説明

半導体装置、配線基板、半導体装置の製造方法、及び配線基板の製造方法

【課題】マイグレーションにより配線基板のインナーリードが相互に短絡することを抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、インナーリード12を有する配線基板10と、配線基板10に実装され、インナーリード12に接続しているバンプ22を有する半導体チップ20とを具備し、バンプ22とインナーリード12は、インナーリード12の表層に形成されたメッキ層13によって接合しており、インナーリード12は、バンプ22と接続している領域12cの中心より先端側及び基端側それぞれに凹部12b,12aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを配線基板に実装した半導体装置、配線基板、半導体装置の製造方法、及び配線基板の製造方法に関する。特に本発明は、マイグレーションにより配線基板のインナーリードが相互に短絡することを抑制できる半導体装置、配線基板、半導体装置の製造方法、及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の半導体装置の構成を説明するための断面図である。本図に示す半導体装置は、略長方形の半導体チップ120を配線基板110に実装したものである。配線基板110は、例えばフレキシブル基板であり、半導体チップ120は、例えば配線基板110にCOF実装される。図9(A)は半導体チップ120の短辺に平行な断面を示しており、図9(B)は半導体チップ120の長辺に平行な断面を示している。配線基板110には、複数のインナーリード112が互いに平行に設けられている。インナーリード112それぞれには、半導体チップ120のバンプ122が接合している。
【0003】
インナーリード112とバンプ122の接続は、例えば以下のようにして行われる。まずインナーリード112の表面にメッキ層113を形成する。次いでバンプ122とインナーリード112を接触させ、その状態でバンプ122、インナーリード112、及びメッキ層113を加熱する。これによりメッキ層113は溶融し、バンプ122及びインナーリード112それぞれと共晶金属を形成する。このようにしてバンプ122及びインナーリード112は、メッキ層113によって接合している(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−243455号公報(第32乃至第36段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バンプとインナーリードを接続する際、インナーリード上のメッキ層が溶融するが、その際にメッキ層の一部がインナーリードの側壁を伝って配線基板の基材の表面上を広がることがある(例えば図9(B)の符号113aで示す部分)。基材の表面上におけるメッキ層の広がりが大きいと、隣り合うインナーリードの間隔が実質的に小さくなる。この場合、隣り合うインナーリードは、メッキ層がマイグレーションによって繋がり、これによって相互に短絡する可能性があった。
【0006】
本発明に係る幾つかの態様は、マイグレーションにより配線基板のインナーリードが相互に短絡することを抑制できる半導体装置、配線基板、半導体装置の製造方法、及び配線基板の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体装置は、インナーリードを有する配線基板と、
前記配線基板に実装され、前記インナーリードに接続しているバンプを有する半導体チップと、
を具備し、
前記バンプと前記インナーリードは、前記インナーリードの表層に形成されたメッキ層によって接合しており、
前記インナーリードは、前記バンプと接続している領域の中心より先端側及び基端側それぞれに凹部を有する。
【0008】
この半導体装置によれば、前記バンプと前記インナーリードを接合するときにおいて、前記バンプと接合している領域より先端側で生じた前記メッキ層の溶融物は、一部が前記先端側の凹部に留まる。また、前記バンプと接合している領域より基端側で生じた前記メッキ層の溶融物は、一部が前記基端側の凹部に留まる。このため、前記メッキ層の溶融物のうち前記インナーリードの側面を伝って前記配線基板の基材上に流れ出す量が減少し、その結果、隣り合うインナーリードの間隔が実質的に小さくなることを抑制できる。従って、隣り合うインナーリードのメッキ層がマイグレーションによって繋がることを抑制でき、その結果、隣り合うインナーリードが相互に短絡することを抑制できる。
前記先端側及び基端側それぞれの凹部は、前記バンプに最も近い部分から前記バンプまでの距離が8μm以下であるのが好ましい。
【0009】
本発明に係る他の半導体装置は、インナーリードを有する配線基板と、
前記配線基板に実装され、前記インナーリードに接続しているバンプを有する半導体チップと、
を具備し、
前記バンプと前記インナーリードは、前記インナーリードの表層に形成されたメッキ層によって接合しており、
前記インナーリードは、該インナーリードの延伸方向の長さが前記バンプの長さより大きく該インナーリードの先端に繋がっていない凹部を有しており、該凹部で前記バンプと接続している。
【0010】
この半導体装置によれば、前記バンプと前記インナーリードを接合するときにおいて、前記メッキ層の溶融物は、一部が前記先端側の凹部に留まる。このため、前記メッキ層の溶融物のうち前記インナーリードの側面を伝って前記配線基板の基材上に流れ出す量が減少し、その結果、隣り合うインナーリードの間隔が実質的に小さくなることを抑制できる。従って、隣り合うインナーリードのメッキ層がマイグレーションによって繋がることを抑制でき、その結果、隣り合うインナーリードが相互に短絡することを抑制できる。
前記凹部は、前記バンプから最も遠い部分から前記バンプまでの距離が8μm以下であるのが好ましい。
【0011】
本発明に係る配線基板は、表層にメッキ層を有しており、バンプが接続されるインナーリードと、
前記インナーリードに形成され、バンプが接続される領域の中心より先端側及び基端側それぞれに位置する2つの凹部とを有する。
【0012】
本発明に係る他の配線基板は、表層にメッキ層を有しており、バンプが接続されるインナーリードと、
前記インナーリードに形成され、平面形状において、バンプが接続される領域及びその周囲を内側に含んでおり、前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部とを有する。
【0013】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、長手方向に互いに離間した2つの凹部、及び表層に位置するメッキ層それぞれを有するインナーリードを備える配線基板を準備する工程と、
前記インナーリードのうち前記2つの凹部の間に位置する領域に半導体チップのバンプを接触させる工程と、
前記バンプ及び前記インナーリードに熱を加え、前記メッキ層を溶融させ、その後冷却することにより、前記バンプ及び前記インナーリードを前記メッキ層により接合する工程とを具備する。
【0014】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、表層に位置するメッキ層を有するインナーリード、及び前記インナーリードに設けられていて該インナーリードの延伸方向における長さが半導体チップのバンプより大きい凹部を有する配線基板を準備する工程と、
前記インナーリードの前記凹部に前記バンプを接触させる工程と、
前記バンプ及び前記インナーリードに熱を加え、前記メッキ層を溶融させ、その後冷却することにより、前記バンプ及び前記インナーリードを前記メッキ層により接合する工程とを具備する。
【0015】
本発明に係る配線基板の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記導電膜に第1の凹部及び第2の凹部を形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記導電膜上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続していて前記第1の凹部および前記第2の凹部を長手方向に離間した状態で有するインナーリードを形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する。
【0016】
本発明に係る他の配線基板の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記配線及び前記インナーリード上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記インナーリードに第1の凹部および第2の凹部を長手方向に離間した状態で形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する。
【0017】
本発明に係る他の配線基板の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、前記インナーリードに第1の凹部および第2の凹部を長手方向に離間した状態で形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する。
【0018】
本発明に係る他の配線基板の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、前記インナーリードに第1の凹部および第2の凹部を長手方向に離間した状態で形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する。
【0019】
本発明に係る他の配線基板の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記導電膜に凹部を形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記導電膜上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び半導体チップのバンプと接合すべき部分及びその周囲に前記凹部を有していて前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記凹部は前記インナーリードの先端に繋がっていない。
【0020】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記配線及び前記インナーリード上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記インナーリードのうち半導体チップのバンプと接続すべき領域に、前記インナーリードの延伸方向における長さが前記バンプより大きく前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部を形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程とを具備する。
【0021】
本発明に係る他の半導体装置の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、該インナーリードのうち半導体チップのバンプと接合すべき領域に、前記インナーリードの延伸方向における長さが前記バンプより大きく前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部を形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程とを具備する。
【0022】
本発明に係る他の配線基板の製造方法は、ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、該インナーリードのうち半導体チップのバンプと接合すべき領域に、前記インナーリードの延伸方向における長さが前記バンプより大きく前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部を形成する工程とを具備する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1の各図は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。この半導体装置の製造方法は、略長方形の半導体チップ20を配線基板に実装する方法である。配線基板110は、例えばフレキシブル基板であり、半導体チップ20は、例えば配線基板にCOF(Chip On Film)実装される。図1の各図は半導体チップ20の短辺に平行な断面を示している。
【0024】
まず図1(A)に示すように、基材10の全面上に導電薄膜11を、ラミネート又は圧着等により貼り付ける。基材10は、例えばポリイミドフィルムである。導電薄膜11は、例えばCu薄膜であるが、他の金属(例えばCr,Ti、Ni、TiW、Cu、Al、NiV、及びWのいずれか一つ)であってもよい。次いで、導電薄膜11上にレジストパターン50を形成し、レジストパターン50をマスクとして導電薄膜11を、例えば20%〜80%ほどハーフエッチングする。これにより、導電薄膜11には凹部12a,12bが複数組形成される。導電薄膜11は、後述するエッチング工程により一部がインナーリードになる。そしてインナーリードには、後述するように半導体チップ20のバンプ22が接続されるが、一組の凹部12a,12bは、バンプ22が接続されるバンプ接合領域12cを挟んで互いに対向するように形成される。本実施形態において、凹部12a,12bの大きさは、互いに略同じであるが、互いに異なっていてもよい。
【0025】
その後、図1(B)に示すようにレジストパターン50を除去する。次いで、導電薄膜11上にレジストパターン51を形成し、レジストパターン51をマスクとして導電薄膜11を完全にエッチングする。これにより基材10上には配線パターン(図示せず)及びこの配線パターンに接続する複数のインナーリード12が形成される。前述したように、インナーリード12それぞれには一組の凹部12a,12bが設けられている。
【0026】
その後、図1(C)に示すようにレジストパターン51を除去する。次いで、前記した配線パターンを保護樹脂層(図示せず)で被覆する。次いで、インナーリード12の表層にメッキ層13を形成する。バンプ22が金バンプであり、インナーリード12が銅パターンである場合、メッキ層13は、例えばSnメッキ層である。このようにして、配線基板が形成される。
【0027】
次いで、図1(D)に示すように、インナーリード12、メッキ層13、及びバンプ22を300〜500℃に加熱し、かつインナーリード12それぞれのバンプ接合領域12cに、半導体チップ20のバンプ22を押し付け、一定の荷重を加える。バンプ22の幅はインナーリード12の幅より広く、このためインナーリード12の上部はバンプ22の中に入り込む。本工程における加熱は、例えば半導体チップ20を加熱して、バンプ22からメッキ層13及びインナーリード12に熱が伝わるようにして行う。その後、インナーリード12、メッキ層13、及びバンプ22を冷却する。これによりインナーリード12は、固相接合及び共晶接合によりバンプ22と接合する。その後、半導体チップ20と配線基板の接合面は樹脂封止される(図示せず)。このようにして半導体チップ20が配線基板に実装され、これにより半導体装置が形成される。
【0028】
上記したインナーリード12とバンプ22の接合工程において、メッキ層13は溶融し、一部がインナーリード12の側面を伝って基材10の表面上に流れ出す。また溶融物の他の一部は、バンプ22とインナーリード12の接続部分でフィレット13bを形成する。しかし本実施形態では、バンプ接合領域12cの中心よりインナーリード12の先端側には凹部12bが設けられ、バンプ接合領域12cの中心より基端側には凹部12aが設けられている。このため、バンプ接合領域12cより先端側で生成したメッキ層13の溶融物は多くの部分が凹部12bに流れ込み、バンプ接合領域12cより基端側で生成したメッキ層13の溶融物は多くの部分が凹部12aに流れ込む。流れ込んだ溶融物は、表面張力により凹部12a,12bに留まり、その結果、溶融物のうち、インナーリード12の側面を伝って基材10の表面上に流れ出す量が減少する。またフィレット13bが必要以上に大きくなることが抑制される。
【0029】
なお、上記した作用を生じさせる為には、凹部12aのうちバンプ22に最も近い部分からバンプ22までの距離L、及び凹部12bのうちバンプ22に最も近い部分からバンプ22までの距離Lそれぞれが、8μm以下であるのが好ましい。
【0030】
図2(A)は、配線基板の平面概略図である。本図において説明の為、半導体チップ20及びバンプ22を点線で示している。本図に示す例では、バンプ22の幅はインナーリード12の幅より大きい。そして、インナーリード12のバンプ接合領域12cは千鳥状に配置されており、隣り合うインナーリード12相互間で、バンプ接合領域12cが隣り合わないようになっている。また本図に示す例において、凹部12a,12bは、幅がインナーリード12より小さく、インナーリード12の側面に繋がっていない。ただし、凹部12a,12bを、インナーリード12の一方又は両方の側面に繋がり、該側面で開放するように形成しても良い。これは後述する他の実施形態においても同様である。
【0031】
図2(B)は、図1(D)の状態における半導体装置の断面図である。本図は、半導体チップ20の長辺に平行な方向の断面、すなわち図2(A)のA−A´断面に相当する断面を示している。上記したように、インナーリード12には凹部12a,12bが形成されているため、メッキ層13の溶融物のうち、基材10の表面上に流れ出した部分13aの広がりが減少する。またフィレット13bが必要以上に大きくなることが抑制される。
【0032】
このため、本実施形態によれば、隣り合うインナーリード12相互間の距離Lが狭くなることが抑制され、その結果、マイグレーションによって隣り合うインナーリード12が相互に短絡することが抑制される。
【0033】
図3の各図は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。本実施形態は、配線基板の製造方法を除いて、第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0034】
まず図3(A)に示すように、基材10の全面上に導電薄膜11を、ラミネート又は圧着等により貼り付ける。次いで、導電薄膜11上にレジストパターン51を形成し、レジストパターン51をマスクとして導電薄膜11をエッチングする。これにより、配線パターン(図示せず)、及びインナーリード12が形成される。
【0035】
その後、図3(B)に示すように、レジストパターン51を除去する。次いで、基材10、配線パターン、及びインナーリード12上にレジストパターン50を形成し、レジストパターン50をマスクとしてインナーリード12をハーフエッチングする。これにより、インナーリード12には凹部12a,12bが形成される。
【0036】
その後、レジストパターン51を除去する。これ以降の工程は第1の実施形態と同様であり、その結果、図3(C)に示すように、第1の実施形態と同様の半導体装置が形成される。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。本実施形態は、配線基板の製造方法を除いて、第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0038】
まず図4(A)に示すように、基材10の全面上に導電薄膜11を、ラミネート又は圧着等により貼り付ける。次いで、導電薄膜11上にレジストパターン51を形成し、レジストパターン51をマスクとして導電薄膜11をエッチングする。これにより、配線パターン(図示せず)、及びインナーリード12が形成される。
【0039】
その後、図4(B)に示すように、レジストパターン51を除去する。次いで、インナーリード12に型30を押し付ける。これによりインナーリード12は部分的に押しつぶされ、これにより凹部12a,12bが形成される。
【0040】
これ以降の工程は第1の実施形態と同様であり、その結果、図4(C)に示すように、第1の実施形態と同様の半導体装置が形成される。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
図5は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。本実施形態は、配線基板の製造方法を除いて、第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0042】
まず図5(A)に示すように、基材10の全面上に導電薄膜11を、ラミネート又は圧着等により貼り付ける。次いで、導電薄膜11上にレジストパターン51を形成し、レジストパターン51をマスクとして導電薄膜11をエッチングする。これにより、配線パターン(図示せず)、及びインナーリード12が形成される。
【0043】
その後、図5(B)に示すように、レジストパターン51を除去する。次いで、インナーリード12の表面にメッキ層13を形成する。
【0044】
次いで、図5(C)に示すように、インナーリード12に型30を押し付ける。これによりインナーリード12は部分的に押しつぶされ、凹部12a,12bが形成される。このようにして配線基板が形成される。
【0045】
次いで、図5(D)に示すように、配線基板に半導体チップ20を実装する。この実装方法は、第1の実施形態と同様である。この結果、第1の実施形態と同様の半導体装置が形成される。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
図6は、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための断面図であり、第1の実施形態における図1(D)に相当する図である。本実施形態に係る半導体装置は、配線基板のインナーリード12に形成された凹部の形状を除いて、第1の実施形態に示した方法で製造される半導体装置と同様である。以下、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0047】
本実施形態において、インナーリード12には凹部12dが形成されている。凹部12dは、インナーリード12の延伸方向においてバンプ22より長く、平面形状においてバンプ接合領域12c及びその周囲を内側に含んでいる。また凹部12dはインナーリード12の両側面に繋がっており、これらの側面で開放されている。そして半導体チップ20のバンプ22の上面は、凹部12dの底面と接している。凹部12dのうちバンプ22から最も遠い部分からバンプ22までの距離L,Lは、例えば8μm以下である。
【0048】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、凹部12a,12bの代わりに凹部12dが形成される点を除いて、第1〜第4のいずれかの実施形態と同様である。本実施形態によれば、インナーリード12には凹部12dが形成されているため、メッキ層13の溶融物の一部は、凹部12d内に流れ込み、凹部12dの側面及びバンプ22の側面それぞれで生じる表面張力によって凹部12d内に留まる。このため、メッキ層13の溶融物のうち、基材10の表面上に流れ出す量が減少する。
【0049】
このため、本実施形態によれば、隣り合うインナーリード12相互間の距離Lが狭くなることが抑制され、その結果、マイグレーションによって隣り合うインナーリード12が相互に短絡することが抑制される。
【0050】
図7は、本発明の第6の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための断面図であり、第1の実施形態における図1(D)に相当する図である。本実施形態に係る半導体装置は、凹部12aが凹部12bより大きい点を除いて、第1の実施形態と同様である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1〜第4のいずれかの実施形態と同様である。
【0051】
本実施形態によれば、バンプ接合領域12cからインナーリード12の先端までのマージンが小さくて凹部12bを大きくすることは難しい場合においても、凹部12aが凹部12bより大きいため、凹部12aに多くの溶融物を留まらせることができる。その結果、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
図8は、本発明の第7の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための断面図であり、第1の実施形態における図1(D)に相当する図である。本実施形態に係る半導体装置は、凹部12a,12bに挟まれた領域であるバンプ接合領域12cがバンプ22の上面より小さく、その結果、バンプ22の上面の一部が凹部12a,12bの上方に位置する点を除いて、第1の実施形態と同様である。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば半導体チップ20を実装する配線基板はフレキシブル基板に限定されず、多層配線基板であってもよい。また半導体チップ20は、配線基板にTCM(Tape Carrier Module)実装、又はCOG(Chip On Glass)実装されてもよい。また、インナーリード12のバンプ接合領域12cは千鳥状に配置されていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】各図は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
【図2】(A)は配線基板の平面概略図、(B)は図1(D)の状態における半導体装置の他の方向の断面図。
【図3】各図は第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
【図4】各図は第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
【図5】各図は第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図。
【図6】第5の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための断面図。
【図7】第6の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための断面図。
【図8】第7の実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための断面図。
【図9】各図は従来の半導体装置の構成を説明するための断面図。
【符号の説明】
【0055】
10…基材、11…導電薄膜、12…インナーリード、12a,12b,12d…凹部、12c…バンプ接合領域、13…メッキ層、13a…基材10上に流れ出た部分、13b…フィレット、20…半導体チップ、22…バンプ、30…型、50,51…レジストパターン、110…配線基板、112…インナーリード、113…メッキ層、120…半導体チップ、122…バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーリードを有する配線基板と、
前記配線基板に実装され、前記インナーリードに接続しているバンプを有する半導体チップと、
を具備し、
前記バンプと前記インナーリードは、前記インナーリードの表層に形成されたメッキ層によって接合しており、
前記インナーリードは、前記バンプと接続している領域の中心より先端側及び基端側それぞれに凹部を有する半導体装置。
【請求項2】
前記先端側及び基端側それぞれの凹部は、前記バンプに最も近い部分から前記バンプまでの距離が8μm以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
インナーリードを有する配線基板と、
前記配線基板に実装され、前記インナーリードに接続しているバンプを有する半導体チップと、
を具備し、
前記バンプと前記インナーリードは、前記インナーリードの表層に形成されたメッキ層によって接合しており、
前記インナーリードは、該インナーリードの延伸方向の長さが前記バンプの長さより大きく該インナーリードの先端に繋がっていない凹部を有しており、該凹部で前記バンプと接続している半導体装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記バンプから最も遠い部分から前記バンプまでの距離が8μm以下である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
表層にメッキ層を有しており、バンプが接続されるインナーリードと、
前記インナーリードに形成され、バンプが接続される領域の中心より先端側及び基端側それぞれに位置する2つの凹部と、
を有する配線基板。
【請求項6】
表層にメッキ層を有しており、バンプが接続されるインナーリードと、
前記インナーリードに形成され、平面形状において、バンプが接続される領域及びその周囲を内側に含んでおり、前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部と、
を有する配線基板。
【請求項7】
長手方向に互いに離間した2つの凹部、及び表層に位置するメッキ層それぞれを有するインナーリードを備える配線基板を準備する工程と、
前記インナーリードのうち前記2つの凹部の間に位置する領域に半導体チップのバンプを接触させる工程と、
前記バンプ及び前記インナーリードに熱を加え、前記メッキ層を溶融させ、その後冷却することにより、前記バンプ及び前記インナーリードを前記メッキ層により接合する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項8】
表層に位置するメッキ層を有するインナーリード、及び前記インナーリードに設けられていて該インナーリードの延伸方向における長さが半導体チップのバンプより大きい凹部を有する配線基板を準備する工程と、
前記インナーリードの前記凹部に前記バンプを接触させる工程と、
前記バンプ及び前記インナーリードに熱を加え、前記メッキ層を溶融させ、その後冷却することにより、前記バンプ及び前記インナーリードを前記メッキ層により接合する工程と、
を具備する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記導電膜に第1の凹部及び第2の凹部を形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記導電膜上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続していて前記第1の凹部および前記第2の凹部を長手方向に離間した状態で有するインナーリードを形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する配線基板の製造方法。
【請求項10】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記配線及び前記インナーリード上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記インナーリードに第1の凹部および第2の凹部を長手方向に離間した状態で形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する配線基板の製造方法。
【請求項11】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、前記インナーリードに第1の凹部および第2の凹部を長手方向に離間した状態で形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する配線基板の製造方法。
【請求項12】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、前記インナーリードに第1の凹部および第2の凹部を長手方向に離間した状態で形成する工程と、
を具備し、
前記インナーリードは、前記第1の凹部と前記第2の凹部の間の領域で半導体チップのバンプと接合する配線基板の製造方法。
【請求項13】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記導電膜に凹部を形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記導電膜上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び半導体チップのバンプと接合すべき部分及びその周囲に前記凹部を有していて前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備し、
前記凹部は前記インナーリードの先端に繋がっていない配線基板の製造方法。
【請求項14】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上に第1のマスクパターンを形成し、該第1のマスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記第1のマスクパターンを除去する工程と、
前記配線及び前記インナーリード上に第2のマスクパターンを形成し、該第2のマスクパターンをマスクとしたハーフエッチングを行うことにより、前記インナーリードのうち半導体チップのバンプと接続すべき領域に、前記インナーリードの延伸方向における長さが前記バンプより大きく前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部を形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備する配線基板の製造方法。
【請求項15】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、該インナーリードのうち半導体チップのバンプと接合すべき領域に、前記インナーリードの延伸方向における長さが前記バンプより大きく前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部を形成する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
を具備する配線基板の製造方法。
【請求項16】
ベース基板上に導電膜を設ける工程と、
前記導電膜上にマスクパターンを形成し、該マスクパターンをマスクとしたエッチングを行うことにより、前記ベース基板上に位置する配線、及び前記配線に接続するインナーリードを形成する工程と、
前記マスクパターンを除去する工程と、
前記インナーリードの表層にメッキ層を形成する工程と、
前記インナーリードに型を押し付けることにより、該インナーリードのうち半導体チップのバンプと接合すべき領域に、前記インナーリードの延伸方向における長さが前記バンプより大きく前記インナーリードの先端に繋がっていない凹部を形成する工程と、
を具備する配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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