半導体装置及びその製造方法
【課題】高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】n+型半導体層112とn−型半導体層114とを有する半導体基体110と、n−型半導体層114の表面に選択的に形成されたp+型拡散領域120と、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上に形成され、n−型半導体層114との間でショットキー接合を形成し、p+型拡散領域120との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層130とを備える半導体装置であって、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属としての白金が拡散されている。
【解決手段】n+型半導体層112とn−型半導体層114とを有する半導体基体110と、n−型半導体層114の表面に選択的に形成されたp+型拡散領域120と、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上に形成され、n−型半導体層114との間でショットキー接合を形成し、p+型拡散領域120との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層130とを備える半導体装置であって、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属としての白金が拡散されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、JBS構造と称される半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。図13は、従来の半導体装置900を説明するために示す図である。図13(a)は従来の半導体装置900の断面図であり、図13(b)は従来の半導体装置900に逆バイアスを与えたときに空乏層960が延びる様子を示す図である。
【0003】
従来の半導体装置900は、図13(a)に示すように、n+型半導体層912と、n−型半導体層914とを有し、n+型半導体層912とn−型半導体層914とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体910と、n−型半導体層914の表面に選択的に形成されたp+型拡散領域920と、n−型半導体層914及びp+型拡散領域920の表面上に形成され、n−型半導体層914との間でショットキー接合を形成しp+型拡散領域920との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層930とを備える。なお、図13中、符号940はアノード電極層を示し、符号950はカソード電極層を示す。
【0004】
従来の半導体装置900によれば、n−型半導体層914及びp+型拡散領域920の表面上にバリアメタル層930が形成された構造(すなわちJBS構造)を有するため、逆バイアス時には、図13(b)に示すように、n−型半導体層914とp+型拡散領域920との境界面からn−型半導体層914側に延びる空乏層960によりn−型半導体層914の表面全域がピンチオフすることから、逆方向耐圧VRを高くすることが可能となり、また、リーク電流IRを低くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−203372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の半導体装置900においては、以下のような問題がある。図14及び図15は従来の半導体装置900における問題を説明するために示す図である。従来の半導体装置900において、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりしようとすると、p+型拡散領域920の形成面積割合を小さくしたり(図14参照。)、n−型半導体層914におけるn型不純物濃度を高くしたり(図15参照。)、n−型半導体層914を薄くしたりする必要が生じる。
【0007】
しかしながら、従来の半導体装置900において、p+型拡散領域920の形成面積割合を小さくしたり、n−型半導体層914におけるn型不純物濃度を高くしたりした場合には、図14及び図15に示すように、逆バイアス時にn−型半導体層914の表面全域がピンチオフし難くなることから、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることは実際上容易ではないという問題がある。また、従来の半導体装置900において、n−型半導体層914を薄くした場合には、逆方向耐圧VRが低下してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。また、そのように優れた特性を有する半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の半導体装置は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体と、前記第2半導体層の表面に選択的に形成され、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域と、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に形成され、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層とを備える半導体装置であって、前記半導体基体には、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されていることを特徴とする。
【0010】
[2]本発明の半導体装置においては、前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度は、前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度よりも高いことが好ましい。
【0011】
[3]本発明の半導体装置においては、前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度は、前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度よりも高いことが好ましい。
【0012】
[4]本発明の半導体装置においては、前記重金属は、白金であることが好ましい。
【0013】
[5]本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【0014】
[6]本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、第1導電型の第2半導体層を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、前記半導体基体における前記高濃度拡散領域が形成された側とは反対側の表面に、第1導電型不純物を、前記第2半導体層よりも高い濃度で含有する第1導電型の第1半導体層に形成する第1半導体層形成工程と、前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【0015】
[7]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記高濃度拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、前記半導体基体における前記第2半導体層側の表面に第2の重金属拡散源層を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含むことが好ましい。
【0016】
[8]本発明の半導体装置の製造方法において、前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記第2半導体層の表面に第2の重金属拡散源層を形成することが好ましい。
【0017】
[9]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記高濃度拡散領域の表面に第2の重金属拡散源層を形成することが好ましい。
【0018】
[10]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記重金属は、白金であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体装置によれば、第2半導体層及び高濃度拡散領域の表面上にバリアメタル層が形成された構造(すなわちJBS構造)を有するため、逆バイアス時には第2半導体層と高濃度拡散領域との境界面から第2半導体層側に延びる空乏層により第2半導体層の表面全域がピンチオフすることから、逆方向耐圧VRを高くすることが可能となり、また、リーク電流IRを低くすることが可能となる。
【0020】
また、本発明の半導体装置によれば、半導体基体には、第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されていることから、第2半導体層の表面近傍においては擬似的に第1導電型不純物の濃度が低減された場合と同様に空乏層が延びるようになる。このため、本発明の半導体装置によれば、逆バイアス時に第2半導体層の表面全域がピンチオフし易くなることから(後述する図1(c)参照。)、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、従来の半導体装置900の場合よりも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0021】
その結果、本発明の半導体装置は、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。
【0022】
また、本発明の半導体装置によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、第2半導体層を薄くすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0023】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、上記したように優れた特性を有する半導体装置を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。
【図2】重金属(白金)が拡散されている場合に、擬似的にn型不純物の濃度が低くなる様子を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図7】実施形態1の変形例2に係る半導体装置100bを説明するために示す図である。
【図8】実施形態1の変形例3に係る半導体装置100cを説明するために示す図である。
【図9】実施形態2に係る半導体装置102を説明するために示す図である。
【図10】実施形態2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図11】実施形態3に係る半導体装置104を説明するために示す図である。
【図12】実施形態3に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図13】従来の半導体装置900を説明するために示す図である。
【図14】従来の半導体装置900における問題を説明するために示す図である。
【図15】従来の半導体装置900における問題を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の半導体装置及びその製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0026】
[実施形態1]
A.実施形態1に係る半導体装置100
図1は、実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。図1(a)は半導体装置100の断面図であり、図1(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図であり、図1(c)は半導体装置100に逆バイアスを与えたときに空乏層160が延びる様子を示す図である。
【0027】
実施形態1に係る半導体装置100は、図1に示すように、n+型半導体層(第1導電型の第1半導体層)112と、n+型半導体層よりも低濃度のn型不純物(第1導電型不純物)を含有するn−型半導体層(第1導電型の第2半導体層)114とを有し、n+型半導体層112及びn−型半導体層114とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体110と、n−型半導体層114の表面に選択的に形成され、p型不純物(第2導電型不純物)をn−型半導体層114が含有するn型不純物の濃度よりも高い濃度で含有するp+型拡散領域(第2導電型の高濃度拡散領域)120と、n−型半導体層114及び高濃度拡散領域120の表面上に形成され、n−型半導体層114との間でショットキー接合を形成し、p+型拡散領域120との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層130とを備える。
【0028】
そして、実施形態1に係る半導体装置100においては、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されている。なお、本明細書において、「n−型半導体層(第2半導体層)の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されている」とは、「n−型半導体層(第2半導体層)においては、n−型半導体層(第2半導体層)の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されている」という意味であり、n−型半導体層(第2半導体層)の表面においてよりも、n+型半導体層(第1半導体層)の表面において重金属の濃度が高いこともあり得る。図1中、符号140はアノード電極層を示し、符号150はカソード電極層を示す。半導体基体110の主面のうち、アノード電極層140を形成する側の面を第1主面とし、カソード電極層150を形成する側の面を第2主面とする。
【0029】
半導体基体110の厚さは例えば400μmである。n+型半導体層112の厚さは例えば350μmであり、n+型半導体層112における不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。n−型半導体層114の厚さは例えば50μmであり、n−型半導体層114における不純物濃度は例えば1×1014cm−3である。
【0030】
p+型拡散領域120の深さは例えば5μmであり、p+型拡散領域120の表面不純物濃度は例えば1×1016〜1×1019cm−3である。また、p+型拡散領域120は、平面的に見て円形形状を有し、例えば10μmの直径を有する。また、活性領域の全面積に対するp+型拡散領域120が形成された面積の割合は例えば40%である。
【0031】
バリアメタル層130は例えばアルミニウムからなる。バリアメタル層130の厚さは例えば1μmである。アノード電極層140は例えばアルミニウムからなる。アノード電極層140の厚さは例えば5μmである。カソード電極150は例えばニッケルからなる。カソード電極層150の厚さは例えば2μmである。
【0032】
実施形態1に係る半導体装置100においては、重金属として例えば白金が、図1(b)に示すように、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面において濃度が極大となるように拡散されている。
【0033】
B.実施形態1に係る半導体装置100の効果
実施形態1に係る半導体装置100によれば、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上にバリアメタル層130が形成された構造(すなわちJBS構造)を有するため、逆バイアス時にはn−型半導体層114とp+型拡散領域120との境界面からn−型半導体層114側に延びる空乏層によりn−型半導体層114の表面全域がピンチオフすることから、逆方向耐圧VRを高くすることが可能となり、また、リーク電流IRを低くすることが可能となる。
【0034】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散されていることから、n−型半導体層114の表面近傍においては擬似的にn型不純物の濃度が低減された場合と同様に空乏層が延びるようになる。
【0035】
図2は、重金属(白金)が拡散されている場合に、擬似的にn型不純物の濃度が低くなる様子を説明するために示す図である。図2(a)は重金属(白金)が拡散されている場合における擬似的なn型不純物の濃度を示す図であり、図2(b)は重金属(白金)が拡散されていない場合におけるn型不純物の濃度を示す図である。図2に示すように、重金属(白金)が拡散されている場合に、擬似的にn型不純物の濃度が低くなることがわかる。
【0036】
このため、実施形態1に係る半導体装置100によれば、図1(c)に示すように、逆バイアス時にn−型半導体層114の表面全域がピンチオフし易くなることから、p+型拡散領域120の形成面積割合を小さくしたり、n−型半導体層114におけるn型不純物濃度を高くしたりすることによっても逆方向耐圧VRが低くなったりリーク電流IRが高くなったりすることがなくなる。このため、実施形態1に係る半導体装置100によれば、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、従来の半導体装置900の場合よりも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0037】
その結果、実施形態1に係る半導体装置100は、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。
【0038】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、n−型半導体層114におけるn型不純物濃度を高くしたり、n−型半導体層114を薄くしたりすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0039】
C.実施形態1に係る半導体装置の製造方法
実施形態1に係る半導体装置100は、以下に示す半導体装置の製造方法によって製造することが可能である。図3及び図4は、実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(d)及び図4(a)〜図4(d)は各工程図である。
【0040】
実施形態1に係る半導体装置の製造方法は、図3及び図4に示すように、半導体基板準備工程と、p+型拡散領域形成工程(高濃度拡散領域形成工程)と、重金属拡散源層形成工程と、重金属拡散工程と、バリアメタル層形成工程及びアノード電極層形成工程と、カソード電極層形成工程とをこの順序で含む。以下、工程順に説明する。
【0041】
1.半導体基板準備工程
半導体基板準備工程は、図3(a)に示すように、n+型半導体層112と、n+型半導体層112上にエピタキシャル成長法によって成長させたn−型半導体層114とを有し、n+型半導体層112及びn−型半導体層114とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体110を準備する工程である。半導体基板110としては、厚さが例えば400μmのシリコン基板を用いる。n+型半導体層112の厚さは例えば350μmであり、n+型半導体層112における不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。n−型半導体層114の厚さは例えば50μmであり、n−型半導体層114における不純物濃度は例えば1×1014cm−3である。
【0042】
2.p+型拡散領域形成工程
p+型拡散領域形成工程は、図3(b)及び図3(c)に示すように、n−型半導体層114の表面に、p型不純物をn−型半導体層114が含有するn型不純物の濃度よりも高い濃度で含有するp+型拡散領域を選択的に形成する工程である。
【0043】
まず、n−型半導体層114の表面(第1主面側表面)に、例えば厚さ800nmのシリコン酸化膜のマスクM1を形成する。その後、図3(b)に示すように、マスクM1を介して、イオン注入法やデポジション法などの方法によりp型不純物(例えばボロン)をn−型半導体層114の表面に導入しp型不純物導入領域120’を形成する。その後、半導体基板110に熱処理(例えば1000℃)を施してp型不純物を活性化して、図3(c)に示すように、p+型拡散領域120を形成する。
【0044】
形成するp+型拡散領域120の深さは例えば5μmであり、p+型拡散領域の表面不純物濃度は例えば1×1016〜1×1019cm−3である。また、p+型拡散領域120は、平面的に見て円形形状を有し、例えば10μmの直径を有する。また、活性領域の全面積に対するp+型拡散領域120を形成する面積の割合は例えば40%とする。
【0045】
3.重金属拡散源層形成工程
重金属拡散源層形成工程は、半導体基体100におけるn+型半導体層112側の表面に重金属拡散源層116を形成する工程である。
【0046】
まず、p+型拡散領域形成工程において半導体基体100の両面に形成される酸化膜のうち、n+型半導体層112側の酸化膜を除去する。このとき、半導体基体100におけるn−型半導体層114側の酸化膜は除去せずに残存させる。その後、図3(d)に示すように、半導体基体100におけるn+型半導体層112側の表面に、重金属拡散源層形成用塗布液をスピナー塗布して重金属拡散源層を形成する。重金属拡散源層形成用塗布液としては、珪素化合物及び添加剤(拡散用白金不純物、ガラス質形成剤、有機バインダー)をアルコールを主成分とした有機溶剤に溶かした珪素酸化膜被覆形成用塗布液を用いる。
【0047】
4.重金属拡散工程
重金属拡散工程は、半導体基体110に熱処理を施すことにより、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面において濃度が極大となるように重金属拡散源層116から半導体基体110中に重金属(白金)を拡散させる工程である。
【0048】
重金属拡散源層形成用塗布液をスピナー塗布した半導体基体110に、900℃、40分の条件で熱処理を施すと、図4(a)及び図1(b)に示すように、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散された状態となる。
【0049】
その後、フッ酸系エッチングにより、半導体基体100におけるn−型半導体層114側の酸化膜及びn+型半導体層112側の重金属拡散源層116の酸化変質層を除去する(図4(b)参照。)。
【0050】
5.バリアメタル層形成工程
バリアメタル層形成工程は、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上に、n−型半導体層114との間でショットキー接合を形成し、p+型拡散領域120との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層130を形成する工程である(図4参照。)。
【0051】
バリアメタル層130の材料は例えばアルミニウムであり、バリアメタル層130の厚さは例えば1μmである。
【0052】
6.アノード電極層形成工程
アノード電極層形成工程は、バリアメタル層130の上方にアノード電極層140を形成する工程である。
【0053】
バリアメタル層130からなる電極層の表面に、アルミニウムからなるアノード電極層140を形成する(図4(c)参照。)。アノード電極層140の厚さは例えば5μmである。
【0054】
7.カソード電極層形成工程
カソード電極層形成工程は、n+型半導体層112の表面にカソード電極層150を形成する工程である。
【0055】
n+型不純物層112の表面に、例えばニッケルからなるカソード電極層を形成する(図4(d)参照。)。カソード電極層150の厚さは例えば2μmである。
【0056】
上記のような工程を含む実施形態1に係る半導体装置の製造方法を実施することにより、実施形態1に係る半導体装置100を製造することができる。
【0057】
[変形例1]
図5は、実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(d)は各工程図である。なお、実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法においては、重金属拡散源層形成工程から後の工程(図3(d)〜図4(d)参照。)が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、図3(d)〜図4(d)に対応する図面の図示は省略する。
【0058】
実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、最初に準備する半導体基体の種類が異なる。
すなわち、変形例1に係る半導体装置の製造方法においては、図5(a)に示すように、半導体基体110として、n−型半導体層114からなる半導体基体を準備する。従って、イオン注入法やデポジション法などの方法によりp型不純物(例えばボロン)をn−型半導体層114の表面に導入しp型不純物導入領域120’を形成し(図5(b)参照。)、さらにはn型不純物(例えばリン)をn−型半導体層114の表面(第2主面側表面)に導入しn型不純物導入領域112’を形成した後(図5(c)参照。)、半導体基板110に熱処理(例えば1000℃)を施してp型不純物及びn型不純物を活性化して、図5(d)に示すように、p+型拡散領域120及びn+型半導体層112を形成する。n+型半導体層112の形成深さは例えば5μmとする。
【0059】
このような方法によっても、実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有する、実施形態1の変形例1に係る半導体装置100a(図示せず。)を製造することができる。
【0060】
[変形例2]
図6は、実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(b)は各工程図である。また、図7は、実施形態1の変形例2に係る半導体装置100bを説明するために示す図である。図7は半導体装置100bの断面図であり、図7(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図である。なお、実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法においては、重金属拡散源層形成工程よりも前の工程(図3(a)〜図3(d)参照。)及びバリアメタル層形成工程から後の工程(図4(b)〜図5(d)参照。)が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、これらに対応する図面の図示は省略する。
【0061】
実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、重金属拡散工程(図6(a)参照。)を実施した後、第1半導体層112を薄型化する工程(図6(b)参照。)をさらに含む点で、実施形態1に係る半導体装置の製造方法とは異なる。
【0062】
すなわち、実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法においては、重金属拡散工程を実施した後、第1半導体層112をCMPにより薄型化する工程をさらに含む。その結果、第1半導体層112の厚さは例えば5μmとなる。また、図7に示すように、第1半導体層112の表面における白金の濃度は、実施形態1に係る半導体装置100の場合よりも低くなる。
【0063】
[変形例3]
図8は、実施形態1の変形例3に係る半導体装置100cを説明するために示す図である。
実施形態1の変形例3に係る半導体装置100cは、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、実施形態1に係る半導体装置100とは第1主面側の構成が異なる。
すなわち、変形例3に係る半導体装置100cは、第1主面側に形成されているバリアメタル層132がアノード電極層をも兼ねている(図8参照。)。バリアメタル層132は例えばアルミニウムからなる。バリアメタル層132の厚さは例えば6μmである。
【0064】
このような構成を有する、実施形態1の変形例2に係る半導体装置100cも、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、本発明の半導体装置に含まれる。
【0065】
[実施形態2]
A.実施形態2に係る半導体装置
図9は、実施形態2に係る半導体装置102を説明するために示す図である。図9(a)は半導体装置102の断面図であり、図9(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図である。
【0066】
実施形態2に係る半導体装置102は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なる。
すなわち、実施形態2に係る半導体装置102においては、図9に示すように、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なり、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度(図9(b)中、一点鎖線による曲線参照。)が、p+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度(図9(b)中、二点鎖線による曲線参照。)よりも高い。
【0067】
このように、実施形態2に係る半導体装置102は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上にバリアメタル層130が形成された構造(すなわちJBS構造)を有し、さらには、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散されていることから、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。また、実施形態2に係る半導体装置102によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、n−型半導体層114を薄くすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0068】
なお、実施形態2に係る半導体装置102においては、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度がp+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度よりも高いことから、逆バイアス時には、実施形態1に係る半導体装置100の場合よりも早く(低い電圧を印加電圧したときから)空乏層が延びるようになる。このため、実施形態2に係る半導体装置102によれば、逆バイアス時にn−型半導体層114の表面全域がより一層ピンチオフし易くなることから、逆方向耐圧VRをより一層高くすることが可能となる。
【0069】
実施形態2に係る半導体装置102は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布以外の点については実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0070】
B.実施形態2に係る半導体装置の製造方法
実施形態2に係る半導体装置102は、以下に示す半導体装置の製造方法(実施形態2に係る半導体装置の製造方法)によって製造することが可能である。
図10は、実施形態2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(d)は各工程図である。なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程までの工程(図3(a)〜図3(c)参照。)及び重金属拡散工程よりも後の工程(図4(b)〜図4(d)参照。)が、実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、図3(a)〜図3(c)及び図4(b)〜図4(d)に対応する図面の図示は省略する。
【0071】
実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、p+型拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面(特にn−型半導体層114の表面)に第2の重金属拡散源層118を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含む。
【0072】
すなわち、実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程(図10(a)参照。)を実施した後、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちn−型半導体層114の表面に第2の重金属拡散源層(例えば蒸着法又はスパッタリング法により形成した白金層)118を形成することとしている(図10(b)〜図10(c)参照。)。なお、図10中、符号M3はマスクを示す。そして、その後、図10(d)に示すように、重金属拡散源層116を形成した後、重金属拡散工程を実施することにより、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちn−型半導体層114の部分においては、n+型半導体層112の表面及びn−型半導体層114の表面の両面(裏表両面)から重金属(白金)が拡散するようになるため、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度がp+型拡散領域の表面における重金属(白金)の濃度よりも高くなる。
【0073】
このような方法によって、実施形態2に係る半導体装置102を製造することができる。
【0074】
[実施形態3]
A.実施形態3に係る半導体装置
図11は、実施形態3に係る半導体装置104を説明するために示す図である。図11(a)は半導体装置104の断面図であり、図11(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図である。
【0075】
実施形態3に係る半導体装置104は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なる。
すなわち、実施形態3に係る半導体装置104においては、図11に示すように、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なり、p+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度(図11(b)中、二点鎖線による曲線参照。)が、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度(図11(b)中、一点鎖線による曲線参照。)よりも高い。
【0076】
このように、実施形態3に係る半導体装置104は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上にバリアメタル層130が形成された構造(すなわちJBS構造)を有し、さらには、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散されていることから、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。また、実施形態3に係る半導体装置104によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、n−型半導体層114を薄くすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0077】
なお、実施形態3に係る半導体装置104においては、p+型拡散領域の120の表面における重金属(白金)の濃度がn−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度よりも高いことから、スイッチオフ時に少数キャリアを消滅させる速度を速くすることが可能となる。このため、実施形態3に係る半導体装置104によれば、逆回復時間trrをより一層短くすることが可能となる。
【0078】
実施形態3に係る半導体装置104は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布以外の点については実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0079】
B.実施形態3に係る半導体装置の製造方法
実施形態3に係る半導体装置104は、以下に示す半導体装置の製造方法(実施形態3に係る半導体装置の製造方法)によって製造することが可能である。
図12は、実施形態3に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図12(a)〜図12(d)は各工程図である。なお、実施形態3に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程までの工程(図3(a)〜図3(c)参照。)及び重金属拡散工程よりも後の工程(図4(b)〜図4(d)参照。)が、実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、図3(a)〜図3(c)及び図4(b)〜図4(d)に対応する図面の図示は省略する。
【0080】
実施形態3に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、p+型拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面(特にp+型拡散領域120の表面)に第2の重金属拡散源層を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含む。
【0081】
すなわち、実施形態3に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程(図12(a)参照。)を実施した後、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちp+型拡散領域120の表面に第2の重金属拡散源層(例えば蒸着法又はスパッタリング法により形成した白金層)118を形成することとしている(図12(b)〜図12(c)参照。)。なお、図12中、符号M4はマスクを示す。そして、その後、図12(d)に示すように、重金属拡散源層116を形成した後、重金属拡散工程を実施することにより、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちp+型拡散領域120の部分においては、n+型半導体層112の表面及びp+型拡散領域120の表面の両面(裏表両面)から重金属(白金)が拡散するようになるため、p+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度がn−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度よりも高くなる。
【0082】
このような方法によって、実施形態3に係る半導体装置104を製造することができる。
【0083】
以上、本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0084】
(1)上記した各実施形態においては、重金属として白金を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、白金以外の金属材料(例えば金など)を用いてもよい。
【0085】
(2)上記した各実施形態においては、珪素酸化膜被覆形成用塗布液からなる重金属拡散源層形成用塗布液を用いて重金属拡散源層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、珪素酸化膜被覆形成用塗布液とは異なる重金属拡散源層形成用塗布液を用いて重金属拡散源層を形成してもよいし、蒸着法又はスパッタリング法により重金属膜からなる重金属拡散源層を形成してもよい。
【0086】
(3)上記した各実施形態においては、バリアメタルの材料としてアルミニウムを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミニウム以外の金属材料(例えばモリブデン、チタン、白金など)を用いてもよい。
【0087】
(4)上記した各実施形態においては、n+型半導体層112と、n−型半導体層114とが直接積層された構造を有する半導体基体110を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n+型半導体層112とn−型半導体層114との間に別の半導体層(例えば、n−−型半導体層、n型半導体層など)が存在する半導体基体110を用いてもよい。
【符号の説明】
【0088】
100,100a,100b,100c,102,104,900…半導体装置、110,910…半導体基板、112,912…n+型半導体層、112’…n型不純物導入領域、114,914…n−型半導体層、116…重金属拡散源層、118…第2重金属拡散源層、120,920…p+型拡散領域、120’…p型不純物導入領域、130,132,930…バリアメタル層、140,940…アノード電極層、150,950…カソード電極層、160…重金属(白金)、M1,M2,M3,M4…マスク、D1…半導体基体100の第1主面位置、D2…n−型半導体層とn+型半導体層との境界面位置、D3…半導体基体100の第2主面位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、JBS構造と称される半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。図13は、従来の半導体装置900を説明するために示す図である。図13(a)は従来の半導体装置900の断面図であり、図13(b)は従来の半導体装置900に逆バイアスを与えたときに空乏層960が延びる様子を示す図である。
【0003】
従来の半導体装置900は、図13(a)に示すように、n+型半導体層912と、n−型半導体層914とを有し、n+型半導体層912とn−型半導体層914とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体910と、n−型半導体層914の表面に選択的に形成されたp+型拡散領域920と、n−型半導体層914及びp+型拡散領域920の表面上に形成され、n−型半導体層914との間でショットキー接合を形成しp+型拡散領域920との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層930とを備える。なお、図13中、符号940はアノード電極層を示し、符号950はカソード電極層を示す。
【0004】
従来の半導体装置900によれば、n−型半導体層914及びp+型拡散領域920の表面上にバリアメタル層930が形成された構造(すなわちJBS構造)を有するため、逆バイアス時には、図13(b)に示すように、n−型半導体層914とp+型拡散領域920との境界面からn−型半導体層914側に延びる空乏層960によりn−型半導体層914の表面全域がピンチオフすることから、逆方向耐圧VRを高くすることが可能となり、また、リーク電流IRを低くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−203372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の半導体装置900においては、以下のような問題がある。図14及び図15は従来の半導体装置900における問題を説明するために示す図である。従来の半導体装置900において、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりしようとすると、p+型拡散領域920の形成面積割合を小さくしたり(図14参照。)、n−型半導体層914におけるn型不純物濃度を高くしたり(図15参照。)、n−型半導体層914を薄くしたりする必要が生じる。
【0007】
しかしながら、従来の半導体装置900において、p+型拡散領域920の形成面積割合を小さくしたり、n−型半導体層914におけるn型不純物濃度を高くしたりした場合には、図14及び図15に示すように、逆バイアス時にn−型半導体層914の表面全域がピンチオフし難くなることから、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることは実際上容易ではないという問題がある。また、従来の半導体装置900において、n−型半導体層914を薄くした場合には、逆方向耐圧VRが低下してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。また、そのように優れた特性を有する半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の半導体装置は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体と、前記第2半導体層の表面に選択的に形成され、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域と、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に形成され、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層とを備える半導体装置であって、前記半導体基体には、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されていることを特徴とする。
【0010】
[2]本発明の半導体装置においては、前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度は、前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度よりも高いことが好ましい。
【0011】
[3]本発明の半導体装置においては、前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度は、前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度よりも高いことが好ましい。
【0012】
[4]本発明の半導体装置においては、前記重金属は、白金であることが好ましい。
【0013】
[5]本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【0014】
[6]本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、第1導電型の第2半導体層を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、前記半導体基体における前記高濃度拡散領域が形成された側とは反対側の表面に、第1導電型不純物を、前記第2半導体層よりも高い濃度で含有する第1導電型の第1半導体層に形成する第1半導体層形成工程と、前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【0015】
[7]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記高濃度拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、前記半導体基体における前記第2半導体層側の表面に第2の重金属拡散源層を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含むことが好ましい。
【0016】
[8]本発明の半導体装置の製造方法において、前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記第2半導体層の表面に第2の重金属拡散源層を形成することが好ましい。
【0017】
[9]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記高濃度拡散領域の表面に第2の重金属拡散源層を形成することが好ましい。
【0018】
[10]本発明の半導体装置の製造方法においては、前記重金属は、白金であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体装置によれば、第2半導体層及び高濃度拡散領域の表面上にバリアメタル層が形成された構造(すなわちJBS構造)を有するため、逆バイアス時には第2半導体層と高濃度拡散領域との境界面から第2半導体層側に延びる空乏層により第2半導体層の表面全域がピンチオフすることから、逆方向耐圧VRを高くすることが可能となり、また、リーク電流IRを低くすることが可能となる。
【0020】
また、本発明の半導体装置によれば、半導体基体には、第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されていることから、第2半導体層の表面近傍においては擬似的に第1導電型不純物の濃度が低減された場合と同様に空乏層が延びるようになる。このため、本発明の半導体装置によれば、逆バイアス時に第2半導体層の表面全域がピンチオフし易くなることから(後述する図1(c)参照。)、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、従来の半導体装置900の場合よりも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0021】
その結果、本発明の半導体装置は、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。
【0022】
また、本発明の半導体装置によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、第2半導体層を薄くすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0023】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、上記したように優れた特性を有する半導体装置を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。
【図2】重金属(白金)が拡散されている場合に、擬似的にn型不純物の濃度が低くなる様子を説明するために示す図である。
【図3】実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図7】実施形態1の変形例2に係る半導体装置100bを説明するために示す図である。
【図8】実施形態1の変形例3に係る半導体装置100cを説明するために示す図である。
【図9】実施形態2に係る半導体装置102を説明するために示す図である。
【図10】実施形態2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図11】実施形態3に係る半導体装置104を説明するために示す図である。
【図12】実施形態3に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。
【図13】従来の半導体装置900を説明するために示す図である。
【図14】従来の半導体装置900における問題を説明するために示す図である。
【図15】従来の半導体装置900における問題を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の半導体装置及びその製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0026】
[実施形態1]
A.実施形態1に係る半導体装置100
図1は、実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。図1(a)は半導体装置100の断面図であり、図1(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図であり、図1(c)は半導体装置100に逆バイアスを与えたときに空乏層160が延びる様子を示す図である。
【0027】
実施形態1に係る半導体装置100は、図1に示すように、n+型半導体層(第1導電型の第1半導体層)112と、n+型半導体層よりも低濃度のn型不純物(第1導電型不純物)を含有するn−型半導体層(第1導電型の第2半導体層)114とを有し、n+型半導体層112及びn−型半導体層114とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体110と、n−型半導体層114の表面に選択的に形成され、p型不純物(第2導電型不純物)をn−型半導体層114が含有するn型不純物の濃度よりも高い濃度で含有するp+型拡散領域(第2導電型の高濃度拡散領域)120と、n−型半導体層114及び高濃度拡散領域120の表面上に形成され、n−型半導体層114との間でショットキー接合を形成し、p+型拡散領域120との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層130とを備える。
【0028】
そして、実施形態1に係る半導体装置100においては、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されている。なお、本明細書において、「n−型半導体層(第2半導体層)の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されている」とは、「n−型半導体層(第2半導体層)においては、n−型半導体層(第2半導体層)の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されている」という意味であり、n−型半導体層(第2半導体層)の表面においてよりも、n+型半導体層(第1半導体層)の表面において重金属の濃度が高いこともあり得る。図1中、符号140はアノード電極層を示し、符号150はカソード電極層を示す。半導体基体110の主面のうち、アノード電極層140を形成する側の面を第1主面とし、カソード電極層150を形成する側の面を第2主面とする。
【0029】
半導体基体110の厚さは例えば400μmである。n+型半導体層112の厚さは例えば350μmであり、n+型半導体層112における不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。n−型半導体層114の厚さは例えば50μmであり、n−型半導体層114における不純物濃度は例えば1×1014cm−3である。
【0030】
p+型拡散領域120の深さは例えば5μmであり、p+型拡散領域120の表面不純物濃度は例えば1×1016〜1×1019cm−3である。また、p+型拡散領域120は、平面的に見て円形形状を有し、例えば10μmの直径を有する。また、活性領域の全面積に対するp+型拡散領域120が形成された面積の割合は例えば40%である。
【0031】
バリアメタル層130は例えばアルミニウムからなる。バリアメタル層130の厚さは例えば1μmである。アノード電極層140は例えばアルミニウムからなる。アノード電極層140の厚さは例えば5μmである。カソード電極150は例えばニッケルからなる。カソード電極層150の厚さは例えば2μmである。
【0032】
実施形態1に係る半導体装置100においては、重金属として例えば白金が、図1(b)に示すように、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面において濃度が極大となるように拡散されている。
【0033】
B.実施形態1に係る半導体装置100の効果
実施形態1に係る半導体装置100によれば、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上にバリアメタル層130が形成された構造(すなわちJBS構造)を有するため、逆バイアス時にはn−型半導体層114とp+型拡散領域120との境界面からn−型半導体層114側に延びる空乏層によりn−型半導体層114の表面全域がピンチオフすることから、逆方向耐圧VRを高くすることが可能となり、また、リーク電流IRを低くすることが可能となる。
【0034】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散されていることから、n−型半導体層114の表面近傍においては擬似的にn型不純物の濃度が低減された場合と同様に空乏層が延びるようになる。
【0035】
図2は、重金属(白金)が拡散されている場合に、擬似的にn型不純物の濃度が低くなる様子を説明するために示す図である。図2(a)は重金属(白金)が拡散されている場合における擬似的なn型不純物の濃度を示す図であり、図2(b)は重金属(白金)が拡散されていない場合におけるn型不純物の濃度を示す図である。図2に示すように、重金属(白金)が拡散されている場合に、擬似的にn型不純物の濃度が低くなることがわかる。
【0036】
このため、実施形態1に係る半導体装置100によれば、図1(c)に示すように、逆バイアス時にn−型半導体層114の表面全域がピンチオフし易くなることから、p+型拡散領域120の形成面積割合を小さくしたり、n−型半導体層114におけるn型不純物濃度を高くしたりすることによっても逆方向耐圧VRが低くなったりリーク電流IRが高くなったりすることがなくなる。このため、実施形態1に係る半導体装置100によれば、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、従来の半導体装置900の場合よりも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0037】
その結果、実施形態1に係る半導体装置100は、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。
【0038】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、n−型半導体層114におけるn型不純物濃度を高くしたり、n−型半導体層114を薄くしたりすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0039】
C.実施形態1に係る半導体装置の製造方法
実施形態1に係る半導体装置100は、以下に示す半導体装置の製造方法によって製造することが可能である。図3及び図4は、実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(d)及び図4(a)〜図4(d)は各工程図である。
【0040】
実施形態1に係る半導体装置の製造方法は、図3及び図4に示すように、半導体基板準備工程と、p+型拡散領域形成工程(高濃度拡散領域形成工程)と、重金属拡散源層形成工程と、重金属拡散工程と、バリアメタル層形成工程及びアノード電極層形成工程と、カソード電極層形成工程とをこの順序で含む。以下、工程順に説明する。
【0041】
1.半導体基板準備工程
半導体基板準備工程は、図3(a)に示すように、n+型半導体層112と、n+型半導体層112上にエピタキシャル成長法によって成長させたn−型半導体層114とを有し、n+型半導体層112及びn−型半導体層114とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体110を準備する工程である。半導体基板110としては、厚さが例えば400μmのシリコン基板を用いる。n+型半導体層112の厚さは例えば350μmであり、n+型半導体層112における不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。n−型半導体層114の厚さは例えば50μmであり、n−型半導体層114における不純物濃度は例えば1×1014cm−3である。
【0042】
2.p+型拡散領域形成工程
p+型拡散領域形成工程は、図3(b)及び図3(c)に示すように、n−型半導体層114の表面に、p型不純物をn−型半導体層114が含有するn型不純物の濃度よりも高い濃度で含有するp+型拡散領域を選択的に形成する工程である。
【0043】
まず、n−型半導体層114の表面(第1主面側表面)に、例えば厚さ800nmのシリコン酸化膜のマスクM1を形成する。その後、図3(b)に示すように、マスクM1を介して、イオン注入法やデポジション法などの方法によりp型不純物(例えばボロン)をn−型半導体層114の表面に導入しp型不純物導入領域120’を形成する。その後、半導体基板110に熱処理(例えば1000℃)を施してp型不純物を活性化して、図3(c)に示すように、p+型拡散領域120を形成する。
【0044】
形成するp+型拡散領域120の深さは例えば5μmであり、p+型拡散領域の表面不純物濃度は例えば1×1016〜1×1019cm−3である。また、p+型拡散領域120は、平面的に見て円形形状を有し、例えば10μmの直径を有する。また、活性領域の全面積に対するp+型拡散領域120を形成する面積の割合は例えば40%とする。
【0045】
3.重金属拡散源層形成工程
重金属拡散源層形成工程は、半導体基体100におけるn+型半導体層112側の表面に重金属拡散源層116を形成する工程である。
【0046】
まず、p+型拡散領域形成工程において半導体基体100の両面に形成される酸化膜のうち、n+型半導体層112側の酸化膜を除去する。このとき、半導体基体100におけるn−型半導体層114側の酸化膜は除去せずに残存させる。その後、図3(d)に示すように、半導体基体100におけるn+型半導体層112側の表面に、重金属拡散源層形成用塗布液をスピナー塗布して重金属拡散源層を形成する。重金属拡散源層形成用塗布液としては、珪素化合物及び添加剤(拡散用白金不純物、ガラス質形成剤、有機バインダー)をアルコールを主成分とした有機溶剤に溶かした珪素酸化膜被覆形成用塗布液を用いる。
【0047】
4.重金属拡散工程
重金属拡散工程は、半導体基体110に熱処理を施すことにより、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面において濃度が極大となるように重金属拡散源層116から半導体基体110中に重金属(白金)を拡散させる工程である。
【0048】
重金属拡散源層形成用塗布液をスピナー塗布した半導体基体110に、900℃、40分の条件で熱処理を施すと、図4(a)及び図1(b)に示すように、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散された状態となる。
【0049】
その後、フッ酸系エッチングにより、半導体基体100におけるn−型半導体層114側の酸化膜及びn+型半導体層112側の重金属拡散源層116の酸化変質層を除去する(図4(b)参照。)。
【0050】
5.バリアメタル層形成工程
バリアメタル層形成工程は、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上に、n−型半導体層114との間でショットキー接合を形成し、p+型拡散領域120との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層130を形成する工程である(図4参照。)。
【0051】
バリアメタル層130の材料は例えばアルミニウムであり、バリアメタル層130の厚さは例えば1μmである。
【0052】
6.アノード電極層形成工程
アノード電極層形成工程は、バリアメタル層130の上方にアノード電極層140を形成する工程である。
【0053】
バリアメタル層130からなる電極層の表面に、アルミニウムからなるアノード電極層140を形成する(図4(c)参照。)。アノード電極層140の厚さは例えば5μmである。
【0054】
7.カソード電極層形成工程
カソード電極層形成工程は、n+型半導体層112の表面にカソード電極層150を形成する工程である。
【0055】
n+型不純物層112の表面に、例えばニッケルからなるカソード電極層を形成する(図4(d)参照。)。カソード電極層150の厚さは例えば2μmである。
【0056】
上記のような工程を含む実施形態1に係る半導体装置の製造方法を実施することにより、実施形態1に係る半導体装置100を製造することができる。
【0057】
[変形例1]
図5は、実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図5(a)〜図5(d)は各工程図である。なお、実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法においては、重金属拡散源層形成工程から後の工程(図3(d)〜図4(d)参照。)が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、図3(d)〜図4(d)に対応する図面の図示は省略する。
【0058】
実施形態1の変形例1に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、最初に準備する半導体基体の種類が異なる。
すなわち、変形例1に係る半導体装置の製造方法においては、図5(a)に示すように、半導体基体110として、n−型半導体層114からなる半導体基体を準備する。従って、イオン注入法やデポジション法などの方法によりp型不純物(例えばボロン)をn−型半導体層114の表面に導入しp型不純物導入領域120’を形成し(図5(b)参照。)、さらにはn型不純物(例えばリン)をn−型半導体層114の表面(第2主面側表面)に導入しn型不純物導入領域112’を形成した後(図5(c)参照。)、半導体基板110に熱処理(例えば1000℃)を施してp型不純物及びn型不純物を活性化して、図5(d)に示すように、p+型拡散領域120及びn+型半導体層112を形成する。n+型半導体層112の形成深さは例えば5μmとする。
【0059】
このような方法によっても、実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有する、実施形態1の変形例1に係る半導体装置100a(図示せず。)を製造することができる。
【0060】
[変形例2]
図6は、実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(b)は各工程図である。また、図7は、実施形態1の変形例2に係る半導体装置100bを説明するために示す図である。図7は半導体装置100bの断面図であり、図7(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図である。なお、実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法においては、重金属拡散源層形成工程よりも前の工程(図3(a)〜図3(d)参照。)及びバリアメタル層形成工程から後の工程(図4(b)〜図5(d)参照。)が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、これらに対応する図面の図示は省略する。
【0061】
実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、重金属拡散工程(図6(a)参照。)を実施した後、第1半導体層112を薄型化する工程(図6(b)参照。)をさらに含む点で、実施形態1に係る半導体装置の製造方法とは異なる。
【0062】
すなわち、実施形態1の変形例2に係る半導体装置の製造方法においては、重金属拡散工程を実施した後、第1半導体層112をCMPにより薄型化する工程をさらに含む。その結果、第1半導体層112の厚さは例えば5μmとなる。また、図7に示すように、第1半導体層112の表面における白金の濃度は、実施形態1に係る半導体装置100の場合よりも低くなる。
【0063】
[変形例3]
図8は、実施形態1の変形例3に係る半導体装置100cを説明するために示す図である。
実施形態1の変形例3に係る半導体装置100cは、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、実施形態1に係る半導体装置100とは第1主面側の構成が異なる。
すなわち、変形例3に係る半導体装置100cは、第1主面側に形成されているバリアメタル層132がアノード電極層をも兼ねている(図8参照。)。バリアメタル層132は例えばアルミニウムからなる。バリアメタル層132の厚さは例えば6μmである。
【0064】
このような構成を有する、実施形態1の変形例2に係る半導体装置100cも、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、本発明の半導体装置に含まれる。
【0065】
[実施形態2]
A.実施形態2に係る半導体装置
図9は、実施形態2に係る半導体装置102を説明するために示す図である。図9(a)は半導体装置102の断面図であり、図9(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図である。
【0066】
実施形態2に係る半導体装置102は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なる。
すなわち、実施形態2に係る半導体装置102においては、図9に示すように、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なり、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度(図9(b)中、一点鎖線による曲線参照。)が、p+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度(図9(b)中、二点鎖線による曲線参照。)よりも高い。
【0067】
このように、実施形態2に係る半導体装置102は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上にバリアメタル層130が形成された構造(すなわちJBS構造)を有し、さらには、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散されていることから、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。また、実施形態2に係る半導体装置102によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、n−型半導体層114を薄くすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0068】
なお、実施形態2に係る半導体装置102においては、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度がp+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度よりも高いことから、逆バイアス時には、実施形態1に係る半導体装置100の場合よりも早く(低い電圧を印加電圧したときから)空乏層が延びるようになる。このため、実施形態2に係る半導体装置102によれば、逆バイアス時にn−型半導体層114の表面全域がより一層ピンチオフし易くなることから、逆方向耐圧VRをより一層高くすることが可能となる。
【0069】
実施形態2に係る半導体装置102は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布以外の点については実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0070】
B.実施形態2に係る半導体装置の製造方法
実施形態2に係る半導体装置102は、以下に示す半導体装置の製造方法(実施形態2に係る半導体装置の製造方法)によって製造することが可能である。
図10は、実施形態2に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(d)は各工程図である。なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程までの工程(図3(a)〜図3(c)参照。)及び重金属拡散工程よりも後の工程(図4(b)〜図4(d)参照。)が、実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、図3(a)〜図3(c)及び図4(b)〜図4(d)に対応する図面の図示は省略する。
【0071】
実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、p+型拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面(特にn−型半導体層114の表面)に第2の重金属拡散源層118を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含む。
【0072】
すなわち、実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程(図10(a)参照。)を実施した後、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちn−型半導体層114の表面に第2の重金属拡散源層(例えば蒸着法又はスパッタリング法により形成した白金層)118を形成することとしている(図10(b)〜図10(c)参照。)。なお、図10中、符号M3はマスクを示す。そして、その後、図10(d)に示すように、重金属拡散源層116を形成した後、重金属拡散工程を実施することにより、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちn−型半導体層114の部分においては、n+型半導体層112の表面及びn−型半導体層114の表面の両面(裏表両面)から重金属(白金)が拡散するようになるため、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度がp+型拡散領域の表面における重金属(白金)の濃度よりも高くなる。
【0073】
このような方法によって、実施形態2に係る半導体装置102を製造することができる。
【0074】
[実施形態3]
A.実施形態3に係る半導体装置
図11は、実施形態3に係る半導体装置104を説明するために示す図である。図11(a)は半導体装置104の断面図であり、図11(b)は半導体基体110における重金属(白金)の濃度分布を示す図である。
【0075】
実施形態3に係る半導体装置104は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なる。
すなわち、実施形態3に係る半導体装置104においては、図11に示すように、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が半導体装置100の場合とは異なり、p+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度(図11(b)中、二点鎖線による曲線参照。)が、n−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度(図11(b)中、一点鎖線による曲線参照。)よりも高い。
【0076】
このように、実施形態3に係る半導体装置104は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120の表面上にバリアメタル層130が形成された構造(すなわちJBS構造)を有し、さらには、半導体基体110には、n−型半導体層114の表面で濃度が最も高くなるように重金属(白金)が拡散されていることから、高い逆方向耐圧VR及び低いリーク電流IRを維持したまま、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能な半導体装置となる。また、実施形態3に係る半導体装置104によれば、逆方向耐圧VRを高くすることが可能であることから、n−型半導体層114を薄くすることが可能となり、この観点からも、順方向降下電圧VFを低くしたり、逆回復時間trrを短くしたりすることが可能となる。
【0077】
なお、実施形態3に係る半導体装置104においては、p+型拡散領域の120の表面における重金属(白金)の濃度がn−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度よりも高いことから、スイッチオフ時に少数キャリアを消滅させる速度を速くすることが可能となる。このため、実施形態3に係る半導体装置104によれば、逆回復時間trrをより一層短くすることが可能となる。
【0078】
実施形態3に係る半導体装置104は、半導体基体110中の重金属(白金)の濃度分布以外の点については実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0079】
B.実施形態3に係る半導体装置の製造方法
実施形態3に係る半導体装置104は、以下に示す半導体装置の製造方法(実施形態3に係る半導体装置の製造方法)によって製造することが可能である。
図12は、実施形態3に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図12(a)〜図12(d)は各工程図である。なお、実施形態3に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程までの工程(図3(a)〜図3(c)参照。)及び重金属拡散工程よりも後の工程(図4(b)〜図4(d)参照。)が、実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様であるため、図3(a)〜図3(c)及び図4(b)〜図4(d)に対応する図面の図示は省略する。
【0080】
実施形態3に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を含むが、p+型拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、半導体基体110におけるn−型半導体層114側の表面(特にp+型拡散領域120の表面)に第2の重金属拡散源層を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含む。
【0081】
すなわち、実施形態3に係る半導体装置の製造方法においては、p+型拡散領域形成工程(図12(a)参照。)を実施した後、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちp+型拡散領域120の表面に第2の重金属拡散源層(例えば蒸着法又はスパッタリング法により形成した白金層)118を形成することとしている(図12(b)〜図12(c)参照。)。なお、図12中、符号M4はマスクを示す。そして、その後、図12(d)に示すように、重金属拡散源層116を形成した後、重金属拡散工程を実施することにより、n−型半導体層114及びp+型拡散領域120のうちp+型拡散領域120の部分においては、n+型半導体層112の表面及びp+型拡散領域120の表面の両面(裏表両面)から重金属(白金)が拡散するようになるため、p+型拡散領域120の表面における重金属(白金)の濃度がn−型半導体層114の表面における重金属(白金)の濃度よりも高くなる。
【0082】
このような方法によって、実施形態3に係る半導体装置104を製造することができる。
【0083】
以上、本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0084】
(1)上記した各実施形態においては、重金属として白金を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、白金以外の金属材料(例えば金など)を用いてもよい。
【0085】
(2)上記した各実施形態においては、珪素酸化膜被覆形成用塗布液からなる重金属拡散源層形成用塗布液を用いて重金属拡散源層を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、珪素酸化膜被覆形成用塗布液とは異なる重金属拡散源層形成用塗布液を用いて重金属拡散源層を形成してもよいし、蒸着法又はスパッタリング法により重金属膜からなる重金属拡散源層を形成してもよい。
【0086】
(3)上記した各実施形態においては、バリアメタルの材料としてアルミニウムを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミニウム以外の金属材料(例えばモリブデン、チタン、白金など)を用いてもよい。
【0087】
(4)上記した各実施形態においては、n+型半導体層112と、n−型半導体層114とが直接積層された構造を有する半導体基体110を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、n+型半導体層112とn−型半導体層114との間に別の半導体層(例えば、n−−型半導体層、n型半導体層など)が存在する半導体基体110を用いてもよい。
【符号の説明】
【0088】
100,100a,100b,100c,102,104,900…半導体装置、110,910…半導体基板、112,912…n+型半導体層、112’…n型不純物導入領域、114,914…n−型半導体層、116…重金属拡散源層、118…第2重金属拡散源層、120,920…p+型拡散領域、120’…p型不純物導入領域、130,132,930…バリアメタル層、140,940…アノード電極層、150,950…カソード電極層、160…重金属(白金)、M1,M2,M3,M4…マスク、D1…半導体基体100の第1主面位置、D2…n−型半導体層とn+型半導体層との境界面位置、D3…半導体基体100の第2主面位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体と、
前記第2半導体層の表面に選択的に形成され、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域と、
前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に形成され、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層とを備える半導体装置であって、
前記半導体基体には、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度は、前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度は、前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置において、
前記重金属は、白金であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、
前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、
前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、
前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、
前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の第2半導体層を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、
前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、
前記半導体基体における前記高濃度拡散領域が形成された側とは反対側の表面に、第1導電型不純物を、前記第2半導体層よりも高い濃度で含有する第1導電型の第1半導体層に形成する第1半導体層形成工程と、
前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、
前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、
前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記高濃度拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、前記半導体基体における前記第2半導体層側の表面に第2の重金属拡散源層を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記第2半導体層の表面に第2の重金属拡散源層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記高濃度拡散領域の表面に第2の重金属拡散源層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記重金属は、白金であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体と、
前記第2半導体層の表面に選択的に形成され、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域と、
前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に形成され、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層とを備える半導体装置であって、
前記半導体基体には、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように重金属が拡散されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度は、前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記高濃度拡散領域の表面における前記重金属の濃度は、前記第2半導体層の表面における前記重金属の濃度よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置において、
前記重金属は、白金であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも低濃度の第1導電型不純物を含有する第1導電型の第2半導体層とを有し、前記第1半導体層及び前記第2半導体層とがこの順序で積層された構造を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、
前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、
前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、
前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、
前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置を製造するための半導体装置の製造方法であって、
第1導電型の第2半導体層を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、
前記第2半導体層の表面に、第1導電型不純物とは反対導電型の第2導電型不純物を、前記第2半導体層が含有する第1導電型不純物の濃度よりも高い濃度で含有する第2導電型の高濃度拡散領域を選択的に形成する高濃度拡散領域形成工程と、
前記半導体基体における前記高濃度拡散領域が形成された側とは反対側の表面に、第1導電型不純物を、前記第2半導体層よりも高い濃度で含有する第1導電型の第1半導体層に形成する第1半導体層形成工程と、
前記半導体基体における前記第1半導体層側の表面に重金属拡散源層を形成する重金属拡散源層形成工程と、
前記半導体基体に熱処理を施すことにより、前記第2半導体層の表面で濃度が最も高くなるように前記重金属拡散源層から前記半導体基体中に前記重金属を拡散させる重金属拡散工程と、
前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域の表面上に、前記第2半導体層との間でショットキー接合を形成し、前記高濃度拡散領域との間でオーミック接合を形成するバリアメタル層を形成するバリアメタル層形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記高濃度拡散領域形成工程と重金属拡散工程との間に、前記半導体基体における前記第2半導体層側の表面に第2の重金属拡散源層を形成する第2重金属拡散源層形成工程をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記第2半導体層の表面に第2の重金属拡散源層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2重金属拡散源層形成工程においては、前記第2半導体層及び前記高濃度拡散領域のうち前記高濃度拡散領域の表面に第2の重金属拡散源層を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記重金属は、白金であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図8】
【図12】
【公開番号】特開2013−55077(P2013−55077A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172756(P2011−172756)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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