半導体装置の製造方法
【課題】ワイヤーボンディング工程の生産性の低下を抑制しつつ、キャピラリの内部や先端の残存金属を除去できるようにした半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】ワイヤー11の一端の側に形成されたボールをパッド電極2に接合させて圧着ボール13とボールネック15とを形成し、キャピラリ50の先端52でボールネック15にワイヤー11を押しつける工程(1stボンド)と、キャピラリ50をパッド電極2上からリード23上へ移動させて、ワイヤー11の他端の側をリード23に接合する工程(2ndボンド)と、1stボンドと2ndボンドとが当該順で複数回、繰り返し行われた後で、キャピラリ50をリードフレーム20が有するダミー領域R2上へ移動させて、そこに接合する工程(クリーニングボンディング)と、を含む。
【解決手段】ワイヤー11の一端の側に形成されたボールをパッド電極2に接合させて圧着ボール13とボールネック15とを形成し、キャピラリ50の先端52でボールネック15にワイヤー11を押しつける工程(1stボンド)と、キャピラリ50をパッド電極2上からリード23上へ移動させて、ワイヤー11の他端の側をリード23に接合する工程(2ndボンド)と、1stボンドと2ndボンドとが当該順で複数回、繰り返し行われた後で、キャピラリ50をリードフレーム20が有するダミー領域R2上へ移動させて、そこに接合する工程(クリーニングボンディング)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、ワイヤーボンディング工程でのキャピラリの内部や先端の残存金属を除去できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、通常、ワイヤーボンディングといえば図12に示すように、圧着ボール13直上へワイヤー11が伸びるようなボールネック15を備える正ボンドと呼ばれる方法で、半導体素子(チップ)1とリード23とが電気的に接合される。この場合、半導体チップ1のパッド電極の上面を原点にした場合のワイヤー11の高さh1が120μm程度(ワイヤ径が25μmの場合)あり、薄型デバイスには不適である。高さh1を低くするために、ボンディング装置のパラメータを変更すると、図13に示すように、半導体チップ1のパッド電極の上面を原点にした場合のワイヤー11の高さh2が80μmとなり、薄型デバイスに適用可能な形状が得られる。
【0003】
しかし、この図13に示す形態ではボールネック15に過剰な負荷がかかり、プル強度測定を実施すると、ボールネック直近で破断が起き、その強度も5gfに低下する。そこで、ボールネック15に過剰な負荷をかけないワイヤーボンディング方法として、1stボンド時にキャピラリの先端でワイヤー11をボールネック15に押しつける方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。以下に、このワイヤーボンディング方法について、図15(a)〜(d)を用いて説明する。
【0004】
図15(a)では、まず、例えば金(Au)からなるワイヤー11の一端の側にスパーク放電により球状のボールを形成し、このボールをパッド電極に接合させて、圧着ボール13とボールネック15とを形成する。この工程が1stボンドである。圧着ボール13は球状のボールがキャピラリの先端(即ち、フェイス)によって潰されて円板状になったものであり、ボールネック15はボールの一部がキャピラリ50の内部51に入り込むことによって形成されたものである。
【0005】
次に、図15(b)に示すように、キャピラリ50を上昇させてリードの反対側に動かす。続けて、キャピラリ50を下降させて、図15(c)に示すように、キャピラリ50の先端52であってリード側の部分52aを用いて、ボールネック15にワイヤー11を押しつけて、ボールネック15を変形させる。さらに、キャピラリ50を再度上昇させてワイヤー11を折り返す動作を行う。その後、図15(d)に示すように、キャピラリ50の先端52であってリードとは反対側の部分52bを用いて、再びボールネック15にワイヤー11を押しつける。そして、ワイヤー11を、リードの延伸方向に対して平行になるような軌跡をもつループ(即ち、低ループ)状に形成して、ワイヤー11の他端の側をリードに接合する。この接合が2ndボンドである。
【0006】
このように、1stボンド時にキャピラリ50の先端52により、ボールネック15にワイヤー11を2度押しつけることで、図14のように、半導体チップ1のパッド電極の上面を原点にした場合のワイヤーの高さh3が70μmに抑えられたワイヤールーピングを実現することができ、且つプル強度が8gf有り、ボールネック直近で破断しない強い接合が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−103403号公報
【特許文献2】特開平1−255238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、本発明者は、図15(a)〜(d)に示した方法では、ボールネック15にワイヤー11を押しつけることにより、ワイヤー11を構成している金属がキャピラリ50の内部51に押し戻され、或いは、キャピラリ50の先端52に付着して、そのまま残存してしまうことがある、という課題を発見した。
具体的には、図16(a)に示すように、リード側の部分52aでボールネック15にワイヤー11を押しつける過程では、リード側の部分52aはワイヤー11に強く押しつけられるため、その接触箇所に金属が付着して、そのまま残存してしまうことがあった。また、図16(b)に示すように、リードとは反対側の部分52bで再びボールネック15にワイヤー11を押しつける過程では、この反対側の部分52bはワイヤー11に強く押しつけられるため、その接触箇所に金属が付着して、そのまま残存してしまうことがあった。
【0009】
このように、キャピラリ50の内部51や先端52に金属が残存してしまうと、キャピラリ50からのワイヤー11の繰り出しが阻害されて、例えば、キャピラリ50から繰り出されるワイヤー11の径が細る場合がある。ワイヤー11の径が細ると引っ張り強度が低下してしまう。また、ワイヤー11繰り出し量が大きく変化することで、ループの高さがばらついてしまうこともある。
【0010】
一方、このような課題の解決手段として、例えば、ワイヤーボンディング装置からキャピラリを一旦取り外し、取り外したキャピラリの内部や先端を薬液で洗浄する方法が考えられる(例えば、特許文献2を参照。)。しかし、この方法は、キャピラリを取り外すことが前提となるオフラインでの洗浄作業である。ワイヤーボンディング工程において、キャピラリを頻繁に付け替える必要があるため、大幅なタクトアップ(即ち、生産性の低下)が避けられないという課題があった。
そこで、この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ワイヤーボンディング工程の生産性の低下を抑制しつつ、キャピラリの内部や先端から残存金属を除去でき、かつ、低ループ形状を可能とする半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者は、キャピラリを従来技術のオフラインでの洗浄作業でなく、オンラインでのクリーニングボンディング工程により、キャピラリ内の残存金属を除去する方法を見いだすに至った。
即ち、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子が有する第1の領域とリードフレームが有する第2の領域とを、キャピラリから繰り出されるワイヤーで接続する半導体装置の製造方法であって、前記ワイヤーの一端の側に形成されたボールを前記第1の領域に接合させて圧着ボールとボールネックとを形成し、前記キャピラリの先端で前記ボールネックに前記ワイヤーを押しつける第1のボンディング工程と、前記キャピラリを前記第1の領域上から前記第2の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記第2の領域に接合する第2のボンディング工程と、前記第1のボンディング工程と前記第2のボンディング工程とが当該順で複数回、繰り返し行われた後で、前記キャピラリを前記リードフレームが有する第3の領域上へ移動させて、前記ワイヤーを前記第3の領域に接合するクリーニングボンディング工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
このような方法であれば、キャピラリの内部や、キャピラリの先端において意図せず残存している金属(即ち、残存金属)を第3の領域上へ排出して除去することが可能となる。その結果、クリーニングボンディング工程の後に続く製品処理(即ち、第1のボンディング工程と第2のボンディング工程)で、ワイヤーの流動が残存金属により阻害されることを防ぐことができ、ワイヤーの繰り出し量が大きく変化することを防ぐことができる。これにより、ワイヤーの径が細ることや、ループの高さがばらつくことを防ぐことができ、プル強度及び高さの安定したワイヤーボンディングが可能となる。従来技術と比較して、残存金属を除去するためにキャピラリを着脱する必要がないため、ワイヤーボンディング工程の生産性を高めることができる。
【0013】
なお、「第1のボンディング工程」としては、例えば、後述する1stボンドが該当する。「第2のボンディング工程」としては、例えば、後述する2ndボンドが該当する。「第1の領域」としては、例えば、後述するパッド電極2a〜2dの何れか一が該当する。「第2の領域」としては、例えば、後述する製品領域R1のリード23、23a〜23dの何れか一が該当する。「第3の領域」としては、例えば、後述するダミー領域R2が該当する。
【0014】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記クリーニングボンディング工程は、前記キャピラリから繰り出される前記ワイヤーの一端の側に形成されたダミーボールを前記第3の領域のうちの一方の領域に接合させてダミー圧着ボールを形成する第1のダミーボンディング工程と、前記キャピラリを前記一方の領域上から前記第3の領域のうちの他方の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記他方の領域に接合する第2のダミーボンディング工程と、を含み、前記第2のダミーボンディング工程におけるボンディング条件のうち、前記キャピラリに付加される超音波及び加重の各パラメータは、前記第2のボンディング工程におけるボンディング条件よりも高い数値であることを特徴としてもよい。このような方法であれば、キャピラリの内部や先端から第3の領域上へ、残存金属をより強く、より効果的に排出することが可能となる。
【0015】
なお、「第1のダミーボンディング工程」としては、例えば、後述する1stダミーボンドが該当する。「第2のダミーボンディング工程」としては、例えば、後述する2ndダミーボンドが該当する。「第3の領域のうちの一方の領域」「第3の領域のうちの他方の領域」はそれぞれ、例えば、後述するダミー領域R2のリード23、23a〜23dの何れか一が該当する。
【0016】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記クリーニングボンディング工程では、前記第1のダミーボンディング工程と前記第2のダミーボンディング工程とを当該順で複数回、繰り返し行うと共に、当該複数回の各回で、前記第2のダミーボンディング工程における前記一方の領域上から前記他方の領域上への前記キャピラリの移動の方向を異ならせることを特徴としてもよい。このような方法であれば、キャピラリの先端を第3の領域にそれぞれ異なる方向から擦り合わせることができるので、当該先端の広範囲において残存金属を除去することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ワイヤーボンディング工程の生産性の低下を抑制しつつ、キャピラリの内部や先端の残存金属を除去し、低ループ形状の半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
【図2】リードフレーム20と単位パターン21の構成例を示す図。
【図3】単位パターン21において、半導体チップ1が実装された後の状態を示す図。
【図4】単位パターン21において、ワイヤーボンディングが行われた後の状態を示す図。
【図5】単位パターン21において、クリーニングボンディングが行われた後の状態を示す図。
【図6】キャピラリ50の移動の方向と、キャピラリ50の先端52において残存金属が特に除去される部分との関係を示す図(その1)。
【図7】キャピラリ50の移動の方向と、キャピラリ50の先端52において残存金属が特に除去される部分との関係を示す図(その2)。
【図8】クリーニングボンディングを行う前後における、キャピラリ50の先端52の様子を示す図。
【図9】プル強度の測定方法を示す図。
【図10】クリーニングボンディングを導入する前後における、素子処理数とプル強度との相関を示す図。
【図11】残留金属が無い場合と有る場合とに分けて、プル強度の平均値とループ高さのバラツキとを示した表図。
【図12】正ボンドによる接続を示す図(その1)。
【図13】正ボンドによる接続を示す図(その2)。
【図14】正ボンドによる接続を示す図(その3)。
【図15】図14に示した接続を形成するための手順を示す図。
【図16】課題を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合もある。
(1)実施形態
図1(a)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート(メインルーチン)である。また、図1(b)は、メインルーチンに含まれるクリーニングボンディング工程での各処理を示すフローチャート(サブルーチン)である。図1(a)において、ステップ(S)1〜(S)3で行う各処理は、上記のように、図14と図15(a)〜(d)とを用いて説明した通りである。
【0020】
即ち、ステップ(S)1では、例えばAuからなるワイヤー11の一端の側に球状のボールを形成し、このボールをパッド電極に接合させて、圧着ボール13とボールネック15とを形成する(図15(a)を参照。)。次に、ステップ(S)2では、キャピラリ50の先端(即ち、フェイスとも呼ばれる突出端面)52で、ボールネック15にワイヤー11を押しつける(図15(b)〜(d)を参照。)。そして、ステップ(S)3では、ワイヤー11の他端の側を、低ループでリード23に接合する(図14を参照。)。
【0021】
ステップ(S)1、(S)2が1stボンドの工程であり、ステップ(S)3が2ndボンドの工程である。2ndボンドにおけるボンディング条件のうち、キャピラリ50に付加する超音波(power)は例えば150、加重(force)は例えば70gfである。また、このような1stボンド及び2ndボンドは、例えば図2(a)及び(b)に示すようなリードフレーム20に対して行う。
【0022】
図2(a)及び(b)は、リードフレーム20の全体の構成例を示す平面図と、その一部分を拡大した平面図である。
図2(a)に示すように、このリードフレーム20は、例えば、リールに巻き取り可能な長尺状のものであり、複数の半導体チップが実装されてそれら各々に対してワイヤーボンディングが施される製品領域R1と、製品処理とは別にクリーニングボンディングが行われるダミー領域R2と、を有する。このリードフレーム20では、例えば、図2(b)に示すように、1つのダイパッド22とその周囲に配置された複数のリード23a〜23dとを有するパターンが、1つの単位パターン21となっている。リードフレーム20の製品領域R1では、この図2(b)に示す単位パターン21が、平面視で縦方向及び横方向にそれぞれ複数ずつ整列して配置されている。また、リードフレーム20のダミー領域R2では図2(b)に示す単位パターン21が、平面視で横方向に複数整列して配置されている。
【0023】
ワイヤーボンディング工程の直前の工程である、ダイボンディング工程では、例えば図3に示すように、単位パターン21のダイパッド22上に半導体チップ1がそれぞれマウントされる。この半導体チップ1のマウントは、製品領域R1のダイパッド22に対してのみ行われる(即ち、ダミー領域R2のダイパッド22に対しては行われない。)。
また、ワイヤーボンディング工程の一部である、上記の1stボンドでは、ダイパッド22上にマウントされた半導体チップ1の複数のパッド電極2a〜2dに対して、ワイヤーの一端の側が接合される。上記の2ndボンドは、ダイパッド22の周囲に配置されている複数のリード23a〜23dに対して、ワイヤーの他端の側が接合される。これにより、半導体チップ1のパッド電極2a〜2dと、リード23a〜23dとがワイヤーで接続される。
【0024】
例えば図4に示すように、第1のパッド電極2aと第1のリード23aとが第1のワイヤー11aで接続され、第2のパッド電極2bと第2のリード23bとが第2のワイヤー11bで接続され、第3のパッド電極2cと第3のリード23cとが第3のワイヤー11cで接続され、第4のパッド電極2dと第4のリード23dとが第4のワイヤー11dで接続される。
【0025】
ところで、上記で課題として挙げたように、1stボンドでは、ボールネック15にワイヤー11を押しつけるため、図16(a)及び(b)に示したように、ワイヤー11を構成しているAu等の金属がキャピラリ50の内部51のテーパや、キャピラリ50の先端52に付着して、そのまま残存してしまうことがある。そこで、本実施形態では、予め、製品処理の実行回数が所定の回数に到達した時点で、製品処理とは別にクリーニングボンディングを行う。ここで、所定の回数はユーザが任意に設定できる数値である。次に、図1(a)に戻って、クリーニングボンディングについてさらに説明する。
【0026】
図1(a)のステップ(S)4では、このクリーニングボンディングの実行、非実行を決定するため、直近のクリーニングボンディング後から数えて、製品処理の実行回数が、ユーザにより任意に設定された所定の回数に到達したか否かを判断する。所定の回数に到達していない場合はステップ(S)1に戻り、所定の回数に到達した場合はステップ(S)5へ進む。
例えば、図4に示した1つの単位パターン21では、ワイヤー11a〜11bの本数は4本であるため、1回の製品処理で1stボンドを4回、2ndボンドを4回、それぞれ行うこととなる。ここで、所定の回数として「20」が設定されている場合は、1stボンドを4×20回、2ndボンドを4×20回行った後で、クリーニングボンディングを行うこととなる。
【0027】
ステップ(S)5ではクリーニングボンディングを行うが、その方法は、例えば図1(b)に示すサブルーチンの通りである。即ち、図1(b)のステップ(S)11では、キャピラリ50を図1(a)に示した製品領域R1上から、ダミー領域R2上へ移動させる。次に、第1のワイヤーの一端の側に球状のダミーボールを形成する。そして、このダミーボールをダミー領域R2に配置されている単位パターンの第1のリードに接合させて、ダミー圧着ボールを形成する。ここで形成するダミー圧着ボールの形状は、例えば図12に示した圧着ボール13とほぼ同じである。
つまり、ダミー圧着ボールとボールネックを形成するが、その場合は、ボールネック上にワイヤーを押しつけない。これにより、1stダミーボンドにおいて、キャピラリ50の内部51や先端52にAu等の金属が新たに付着することはない。
【0028】
次に、ステップ(S)12では、キャピラリを平面視で上方向(即ち、Y軸の正の方向)に移動させて、第1のワイヤーの他端の側を第2のリードに接続する。上記のステップ(S)1が1stダミーボンドの工程であり、ステップ(S)3が2ndダミーボンドの工程である。これにより、図5に示すように、ダミー領域R2において第1のリード23aと第2のリード23bとが第1のワイヤー11aで接続される。この1回目のクリーニングボンディングにより、キャピラリ50の内部51の残存金属をダミー領域R2の第1のリード23a上や第2のリード23b上へ排出することができる。また、第1のワイヤー11aを第2のリード23bに接続する際に、キャピラリ50の先端52は部分的に強く擦られるため、この強く擦られる部分における残存金属も除去することができる。
【0029】
なお、この2ndダミーボンドにおけるボンディング条件のうち、キャピラリ50に付加される超音波(power)及び加重(force)の各パラメータは、製品処理の第2ボンドよりも高い数値とすることが好ましい。例えば、2ndダミーボンドにおいて、power>400とし、force>100gfとする。これにより、キャピラリ50の内部51や先端52からダミー領域R2上へ、残存金属をより強く、より効果的に排出することが可能となる。
【0030】
次に、ステップ(S)13では、クリーニングボンディングの回数が所定の回数に到達したか否かを判断する。所定の回数に到達していない場合はステップ(S)14へ進み、所定の回数に到達した場合は図1(a)のステップ(S)6へ進む。このクリーニングボンディングにおける所定の回数もユーザが任意に設定できる数値である。ここでは、この所定の回数として例えば「4」が設定されている場合を想定して、ステップ(S)14へ進む。
【0031】
ステップ(S)14では、キャピラリ50の移動の方向を平面視で右方向(即ち、X軸の正の方向)に変える。そして、ステップ(S)11とステップ(S)12とを繰り返し行う。これにより、図5に示すように、ダミー領域R2において第2のリード23bと第3のリード23cとが第2のワイヤー11bで接続される。この2回目のクリーニングボンディングにより、キャピラリ50の内部51の残存金属をダミー領域R2の第2のリード23b上や第3のリード23c上へ排出することができる。また、第2のワイヤー11bを第3のリード23cに接続する際に、キャピラリ50の先端52は部分的に強く擦られるため、この部分における残存金属も除去することができる。
【0032】
以下同様に、キャピラリ50の移動の方向を平面視で下方向(即ち、Y軸の負の方向)に変えて3回目のクリーニングボンディングを行う。続いて、キャピラリ50の移動の方向を平面視で左方向(即ち、X軸の負の方向)に変えて4回目のクリーニングボンディングを行う。これにより、図5に示すように、ダミー領域R2において第3のリード23cと第4のリード23dとが第3のワイヤー11cで接続されると共に、第4のリード23dと第1のリード23aとが第4のワイヤー11dで接続される。これら3回目、4回目のクリーニングボンディングを実施することにより、キャピラリ50の内部51や先端52における残存金属をさらに除去することができる。
【0033】
クリーニングボンディングの実行回数が所定の回数である4回に達したら、図1(b)のサブルーチンを終了して、図1(a)のメインルーチンに戻る。図1(a)のステップ(S)6では、製品処理を続行するか否かを判断する。製品処理を続行する場合は、キャピラリ50は図2(a)に示したリードフレーム20の製品領域R1上へ移動し、ステップ(S)1以下の処理を繰り返すことになる。また、製品処理を続行しない場合は、図1(a)に示したフローチャートを終了する。
【0034】
図6(a)〜(f)はキャピラリ50の移動の方向と、キャピラリ50の先端52において残存金属が特に除去される部分(即ち、リードと強く擦られる部分)との関係を示す概念図である。図6(a)、(c)、(e)はキャピラリ50を上側から見た図であり、図6(b)、(d)、(f)はキャピラリ50を下側から見た図である。
図6(a)及び(b)に示すように、第1のクリーニングボンディングでは、キャピラリ50をY軸の正の方向に移動させて、ワイヤーの他端の側を第2のリードに接続する。このような場合は、2ndダミーボンドにおいて、キャピラリ50の先端52表面の中でも特に、Y軸の負の方向側の部分52aが第2のリードに強く擦られる。このため、このY軸の負の方向側の部分52aに残存金属が有る場合は、この部分52aの残存金属が第2のリードに強く擦られて除去される。
【0035】
また、図6(c)及び(d)に示すように、第2のクリーニングボンディングでは、キャピラリ50をX軸の正の方向に移動させて、ワイヤーの他端の側を第3のリードに接続する。このような場合は、2ndダミーボンドにおいて、キャピラリ50の先端52表面の中でも特に、X軸の負の方向側の部分52cが第3のリードに強く擦られる。このため、このX軸の負の方向側の部分52cに残存金属が有る場合は、この部分52cの残存金属が第3のリードに強く擦られて除去される。
【0036】
このため、図6(e)及び(d)に示すように、第1〜第4のクリーニングボンディングを全て行うと、キャピラリ50をX軸の正負の方向と、Y軸の正負の方向とにそれぞれ移動させたことになり、キャピラリ50の先端52表面において、X軸の正負の方向側の部分52c、52dと、Y軸の正負の方向側の部分52a、52bとからそれぞれ残存金属を除去することができる。つまり、キャピラリ50の先端52表面のほぼ全域において、残存金属を除去することができる。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、キャピラリ50の内部51や先端52からダミー領域R2上へ残存金属を排出して除去することが可能となる。その結果、クリーニングボンディング工程の後に続く製品処理(即ち、ワイヤーボンディングの1stボンドと2ndボンドの各工程)で、ワイヤー11の流動が残存金属により阻害されることを防ぐことができ、ワイヤー11の繰り出し量が大きく変化することを防ぐことができる。
これにより、ワイヤー11の径が細ることや、ループの高さがばらつくことを防ぐことができ、プル強度及び高さの安定したワイヤーボンディングが可能となる。従来技術と比較して、残存金属を除去するためにキャピラリ50を着脱する必要がないため、ワイヤーボンディング工程の生産性を高めることができる。
【0038】
なお、上記の実施形態では、図6(a)〜(f)に示したように、クリーニングボンディングの工程で、キャピラリ50をY軸の正の方向、X軸の正の方向、Y軸の負の方向、X軸の負の方向の異なる4方向に移動させる(即ち、平面視で90°ずつ異なる4方向に移動させる)場合について説明した。これは、図4に示したように、製品処理の工程では、キャピラリ50が異なる4方向(即ち、第1のパッド電極2aから第1のリード23aに向かう方向と、第2のパッド電極2bから第2のリード23bに向かう方向と、第3のパッド電極2cから第3のリード23cに向かう方向と、第4のパッド電極2dから第4のリード23dに向かう方向)に移動することに対応させたものである。
【0039】
即ち、製品処理時にキャピラリ50を異なる4方向に移動させることで、その先端52のほぼ全域にAu等の金属が付着、残留する可能性があることに対応させたものである。上記の実施形態では、クリーニングボンディングの工程でも、キャピラリ50を異なる4方向に移動させることによって、その先端52のほぼ全域においてAu等の金属を除去できるように工夫している。
しかしながら、本発明においてキャピラリ50の移動の方向はこれに限定されることはない。クリーニングボンディングの工程では、例えば図7(a)及び(b)に示すように、キャピラリ50を平面視で120°ずつ異なる3方向に移動させてもよい。このような方法であっても、キャピラリ50を1方向又は2方向にのみ移動させる場合と比較すれば、その先端52の広い範囲から残留金属を除去することが可能である。
【0040】
(2)効果の検証
次に、本発明の効果を検証した結果について説明する。
(2.1)残存金属の有無について
図8(a)及び(b)は、図1(a)のステップ(S)5のクリーニングボンディングを行う前後における、キャピラリ50の先端52の様子を示す写真図である。図8(a)に示すように、クリーニングボンディング処理を行う前は、キャピラリ50の先端52には残存金属が多く見られる。これに対して、図8(b)に示すように、クリーニングボンディング処理を行ったあとのキャピラリ50の先端52では、残存金属がほとんど確認されなかった。以上から、本発明は、残存金属の除去に極めて有効であることがわかった。
【0041】
(2.2)プル強度及びループ高さについて
図9は、プル強度の測定方法を示す概念図である。また、図10は、クリーニングボンディングを導入する前のプル強度と素子処理数(即ち、製品処理を施した素子の数)との相関、及び、クリーニングボンディングを導入した後のプル強度と素子処理数との相関、をそれぞれ調査した結果を示す図である。図10の横軸は素子処理数を示し、その縦軸はプル強度[gf]を示す。
【0042】
図9に示すように、プル強度の測定は、1stボンドにより半導体チップ1のパッド電極2に接合されたワイヤー11の一端と、2ndボンドによりリード23に接合されたワイヤー11の他端との間にあるループの屈曲点近辺にフックFを引っかけてプルテスターを用いて測定した。その結果、図10に示すように、クリーニングボンディングを導入する前は素子処理数が増加するに従ってプル強度が低下してしまう傾向があったが、クリーニングボンディングを導入した後は素子処理数が増加してもプル強度は低下しない、ということが確認された。以上から、本発明は、プル強度の安定に極めて効果があることがわかった。また、本発明では、素子処理数の増加に関係なくプル強度が一定であることから、薬液処理と同一レベルの洗浄効果が得られる、ということもわかった。
【0043】
図11は、残留金属が無い場合と有る場合とに分けて、プル強度の平均値と、ループ高さのバラツキとを調査した結果を示す表である。この調査のサンプル数Nは12である。また、ループ高さのバラツキは標準偏差の3倍の値(3*Std)で示している。図11に示すように、残留金属が無い場合は、残留金属が有る場合と比べて、プル強度が大きくなり、ループ高さのばらつきが小さくなることが確認された。
【符号の説明】
【0044】
1 半導体チップ
2、2a、2b、2c、2d パッド電極
11、11a、11b、 11c、11d ワイヤー
13 圧着ボール
15 ボールネック
20 リードフレーム
21 単位パターン
22 ダイパッド
23、23a、23b、23c、23d リード
50 キャピラリ
51 内部
52 先端
52a、52b、52c、52d (先端の一)部分
F フック
R1 製品領域
R2 ダミー領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、ワイヤーボンディング工程でのキャピラリの内部や先端の残存金属を除去できるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、通常、ワイヤーボンディングといえば図12に示すように、圧着ボール13直上へワイヤー11が伸びるようなボールネック15を備える正ボンドと呼ばれる方法で、半導体素子(チップ)1とリード23とが電気的に接合される。この場合、半導体チップ1のパッド電極の上面を原点にした場合のワイヤー11の高さh1が120μm程度(ワイヤ径が25μmの場合)あり、薄型デバイスには不適である。高さh1を低くするために、ボンディング装置のパラメータを変更すると、図13に示すように、半導体チップ1のパッド電極の上面を原点にした場合のワイヤー11の高さh2が80μmとなり、薄型デバイスに適用可能な形状が得られる。
【0003】
しかし、この図13に示す形態ではボールネック15に過剰な負荷がかかり、プル強度測定を実施すると、ボールネック直近で破断が起き、その強度も5gfに低下する。そこで、ボールネック15に過剰な負荷をかけないワイヤーボンディング方法として、1stボンド時にキャピラリの先端でワイヤー11をボールネック15に押しつける方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。以下に、このワイヤーボンディング方法について、図15(a)〜(d)を用いて説明する。
【0004】
図15(a)では、まず、例えば金(Au)からなるワイヤー11の一端の側にスパーク放電により球状のボールを形成し、このボールをパッド電極に接合させて、圧着ボール13とボールネック15とを形成する。この工程が1stボンドである。圧着ボール13は球状のボールがキャピラリの先端(即ち、フェイス)によって潰されて円板状になったものであり、ボールネック15はボールの一部がキャピラリ50の内部51に入り込むことによって形成されたものである。
【0005】
次に、図15(b)に示すように、キャピラリ50を上昇させてリードの反対側に動かす。続けて、キャピラリ50を下降させて、図15(c)に示すように、キャピラリ50の先端52であってリード側の部分52aを用いて、ボールネック15にワイヤー11を押しつけて、ボールネック15を変形させる。さらに、キャピラリ50を再度上昇させてワイヤー11を折り返す動作を行う。その後、図15(d)に示すように、キャピラリ50の先端52であってリードとは反対側の部分52bを用いて、再びボールネック15にワイヤー11を押しつける。そして、ワイヤー11を、リードの延伸方向に対して平行になるような軌跡をもつループ(即ち、低ループ)状に形成して、ワイヤー11の他端の側をリードに接合する。この接合が2ndボンドである。
【0006】
このように、1stボンド時にキャピラリ50の先端52により、ボールネック15にワイヤー11を2度押しつけることで、図14のように、半導体チップ1のパッド電極の上面を原点にした場合のワイヤーの高さh3が70μmに抑えられたワイヤールーピングを実現することができ、且つプル強度が8gf有り、ボールネック直近で破断しない強い接合が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−103403号公報
【特許文献2】特開平1−255238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、本発明者は、図15(a)〜(d)に示した方法では、ボールネック15にワイヤー11を押しつけることにより、ワイヤー11を構成している金属がキャピラリ50の内部51に押し戻され、或いは、キャピラリ50の先端52に付着して、そのまま残存してしまうことがある、という課題を発見した。
具体的には、図16(a)に示すように、リード側の部分52aでボールネック15にワイヤー11を押しつける過程では、リード側の部分52aはワイヤー11に強く押しつけられるため、その接触箇所に金属が付着して、そのまま残存してしまうことがあった。また、図16(b)に示すように、リードとは反対側の部分52bで再びボールネック15にワイヤー11を押しつける過程では、この反対側の部分52bはワイヤー11に強く押しつけられるため、その接触箇所に金属が付着して、そのまま残存してしまうことがあった。
【0009】
このように、キャピラリ50の内部51や先端52に金属が残存してしまうと、キャピラリ50からのワイヤー11の繰り出しが阻害されて、例えば、キャピラリ50から繰り出されるワイヤー11の径が細る場合がある。ワイヤー11の径が細ると引っ張り強度が低下してしまう。また、ワイヤー11繰り出し量が大きく変化することで、ループの高さがばらついてしまうこともある。
【0010】
一方、このような課題の解決手段として、例えば、ワイヤーボンディング装置からキャピラリを一旦取り外し、取り外したキャピラリの内部や先端を薬液で洗浄する方法が考えられる(例えば、特許文献2を参照。)。しかし、この方法は、キャピラリを取り外すことが前提となるオフラインでの洗浄作業である。ワイヤーボンディング工程において、キャピラリを頻繁に付け替える必要があるため、大幅なタクトアップ(即ち、生産性の低下)が避けられないという課題があった。
そこで、この発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、ワイヤーボンディング工程の生産性の低下を抑制しつつ、キャピラリの内部や先端から残存金属を除去でき、かつ、低ループ形状を可能とする半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者は、キャピラリを従来技術のオフラインでの洗浄作業でなく、オンラインでのクリーニングボンディング工程により、キャピラリ内の残存金属を除去する方法を見いだすに至った。
即ち、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子が有する第1の領域とリードフレームが有する第2の領域とを、キャピラリから繰り出されるワイヤーで接続する半導体装置の製造方法であって、前記ワイヤーの一端の側に形成されたボールを前記第1の領域に接合させて圧着ボールとボールネックとを形成し、前記キャピラリの先端で前記ボールネックに前記ワイヤーを押しつける第1のボンディング工程と、前記キャピラリを前記第1の領域上から前記第2の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記第2の領域に接合する第2のボンディング工程と、前記第1のボンディング工程と前記第2のボンディング工程とが当該順で複数回、繰り返し行われた後で、前記キャピラリを前記リードフレームが有する第3の領域上へ移動させて、前記ワイヤーを前記第3の領域に接合するクリーニングボンディング工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
このような方法であれば、キャピラリの内部や、キャピラリの先端において意図せず残存している金属(即ち、残存金属)を第3の領域上へ排出して除去することが可能となる。その結果、クリーニングボンディング工程の後に続く製品処理(即ち、第1のボンディング工程と第2のボンディング工程)で、ワイヤーの流動が残存金属により阻害されることを防ぐことができ、ワイヤーの繰り出し量が大きく変化することを防ぐことができる。これにより、ワイヤーの径が細ることや、ループの高さがばらつくことを防ぐことができ、プル強度及び高さの安定したワイヤーボンディングが可能となる。従来技術と比較して、残存金属を除去するためにキャピラリを着脱する必要がないため、ワイヤーボンディング工程の生産性を高めることができる。
【0013】
なお、「第1のボンディング工程」としては、例えば、後述する1stボンドが該当する。「第2のボンディング工程」としては、例えば、後述する2ndボンドが該当する。「第1の領域」としては、例えば、後述するパッド電極2a〜2dの何れか一が該当する。「第2の領域」としては、例えば、後述する製品領域R1のリード23、23a〜23dの何れか一が該当する。「第3の領域」としては、例えば、後述するダミー領域R2が該当する。
【0014】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記クリーニングボンディング工程は、前記キャピラリから繰り出される前記ワイヤーの一端の側に形成されたダミーボールを前記第3の領域のうちの一方の領域に接合させてダミー圧着ボールを形成する第1のダミーボンディング工程と、前記キャピラリを前記一方の領域上から前記第3の領域のうちの他方の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記他方の領域に接合する第2のダミーボンディング工程と、を含み、前記第2のダミーボンディング工程におけるボンディング条件のうち、前記キャピラリに付加される超音波及び加重の各パラメータは、前記第2のボンディング工程におけるボンディング条件よりも高い数値であることを特徴としてもよい。このような方法であれば、キャピラリの内部や先端から第3の領域上へ、残存金属をより強く、より効果的に排出することが可能となる。
【0015】
なお、「第1のダミーボンディング工程」としては、例えば、後述する1stダミーボンドが該当する。「第2のダミーボンディング工程」としては、例えば、後述する2ndダミーボンドが該当する。「第3の領域のうちの一方の領域」「第3の領域のうちの他方の領域」はそれぞれ、例えば、後述するダミー領域R2のリード23、23a〜23dの何れか一が該当する。
【0016】
また、上記の半導体装置の製造方法において、前記クリーニングボンディング工程では、前記第1のダミーボンディング工程と前記第2のダミーボンディング工程とを当該順で複数回、繰り返し行うと共に、当該複数回の各回で、前記第2のダミーボンディング工程における前記一方の領域上から前記他方の領域上への前記キャピラリの移動の方向を異ならせることを特徴としてもよい。このような方法であれば、キャピラリの先端を第3の領域にそれぞれ異なる方向から擦り合わせることができるので、当該先端の広範囲において残存金属を除去することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ワイヤーボンディング工程の生産性の低下を抑制しつつ、キャピラリの内部や先端の残存金属を除去し、低ループ形状の半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート。
【図2】リードフレーム20と単位パターン21の構成例を示す図。
【図3】単位パターン21において、半導体チップ1が実装された後の状態を示す図。
【図4】単位パターン21において、ワイヤーボンディングが行われた後の状態を示す図。
【図5】単位パターン21において、クリーニングボンディングが行われた後の状態を示す図。
【図6】キャピラリ50の移動の方向と、キャピラリ50の先端52において残存金属が特に除去される部分との関係を示す図(その1)。
【図7】キャピラリ50の移動の方向と、キャピラリ50の先端52において残存金属が特に除去される部分との関係を示す図(その2)。
【図8】クリーニングボンディングを行う前後における、キャピラリ50の先端52の様子を示す図。
【図9】プル強度の測定方法を示す図。
【図10】クリーニングボンディングを導入する前後における、素子処理数とプル強度との相関を示す図。
【図11】残留金属が無い場合と有る場合とに分けて、プル強度の平均値とループ高さのバラツキとを示した表図。
【図12】正ボンドによる接続を示す図(その1)。
【図13】正ボンドによる接続を示す図(その2)。
【図14】正ボンドによる接続を示す図(その3)。
【図15】図14に示した接続を形成するための手順を示す図。
【図16】課題を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合もある。
(1)実施形態
図1(a)は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャート(メインルーチン)である。また、図1(b)は、メインルーチンに含まれるクリーニングボンディング工程での各処理を示すフローチャート(サブルーチン)である。図1(a)において、ステップ(S)1〜(S)3で行う各処理は、上記のように、図14と図15(a)〜(d)とを用いて説明した通りである。
【0020】
即ち、ステップ(S)1では、例えばAuからなるワイヤー11の一端の側に球状のボールを形成し、このボールをパッド電極に接合させて、圧着ボール13とボールネック15とを形成する(図15(a)を参照。)。次に、ステップ(S)2では、キャピラリ50の先端(即ち、フェイスとも呼ばれる突出端面)52で、ボールネック15にワイヤー11を押しつける(図15(b)〜(d)を参照。)。そして、ステップ(S)3では、ワイヤー11の他端の側を、低ループでリード23に接合する(図14を参照。)。
【0021】
ステップ(S)1、(S)2が1stボンドの工程であり、ステップ(S)3が2ndボンドの工程である。2ndボンドにおけるボンディング条件のうち、キャピラリ50に付加する超音波(power)は例えば150、加重(force)は例えば70gfである。また、このような1stボンド及び2ndボンドは、例えば図2(a)及び(b)に示すようなリードフレーム20に対して行う。
【0022】
図2(a)及び(b)は、リードフレーム20の全体の構成例を示す平面図と、その一部分を拡大した平面図である。
図2(a)に示すように、このリードフレーム20は、例えば、リールに巻き取り可能な長尺状のものであり、複数の半導体チップが実装されてそれら各々に対してワイヤーボンディングが施される製品領域R1と、製品処理とは別にクリーニングボンディングが行われるダミー領域R2と、を有する。このリードフレーム20では、例えば、図2(b)に示すように、1つのダイパッド22とその周囲に配置された複数のリード23a〜23dとを有するパターンが、1つの単位パターン21となっている。リードフレーム20の製品領域R1では、この図2(b)に示す単位パターン21が、平面視で縦方向及び横方向にそれぞれ複数ずつ整列して配置されている。また、リードフレーム20のダミー領域R2では図2(b)に示す単位パターン21が、平面視で横方向に複数整列して配置されている。
【0023】
ワイヤーボンディング工程の直前の工程である、ダイボンディング工程では、例えば図3に示すように、単位パターン21のダイパッド22上に半導体チップ1がそれぞれマウントされる。この半導体チップ1のマウントは、製品領域R1のダイパッド22に対してのみ行われる(即ち、ダミー領域R2のダイパッド22に対しては行われない。)。
また、ワイヤーボンディング工程の一部である、上記の1stボンドでは、ダイパッド22上にマウントされた半導体チップ1の複数のパッド電極2a〜2dに対して、ワイヤーの一端の側が接合される。上記の2ndボンドは、ダイパッド22の周囲に配置されている複数のリード23a〜23dに対して、ワイヤーの他端の側が接合される。これにより、半導体チップ1のパッド電極2a〜2dと、リード23a〜23dとがワイヤーで接続される。
【0024】
例えば図4に示すように、第1のパッド電極2aと第1のリード23aとが第1のワイヤー11aで接続され、第2のパッド電極2bと第2のリード23bとが第2のワイヤー11bで接続され、第3のパッド電極2cと第3のリード23cとが第3のワイヤー11cで接続され、第4のパッド電極2dと第4のリード23dとが第4のワイヤー11dで接続される。
【0025】
ところで、上記で課題として挙げたように、1stボンドでは、ボールネック15にワイヤー11を押しつけるため、図16(a)及び(b)に示したように、ワイヤー11を構成しているAu等の金属がキャピラリ50の内部51のテーパや、キャピラリ50の先端52に付着して、そのまま残存してしまうことがある。そこで、本実施形態では、予め、製品処理の実行回数が所定の回数に到達した時点で、製品処理とは別にクリーニングボンディングを行う。ここで、所定の回数はユーザが任意に設定できる数値である。次に、図1(a)に戻って、クリーニングボンディングについてさらに説明する。
【0026】
図1(a)のステップ(S)4では、このクリーニングボンディングの実行、非実行を決定するため、直近のクリーニングボンディング後から数えて、製品処理の実行回数が、ユーザにより任意に設定された所定の回数に到達したか否かを判断する。所定の回数に到達していない場合はステップ(S)1に戻り、所定の回数に到達した場合はステップ(S)5へ進む。
例えば、図4に示した1つの単位パターン21では、ワイヤー11a〜11bの本数は4本であるため、1回の製品処理で1stボンドを4回、2ndボンドを4回、それぞれ行うこととなる。ここで、所定の回数として「20」が設定されている場合は、1stボンドを4×20回、2ndボンドを4×20回行った後で、クリーニングボンディングを行うこととなる。
【0027】
ステップ(S)5ではクリーニングボンディングを行うが、その方法は、例えば図1(b)に示すサブルーチンの通りである。即ち、図1(b)のステップ(S)11では、キャピラリ50を図1(a)に示した製品領域R1上から、ダミー領域R2上へ移動させる。次に、第1のワイヤーの一端の側に球状のダミーボールを形成する。そして、このダミーボールをダミー領域R2に配置されている単位パターンの第1のリードに接合させて、ダミー圧着ボールを形成する。ここで形成するダミー圧着ボールの形状は、例えば図12に示した圧着ボール13とほぼ同じである。
つまり、ダミー圧着ボールとボールネックを形成するが、その場合は、ボールネック上にワイヤーを押しつけない。これにより、1stダミーボンドにおいて、キャピラリ50の内部51や先端52にAu等の金属が新たに付着することはない。
【0028】
次に、ステップ(S)12では、キャピラリを平面視で上方向(即ち、Y軸の正の方向)に移動させて、第1のワイヤーの他端の側を第2のリードに接続する。上記のステップ(S)1が1stダミーボンドの工程であり、ステップ(S)3が2ndダミーボンドの工程である。これにより、図5に示すように、ダミー領域R2において第1のリード23aと第2のリード23bとが第1のワイヤー11aで接続される。この1回目のクリーニングボンディングにより、キャピラリ50の内部51の残存金属をダミー領域R2の第1のリード23a上や第2のリード23b上へ排出することができる。また、第1のワイヤー11aを第2のリード23bに接続する際に、キャピラリ50の先端52は部分的に強く擦られるため、この強く擦られる部分における残存金属も除去することができる。
【0029】
なお、この2ndダミーボンドにおけるボンディング条件のうち、キャピラリ50に付加される超音波(power)及び加重(force)の各パラメータは、製品処理の第2ボンドよりも高い数値とすることが好ましい。例えば、2ndダミーボンドにおいて、power>400とし、force>100gfとする。これにより、キャピラリ50の内部51や先端52からダミー領域R2上へ、残存金属をより強く、より効果的に排出することが可能となる。
【0030】
次に、ステップ(S)13では、クリーニングボンディングの回数が所定の回数に到達したか否かを判断する。所定の回数に到達していない場合はステップ(S)14へ進み、所定の回数に到達した場合は図1(a)のステップ(S)6へ進む。このクリーニングボンディングにおける所定の回数もユーザが任意に設定できる数値である。ここでは、この所定の回数として例えば「4」が設定されている場合を想定して、ステップ(S)14へ進む。
【0031】
ステップ(S)14では、キャピラリ50の移動の方向を平面視で右方向(即ち、X軸の正の方向)に変える。そして、ステップ(S)11とステップ(S)12とを繰り返し行う。これにより、図5に示すように、ダミー領域R2において第2のリード23bと第3のリード23cとが第2のワイヤー11bで接続される。この2回目のクリーニングボンディングにより、キャピラリ50の内部51の残存金属をダミー領域R2の第2のリード23b上や第3のリード23c上へ排出することができる。また、第2のワイヤー11bを第3のリード23cに接続する際に、キャピラリ50の先端52は部分的に強く擦られるため、この部分における残存金属も除去することができる。
【0032】
以下同様に、キャピラリ50の移動の方向を平面視で下方向(即ち、Y軸の負の方向)に変えて3回目のクリーニングボンディングを行う。続いて、キャピラリ50の移動の方向を平面視で左方向(即ち、X軸の負の方向)に変えて4回目のクリーニングボンディングを行う。これにより、図5に示すように、ダミー領域R2において第3のリード23cと第4のリード23dとが第3のワイヤー11cで接続されると共に、第4のリード23dと第1のリード23aとが第4のワイヤー11dで接続される。これら3回目、4回目のクリーニングボンディングを実施することにより、キャピラリ50の内部51や先端52における残存金属をさらに除去することができる。
【0033】
クリーニングボンディングの実行回数が所定の回数である4回に達したら、図1(b)のサブルーチンを終了して、図1(a)のメインルーチンに戻る。図1(a)のステップ(S)6では、製品処理を続行するか否かを判断する。製品処理を続行する場合は、キャピラリ50は図2(a)に示したリードフレーム20の製品領域R1上へ移動し、ステップ(S)1以下の処理を繰り返すことになる。また、製品処理を続行しない場合は、図1(a)に示したフローチャートを終了する。
【0034】
図6(a)〜(f)はキャピラリ50の移動の方向と、キャピラリ50の先端52において残存金属が特に除去される部分(即ち、リードと強く擦られる部分)との関係を示す概念図である。図6(a)、(c)、(e)はキャピラリ50を上側から見た図であり、図6(b)、(d)、(f)はキャピラリ50を下側から見た図である。
図6(a)及び(b)に示すように、第1のクリーニングボンディングでは、キャピラリ50をY軸の正の方向に移動させて、ワイヤーの他端の側を第2のリードに接続する。このような場合は、2ndダミーボンドにおいて、キャピラリ50の先端52表面の中でも特に、Y軸の負の方向側の部分52aが第2のリードに強く擦られる。このため、このY軸の負の方向側の部分52aに残存金属が有る場合は、この部分52aの残存金属が第2のリードに強く擦られて除去される。
【0035】
また、図6(c)及び(d)に示すように、第2のクリーニングボンディングでは、キャピラリ50をX軸の正の方向に移動させて、ワイヤーの他端の側を第3のリードに接続する。このような場合は、2ndダミーボンドにおいて、キャピラリ50の先端52表面の中でも特に、X軸の負の方向側の部分52cが第3のリードに強く擦られる。このため、このX軸の負の方向側の部分52cに残存金属が有る場合は、この部分52cの残存金属が第3のリードに強く擦られて除去される。
【0036】
このため、図6(e)及び(d)に示すように、第1〜第4のクリーニングボンディングを全て行うと、キャピラリ50をX軸の正負の方向と、Y軸の正負の方向とにそれぞれ移動させたことになり、キャピラリ50の先端52表面において、X軸の正負の方向側の部分52c、52dと、Y軸の正負の方向側の部分52a、52bとからそれぞれ残存金属を除去することができる。つまり、キャピラリ50の先端52表面のほぼ全域において、残存金属を除去することができる。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、キャピラリ50の内部51や先端52からダミー領域R2上へ残存金属を排出して除去することが可能となる。その結果、クリーニングボンディング工程の後に続く製品処理(即ち、ワイヤーボンディングの1stボンドと2ndボンドの各工程)で、ワイヤー11の流動が残存金属により阻害されることを防ぐことができ、ワイヤー11の繰り出し量が大きく変化することを防ぐことができる。
これにより、ワイヤー11の径が細ることや、ループの高さがばらつくことを防ぐことができ、プル強度及び高さの安定したワイヤーボンディングが可能となる。従来技術と比較して、残存金属を除去するためにキャピラリ50を着脱する必要がないため、ワイヤーボンディング工程の生産性を高めることができる。
【0038】
なお、上記の実施形態では、図6(a)〜(f)に示したように、クリーニングボンディングの工程で、キャピラリ50をY軸の正の方向、X軸の正の方向、Y軸の負の方向、X軸の負の方向の異なる4方向に移動させる(即ち、平面視で90°ずつ異なる4方向に移動させる)場合について説明した。これは、図4に示したように、製品処理の工程では、キャピラリ50が異なる4方向(即ち、第1のパッド電極2aから第1のリード23aに向かう方向と、第2のパッド電極2bから第2のリード23bに向かう方向と、第3のパッド電極2cから第3のリード23cに向かう方向と、第4のパッド電極2dから第4のリード23dに向かう方向)に移動することに対応させたものである。
【0039】
即ち、製品処理時にキャピラリ50を異なる4方向に移動させることで、その先端52のほぼ全域にAu等の金属が付着、残留する可能性があることに対応させたものである。上記の実施形態では、クリーニングボンディングの工程でも、キャピラリ50を異なる4方向に移動させることによって、その先端52のほぼ全域においてAu等の金属を除去できるように工夫している。
しかしながら、本発明においてキャピラリ50の移動の方向はこれに限定されることはない。クリーニングボンディングの工程では、例えば図7(a)及び(b)に示すように、キャピラリ50を平面視で120°ずつ異なる3方向に移動させてもよい。このような方法であっても、キャピラリ50を1方向又は2方向にのみ移動させる場合と比較すれば、その先端52の広い範囲から残留金属を除去することが可能である。
【0040】
(2)効果の検証
次に、本発明の効果を検証した結果について説明する。
(2.1)残存金属の有無について
図8(a)及び(b)は、図1(a)のステップ(S)5のクリーニングボンディングを行う前後における、キャピラリ50の先端52の様子を示す写真図である。図8(a)に示すように、クリーニングボンディング処理を行う前は、キャピラリ50の先端52には残存金属が多く見られる。これに対して、図8(b)に示すように、クリーニングボンディング処理を行ったあとのキャピラリ50の先端52では、残存金属がほとんど確認されなかった。以上から、本発明は、残存金属の除去に極めて有効であることがわかった。
【0041】
(2.2)プル強度及びループ高さについて
図9は、プル強度の測定方法を示す概念図である。また、図10は、クリーニングボンディングを導入する前のプル強度と素子処理数(即ち、製品処理を施した素子の数)との相関、及び、クリーニングボンディングを導入した後のプル強度と素子処理数との相関、をそれぞれ調査した結果を示す図である。図10の横軸は素子処理数を示し、その縦軸はプル強度[gf]を示す。
【0042】
図9に示すように、プル強度の測定は、1stボンドにより半導体チップ1のパッド電極2に接合されたワイヤー11の一端と、2ndボンドによりリード23に接合されたワイヤー11の他端との間にあるループの屈曲点近辺にフックFを引っかけてプルテスターを用いて測定した。その結果、図10に示すように、クリーニングボンディングを導入する前は素子処理数が増加するに従ってプル強度が低下してしまう傾向があったが、クリーニングボンディングを導入した後は素子処理数が増加してもプル強度は低下しない、ということが確認された。以上から、本発明は、プル強度の安定に極めて効果があることがわかった。また、本発明では、素子処理数の増加に関係なくプル強度が一定であることから、薬液処理と同一レベルの洗浄効果が得られる、ということもわかった。
【0043】
図11は、残留金属が無い場合と有る場合とに分けて、プル強度の平均値と、ループ高さのバラツキとを調査した結果を示す表である。この調査のサンプル数Nは12である。また、ループ高さのバラツキは標準偏差の3倍の値(3*Std)で示している。図11に示すように、残留金属が無い場合は、残留金属が有る場合と比べて、プル強度が大きくなり、ループ高さのばらつきが小さくなることが確認された。
【符号の説明】
【0044】
1 半導体チップ
2、2a、2b、2c、2d パッド電極
11、11a、11b、 11c、11d ワイヤー
13 圧着ボール
15 ボールネック
20 リードフレーム
21 単位パターン
22 ダイパッド
23、23a、23b、23c、23d リード
50 キャピラリ
51 内部
52 先端
52a、52b、52c、52d (先端の一)部分
F フック
R1 製品領域
R2 ダミー領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が有する第1の領域とリードフレームが有する第2の領域とを、キャピラリから繰り出されるワイヤーで接続する半導体装置の製造方法であって、
前記ワイヤーの一端の側に形成されたボールを前記第1の領域に接合させて圧着ボールとボールネックとを形成し、前記キャピラリの先端で前記ボールネックに前記ワイヤーを押しつける第1のボンディング工程と、
前記キャピラリを前記第1の領域上から前記第2の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記第2の領域に接合する第2のボンディング工程と、
前記第1のボンディング工程と前記第2のボンディング工程とが当該順で複数回、繰り返し行われた後で、前記キャピラリを前記リードフレームが有する第3の領域上へ移動させて、前記ワイヤーを前記第3の領域に接合するクリーニングボンディング工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記クリーニングボンディング工程は、
前記キャピラリから繰り出される前記ワイヤーの一端の側に形成されたダミーボールを前記第3の領域のうちの一方の領域に接合させてダミー圧着ボールを形成する第1のダミーボンディング工程と、
前記キャピラリを前記一方の領域上から前記第3の領域のうちの他方の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記他方の領域に接合する第2のダミーボンディング工程と、を含み、
前記第2のダミーボンディング工程におけるボンディング条件のうち、前記キャピラリに付加される超音波及び加重の各パラメータは、
前記第2のボンディング工程におけるボンディング条件よりも高い数値であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記クリーニングボンディング工程では、
前記第1のダミーボンディング工程と前記第2のダミーボンディング工程とを当該順で複数回、繰り返し行うと共に、当該複数回の各回で、前記第2のダミーボンディング工程における前記一方の領域上から前記他方の領域上への前記キャピラリの移動の方向を異ならせることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体素子が有する第1の領域とリードフレームが有する第2の領域とを、キャピラリから繰り出されるワイヤーで接続する半導体装置の製造方法であって、
前記ワイヤーの一端の側に形成されたボールを前記第1の領域に接合させて圧着ボールとボールネックとを形成し、前記キャピラリの先端で前記ボールネックに前記ワイヤーを押しつける第1のボンディング工程と、
前記キャピラリを前記第1の領域上から前記第2の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記第2の領域に接合する第2のボンディング工程と、
前記第1のボンディング工程と前記第2のボンディング工程とが当該順で複数回、繰り返し行われた後で、前記キャピラリを前記リードフレームが有する第3の領域上へ移動させて、前記ワイヤーを前記第3の領域に接合するクリーニングボンディング工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記クリーニングボンディング工程は、
前記キャピラリから繰り出される前記ワイヤーの一端の側に形成されたダミーボールを前記第3の領域のうちの一方の領域に接合させてダミー圧着ボールを形成する第1のダミーボンディング工程と、
前記キャピラリを前記一方の領域上から前記第3の領域のうちの他方の領域上へ移動させて、前記ワイヤーの他端の側を前記他方の領域に接合する第2のダミーボンディング工程と、を含み、
前記第2のダミーボンディング工程におけるボンディング条件のうち、前記キャピラリに付加される超音波及び加重の各パラメータは、
前記第2のボンディング工程におけるボンディング条件よりも高い数値であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記クリーニングボンディング工程では、
前記第1のダミーボンディング工程と前記第2のダミーボンディング工程とを当該順で複数回、繰り返し行うと共に、当該複数回の各回で、前記第2のダミーボンディング工程における前記一方の領域上から前記他方の領域上への前記キャピラリの移動の方向を異ならせることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図8】
【公開番号】特開2012−99556(P2012−99556A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243957(P2010−243957)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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