンディングパッド31とボンディングリボン20とは、ボンディングリボン20の延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所以上の接合部202a〜202cで、接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置、ボンディング方法およびボンディングリボンに関し、特に半導体チップ上に形成されたボンディングパッドと電極端子とがボンディングリボンにより接続される半導体装置、超音波振動を利用してボンディングリボンの接合を行うボンディング方法、超音波振動を利用した接合に用いるボンディングリボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置を製造する際に、半導体装置の半導体チップおよびリードフレーム間をワイヤボンディングにより接合する技術が用いられている。
また、ボンディングに用いる円形断面のボンディングワイヤに代えて、長方形断面のボンディングリボンを用いる技術も用いられている。この長方形断面のリボンをボンディングに用いることにより、断面積を、円形断面のボンディングワイヤよりも大きくすることができる。この結果、半導体チップおよびリードフレーム間に流す電流を大きくすることができ、更に、半導体チップおよびリードフレーム間の抵抗を低く抑えることができる。
【0003】
参考技術として、V字形状のボンディング用ツールを介して、ボンディングワイヤに超音波振動を与え、ボンディングワイヤを半導体チップ表面に接合する技術が開示されている(特許文献1)。
また、参考技術として、極細線を並列に接合したボンディングワイヤに関する技術が開示されている(特許文献2)。
一般に、ボンディングリボンを用いてボンディングをする場合、半導体チップ上における接合面積を、ボンディングワイヤを用いた場合と比較して広くとる必要がある。このため、ボンディングリボンを用いてボンディングをする場合は、ボンディングの際の超音波出力(US(Urtra Sonic)パワー)を大きくする必要が生じ、更にボンディングツールを介してボンディングリボンに対して加える圧着荷重を大きくする必要が生じる。
【0004】
図5は、従来のボンディングリボンを用いた接合構造を示す模式図であって、図5(a)はボンディングによる接合構造の模式的な断面図であり、図5(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
図5に示されるように、ボンディング装置(不図示)に備えられたボンディングツールとしてのウェッジ100の先端には、V字形状の溝が一つ形成されている。ボンディング作業時には、このウェッジ100に対して、超音波振動付与装置(不図示)により超音波振動が与えられる。ボンディングリボン20は、断面形状を長方形状に形成されている。また、ボンディングリボン20の材料には例えばアルミニウム(Al)系合金が用いられている。半導体チップ30Aの表面には、ボンディングリボン20が接合されるボンディングパッド31Aが設けられている。
【0005】
従来のボンディング方法について、図に基づいて説明する。
ボンディング処理時には、半導体チップ30Aをリードフレーム(不図示)上に固定する。そして、半導体チップ30A上のボンディングパッド31Aの位置にボンディングリボン20を配置し、ウェッジ100を介して、ボンディングリボン20に半導体チップ30Aのボンディングパッド31Aの方向に向けて荷重を加えながら、超音波振動を印加する。
この結果、図5(b)に示されるように、ボンディングリボン20の両端部に接合部201a、201bが形成され、この2箇所の接合部201a、201bで、ボンディングパッド31Aとボンディングリボン20とが接合される。
【0006】
ここで、図5(b)に示されるように、ボンディングリボン20はボンディングワイヤと比較して幅Aが大きくなるため、2箇所の接合部201a、201bで、半導体チップ30Aのボンディングパッド31Aとボンディングリボン20とを確実に接合するには、ウェッジ100を介してボンディングリボン20に加える圧着荷重を大きくするとともに、ウェッジ100を介してボンディングリボン20に与える超音波振動を大きくする必要が生じる。
【特許文献1】特開2004−186364号公報(図1、図2、段落0037〜段落0042)
【特許文献2】特開2004−128216号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ボンディングの際に加える圧着荷重や超音波出力振動が大きくなると、ボンディングリボン20の直下の半導体チップ30Aに亀裂や割れが生じ、半導体チップ30Aを破壊してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、半導体チップおよび電極端子を備え、上記半導体チップ上に形成されたボンディングパッドと上記電極端子とがボンディングリボンにより接続される半導体装置であって、上記ボンディングパッドと上記ボンディングリボンとの接合部が、上記ボンディングリボンの延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所以上設けられたことを特徴とするものである。
【0009】
このように、ボンディングパッドとボンディングリボンとの接合部を、ボンディングリボンの延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所以上設けたことにより、ボンディングの接合強度を維持しつつ、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を小さくすることができ、半導体チップの破損を軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ボンディングの接合強度を維持しつつ、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を小さくすることができ、半導体チップの破損を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る半導体装置について、図に基づいて説明する。
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す図であって、図1(a)は実施の形態1に係る半導体装置の平面透視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
図1において、半導体装置としてのパワートランジスタ1000は、半導体チップ30、電極端子としてのリードフレームソース端子(以下ソース端子と称する)40、制御端子としてのリードフレームゲート端子(以下ゲート端子と称する)50、リードフレームチップアイランド部(以下チップアイランド部と称する)60を備えている。
半導体チップ30は、例えば銅等により形成されたチップアイランド部60上に搭載されている。
【0012】
また、半導体チップ30は例えば縦型MOSFETからなり、半導体チップ30上には2つのボンディングパッド31、32が形成されている。
ソースボンディングパッド31とソース端子40とが、例えばアルミニウム(Al)系または銅(Cu)系の合金により形成されたボンディングリボン20により接続されている。ゲートボンディングパッド32とゲート端子50とが、例えば金線により形成されたボンディングワイヤ70により接続されている。
【0013】
ここで、ソースボンディングパッド31とソース端子40との間は、例えば数十アンペア(A)という大電流が流されるため、ソースボンディングパッド31とソース端子40との間の抵抗を低く抑える必要がある。このため、この間の接続では、ボンディングワイヤ70と比較して断面積の大きいボンディングリボン20を用いている。これに対し、ゲートボンディングパッド32とゲート端子50との間は、例えば約5×10−6(A)程度の電流が流れるだけで、大電流が流れることはないため、ボンディングワイヤ70を接続に用いている。
【0014】
また、図1(a)に示されるように、ソースボンディングパッド31とボンディングリボン20は、ボンディングリボン20の延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所の接合部202a、202b、202cにより接続されている。
また、ソース端子40とボンディングリボン20は、ボンディングリボン20の延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所の接合部202e、202f、202gにより接続されている。
図1(a)に示されるように、半導体チップ30、ソース端子40、ゲート端子50およびチップアイランド部60は、ソース端子40およびゲート端子50の一部を露出させて、樹脂パッケージ80により封止されている。
【0015】
次に、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造について、図に基づいて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造を示す模式図であって、図2(a)はボンディングリボンによる接合構造の模式的な断面図であり、図2(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
図2において、ボンディング装置(不図示)は、超音波振動を利用して、ボンディングリボン20の接合を行う。ボンディング装置(不図示)に備えられたボンディングツールとしてのウェッジ110の先端部には、ボンディングリボン20の延在方向と平行な方向に沿って、2つの溝111a、111bが形成されている。
【0016】
ボンディング作業時には、このウェッジ110に対して、超音波振動付与装置(不図示)により超音波振動が与えられる。ボンディングリボン20の断面形状は、長方形状に形成されている。
また、ウェッジ110の複数の溝111a、111b間および両端に形成される凸部112a、112b、112cが、少なくともボンディングリボン20の両端側および中央部周辺の位置に対応して設けられている。
【0017】
次に、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合方法について、具体的に説明する。
図1に示されるように、半導体チップ30をチップアイランド部60上に、例えばエポキシ系の接着剤を用いて固定する。そして、例えばカメラを用いた画像認識装置を用いて、半導体チップ30上のソースボンディングパッド31の位置に、ボンディングリボン20を配置する。次に、ウェッジ110を介して、ボンディングリボン20に、半導体チップ30のソースボンディングパッド31の方向に向けて荷重を加えながら、超音波振動を印加する。
これにより、ボンディングリボン20は、ウェッジ110の3つの凸部112a〜112cを介して超音波振動を印加されながら、半導体チップ30のソースボンディングパッド31と接触される。
【0018】
そして、ボンディングリボン20のうち、ウェッジ110の3つの凸部112a〜112cに対応する部分と、半導体チップ30のソースボンディングパッド31との間で、摩擦熱が生じる。
この結果、図2(b)に示されるように、ウェッジ110の3つの凸部112a〜112cの位置に対応するボンディングリボン20の両端側および中央部周辺に、接合部202a、202b、202cが形成される。この3つの接合部202a、202b、202cで、半導体チップ30のソースボンディングパッド31とボンディングリボン20とが接合される。
【0019】
図2(b)に示されるように、ボンディング処理により3箇所の接合部202a、202b、202cが形成される。
ここで、幅Aのボンディングリボン20を接合するのに必要な接合部全体の接合力が、仮にα(N(ニュートン))とする。
このα(N)を3箇所の接合部202a、202b、202cで確保するには、各接合部202a、202b、202cにて、平均で少なくともα/3(N)の接合力さえ、確保できればよい。
【0020】
一方、従来では図5(b)に示されるように、α(N)を2箇所の接合部201a、201bで確保する必要があり、各接合部201a、201bで、平均で少なくともα/2(N)の接合力を確保する必要があった。
一般に、各接合部の接合力が大きければ大きいほど、ボンディングの際に、ボンディングリボン20に加える圧着荷重や超音波振動を大きくする必要がある。
α(N)の接合力を確保するのに、各接合部に必要な接合力は、図5に示された従来の場合では平均でα/2(N)を必要とするのに対し、図2に示された本発明では平均でα/3(N)で十分である。
【0021】
従って、本発明によれば、ボンディングの接合強度をα(N)に維持するのに、図5に示された従来の場合と比較して、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を小さくすることができる。そして、この結果、ボンディングリボン20の直下の半導体チップ30に亀裂や割れが生じるのを防止し、半導体チップ30が破壊してしまうのを軽減することができる。
【0022】
なお、凸部が4箇所以上形成されるように、ウェッジ110の溝を3本以上形成してもよい。
このようにすれば、更に、ウェッジ110に加えられる圧着荷重や超音波振動を小さくすることができる。
また、複数の凸部112a、112b、112cを等間隔に形成してもよい。
このようにすれば、ウェッジ110に加えられる圧着荷重や超音波振動を効率よく分散させることができ、ボンディングの際にボンディングリボン20に加える圧着荷重や超音波振動を効率よく小さくすることができ、半導体チップ30の破損を軽減することができる。
【0023】
発明の実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造について、図に基づいて説明する。
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造を示す模式図であって、図3(a)はボンディングリボンによる接合構造の模式的な断面図であり、図3(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
【0024】
図3と図2との相違点について、図2では表面に凹凸のない長方形状の断面を有するボンディングリボン20を用いているのに対し、図3では断面において複数の凸部212a〜212fが形成されたボンディングリボン21を用いている点で相違する。
また、図2では、ウェッジ110の先端部に2つの溝111a、111bが形成されているのに対し、図3では、ウェッジ120の先端部に3つの溝121a、121b、121cが形成されている点で相違する。
【0025】
図3(a)において、ボンディングリボン21は、超音波振動を利用した接合に用いるものであって、ボンディングリボン21の材料には例えばアルミニウム(Al)系合金または銅(Cu)系合金が用いられている。
図3(a)に示されるように、ボンディングリボン21の上面および下面には、ボンディングリボン20の延在方向に沿って、複数の凸部212a〜212fが形成されている。
また、ボンディングリボン21の凸部212a〜212c、212d〜212fは、ウェッジ120の溝121a、121b、121cの位置に対応して設けられている。
また、ウェッジ120の凸部122a〜122dが、少なくともボンディングリボン21の両端側および中央部周辺の溝211a、211b、211c、211dの位置に対応して設けられている。
また、ボンディングリボン21の凸部212a〜212c、212d〜212f間に形成された複数の溝211a〜211dは、ウェッジ120の凸部122b、122cの位置に対応されている。
【0026】
次に、本発明の実施の形態2に係るボンディングリボンを用いたボンディング方法について、図に基づいて、説明する。
次に、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合方法について、具体的に説明する。
ボンディング作業時には、半導体チップ30をリードフレーム(不図示)上に固定し、半導体チップ30上のソースボンディングパッド31の位置にボンディングリボン21を配置し、ウェッジ120を介して、ボンディングリボン21に、半導体チップ30のソースボンディングパッド31の方向に向けて荷重を加えながら、超音波振動を印加する。
【0027】
これにより、ボンディングリボン21は、ウェッジ120の4つの凸部122a〜122dを介して超音波振動を印加されながら、半導体チップ30のソースボンディングパッド31と接触される。この際、ウェッジ120の凸部122b、122cが、ボンディングリボン21の溝211a、211bに食い込みながら、ボンディングリボン21に超音波振動を印加する。
そして、ボンディングリボン21のうち、ウェッジ120の4つの凸部122a〜122dに対応する部分と、半導体チップ30のソースボンディングパッド31との間で、摩擦熱が生じる。
この結果、図3(b)に示されるように、ウェッジ120の4つの凸部122a〜122dの位置に対応するボンディングリボン21の両端側および中央部周辺の溝211a、211b、211c、211dに、接合部213a〜213dが形成される。この4つの接合部213a〜213dで、半導体チップ30のソースボンディングパッド31とボンディングリボン21とが接合される。
【0028】
ここで、ウェッジ120を介してボンディングリボン21に圧着荷重および超音波振動が加えられる箇所は、ウェッジ120に形成された凸部122a〜122dの4箇所であるので、従来のように、ウェッジ10を介してボンディングリボン20の2箇所に圧着荷重および超音波振動が加える場合と比較して、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を小さくすることができる。
また、ウェッジ120の凸部122b、122cが、ボンディングリボン21の溝211a、211bに食い込みながら、ボンディングリボン21に超音波振動を印加するので、図2で示された構成と比較して、ボンディングリボン21へ圧着荷重や超音波振動が伝達されやすい。このため、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を更に小さくすることができる。
【0029】
そして、この結果、ボンディングリボン21の直下の半導体チップ30に亀裂や割れが生じるのを防止し、半導体チップ30が破壊してしまうのを軽減することができる。
なお、ウェッジ120の凸部122a〜122dおよびボンディングリボン21の溝211a、221bおよび211c、211dを等間隔に形成してもよい。
このようにすれば、ウェッジ120に加えられる圧着荷重や超音波振動を効率よく分散させることができ、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を効率よく小さくすることができ、半導体チップの破損を軽減することができる。
【0030】
発明の実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造について、図に基づいて説明する。
図4は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造を示す模式図であって、図4(a)はボンディングリボンによる接合構造の模式的な断面図であり、図4(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
【0031】
図4と図3との相違点について、図3では断面において複数の凸部212a〜212fが形成されたボンディングリボン21を用いているのに対し、図4では断面において上面(紙面上側)に切り欠き221a、221bが形成されたボンディングリボン22を用いている点で、相違する。
【0032】
図4(a)において、ボンディングリボン22は、超音波振動を利用した接合に用いるものであって、ボンディングリボン22の材料には例えばアルミニウム(Al)系合金または銅(Cu)系合金が用いられている。
図4(a)に示されるように、長方形状の断面を有するボンディングリボン22の上面には、ボンディングリボン22の延在方向に沿って、2本の切り欠き221a、221bが形成されている。
また、ウェッジ130の凸部132a〜132dが、少なくともボンディングリボン21の両端側および中央部周辺の溝221a、221bの位置に対応して設けられている。
すなわち、ボンディングリボン22の切り欠き221a、221bは、ウェッジ130の凸部132b、132cの位置に対応して設けられている。
また、ボンディングリボン22の両端側が、ウェッジ130の凸部132a、132dの位置に対応するように、ボンディングリボン22の幅が決定されている。
【0033】
次に、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合方法について、具体的に説明する。
ボンディング作業時には、半導体チップ30をリードフレーム(不図示)上に固定し、半導体チップ30上のソースボンディングパッド31の位置にボンディングリボン22を配置し、ウェッジ130を介して、ボンディングリボン22に、半導体チップ30のソースボンディングパッド31の方向に向けて荷重を加えながら、超音波振動を印加する。
【0034】
これにより、ボンディングリボン22は、ウェッジ130の4つの凸部132a〜132dを介して超音波振動を印加されながら、半導体チップ30のソースボンディングパッド31と接触される。この際、ウェッジ120の凸部132b、132cが、ボンディングリボン22の上面の切り欠き221a、221bに食い込みながら、ボンディングリボン22に超音波振動を印加する。
そして、ボンディングリボン22のうち、ウェッジ130の4つの凸部132a〜132dに対応する部分と、半導体チップ30のソースボンディングパッド31との間で、摩擦熱が生じる。
この結果、図4(b)に示されるように、ウェッジ130の4つの凸部132a〜132dの位置に対応するボンディングリボン22の両端側および中央部周辺の切り欠き221a、221bに、接合部223a〜223dが形成される。この4つの接合部223a〜223dで、半導体チップ30のソースボンディングパッド31とボンディングリボン22とが接合される。
【0035】
ここで、ウェッジ130を介してボンディングリボン22に圧着荷重および超音波振動が加えられる箇所は、ウェッジ130に形成された凸部132a〜132dの4箇所であるので、従来のように、ウェッジ100を介してボンディングリボン20の2箇所に圧着荷重および超音波振動が加える場合と比較して、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を小さくすることができる。
また、ウェッジ120の凸部132b、132cが、ボンディングリボン22の上面の切り欠き221a、221bに食い込みながら、ボンディングリボン22に超音波振動を印加するので、ボンディングリボン22へ圧着荷重や超音波振動が伝達されやすい。このため、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を更に小さくすることができる。
【0036】
そして、この結果、ボンディングリボン22の直下の半導体チップ30に亀裂や割れが生じるのを防止し、半導体チップ30が破壊してしまうのを軽減することができる。
なお、ボンディングリボン22上面の切り欠きを3本以上設けてもよい。
このようにすれば、更に、ウェッジ130に加えられる圧着荷重や超音波振動を小さくすることができる。
なお、ウェッジ130の溝131a〜131cおよびボンディングリボン22の切り欠き221a、221bを等間隔に形成してもよい。
このようにすれば、ウェッジ130に加えられる圧着荷重や超音波振動を効率よく分散させることができ、ボンディングの際にボンディングリボンに加える圧着荷重や超音波振動を効率よく小さくすることができ、半導体チップの破損を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す図であって、図1(a)は実施の形態1に係る半導体装置の平面透視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造を示す模式図であって、図2(a)はボンディングリボンによる接合構造の模式的な断面図であり、図2(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造を示す模式図であって、図3(a)はボンディングリボンによる接合構造の模式的な断面図であり、図3(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の半導体チップ上のソースボンディングパッドへのボンディングリボンによる接合構造を示す模式図であって、図4(a)はボンディングリボンによる接合構造の模式的な断面図であり、図4(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
【図5】従来のボンディングリボンを用いた接合構造を示す模式図であって、図5(a)はボンディングによる接合構造の模式的な断面図であり、図5(b)はボンディング後の半導体チップの平面図である。
【符号の説明】
【0038】
20、21、22 ボンディングリボン
212a〜212f 凸部
211a〜211d 溝
201a、201b、202a〜202c 接合部
213a〜213d、223a〜223d 接合部
221a、221b 切り欠き
30、30A 半導体チップ
31A ボンディングパッド
31 ソースボンディングパッド
32 ゲートボンディングパッド
40 リードフレームソース端子
50 リードフレームゲート端子
60 リードフレームチップアイランド部
70 ボンディングワイヤ
80 樹脂パッケージ
100、110、120、130 ウェッジ
111a、111b、121a〜121c、131a〜131c 溝
112a〜112c、122a〜122d、132a〜132d 凸部
1000 パワートランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップおよび電極端子を備え、上記半導体チップ上に形成されたボンディングパッドと上記電極端子とがボンディングリボンにより接続される半導体装置であって、
上記ボンディングパッドと上記ボンディングリボンとの接合部が、上記ボンディングリボンの延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所以上設けられたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上記ボンディングパッドと上記ボンディングリボンとの接合部が、上記ボンディングリボンの延在方向と垂直な方向に沿って、少なくとも上記ボンディングリボンの両端部および中央部の位置に対応して、3箇所以上設けられたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記ボンディングリボンは、上記接合部の位置に対応して形成された溝または切り欠きを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体装置はパワートランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
超音波振動を利用して、ボンディングリボンの接合を行うボンディング方法であって、 半導体チップ上に上記ボンディングリボンを配置し、
ボンディングツールを介して、上記ボンディングリボンに対して、上記半導体チップの方向に荷重を加えながら超音波振動を印加し、
上記ボンディングリボンと上記半導体チップとを、上記ボンディングリボンの延在方向と垂直な方向に沿って、3箇所以上の接合部で接合することを特徴とするボンディング方法。
【請求項6】
上記ボンディングリボンと上記半導体チップとを、上記ボンディングリボンの延在方向と垂直な方向に沿って、少なくとも上記ボンディングリボンの両端部および中央部の位置に対応して、3箇所以上の接合部で接合することを特徴とする請求項5に記載のボンディング方法。
【請求項7】
上記ボンディングツールは、
先端部に、上記ボンディングリボンの延在方向と平行な方向に沿って、複数の溝が形成され、
上記ボンディングツールの上記複数の溝間および両端に形成される複数の凸部が上記3箇所以上の接合部の位置に対応して形成されたことを特徴とする請求項5に記載のボンディング方法。
【請求項8】
上記ボンディングリボンは、上記接合部の位置に対応して形成された溝または切り欠きを有することを特徴とする請求項5に記載のボンディング方法。
【請求項9】
超音波振動を利用した接合に用いるボンディングリボンであって、
アルミニウム系または銅系の合金により形成され、
少なくとも上面または下面のいずれか一方に、上記ボンディングリボンの延在方向と平行な方向に沿って形成された複数の溝または切り欠きを有することを特徴とするボンディングリボン。
【請求項10】
上記複数の溝または切り欠きが、等間隔に形成されたことを特徴とする請求項9に記載のボンディングリボン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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