説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】良好な動作を実現でき、かつ、リード先端部の十分な半田濡れ性を確保できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる半導体装置の製造方法では、半導体チップ1を封止樹脂10によって封止する。まず、封止樹脂10から突出するリード20の先端側において、実装面とは反対側に半抜きして、後述するリードを切断する工程後のリード20の先端面のうち底面側に半抜き領域25を形成する。そして、リード20の半抜き領域25にめっき膜30を形成する。その後、めっき膜30が形成された半抜き領域25の上端から実装面と反対方向へリード20を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年パッケージの実装面積の縮小要求により、SOF(Small Outline Flat-leaded)パッケージといった、フラットタイプのリードを持つパッケージが増えてきた。本パッケージのリード先端をめっきにより100%カバーする手段として、例えばリード同士を側面で繋げる近接タイバーを設け、リード先端はあらかじめカットしてある構造で電解めっきを施し、その後近接タイバーをカットする方法がある。しかしこの方法では設置できる近接タイバーの寸法に制限があり、リードフレームの厚みが厚くなると採用が難しくなる。リードフレームの厚みが厚いパッケージの場合、現行ではめっき後リードカットを行うプロセスとなり、リード先端には巻き上げによるめっき付着しか期待できず、100%めっきでカバーすることはできない上、めっき面積のコントロールは困難である。
【0003】
また、半導体パッケージが小型化する中で、実装基板に機械的および電気的に接続するリードの面積がますます小さくなっている。特に、SOFでは、パッケージの封止樹脂部分から外に出ているリード長が0.15〜0.5mm程度であり、めっきはリード上面及び下面のみほぼ100%確保できる状況である。上記のように、リード先端は、めっき後にカットを実施するのが一般的であり、先端はリード母材が露出する。実際には、カット時の端面でのめっき巻き上げにより、リードの先端面も部分的にめっきが付着する。しかし、カットする際の条件やパンチの金型の摩耗程度により付着面積は変化し、一定面積を保証することは困難である。すなわち、リード先端の半田濡れ性を確保することが困難である。
【0004】
リードの先端の半田濡れ性が悪い場合、半田フィレットは形成されず、リード底面のみ半田が濡れることになる。このため、基板への実装後の半田外観検査時に、濡れ性良否判断が困難となる。特に自動外観検査装置では半田フィレットの高さが重要であり、安定して濡れ性良否判定するためには、半田フィレットの高さがリードの厚みの半分以上あることが望ましい。なお目視による外観検査においても、半田フィレットの高さがリード厚の半分以上ある方が判定が容易となるのは同じである。
【0005】
このような状況の中、各社リード先端部分へのめっき方法および半田濡れ性確保のための構造や工法を工夫している。例えば、特許文献1には、リード先端部分への半田付着性を向上させる半導体装置が開示されている。以下、特許文献1に記載された半導体装置の製造方法について簡単に説明する。
【0006】
まず、リード先端を半抜き工法により上方または下方に折り曲げ、その後めっきを実施する。リードカットの際には、折り曲げ部分が残る位置でカットするため、リード先端に段差ができる。このように、リード先端に段差を付けることで、めっきにより被覆される面積を増やし、リードがまっすぐな時よりも半田濡れ性を向上することができる。
【特許文献1】特開2005−209999号公報
【特許文献2】特開平5−291456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された構造の場合、半田が段差の下に隠れてしまい、製造ラインで半田濡れ性を目視もしくは自動外観検査装置により検査する時に認識が困難となる。特に自動外観検査装置ではリード部分の半田フィレットが検出できず、安定した検査は困難となる。
【0008】
また、特許文献2では、リード先端部に凹部を設けることにより、リード先端部をめっきしている。具体的には、リード先端部に段差を設けて、その段差近傍においてリード先端側を切断している。この際、カットラインよりリード根元側においてパッケージ表面側にダイを当てて、カットラインよりリード先端側においてパッケージ裏面側からパンチによって切断する。従って、特許文献2に記載された技術では、切断する際に、段差によってパッケージ表側に突出したリード部分をダイによって押し潰してしまう。すなわち、リード先端部が幅方向に広がった形状となる。このため、隣接するリード間でショートしたり、耐圧が低下したりする原因となりうる。
【0009】
また、特許文献2には、段差の替わりにV字型のグルーブ(溝)を形成する例も開示されている。しかし、溝を付ける際に、溝内のリードが溝の外側に土手のように盛り上がってしまう。また、特に溝が深くなるほど、土手は高くなり、実装面の平坦性が悪くなる。このため、実装基板との接続が不十分になる場合がある。なお、この土手の高さは、溝の深さ、溝の角度、溝を形成する際の刃の投入角度により変化する。このため、高さ制御は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる半導体装置の製造方法は、半導体チップを封止樹脂によって封止する半導体装置の製造方法であって、前記封止樹脂から突出するリードの先端側において、実装面とは反対側に半抜きして、後述するリードを切断する工程後の前記リードの先端面のうち底面側に半抜き領域を形成する工程と、前記リードの前記半抜き領域にめっき膜を形成する工程と、前記めっき膜が形成された前記半抜き領域の上端から実装面とは反対方向へ前記リードを切断する工程とを備える方法である。これにより、良好な動作を実現でき、かつ、リード先端部の十分な半田濡れ性を確保できる。
【0011】
本発明にかかる半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップを封止する封止樹脂と、前記半導体チップと電気的に接続し、前記封止樹脂から突出するリードと、前記リードの先端面に設けられ、せん断面を有する半抜き領域と、前記半抜き領域の上端から前記リードの先端面の上端まで設けられ、破断面を有するリードカット領域と、前記リードの先端面において、前記半抜き領域に形成されためっき膜とを備えるものである。これにより、良好な動作を実現でき、かつ、リード先端部の十分な半田濡れ性を確保できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、良好な動作を実現でき、かつ、リード先端部の十分な半田濡れ性を確保できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
まず、図1を参照して、半導体装置としての表面実装パッケージについて説明する。図1(a)は、表面実装パッケージの構成を示す側面図である。図1(b)は、表面実装パッケージの構成を示す正面図である。ここでは、表面実装パッケージの一例として、SOF(Small Outline Flat-leaded)パッケージを説明する。SOFパッケージとは、フラット状のリードが矩形状の封止樹脂の2側面から取り出されたものである。
【0014】
表面実装パッケージは、半導体チップ1、封止樹脂10、及びリード20を有する。封止樹脂10とは、半導体チップ1を封止し、外部環境から半導体チップ1を保護するものである。なお、半導体チップ1は、図示しないダイパッド上に搭載される。リード20は、封止樹脂10の外縁部に形成される。リード20は、半導体チップ1と電気的に接続し、封止樹脂10から突出している。すなわち、リード20は、外部から接続可能となっている。リード20は、封止樹脂10の対向する2側面から外側に向けて延在する。なお、リード20は封止樹脂10の内側から延在する。また、封止樹脂10の内側で、半導体チップ1とリード20とは、ボンディングワイヤ2によって電気的に接続される。
【0015】
リード20は、それぞれの側面に対して複数形成され、互いに平行になっている。図1(b)においては、1つの側面に対して、4本のリード20が形成され、互いに平行になっている。また、それぞれのリード20において、根元側(封止樹脂10側)から先端側(封止樹脂10とは反対側)まで略一定の幅及び厚みを有する。このため、隣接するリード20間でのショートや耐圧の低下が発生しにくい。
【0016】
ここで、図2を参照して、リード20部分の詳細な構成について説明する。図2(a)は、リード20部分を拡大した側面図である。図2(b)は、リード20先端部分を拡大した図である。図2(b)において、左側が側面図、右側が正面図である。
【0017】
図2(a)に示されたように、リード20の上面及び下面の略全面に、めっき膜30が形成される。また、リード20の先端面において、上部以外の略全面に、めっき膜30が形成される。なお、図2には図示していないが、リード20の側面の略全面にも、めっき膜30が形成される。すなわち、リード20の先端面上部以外、封止樹脂10から突出したリード20は、めっき膜30によって覆われる。
【0018】
リード20は、半抜きした後、リードカットされることにより形成される。ここで、半抜き(ハーフブランキング)とは、ダイの上にのせた部材をパンチでプレスすることにより、孔抜き工程を途中まで行い、凸状体を形成することである。すなわち、半抜きでは、リード20が完全に切断されない。
【0019】
通常、リード20を切断すると、図2(b)に示すように、リード20の切断面には、ダレ面21、せん断面22、破断面23、切断バリ24が形成される。ここでは、リード20の先端面において、パッケージ裏側から、ダレ面21、せん断面22、破断面23、切断バリ24が順次形成される。破断面23は、リード厚の20%程度を占める。リード20をパンチで切断中に、破断面領域内に微小なクラックが発生する。そのため破断面領域ではパンチでの切断ではなく、微小なクラックに沿った破断が発生する。すなわち破断面23は微小なクラックに沿った破断により形成される。なお、ここで、パッケージ裏側とは、表面実装パッケージにおいて、実装基板に実装される実装面側のことである。また、ダレ面21、せん断面22、破断面23、及び切断バリ24は、パッケージ裏面側のリード20底面から略垂直方向に延在する。すなわち、リード20の先端面は、段差、凹部等がほとんど形成されない。
【0020】
また、リード20の先端面には、パッケージ裏側から、半抜きにより形成された半抜き領域25、及びリードカットにより切断されたリードカット領域26が順次設けられる。半抜き領域25の上端とリードカット領域26の下端とは一致しており、リードカット領域26は、半抜き領域25の上端からリード20の先端面の上端まで設けられている。また、パッケージ裏側からパッケージ表側に延在する半抜き領域25の延長上に切断バリ24が設けられる。半抜き量、すなわち半抜き領域25は、リード20の先端面のパッケージ裏側から50〜80%の領域を占める。つまり、半抜き領域25は、リード20の先端面において、下端からリード厚の50〜80%までに設けられる。
【0021】
ここで、半抜き量下限を50%とするのは、基板実装時の半田フィレットの高さをリード厚の少なくとも半分以上とするためである。また、半抜き位置は、せん断面22内にとどめておくため、上限を80%とする。破断面領域には微小クラックが内在しており、少しの衝撃で微小クラックが繋がってしまう恐れがある。せん断面22を超えて破断面領域のみでリードが繋がっていると、後述する半抜き工程後のバリ取り、めっき工程中での振動で破断面内の微小クラックが繋がり、リード20が切断されてしまう恐れがある。ここで、半抜き位置とは、リードカット領域26側において、半抜き領域25の端のことである。すなわち、半抜き位置とは、半抜き領域25の上端のことである。
【0022】
半抜き領域25は、ダレ面21下端からせん断面22の高さ方向途中までに相当する。すなわち、半抜き領域25は、ダレ面21及びせん断面22を有する。リードカット領域26は、せん断面22の高さ方向途中から切断バリ24上端までに相当する。すなわち、リードカット領域26は、せん断面22、破断面23、及び切断バリ24を有する。また、リード20の先端面において、半抜き領域25の下端からリードカット領域26の高さ方向の途中までにめっき膜30が形成される。すなわち、ダレ面21の下端からせん断面22の高さ方向途中までめっき膜30が形成される。具体的には、めっき膜30は、半抜き領域25の略全面に形成される。また、めっき膜30は、リードカット領域26の下端側一部に形成される。図2(b)の右側に示された図においては、半抜き領域25のめっき膜30を濃く、リードカット領域26のめっき膜30を薄く示している。表面実装パッケージは、以上のように構成される。
【0023】
本実施の形態にかかる表面実装パッケージにおいて、半抜き領域25は、リード20の先端面のパッケージ裏側からリード厚の50〜80%の領域を占める。すなわち、リード20の先端面には、下端からリード厚の50%以上がめっき膜30に覆われる。そして、基板実装時に、半田41がめっき膜30に濡れ広がる。
【0024】
ここで、基板実装時の半田フィレットの高さについて、比較例を用いて説明する。図3は、実装基板40上に実装された表面実装パッケージの構成を示す側面図である。なお、図3は、図2(a)と同様、リード20部分を拡大した側面図である。図3(a)は、リード20の先端面が100%めっき膜30で被覆されている場合を表す比較例である。図3(b)は、リード20の先端面が全くめっき膜30で被覆されていない場合を表す比較例である。
【0025】
実装基板40には、フットパターン(不図示)が形成される。フットパターンは、表面実装パッケージの複数のリード20に対応してそれぞれ設けられる。そして、各リード20と、それに対応するフットパターンとは、半田41によって接続されている。半田41は、めっき膜30に濡れ広がる。このため、リード20の先端面が100%めっき膜30で被覆されている場合、図3(a)に示されたように、リード20の最上端まで半田41が濡れ広がる。一方、リード20の先端面が全くめっき膜30で被覆されていない場合、図3(b)に示されたように、半田41がリード20先端には濡れ広がらず、リード20底面のみ濡れる。また、リード20の酸化などで先端面の濡れ性が低下している場合も同様である。
【0026】
基板実装後のリード20の半田濡れ性を判定する場合、リード先端の半田フィレットの高さを自動外観検査装置で検出し、良否判定を行う方法が多い。図3(b)に示されたように、リード20の先端に全く半田フィレットがない場合、自動外観検査装置で半田41を検出することが非常に困難となる。また、半田フィレットが形成されてもその高さがリード厚の50%を下回っていても同様である。このため、たとえリード20の底面は、半田41が濡れており電気的接続は確保されていても、またリード面積が十分にあり接続強度も確保されていても、不良と判定してしまう。また、目視による外観検査でも半田41を認識することが困難であり、やはり不良と判定してしまう。
【0027】
本実施の形態にかかる表面実装パッケージの場合、リード20の先端面のめっき膜30の高さは、図3(a)及び図3(b)に示されためっき膜30の高さの間である。従って、基板実装後の半田フィレットの高さは、図3(a)及び図3(b)に示された半田フィレットの高さの間になる。また、本実施の形態では、リード厚の少なくとも50%以上がめっき膜30で覆われ、リード先端部の十分な半田濡れ性を確保できる。このため、半田フィレットの高さは、リード厚の50%以上を確保することができる。そして、半田濡れ性の検査時に、自動外観検査装置等による判定が容易となる。
【0028】
次に、図4、5を参照して、表面実装パッケージの製造方法について説明する。図4、5は、表面実装パッケージの製造方法を示す側面図である。
【0029】
まず、リードフレーム上に半導体チップ1を搭載して、ボンディングワイヤ2によってリード20と半導体チップ1とを電気的に接続する。そして、半導体チップ1及びボンディングワイヤ2を封止樹脂10によって封止する。リードフレームには、半導体チップ1を搭載するダイパッド、リード20等のパターンが形成されている。また、リードフレームには、複数の表面実装パッケージに対応するユニットがアレイ状に形成されている。以上の工程により、図4(a)に示される構成となる。次に、図4(b)に示されるように、リード20に半抜き用ダイ50を当て、半抜き用パンチ51によりパッケージ裏側から半抜きを行う。すなわち、リード20の先端側を実装面とは反対側に半抜きする。具体的には、リード20の根元側において、パッケージ表側から半抜き用ダイ50を当てる。そして、リード20の先端側において、パッケージ裏側から半抜き用パンチ51を当てて半抜きする。
【0030】
半抜きによってリード20には、完成したリード20(リードカット後のリード20)の先端に相当する部分より先がパッケージ表側に凸形状に配置された段差が形成される。そして、完成したリード20の先端に相当する部分には、略90度に屈折する屈折部A及び屈折部Bがリード20の実装面側から順次形成される。屈折部A及び屈折部Bは、半抜き前のリード20の底面に相当する部分に形成される。また、完成したリード20の先端に相当する部分からパッケージ表側にも、略90度に屈折する屈折部C及び屈折部Dがリード20の上面側からパッケージ表側へ順次形成される。屈折部C及び屈折部Dは、半抜き前のリード20の上面に相当する部分に形成される。また、屈折部A、B、C、Dは、リード20の長さ方向における位置が略一致している。
【0031】
屈折部A及び屈折部Bの間が半抜き領域25となる。すなわち、完成したリード20の先端に相当する部分には、半抜きによって半抜き領域25が形成される。このように、リード20の先端面となる半抜き領域25が形成されるため、半抜き後には完成したリード20の先端面に相当する領域の一部が露出する。つまり、半抜きによって、完成したリード20の先端面のうち底面側に半抜き領域25が形成される。また、ここでの半抜き量は、リード厚の50〜80%とする。すなわち、半抜き領域25は、リード厚の50〜80%となる。なお、ここで、上限を80%とせん断面22内でとどめているので、リードカット前に工程内の振動によってリード先端の接続部分が切断されることはない。さらに、バリ取り、外装めっきを実施する。これにより、半抜き領域25を含め、リード20の表面にめっき膜30が形成される。
【0032】
なお、10〜20um程度の外装めっき膜30を安価にリード20に形成する方法として、製品を個片化する前のリードフレーム状態での電解めっきが一般的である。電解めっきでは、リードフレーム両端に電極を装着しめっき浴中に浸漬、通電することでめっきをリード20の表面に析出させる。リード20の先端をめっき前に完全にカットすると、特にゲートリード及びソースリードは、リードフレーム本体との電気的つながりを失う。このため、リード20にめっき膜30を形成することができない。しかし、本発明の製造方法であれば、ゲートリードおよびソースリードもリードフレーム本体との電気的つながりを保った状態でめっきすることができる。以上の工程により、図4(c)に示される構成になる。
【0033】
その後、図5(d)に示されるように、リード20にリードカット用ダイ52を当て、リードカット用パンチ53によりパッケージ裏側からリードカットを行う。これにより、リードカット領域26が形成される。具体的には、リード20の根元側において、パッケージ表側からリードカット用ダイ52を当てる。なお、リードカット用ダイ52は、屈折部Cよりリード20の根元側に当てる。そして、リード20の先端側において、パッケージ裏側からリードカット用パンチ53を当ててリードカットを行う。これにより、半抜き位置において、パッケージ裏側からリードカットを行う。
【0034】
すなわち、パッケージ裏側において、半抜き領域25の上端をパッケージ裏側からリードカットする。このように、半抜き領域25の上端から実装面とは反対方向へリード20を切断する。換言すると、リード20の屈折部Bから屈折部Cまでを切断する。そして、せん断面22の一部、破断面23、及び切断バリ24が屈折部Bよりもパッケージよりになる。このように、屈折部Bより先端側でリード20を切断しない。このため、半田41が段差の下に隠れることがなく、半田濡れ性を検査しやすくなる。
【0035】
また、このとき、先に形成した半抜き領域25のめっきの一部を下から巻き上げ、リードカット領域26の一部をめっき膜30でカバーする。これにより、半抜き領域25下端からリードカット領域26の高さ方向の途中までめっき膜30が形成される。つまり、リード20の先端面にもめっき膜30を付けることが可能となり、半田濡れ性が向上する。また、めっき膜30は、リード20の先端面において、リード厚の50%以上まで形成される。以上の工程により、表面実装パッケージが製造される。
【0036】
表面実装パッケージは、実装基板40上に実装される。まず、実装基板40のフットパターン上に半田41をそれぞれ塗布する。そして、対応するリード20と半田41を接続する。これにより、半田41を介して、対応するリード20とフットパターンとが接続される。また、このとき、半田41は、めっき膜30に濡れ広がる。本実施の形態では、めっき膜30がリード20底面からリード厚の50%以上まで形成される。このため、図5(d)に示されるように、半田フィレットの高さは、リード厚の50%以上となる。すなわち、半田フィレットの高さをH、リード厚をTとすると、H≧T/2となる。また、パッケージ表側から検査を行ったとしても、リード20によって、半田フィレットはほとんど遮られない。このため、半田濡れ性の検査を行いやすくなる。
【0037】
また、リードカットの際、リードカット用ダイ52は、屈折部Cよりリード20の根元側に当てる。換言すると、屈折部Dにリードカット用ダイ52を当てないようにする。すなわち、リード20の段差をパッケージ裏側に押し潰されないようにする。これにより、リード20先端が隣接するリード20側に押し潰されにくく、隣接するリード20間でのショートや耐圧の低下が発生しにくい。このため、良好な動作を実現できる。
【0038】
また、本実施の形態では、半抜きにより、めっき工程前にリード20の先端面を露出させているため、リード20の実装面側に肉の盛り上がりは発生しない。すなわち、特許文献2のような溝内のリードが溝の外側に土手のように盛り上がることがほとんどなく、実装面の平坦性が低減しにくい。そして、実装基板40との接続が良好となる。また、半抜きにより形成された段差部分でリード長が決まるため、リード長がばらつきにくい。
【0039】
なお、上記の製造方法では、樹脂封入後にリード20の半抜きを実施しているが、リード位置での半抜きをあらかじめ施したリードフレームを使用してもよい。これにより、半抜き工程が不要となり、半抜き用の金型・治工具費用や作業費用が削減される。なお、この場合も、半抜き量はリード厚の50〜80%とする。また、上記の例では、リード20は、フラット状に形成されるが、一部に屈折部を有するガルウィング型等のSOP(Small Outline Package)であってもよい。さらには、リード20が封止樹脂10の4側面から取り出されたQFP(Quad Flat Package)であってもよい。少なくとも、1本以上のリード20が形成された半導体装置であれば適用可能である。
【0040】
次に、図6、7を参照して、表面実装パッケージの製造方法の比較例について説明する。図6、7は、表面実装パッケージの製造方法を示す側面図である。
【0041】
図4(a)に示された工程と同様、リードフレーム上に半導体チップ1を搭載して、封止樹脂10によって封止する。これにより、図6(a)に示される構成となる。そして、バリ取り、外装めっきを実施し、図6(b)に示される構成となる。その後、図7(c)に示されるように、リード20にリードカット用ダイ52を当て、リードカット用パンチ53によりパッケージ裏側からリードカットを行う。以上の工程により、表面実装パッケージが製造される。
【0042】
このように、半抜きを行わずにリードカットを行うため、リード20の先端面にはめっき膜30は形成されず、リードフレームの母材が露出する。なお、めっき後のリードカットで巻き上げられためっきがリード20の先端面に付着する場合があるが、カット条件やカット金型の摩耗度合いにより巻き上げ量は変わりやすい。このため、安定してリード厚の半分以上の面積をめっき膜30でカバーすることは困難である。
【0043】
上記の工程により、形成された表面実装パッケージを実装基板40に実装した場合、図7(d)に示されるように、半田フィレットの高さはリード厚の半分より低くなる。すなわち、H<T/2となる。これは、安定してリード20の底面からリード厚の半分以上の面積をめっき膜30でカバーすることが困難なためである。特に、リード先端が酸化等で半田41の濡れ性が劣化すると、図3(b)に示されるように、リード先端に半田フィレットは形成されない。つまり、リード20の先端面のめっき領域が下端からリード厚の半分以上ないと、半田フィレットの高さもリード厚の半分に達しない。従って、半田濡れ性の検査時に自動外観検査装置による判定が困難になる。
【0044】
実施の形態2.
本実施の形態では、リードの先端面の幅方向における両端部に、めっき膜が形成されためっき領域を有する。なお、その他の構成等については実施の形態1と共通するので説明を省略又は簡略化する。まず、図8を参照して、リードの先端面の構成について説明する。図8は、リードの先端面を拡大した正面図である。
【0045】
図8に示されるように、リード20の先端面において幅方向の両端部に、略全域にめっき膜30が形成されためっき領域60がそれぞれ設けられる。めっき領域60は、幅方向の両端部の略全域に形成される。すなわち、リード20の先端面にて、幅方向における両端部の下端から上端までめっき膜30が形成されている。また、めっき領域60の幅は、それぞれのめっき領域60でほぼ同一となっている。2つのめっき領域60の幅の合計は、リード20先端の幅の略半分となっている。
【0046】
また、リード20の先端面の幅方向中央部において下端側に半抜き領域25、上端側にリードカット領域26が形成される。すなわち、半抜き領域25及びリードカット領域26は、2つのめっき領域60によって挟まれる。半抜き領域25は、リード20の先端面のパッケージ裏側から50〜80%の領域を占める。そして、リード20の先端面の略中央部では、実施の形態1と同様、半抜き領域25下端からリードカット領域26の高さ方向の途中までめっき膜30が形成される。すなわち、リード20の先端面の略中央部において、リード厚の少なくとも50%以上がめっき膜30で覆われている。本実施の形態では、さらにめっき領域60が設けられているため、リード20の先端面の75%以上にめっき膜30が形成される。
【0047】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、めっき膜30によって略全域が覆われるめっき領域60を有する。このため、リード20先端の半田濡れ性がさらに向上する。なお、本実施の形態では、リード20の先端面において幅方向の両端部にめっき領域60を設けたが、いずれか一方の端部に設けてもよい。
【0048】
次に、図9、10を参照して、本実施の形態にかかる表面実装パッケージの製造方法について説明する。図9、10は、表面実装パッケージの製造方法を示す図である。なお、図9(a)〜図10(c)のそれぞれにおいて、上部に上面図、下部に側面図を示す。
【0049】
まず、リード20の先端側の幅を狭くする。これにより、リード20の根元側に幅広部分61、リード20の先端側に幅狭部分62が形成される。また、幅広部分61の先端面にめっき領域60が形成される。具体的には、リード20の幅方向の両端からそれぞれリード20の幅の25%まで切断する。すなわち、リード20の幅狭部分62の幅は、リード20の幅広部分61の幅の約半分となる。ここでは、完成したリード20の先端に相当する位置より、根元側が幅広部分61、先端側が幅狭部分62となる。また、幅広部分61及び幅狭部分62のそれぞれにおいて、リード20は略同一の厚みを有する。このようなリード20は、例えば小片化する前のリードフレームの形状を実施の形態1から変更することにより形成される。そして、実施の形態1と同様、リードフレーム上に半導体チップを搭載して、封止樹脂10によって封止する。以上の工程により、図9(a)に示される構成となる。
【0050】
次に、パッケージ裏側から半抜きを行う。また、ここでの半抜き量は、実施の形態1と同様、リード厚の50〜80%とする。具体的には、リード20において、幅広部分61と幅狭部分62の境界近傍をパッケージ表側に半抜きする。なお、幅広部分61の先端にて下端を実施の形態1における屈折部Aとして半抜きする。これにより、リード20の幅狭部分62のみが折り曲げられる。これにより、リード20の幅方向において略中央部のみに半抜き領域が形成される。また、めっき領域60と半抜き領域25とは、略平面状につながっている。このように、めっき領域60及び半抜き領域25が露出している。すなわち、半抜き後には、完成したリード20の先端面に相当する領域の一部が露出する。具体的には、完成したリード20の先端面のうち、75%以上が露出する。以上の工程により、図9(b)に示される構成となる。
【0051】
次に、バリ取り、外装めっきを実施する。これにより、めっき領域60及び半抜き領域25を含め、リード20の表面にめっき膜30が形成される。その後、半抜き位置からリードカットを行う。これにより、リードカット領域26が形成される。以上の工程により、図9(c)に示される構成となり、表面実装パッケージが製造される。なお、図9(c)においては、めっき膜30の図示を省略する。本実施の形態にかかる表面実装パッケージの製造方法によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態1にかかる表面実装パッケージの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1にかかるリード部分を拡大した図である。
【図3】実装基板上に実装された表面実装パッケージの構成を示す側面図である。
【図4】実施の形態1にかかる表面実装パッケージの製造方法を示す側面図である。
【図5】実施の形態1にかかる表面実装パッケージの製造方法を示す側面図である。
【図6】表面実装パッケージの製造方法を示す側面図である。
【図7】表面実装パッケージの製造方法を示す側面図である。
【図8】実施の形態2にかかるリードの先端面を拡大した正面図である。
【図9】実施の形態2にかかる表面実装パッケージの製造方法を示す図である。
【図10】実施の形態2にかかる表面実装パッケージの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体チップ、2 ボンディングワイヤ、10 封止樹脂、20 リード、
21 ダレ面、22 せん断面、23 破断面、24 切断バリ、25 半抜き領域、
26 リードカット領域、30 めっき膜、40 実装基板、41 半田、
50 半抜き用ダイ、51 半抜き用パンチ、52 リードカット用ダイ、
53 リードカット用パンチ、60 めっき領域、61 幅広部分、62 幅狭部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを封止樹脂によって封止する半導体装置の製造方法であって、
前記封止樹脂から突出するリードの先端側において、実装面とは反対側に半抜きして、後述するリードを切断する工程後の前記リードの先端面のうち底面側に半抜き領域を形成する工程と、
前記リードの前記半抜き領域にめっき膜を形成する工程と、
前記めっき膜が形成された前記半抜き領域の上端から実装面とは反対方向へ前記リードを切断する工程とを備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半抜きする工程では、リード厚の50〜80%を半抜きにする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記リードを半抜きする工程前に、前記リードの先端側の幅を狭くし、前記リードの根元側に幅広部分、前記リードの先端側に幅狭部分を形成する工程をさらに備え、
前記リードを半抜きする工程では、前記幅広部分と前記幅狭部分との境界近傍を半抜きする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記幅狭部分の幅は、前記幅広部分の幅の半分である請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体チップと、
前記半導体チップを封止する封止樹脂と、
前記半導体チップと電気的に接続し、前記封止樹脂から突出するリードと、
前記リードの先端面に設けられ、せん断面を有する半抜き領域と、
前記半抜き領域の上端から前記リードの先端面の上端まで設けられ、破断面を有するリードカット領域と、
前記リードの先端面において、前記半抜き領域に形成されためっき膜とを備える半導体装置。
【請求項6】
前記半抜き領域は、前記リードの先端面において、下端からリード厚の50%〜80%までに設けられた請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記リードの先端面にて、幅方向において少なくともいずれか一方の端部の下端から上端まで前記めっき膜が形成された請求項5又は6に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−87173(P2010−87173A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253633(P2008−253633)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】