説明

半導体装置の製造方法、及び半導体装置

【課題】電子部品の実装時に生じるクラックの発生を簡便且つ確実に防止できる、半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供する。
【解決手段】実装基板400と実装基板400に電気的に接続されたバンプ130を能動面に有する電子部品100とを備え、実装基板400に電子部品100が樹脂層250を介して実装される半導体装置1の製造方法である。電子部品100の形成用基板における複数の領域の各々に、バンプ130を含む電子部品100の構成要素を形成する。その後、形成用基板の複数の領域にわたって溝状の凹部を有する樹脂膜を一括して形成する。そして、形成用基板を個片化して電子部品100を形成するとともに樹脂膜を個片化して凹部240を有する樹脂層250を形成する。さらに、樹脂層250を介して電子部品100を実装基板400に固着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報端末をはじめ、各種の携帯型電子機器の普及が著しい。このような電子機器においては、携帯性の向上や高機能化が強く求められる技術傾向にある。そのため、電子機器に実装される半導体装置においても、一層の小型、軽量、薄型化が要望されている。このような要望に対応するための半導体装置のパッケージ構造(封止構造)として、パッケージの外形寸法を集積回路が形成された半導体基板の寸法とほぼ等しくできるチップサイズパッケージ(Chip Size Package)が知られている。
【0003】
このようなパッケージ化された半導体装置においては、半導体基板上にリフローによってICチップが実装される。このとき、封止材や半導体基板に吸湿した水分が急激に水蒸気となって、その応力により半導体基板や封止材にクラックを発生させる虞がある。そこで、ICチップが実装される領域の基板に貫通穴を設け、リフロー時に発生する水分を積極的に外部に放出させることでクラックの発生を防止した技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−135247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、基板に貫通穴を設けるため、封止樹脂が漏れ出さないようにするための構造上における工夫が必要となる。そのため、半導体装置の生産性を低下させるといった問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、電子部品の実装時に生じるクラックの発生を簡便且つ確実に防止できる、半導体装置の製造方法、及び半導体装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の製造方法は、実装基板と該実装基板に電気的に接続されたバンプを能動面に有する電子部品とを備え、前記実装基板に前記電子部品が樹脂層を介して実装される半導体装置の製造方法であって、前記電子部品の形成用基板における複数の領域の各々に、前記バンプを含む前記電子部品の構成要素を形成する形成工程と、前記形成工程の後、前記形成用基板の前記複数の領域にわたって溝状の凹部を有する樹脂膜を一括して形成する樹脂膜形成工程と、前記樹脂膜形成工程の後、前記形成用基板を個片化して前記電子部品を形成するとともに前記樹脂膜を個片化して前記凹部を有する前記樹脂層を形成する個片化工程と、前記樹脂層を介して前記電子部品を前記実装基板に固着させる固着工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、前記電子部品の前記能動面となる面に溝状の凹部を有する樹脂膜を形成するので、例えばリフローを用いて電子部品を実装基板上に固着する際、樹脂層及び実装基板に吸湿された水分の水蒸気を、凹部を介して外部に放出することができる。よって、水蒸気の圧力によって樹脂層や実装基板にクラックが生じるといった不具合を防止できる。また、樹脂層に凹部を設けるといった簡便な構成によって耐リフロー性を向上させるとともに半導体装置のコスト上昇を抑制することができる。
【0008】
また、上記半導体装置の製造方法においては、前記樹脂膜は、支持膜に支持され且つ面方向に沿って線状に設けられた切断部を有しており、前記樹脂膜形成工程は、前記支持膜に前記面方向において前記切断部に直交する方向の引張力を作用させて該切断部を前記凹部とした状態で該樹脂膜を前記形成用基板に配置するのが好ましい。
このように支持膜の面方向において切断部と直交する方向に引張力を作用させると、切断部に対応する部分の支持膜に引張力に応じた伸びが生じる。したがって、この伸び量の幅の凹部が形成され、凹部の幅を容易に制御することが可能になる。また、例えば支持膜上に樹脂材料を成膜した後、この膜のみをカッター等で切断すること(ハーフカット)等により、容易に樹脂膜が得られる。
【0009】
また、上記半導体装置の製造方法においては、前記樹脂膜形成工程は、前記形成用基板上に感光性樹脂を塗布した後、該感光性樹脂を露光及び現像することでパターニングして前記凹部を有する前記樹脂膜を形成するのが好ましい。
このように感光性樹脂を露光及び現像等によってパターニングすることで容易に凹部を形成することができる。また、このようなフォトリソ工程を用いることでバンプの配置パターンに応じて凹部を所望の位置に良好に形成できる。
【0010】
また、上記半導体装置の製造方法においては、前記樹脂膜形成工程において、前記電子部品の前記能動面となる面を鉛直上方に向けた状態で前記樹脂膜を加熱し溶融させるのが好ましい。
このように能動面となる面を鉛直上方に向けた状態で前記樹脂膜を加熱し溶融させると、溶融した樹脂材料が重力により形成用基板側に流動する。したがって、前記電子部品の能動面側を樹脂材料によって封止することができる。
【0011】
あるいは、本発明の半導体装置の製造方法は、実装基板と該実装基板に電気的に接続されたバンプを能動面に有する電子部品とを備え、前記実装基板に前記電子部品が樹脂層を介して実装されてなる半導体装置の製造方法であって、前記実装基板の前記電子部品の実装面上に溝状の凹部を有する前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、前記樹脂層を介して前記電子部品を実装基板に固着させる固着工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、前記電子部品の前記能動面に溝状の凹部を有する樹脂層を形成するので、例えばリフローを用いて電子部品を実装基板上に固着する場合、樹脂層及び実装基板に吸湿された水分の水蒸気を、凹部を介して外部に放出することができる。よって、水蒸気の圧力によって樹脂層や実装基板にクラックが生じるといった不具合を防止できる。また、樹脂層に凹部を設けるといった簡便な構成によって耐リフロー性を向上させるとともに半導体装置のコスト上昇を抑制できる。
【0013】
本発明の半導体装置は、実装基板と該実装基板に電気的に接続されたバンプを能動面に有する電子部品とを備え、前記実装基板に前記電子部品が樹脂層を介して実装される半導体装置であって、前記樹脂層は、複数の前記バンプを覆うとともに、該複数の前記バンプ間に形成され、外部に通じる貫通口を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の半導体装置によれば、例えばリフローを用いて電子部品を実装基板上に固着する場合、樹脂層及び実装基板に吸湿された水分が水蒸気となることで貫通口を介して外部に放出させることができる。よって、水蒸気の圧力によって接着層や実装基板にクラックが生じるといった不具合が防止されたものとなる。よって、樹脂層に貫通口を設けるといった簡便な構成によって耐リフロー性を向上させるとともに半導体装置のコスト上昇を抑制することができる。
【0015】
また、上記半導体装置においては、前記樹脂層がフィルム状の接着材であるのが好ましい。
この構成によれば、例えば支持膜に支持されたフィルム状の接着材のみに切り込みを入れ、支持膜のみに引張力を作用させることで上記貫通口を容易且つ低コストで形成できる。
【0016】
また、上記半導体装置においては、前記樹脂層が感光性樹脂材料であるのが好ましい。
この構成によれば、例えば感光性樹脂を露光及び現像等によってパターニングすることで上記貫通口を容易且つ低コストで形成できる。
【0017】
また、上記半導体装置においては、前記貫通口は、前記実装基板の基板面に沿って設けられるのが好ましい。
このように実装基板の基板面に沿って貫通口が設けられるので、貫通口は電子部品の能動面を露出させることが防止され、前記能動面は確実に封止された状態となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、構造の特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造はその寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせて示す場合がある。なお、以下の説明では、電子部品としてICチップを実装基板に実装したICパッケージ(半導体装置)を例に挙げて説明する。
【0019】
(第一実施形態)
図1は第一実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図であり、図1(a)には概略平面図を、図1(b)には電子部品の1つに対応するチップ形成領域の拡大図を、図1(c)には図1(b)におけるA−A線矢視断面図を、それぞれ示している。
【0020】
まず、図1(a)に示すように、形成用基板100Aにおける複数のチップ形成領域(領域)110に一括して、電子部品の構成要素を形成する。形成用基板100Aは、例えば単結晶シリコンからなるシリコンウエハ等である。電子部品の構成要素が形成されたチップ形成領域110の各々は、個片化後に1つの電子部品になる領域であり、以下これを電子部品の中間体100Bと称する。また、製造した電子部品で能動面となる面を、中間体100Bにおいても能動面と称す場合がある。図1(b)に示すように、本実施形態の中間体100Bは平面視略正方形状のものであり、能動面120の外周辺に沿った周縁に複数のバンプ130が形成されている。
【0021】
詳しくは、図1(c)に示すように、形成用基板100A上にトランジスタやメモリ素子、これらを覆うパッシベーション膜、内部端子等を含んだ半導体回路層140を形成する。そして、半導体回路層140上に、前記内部端子と電気的に接続された内部配線や、これを覆うパッシベーション膜、内部配線と電気的に接続されるとともにパッシベーション膜の所定領域に露出したランド等からなる配線層150を形成する。そして、配線層150上にランドと電気的に接続されたバンプ130を形成する。前記トランジスタやメモリ素子は、例えば電子部品が実装されたデバイスにおいて、駆動系や制御系、あるいはその一部として機能するものである。また、バンプ130は、電子部品が実装基板に実装された後に、これらの間の電気的な接続部となる部分であり、各中間体100Bの外周部に沿って配置されている。
【0022】
図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)は、本実施形態の樹脂膜形成工程を示す工程図である。まず、樹脂膜形成工程に先立ち、図2(a)に示すように、支持膜210上に樹脂膜220を有するフィルム200を用意する。本実施形態のフィルム200は、形成用基板100Aとほぼ同様の形状及び寸法のものである。
【0023】
樹脂膜220は、例えばポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂材料からなっている。樹脂膜220は、例えば60〜80℃程度に加熱されると、その一部が溶融して流動性が高くなり、さらに高温になると重合等の化学反応が進むことにより硬化して接着性を発現するようになっている。樹脂膜220には、カッター等によって複数の切断部230が所定の間隔で形成される。本実施形態の切断部230は、一方向に沿って形成されているとともに、その直交方向にも形成されている。すなわち、切断部230は格子状に形成されている。
【0024】
次いで、図2(b)に示すように、フィルム200の支持膜210に切断部230と直交する方向の引張力Fを作用させる。これにより、支持膜210は切断部230と直交する方向に引張力Fに応じた伸びを生じ、切断部230はこの伸び量に応じてその幅が広がり溝状の凹部240となる。このようにすれば、引張力Fによって凹部240の幅を制御することができる。
【0025】
ここでは、フィルム200をその面方向の互いに直交する2方向に引っ張った状態で、フィルム200の周縁を額縁状の支持部材(図示略)に固定する。これにより、格子状の切断部230は、所定間隔の格子状の凹部240となる。額縁状の支持部材に固定すれば、引張力Fが作用した状態でフィルム200が保持されるので作業性が高くなる。
【0026】
次いで、図2(c)に示すように、フィルム200の樹脂膜220を中間体100Bの能動面120側に接触させるとともに、不図示のローラで押圧する。前記のように凹部240は格子状、つまり互いに直交する2方向にそれぞれ延びている。ここでは、この2方向が、図1(b)に示した中間体100Bの一辺方向(Y方向)、他辺方向(X方向)と一致するようにフィルム200を配置する。なお、凹部240に分断されることで形成されている樹脂パターン220Aは、平面形状が上記バンプ130よりも大きくなっている。本実施形態においては、樹脂パターン220Aとバンプ130とを平面視した状態で位置合わせし、上記ローラで押圧するとともに、形成用基板100Aを鉛直下方側から加熱する。樹脂膜220は加熱されたことによって変形しやすくなり、これをローラ300で押圧することでバンプ130が樹脂膜220内に入り込むことで樹脂膜220が形成用基板100A上に設けられる。すなわち、樹脂膜220の形成工程においては、凹部240がバンプ130を跨がないように能動面120上に形成している。
【0027】
次いで、図3(a)に示すように、フィルム200の支持膜210を剥離する。このとき、樹脂膜220はバンプ130が入り込んだ状態とされることにより、支持膜210側との接触面積が中間体100B側との接触面積よりも小さくなっている。したがって、樹脂膜220と支持膜210側との密着力は、樹脂膜220と中間体100B側との密着力よりも小さくなるので、支持膜210の剥離によって樹脂膜220と中間体100Bとが剥離することが防止される。
【0028】
次いで、図3(b)に示すように、電子部品の能動面120となる面を鉛直上方に向けた状態で形成用基板100A側から樹脂膜220を加熱する。このように能動面120となる面を鉛直上方に向けた状態で樹脂膜220を加熱し溶融させると、溶融した樹脂膜220が重力によって形成用基板100A側に流動する。すなわち、樹脂膜220の下部は加熱されたことによって変形し、各樹脂パターン220Aはその断面が台形形状となる。これにより、凹部240は下方側(能動面120側)に向かうにつれて内径が狭められた形状となる。また、樹脂パターン220Aは形成用基板100A(配線層150)を封止した状態となる。なお、凹部240の幅は、樹脂膜220が流動した後も、後述するように水蒸気を外部に放出するのに必要な間隔が残る幅に設定するのが望ましい。
【0029】
次いで、図3(c)に示すように形成用基板100Aと樹脂膜220とを一括してダイシング(個片化)する。これにより、図3(d)に示すような電子部品100が得られる。電子部品100には、形成用基板100A上に樹脂膜220を個片化することで形成された樹脂層250が搭載されている。このようにすれば、多数の電子部品100を一括して製造することができるとともに、各電子部品100に一括して樹脂層250を搭載することができる。このようにすれば、樹脂層250と電子部品100との位置ずれが防止され、位置ずれを考慮してマージンを設ける場合に比べて樹脂層250あるいは電子部品100の小型化を図ることができる。
【0030】
次いで、図4に示すように、実装基板400に電子部品100を実装する。この工程は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、配線等と電気的に接続された端子410と、これとバンプ130とを位置合わせして電子部品100を配置する。そして、パルスヒートボンディングツール、コンスタントヒートツール等の加圧加熱体Tにより、樹脂層250を溶融した状態で、電子部品100と実装基板400とを押し合わせる(リフロー工程)。これにより、バンプ130と端子410との間の樹脂層250が排出され、バンプ130と端子410が導通接触する。
【0031】
ところで、上記リフロー工程においては、樹脂層250及び実装基板400に吸湿されている水分が急激に蒸発して水蒸気となる。すると、水蒸気の応力によって実装基板400や樹脂層250にクラックを生じさせる可能性がある。
【0032】
これに対し、本実施形態では、上記樹脂層250に凹部240が形成されているので、図4に示されるように樹脂層250の上端部が実装基板400に接触した場合でも、樹脂層250と実装基板400の基板面との間に上記凹部240による隙間Sが生じている。
【0033】
したがって、リフロー工程によって発生した上述の水蒸気を隙間Sから外部に排出させることができる。よって、水蒸気の圧力によって樹脂層250及び実装基板400にクラックが生じるのを防止できる。このような状態で、樹脂層250を熱硬化させることにより、電子部品100と実装基板400とが固着(本接着)されるとともに、これらの間が封止される。このようにして、ICパッケージ1が得られる。
【0034】
このようにして形成されたICパッケージ1は、樹脂層250がバンプ130を覆うとともに外部に通じる貫通口51が形成されたものとなる。この貫通口51は、上述の凹部240に起因するものである。
【0035】
以上述べたように本実施形態によれば、電子部品100の能動面120となる面に溝状の凹部240を有する樹脂膜220を形成するので、リフローを用いて電子部品100を実装基板400上に固着する際、樹脂層250及び実装基板400に吸湿された水分の水蒸気を、凹部240を介して外部に放出できる。よって、水蒸気の圧力によって樹脂層250や実装基板にクラックが生じるといった不具合を防止することができる。また、樹脂層250に凹部240を設けるといった簡便な構成によって耐リフロー性を向上させるとともにICパッケージ1のコスト上昇を抑制できる。
【0036】
(第二実施形態)
続いて、第二実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図5(a)〜(d)は、本実施形態に係る樹脂膜形成工程を示す工程図である。本実施形態では、上記凹部を形成する手法としてフォトリソグラフィ工程を用いる点において上記実施形態と異なっている。以下の説明では上記実施形態と同一の構成及ぶ部材については同一の符号を付し、その説明については省略若しくは簡略化する。なお、図5(a)〜(d)中において左側に示される図は形成用基板100Aの断面形状に対応する図であり、右側に示される図は樹脂膜を形成する形成用基板100Aの平面図を示すものである。
【0037】
はじめに、図1に示したようにバンプ130を形成した形成用基板100Aを用意し、形成用基板100Aの能動面120側にスピンコート法(500〜2000rpm)により感光性樹脂材料を成膜し、乾燥する(100℃、3min)。これにより、図5(a)に示されるように、形成用基板100A上に樹脂材料320を形成する。なお、本実施形態では、ポジ型の上記感光性樹脂材料を用いた。また、樹脂材料320の形成方法はスピンコート法に限定されず、フィルム状のものをラミネート(80℃〜120℃)することで形成するようにしてもよい。
【0038】
続いて、図5(b)に示されるように、樹脂材料320のパターン形状(図5(d)参照)に対応したマスクMを介して紫外線照射(例えば、200〜300mJ/cm)を照射し、露光処理を行う。なお、同図中、右図においては簡単のためマスクの図示を省略している。
【0039】
続いて、現像液によって上記樹脂材料320の現像処理を行う。このような現像液としては、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)、NaCO(炭酸水素ナトリウム)、MEK(メチルエチルケトン)等のアルカリ溶剤或いは有機溶剤を用いることができる(本実施形態では、TMAHを用いた)。
【0040】
本実施形態においては、上述のように樹脂材料320がポジ型であるため、マスク開口に対応する位置、すなわち露光部分の樹脂材料320が除去される。これにより、所定間隔の格子状の凹部340が形成された樹脂膜321が得られる。このようにフォトリソグラフィ工程を用いることで容易に凹部340を形成することができる。なお、凹部340に分断されることで形成されている樹脂パターン321Aは、平面形状が上記バンプ130よりも大きくなっており、バンプ130を覆った状態に形成される。したがって、凹部340がバンプ130を跨いだ状態に形成されることが防止される。
【0041】
次いで、上記実施形態と同様、電子部品の能動面120となる面を鉛直上方に向けた状態で形成用基板100A側から樹脂膜321を加熱することで、図5(c)に示されるように凹部340を下方側(能動面120側)に向かうにつれて内径が狭められた形状とする。これにより、樹脂パターン321Aは形成用基板100A(配線層150)を封止した状態となる。なお、凹部340の幅は、樹脂膜321が流動した後も、後述の水蒸気を外部に放出するのに必要な間隔が残る幅に設定されている。
【0042】
次いで、形成用基板100Aと樹脂膜321とを一括してダイシング(個片化)する。
これにより、図5(d)に示すような電子部品101が得られる。電子部品101には、個片化された樹脂膜321である樹脂層350が搭載される。
【0043】
次いで、図6に示すように、実装基板400に電子部品101を実装する。この工程は例えば、配線等と電気的に接続された端子410と、これとバンプ130とを位置合わせして電子部品101を配置する。そして、パルスヒートボンディングツール、コンスタントヒートツール等の加圧加熱体(100〜200℃)Tにより、樹脂膜321を溶融した状態で、電子部品101と実装基板400とを押し合わせる(リフロー工程)。これにより、バンプ130と端子410との間の樹脂膜321が排出され、バンプ130と端子410が導通接触する。
【0044】
本実施形態に係る構成においても、上記樹脂層350に凹部340が形成されているので、樹脂膜321の上端部が実装基板400に接触した場合でも、樹脂膜321と実装基板400の基板面との間に上記凹部340による隙間S1が生じている。
【0045】
これにより、リフロー工程によって発生した水蒸気を隙間S1から外部に排出させることができる。よって、水蒸気の圧力によって樹脂膜321及び実装基板400にクラックが生じるのを防止できる。このような状態で、樹脂膜321を熱硬化(ポストキュア150℃〜200℃;1〜2h)させることにより、電子部品100と実装基板400とが固着(本接着)されるとともに、これらの間が封止される。このようにして、ICパッケージが得られる。
【0046】
以上述べたように本実施形態によれば、電子部品101の能動面120となる面に溝状の凹部340を有する樹脂膜321を形成するので、リフローを用いて電子部品101を実装基板400上に固着する際、樹脂膜321及び実装基板400に吸湿された水分の水蒸気を、凹部340を介して外部に放出できる。よって、水蒸気の圧力によって樹脂膜321や実装基板にクラックが生じるといった不具合を防止することができる。また、樹脂膜321に凹部340を設けるといった簡便な構成によって耐リフロー性を向上させるとともにICパッケージ1のコスト上昇を抑制できる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、複数のチップ形成領域110を含む形成用基板100A側に樹脂層250を設ける構成としたが、本発明はこれに限定されない。
【0048】
フィルム200から実装基板400の電子部品100の実装面上に溝状の凹部が形成された樹脂層を転写、或いはパターニングにより凹部が形成された樹脂層を形成し、接着層を介して、予め個片化しておいた電子部品100を実装基板400に固着させるようにしてもよい。このとき、樹脂層と実装基板400の基板面との間に上記凹部による隙間が生じているため、上記実施形態と同様、リフローを用いて電子部品100を実装基板400上に固着する際、樹脂層及び実装基板400に吸湿された水分の水蒸気を、凹部を介して外部に放出するとともにクラック等のダメージが生じていないICパッケージを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)〜(c)は、半導体装置の製造工程を示す図である。
【図2】(a)〜(c)は、樹脂膜形成工程を示す工程である。
【図3】(a)〜(c)は、図2に続く樹脂膜形成工程を示す工程である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は、樹脂膜形成工程を示す工程図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…ICパッケージ(半導体装置)、51…貫通口、100,101…電子部品、100A…形成用基板、110…チップ形成領域(領域)、120…能動面、130…バンプ、210…支持膜、220…樹脂膜、230…切断部、240、340…凹部、250,350…樹脂層、320…樹脂材料(感光性樹脂)、400…実装基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板と該実装基板に電気的に接続されたバンプを能動面に有する電子部品とを備え、前記実装基板に前記電子部品が樹脂層を介して実装される半導体装置の製造方法であって、
前記電子部品の形成用基板における複数の領域の各々に、前記バンプを含む前記電子部品の構成要素を形成する形成工程と、
前記形成工程の後、前記形成用基板の前記複数の領域にわたって溝状の凹部を有する樹脂膜を一括して形成する樹脂膜形成工程と、
前記樹脂膜形成工程の後、前記形成用基板を個片化して前記電子部品を形成するとともに前記樹脂膜を個片化して前記凹部を有する前記樹脂層を形成する個片化工程と、
前記樹脂層を介して前記電子部品を前記実装基板に固着させる固着工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂膜は、支持膜に支持され且つ面方向に沿って線状に設けられた切断部を有しており、前記樹脂膜形成工程は、前記支持膜に前記面方向において前記切断部に直交する方向の引張力を作用させて該切断部を前記凹部とした状態で該樹脂膜を前記形成用基板に配置することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂膜形成工程は、前記形成用基板上に感光性樹脂を塗布した後、該感光性樹脂を露光及び現像することでパターニングして前記凹部を有する前記樹脂膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂膜形成工程において、前記電子部品の前記能動面となる面を鉛直上方に向けた状態で前記樹脂膜を加熱し溶融させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
実装基板と該実装基板に電気的に接続されたバンプを能動面に有する電子部品とを備え、前記実装基板に前記電子部品が樹脂層を介して実装されてなる半導体装置の製造方法であって、
前記実装基板の前記電子部品の実装面上に溝状の凹部を有する前記樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層を介して前記電子部品を実装基板に固着させる固着工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
実装基板と該実装基板に電気的に接続されたバンプを能動面に有する電子部品とを備え、前記実装基板に前記電子部品が樹脂層を介して実装される半導体装置であって、
前記樹脂層は、複数の前記バンプを覆うとともに、該複数の前記バンプ間に形成され、外部に通じる貫通口を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記樹脂層がフィルム状の接着材であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記樹脂層が感光性樹脂材料であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記貫通口は、前記実装基板の基板面に沿って設けられることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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